説明

積層金型装置

【課題】
被加工品の中間部をリフターにより、搬送可能位置迄持ち上げることができ、成形品の中間部が下方に曲がることはなく、品質向上を図ることができる。
【解決手段】
下金型30は突部35を有する一対の下部成形用鋼板31と、一対の下部成形用鋼板31間に配置されるとともに平坦面を有する下部リフター鋼板32Aを備える。上金型40は第1凹部45を有したプレス成形面44を備える、一対の上部成形用鋼板41を備える。上部リフター鋼板42Aは成形面を備えた第2凹部49を有するとともに一対の上部成形用鋼板41間に配置されている。下部リフター鋼板32Aは、金属板の持ち上げ不能位置と、下部成形用鋼板31の突部35よりも上方に位置する搬送可能位置間を移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層金型において、鋼板をプレス成形方向とは直交する方向に積層して構成されたものは従来から公知である(特許文献1)。
図7(a)には、このような積層金型を平面視したものを示す。同図に示すように、積層金型は、プレス成形面102を備えた複数の鋼板100(切り曲げ刃)が積層されている。プレス成形面102には、上方に突出した突起(図示しない)が形成されている。
【0003】
又、積層された複数の鋼板100(切り曲げ刃)を1つの群としたとき、群間には、リフター104A,104Bが配置されている。前記リフター104A,104Bの上端面106は、平坦面に形成されている。なお、図7(a)において、リフター104A,104Bは、明示のためにハッチングが付されている。
【0004】
リフター104A,104Bは、プレス成形後には、鋼板100(切り曲げ刃)よりも上方に相対的に移動して、プレス成形された成形品をリフトアップした状態にするためのものである。なお、図7(a)において、200はホルダである。
【0005】
又、図示はしないが、上金型は、下金型と同様に鋼板100(切り曲げ刃)と対向するプレス成形用の複数の鋼板がプレス成形方向と直交する方向に積層されているとともに、リフター104A,104Bと対向するリフターがプレス成形用の複数の鋼板間に配置されている。
【0006】
前記上金型のプレス成形用の鋼板の下端面(プレス成形面)には、プレス作動時に前記プレス成形面102の突部が嵌入されて一定のクリアランスが介在するように形成された凹部(図示しない)を有する。
【0007】
上記のように構成された従来の積層金型では、両金型を型開きした後に、成形品の両端部及び中央部の複数の部を、下金型のリフター104A,104Bにより持ち上げた状態で、例えば図7(a)に示す矢印方向に移動するようにしている(以下、この技術を、以下、従来技術1という)。そして、従来技術1でプレス成形された成形品において、成形時に上下の積層金型のリフターに面していたところは、リフターにはプレス成形面が設けられていないため、平坦面が形成されたものとなっている。
【0008】
図7(a)で示される積層金型形式の金型により、例えば、図8に示す成形品130が得られる。図7の積層金型において、さらにリフター104Bを複数備えている積層金型により、成形品130において、Aで示される帯状の領域において形成された山形状の突起132,134が形成される、同突起132,134は、各鋼板100(切り曲げ刃)のプレス成形面102により切り曲げ加工されたものである。又、図8の成形品130において、Bで示される帯状の領域は、リフター104Bの平坦面が当接したところである。
【0009】
従来技術1の積層金型では成形品130の端部を持ち上げるリフター104A及び成形品の中央部を持ち上げるリフター104Bによりプレス成形後にリフトアップするようにしていることから、積層金型から成形品を移動する際に、リフターにより支持された成形品の中央部での撓みがなくなる結果、成形品の撓み変形を抑制できることから、高品質のものが得られる利点がある。
【0010】
一方、図9に示す成形品140は、従来技術1の積層金型では得られない成形品の例である。この例では、突起142の列と,突起144の列がそれぞれ隣接して設けられたものである。
【0011】
このような成形品140を得る場合は、従来技術1とは異なり、各鋼板100(切り曲げ刃)間に、平坦面を有するリフターを設けることができないため、図7(b)に示すように、積層金型300の外部に外部リフター210,212が設ける必要がある(従来技術2という)。なお、図7(b)において、従来技術1の構成と同様の部材に関しては、同一符号を付す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−337919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のような従来技術2では、金型の周囲に外部リフターを配置して、リフトアップ時に成形品の周囲を持ち上げるため、成形品の中間部が支えられておらず自重で下方へ曲がってしまい、成型品の品質が落ちる虞がある。特に、大型の成形品の場合、この虞が大きい。
【0014】
