空気入れハンドル、およびそれを利用する圧縮空気の充填方法
【課題】 ボールへの空気注入作業中にニードルの変形や破断を確実に防止可能とする上、空気入れの作業性を向上可能とし、且つ運搬や携行が容易で、しかも運搬中や携行中のニードルを確実に保護可能なものとする新たなニードル技術を提供する。
【解決手段】 操作用パイプ2の先端に、ニードル3の着脱用基端部31が着脱自在に接続されたものとし、当該操作用パイプ2の先端外周に、その先端から該ニードル3より長い雄ネジ部23を針抜き用ナット4が螺着可能となるよう刻設し、該雄ネジ部23に、当該針抜き用ナット4を着脱自在か、または針部30先端を最大でも僅かに露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、ニードル3の針部30に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとしてなる空気入れハンドル1である。
【解決手段】 操作用パイプ2の先端に、ニードル3の着脱用基端部31が着脱自在に接続されたものとし、当該操作用パイプ2の先端外周に、その先端から該ニードル3より長い雄ネジ部23を針抜き用ナット4が螺着可能となるよう刻設し、該雄ネジ部23に、当該針抜き用ナット4を着脱自在か、または針部30先端を最大でも僅かに露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、ニードル3の針部30に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとしてなる空気入れハンドル1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種競技用または遊技用のボールに圧縮空気を充填可能なニードル(空気針)と、エアポンプやエアコンプレッサーなどの圧縮空気供給源とを接続する部品類に関するものであり、該接続部品類を製造する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
バスケットボールやバレーボール、サッカーボールなどの各種競技用のボールは、内部に充填してある空気の圧力低下が、バウンド性能や回転性能を大きく低下させてしまう原因となることから、日頃から適度な空気圧に調整しておくのが肝要であり、毎日のクラブ活動や試合前には、必ずエアポンプなどを用いて一つ一つのボールを確かめ、必要に応じて空気を充填しなければならず、一般にはエアポンプのホース先端に直径2mm、長さ30mm程度のニードルの基端金具部分を接続し、該ニードルをボールのバルブスリットに差し込み、圧縮空気を注入するものとなっているが、特に、バスケットボールのように表皮が厚く、重量の重いボールなどは、圧縮空気の注入を受けて内部空気圧が高まると、バルブ部分にも強い張力が働き、バルブスリット内周とニードル外周との間の摩擦力が高まって抜き取ることができなくなってしまい、無理にえぐったりして抜き取ろうとするとニードル自体が曲がってしまったり、または、破断してしまったりすることがあり、取扱いの難しいものであった。
【0003】
こうしたトラブルを防止するため、各ボールメーカーは、空気を入れる前に必ずニードルを石鹸水か潤滑剤で濡らして使用するようにしたり、必ずニードルをバルブに垂直に差し込み、少しづつ空気を入れるようにしたりすることなどを推奨しているが、こうした工夫を一般の児童や学生達に徹底するのは非常に難しく、不注意によってニードルが変形したり、破断してボールの内部に残されてしまったりするのを確実に防止することは殆ど不可能なものであった。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を憂慮し、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、ニードル(ないしチューブまたはホース)を小型軽量なポンプ内部に収納することができ、ニードルを取り外す必要がないハンドポンプを提供しようとするものや、同特許文献1(2)に見られるような、ボールを載せる台座と、台座に対して昇降自在で、台座に載せたボールを上方側から押さえる押圧部とから成り、押圧部には、ボールの空気充填口にニードルを差し込むニードル挿入用ジャケットを備えた梃子ハンドルが取り付けられると共に、このニードル挿入用ジャケットを受け入れるガイド筒を設け、ボールの空気充填口に対するニードルの差し込み方向と抜き取り方向とを常に垂直に維持し、ニードルの折損を確実に防止できるようにしたものなどが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなニードルをポンプ内部に収納可能としたハンドポンプなどは、運搬や携帯中にニードルを確実に保護できるという利点を有するものの、ボールにニードルを差し込んで圧縮空気を注入し、ニードルを抜き取るという一連の作業中にニードルが変形したり、破断してしまうなどといった事故を防止できるものとはなっておらず、また、特許文献1(2)のボールを載せる台座を有する空気入れ用の補助装置などは、ボールを上下から押さえ込む必要から、装置自体が必ずボール直径よりも大きなものとならざるを得ず、運搬や携行に不都合を来してしまうという致命的な欠点を有することになっていた。
【特許文献1】(1)特開2006−200384号公報 (2)特開2008−23271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までのニードルあるいはそれに関連してボールに空気を注入する手段として、空気の注入作業に配慮して作業し易くなるよう工夫したり、個々の部品として保管、携行したりする最中の変形、破損の防止に係わるものばかりであり、子供や女学生など、それ程の力がない者の取り扱い、特に、空気の注入を終えてボールからニードルを抜き去るときに生じる困難な作業について配慮したものが見当たらず、指導、監督する教師や指導員が傍についていて手助けしてやらない限り、それら子供達に任してしまうと、力の無さから無理にこねくり回すなどしてニードルを変形させてしまうという事態が頻発したり、場合によっては力を入れたときの反動などで、本人や周囲に居る人を傷付けてしまうといった事故までを惹起し兼ねず、小中高などの体育指導に当たる者の一人として、これらの状況を放置されたままに過ごす訳にはいかないと認識するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、ボールへの空気注入作業中にニードルの変形や破断を確実に防止可能とする上、空気入れの作業性を向上可能とし、且つ運搬や携行が容易で、しかも運搬中や携行中のニードルを確実に保護可能なものとする新たなニードルの保護技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の空気入れハンドル、およびそれを利用した新規な圧縮空気の充填方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の空気入れハンドルは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、圧縮空気の供給源に気密状に接続可能な基端接続部を有する操作用パイプの先端に対し、空気充填対象物のバルブに差し込み用とするニードルの着脱用基端部が着脱自在且つ気密状に接続されたものにすると共に、当該操作用パイプの先端外周には、その先端から、装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとし、該雄ネジ部に、当該針抜き用ナットを、着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとした構成を要旨とする空気入れハンドルである。
【0009】
より具体的には、圧縮空気の供給源に直接か、または、耐圧管あるいは耐圧ホースを介してかの何れか一方で気密状に接続可能な基端接続部を有する操作用パイプの先端内周に刻設されたニードル着脱用雌ネジ部に対し、空気充填対象物のバルブに差し込み用とするニードルの基端部分外周にニードル着脱用雄ネジ部を刻設した螺着用基端部が着脱自在且つ気密状に螺着、同心状に接続されたものにすると共に、当該操作用パイプの先端外周には、その先端から、装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとし、該雄ネジ部に、少なくとも当該空気充填対象物のバルブ周辺表面に当接するがわとなる端面が、同ニードル針部に直交状となる環状平坦面を有するものに形成した当該針抜き用ナットを、着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとした構成からなる空気入れハンドルということができる。
