説明

積層樹脂粉砕分離装置

【課題】主に、積層樹脂破砕物に対する粉砕分離効率を向上することができるようにする。
【解決手段】積層樹脂破砕物12を粉砕分離可能な粉砕分離装置本体13と、架台55とを備え、粉砕分離装置本体13が、筒状の収容体18と、分離体とを備えた粉砕分離装置11であって、収容体18が、架台55に対して鉛直方向17に対し斜めに傾けた状態で支持され、分離体が、収容体18の内部底面に、底面に対し平行にかつ収容体18の軸周りに回転自在に設けられ、分離体が、収容体18に対して回転自在に設けられた回転体部と、回転体部の周縁部に固定され、かつ、収容体18の内周面に望んで設けられた分離刃14と、分離刃14の上部に、所定の間隔をおいて1枚または複数枚設けられた補助刃と、を備えるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層樹脂粉砕分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、通常、車室内の前部に樹脂製のインストルメントパネル(車室前部内装パネル)などの樹脂成形品が設けられている。
【0003】
そして、近年、このような樹脂成形品をリサイクルして再資源化し得るようにすることが急務となっている。
【0004】
しかし、このインストルメントパネルには、例えば、表皮材と、芯材層と、クッション層とからなる三層構造を有する積層樹脂成形品などが存在しており、このような積層樹脂成形品は、複数の材料が積層されて一体化しているため、リサイクルが難しいものの一つとなっている。
【0005】
このような積層樹脂成形品を再資源化するためには、例えば、積層樹脂成形品を破砕して粒状の積層樹脂破砕物とする破砕粒状化装置と、この破砕粒状化装置で破砕された粒状の積層樹脂破砕物を各層ごとに確実に粉砕分離する粉砕分離装置と、粉砕分離装置で粉砕分離された粉砕分離物を種別ごとに精度良く分別する分別装置とが、それぞれ必要となる。
【0006】
そして、上記した粉砕分離装置には、例えば、積層樹脂成形品の破砕物である積層樹脂破砕物を収容可能な収容体(ドラム)と、この収容体の内部に収容された積層樹脂破砕物を粉砕分離可能な分離体(回転刃)とが備えられることになる。
【0007】
そして、収容体の内部に収容された積層樹脂破砕物は、回転刃の回転によって衝撃力を加えられ、この衝撃力によって粉砕分離されることになる。
【0008】
このような粉砕分離装置またはこれに類する装置としては、従来、特許文献1に記載されたような装置が知られている。
【0009】
この特許文献1の装置は、ケーシングと、このケーシングの内部に配設された横向き円筒状のスクリーンと、このスクリーンの内部に回転可能に設けられた回転刃とを備えている。この場合、回転刃は、水平方向へ向けられたスクリーンの軸線を中心として、スクリーンの内周面に沿い、スクリーンから離れた状態で、縦回転可能に構成されている。
【0010】
そして、横向き円筒状のスクリーンの内部に樹脂破砕物を収容し、上記軸線を中心として回転刃をスクリーンの内周面に沿って縦回転させることにより、スクリーンの下部に貯留された樹脂破砕物は、回転刃にドラムのほぼ回転方向など(主に上方など)へ跳ね飛ばされる。このような回転刃との衝突や樹脂破砕物どうしの擦れ合いなどによって、樹脂破砕物は、乾燥状態で粉砕分離などされることとなる。
【0011】
また、スクリーンの内側には、回転刃との衝突などによって樹脂破砕物から発生された粉体を、吸引可能な吸引口が設けられている。
【0012】
そして、スクリーン内部の高さ方向の中間部からは、処理後の樹脂破砕物の粉砕物の落下排出を促進可能な高圧エアを、スクリーンの下部に設けられた排出口へ向けて下方に吹出可能なノズルが設けられている。
【0013】
更に、スクリーンの下部には、スクリーン内部の温度を調節するための外気を導入可能な温度調節用外気導入口が設けられている。
【0014】
また、上記した粉砕分離装置とは処理対象が異なっているが、類似した構造を持つものとして、特許文献2に記載されているような触媒回収装置が開発されている。
【0015】
この特許文献2の装置は、金属触媒を担持した担体を衝撃破壊可能な粉砕分離装置本体と、この粉砕分離装置本体を支持する架台とを備えている。そして、粉砕分離装置本体が、担体を収容可能な筒状の収容体と、収容体内に設置されると共に、収容体に収容された担体を衝撃破壊可能な分離体とを備えている。上記収容体が、架台に対して鉛直方向に対し斜めに傾けた状態で支持され、分離体が、収容体の内部底面に、底面に対し平行にかつ収容体の軸周りに回転自在に設けられている。上記分離体が、収容体に対して回転自在に設けられた回転体部と、この回転体部の周縁部に固定され、かつ、収容体の内周面に望んで設けられた分離刃とを備えている。上記した収容体は架台によって、軸線が鉛直方向に対し60゜程度以上に傾斜された状態で保持されている。また、収容体の内周面は、凹凸のない滑らかな円筒面とされている。そして、回転体部の回転中心部分や分離刃の中央部には、担体を跳ね上げるための反射体と呼ばれる部分的な突起部が取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平11−165093号公報
【特許文献2】特開2006−007035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記特許文献1に記載された装置には、以下のような問題があった。
【0018】
即ち、円筒状のスクリーンを横形に配置した場合、スクリーンが平坦で広い底面や上下方向に対して均一に延びる側面などを有さないものとなることから、ドラムへの樹脂破砕物の装入量と、ドラム内の樹脂破砕物の装入高さとが、比例的に増加する関係にならないため、ドラム内に最適な装入高さまで樹脂破砕物を挿入した時の、樹脂破砕物の装入量が少なくなってしまう。即ち、横形のスクリーンは、樹脂破砕物を多量に装入して処理を行うのに適してはおらず、1回当りの処理量が少ないものになってしまう。
【0019】
また、横形のドラムで多量の樹脂破砕物の処理を行うには、ドラムを軸方向に大きくすることになるが、その際に回転刃の軸方向の寸法も変更する必要が発生する。
【0020】
また、横形のドラムに多量の樹脂破砕物を装入して強制的に処理を行わせようとした場合には、回転刃に過大な回転力(駆動力)が必要となってしまう。
【0021】
また、例えば、横形のスクリーンの場合、樹脂破砕物に十分な衝撃力を与えるためには、樹脂破砕物を上方に高く跳ね上げる必要が生じるので、回転刃を回転するのに大きな回転力を必要としており、その分、運転コストが上がってしまう。
【0022】
そして、上記したスクリーンは、樹脂破砕物に衝撃力を与えるようなものではなかったので(単なる壁部材)、スクリーンを利用して樹脂破砕物に対する粉砕分離効率を高めることなどはできなかった。
【0023】
更に、粉体用の吸引口がスクリーンの内側下方に設けられているので、処理中に樹脂破砕物などが吸引口へ入って粉体と共に外部へ取出されてしまう可能性が高い。特に、横形のスクリーンの場合には、上記したように、粉砕分離効率を上げるために樹脂破砕物を上方に高く跳ね上げる必要があるため、仮に、吸引口の設置位置を限界まで高くしたとしても、吸引口から樹脂破砕物が取出されるのを免れることはできない。
【0024】