本発明の目的は、上記課題を解決して、積層金型の中間部にリフターを設けても、被加工品の該リフターに相対する部位に対して、プレス成形を行うことができ、しかも、成形後は被加工品の中間部を前記リフターにより、搬送可能位置迄持ち上げることができるため、成形品の中間部が下方に曲がることはなく、品質向上を図ることができる積層金型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、下金型及び上金型が、それぞれ複数の鋼板を上下方向と直交する方向にて積層配置されるとともに、型締め及び型開き可能にされたプレス加工用の積層金型装置において、前記下金型の鋼板は、上方に突出した突部を有する第1プレス成形面を備えた少なくとも一対の下部成形用鋼板と、前記一対の前記下部成形用鋼板間に配置されるとともにその上端面に平坦面を有する下部リフター鋼板を含み、前記上金型の鋼板は、型締め時に前記一対の下部成形用鋼板の突部と協働して被加工品を剪断するとともに曲げ加工する第1凹部を有した第2プレス成形面を備える、少なくとも一対の上部成形用鋼板と、型締め時に前記一対の上部成形用鋼板が有する第1凹部の第2プレス成形面と連続するように設けられて、前記被加工品を成形する成形面を備えた第2凹部を有し、かつ、前記一対の上部成形用鋼板間に配置された上部リフター鋼板を含み、前記下金型には、型締め時に前記下部リフター鋼板を、被加工品を持ち上げ不能位置まで下げるとともに、型開き時には前記下部成形用鋼板の突部よりも上方に位置する搬送可能位置まで持ち上げする持ち上げ手段を備えることを特徴とする積層金型装置を要旨としている。
【0016】
上記構成により、一対の下部成形用鋼板間に下部リフター鋼板が設けられていても、型締め時(プレス成形時)には、前記一対の下部成形用鋼板の突部と協働して一対の上部成形用鋼板が、被加工品を剪断するとともに曲げ加工する。又、一対の下部成形用鋼板の突部間に被加工品の部位は、型締め時に、一対の上部成形用鋼板間に介在する上部リフター鋼板の成形面により、成形される。又、型締め時には、下部リフター鋼板は被加工品を持ち上げ不能位置まで下がる。型開き時には、下部リフター鋼板は、下部成形用鋼板の突部よりも上方に前記被加工品を搬送可能位置まで持ち上げする。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1において、前記持ち上げ手段は、前記下部リフター鋼板に対して一体に連結された連結部材と、前記連結部材を上下動する駆動機構を含み、
前記連結部材は、前記下部成形用鋼板に対しては、上下方向に移動自在に貫通されて、型締めのプレス動作時に下動して前記下部リフター鋼板を持ち上げ不能位置まで下げるとともに、型開き時には前記下部成形用鋼板の突部よりも上方に持ち上げて、前記下部リフター鋼板の平坦面にて前記被加工品を持ち上げすることを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明によれば、連結部材が型締めのプレス動作時に下動することにより、下部リフター鋼板を持ち上げ不能位置まで下げることができるとともに、型開き時には下部成形用鋼板の突部よりも下部リフター鋼板を上方に持ち上げて下部リフター鋼板の平坦面にて前記被加工品を持ち上げできる。
【0019】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記一対の下部成形用鋼板の突部は、互いに同じ断面形状に形成され、前記一対の上部成形用鋼板の第1凹部は、互いに同じ断面形状に形成され、前記上部リフター鋼板の第2凹部は、第1凹部と同じ断面形状に形成されていることを特徴とする。なお、本明細書において、断面形状とは、鋼板の積層方向とは直交する平面で切断した場合の形状である。
【0020】
請求項3の発明によれば、一対の下部成形用鋼板の突部は、互いに同じ断面形状であり、一対の上部成形用鋼板の各第1凹同士、及び上部リフター鋼板の第2凹部は互いに同じ断面形状に形成されていることにより、被加工品に成形された突起の断面形状は、鋼板の積層方向に沿った異なる部位のいずれでも同じ形状となる。
【0021】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2において、前記一対の下部成形用鋼板の突部のうち、一方の突部の断面積は、広く形成されるとともに、他方の突部の断面積は狭く形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項4の発明によれば、被加工品に成形された突起の断面形状は、鋼板の積層方向に沿った異なる部位において、異なる断面積を有する形状となる。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記上金型には、型開き時に、前記上部リフター鋼板を下動させて上金型に張り付いた被加工品を引き剥がす引き剥がし手段が設けられていることを特徴とする。
【0023】