【0010】
(関連する発明)
上記した空気入れハンドルに関連し、この発明には、それを利用した圧縮空気の充填方法も包含している。
即ち、空気入れハンドルの操作用パイプ先端外周に螺着した針抜き用ナットを、該操作用パイプの雄ネジ部奥がわ配置とするよう取り付け方向に正転操作して該操作用パイプ先端に接続したニードルが十分に露出された状態としてから、該ニードルを、空気充填対象物バルブのスリットに対して垂直に差し込んだ上、圧縮空気供給源からの空気を該操作用パイプ内の管路およびニードル中を通じて該空気充填対象物中に注入し、該空気充填対象物が所望の内圧まで高まった後、当該針抜き用ナットを操作用パイプの雄ネジ部に対して螺合方向とは逆回りとなる、螺解方向に逆転操作し、該操作用パイプの雄ネジ部に沿った回転操作を受けて当該ニードル先端がわに向けた推進力を発生するものとし、該針抜き用ナットの該空気充填対象物に当接する端面が、同空気充填対象物バルブのスリット周囲表面を押圧し、当該ニードルを相対的に引き抜くように操作するようにした、この発明の基本をなす前記空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法である。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、この発明の空気入れハンドルによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、当該操作用パイプの基端接続部を圧縮空気の供給源に気密状に接続し、該針抜き用ナットがニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合された状態で、該ニードルの針部を空気充填対象物のバルブに、該針抜き用ナットの対峙端が当接する程度の深さまで差し込み、同空気充填対象物内に圧縮空気を充填した後、当該針抜き用ナットを螺合方向とは逆の螺解方法に回転操作するとネジ送り動作が得られ、自動的且つ相対的に操作用パイプが空気充填対象物のバルブより後退するものとなり、バルブスリットとの摩擦力の影響を受けずに、軽快かつ簡単に該ニードルの針部が同空気充填対象物のバルブから垂直に抜き取られるものとなり、従前までに多く発生していたニードル脱抜操作の際の変形や折損などを確実に防止できるものにすることができるという秀れた特徴が得られるものである。
【0012】
加えて、針抜き用ナットの少なくとも当該空気充填対象物のバルブ周辺表面に当接するがわとなる端面が、同ニードル針部に直交状となる環状平坦面となるようにし、空気充填対象物のバルブから抜き取る際のニードル針部の姿勢を、より確実に該空気充填対象物のバルブに対して垂直に維持するものとなり、ニードルを変形や破損から保護する機能を各段に高めることができるものとなる。そして、操作用パイプの雄ネジ部に、針抜き用ナットを着脱自在としたものは、運搬や携帯する場合に、該針抜き用ナットをニードルと共に、操作用パイプから分解、取り外しして夫々を保護ケースなどに収納して運搬可能であり、輸送や形態中の該針抜き用ナットおよびニードルの破損をより確実に防止できるものとなる。また、操作用パイプの雄ネジ部に、針抜き用ナットが針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在に設けたものは、空気充填対象物に圧縮空気を充填した後、針抜き用ナットを螺解方向に回転させてニードルをバルブから抜き取る際に、針抜き用ナットの旋回操作の最終段階となったときにも、ニードル針部先端がわの2ないし3mmの範囲が、該バルブスリットに残り、不用意に空気充填対象物バルブから離脱してしまうのを防止し、空気充填対象物表皮への擦傷や床面への不用意な落下などを未然に防止でき、しかもニードル針部先端を引き抜く操作力も、2ないし3mmの浅さから引き抜くものとなって大幅に軽減して、より安全、確実に空気充填対象物バルブからニードルを抜き取ることができるものとなる。
【0013】
そして、操作用パイプの基端接続部を圧縮空気の供給源に耐圧管あるいは耐圧ホースを介して接続してあり、操作用パイプの取り回しが容易になり、空気充填対象物への空気の充填作業性を大幅に高めることができるものとなり、また、操作用パイプの先端内周のニードル着脱用雌ネジ部に、ニードルの螺着用基端部のニードル着脱用雄ネジ部が着脱自在に螺着されてなる空気入れハンドルは、万が一ニードルに変形や破損が生じた場合に、簡便に市販のニードルと交換することができ、長期に渡る利用とメンテナンスとを実現化することができる。
【0014】
さらに、当該針抜き用ナットの空気充填対象物への接触端がわ適所に、同針抜き用ナットのナット孔周囲に環状配置となる回転座金部が、該ナット孔の螺合回転軸心回りに回転自在となるよう着脱自在とするか、または回転自在に連結するかの何れか一方によるものとし、針抜き用ナットの回転操作の際に生じる空気充填対象物バルブ周辺表面との摩擦力を大幅に低減し、より一段と針抜き用ナットの回転操作性を軽快なものとすることができ、空気充填対象物表面の摩耗を確実に防止できるものとなる。
【0015】
さらにまた、当該針抜き用ナットの外周全面か、または外周の一部かの何れか一方の範囲に渡り、軟質合成樹脂製か、または硬質合成樹脂製かの何れか一方の材質からなる筒型グリップカバーが外装、一体化されるようにし、針抜き用ナットのグリップ性を高めてハンドリングし易くし、弱い力でもより強い回転力を与えることができるものとなり、握力の弱い児童や女性、高齢者などにも使い易く、軟質合成樹脂製とした場合には、操作用パイプから不用意に離脱して落下してしまった場合にも筒型グリップカバーが緩衝材となって床や足下への衝撃を各段に減少するものとなる。
【0016】
この発明の基本をなす空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法によれば、該空気入れハンドルのニードルを、空気充填対象物バルブのスリットに対して垂直に差し込むことにより、同空気充填対象物のバルブを保護すると共に、差し込み操作に伴うニードルの変形や破損を防止することができ、圧縮空気供給源からの空気を該空気充填対象物中に注入した後、針抜き用ナットを操作用パイプの雄ネジ部に対して螺合方向とは逆回りとなる螺解方向に逆転操作し、該操作用パイプの雄ネジ部に沿った回転操作を受けて当該ニードル先端がわに向けた推進力を発生するものとすると、該針抜き用ナットの該空気充填対象物に当接する端面が、同空気充填対象物バルブのスリット周囲表面を押圧し、当該ニードルを相対的に引き抜くように操作するものとなり、ニードルの軸心に平行な方向であって、しかも空気充填対象物のバルブに垂直な方向にのみ引き抜き力が発生するものとすることができ、該ニードルの変形や破損を確実に防止することができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
操作用パイプは、この発明の空気入れハンドルの操作用把持部分となる本体を形成すると共に、その基端が、圧縮空気供給源に接続可能であり、その先端にはニードルの基端がわを当該圧縮空気供給源に連通するよう着脱自在に装着可能とし、しかもその先端がわ外周には針抜き用ナットを装着済みのニードルと平行な軸心方向に進退自在に螺着可能とする機能を果たすものであり、ニードルの抜き差し操作や、針抜き用ナットの旋回操作、および圧縮空気の注入操作などに十分に耐える強度ならびに気密性を確保可能なものとし、基本的には円筒状のパイプからなり、その基端を圧縮空気供給源に接続可能な基端接続部とし、先端にニードルの着脱用基端部が着脱自在であり、先端外周にニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとしなければならず、必要に応じてニードルの差し込み操作を補助可能なグリップ部分や、針抜き用ナットの旋回操作を容易にするハンドル部分などを支障のない箇所に外装、追加形成したものとすることが可能である。