また、スクリーン内部の高さ方向の中間部に設けられたノズルから、スクリーンの下部に設けられた落下口へ向けて下方に吹出される高圧エアは、処理中に使用すると、スクリーン内部での樹脂破砕物の流動などを妨げてしまうことになるので、処理中に積極的に使用することができない。
【0025】
また、スクリーンの下部に設けられた温度調節用外気導入口から適宜外気を導入することによってスクリーン内部の温度を調節(冷却)するようにしているが、外気の導入だけでは、冷却能力の不足が生じる可能性が高い。そして、冷却能力が不足すると、処理中にスクリーンの内部の温度が上昇し、この温度上昇により樹脂破砕物どうしがくっついて塊となり、この塊によって、処理能力が低下したり処理ができなくなったりする事態が発生することになる。
【0026】
そして、上記特許文献2に記載された触媒回収装置は、軸線が鉛直方向に対し60゜程度以上に傾斜されることにより、収容体が横形配置に近い状態となっているので、上記した特許文献1と同様の問題を有している。また、収容体の内周面が、凹凸のない滑らかな円筒面とされているので、収容体の内周面に衝突した担体に十分な衝撃力を与えることができない。回転体部の回転中心部分や分離刃の中央部に取付けられた反射体は、部分的な突起部にしか過ぎないので、担体に十分な衝撃力を与えることができない。よって、特許文献2の触媒回収装置をそのまま積層樹脂破砕物の処理に用いたとしても、十分な粉砕分離効果および効率を得ることは難しい。
【0027】
なお、上記した以外にも、本発明に至る過程で新たな問題やその他の問題などが発生することも考えられる。このような新たな問題やその他の問題などについては、この欄で記載する代りに本発明の実施の形態の中で説明するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、複数種類の樹脂成形品を積層して一体化して成る積層樹脂成形品の破砕物である積層樹脂破砕物を前記樹脂成形品毎に粉砕分離可能な粉砕分離装置本体と、該粉砕分離装置本体を支持する架台とを備え、前記粉砕分離装置本体が、積層樹脂破砕物を収容可能な筒状の収容体と、該収容体内に設置されると共に、収容体に収容された積層樹脂破砕物を粉砕分離可能な分離体とを備えた積層樹脂粉砕分離装置において、前記収容体が、前記架台に対して鉛直方向に対し斜めに傾けた状態で支持され、前記分離体が、前記収容体の内部底面に、底面に対し平行にかつ収容体の軸周りに回転自在に設けられ、前記分離体が、前記収容体に対して回転自在に設けられた回転体部と、該回転体部の周縁部に固定され、かつ、前記収容体の内周面に望んで設けられた分離刃と、該分離刃の上部に、所定の間隔おいて1枚または複数枚設けられた補助刃と、を備えたことを特徴としている。
【0029】
請求項2に記載された発明は、上記において、前記補助刃の外縁部に波形の凹部を複数形成したことを特徴としている。
【0030】
請求項3に記載された発明は、上記において、前記収容体の内側面に、凹凸形状部が構成されたことを特徴としている。
【0031】
請求項4に記載された発明は、上記において、前記凹凸形状部が、前記収容体の内側面に対して着脱可能に構成されたことを特徴としている。
【0032】
請求項5に記載された発明は、上記において、前記積層樹脂破砕物の一部(粉体)を前記収容体の外部へ排出する排出口が前記収容体の上部に形成され、前記凹凸形状部が、前記収容体の内側面の周囲かつ前記収容体の底面から前記排出口の下端部に亘って設けられたことを特徴としている。
【0033】
請求項6に記載された発明は、上記において、前記回転体部の内部にエア通路が設けられ、該エア通路に連通するエア供給手段が設けられ、前記分離刃の下面に、前記エア通路に連通され、前記分離刃の周縁に向かってエアを噴射するための溝部が設けられたことを特徴としている。
【0034】
請求項7に記載された発明は、上記において、前記収容体の内部の温度を調整可能な温度調節機構が設けられると共に、該温度調節機構が前記収容体の外周部に温度調節用媒体流通部を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0035】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、分離体の部分の構成変更を行わずに、収容体の軸線方向の深さを変更することで、大量の積層樹脂破砕物を粉砕分離処理し得るようにすることが可能となる。また、積層樹脂破砕物に対する粉砕効率の向上を図ることができる。収容体の底面付近の積層樹脂破砕物を、分離刃で跳ね上げて、分離刃の上部の補助刃に衝突させることで、積層樹脂破砕物に対する粉砕分離効率を向上させることができる。
【0036】
請求項2の発明によれば、補助刃の外縁部の波形の凹部のエッヂにより分離効率を向上しつつ補助刃自体の寿命向上を図ることができる。
【0037】
請求項3の発明によれば、収容体の内側面に構成された凹凸形状部に積層樹脂破砕物が衝突することにより、積層樹脂破砕物に対する粉砕分離作業の更なる効率向上を図ることができる。
【0038】
請求項4の発明によれば、凹凸形状部が、収容体の内側面に対して着脱可能に構成されたことにより、対象とする積層樹脂破砕物の粉砕分離作業に適した凹凸形状部への交換などを容易に行うことができる。
【0039】
請求項5の発明によれば、積層樹脂破砕物の一部を収容体の外部へ排出する排出口が収容体の上部に形成され、凹凸形状部が、収容体の内側面の周囲かつ収容体の底面から前記排出口の下端部に亘って設けられたことによって、排出口と干渉することなく収容体の内部に任意に凹凸形状部を設けることができる。
【0040】
請求項6の発明によれば、回転体部の内部にエア通路が設けられ、エア通路に連通するエア供給手段が設けられ、分離刃の下面に、エア通路に連通され、分離刃の周縁に向かってエアを噴射するための溝部が設けられたことによって、分離刃の下面への積層樹脂破砕物の入り込みや詰まりを防止すると共に、収容体の内部の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
請求項7の発明によれば、収容体の内部の温度を調整可能な温度調節機構が設けられたことにより、積層樹脂破砕物の粉砕分離時に収容体の内部の温度調整を行うことで粉砕分離作業効率の向上を得ることができる。また、温度調節機構が収容体の外周部に温度調節用媒体流通部を備えることにより、温度調節用媒体流通部を、低コストで設けたり、後付けしたりすることができるようになると共に、収容体を外周側から強力に温度調整し得るようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】積層樹脂成形品の一例としての車室前部内装パネルの斜視図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本発明の実施例にかかる粉砕分離装置を側面から見た縦断面図である。
【図4】図3の横断面図である。
【図5】図3の部分拡大図である。
【図6】図3の回転刃を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【図7】図4の補助刃の拡大平面図であり、(a)は平面図、(b)は端面図である。
【図8】凹凸形状部を示す、図4の部分拡大図である。
【図9】凹凸形状部の変形例を示す図であり、(a)〜(c)は凹凸板状部材の各例を示し、(d)〜(f)は網状部材の各例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、主に、積層樹脂粉砕物に対する粉砕分離効率を向上することができるようにすることを目的としている。