請求項5の発明によれば、引き剥がし手段により、型開き時に上金型に張り付いた被加工品を引き剥がすように上部リフター鋼板を下動させる。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、積層金型の中間部にリフターを設けても、被加工品の該リフターに相対する部位に対して、プレス成形を行うことができ、しかも、成形後は被加工品の中間部を前記リフターにより、搬送可能位置迄持ち上げることができるため、成形品の中間部が下方に曲がることはなく、品質向上を図ることができる。
【0025】
請求項2の発明によれば、持ち上げ手段の連結部材により、プレス動作時に下部リフター鋼板を持ち上げ不能位置まで下げることができるとともに、型開き時には下部成形用鋼板の突部よりも下部リフター鋼板を上方に持ち上げて下部リフター鋼板の平坦面にて前記被加工品を持ち上げできる。
【0026】
請求項3の発明によれば、一対の下部成形用鋼板の各突部に設けられた第1プレス成形面は、互いに同じ断面形状であり、一対の上部成形用鋼板の各第1凹部に設けられた第2プレス成形面と、上部リフター鋼板の第2凹部に設けられた成形面は第2プレス成形面と同じ断面形状に形成されていることにより、被加工品に成形された突起の断面形状は、鋼板の積層方向に沿った異なる部位のいずれでも同じ形状にできる。
【0027】
請求項4の発明によれば、被加工品に成形された突起の断面形状は、鋼板の積層方向に沿った異なる部位において、異なる断面積を有する形状とすることができる。
請求項5の発明によれば、引き剥がし手段により、型開き時に上部リフター鋼板が下動することにより、上金型に張り付いた被加工品を引き剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)は、一実施形態の上金型と下金型を配置した概略斜視図、(b)は、積層金型により成形されたワーク。
【図2】(a)、(b)は、積層金型装置による製造工程の説明図。
【図3】(a)、(b)は、積層金型装置による製造工程の説明図。
【図4】(a)は第2実施形態の積層金型の概略斜視図、(b)は積層金型により成形されたワーク。
【図5】(a)は第3実施形態の積層金型の概略斜視図、(b)は積層金型により成形されたワーク。
【図6】(a)は第3実施形態の積層金型の概略斜視図、(b)は積層金型により成形されたワーク。
【図7】(a)、(b)は、従来の積層金型(下金型)の概略平面図。
【図8】成形品の斜視図。
【図9】成形品の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態の積層金型装置を図1〜図3を参照して説明するが、まず、本実施形態の積層金型装置によって製造される成形品を図1(b)を、参照して説明する。なお、成形品を被加工品或いはワークということがある。
【0030】
成形品S(ワーク)は、金属板よりなり、図1(b)に示すように、平板部10と、平板部10から上方に断面山形状に形成された突起11が、第1方向としての長手方向に延出されている。又、本実施形態では、突起11の頂点は、長手方向に延びており、それらの頂点の平板部10からの高さは同一高さを有する。突起11の長手方向の各端は、剪断されて形成された端面を有するとともに、開口12が形成されている。突起11の断面形状、すなわち、長手方向に延出された部位のいずれにおいても、長手方向と直交して切断した場合、その断面形状はいずれも同じ形状となるようにプレス成形されている。
【0031】
図2(a)に示すように、積層金型装置20は、下金型30と、下金型30に対して上方に配置された上金型40を備えている。下金型30は、複数の下部成形用鋼板31と、複数の下部リフター鋼板32とが交互に長手方向に積層されて構成されているとともに、図2(a)に示すように、上方を開放した有底箱状をなすホルダ33内に収納されている。下部成形用鋼板31及び下部リフター鋼板32は同じ厚さを有する。ホルダ33は、ボルスタ39に固定されている。複数の下部成形用鋼板31と、複数の下部リフター鋼板32の積層方向は、プレス加工方向である上下方向と直交する方向である。
【0032】
各下部成形用鋼板31は、ホルダ33に対して一体に固定されるとともに、そのプレス成形面34には、上方に突出した突部35が形成されている。プレス成形面34は第1プレス成形面に相当する。
【0033】
本実施形態では、各下部成形用鋼板31の突部35のプレス成形面34からの高さは、同一とされている。又、各突部35は、本実施形態では、長手方向に頂部が延出されて断面山形状に形成されるとともに、長手方向と直交する第2方向としての短手方向において断面視した断面形状が同一形状になっている。プレス成形面34において前記突部35が形成されていない面は平坦面となっている。下部成形用鋼板31は、突部35を有することにより、切り曲げ刃となる。
【0034】
なお、図1、図2及び図3において、説明の便宜上、下部成形用鋼板31と、下部リフター鋼板32間の摺動のための間隙(クリアランス)は実際のものよりも間隔を開けて図示されているが、実際は通常被加工材の板厚の数%(例えば5%)程度の間隙(クリアランス)の設定がされている。例えば前記板厚を100μmとし、その板厚の5%をクリアランスとしたとき、5μmのクリアランスがあるものと理解されたい。
【0035】