【0018】
操作用パイプ基端の圧縮空気の供給源への基端接続部は、該操作用パイプの基端を当該圧縮空気の供給源に気密状に接続可能とするものであり、当該供給源に直接か、または、耐圧管あるいは耐圧ホースを介してかの何れか一方で気密状に接続可能なものとすべきであり、例えば耐圧管あるいは耐圧ホースの端部に一体化されてなるものや、接続用カプラやその他のワンタッチ接続用部品類などを採用して着脱自在に接続されたものとすることができる。
【0019】
操作用パイプ先端のニードル着脱用雌ネジ部は、市販のニードルの着脱用基端部の基端部分外周に刻設されているニードル着脱用雄ネジ部が、着脱自在かつ気密状に螺着可能とするものであり、操作用パイプの少なくとも先端がわ外周に刻設された針抜き用ナット螺着用の雄ネジ部と同心状の配置となるよう形成し、ニードルを十分な強度で連結可能とするものとしなければならない。
【0020】
操作用パイプ先端外周の雄ネジ部は、針抜き用ナットを着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合可能とする機能を果たし、ニードルを空気充填対象物のバルブに差し込む操作や、針抜き用ナットを旋回操作するようにしてニードルを該バルブから抜き取る操作などに伴う操作力に十分に耐える強度を有するものとしなければならない。
【0021】
ニードルは、基端がわが操作用パイプの先端に気密状に接続可能であり、針部先端を空気充填対象物のバルブに差し込み可能とし、操作用パイプ中を通じて供給された圧縮空気が外部に漏出せずに該空気充填対象物内に注入されるようにする機能を果たし、基本的に従来型のエアポンプ用の空気針としてのニードルであるということができ、市販のニードルと簡単に交換可能な寸法、形状のものに設定されたものとするのが望ましい。
【0022】
針抜き用ナットは、操作用パイプの先端がわ外周に螺着されて、操作用パイプに対して螺着方向に旋回操作すると、該操作用パイプ先端のニードル針部を十分に露出するよう同操作用パイプの軸心に同心状且つ平行に後退し、操作用パイプに対して螺着方向とは反対の螺解方向に旋回操作すると、該操作用パイプ先端のニードル針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置まで前進するか、または、さらに操作用パイプ先端から離脱してしまうまで該ニードル針部に同心状且つ平行に前進可能となって、空気充填対象物のバルブに差し込まれたニードル針部を、該空気充填対象物のバルブに対して垂直に抜き取り可能とする機能を果たすものであり、当該操作用パイプの先端に装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法に設定されたものとし、該操作用パイプの先端外周に刻設した雄ネジ部に螺着可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、少なくとも当該空気充填対象物のバルブ周辺表面に当接するがわとなる端面が、同ニードル針部に直交状となる環状平坦面を有するものに形成したものとすべきである。
【0023】
また、針抜き用ナットは、後述する実施例に示すように、その軸方向の空気充填対象物への接触端がわとなる適所に、同針抜き用ナットのナット孔周囲に環状配置となる回転座金部が、該ナット孔の螺合回転軸心回りに回転自在となるよう着脱自在とするか、または回転自在に連結するかの何れか一方に設定されてなるものとすることができる外、後述する実施例に示すように、該針抜き用ナットの外周全面か、または外周の一部かの何れか一方の範囲に渡り、軟質合成樹脂製か、または硬質合成樹脂製かの何れか一方の材質からなる筒型グリップカバーが外装、一体化されてなるものとすることが可能である。
【0024】
圧縮空気の供給源は、空気充填対象物の低下した内圧に抗して、圧縮空気を強制的に充填可能とするよう、空気入れハンドルの操作用パイプ基端より、安定した圧力の圧縮空気を圧送可能とする機能を果たすものであり、手腕操作型や足踏み操作型などのエアポンプ、電動型のエアポンプやエアコンプレッサー、または、圧縮空気を充填した空気ボンベなどの外、十分な圧縮空気を空気入れハンドルの操作用パイプ基端に供給可能なものであれば何れのものであってもよく、空気充填対象物は、内部に空気を注入可能なものであって、適所にニードルを差し込んで空気を充填可能なバルブを有するものとしなければならず、例えば、各種競技用または遊技用のボールやタイヤなどの外、浮き輪やエアクッション、簡易プールなど様々なものとすることができる。
【0025】
この発明の基本をなす空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法は、ニードルを空気充填対象物バルブのスリットに対して垂直に差し込むときに、差し込み操作する人間の感覚によってニードルの姿勢を該バルブのスリットに対して垂直にコントロールするよう設定可能であるが、予めニードルの基端部分が該バルブ表面に当接するよりも先に、針抜き用ナットの対峙端面が、空気充填対象物バルブの周辺表面に当接するよう、操作用パイプへの針抜き用ナットの螺合深さを調節、設定しておき、ニードルを該バルブスリットに差し込んだときに、針抜き用ナットの環状対峙端面が、空気充填対象物バルブの周辺表面に当接して、ニードルをバルブスリットに対して垂直な姿勢に保持可能とするよう設定されたものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0026】
図1の分解状態の空気入れハンドルの側面図、図2の針抜き用ナットが先端まで前進した空気入れハンドルの側面図、図3の 針抜き用ナットが深部まで後退した空気入れハンドルの側面図、図4の針抜き用ナットが深部まで後退した空気入れハンドルの斜視図、図5の一部に変更を加えた針抜き用ナットを取り外した空気入れハンドルの側面図、図6の一部に変更を加えた針抜き用ナットを装着した空気入れハンドルの斜視図、および、図7のコンプレッサーに接続した空気入れハンドルの斜視図に示す事例は、操作用パイプ2の先端に、ニードル3の着脱用基端部31が着脱自在に接続されたものとし、当該操作用パイプ2の先端外周に、その先端から該ニードル3より長い雄ネジ部23を針抜き用ナット4が螺着可能となるよう刻設し、該雄ネジ部23に、当該針抜き用ナット4を着脱自在か、または針部30先端を最大でも僅かに露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、ニードル3の針部30に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとした、この発明の空気入れハンドルにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0027】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の空気入れハンドル1は、その本体部分を形成する外径15mm、内径9mm、長さ60mmの合成樹脂製の外パイプ20中に、外径9mm、長さ115mmの金属製中パイプ21が、その先端の6mm、後端の45mmを夫々露出する状態に打ち込まれて一体化された操作用パイプ2を有し、該中パイプ21先端には、市販ニードル3着脱用基端部31のニードル着脱用雄ネジ部32が螺着可能なニードル着脱用雌ネジ部22を刻設し、同中パイプ21の基端には、圧縮空気の供給源5である小型のエアコンプレッサー5より延伸された耐圧ホース50先端に着脱自在に接続可能な図示しないエアカプラからなる基端接続部が一体化、形成されたものとなっており、該外パイプ20の外周先端より基端がわへ43mmの範囲にM14の雄ネジ部23が刻設されたものとしてある。
【0028】
図1ないし図4に示すように、該操作用パイプ2の雄ネジ部23には、ニードル3針部30の全長30mmと、同着脱用基端部31の露出部分5mmと、外パイプ20先端から露出する中パイプ21の先端6mm部分とを合計した長さ41mmより十分に長い、50mmの長さに設定されたM14の金属製針抜き用ナット4が、着脱、螺合、進退自在に螺着されたものとし、該針抜き用ナット4の両端面は、M14の螺旋形軸心に直交する環状平坦面を形成するものとしてある。
【0029】