【0044】
以下、本発明を具体化した実施例について、図示例と共に説明する。
【0045】
例えば、自動車などの車両には、通常、車室内の前部に、図1に示すような、樹脂製のインストルメントパネル1(車室前部内装パネル)などの樹脂成形品が設けられている。
【0046】
このインストルメントパネル1には、例えば、図2に示すように、表皮材2と、芯材層3と、クッション層4とからなる三層構造を有する積層樹脂成形品5などが存在している。ここで、表皮材2は、軟質樹脂材料によって構成されている。また、芯材層3は、硬質樹脂材料によって構成されている。更に、クッション層4は、ウレタンなどの発泡樹脂材料によって構成されている。クッション層4は、表皮材2と芯材層3との間に中間層として介装されている。表皮材2と、芯材層3と、クッション層4とは積層されて一体化されている。
【0047】
そして、このような積層樹脂成形品5をリサイクルして再資源化し得るようにする。
【0048】
この再資源化のためには、例えば、積層樹脂成形品5を破砕して粒状の積層樹脂破砕物12(以下、図3など参照)とする破砕粒状化装置と、この破砕粒状化装置で破砕された粒状の積層樹脂破砕物12を各層ごとに確実に粉砕分離する粉砕分離装置11と、この粉砕分離装置11で粉砕分離された粉砕分離物を種別ごとに精度良く分別する分別装置とが、それぞれ必要となる。
【0049】
本実施の形態にかかる積層樹脂粉砕分離装置は、これらのうち上記した粉砕分離装置11に関するものである。なお、粉砕分離装置11の処理対象は、上記した三層構造のインストルメントパネル1に限るものではなく、二層以上の積層構造を有する積層樹脂成形品5も含むことは勿論である。以下、具体的な実施例について説明する。
【実施例】
【0050】
図3〜図9は、この発明の実施例およびその変形例を示すものである。
【0051】
<構成>
(粉砕分離装置の構成)
本実施の形態にかかる粉砕分離装置11は、主に図3に示すように、複数種類の樹脂成形品を積層して一体化して成る積層樹脂成形品5(図1、図2参照)の破砕物である粒状の積層樹脂破砕物12を樹脂成形品毎に粉砕分離可能な粉砕分離装置本体13と、この粉砕分離装置本体13を支持する架台55とを備えている。
【0052】
(粉砕分離装置本体の構成)
上記した粉砕分離装置本体13は、主に、積層樹脂破砕物12を収容可能な収容体18と、この収容体18内に設置されると共に、積層樹脂破砕物12を粉砕分離可能な分離体とを備えている。粉砕分離装置本体13は、上記以外にも、収容体18の開口部23に取付けられる、後述するような蓋体24などを備えている。
【0053】
(架台の構成)
上記した架台55は、粉砕分離装置本体13を下側から支持するものとして構成されている。架台55は、粉砕分離装置本体13を必要な高さに支持する基本架台部55aを備えている。また、架台55は、この基本架台部55aの上部に、後述するように、粉砕分離装置本体13を傾斜状態で支持する傾斜支持用架台部55bを備えている。この場合、架台55は、型鋼などを用いて構築されている。基本架台部55aは、上記した型鋼などを側面視矩形状に組立てたものとされている。また、傾斜支持用架台部55bは、上記した型鋼などを側面視三角形状に組立てたものとされている。傾斜支持用架台部55bは、その斜面部分にベース55cを備えている。
【0054】
(収容体の構成)
収容体18は、積層樹脂破砕物12を収容可能な円筒部を備えた容器状(筒状)を呈していれば何でも良いと考えられるが、本実施の形態では、最も好適なものとして、軸線16をほぼ鉛直方向17(または上下方向)へ向けて配設された縦形の円筒状のドラムを用いている(以下、必要に応じてドラム18という)。
【0055】
この円筒状のドラム18は、上記した架台55によって、軸線16が鉛直方向17に対し斜めに傾いた状態で支持される。より具体的には、ドラム18は、架台55の傾斜支持用架台部55bに設けられた所定の角度に傾斜するベース55cの上面に、その軸線16がベース55cの面と直交するようにして配設(載置固定)されている。この縦形のドラム18(の底面19)の傾斜角度は、45゜を超えないようにする。この場合には、傾斜角度は、例えば、ほぼ20゜〜30゜程度の範囲に設定されている。
【0056】
ここで、ドラム18の傾斜角度を45゜未満としたのは、以下の理由による。即ち、傾斜角度を45゜以上とすると、ドラム18が横形に近い状態となり、積層樹脂破砕物12を上方から鉛直方向17の下方へ向けて直接ドラム18へ入れる場合に入口が狭くなったり、積層樹脂破砕物12がドラム18の内周面から底面19へ効率良く落下しなくなって粉砕効率が低下する。また、ドラム18の底面19が水平に近すぎると(例えば、極端に0゜とすると)、積層樹脂破砕物12の粉砕分離物31がドラム18内に残留し排出効率が低下し、破砕分離効率が低下するなどの問題が発生する。よって、これらのことから、好ましい角度として、傾斜角度をほぼ20゜〜30゜程度に設定している。
【0057】
(収容体の排出口について)
円筒状のドラム18は、その側面(周面)の最も低い位置に、粉砕分離した粉砕分離物31をドラム18の内部から外部へと排出するための排出口32が形成されている。この排出口32は、傾斜配置されたドラム18に対し、傾斜の下側となる周方向の位置に設置される。
【0058】
この排出口32には、排出扉34が、開閉機構35により開閉可能に取付けられている。この開閉機構35は、排出扉34の一端部を排出口32の上縁部近傍に軸支可能なヒンジ部36と、粉砕分離装置本体13の外側面(外周面)に固定された支持ブラケット37と排出扉34の高さ方向および幅方向のほぼ中間部との間に介装された駆動手段(シリンダなど)としての開閉駆動装置38とを備えている。
【0059】
この場合、排出扉34は、粉砕分離装置本体13の外側から排出口32の全面を覆うように設置される。ヒンジ部36は、排出口32の上縁部の両端間を結ぶ線とほぼ平行な方向へ延びるヒンジ軸を有している。支持ブラケット37は、排出口32よりも上側の位置でかつ、排出口32の幅方向のほぼ中央の位置から、ドラム18のほぼ半径方向へ向けて所要長さに張出すように構成されている。
【0060】
シリンダなどの開閉駆動装置38は、支持ブラケット37の先端部と、排出扉34の上記した中間部との間をほぼ結ぶ線の方向へ延びると共に同方向へ向けて伸縮動することにより、ヒンジ部36を中心として排出扉34を回動して開閉可能に構成されている。シリンダなどの開閉駆動装置38は、支持ブラケット37に対し、シリンダ本体部の側面が、ヒンジ部36と平行なヒンジ軸を有する支持ブラケット37の図示しないヒンジ部によって揺動可能に軸支されている。また、シリンダなどの開閉駆動装置38は、排出扉34に対し、ロッド部の先端が、ヒンジ部36と平行なヒンジ軸を有する排出扉34の中央部のヒンジ部によって鉛直方向17へ揺動可能に軸支されている。シリンダなどの開閉駆動装置38は、必要に応じて、ロッド部などを防塵カバー39などによって覆うようにしても良い。
【0061】
更に、粉砕分離装置本体13の外側面には、排出口32から排出された粉砕分離物31を捕集可能な排出用シュート部33が設けられている。この排出用シュート部33は、上部に排出口32および排出扉34の周囲全体を外側から覆う排出口包囲部を備えると共に、この排出口包囲部の下部に下細りの漏斗状部を備えている。この排出用シュート部33から排出された粉砕分離物31は、その後、上記した分別装置(図示せず)へ送られて、分別装置で粉砕分離物の種別ごとに精度良く分別されることとなる。
