説明

積荷を搬送体に自動的に積込むシステム及び方法

本発明は、搬送体に対して積荷の自動積込み及び積下ろしを遂行する方法及びシステムに関する。この搬送体に近接する位置までの走行のために第1の誘導システムが用いられ、搬送体への走行のために第2の誘導システムが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品処理車両に関し、特に、トラクター、軌道カー、平床式トレーラあるいは船積み用コンテナなどの搬送体(トランスポート)に対して積荷(ロード)の積込み(ローディング)及び積下ろし(アンローディング)を自動的に遂行し得る自動案内車両(AGV)に関する。
本願は、2004年5月3日付で出願された米国特許予備出願の出願番号第60/567,729の権益を引継ぎ、該予備出願に開示の内容は本願の一部を構成する。
【背景技術】
【0002】
自動案内車両(AGV)は、積荷(ロード)搬送のために種々の物品処理の工業分野において用いられている。この自動案内車両(AGV)とは、一般に複数の自動誘導システムないし装置を搭載した頑丈な車両構造のものを指す。他方、自動案内カート(AGC)は同様の目的を有するが、その適用範囲が限られるとともに、より構造が簡素な車両構造のものを指す。しかし、本願において用いられる用語「自動案内車両」は、上記両方の車両、AGV,AGCを含むとともに、更に自動案内される種類の他の車両をも含む意味に解される。
【0003】
現今の自動案内車両は、そのフレームの四隅に旋回脚輪を一般に備えているのが特徴であり、他の特徴は、カートの方向制御のための固定の脚輪及び駆動ホイールを備えていることである。その一つの例として、2つの固定脚輪がフレームに取着されるとともにカートフレームの各側において旋回脚輪の間のほぼ中央位置に配置される。これら旋回脚輪の2対の支軸及び固定脚輪の支軸はおおむね互いに平行をなす。カートフレームには操縦可能な駆動ユニットないし装置が設けられ、これはヒンジ結合されるとともにカートフレームからバネ負荷されたプレートにより取付けられ、これによって該操縦可能な駆動ホイールが支持面に対して適切な粘着摩擦を維持するようになっている。又、他の例では、固定された駆動ホイールが自動案内車両を推進し、操縦可能な脚輪用ホイールが該車両の運動を方向付ける構造となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動案内車両はその運動を制御する誘導システムないし装置を備えている。今日使用されている誘導システムとしては、ワイヤー誘導、レーザー誘導、磁気テープ誘導、オドメータ誘導、慣性誘導及び光学誘導などがあるが、それらは各々利点もあれば欠点もある。例えば、慣性誘導は追跡(トラッキング)エラーを生じ易く、自動案内車両によって測定された走行距離と方向が実際の走行距離と方向とは異なることがある。このエラーを最小限にすることは可能であるが、長い走行距離の間にそれが大きくなるので、このエラーを例えば、中間点指示マーカー(磁気ペイント、無線周波数同一確認(RFID)タグ等)を利用して、指定通路に沿って調整しなければならない。
【0005】
レーザー誘導システムでは、自動案内車両が検出する特別のマーカーを用い、これによって走行制御を行なう。しかし、この型式のシステムはマーカーのトラブルが起き易い問題がある。特に注目すべきことは該マーカーは走行時のいかなる周囲状況においても存在することが求められることである。もし、自動案内車両の走行通路が変更された場合、これらマーカーも物理的に移動しなければならない。従って、この種の誘導システムを備えた自動案内車両は、このような特別のマーカーがある領域においてしか走行できないのであり、積込みあるいは積下ろしがなされるいずれの搬送体にも、これらマーカーを必要とする問題がある。
【0006】
搬送体の自動的な積込み及び積下ろしに係る1つの困難な点は、固定の積込みドック位置に対する搬送体の位置の変化である。トラックの場合、搬送体は、
例えばドライバーによって手動で位置付けられるのが通常である。しかし、この手動による位置付けは、搬送体の位置において感得されない変化を結果として招くことになる。例えばドライバーがトレーラを積込みドックに位置付けても該トレーラがドックのドアに対して完全に合致させることは困難である。従って、トレーラがドックのドアに対して傾斜(スキュー)した角度状態になることとなり、その傾斜角度が不明であるとともにドックでの角度位置が変化し得るので、自動案内車両は、このトレーラの傾きを検出及び補償し得ず、トレーラ内の積荷を効果的に案内し分配することになるのである。公知の構成では、この問題を解決するために、スキッドプレートを用い、積込みドックに対する搬送体の位置を決めているが、これはコストがかかるとともにその効果も不十分である。
【0007】