当該針抜き用ナット4は、図5および図6中に示すように、その軸方向の空気充填対象物である競技用ボール6(後述する図10および図11中に示す)への接触端壁に、同針抜き用ナット4のナット孔40周囲に環状配置となる回転座金部41が、該ナット孔40の螺合回転軸心回りに回転自在となるよう回転自在に連結、一体化されてなり、しかも同針抜き用ナット4の外周全面には、硬質合成樹脂製の筒型グリップカバー42が外装、一体化されたものとすることが可能である。
【0030】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の空気入れハンドル1は、この発明に包含される圧縮空気の充填方法に基づき利用することができ、以下では、この発明の圧縮空気の充填方法に従い、空気入れハンドル1による作用について、前記図1ないし図7、および、図8の圧縮空気注入中の空気入れハンドルの正面図、図9の脱抜操作中の空気入れハンドルの正面図、図10の圧縮空気注入中にある一部に変更を加えた空気入れハンドルの正面図、ならびに、図11のの脱抜操作中の一部に変更を加えた空気入れハンドルの正面図を参照しながら示して行くこととする。
【0031】
図7中に示すように、エアコンプレッサー5の耐圧ホース50に、当該空気入れハンドル1基端の図示しないカプラを接続し、図3中に示すように、操作用パイプ2の雄ネジ部23に螺着した針抜き用ナット4を螺合方向に旋回操作して最深位置付近まで後退させて、該操作用パイプ2先端に接続されているニードル3の針部30の全体が露出した状態としてから、図8に示すとおり、空気充填対象物である競技用ボール6バルブ60のスリットに対して垂直に差し込んだ上、エアコンプレッサー5から耐圧ホース50を通じて圧縮空気を注入し、該競技用ボール6の内圧を適正な空気圧値に調節した後、図9中の矢印に示すように、当該針抜き用ナット4を操作用パイプ2の雄ネジ部23に対して螺合方向とは逆回りとなる、螺解方向に逆転操作し、該操作用パイプ2の雄ネジ部23に沿った回転操作を受けて当該ニードル3先端がわに向けた推進力を発生するものとし、該針抜き用ナット4の該競技用ボール6に当接する端面が、同競技用ボール6バルブ60のスリット周囲表面を押圧し、当該ニードル3を相対的に引き抜くように作用するものとする。
【0032】
そして、当該雄ネジ部23に、当該針抜き用ナット4を、針部先端が最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置まで前進可能としたものは、ニードル3を競技用ボール6バルブ60から抜き去るときに、ニードル3先端の2ないし3mmの長さ範囲がバルブ60スリットに係合状態となり、ニードル3先端がバルブ60スリットから不用意に離脱してしまうことを防止して、ニードル3先端を引き抜くことで最終段階の引き抜き操作を完了するよう作業することが可能である。
【0033】
また、図5および図6、ならびに図10および図11に示すように、一部に変更を加えた針抜き用ナット4を組み込んでなる空気入れハンドル1を使用した場合には、ニードル3を競技用ボール6のバルブ60に差し込み、エアコンプレッサー5から供給される圧縮空気の注入を終える段階までは、前記図1ないし図4に示したものと同等の操作を行うことが可能であり、圧縮空気の充填を終えた後に、該ニードル3を競技用ボール6のバルブ60から抜き取る場合に、当該針抜き用ナット4を操作用パイプ2の雄ネジ部23に対して螺合方向とは逆回りとなる、螺解方向に逆転操作すると、図6中に示すように、同針抜き用ナット4の競技用ボール6表皮面に接合する回転座金部41が、針抜き用ナット4に対しては回転自在となっていて、競技用ボール6表皮面と回転座金部41とが互いに接合、停止状態を維持したまま、競技用ボール6表皮面と針抜き用ナット4との双方間の回転摩擦を大幅に軽減し、各段に円滑な旋回操作を実現化するものとなり、さらに、該針抜き用ナット4に一体に外装された筒型グリップカバー42が、針抜き用ナット4の把持を一段と容易なものとする。
【0034】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の空気入れハンドル1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1中に示すように、当該操作用パイプ2が、金属製の中パイプ21の外周に、合成樹脂製の外パイプ20を装着した二重構造となっており、高い耐久強度を達成可能とすると共に、十分に軽量化されたものとして携帯性にも秀れたものとすることができる上、図2中に示すように、操作用パイプ2の雄ネジ部23に対して針抜き用ナット4を回転操作し、操作用パイプ2の先端に装着されたニードル3の針部30全体が包囲されるよう、針抜き用ナット4を配置させたものとすると、ニードル3を操作用パイプ2から取り外さずに運搬、携帯した場合にも、ニードル3が他物との干渉や外力から保護されるものとなり、輸送中の折損や破断などをより確実に防止することができる。
【0035】
(結 び)
叙述の如く、この発明の空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、従前からのエアポンプやニードル部品類に関連する技術に比較し、製造も従前のものに少し手を加えるだけの容易なものとしているだけではなく、何よりも使用期間の延長化が図れて遥かに経済的なものとすることができる上、しかも簡単で安全な操作性、および保管、携行に際しての利便性を兼備していることから、安全性への配慮や、破損、変形などによる買い換えでの経済的負担を強いられてきた学校やスポーツクラブ、一般家庭はもとよりのこと、このような課題への対応を怠っていたスポーツ用品業界においても高く評価されることとなり、広範に利用、普及が図られていくことになるものと予想される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図面は、この発明の空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】分解状態にある空気入れハンドルを示す側面図である。
【図2】針抜き用ナットを先端まで前進させた空気入れハンドルを示す側面図である。
【図3】針抜き用ナットを深部まで後退させた空気入れハンドルを示す側面図である。
【図4】針抜き用ナットが深部まで後退した空気入れハンドルを示す斜視図である。
【図5】一部に変更を加えた針抜き用ナットを示す側面図である。
【図6】一部に変更を加えた針抜き用ナットを示す斜視図である。
【図7】コンプレッサーに接続した空気入れハンドルを示す斜視図である。
【図8】圧縮空気注入中の空気入れハンドルを示す正面図である。
【図9】抜き取り操作中の空気入れハンドルを示す正面図である。
【図10】空気注入中の一部に変更を加えた空気入れハンドルを示す正面図である。
【図11】抜き取り操作中の一部に変更を加えた空気入れハンドルを示す正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 空気入れハンドル
2 操作用パイプ
20 同 外パイプ
21 同 中パイプ
22 同 ニードル着脱用雌ネジ部
23 同 雄ネジ部
3 ニードル
30 同 針部
31 同 着脱用基端部
32 同 ニードル着脱用雄ネジ部
4 針抜き用ナット
40 同 ナット孔
41 同 回転座金部
42 同 筒型グリップカバー
5 エアコンプレッサー(圧縮空気の供給源)
50 同 耐圧ホース
6 競技用ボール(空気充填対象物)
60 同 バルブ
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種競技用または遊技用のボールに圧縮空気を充填可能なニードル(空気針)と、エアポンプやエアコンプレッサーなどの圧縮空気供給源とを接続する部品類に関するものであり、該接続部品類を製造する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