【0062】
(収容体の粉体吸引部について)
次に、ドラム18の側部開口の吸引部について説明する。ドラム18の側部には、吸引部として、内部で発生された粉体68を吸引可能な粉体吸引口69(粉体68の排出口)が設けられる。この粉体吸引口69は、好ましくは、処理中の積層樹脂破砕物12が到達可能な高さよりも高い位置に設けられるようにする。そのために、粉体吸引口69を、ドラム18上端の開口部23に近い上側の位置に設けている。粉体吸引口69は、ドラム18の内周面に沿って延びる横長の矩形状とされている。この粉体吸引口69は、傾斜配置されたドラム18に対し、傾斜の上側となる周方向の位置に設置される。
【0063】
そして、この粉体吸引口69の延長上には、内部で発生された粉体68をドラム18の内部から外部へ吸引除去するための、図示しないブロワなどの吸引装置が取付けられる。この場合、ドラム18の外側面に、粉体吸引口69を包囲するように風箱70が取付けられ、この風箱70に対し、粉体吸引口69と高低差を有して上記した吸引装置に対する接続口70aが設けられている。粉体吸引口69と接続口70aとの高低差は、万一、粉体吸引口69に積層樹脂破砕物12や、粉体68以外の粉砕分離物31などが突発的に入り込んだ場合に、これらを風箱70内に一時的に留めておけるようにしたもの(一時滞留手段、搬送防止手段、詰まり防止手段)である。風箱70または接続口70aには、滞留した積層樹脂破砕物12や粉砕分離物31を取出し得るようにするための図示しない滞留物取出手段(例えば、滞留物取出口など)が設けられる。この場合、接続口70aは、風箱70の粉体吸引口69よりも低い位置に設けられているが、反対に、接続口70aを、風箱70の粉体吸引口69よりも高い位置に設けるようにしても良い。
【0064】
更に、上記したように、粉体吸引口69が、処理中の積層樹脂破砕物12が到達可能な高さよりも高い位置に設けられる場合には、特に必要ないと考えられるが、補助的に、ドラム18の内側面における粉体吸引口69の周囲に対し、突発的に飛来してきた積層樹脂破砕物12や、粉体68以外の粉砕分離物31などの入り込みを防止するための入り込み防止部材71を設けて、万一の場合や、設計上、粉体吸引口69を十分高い位置に設けられない場合などに備えることができる。この入り込み防止部材71には、粉体68よりも大きな積層樹脂破砕物12や粉砕分離物31を通さない程度の目の細かいスクリーン部材72などを用いるのが好ましい。本実施例の場合には、スクリーン部材72として、篭状に形成されたカバー部材が取付けられている(図4参照)。このカバー部材は、ドラム18の内周面と同一の曲率を有する円弧形状部分をドラム18の内周面に当接させた状態で、ボルトなどの締結固定具を用いて、粉体吸引口69の周囲を覆うように、着脱可能に取付固定されている。
【0065】
(凹凸形状部について)
収容体18には、内側面(内周面)に、凹凸形状部21が設けられる。例えば、凹凸形状部21は、収容体18の内側面に直接形成される。
【0066】
凹凸形状部21は、ドラム18の底面19またはその近傍の位置から、粉体吸引口69の下端部近傍(詳しくは、入り込み防止部材71の下端近傍)までの任意の位置に対し、収容体18の内側面(内周面)の周方向の全周に亘ってほぼ均一な状態で設けるようにする。本実施の形態においては、凹凸形状部21が設けられる範囲は、ドラム18の底面19またはその近傍の位置から、粉体吸引口69の下端部近傍(詳しくは、入り込み防止部材71の下端位置)までの範囲に構成する。但し、排出口32の部分については、凹凸形状部21は、排出扉34の内面側に設けるようにしても良い。
【0067】
凹凸形状部21は、積層樹脂破砕物12を粉砕(分離)することができる構造であれば、どのような形状のものでも良いと考えられるが、本実施の形態では、最も好適なものとして、ドラム18の内側面に軸線16の方向に沿って連続して形成された凹溝部56を、ドラム18の内側面に沿って周方向に所定の間隔で多数条形成したものとしている。
【0068】
この凹凸形状部21は、収容体18の内側面に対して、直接形成することができる。
【0069】
(分離体の構成)
分離体は、収容体18の底面19に対し平行にかつ収容体18の軸線16周りに回転移動することで積層樹脂破砕物12を粉砕分離可能に構成されたものである(以下、図4〜図6を併せて参照のこと)。
【0070】
この分離体は、収容体18に対して回転自在に取付けられた回転体部(分離刃取付プレート44)を備えている。分離体は、また、回転体部の周縁部に固定して、かつ、収容体18の内周面に臨んで設けられて、収容体18の内部に収容された積層樹脂破砕物12を粉砕分離可能な分離刃14を備えている。この分離刃14は、基端側を除く3つの側面(分離刃14の両側面と先端面)に、収容体18の底面19に対して斜めに傾斜された傾斜面部15を有している。また、分離体は、分離刃14の上部に、1枚または複数枚積層状態で取付けられた補助刃61を備えている。
【0071】
(分離刃について)
より具体的には、分離刃14は、図6に示すように、ドラム18の底面19と平行な面を有する上面視ほぼ矩形の厚肉板状を呈している。分離刃14は、その後端部の下面側に、取付部として、後述する分離刃取付プレート44の各腕部44aの先端部44bに対して上方から嵌着可能な取付用凹部45を有している。分離刃14は、分離刃取付プレート44に対し、ボルトなどの締結固定具を用いて、着脱交換可能に取付固定される。なお、符号14aは、分離刃取付プレート44に取付けるためのボルト孔である。傾斜面部15は、分離刃14の外周辺に向かって下り傾斜となるように、テーパ状に形成されている。この分離刃14は、軸線16を中心として、ドラム18の底面19に沿って回転可能に設けられた分離刃取付プレート44の端部に取付けられている。
【0072】
そして、ドラム18の底面19およびベース55cには、ドラム18の軸線16上の位置(軸心部)に、軸線16の方向へ延びる回転軸41が、ドラム18の内外間に亘って貫通配置されている。この回転軸41は、ドラム18の底面19に取付けられた軸受部とベース55cに取付けられた軸受部42とによって回転可能に軸支されている。そして、ドラム18の内部に位置する回転軸41の上端部には、図4(または図5)に示すように、押圧プレート43を介して、上記した分離刃取付プレート44(回転体部)が取付固定され、この分離刃取付プレート44(の先端部44b)に、上記した分離刃14が取付および取外可能に取付固定されている。この場合、押圧プレート43は、平面視でほぼ円板状をしている。分離刃取付プレート44は、回転軸41の上端部と押圧プレート43との間に介在されると共に、ドラム18の底面19に沿って、ほぼ半径方向に延設される腕部44aを有している。
【0073】
この腕部44aは、分離刃取付プレート44に対し放射状に、かつ、一箇所または所要の位相を有して複数箇所設けられる。本実施の形態では、分離刃取付プレート44は、周方向に180゜の位相を有して2箇所の腕部44aを有することにより、ドラム18の直径方向へ延びるほぼ直線形状のものとされている。そして、分離刃14は、分離刃取付プレート44の各腕部44aの先端部44bに、それぞれ取付けられる。この分離刃取付プレート44の腕部44aの先端部44bには、分離刃14の取付用凹部45が嵌着可能な形状および大きさを有する凸形状部分が設けられる。