搬送体の自動積込み及び積下ろしに関連した他の困難な点は、自動案内車両が搬送体とドックとの間の高さの違いを克服しなければならないことである。搬送体は種々の型式のものがあり、又、同じ型式の搬送体でも種々の仕様のものがあって、高さがまちまちである。更に、一つの特定の搬送体の高さも一定ではない。搬送体としてのトレーラに積込みがなされると、サスペンションが圧縮されるので、その高さが変化するのである。確実な動作をなすために、自動案内車両は搬送体の高さ変化、すなわち、搬送体とドックとの間の変動する高さの違いに対応して作動する構成としなければならない。この問題の解決のために従来構成では、流体圧作動装置あるいはジャッキ等を用いて搬送体の高さ位置の調整ならびに安定をはかるものが見られるが、これもコスト高となるとともに十分な効果も上げられない問題があった。
【0008】
ドックと搬送体の間に積込み用ランプを用いるものも見られ、これはドックと搬送体の間の受渡しを容易にするのに用いられる。しかし、これら両者の間の傾斜が険しい上り勾配あるいは下り勾配となる場合は積荷の誘導が困難となる。例えば、レーザー誘導システムを用いた自動案内車両では、それが上向き、あるいは下向きに移動する際にレーザーがそのターゲットの上又は下を指すこととなって、該ターゲットを見失う恐れがある。
【0009】
このような搬送体の位置の変化がトラックの自動積込み作業を困難にする恐れがあるとともに、少なくともその作業効率を低下させる問題がある。例えば、最も効率的な積込みとして、複数の積荷を互いに極力近接させて位置付ける方法があるが、搬送体の予想される位置の変化により、これら積荷の分離を増大させる傾向がある。
【0010】
自動案内車両を制御する誘導システムの使用にも拘わらず、搬送体からの積荷の積込みや積下ろしの処理において、これら誘導システムを使用しても未だ満足のいく効果が得られなかった。
【0011】
上記諸問題に鑑みて、搬送体の自動積込み及び積下ろしのために種々の誘導システムの使用を効果的に組合せ構成の自動案内車両が求められる。特に、搬送体が予定された位置にない場合でも積荷の積込み及び積下ろしを確実になし得る自動案内車両が求められる。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0012】
本発明は、上記諸問題を解決するためになされたものであり、自動案内車両によって搬送体に積荷の積込み及び積下ろしを効果的になし得、上述の要求を満足する新規な方法及びシステムないし装置を提案するものである。本発明において、自動案内車両がまず積荷と係合するとともに、次いで、この係合した積荷とともに第1の誘導システムによって既知の位置まで案内される。この位置から第2の誘導システムが作動して該自動案内車両を搬送体上の積荷が配置された適切な所望積荷位置まで案内する。次いで、第2の誘導システムは、該自動案内車両を、おおむね上述の既知の位置まで戻すように案内する。ここにおいて、第1の誘導システムは自動案内車両の走行制御を再開する。
【0013】
本発明の他の具体的構成において、自動案内車両がまず積荷と係合し、次いで係合した積荷とともに誘導システムにより既知の位置まで案内される。この位置から該誘導システムが搬送体上の適切な所望位置を確定し、調整して自動案内車両を積荷とともに、その適切な位置に案内するとともに該積荷を配置する。次いで、調整された誘導システムが用いられて自動案内車両をおおむね上述した既知の位置まで戻し、ここにおいて、最初に調整された誘導システムが自動案内車両の制御を再開する。
【0014】
本発明の特徴、利点及び適用可能性は、特許請求の範囲の記載及び以下に図面を参照して説明する発明の実施形態より更に明らかになる。尚、本発明は開示の実施形態に限定されず、種々の変形例をも包含し得るものである。
【0015】
図1,2,3,4a〜4dには、本発明に係る自動案内車両10が示されている。但し、本発明において搬送体に積荷を自動的に積込む作業及び積下ろす作業は、図示の自動案内車両以外の構造のものにも適用可能である。すなわち、本発明は、種々の構造の自動案内車両ならびに他の物品処理用車両にも適用可能である。
【0016】
この自動案内車両10は、該車両を操縦するための操縦機構及び駆動するための駆動機構を備えている。図示のように、操縦及び駆動機構は、駆動ホイール12と操縦可能なホイール14を有し、これらホイールは誘導システムに連結されているとともに該車両10の駆動及び操縦のために用いられる。誘導システムは、自動案内車両10が推進される際に操縦可能ホイールを旋回させて該車両10を操縦する。駆動ホイール12は、電気的差動を形成するように直列に接続された二重駆動ホイールで構成するのが望ましい。又、差動推進システムを用いても良い、例えば、駆動ホイールのためのマスター/スレーブモータ・コントローラの使用を介して、あるいは旋回脚輪を備えた差動又はパンツアー(panzer)操縦システムである。
【0017】