バスケットボールやバレーボール、サッカーボールなどの各種競技用のボールは、内部に充填してある空気の圧力低下が、バウンド性能や回転性能を大きく低下させてしまう原因となることから、日頃から適度な空気圧に調整しておくのが肝要であり、毎日のクラブ活動や試合前には、必ずエアポンプなどを用いて一つ一つのボールを確かめ、必要に応じて空気を充填しなければならず、一般にはエアポンプのホース先端に直径2mm、長さ30mm程度のニードルの基端金具部分を接続し、該ニードルをボールのバルブスリットに差し込み、圧縮空気を注入するものとなっているが、特に、バスケットボールのように表皮が厚く、重量の重いボールなどは、圧縮空気の注入を受けて内部空気圧が高まると、バルブ部分にも強い張力が働き、バルブスリット内周とニードル外周との間の摩擦力が高まって抜き取ることができなくなってしまい、無理にえぐったりして抜き取ろうとするとニードル自体が曲がってしまったり、または、破断してしまったりすることがあり、取扱いの難しいものであった。
【0003】
こうしたトラブルを防止するため、各ボールメーカーは、空気を入れる前に必ずニードルを石鹸水か潤滑剤で濡らして使用するようにしたり、必ずニードルをバルブに垂直に差し込み、少しづつ空気を入れるようにしたりすることなどを推奨しているが、こうした工夫を一般の児童や学生達に徹底するのは非常に難しく、不注意によってニードルが変形したり、破断してボールの内部に残されてしまったりするのを確実に防止することは殆ど不可能なものであった。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を憂慮し、例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、ニードル(ないしチューブまたはホース)を小型軽量なポンプ内部に収納することができ、ニードルを取り外す必要がないハンドポンプを提供しようとするものや、同特許文献1(2)に見られるような、ボールを載せる台座と、台座に対して昇降自在で、台座に載せたボールを上方側から押さえる押圧部とから成り、押圧部には、ボールの空気充填口にニードルを差し込むニードル挿入用ジャケットを備えた梃子ハンドルが取り付けられると共に、このニードル挿入用ジャケットを受け入れるガイド筒を設け、ボールの空気充填口に対するニードルの差し込み方向と抜き取り方向とを常に垂直に維持し、ニードルの折損を確実に防止できるようにしたものなどが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなニードルをポンプ内部に収納可能としたハンドポンプなどは、運搬や携帯中にニードルを確実に保護できるという利点を有するものの、ボールにニードルを差し込んで圧縮空気を注入し、ニードルを抜き取るという一連の作業中にニードルが変形したり、破断してしまうなどといった事故を防止できるものとはなっておらず、また、特許文献1(2)のボールを載せる台座を有する空気入れ用の補助装置などは、ボールを上下から押さえ込む必要から、装置自体が必ずボール直径よりも大きなものとならざるを得ず、運搬や携行に不都合を来してしまうという致命的な欠点を有することになっていた。
【特許文献1】(1)特開2006−200384号公報 (2)特開2008−23271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までのニードルあるいはそれに関連してボールに空気を注入する手段として、空気の注入作業に配慮して作業し易くなるよう工夫したり、個々の部品として保管、携行したりする最中の変形、破損の防止に係わるものばかりであり、子供や女学生など、それ程の力がない者の取り扱い、特に、空気の注入を終えてボールからニードルを抜き去るときに生じる困難な作業について配慮したものが見当たらず、指導、監督する教師や指導員が傍についていて手助けしてやらない限り、それら子供達に任してしまうと、力の無さから無理にこねくり回すなどしてニードルを変形させてしまうという事態が頻発したり、場合によっては力を入れたときの反動などで、本人や周囲に居る人を傷付けてしまうといった事故までを惹起し兼ねず、小中高などの体育指導に当たる者の一人として、これらの状況を放置されたままに過ごす訳にはいかないと認識するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、ボールへの空気注入作業中にニードルの変形や破断を確実に防止可能とする上、空気入れの作業性を向上可能とし、且つ運搬や携行が容易で、しかも運搬中や携行中のニードルを確実に保護可能なものとする新たなニードルの保護技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の空気入れハンドル、およびそれを利用した新規な圧縮空気の充填方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の空気入れハンドルは、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、圧縮空気の供給源に気密状に接続可能な基端接続部を有する操作用パイプの先端に対し、空気充填対象物のバルブに差し込み用とするニードルの着脱用基端部が着脱自在且つ気密状に接続されたものにすると共に、当該操作用パイプの先端外周には、その先端から、装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとし、該雄ネジ部に、当該針抜き用ナットを、着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとした構成を要旨とする空気入れハンドルである。
【0009】
より具体的には、圧縮空気の供給源に直接か、または、耐圧管あるいは耐圧ホースを介してかの何れか一方で気密状に接続可能な基端接続部を有する操作用パイプの先端内周に刻設されたニードル着脱用雌ネジ部に対し、空気充填対象物のバルブに差し込み用とするニードルの基端部分外周にニードル着脱用雄ネジ部を刻設した螺着用基端部が着脱自在且つ気密状に螺着、同心状に接続されたものにすると共に、当該操作用パイプの先端外周には、その先端から、装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとし、該雄ネジ部に、少なくとも当該空気充填対象物のバルブ周辺表面に当接するがわとなる端面が、同ニードル針部に直交状となる環状平坦面を有するものに形成した当該針抜き用ナットを、着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとした構成からなる空気入れハンドルということができる。
【0010】
(関連する発明)
上記した空気入れハンドルに関連し、この発明には、それを利用した圧縮空気の充填方法も包含している。
即ち、空気入れハンドルの操作用パイプ先端外周に螺着した針抜き用ナットを、該操作用パイプの雄ネジ部奥がわ配置とするよう取り付け方向に正転操作して該操作用パイプ先端に接続したニードルが十分に露出された状態としてから、該ニードルを、空気充填対象物バルブのスリットに対して垂直に差し込んだ上、圧縮空気供給源からの空気を該操作用パイプ内の管路およびニードル中を通じて該空気充填対象物中に注入し、該空気充填対象物が所望の内圧まで高まった後、当該針抜き用ナットを操作用パイプの雄ネジ部に対して螺合方向とは逆回りとなる、螺解方向に逆転操作し、該操作用パイプの雄ネジ部に沿った回転操作を受けて当該ニードル先端がわに向けた推進力を発生するものとし、該針抜き用ナットの該空気充填対象物に当接する端面が、同空気充填対象物バルブのスリット周囲表面を押圧し、当該ニードルを相対的に引き抜くように操作するようにした、この発明の基本をなす前記空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法である。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、この発明の空気入れハンドルによれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、当該操作用パイプの基端接続部を圧縮空気の供給源に気密状に接続し、該針抜き用ナットがニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合された状態で、該ニードルの針部を空気充填対象物のバルブに、該針抜き用ナットの対峙端が当接する程度の深さまで差し込み、同空気充填対象物内に圧縮空気を充填した後、当該針抜き用ナットを螺合方向とは逆の螺解方法に回転操作するとネジ送り動作が得られ、自動的且つ相対的に操作用パイプが空気充填対象物のバルブより後退するものとなり、バルブスリットとの摩擦力の影響を受けずに、軽快かつ簡単に該ニードルの針部が同空気充填対象物のバルブから垂直に抜き取られるものとなり、従前までに多く発生していたニードル脱抜操作の際の変形や折損などを確実に防止できるものにすることができるという秀れた特徴が得られるものである。