各下部リフター鋼板32の上端面は、平坦面となっており、互いに同一平面上に位置するように設定されている。なお、下部リフター鋼板32のうち、長手方向の中央部に位置する下部リフター鋼板32については、他の下部リフター鋼板32と区別する場合、32の符号にさらにAの符号を付加する。
【0036】
各下部リフター鋼板32は、長手方向に延出した連結部材36により貫通されて一体に連結されている。又、連結部材36は、下部成形用鋼板31に対しては、連結部材36の上下移動を許容する溝31aに貫通されている。図2(a)、(b)及び図3(a)、(b)に示すようにホルダ33の長手方向に位置する一対の側壁には上下方向に延在する溝33aが設けられている。各溝33aは、連結部材36の両端部の上下方向への移動を許容するように挿入されている。
【0037】
前記連結部材36の両端は、駆動機構としての一対の油圧シリンダー37のロッド38に連結されて、各油圧シリンダー37により上下方向に駆動される。両油圧シリンダー37はボルスタ39に固定されている。
【0038】
両油圧シリンダー37の駆動により、連結部材36を介して下部リフター鋼板32は、型開き時のときの上限の搬送可能位置と、型締め時のときの下限の持ち上げ不能位置の間を移動可能となっている。両油圧シリンダー37及び連結部材36により持ち上げ手段が構成されている。
【0039】
搬送可能位置は、下部リフター鋼板32の平坦面が下部成形用鋼板31の突部35よりも上方に位置する位置である。又、持ち上げ不能位置は、下部リフター鋼板32の平坦面が、下部成形用鋼板31の突部35よりも下方に位置する位置である。そして、型締め時のプレス動作時に、この持ち上げ不能位置に下部リフター鋼板32の平坦面が位置したとき、下部成形用鋼板31と上部成形用鋼板41との間、並びに長手方向の中央部に配置した下部リフター鋼板32Aを除く下部リフター鋼板32と、上部リフター鋼板42との間には、成型用のクリアランスを有するように、各部材は設定されている。
【0040】
上金型40は、複数の上部成形用鋼板41と、複数の上部リフター鋼板42とが交互に長手方向に積層されて構成されているとともに、図2(a)に示すように、下方を開放した有蓋箱状をなすホルダ43内に収納されている。上部成形用鋼板41と上部リフター鋼板42は同じ厚さを有している。複数の上部成形用鋼板41と、複数の上部リフター鋼板42の積層方向は、プレス加工方向である上下方向と直交する方向である。
【0041】
各上部成形用鋼板41は、ホルダ43に対して一体に固定されるとともに、その下端面であるプレス成形面44には、上方に凹設した第1凹部45が形成されている。プレス成形面44は、第2プレス成形面に相当する。
【0042】
本実施形態では、各上部成形用鋼板41の第1凹部45のプレス成形面44からの最深部の深さは同一とされている。又、各第1凹部45は、本実施形態では、長手方向に最深部が延出されて、型締め時のプレス動作時に前記下部成形用鋼板31の突部35間で、前記成型用のクリアランスを有するよう形成されるとともに、長手方向と直交する短手方向において断面視した断面形状が同一形状になっている。プレス成形面44において前記第1凹部45が形成されていない面は平坦面となっている。上部成形用鋼板41は、第1凹部45を有することにより、切り曲げ刃となる。
【0043】
なお、図1、図2及び図3において、説明の便宜上、上部成形用鋼板41と、上部リフター鋼板42間の摺動のための間隙(クリアランス)は、実際のものよりも間隔を開けて図示されているが、実際は通常被加工材の板厚の数%(例えば5%)程度の間隙(クリアランス)の設定がされている。例えば前記板厚を100μmとし、その板厚の5%をクリアランスとしたとき、5μmのクリアランスがあるものと理解されたい。
【0044】
ホルダ43の長手方向の両端に近接配置された一対の上部リフター鋼板42の下端面は、平坦面となっており、互いに同一平面上に位置するように設定されている。
長手方向の中央部に位置する上部リフター鋼板42については、他の上部リフター鋼板42と区別する場合、42の符号にさらにAの符号を付加する。
【0045】
上部リフター鋼板42Aの下端の平坦面は、ホルダ43の長手方向の両端に近接配置された一対の上部リフター鋼板42の平坦面と同一平面上に配置されるとともに、同平坦面には、上部成形用鋼板41の第1凹部45と断面が同形状をなす成形面49aを有する第2凹部49が形成されている。
【0046】
第2凹部49は、短手方向において、第1凹部45と同一位置に設けられている。このため、第2凹部49は、第1凹部45と同形状であって、短手方向において、同一の位置に設けられていることにより、第1凹部45を形作る成形面と連続し、かつ被加工品を成形する成形面を備える。
【0047】
各上部リフター鋼板42は、長手方向に延出した連結体46により貫通されて一体に連結されている。又、連結体46は、上部成形用鋼板41に対しては、連結体46の上下移動を許容する溝41aに貫通されている。図2(a)、(b)及び図3(a)、(b)に示すようにホルダ43の長手方向に位置する一対の側壁には上下方向に延在する溝43aが設けられている。各溝43aには、連結体46の両端部が上下方向への移動を許容するように挿入されている。
【0048】