この誘導システム自体としては、公知の種々の誘導システムの内の1つを用いることができる。好ましい実施形態において、以下に詳述するように2つの誘導システムを用いる。当該システムはプログラムされた走行路を使用する。操縦可能なホイール14の位置は既に定められているとともに操作して動かすことができる。自動案内車両10が走行する距離及び方向は、追跡ホイール(track wheel)によって測定されるが、該ホイール以外のものでもよい。この追跡ホイールと共働して、あるいはこれとは別途に操縦用エンコーダ及び各駆動ホイール上のエンコーダを備えたシステムを用いてもよく、これによって自動案内車両10の走行距離及び方向を追跡する。該車両10が走行する際、操縦可能なホイール14が所定ないし任意の距離のところで所定ないし任意の位置に向けて旋回される。このようにして、自動案内車両10は、該操縦可能なホイール14の位置を特定すること、及びその位置まで走行した距離を特定することにより、殆どの走行面の全体にわたって走行するのに使用可能である。この詳細な記述は図面のみで与えられるが、主たる誘導システムとして、例えばレーザー誘導システムなど、種々の型式の誘導システムの使用は、本発明の教示内容及び範囲に入る。
【0018】
又、自動案内車両10は、図示のように好ましくは対をなすフォーク(以下、フォーク対)16あるいはクランプなどの積荷捕捉機構を備える。該捕捉機構により該車両10は積荷と係合する。積荷は、フォーク対16と係合するためにパレットと通常一体となったフォーク・ポケットを含む。この構成自体は公知である。フォーク対16は昇降機構18により縦方向ないし上下方向に、その高さ位置が調整可能となっている。該昇降機構18により積荷は上昇又は下降した種々の高さ位置に運ばれ積荷相互の積み重ねがなされる。好ましい実施形態において、自動案内車両10は更に2組の距離センサ、後部距離測定装置及び前部距離測定装置30を備える。両距離測定装置20,30は、操縦及び駆動機構に作動連結され、以下に更に詳述するように、自動案内車両10を案内するのに用いられる。
【0019】
上述した積荷捕捉機構は、側方シフト機構22によって水平方向に、係合した積荷をシフトないし移動可能である。図3に示す好ましい実施形態において、昇降機構18には2つのフォーク対16が備えられ、各フォーク対16は分離したフォーク・キャリッジ17に取付けられ、各フォーク・キャリッジ17は昇降機構18に取付けられている。昇降機構18によってフォーク・キャリッジ17はフォーク対16及び/又は積荷を必要に応じて縦方向に位置付けるように動作する。又、フォーク・キャリッジ17は縦スライド部材15上に取付けられるとともに流体圧作動装置を備え、これにより各フォーク対16について個々に6インチ(15.24cm)持ち上げる能力を有する。この個別の持ち上げ動作により自動案内車両10は走行して、そのフォーク対16を隣接する一対の積荷に対して位置付けることができる。フォーク対16の一方のみを6インチ(15.24cm)持ち上げることにより、自動案内車両10が単一の積荷を隣接する一対の積荷から取り上げることができる。側方シフト機構22を伴う同様な動作によって、自動案内車両10は、2つの積荷を互いに横に並べた状態に配置したり、あるいはこれら積荷を単一箱型収容ラック内に配置することができる。フォーク・キャリッジ17はチェーン25により所望位置に引かれる。好ましい実施形態において、キャリッジ側レール26がフォーク・キャリッジ17の中央位置を越えて走行させ、自動案内車両10がその中央位置に積荷を落下させることを可能とする。これを行なうために、1つのフォーク対16が一側に移動ないしシフトするとともに通路より外れ、これによって他方のフォーク対16が自動案内車両10の中央に位置することが許容される。
【0020】
積荷が積荷捕捉機構によって自動案内車両10と係合したとき、該車両10の前後方向の走行動作ならびに昇降機構18と関連する側方シフト機構22により、積荷は3次元の全ての方向において位置の調整が可能となる。図1に示す好ましい実施形態において、各フォーク対16は、矢印30で示すように水平方向に独立して移動可能である。又、各側方シフト機構22は、フォーク対16の移動を追跡するエンコーダ23をそれぞれ備える。これらエンコーダ23は、水平方向におけるフォーク対16の位置及び位置の変化速度の両方を追跡することができる。これらエンコーダ23は自動案内車両10の誘導システムと共働するとともにフォーク対16を正しく位置付けるのに用いられる。フォーク対16の水平方向の移動ないしシフト動作は、以下に記述する搬送体に積荷を積込む動作に関連して更に説明する。
【0021】
上述の自動案内車両10は、搬送体50に積荷を自動的に積込む、あるいは積下ろしするのに使用される。この動作過程は、工場内の積込みドック位置に格納された運搬トレーラについて説明するが、これと同様の動作は、例えば平床式トレーラや軌道カーなどの搬送体についても適用される。
【0022】
搬送体への自動積込み動作