【0074】
また、図3に示すように、回転軸41には、ベース55cなどに軸支された回転軸41を高速で回転駆動可能な回転駆動機構46が接続されている。回転駆動機構46は、ベース55cに取付けられた回転駆動装置47(モータ)と、この回転駆動装置47の回転駆動力を回転軸41へ伝達可能な駆動力伝達機構48とを備えている。駆動力伝達機構48は、減速歯車などを用いた歯車機構や、無端状のベルトなどを用いたいわゆるベルト駆動機構49や、無端状のチェーンなどを用いたいわゆるチェーン駆動機構や、その他の同等のものなどとすることができる。本実施の形態においては、ベルト駆動機構49とされている。このベルト駆動機構49は、ドラム18が取付けられたベース55cを貫通して反対側に突出された回転軸41の下端部に取付けられたベルトプーリー51と、ベース55cを貫通して反対側に突出した回転駆動装置47の出力軸に取付けられたベルトプーリー52と、両ベルトプーリー51,52の外周部間に掛け渡された無端状のベルト53とを備えている。なお、ベルト53には、タイミングベルトなどの各種のものを適宜用いることができる。
【0075】
(補助刃について)
そして、分離刃14の上部には、図5に示すように、分離刃14で跳ね上げられた積層樹脂破砕物12が当る上記した補助刃61が設けられる。
【0076】
この補助刃61は、図7に示すように、ドラム18の底面19と平行な面を有する上面視ほぼ矩形状の板状部材であり、この補助刃61は、上記した分離刃14よりも薄肉に構成され、この補助刃61(板状部材)の周囲に沿って半楕円状の凹溝部62(または、波状の凹部)が多数形成されている。凹溝部62の形状としては、半楕円状の他に、半円状、V字状、U字状などであっても良い。また、各凹溝部62のピッチ間隔は、特に限定するものではなく、粉砕対象である積層樹脂破砕物12の種類、大きさ、積層数などに応じて粉砕分離効率や補助刃61自体の寿命等を考慮して、適宜変更される。
【0077】
補助刃61は、図5に示すように、分離刃14の上面に少なくとも一枚、所定の間隔を設けて配置される。補助刃61の枚数は、ドラム18に投入される積層樹脂破砕物12の量、粉砕分離効率の向上、設備構成などのバランスを考慮して最適な層数にするのが好ましい。本実施の形態においては、全体のバランスを考慮して三枚〜六枚程度などとしている。
【0078】
詳細には、分離刃14とその上部に位置する補助刃61との間、および、各補助刃61間には、所定の間隔を空けるための間隔調節部材65(高さ調整部材)が設けられる。間隔調節部材65には、所定の厚みを有する板状部材をスペーサ部材などとして用いることができる。
【0079】
そして、補助刃61は、分離刃14に対し、ボルト66などの締結固定具を用いて、着脱交換可能に固定するボルト孔67が所定の間隔を置いて2つ形成される(図7参照)。
【0080】
(エア供給手段について)
更に、図5に示すように、ドラム18の底面19と、分離刃14および分離刃取付プレート44(の下面)との間隙75に、間隙75に対する積層樹脂破砕物12の入込みおよび詰まりを防止すると共に、補助刃61へ向けて積層樹脂破砕物12を吹上可能(或いは、ドラム18内の積層樹脂破砕物12を撹拌可能)に、更に、ドラム18内の温度上昇を抑制可能な多機能エア76を供給可能なエア供給手段77が設けられる。
【0081】
図3に示すように、エア供給手段77は、例えば、図示しない外部のエア供給源に接続されたエア供給管81と、このエア供給管81に接続されると共に上記した回転軸41の(下端部などの)外周に取付けられた回転継手部82と、回転軸41を中空にして成ると共に回転継手部82に接続されたエア供給軸部83とを備えている。このエア供給手段77は、少なくとも分離刃14の下面から多機能エア76を吹出可能なエア吹出部84に接続されている(図5参照)。
【0082】
この場合、エア吹出部84は、例えば、分離刃取付プレート44や、分離刃14の下面などに刻設形成された、ドラム18の半径方向などに延びる凹溝部85などの溝部とすることができる。この凹溝部85は、V溝やU溝などとすることができる。但し、多機能エア76は、分離刃14の下面側からのみ吹出し得るようにすることも可能である。この場合には、分離刃取付プレート44には、エア吹出部84を設けるのではなく、分離刃取付プレート44の内部に分離刃14のエア吹出部84に接続されるエア通路を設けるようにする。
【0083】
更に、図3に示すように、エア供給手段77に、多機能エア76を除電可能な除電装置86を設けるようにする。この場合、除電装置86は、エア供給管81の中途部(この場合には、回転継手部82の近傍部分)などに設けられている。この除電装置86は、多機能エア76を除電するための図示しない電極などを、エア供給管81の内部の位置に有している。そして、この除電装置86によって、多機能エア76は、(多機能)除電エアとされる。
【0084】
(蓋体の構成)
粉砕分離装置本体13としての円筒状のドラム18は、その上面に、全面に亘って上記した開口部23が形成されている。この開口部23には、開口部23全体を覆う蓋体24が、開閉機構25を介して開閉可能に取付けられている。この開閉機構25は、傾斜されたドラム18に対し、蓋体24を、図3に仮想線(二点鎖線)で示すように、傾きの下側へ向けて開き得るように設置されている。この開閉機構25は、粉砕分離装置本体13の外側面(外周面)の一部に固定された一対の支持ブラケット26に対してその一端部を軸支されると共に、蓋体24に対してその他端部を固定された一対の可動アーム27と、粉砕分離装置本体13の外側面と各可動アーム27の中間部との間に介装された一対の駆動手段28(シリンダなど)とを備えている。
【0085】
この場合、支持ブラケット26は、上記した排出口32と支持ブラケット37との中間の高さの位置で、かつ、上記した支持ブラケット37を挟んだ両側の位置に、支持ブラケット37とほぼ平行に延設するよう設けられている。支持ブラケット26は、図3では、その先端部が、排出扉34のヒンジ部36に対し、軸線16の方向のほぼ上側に位置するように設定されている。
【0086】
可動アーム27は、蓋体24の中心部と支持ブラケット26の先端部との間を結ぶように延びると共に、中間部分屈曲部を有する側面視ほぼ「く」字状を呈している。この側面視ほぼ「く」字状をした可動アーム27は、屈曲部よりも蓋体24寄りの部分が、蓋体24と平行な平行部とされ、屈曲部よりも支持ブラケット26寄りの部分が、下方へ進むに従いドラム18の軸線16から離れるように傾斜する傾斜部とされている。
【0087】
そして、蓋体24の上面の中心部には、開閉機構25による開閉の際に、蓋体24を軸線16の方向へ移動可能な昇降手段22が取付けられており、可動アーム27の平行部の端部はこの昇降手段22に取付けられている。また、可動アーム27の傾斜部の端部は、上記したヒンジ部36と平行なヒンジ軸を有するヒンジ部によって支持ブラケット26の先端部に軸支されている。
【0088】
シリンダなどの駆動手段28は、支持ブラケット26と平行な方向へ向けて延びると共に同方向に伸縮動することにより、蓋体24を開閉可能に構成されている。シリンダなどの開閉駆動装置38は、円筒状のドラム18の側面に対し、シリンダ本体部の側面が、ヒンジ部36と平行なヒンジ軸を有する図示しないヒンジ部に揺動可能に軸支されている。また、シリンダなどの開閉駆動装置38は、そのロッド部の先端が、可動アーム27の傾斜部の長手方向の中間部に接続され、ロッド部の伸縮動により、ヒンジ部36と平行なヒンジ軸を有するヒンジ部を起点に可動アーム27が揺動される。