前記連結体46の両端は、一対の油圧シリンダー47のロッド48に連結されて、両油圧シリンダー47により上下方向に駆動される。両油圧シリンダー47の駆動により、連結体46を介して上部リフター鋼板42は、上下動する。
【0049】
両油圧シリンダー47は、ホルダ43とともに上下動可能なスライダ50に固定されている。スライダ50は図示しないプレス機構により、上下移動可能となっている。
油圧シリンダー47及び連結体46は、引き剥がし手段に相当する。 なお、図2(a)に示す型開き時には、上部リフター鋼板42,42Aは、上部成形用鋼板41の下端の平坦面と、下端の平坦面が同一平面上に位置するように、油圧シリンダー47により保持されている。
【0050】
(実施形態の作用)
さて、上記のように構成された積層金型装置20の作用を説明する。
図2(a)には、積層金型装置20が型開きした状態を示しており、上金型40の上部リフター鋼板42,42Aの下端の平坦面が、上部成形用鋼板41の下端の平坦面と、同一平面上に位置する。又、下金型30の下部リフター鋼板32,32Aは、搬送可能位置に位置して、その上端の平坦面が、下部成形用鋼板31の上端の突部35よりも上方の位置に位置する。
【0051】
この状態で、図2(b)に示すように被加工品である平板状の金属板Wを下部リフター鋼板32,32Aの平坦面上に載置する。
次に、下部成形用鋼板31と上部成形用鋼板41間に前記クリアランスを有する位置までスライダ50を下動させる。又、上部リフター鋼板42,42Aが金属板Wに当接すると同時に、各油圧シリンダー37のロッド38を、スライダ50の下動する速度と同速度で同期して持ち上げ不能位置まで移動させて、型締めすることにより金属板Wをプレス成形する。
【0052】
すると、それぞれ相対する突部35と第1凹部45間のクリアランスで許容された形状で、金属板Wは曲げ形成されるとともに、金属板Wにおいて、上部リフター鋼板42と下部リフター鋼板32間で拘束(挟まれた)された部位と、突部35と第1凹部45間で(挟まれた)された部位との間は、剪断加工されて開口12が形成される。
【0053】
又、金属板Wにおいて、突部35と第1凹部45間で拘束された部位では、それぞれ断面山形状に形成される。さらに、前記突部35と第1凹部45で挟まれた部位は、2箇所となり、その2箇所間に位置する部位では、図3(a)に示すように、上面が上部リフター鋼板42Aの第2凹部49に規制されることにより、同様に断面山形形状に曲げ形成される。
【0054】
プレス成形後は、スライダ50を上動させるとともに、スライダ50の上動と同時に油圧シリンダー47と油圧シリンダー37とを同期してスライダ50の上動の速度と同速度で、或いは、遅い速度で上動させる。そして、スライダ50を、図2(a)に示す位置まで移動させるとともに、下部リフター鋼板32,32Aを搬送可能位置に位置するように油圧シリンダー37を駆動する(図3(b)参照)。図3(b)は、スライダ50が上動して、型開きした状態を示している。
【0055】
スライダ50が図2(a)の位置まで、移動した後、油圧シリンダー47のロッド48を下動して、上部リフター鋼板42,42Aを図2(a)、図3(b)の位置から若干下動する。この油圧シリンダー47による下方への駆動により、仮に、成形品Sが上金型40に張り付いていた場合にも、上部リフター鋼板42,42Aが、張り付いていた成形品Sを上金型40から離間させる。下金型30から離間した成形品Sは下金型30の下部リフター鋼板32、32Aが支えることになる。なお、前記のようにロッド48を下動した油圧シリンダー47は、下動させたロッド48を図2(a)、図3(b)の位置まで再度上動させる。
【0056】
一方、下金型30において、図3(b)の状態では、下部リフター鋼板32、及び下部リフター鋼板32Aの平坦面は、突部35よりも上方にある。このため、成形品Sにおいて、ワーク送り方向(図3の矢印方向)の両端(長手方向の両端)は、下部リフター鋼板32に支えられるとともに、ワーク送り方向の中央部は、下部リフター鋼板32Aの平坦面に支えられて、成形品Sの中央部の自重による下方への弛み変形が防止される。この状態で、金属板W(平板部10)は、矢印方向へ搬出される。
【0057】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の積層金型装置20では、下金型30の鋼板は、上方に突出した突部35を有するプレス成形面34(第1プレス成形面)を備えた一対の下部成形用鋼板31と、一対の下部成形用鋼板31間に配置されるとともにその上端面に平坦面を有する下部リフター鋼板32Aを備えている。
【0058】
又、上金型40の鋼板は、型締め時に一対の下部成形用鋼板31の突部35と協働して金属板W(被加工品)を剪断するとともに曲げ加工する第1凹部45を有したプレス成形面44(第2プレス成形面)を備える、一対の上部成形用鋼板41を備えている。又、型締め時に一対の上部成形用鋼板41の第1凹部45のプレス成形面44と連続するように設けられて、金属板W(被加工品)を成形する成形面を備えた第2凹部49を有し、かつ、一対の上部成形用鋼板41間に配置された上部リフター鋼板42Aを備えている。