【0012】
加えて、針抜き用ナットの少なくとも当該空気充填対象物のバルブ周辺表面に当接するがわとなる端面が、同ニードル針部に直交状となる環状平坦面となるようにし、空気充填対象物のバルブから抜き取る際のニードル針部の姿勢を、より確実に該空気充填対象物のバルブに対して垂直に維持するものとなり、ニードルを変形や破損から保護する機能を各段に高めることができるものとなる。そして、操作用パイプの雄ネジ部に、針抜き用ナットを着脱自在としたものは、運搬や携帯する場合に、該針抜き用ナットをニードルと共に、操作用パイプから分解、取り外しして夫々を保護ケースなどに収納して運搬可能であり、輸送や形態中の該針抜き用ナットおよびニードルの破損をより確実に防止できるものとなる。また、操作用パイプの雄ネジ部に、針抜き用ナットが針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在に設けたものは、空気充填対象物に圧縮空気を充填した後、針抜き用ナットを螺解方向に回転させてニードルをバルブから抜き取る際に、針抜き用ナットの旋回操作の最終段階となったときにも、ニードル針部先端がわの2ないし3mmの範囲が、該バルブスリットに残り、不用意に空気充填対象物バルブから離脱してしまうのを防止し、空気充填対象物表皮への擦傷や床面への不用意な落下などを未然に防止でき、しかもニードル針部先端を引き抜く操作力も、2ないし3mmの浅さから引き抜くものとなって大幅に軽減して、より安全、確実に空気充填対象物バルブからニードルを抜き取ることができるものとなる。
【0013】
そして、操作用パイプの基端接続部を圧縮空気の供給源に耐圧管あるいは耐圧ホースを介して接続してあり、操作用パイプの取り回しが容易になり、空気充填対象物への空気の充填作業性を大幅に高めることができるものとなり、また、操作用パイプの先端内周のニードル着脱用雌ネジ部に、ニードルの螺着用基端部のニードル着脱用雄ネジ部が着脱自在に螺着されてなる空気入れハンドルは、万が一ニードルに変形や破損が生じた場合に、簡便に市販のニードルと交換することができ、長期に渡る利用とメンテナンスとを実現化することができる。
【0014】
さらに、当該針抜き用ナットの空気充填対象物への接触端がわ適所に、同針抜き用ナットのナット孔周囲に環状配置となる回転座金部が、該ナット孔の螺合回転軸心回りに回転自在となるよう着脱自在とするか、または回転自在に連結するかの何れか一方によるものとし、針抜き用ナットの回転操作の際に生じる空気充填対象物バルブ周辺表面との摩擦力を大幅に低減し、より一段と針抜き用ナットの回転操作性を軽快なものとすることができ、空気充填対象物表面の摩耗を確実に防止できるものとなる。
【0015】
さらにまた、当該針抜き用ナットの外周全面か、または外周の一部かの何れか一方の範囲に渡り、軟質合成樹脂製か、または硬質合成樹脂製かの何れか一方の材質からなる筒型グリップカバーが外装、一体化されるようにし、針抜き用ナットのグリップ性を高めてハンドリングし易くし、弱い力でもより強い回転力を与えることができるものとなり、握力の弱い児童や女性、高齢者などにも使い易く、軟質合成樹脂製とした場合には、操作用パイプから不用意に離脱して落下してしまった場合にも筒型グリップカバーが緩衝材となって床や足下への衝撃を各段に減少するものとなる。
【0016】
この発明の基本をなす空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法によれば、該空気入れハンドルのニードルを、空気充填対象物バルブのスリットに対して垂直に差し込むことにより、同空気充填対象物のバルブを保護すると共に、差し込み操作に伴うニードルの変形や破損を防止することができ、圧縮空気供給源からの空気を該空気充填対象物中に注入した後、針抜き用ナットを操作用パイプの雄ネジ部に対して螺合方向とは逆回りとなる螺解方向に逆転操作し、該操作用パイプの雄ネジ部に沿った回転操作を受けて当該ニードル先端がわに向けた推進力を発生するものとすると、該針抜き用ナットの該空気充填対象物に当接する端面が、同空気充填対象物バルブのスリット周囲表面を押圧し、当該ニードルを相対的に引き抜くように操作するものとなり、ニードルの軸心に平行な方向であって、しかも空気充填対象物のバルブに垂直な方向にのみ引き抜き力が発生するものとすることができ、該ニードルの変形や破損を確実に防止することができるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
操作用パイプは、この発明の空気入れハンドルの操作用把持部分となる本体を形成すると共に、その基端が、圧縮空気供給源に接続可能であり、その先端にはニードルの基端がわを当該圧縮空気供給源に連通するよう着脱自在に装着可能とし、しかもその先端がわ外周には針抜き用ナットを装着済みのニードルと平行な軸心方向に進退自在に螺着可能とする機能を果たすものであり、ニードルの抜き差し操作や、針抜き用ナットの旋回操作、および圧縮空気の注入操作などに十分に耐える強度ならびに気密性を確保可能なものとし、基本的には円筒状のパイプからなり、その基端を圧縮空気供給源に接続可能な基端接続部とし、先端にニードルの着脱用基端部が着脱自在であり、先端外周にニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとしなければならず、必要に応じてニードルの差し込み操作を補助可能なグリップ部分や、針抜き用ナットの旋回操作を容易にするハンドル部分などを支障のない箇所に外装、追加形成したものとすることが可能である。
【0018】
操作用パイプ基端の圧縮空気の供給源への基端接続部は、該操作用パイプの基端を当該圧縮空気の供給源に気密状に接続可能とするものであり、当該供給源に直接か、または、耐圧管あるいは耐圧ホースを介してかの何れか一方で気密状に接続可能なものとすべきであり、例えば耐圧管あるいは耐圧ホースの端部に一体化されてなるものや、接続用カプラやその他のワンタッチ接続用部品類などを採用して着脱自在に接続されたものとすることができる。
【0019】
操作用パイプ先端のニードル着脱用雌ネジ部は、市販のニードルの着脱用基端部の基端部分外周に刻設されているニードル着脱用雄ネジ部が、着脱自在かつ気密状に螺着可能とするものであり、操作用パイプの少なくとも先端がわ外周に刻設された針抜き用ナット螺着用の雄ネジ部と同心状の配置となるよう形成し、ニードルを十分な強度で連結可能とするものとしなければならない。
【0020】
操作用パイプ先端外周の雄ネジ部は、針抜き用ナットを着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合可能とする機能を果たし、ニードルを空気充填対象物のバルブに差し込む操作や、針抜き用ナットを旋回操作するようにしてニードルを該バルブから抜き取る操作などに伴う操作力に十分に耐える強度を有するものとしなければならない。
【0021】
ニードルは、基端がわが操作用パイプの先端に気密状に接続可能であり、針部先端を空気充填対象物のバルブに差し込み可能とし、操作用パイプ中を通じて供給された圧縮空気が外部に漏出せずに該空気充填対象物内に注入されるようにする機能を果たし、基本的に従来型のエアポンプ用の空気針としてのニードルであるということができ、市販のニードルと簡単に交換可能な寸法、形状のものに設定されたものとするのが望ましい。
【0022】