【0089】
そして、蓋体24には、上記した粉砕粒状化装置(図示せず)からの積層樹脂破砕物12を、落下によって装入可能な装入シュート部29が設けられている。この装入シュート部29は、側面視ほぼ逆円錐形状をした逆円錐形状部分と、逆円錐形状部分の下端部に設けられた小径円筒形状の出口部とを有する漏斗形状を呈してしていると共に、逆円錐形状部分の上端部に逆円錐形状部分の中心軸と同軸上に設けられた小径円筒形状の入口部とを備えている。逆円錐形状部分および入口部は、円筒状のドラム18の開口部23を蓋体24で閉止した状態で、その軸線が鉛直方向17へ向くように構成されている。この時、出口部は、その軸線が蓋体24の面直方向(軸線16の方向)へ向くように構成されている。装入シュート部29の出口部は、傾斜配置されたドラム18を閉止している蓋体24に対し、傾斜の下側となる周方向の位置に接続される。
【0090】
(凹凸形状部の他の実施例について)
また、上記した凹凸形状部21は、収容体18の内側面に対して着脱可能に構成するようにしても良い。
【0091】
即ち、図9(a)〜図9(f)に示す凹凸形状部(凸状部88,凹状部89)を有する内壁取付部材、具体的には凹凸板状部材57a〜57cや網状部材58d〜58fを、図8に示すようにドラム18の内側面に当接させ、ネジなどの慣用の固定手段(図示せず)にて内壁取付部材をドラム18の内側面に固定させても良い。この場合、内壁取付部材は、例えば、ドラム18の内側面を周方向に複数分割した大きさで、かつ、図8に示す凹凸板状部材57のようにドラム18の内側面と同じ曲率に形成される。なお、内壁取付部材は、溶接などで固定しても良いが、ネジ固定などの着脱交換可能な固定が好ましい。内壁取付部材の着脱交換は、開閉機構25を用いて蓋体24を開口した状態で行われる。
【0092】
例えば、図9(a)では、内壁取付部材は、ほぼ軸線16の延長方向に沿って連続して形成された突条を、ドラム18の内側面に沿って周方向に所定の間隔で多数条形成することにより凸状部88を構成した凹凸板状部材57aとされている。
【0093】
図9(b)では、内壁取付部材は、(比較的大きな)半球状の突起部を内表面に規則的に多数形成することにより凸状部88を構成した凹凸板状部材57bとされている。
【0094】
図9(c)では、内壁取付部材は、(比較的小さな)粒状の突起部を内表面に規則的に多数形成することにより凸状部88を構成した凹凸板状部材57cとされている。
【0095】
図9(d)では、内壁取付部材は、多数本の縦棧部材と横棧部材とを、縦横に所要の間隔を有して格子状に組合せることにより凸状部88と凹状部89とを構成した網状部材58dとされている。
【0096】
図9(e)では、内壁取付部材は、(比較的大きな)孔部(角孔部)を多数開口形成することにより凹状部89を構成した網状部材58eとされている。
【0097】
図9(f)では、内壁取付部材は、(比較的小さな)孔部(小角孔部)を多数開口形成することにより凹状部89を構成した網状部材58fとされている。
【0098】
また、内壁取付部材を網状部材58とする場合には、大きな凹凸形状部21を有するのが最も好ましい。よって、例えば、特に図示していないが、網状部材58として、金属板に多数の切込みを入れて引き伸ばして成るエキスパンドメタルなども好適に用いることができる。
【0099】
(温度調節機構について)
更に、図5に示すように、ドラム18の内部の温度を調整可能な温度調節機構91を設けることができる。この温度調節機構91は、冷却用配管94をドラム18の外周部に巻回してなる温度調節用媒体流通部93と、温度調節用媒体流通部93に冷却媒体や加熱媒体などの温度調節用媒体92(流体)を循環供給する媒体循環手段(図示せず)とを備える。温度調節用媒体流通部93内に温度調節用媒体92が供給され、温度調節用媒体92がドラム18の周りにおいて循環させ、ドラム18内の温度調節がなされる。
【0100】
温度調節用媒体流通部93は、ドラム18の底面19またはその近傍の位置から、少なくとも、凹凸形状部21または内壁取付部材の上端の位置(本実施例では、高さ59の位置)またはそれ以上の高さまでの範囲の任意の位置に対し、周方向の全周に亘って設けられる。より具体的には、温度調節機構91は、ドラム18の外周部に巻回配置された冷却用配管94を温度調節用媒体流通部93として備えたものとすることができる。この冷却用配管94は、ドラム18の外周部に下から上へ向かって隙間無く巻付けると共に、ドラム18の外周部に接触させるようにするのが好ましい。なお、冷却用配管94は、排出口32を塞いでしまうことの無いように、排出口32の部分を避けるように折返しながらドラム18の外周部に巻付けられる。冷却用配管94には、熱伝導率の高い銅管などを用いることができる。
【0101】
或いは、温度調節機構91は、ドラム18の外周を包囲する図示しない冷却槽の内側に形成される冷却ジャケットを温度調節用媒体流通部93として備えたものとすることができる。なお、冷却槽は、排出口32を塞いでしまうことの無いように、排出口32の部分を避けて設けるようにする。
【0102】
なお、ドラム18の内部温度は底側が最も高温になるので、上記した温度調節用媒体流通部93に温度調節用媒体92(流体)を供給する際は、ドラム18の底側から供給し、ドラム18の上側から排出させるのが好ましい。
【0103】
更に、温度調節機構91として、ドラム18の内部の温度を検出する図示しない内部温度検出器が設けられる。この内部温度検出器は、例えば、ドラム18の底部またはその近傍などに設けることができる。
【0104】
そして、温度調節機構91として、温度調節用媒体流通部93における供給側に、温度調節用媒体92の供給量を制御可能な図示しない流量制御弁が更に設けられる。この流量制御弁にて任意の温度の温度調節用媒体92の供給量を制御することで、内部温度検出器で検出されドラム18の内部の温度が、任意の温度に制御される。
【0105】
<作用>次に、この実施例の作用について説明する。
【0106】
自動車のインストルメントパネル1などの積層樹脂成形品5は、図示しない破砕粒状化装置により破砕されて粒状の積層樹脂破砕物12とされる。この破砕粒状化装置で破砕された粒状の積層樹脂破砕物12は、次に、本実施の形態の粉砕分離装置11により各層毎に粉砕分離される。この粉砕分離装置11で粉砕分離された粉砕分離物(粉体68および粉砕分離物31)は、更に、図示しない分別装置により種別ごとに精度良く分別され回収される。積層樹脂成形品5は、上記した破砕粒状化装置によって、ほぼ5mm〜15mm角程度の大きさの粒状物(積層樹脂破砕物12)に破砕される。
【0107】
より具体的には、上記したインストルメントパネル1の構成のうちの最も柔らかいクッション層4は、粉砕分離装置11により微粉砕されて粉体68となり、粉砕分離装置11の内部から粉体吸引口69を通して外部へと吸引除去されることになる。
【0108】
また、インストルメントパネル1の構成のうちの表皮材2および芯材層3は、上記したクッション層4の微粉砕により分離され、粉砕分離物31として粉砕分離装置11の内部から排出口32および排出用シュート部33を介して外部へと排出されることになる。この際、表皮材2は、ほぼ上記した大きさのシート状をした薄い破片となり、芯材層3は、ほぼ上記した大きさの粒状の破片となる。即ち、表皮材2および芯材層3は、粉砕分離装置11によってほとんど粉砕されることなく、ほぼそのままの大きさで回収されることになる。