【0059】
さらに、下金型30には、型締め時に下部リフター鋼板32Aを、金属板W(被加工品)を持ち上げ不能位置まで下げるとともに、型開き時には下部成形用鋼板31の突部35よりも上方に位置する搬送可能位置まで持ち上げする油圧シリンダー37及び連結部材36(持ち上げ手段)を備える。
【0060】
この結果、本実施形態によれば、積層金型の中間部にリフターを設けても、被加工品の該リフターに相対する部位に対して、プレス成形を行うことができ、しかも、成形後は成形品の中間部を下部リフター鋼板32A(リフター)により、搬送可能位置迄持ち上げることができるため、成形品の中間部が下方に曲がることはなく、品質向上を図ることができる。
【0061】
(2) 本実施形態の積層金型装置20では、持ち上げ手段は、下部リフター鋼板32Aに対して一体に連結された連結部材36と、連結部材36を上下動する油圧シリンダー37(駆動機構)から構成されている。又、連結部材36は、下部成形用鋼板31に対しては、上下方向に移動自在に貫通されて、型締めのプレス動作時に下動して下部リフター鋼板32Aを持ち上げ不能位置まで下げるとともに、型開き時には下部成形用鋼板31の突部35よりも上方に持ち上げて、下部リフター鋼板32Aの平坦面にて成形品S(被加工品)を持ち上げする。この結果、本実施形態によれば、連結部材36により、プレス動作時に下部リフター鋼板32Aを持ち上げ不能位置まで下げることができるとともに、型開き時には下部成形用鋼板31の突部35よりも下部リフター鋼板32Aを上方に持ち上げて下部リフター鋼板32Aの平坦面にて成形品S(被加工品)を持ち上げできる。
【0062】
(3) 本実施形態の積層金型装置20では、一対の下部成形用鋼板31の突部35は、互いに同じ断面形状に形成され、一対の上部成形用鋼板41の第1凹部45は、互いに同じ断面形状に形成され、上部リフター鋼板42Aの第2凹部49は、第1凹部45と同じ断面形状に形成されていることにより、成形品S(被加工品)に成形された突起11の断面形状は、鋼板の積層方向に沿った異なる部位のいずれにおいても同じ形状にできる。
【0063】
(4) 本実施形態では、ホルダ33の長手方向の両端に近接して下部リフター鋼板32がそれぞれ設けられるとともに、下部リフター鋼板32Aと協働して、型開き時に被加工品を持ち上げすることができる。この結果、本実施形態では、ホルダ33の外部において、外部リフターを省略できるため、被加工品の離型できる製品サイズが制約を受けることがなく、すなわち、外部リフターに相対させるために、ワーク送り方向において、長くする必要がなく、送り量を多くでき、生産性効率が向上できる。
【0064】
なお、外部リフターを設けた場合、特に、従来技術2では、各鋼板100(切り曲げ刃)の外部に外部リフターを設けるため、ワーク(素材)の離型できる製品サイズが制約される。すなわち、外部リフターに相対するため、ワーク送り方向において、長くする必要があり、送り量を多くすることができず、生産性効率が落ちる問題がある。
【0065】
(5) 本実施形態では、上金型40には、型開き時に、上部リフター鋼板42,42Aを下動させて上金型40に張り付いた成形品S(被加工品)を引き剥がす油圧シリンダー47及び連結体46(引き剥がし手段)が設けられている。
【0066】
この結果、油圧シリンダー47及び連結体46により、型開き時に上部リフター鋼板42,42Aが下動することにより、上金型40に張り付いた成形品S(被加工品)を引き剥がすことができる。 (他の実施形態)
次に、他の実施形態を図4〜図6を参照して説明する。
【0067】
まず、第2実施形態〜第4実施形態において、第1実施形態と異なる概略構成を説明する。
なお、以下の実施形態において、第1実施形態で説明した構成と同一、又は相当する構成については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。図4(a)、図5(a)、及び図6(a)は、図1(a)の相当図である。
【0068】
第1実施形態では、一対の下部成形用鋼板31にそれぞれ設けた突部35の断面形状は互いに同形状としたが、図4、図5、図6の第2〜第4実施形態では、相互の突部35の断面山形形状の大きさが異なるとともに、その断面積は、一方の突部が広く、他方の突部が狭くした形状となっている。説明の便宜のために断面積が大きい突部には35Aを付し、断面積が小さい突部には35Bを付す。なお、本明細書において、断面積とは、鋼板の積層方向とは直交する平面で対象物を切断した場合の断面の面積のことである。
【0069】
又、一対の突部の断面積の大小関係に合わせて、一対の第1凹部においても断面積(正確には凹部が区画する空間の断面積)が広い方に45Aを付すとともに、断面積(正確には凹部が区画する空間の断面積)が狭い方に45Bを付す。
【0070】
(第2実施形態)
図4(a)の第2実施形態では、突部35A,35Bは、相互にその高さを同じとした断面山形形状としているが、突部の基端における短手方向の長さを異ならしめている。又、本実施形態では、第1凹部45A,45Bの最深部の深さは相互に同じとしているが、平坦面と凹部の基端縁部の短手方向の長さが、突部35A,35Bに合わせて異ならしめている。