搬送体50に積荷を自動的に積込むために、自動案内車両10は、上述したように、好ましい実施形態において、まず積荷と係合しなければならない。この係合は、通常パレットと一体をなす積荷のフォーク・ポケットと合致した自動案内車両のフォーク対16の使用によって、又、積荷を地面(グラウンド)より持ち上げる昇降機構18の使用によって遂行される。フォーク・ポケットに対するフォーク対16の合致は難しい動作であり精密さを要する。そのために好ましくは、該積荷が比較的精度の高い既知の位置ないし場所に位置付けられる。次いで、自動案内車両10の誘導システムがこの既知の位置で該積荷に対応するようにプログラムされる。これによって、フォーク対16及びフォーク・ポケットは互いに合致する。もし、積荷を精度の高い既知の位置に配置するのが実際上、困難な場合、自動案内車両によって積荷積込みをより広い領域とするように変更することも可能である。例えば、フォーク対16の端部又はその近傍に光学センサをそれぞれ配置して積荷のフォーク・ポケットを検出するのに用いることができる。そして、自動案内車両10が積込み位置に近づいてきたとき、これらの光学センサによりフォーク・ポケットを見出した際に動作させることができる。フォーク・ポケットの検出位置に基づいて、自動案内車両10は、その走行通路を調整ないし変更するか、あるいはフォーク対16とフォーク・ポケットが対応するように、フォーク対16が側方シフト機構22によって調整される。これによって、より確実かつ安定した動作を保証する。このために追加的部材を必要とする従来の構成では、よりコストがかかるとともに動作の正確度合いも劣ることとなる。
【0023】
自動案内車両10に積荷が積込まれると、該車両10が工場内の積込みドック領域へ走行する。この実施形態においては、搬送体50は運搬トレーラであるが、該トレーラは積込みドックの隣接位置に配置される。場合によっては、該ドックから搬送体50への自動案内車両10の走行を容易にするために積込みランプが用いられる。このランプは2つの異なる面の間での自動案内車両10の移行(トランジション)を容易にするように構成されている。この移行がいくらか平坦でない場合は、もし使うとすれば追跡ホイールが必要となろう。これにより損傷を回避するために押し上げられるとともに不作動状態にする。
【0024】
自動案内車両10は、搬送体50に対して、その主たる第1の誘導システムを用い、積荷を積込みドック及び搬送体50の近傍ないし近接した位置に搬送する。
好ましい実施形態において、自動案内車両10は、その主たる第1の誘導システムを用いて、搬送体50の開口52の入口部に移動する。この地点で、該車両10の第2の誘導システムが作動して該車両10が意図した所望の積込み位置へ案内される。この実施形態において、第2の誘導システムは、上述した2組の距離測定装置20,30を備える。後部距離測定装置20は、該車両10が前進するときに動作し、前部距離測定装置30は、該車両10が後進するときに動作するようになっている。これら距離測定装置は、アナログ音響センサで構成されるが、これに代えて、光学/ビジョンシステムや可動ビーム型のレーザー・スキャナ、レーザー型のものを用い得る。各組の距離測定装置は、自動案内車両10が搬送体50の中央を求めて移動するように動作する。これは、この装置のセンサを用いることにより達成されるが、そのセンサは、1つのセンサから搬送体50の一側54までの距離を他のセンサから搬送体50の他側54までの距離から減算し、+/−エラー信号を形成するように作動する。この+/−エラー信号は自動案内車両10の操縦機構によって使用され、該+/−エラー信号をゼロに近づけさせるために、自動案内車両を適切な方向へと案内する。このようにして自動案内車両10は搬送体50の中央を求めるように移動するので、これにより、積込みドックに対する搬送体50の位置付けにおいて傾斜(スキュー)ないし位置の外れを補償することができる。もし、積込みがなされる搬送体50が既知の幅のものであれば、各組において1つのみのセンサを使用し得る。この実施形態において、1つのセンサからの距離は、+/−エラー信号を得るために、搬送体50の中央にある自動案内車両10と関連する既知の距離から減算されるべきであり、それは自動案内車両10の操縦機構により用い得、+/−エラー信号をゼロに近づけるようにするために自動案内車両10を適切な方向に案内する。他の実施形態において、自動案内車両10は搬送体の中央を求める追跡動作を行なわないが、搬送体50の一方の側54から特定の距離を維持する。
【0025】
自動案内車両10は第2の誘導システムにより意図された所望の積荷位置へ案内される。この意図された所望積荷位置は、搬送体50の最前の非占有部であるのが望ましい。実施形態において、自動案内車両10は、搬送体50の端部56又は該搬送体50上に予め積込まれた積荷が検出されるまで、搬送体50のおおむね中央に向かって前進を継続する。この検出は、適宜構成された圧力センサ等により行なわれる。すなわち、圧力センサはフォーク対16の一端部に配置され、搬送体50の端壁56又は他の積荷との接触を検出する。あるいは、好ましい実施形態において、該圧力センサは、フォーク対16の他端部に配置され、積荷自体が端壁56又は他の積荷と接触したときに該積荷に作用する。自動案内車両10は意図する所望積荷位置に近づくと、その移動速度を低下させ、該車両10のモータの駆動電流をモニターすることによって、搬送体50の一端部ないし端壁56と積荷との接触ないし衝突あるいは他の積荷との接触ないし衝突を検出する。例えば、比較的不動の対象物が自動案内車両10に接触したとき、走行抵抗が増大するので、該車両10の電動モータに供給される電流を同様に増大する。電流の増大は積荷がその意図する所望積荷位置に達したことの指標として用い得る。