【0109】
そして、上記した粉砕分離装置11は、以下のように稼動する。先ず、粉砕分離装置本体13のドラム18へ積層樹脂破砕物12を装入する。粉砕分離装置本体13のドラム18への積層樹脂破砕物12の装入は、蓋体24を閉止した状態にして、装入シュート部29を用いて行うようにする。次に、ドラム18の内部に積層樹脂破砕物12が収容されたら、回転駆動装置47を駆動し、駆動力伝達機構48を介して、分離刃14を回転駆動させるようにする。
【0110】
すると、粉砕分離装置本体13のドラム18の内部に装入された積層樹脂破砕物12は、分離刃14の回転によって衝撃力を与えられ、ドラム18の内周面に向かって跳ね飛ばされ、この衝撃力によって上記したような粉砕および分離(粉砕分離)が行われる。
【0111】
この際、縦置きされた円筒状のドラム18の軸線16を鉛直方向17(上下方向)に対して所定の角度傾けて配設し、ドラム18内に積層樹脂破砕物12を装入し、上記軸線16を中心として分離刃14をドラム18の底面19に沿って平行に回転移動させるようにすることにより、積層樹脂破砕物12は、分離刃14によりドラム18のほぼ半径方向(ほぼ水平方向)へ跳ね飛ばされてドラム18の内側面に衝突される。このような衝突(積層樹脂破砕物12と分離刃14との衝突や、積層樹脂破砕物12とドラム18の内側面における凹凸形状部21との衝突や、積層樹脂破砕物12同士の衝突)によって、積層樹脂破砕物12は、乾燥状態で、層間に位置するクッション層4が粉砕され、表皮材2と芯材層3とが分離されることとなる。この場合には、大別して表皮材2および芯材層3などを含む粉砕分離物31と、クッション層4が微粉砕されてなる粉体68とに粉砕分離されることになる。
【0112】
この際、ドラム18を縦形のものとすることにより、高い処理能力を得ることができるようになる。
【0113】
即ち、縦形のドラム18は平坦で広い底面19と、ほぼ鉛直方向17に対して均一に延びる側面とを有していることから、ドラム18への積層樹脂破砕物12の装入量と、ドラム18内での積層樹脂破砕物12の装入高さとが、比例的に増加する関係となる。このため、処理に最適な装入高さとした時に、積層樹脂破砕物12の装入量を多くすることができるので、1度に積層樹脂破砕物12を多量に装入して多量に処理するのに最適な構成とすることができる。
【0114】
これに対し、例えば、ドラム18を横形に配置した場合には、横形のドラム18は、平坦で広い底面19と鉛直方向17に対して均一に延びる側面とを有するものとはならない。このため、ドラム18への積層樹脂破砕物12の装入量と、ドラム18内の積層樹脂破砕物12の装入高さとが、比例的に増加する関係にはならず、ドラム18への積層樹脂破砕物12の装入量が少ない状態でも、ドラム18内の積層樹脂破砕物12の装入高さが高くなってしまう。よって、ドラム18を横形に配置した場合、上記した縦形のドラム18の時と同じ装入高さにしたとしても、横形のドラム18内には少量の積層樹脂破砕物12しか装入することができず、1回の処理量が少ないものとなってしまう。
【0115】
また、縦形のドラム18の場合には、分離刃14によって、積層樹脂破砕物12をほぼ水平方向へ跳ね飛ばしてドラム18の内側面に衝突させており、積層樹脂破砕物12を高く跳ね上げさせる必要がないため、分離刃14の回転トルクは小さくても十分であり、小型のモータでも十分である。その結果、装置をコンパクトにすることができると共に、装置コストや運転コストを下げることが可能となる。
【0116】
これに対し、例えば、横形のドラム18の場合には、積層樹脂破砕物12を上方に高く跳ね上げる必要が生じるため、分離刃14の回転トルクを大きくする必要、即ち、大型のモータを使う必要がある。その結果、装置が大型化すると共に、装置コストや運転コストが上がってしまう。
【0117】
更に、本実施の形態では、ドラム18の内側面に沿って凹凸形状部21を設けるようにしているが、この凹凸形状部21によって、積層樹脂破砕物12に対し繰返しの衝撃力を与えることができるようになるため、凹凸形状部21を設けていない場合と比べて格段に積層樹脂破砕物12の粉砕分離効率を向上することができる。
【0118】
また、分離刃14の上部に補助刃61を設けることにより、分離刃14で跳ね上げられた積層樹脂破砕物12を連続して補助刃61に当てて衝撃力を与えることができるようになる。これにより、補助刃61を設けていない場合と比べて格段に積層樹脂破砕物12の粉砕分離効率を向上することができる。
【0119】
特に、補助刃61は、ドラム18の半径方向へ延びる上面視ほぼ矩形状の板状部材とされ、かつ、その外周部に凹凸形状部62が設けられているため、補助刃61と積層樹脂破砕物12との接触領域が大きくなり(接触長さが長くなり)、粉砕分離効率を向上させることができる。
【0120】
また、補助刃61は、単層に限らず複数層に設けることができる。このように、補助刃61を複数層に設けることによって、積層樹脂破砕物12の粉砕分離効率を更に向上させることができる。
【0121】
そして、補助刃61が、複数層に設けられる場合に、分離刃14とその上部に位置する補助刃61との間、および、上下の補助刃61間の位置に、補助刃61を積層樹脂破砕物12が当り易くかつ積層樹脂破砕物12の詰まりが生じ難い位置(高さ)に調節可能な間隔調節部材65をスペーサ部材として設けることができる。
【0122】
上記したように、積層樹脂破砕物12のクッション層4のみを微粉砕し、表皮材2および芯材層3を粉砕することなくほぼそのままの大きさで残すと共に、表皮材2および芯材層3からクッション層4をきれいに剥離させるようにするには、積層樹脂破砕物12に作用させる衝撃力の加減が難しいが、本実施の形態の粉砕分離装置11によれば、上記した構成の凹凸形状部21や補助刃61などを備えることによって、積層樹脂破砕物12に与える衝撃力を最適に調節することができる。
【0123】
また、ドラム18に設けた粉体吸引口69により、ドラム18の内部に発生された粉体68を処理中に吸引除去することができる。これにより、発生された粉体68によって積層樹脂破砕物12の粉砕分離効率が低下されるのを防止することができる。そして、積層樹脂破砕物12を高く跳ね上げさせる必要のない縦形のドラム18において、粉体吸引口69を、ドラム18の内側面の上側の位置に形成したことにより、積層樹脂破砕物12などの粉体吸引口69への入込みおよび粉体68への混入、排出をほぼ確実に防止することができる。この位置の高い粉体吸引口69は、縦形のドラム18と組合せた時に、最も有効に機能するものとなる。
【0124】
この場合、粉体吸引口69は、処理中の積層樹脂破砕物12が到達可能な高さよりも高い位置に設けるようにすることができる。このように、粉体吸引口69を処理中の積層樹脂破砕物12が到達可能な高さよりも高い位置に設けることにより、処理中に積層樹脂破砕物12が粉体吸引口69へ入って粉体68と共に外部へ取出されてしまうのを構造的に防止することができる。
【0125】
更に好ましくは、粉体吸引口69は、凹凸形状部21としての凹凸板状部材57や網状部材58の上端部よりも上側の位置に設けるようにする。このように、粉体吸引口69を、凹凸形状部21としての凹凸板状部材57や網状部材58の上端部よりも上側の位置に設けることにより、凹凸形状部21としての凹凸板状部材57や網状部材58に、粉体吸引口69を加工形成する必要がなくなるので、凹凸板状部材57や網状部材58に対する加工コスト低減を図ることができる。