【0071】
又、上部リフター鋼板42Aの下端面に設けられている第2凹部49において、第1凹部45Aに隣接した部位は、第1凹部45Aの断面形状と同一形状にされており、一方、第1凹部45Bに隣接した部位は、第1凹部45Bの断面形状と同一形状にされている。そして、第2凹部49におけるプレス成形面は、第1凹部45Aの断面形状と同一形状の部位から、第1凹部45Bの断面形状と同一形状の部位まで連続して滑らかな面で連続するように形成されている。そして、型締め時には、上金型40と下金型30との間には、第1実施形態で説明した成型用のクリアランスが生ずるように配置される。
【0072】
このように第2凹部49が形成されることにより、図4(b)に示すように成形品S(被加工品)には、異なる断面形状を有する突起11を形成することができる。
(第3実施形態)
図5(a)の第3実施形態では、突部35A,35Bは、相互にその高さを異ならしめた断面山形形状としているが、突部の基端における短手方向の長さを同じとしている。又、本実施形態では、第1凹部45A,45Bの最深部の深さは、突部35A,35Bに合わせて相互に異ならしめているが、平坦面と凹部の基端縁部の短手方向の長さが、突部35A,35Bに合わせて同じとしている。
【0073】
又、上部リフター鋼板42Aの下端面に設けられている第2凹部49において、第1凹部45Aに隣接した部位は、第1凹部45Aの断面形状と同一形状にされており、一方、第1凹部45Bに隣接した部位は、第1凹部45Bの断面形状と同一形状にされている。そして、第2凹部49におけるプレス成形面は、第1凹部45Aの断面形状と同一形状の部位から、第1凹部45Bの断面形状と同一形状の部位まで連続して滑らかな面で連続するように形成されている。そして、型締め時には、上金型40と下金型30との間には、第1実施形態で説明した成型用のクリアランスが生ずるように配置される。
【0074】
このように第2凹部49が形成されることにより、図5(b)に示すように成形品S(被加工品)には、異なる断面形状を有する突起11を形成することができる。
(第4実施形態)
図6(a)の第4実施形態では、突部35Aの高さ及び突部が隆起している基端における短手方向の長さは、突部35Bの高さ及び突部が隆起している基端における短手方向の長さよりも大きくしている。又、本実施形態では、第1凹部45Aの最深部の深さ、及び平坦面と凹部の基端縁部の短手方向の長さを、第1凹部45Bの最深部の深さ、及び平坦面と凹部の基端縁部の短手方向の長さよりも大きくしている。
【0075】
又、上部リフター鋼板42Aの下端面に設けられている第2凹部49において、第1凹部45Aに隣接した部位は、第1凹部45Aの断面形状と同一形状にされており、一方、第1凹部45Bに隣接した部位は、第1凹部45Bの断面形状と同一形状にされている。そして、第2凹部49におけるプレス成形面は、第1凹部45Aの断面形状と同一形状の部位から、第1凹部45Bの断面形状と同一形状の部位まで連続して滑らかな面で連続するように形成されている。そして、型締め時には、上金型40と下金型30との間には、第1実施形態で説明した成型用のクリアランスが生ずるように配置される。
【0076】
このように第2凹部49が形成されることにより、図6(b)に示すように成形品S(被加工品)には、異なる断面形状を有する突起11を形成することができる。
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
【0077】
・ 第1実施形態では、型開き時に、下部リフター鋼板32の上下動させる駆動機構として油圧シリンダー37としたが、駆動機構は油圧シリンダー37に限定するものではない。駆動機構としては、例えば、空圧シリンダにより構成したり、或いは駆動モータ等により構成してもよい。駆動モータを駆動機構とする場合は、連結部材36にラックを一体に連結するとともに、前記ラックに噛合するピニオンを前記駆動モータにより正逆回転させる構成とすることも可能である。
【0078】
・ 第1実施形態では、下部成形用鋼板31及び下部リフター鋼板32を交互に配置し、上部成形用鋼板41及び上部リフター鋼板42を交互に配置したが、これらの部材を交互に配置することに限定するものではない。一対の下部成形用鋼板31間に、2枚以上の下部リフター鋼板32を配置するようにし、かつ、一対の上部成形用鋼板41間に、2枚以上の上部リフター鋼板42を配置するようにしてもよい。この場合、下部成形用鋼板31と41の厚さを同一とし、下部リフター鋼板32と上部リフター鋼板42の厚さを同一のものとする。
【0079】
又、2枚以上を積層した下部成形用鋼板31を1つの群としたとき、2群の下部成形用鋼板31間に、下部リフター鋼板32を積層し、同様に2枚以上を積層した上部成形用鋼板41を1つの群としたとき、2群の上部成形用鋼板41間に、上部リフター鋼板42を積層するようにしてもよい。
【0080】
・ 第1実施形態、及び他の実施形態では突部35を有する下部成形用鋼板31は一対しか設けていないが、一対に限定するものではない。