針抜き用ナットは、操作用パイプの先端がわ外周に螺着されて、操作用パイプに対して螺着方向に旋回操作すると、該操作用パイプ先端のニードル針部を十分に露出するよう同操作用パイプの軸心に同心状且つ平行に後退し、操作用パイプに対して螺着方向とは反対の螺解方向に旋回操作すると、該操作用パイプ先端のニードル針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置まで前進するか、または、さらに操作用パイプ先端から離脱してしまうまで該ニードル針部に同心状且つ平行に前進可能となって、空気充填対象物のバルブに差し込まれたニードル針部を、該空気充填対象物のバルブに対して垂直に抜き取り可能とする機能を果たすものであり、当該操作用パイプの先端に装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法に設定されたものとし、該操作用パイプの先端外周に刻設した雄ネジ部に螺着可能なものとしなければならず、後述する実施例に示すように、少なくとも当該空気充填対象物のバルブ周辺表面に当接するがわとなる端面が、同ニードル針部に直交状となる環状平坦面を有するものに形成したものとすべきである。
【0023】
また、針抜き用ナットは、後述する実施例に示すように、その軸方向の空気充填対象物への接触端がわとなる適所に、同針抜き用ナットのナット孔周囲に環状配置となる回転座金部が、該ナット孔の螺合回転軸心回りに回転自在となるよう着脱自在とするか、または回転自在に連結するかの何れか一方に設定されてなるものとすることができる外、後述する実施例に示すように、該針抜き用ナットの外周全面か、または外周の一部かの何れか一方の範囲に渡り、軟質合成樹脂製か、または硬質合成樹脂製かの何れか一方の材質からなる筒型グリップカバーが外装、一体化されてなるものとすることが可能である。
【0024】
圧縮空気の供給源は、空気充填対象物の低下した内圧に抗して、圧縮空気を強制的に充填可能とするよう、空気入れハンドルの操作用パイプ基端より、安定した圧力の圧縮空気を圧送可能とする機能を果たすものであり、手腕操作型や足踏み操作型などのエアポンプ、電動型のエアポンプやエアコンプレッサー、または、圧縮空気を充填した空気ボンベなどの外、十分な圧縮空気を空気入れハンドルの操作用パイプ基端に供給可能なものであれば何れのものであってもよく、空気充填対象物は、内部に空気を注入可能なものであって、適所にニードルを差し込んで空気を充填可能なバルブを有するものとしなければならず、例えば、各種競技用または遊技用のボールやタイヤなどの外、浮き輪やエアクッション、簡易プールなど様々なものとすることができる。
【0025】
この発明の基本をなす空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法は、ニードルを空気充填対象物バルブのスリットに対して垂直に差し込むときに、差し込み操作する人間の感覚によってニードルの姿勢を該バルブのスリットに対して垂直にコントロールするよう設定可能であるが、予めニードルの基端部分が該バルブ表面に当接するよりも先に、針抜き用ナットの対峙端面が、空気充填対象物バルブの周辺表面に当接するよう、操作用パイプへの針抜き用ナットの螺合深さを調節、設定しておき、ニードルを該バルブスリットに差し込んだときに、針抜き用ナットの環状対峙端面が、空気充填対象物バルブの周辺表面に当接して、ニードルをバルブスリットに対して垂直な姿勢に保持可能とするよう設定されたものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0026】
図1の分解状態の空気入れハンドルの側面図、図2の針抜き用ナットが先端まで前進した空気入れハンドルの側面図、図3の 針抜き用ナットが深部まで後退した空気入れハンドルの側面図、図4の針抜き用ナットが深部まで後退した空気入れハンドルの斜視図、図5の一部に変更を加えた針抜き用ナットを取り外した空気入れハンドルの側面図、図6の一部に変更を加えた針抜き用ナットを装着した空気入れハンドルの斜視図、および、図7のコンプレッサーに接続した空気入れハンドルの斜視図に示す事例は、操作用パイプ2の先端に、ニードル3の着脱用基端部31が着脱自在に接続されたものとし、当該操作用パイプ2の先端外周に、その先端から該ニードル3より長い雄ネジ部23を針抜き用ナット4が螺着可能となるよう刻設し、該雄ネジ部23に、当該針抜き用ナット4を着脱自在か、または針部30先端を最大でも僅かに露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、ニードル3の針部30に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとした、この発明の空気入れハンドルにおける代表的な一実施例を示すものである。
【0027】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の空気入れハンドル1は、その本体部分を形成する外径15mm、内径9mm、長さ60mmの合成樹脂製の外パイプ20中に、外径9mm、長さ115mmの金属製中パイプ21が、その先端の6mm、後端の45mmを夫々露出する状態に打ち込まれて一体化された操作用パイプ2を有し、該中パイプ21先端には、市販ニードル3着脱用基端部31のニードル着脱用雄ネジ部32が螺着可能なニードル着脱用雌ネジ部22を刻設し、同中パイプ21の基端には、圧縮空気の供給源5である小型のエアコンプレッサー5より延伸された耐圧ホース50先端に着脱自在に接続可能な図示しないエアカプラからなる基端接続部が一体化、形成されたものとなっており、該外パイプ20の外周先端より基端がわへ43mmの範囲にM14の雄ネジ部23が刻設されたものとしてある。
【0028】
図1ないし図4に示すように、該操作用パイプ2の雄ネジ部23には、ニードル3針部30の全長30mmと、同着脱用基端部31の露出部分5mmと、外パイプ20先端から露出する中パイプ21の先端6mm部分とを合計した長さ41mmより十分に長い、50mmの長さに設定されたM14の金属製針抜き用ナット4が、着脱、螺合、進退自在に螺着されたものとし、該針抜き用ナット4の両端面は、M14の螺旋形軸心に直交する環状平坦面を形成するものとしてある。
【0029】
当該針抜き用ナット4は、図5および図6中に示すように、その軸方向の空気充填対象物である競技用ボール6(後述する図10および図11中に示す)への接触端壁に、同針抜き用ナット4のナット孔40周囲に環状配置となる回転座金部41が、該ナット孔40の螺合回転軸心回りに回転自在となるよう回転自在に連結、一体化されてなり、しかも同針抜き用ナット4の外周全面には、硬質合成樹脂製の筒型グリップカバー42が外装、一体化されたものとすることが可能である。
【0030】
(実施例1の作用)
以上のとおりの構成からなるこの発明の空気入れハンドル1は、この発明に包含される圧縮空気の充填方法に基づき利用することができ、以下では、この発明の圧縮空気の充填方法に従い、空気入れハンドル1による作用について、前記図1ないし図7、および、図8の圧縮空気注入中の空気入れハンドルの正面図、図9の脱抜操作中の空気入れハンドルの正面図、図10の圧縮空気注入中にある一部に変更を加えた空気入れハンドルの正面図、ならびに、図11のの脱抜操作中の一部に変更を加えた空気入れハンドルの正面図を参照しながら示して行くこととする。
【0031】
図7中に示すように、エアコンプレッサー5の耐圧ホース50に、当該空気入れハンドル1基端の図示しないカプラを接続し、図3中に示すように、操作用パイプ2の雄ネジ部23に螺着した針抜き用ナット4を螺合方向に旋回操作して最深位置付近まで後退させて、該操作用パイプ2先端に接続されているニードル3の針部30の全体が露出した状態としてから、図8に示すとおり、空気充填対象物である競技用ボール6バルブ60のスリットに対して垂直に差し込んだ上、エアコンプレッサー5から耐圧ホース50を通じて圧縮空気を注入し、該競技用ボール6の内圧を適正な空気圧値に調節した後、図9中の矢印に示すように、当該針抜き用ナット4を操作用パイプ2の雄ネジ部23に対して螺合方向とは逆回りとなる、螺解方向に逆転操作し、該操作用パイプ2の雄ネジ部23に沿った回転操作を受けて当該ニードル3先端がわに向けた推進力を発生するものとし、該針抜き用ナット4の該競技用ボール6に当接する端面が、同競技用ボール6バルブ60のスリット周囲表面を押圧し、当該ニードル3を相対的に引き抜くように作用するものとする。
【0032】
そして、当該雄ネジ部23に、当該針抜き用ナット4を、針部先端が最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置まで前進可能としたものは、ニードル3を競技用ボール6バルブ60から抜き去るときに、ニードル3先端の2ないし3mmの長さ範囲がバルブ60スリットに係合状態となり、ニードル3先端がバルブ60スリットから不用意に離脱してしまうことを防止して、ニードル3先端を引き抜くことで最終段階の引き抜き操作を完了するよう作業することが可能である。