【0026】
自動案内車両が意図した積荷位置に達すると、該車両10は積荷を他へ引渡す動作を遂行する。すなわち、好ましい実施形態において、この動作は、積荷を昇降機構18によって搬送体50上に下降させる動作及びフォーク対16をフォーク・ポケットから離脱させる動作である。積荷を引渡す動作ステップは、その前に側方シフト機構22によって搬送体50の一側に向かって外方向にフォーク対16を係合した積荷とともに移動ないしシフトさせる動作をも含む。好ましい実施形態において、積荷は2つの独立したパレットよりなり、その各々は図1に示すフォーク対16の1つと係合する。この実施形態において、自動案内車両10が該車両10の走行方向における意図した所望、積荷位置に達しようとするとき、側方シフト機構22がフォーク対16及びそれに係合した独立のパレットを搬送体50の側部54に向かって外方向に移動ないしシフトして互いに離間させる。この側方への移動ないしシフト動作の間、フォーク対16の位置変化をエンコーダ23が追跡する。該エンコーダ23によりフォーク対16の位置がもはや変化しないと検出されると、積荷は搬送体50の側部54に接触したと推測され、そして自動案内車両10は更に搬送体50の端部56又は該搬送体上に前に積込まれた積荷を検出するまで前進する。この地点で、積荷は意図した積荷位置に達し、搬送体50のベース上に積荷が下ろされる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について説明したが、それら実施形態の種々の変形例についても本発明に含まれるものである。例えば、単一のフォーク対16を備えた自動案内車両も本発明の方法を実施するのに使用可能である。この構成においては、フォーク対16は、それぞれの積荷を搬送体50の側部54に配置し得るように側方シフト機構22によって移動ないしシフトし得る。この態様では搬送体50は一度に1つの積荷を積み込み得る。又、自動案内車両10は積荷が引渡される搬送体50の側部54を交替することができる。更に、本発明においては、自動案内車両10により搬送体50に任意の積荷状態に積荷を積込むことが可能である。すなわち、例えば図4aに示すように積荷60を搬送体50の前部から後部にかけて並べた2つの積荷状態や図4bに示すように、積荷60を前後に2つ並べた状態と前後の中間に1つ配置した状態により互いに異なる配列とした積荷状態など、考えられる種々のレイアウトに対応し得る。積荷が非対称形状の場合、これの積荷を、例えば図4cに示すように、60で示す前後2列の積荷状態に対して60’で示すようにこれに対して90度回転させてその間に配置した積荷状態のレイアウトを採り得る。又、図4dに示すように4つの積荷60で矩形状に配列した、いわゆるピンホイール・レイアウトも可能である。又更に、図4a-dは全て積荷が矩形状のものを示したが、本発明では、その他の任意の形状のものも扱うことができる。
【0028】
上述のように、自動案内車両により積荷を搬送体に引渡す位置の自由度が高いので、積込みがなされる搬送体50について最適な積荷状態を得ることができる。一般の配置構成では、搬送体には極力空間がない最小の遊びスペース状態とするのが望ましいが、重い積荷の場合には搬送体の許容重量限度を越える恐れもある。このような場合、あるいは積荷積込みが少ない場合、搬送体50内の積荷の移動ないしシフトを最小限とするレイアウトを採り得る。この場合、本発明に係る方法により自動案内車両により所望ないしは任意の積荷レイアウトで搬送体50に積荷の積込みをなし得る。
【0029】
積荷を引渡した後、第2の誘導システムが用いられ、自動案内車両10とほぼ同じ場所ないし位置へ戻すように案内する。好ましい実施形態では、この場所は搬送体50の入口部52である。この場所において、主たる第1の誘導システムが用いられて自動案内車両の走行案内を行ない、例えば、他の積荷のピックアップないし取出しを遂行させる。もし、実施形態におけるように追跡ホイールが用いられる場合、該ホイールは下降し、グラウンド(地面)に再び接触して、第1の誘導システムとして、例えば慣性誘導システムによる利用に供せられる。
【0030】
好ましい実施形態において、主たる第1の誘導システムは、自動案内車両10が第2の誘導システムにより誘導案内されているときに、該車両10の運動を継続して追跡する。この継続的追跡によって、主たる第1の誘導システムによる、より正確な誘導案内を可能とする。
【0031】
搬送体からの自動積下ろし動作