【0126】
また、エア供給手段77やエア吹出部84を設けて、ドラム18の底面19と、分離刃14や分離刃取付プレート44などとの間隙75に多機能エア76を供給し得るようにすることにより、間隙75に対する積層樹脂破砕物12の入込みおよび詰まりおよびこれによる分離刃14の回転力の低下を防止することが可能となる。また、分離刃14で跳ね上げられた積層樹脂破砕物12を補助刃61へ向けて吹上げさせるようにすることが可能となる。更に、ドラム18内の温度上昇を抑制することを、同時に行うことが可能となる。
【0127】
この際、エア供給手段77に、多機能エア76を除電可能な除電装置86を設けることができる。このように、エア供給手段77に供給される多機能エア76を、除電装置86によって除電することにより、ドラム18の内部で発生された粉体68の帯電を防止することができる。これにより、帯電した粉体68が積層樹脂破砕物12に付着することによって積層樹脂破砕物12の粉砕分離効率が低下したり、また、帯電した粉体68が互いに吸着することによって、ドラム18の内部や、粉体吸引口69およびその下流側などに詰まりを生じるのを、防止することができ、その分、粉体吸引口69に接続される吸引装置の容量を小さくすることができる。
【0128】
更に、ドラム18の外周部に温度調節機構91を設けることにより、上記した多機能エア76だけでは不足するドラム18内の温度抑制などの温度調節機能を、温度調節機構91を用いて行わせることができる。この際、温度調節機構91の温度調節用媒体流通部93をドラム18の外周部に設けることにより、外周部からドラム18の全体を素速くかつ効果的(強力)に温度調整することが可能となる。
【0129】
温度調節機構91は、冷却媒体や加熱媒体などの温度調節用媒体92(流体)を流通可能な温度調節用媒体流通部93などとする。より具体的には、温度調節機構91としての温度調節用媒体流通部93には、ドラム18の外周部に巻回配置された冷却用配管94や、ドラム18の外周を包囲する冷却槽などを用いることができる。
【0130】
そして、温度調節機構91としての冷却用配管94は、コストが低く、また、既存の設備(ドラム18)に対して後付けがし易いという特徴を備えている。また、冷却用配管94に、銅管を用いるようにすれば、伝熱効率を高くすることができるので、より好ましい。また、温度調節機構91としての冷却槽は、温度調節用媒体92の給排量や給排速度を大きく確保することができるので、より高い温度調整能力を得ることができるという特徴を備えている。
【0131】
これに対し、ドラム18の外周部に、ドラム18の内部の温度を調整可能な温度調節機構91を設けなかった場合や、ドラム18の底面19と、分離刃14との間隙75に、エアを供給するエア供給手段77を設けなかったような場合などには、処理中にドラム18の内部の温度が上昇して、積層樹脂破砕物12どうしがくっついて塊になったりすることにより、処理能力が低下するおそれなども生じることになる。
【0132】
本実施の形態では、上記した縦形のドラム18を、鉛直方向17に対し軸線16を若干傾斜させて、斜め配置とするようにしている。このようにすることにより、ドラム18の傾斜による落下力を利用して、処理後の積層樹脂破砕物12(粉砕分離物31)を、内側面の下部から容易に排出させ得るようにすることができる。
【0133】
これに対し、例えば、横形のドラム18の場合には、ドラム18の傾斜による落下力を利用して、処理後の積層樹脂破砕物12を、側面から排出させるようにすることができない。
【0134】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0135】
5 積層樹脂成形品
11 積層樹脂粉砕分離装置(粉砕分離装置)
12 積層樹脂破砕物
13 粉砕分離装置本体
14 分離刃(分離体)
17 鉛直方向
18 収容体(ドラム)
19 底面
21 凹凸形状部
44 分離刃取付プレート(分離体の回転体部)
55 架台
61 補助刃(分離体)
62 凹凸形状部(凹部)
69 粉体吸引口69(排出口)
77 エア供給手段
85 凹溝部(溝部)
91 温度調節機構
93 温度調節用媒体流通部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の樹脂成形品を積層して一体化して成る積層樹脂成形品の破砕物である積層樹脂破砕物を前記樹脂成形品毎に粉砕分離可能な粉砕分離装置本体と、該粉砕分離装置本体を支持する架台とを備え、
前記粉砕分離装置本体が、積層樹脂破砕物を収容可能な筒状の収容体と、該収容体内に設置されると共に、収容体に収容された積層樹脂破砕物を粉砕分離可能な分離体とを備えた積層樹脂粉砕分離装置において、
前記収容体が、前記架台に対して鉛直方向に対し斜めに傾けた状態で支持され、前記分離体が、前記収容体の内部底面に、底面に対し平行にかつ収容体の軸周りに回転自在に設けられ、
前記分離体が、前記収容体に対して回転自在に設けられた回転体部と、該回転体部の周縁部に固定され、かつ、前記収容体の内周面に望んで設けられた分離刃と、該分離刃の上部に、所定の間隔をおいて1枚または複数枚設けられた補助刃と、を備えたことを特徴とする積層樹脂粉砕分離装置。
【請求項2】
前記補助刃の外縁部に波形の凹部を複数形成したことを特徴とする請求項1記載の積層樹脂粉砕分離装置。
【請求項3】
前記収容体の内側面に、凹凸形状部が構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の積層樹脂粉砕分離装置。
【請求項4】
前記凹凸形状部が、前記収容体の内側面に対して着脱可能に構成されたことを特徴とする請求項3記載の積層樹脂粉砕分離装置。
【請求項5】
前記積層樹脂破砕物の一部を前記収容体の外部へ排出する排出口が前記収容体の上部に形成され、
前記凹凸形状部が、前記収容体の内側面の周囲かつ前記収容体の底面から前記排出口の下端部に亘って設けられたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の積層樹脂粉砕分離装置。
【請求項6】
前記回転体部の内部にエア通路が設けられ、該エア通路に連通するエア供給手段が設けられ、
前記分離刃の下面に、前記エア通路に連通され、前記分離刃の周縁に向かってエアを噴射するための溝部が設けられたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の積層樹脂粉砕分離装置。
【請求項7】
前記収容体の内部の温度を調整可能な温度調節機構が設けられると共に、該温度調節機構が前記収容体の外周部に温度調節用媒体流通部を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の積層樹脂粉砕分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−110452(P2011−110452A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266526(P2009−266526)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】