対の関係を有する下部成形用鋼板31を複数対、積層配置するとともに、各対の間にそれぞれ下部リフター鋼板32Aを配置するようにしてもよい。
【0081】
このようにして、各対の間に下部リフター鋼板32Aに配置すれば、被加工品を安定して支えることも可能となるため、第1実施形態とは異なり、ホルダ33の長手方向の両壁に近接配置した下部リフター鋼板32を省略することもできる。
【0082】
・ 前記各実施形態では、突部35は、1つの下部成形用鋼板31に対して1つしか設けていないが、1つの下部成形用鋼板31に対して、その上端面に適宜のピッチで、例えば、長手方向とは直交する短手方向に沿うように複数形成するようにしてもよい。この場合、上部成形用鋼板41の下端面において、突部35と相対する各部位には、それぞれ第1凹部45を形成するものとする。
【0083】
・ 前記各実施形態では、第1方向を長手方向とし、第2方向を短手方向とした。これに代えて、第1方向を短手方向とし、第2方向を長手方向とすることにより、前記実施形態で各方向を基準にして述べた構成を、逆にした構成としてもよい。
【0084】
・ 第1実施形態では、ホルダ33の外部に外部リフターを設けなかったが、ホルダ33の外部に外部リフターを設ける構成としてもよい。この場合は、第1実施形態の(4)の効果を奏することはできないが、これでもよい。
【0085】
・ 前記実施形態では、引き剥がし手段が、型開き時に上部リフター鋼板を下動させることにより、上金型に張り付いた被加工品を引き剥がすようにしたが、型開き時に、成形品Sが上金型40に張り付くことがない場合には、引き剥がし手段を省略してもよい。この場合は、上部リフター鋼板42,42Aは、上部成形用鋼板41とともに、一体に上下動するように連結するものとする。
【符号の説明】
【0086】
20…積層金型装置、30…下金型、31…下部成形用鋼板、
32…下部リフター鋼板、32A…下部リフター鋼板、
33…ホルダ、34…プレス成形面、35,35A…突部、
36…連結部材、37…油圧シリンダー、38…ロッド、
40…上金型、41…上部成形用鋼板、42,42A…上部リフター鋼板、
43…ホルダ、44…プレス成形面、45、45A,45B…第1凹部、
46…連結体、49…第2凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下金型及び上金型が、それぞれ複数の鋼板を上下方向と直交する方向にて積層配置されるとともに、型締め及び型開き可能にされたプレス加工用の積層金型装置において、
前記下金型の鋼板は、上方に突出した突部を有する第1プレス成形面を備えた少なくとも一対の下部成形用鋼板と、前記一対の前記下部成形用鋼板間に配置されるとともにその上端面に平坦面を有する下部リフター鋼板を含み、
前記上金型の鋼板は、型締め時に前記一対の下部成形用鋼板の突部と協働して被加工品を剪断するとともに曲げ加工する第1凹部を有した第2プレス成形面を備える、少なくとも一対の上部成形用鋼板と、
型締め時に前記一対の上部成形用鋼板が有する第1凹部の第2プレス成形面と連続するように設けられて、前記被加工品を成形する成形面を備えた第2凹部を有し、かつ、前記一対の上部成形用鋼板間に配置された上部リフター鋼板を含み、
前記下金型には、型締め時に前記下部リフター鋼板を、被加工品を持ち上げ不能位置まで下げるとともに、型開き時には前記下部成形用鋼板の突部よりも上方に位置する搬送可能位置まで持ち上げする持ち上げ手段を備えることを特徴とする積層金型装置。
【請求項2】
前記持ち上げ手段は、前記下部リフター鋼板に対して一体に連結された連結部材と、前記連結部材を上下動する駆動機構を含み、
前記連結部材は、前記下部成形用鋼板に対しては、上下方向に移動自在に貫通されて、型締めのプレス動作時に下動して前記下部リフター鋼板を持ち上げ不能位置まで下げるとともに、型開き時には前記下部成形用鋼板の突部よりも上方に持ち上げて、前記下部リフター鋼板の平坦面にて前記被加工品を持ち上げすることを特徴とする請求項1に記載の積層金型装置。
【請求項3】
前記一対の下部成形用鋼板の突部は、互いに同じ断面形状に形成され、
前記一対の上部成形用鋼板の第1凹部は、互いに同じ断面形状に形成され、
前記上部リフター鋼板の第2凹部は、第1凹部と同じ断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層金型装置。
【請求項4】
前記一対の下部成形用鋼板の突部のうち、一方の突部の断面積は、広く形成されるとともに、他方の突部の断面積は狭く形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層金型装置。
【請求項5】
前記上金型には、型開き時に、前記上部リフター鋼板を下動させて上金型に張り付いた被加工品を引き剥がす引き剥がし手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の積層金型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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