搬送体からの積荷の積下ろし動作は、上述した積込み動作を極めて類似している。主たる違いは、ピックアップ動作で引き出されるべき積荷を搬送体上の正しい位置にあることを保証することが難しいことである。従って、自動案内車両10は、これに対処し得るとともに積荷の位置の変化を補償し得るように構成されなければならない。当該動作のステップは、主たる第1の誘導システムで自動案内車両10を案内して搬送体の近傍ないし近接した位置、好ましくは、搬送体50の入口部52のところに位置付けることである。この地点において、上述したようにアナログ音響センサよりなる第2の誘導システムが作動して自動案内車両10を積荷と対応ないし合致するように案内する。上述のように、自動案内車両10は、フォーク対16上又はその近傍に設けて積荷のフォーク・ポケットを検出するのに用いる。複数の光学センサを備えることにより、広範囲の積荷位置付けをなし得るように構成し得る。該車両10が搬送体50上の積荷位置に近づいたとき、これら光学センサが動作してフォーク・ポケットを見出す。そして、フォーク・ポケットの検出位置を基準として自動案内車両10は、その走行路を変更するか、あるいは又、フォーク対16が、これを移動ないしシフトさせる側方シフト機構22及びスライド部材15によって調整され、これによってフォーク対16が自動案内車両10とは独立して運動し得、フォーク対16とフォーク・ポケットが相互に対応する。次いで、第2の誘導システムが該車両10を誘導案内を始めた同じ位置、すなわち搬送体50の入口部52とほぼ同じ位置へ、第2の誘導システムにより該車両が戻される。この地点において、主たる第1の誘導システムが用いられ、該車両10の走行を案内する。好ましい実施形態において、主たる第1の誘導システムは該車両10が第2の誘導システムにより案内されているときにも継続して該車両10の運動を追跡する。これにより、主たる第1の誘導システムによる、より正確な誘導案内動作を可能とする。
【0032】
本発明の他の実施形態において、第2の誘導システムは積込みドックに対する搬送体の傾斜(スキュー)ないし位置の外れを確定するためにも用いられる。慣性誘導システムが自動案内車両10を積込みがなされる搬送体50の入口部へ誘導案内するのに利用される。搬送体50の入口部52のところにおいて、例えば可動ビームレーザ又は光学システムよりなる第2の誘導システムにより搬送体50の傾斜(スキュー)が確定される。この確定動作は、搬送体50の2つの側部までの距離の測定及び比較により行なわれる。この傾斜が確定されると、慣性誘導システムは該傾斜ないし外れを補償するように調整される。このところにおいて、補償された慣性誘導システムによって、搬送体50に対する積荷の積込み、積下ろし動作を、上述と変わらない態様で遂行することができる。
【0033】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これら実施形態の構成に限定されず、種々の可能な変形構成を含み得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る自動案内車両の上面図である。
【図2】本発明に係る自動案内車両の側面図である。
【図3】本発明に係る自動案内車両の正面図である。
【図4a】本発明に係る自動案内車両において積荷の1つの積込み状態を示す搬送体の概略上面図である。
【図4b】本発明に係る自動案内車両において積荷の他の積込み状態を示す搬送体の概略上面図である。
【図4c】本発明に係る自動案内車両において積荷の更に他の積込み状態を示す搬送体の概略上面図である。
【図4d】本発明に係る自動案内車両において積荷の更に他の積込み状態を示す搬送体の概略上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動案内車両により搬送体に積荷を積込む方法であって、
前記自動案内車両に積荷を係合させることと、
該自動案内車両を第1の誘導システムで第1の位置に案内することと、
前記自動案内車両を第2の誘導システムで前記第1の位置から前記搬送体上の所望積荷位置に案内することと、
前記自動案内車両を前記第2の誘導システムで前記所望積荷位置から第2の位置へ案内すること、
の各ステップよりなる方法。
【請求項2】
前記第2の誘導システムは、少なくとも1つの距離測定センサを備えてなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの距離測定センサによって、前記搬送体の一側までの第1の距離を決定してなる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の誘導システムは、慣性誘導システムを備えてなる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の位置は、おおむね搬送体の一端部である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の位置は、前記第1の位置と近似である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記自動案内車両を前記第2の誘導システムで前記第1の位置から前記搬送体上の前記所望積荷位置へ案内するステップは、前記自動案内車両の駆動電流をモニターするステップを備えてなる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記自動案内車両を前記第2の誘導システムで前記第1の位置から前記搬送体上の前記所望積荷位置へ案内するステップは、前記積荷を前記搬送体の一側へ移動させるステップを更に備えてなる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記搬送体の一側へ積荷を移動させるステップは、該積荷が該搬送体の一側に到達したことを確定するステップを備えてなる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
自動案内車両で搬送体に積荷を積込む方法であって、
前記自動案内車両に積荷を係合させることと、
慣性誘導システムよりなる第1の誘導システムで、前記搬送体に近接した第1の位置へ前記自動案内車両を案内することと、
前記搬送体の一側までの第1の距離を確定する少なくとも1つの距離測定装置を含む第2の誘導システムで、前記第1の位置から搬送体上の所望積荷位置へ前記自動案内車両を案内し、前記第1の距離が、該自動案内車両を該第2の誘導システムで該第1の位置から該所望積荷位置へ案内するステップを助成することと、
前記所望積荷位置で前記搬送体上に前記積荷を配置することと、
前記第2の誘導システムで前記所望積荷位置から第2の位置へ前記自動案内車両を案内すること、
前記第1の誘導システムで前記第2の位置から前記自動案内車両を案内すること、
の各ステップよりなる方法。
【請求項11】
前記第1の誘導システムは追跡ホイールを更に備えてなる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の誘導システムで前記第1の位置から前記所望積荷位置へ前記自動案内車両を案内する前記ステップの間中、該自動案内車両を追跡し、該所望積荷位置において前記搬送体上に前記積荷を配置し、前記第2の誘導システムで前記所望積荷位置から前記第2の位置へ該自動案内車両を案内してなる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
積荷を搬送体に自動的に積込むシステムであって、
駆動機構及びステアリング機構を備えた自動案内車両と、
前記自動案内車両の駆動機構及びステアリング機構と作動連結された第1及び第2の誘導システムと、
を備え、前記第1の誘導システムは前記自動案内車両を第1の位置に案内し、前記第2の誘導システムは前記自動案内車両を該第1の位置から所望積荷位置へ案内するとともに該所望積荷位置から第2の位置へ案内し、前記第1の誘導システムは前記第2の位置から該自動案内車両を案内してなる、積荷を搬送体に自動的に積込むシステム。
【請求項14】
前記駆動機構及びステアリング機構と作動連結された積荷位置検出装置を更に備え、該積荷位置検出装置は、前記自動案内車両が前記所望積荷位置にあることを確定してなる請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記積荷位置検出装置は、前記自動案内車両と係合した積荷の移動を追跡する少なくとも1つのセンサを含んでなる請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2の位置は、おおむね前記第1の位置に等しい請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2の誘導システムは少なくとも1つの距離測定装置を備え、該距離測定装置は前記搬送体の一側までの第1の距離を確定し、それによって、該第1の距離が前記第2の誘導システムにより前記自動案内車両を前記第1の位置から前記所望積荷位置へ案内するのを助成してなる請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の誘導システムは、慣性誘導システムを備えてなる請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2の誘導システムは、前記搬送体の一側を検出するセンサを備えてなる請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記センサは、前記自動案内車両と係合した積荷の移動を追跡するエンコーダを備えてなる請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記エンコーダは、前記積荷がその移動を妨害されたことを確定することにより前記所望積荷位置を検出してなる請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
自動案内車両により搬送体に積荷を積込む方法であって、
前記自動案内車両に積荷を係合させることと、
誘導システムで前記自動案内車両を第1の位置から前記搬送体上の所望積荷位置へ案内し、該誘導システムは前記所望積荷位置を前記第1の位置に対する前記搬送体の位置に基づいて設定し、
前記所望積荷位置において前記搬送体上に前記積荷を配置することと、
前記誘導システムで前記自動案内車両を前記所望積荷位置から第2の位置へ案内すること、
の各ステップよりなる方法。
【請求項23】
前記所望積荷位置を設定するステップは、前記搬送体の予定された搬送位置に対する位置の外れを確定するステップを含んでなる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記搬送体の外れを確定するステップにより、前記搬送体の第1の側までの第1の距離を測定し、該搬送体の第2の側までの第2の距離を測定し、これら第1及び第2の距離を比較してなる請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記誘導システムは、前記自動案内車両の案内を助成するために前記外れを利用してなる請求項24に記載の方法。
【請求項26】
自動案内車両により搬送体より積荷を積下ろす方法であって、
誘導システムで前記自動案内車両を第1の位置から前記搬送体上のおおよその積荷位置に案内し、該誘導システムが該おおよその積荷位置を前記第1の位置に対する前記搬送体の位置に基づき設定することと、
積荷位置を確定することと、
前記積荷位置で前記自動案内車両に積荷を係合させることと、
前記誘導システムで前記自動案内車両を前記おおよその積荷位置から第2の位置へ案内すること、
の各ステップよりなる方法。
【請求項27】
前記おおよその積荷位置を設定するステップは、予定された搬送位置に対する前記搬送体の外れを確定するステップを含んでなる請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記搬送体の外れを確定するステップにより、前記搬送体の第1の側までの第1の距離を測定し、該搬送体の第2の側までの第2の距離を測定し、これら第1及び第2の距離を比較してなる請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記誘導システムは、前記自動案内車両の案内を助成するために前記外れを利用してなる請求項28に記載の方法。
【請求項30】
自動案内車両により搬送体より積荷を積下ろす方法であって、
第1の誘導システムで前記自動案内車両を第1の位置へ案内することと、
第2の誘導システムで前記自動案内車両を前記第1の位置から前記搬送体上の予定された積荷位置へ案内することと、
積荷位置を確定することと、
前記積荷位置で前記自動案内車両に積荷を係合させることと、
前記第2の誘導システムで前記自動案内車両を前記所望積荷位置から第2の位置へ案内すること、
の各ステップよりなる方法。
【請求項31】
前記第2の誘導システムは少なくとも1つの距離測定センサを備えてなる請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つの距離測定センサは、前記搬送体の一側までの第1の距離を確定してなる請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1の誘導システムは、慣性誘導システムよりなる請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記第1の位置は、おおむね搬送体の一端にある請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記第2の位置は前記第1の位置に近似してなる請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記積荷位置を確定するステップにより、前記自動案内車両の駆動電流をモニターしてなる請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記積荷位置を確定するステップにより、積荷ポケットを検出するために少なくとも1つの光学センサを利用してなる請求項30に記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【公表番号】特表2007−536177(P2007−536177A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511427(P2007−511427)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/014688
【国際公開番号】WO2005/108246
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(595057306)ジエービス・ビー・ウエブ・インターナショナル・カンパニー (7)
【Fターム(参考)】