【0033】
また、図5および図6、ならびに図10および図11に示すように、一部に変更を加えた針抜き用ナット4を組み込んでなる空気入れハンドル1を使用した場合には、ニードル3を競技用ボール6のバルブ60に差し込み、エアコンプレッサー5から供給される圧縮空気の注入を終える段階までは、前記図1ないし図4に示したものと同等の操作を行うことが可能であり、圧縮空気の充填を終えた後に、該ニードル3を競技用ボール6のバルブ60から抜き取る場合に、当該針抜き用ナット4を操作用パイプ2の雄ネジ部23に対して螺合方向とは逆回りとなる、螺解方向に逆転操作すると、図6中に示すように、同針抜き用ナット4の競技用ボール6表皮面に接合する回転座金部41が、針抜き用ナット4に対しては回転自在となっていて、競技用ボール6表皮面と回転座金部41とが互いに接合、停止状態を維持したまま、競技用ボール6表皮面と針抜き用ナット4との双方間の回転摩擦を大幅に軽減し、各段に円滑な旋回操作を実現化するものとなり、さらに、該針抜き用ナット4に一体に外装された筒型グリップカバー42が、針抜き用ナット4の把持を一段と容易なものとする。
【0034】
(実施例1の効果)
以上のような構成からなる実施例1の空気入れハンドル1は、前記この発明の効果の項で記載の特徴に加え、図1中に示すように、当該操作用パイプ2が、金属製の中パイプ21の外周に、合成樹脂製の外パイプ20を装着した二重構造となっており、高い耐久強度を達成可能とすると共に、十分に軽量化されたものとして携帯性にも秀れたものとすることができる上、図2中に示すように、操作用パイプ2の雄ネジ部23に対して針抜き用ナット4を回転操作し、操作用パイプ2の先端に装着されたニードル3の針部30全体が包囲されるよう、針抜き用ナット4を配置させたものとすると、ニードル3を操作用パイプ2から取り外さずに運搬、携帯した場合にも、ニードル3が他物との干渉や外力から保護されるものとなり、輸送中の折損や破断などをより確実に防止することができる。
【0035】
(結 び)
叙述の如く、この発明の空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、従前からのエアポンプやニードル部品類に関連する技術に比較し、製造も従前のものに少し手を加えるだけの容易なものとしているだけではなく、何よりも使用期間の延長化が図れて遥かに経済的なものとすることができる上、しかも簡単で安全な操作性、および保管、携行に際しての利便性を兼備していることから、安全性への配慮や、破損、変形などによる買い換えでの経済的負担を強いられてきた学校やスポーツクラブ、一般家庭はもとよりのこと、このような課題への対応を怠っていたスポーツ用品業界においても高く評価されることとなり、広範に利用、普及が図られていくことになるものと予想される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図面は、この発明の空気入れハンドルを利用した圧縮空気の充填方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】分解状態にある空気入れハンドルを示す側面図である。
【図2】針抜き用ナットを先端まで前進させた空気入れハンドルを示す側面図である。
【図3】針抜き用ナットを深部まで後退させた空気入れハンドルを示す側面図である。
【図4】針抜き用ナットが深部まで後退した空気入れハンドルを示す斜視図である。
【図5】一部に変更を加えた針抜き用ナットを示す側面図である。
【図6】一部に変更を加えた針抜き用ナットを示す斜視図である。
【図7】コンプレッサーに接続した空気入れハンドルを示す斜視図である。
【図8】圧縮空気注入中の空気入れハンドルを示す正面図である。
【図9】抜き取り操作中の空気入れハンドルを示す正面図である。
【図10】空気注入中の一部に変更を加えた空気入れハンドルを示す正面図である。
【図11】抜き取り操作中の一部に変更を加えた空気入れハンドルを示す正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 空気入れハンドル
2 操作用パイプ
20 同 外パイプ
21 同 中パイプ
22 同 ニードル着脱用雌ネジ部
23 同 雄ネジ部
3 ニードル
30 同 針部
31 同 着脱用基端部
32 同 ニードル着脱用雄ネジ部
4 針抜き用ナット
40 同 ナット孔
41 同 回転座金部
42 同 筒型グリップカバー
5 エアコンプレッサー(圧縮空気の供給源)
50 同 耐圧ホース
6 競技用ボール(空気充填対象物)
60 同 バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気の供給源に気密状に接続可能な基端接続部を有する操作用パイプの先端に対し、空気充填対象物のバルブに差し込み用とするニードルの着脱用基端部が着脱自在且つ気密状に接続されたものにすると共に、当該操作用パイプの先端外周には、その先端から、装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとし、該雄ネジ部に、当該針抜き用ナットを、着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとしたことを特徴とする空気入れハンドル。
【請求項2】
圧縮空気の供給源に直接か、または、耐圧管あるいは耐圧ホースを介してかの何れか一方で気密状に接続可能な基端接続部を有する操作用パイプの先端内周に刻設されたニードル着脱用雌ネジ部に対し、空気充填対象物のバルブに差し込み用とするニードルの基端部分外周にニードル着脱用雄ネジ部を刻設した螺着用基端部が着脱自在且つ気密状に螺着、同心状に接続されたものにすると共に、当該操作用パイプの先端外周には、その先端から、装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとし、該雄ネジ部に、少なくとも当該空気充填対象物のバルブ周辺表面に当接するがわとなる端面が、同ニードル針部に直交状となる環状平坦面に形成された当該針抜き用ナットを、着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとしたことを特徴とする空気入れハンドル。
【請求項3】
針抜き用ナットは、その軸方向の空気充填対象物への接触端がわとなる適所に、同針抜き用ナットのナット孔周囲に環状配置となる回転座金部が、該ナット孔の螺合回転軸心回りに回転自在となるよう着脱自在とするか、または回転自在に連結するかの何れか一方に設定されてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の空気入れハンドル。
【請求項4】
針抜き用ナットは、その外周全面か、または外周の一部かの何れか一方の範囲に渡り、軟質合成樹脂製か、または硬質合成樹脂製かの何れか一方の材質からなる筒型グリップカバーが外装、一体化されてなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の空気入れハンドル。
【請求項5】
空気入れハンドルの操作用パイプ先端外周に螺着した針抜き用ナットを、該操作用パイプの雄ネジ部奥がわ配置とするよう取り付け方向に正転操作して該操作用パイプ先端に接続したニードルが十分に露出された状態としてから、該ニードルを、空気充填対象物バルブのスリットに対して垂直に差し込んだ上、圧縮空気供給源からの空気を該操作用パイプ内の管路およびニードル中を通じて該空気充填対象物中に注入し、該空気充填対象物が所望の内圧まで高まった後、当該針抜き用ナットを操作用パイプの雄ネジ部に対して螺合方向とは逆回りとなる、螺解方向に逆転操作し、該操作用パイプの雄ネジ部に沿った回転操作を受けて当該ニードル先端がわに向けた推進力を発生するものとし、該針抜き用ナットの該空気充填対象物に当接する端面が、同空気充填対象物バルブのスリット周囲表面を押圧し、当該ニードルを相対的に引き抜くように操作するようにした、請求項1ないし4何れか一項記載の空気入れハンドルを利用する圧縮空気の充填方法。
【請求項1】
圧縮空気の供給源に気密状に接続可能な基端接続部を有する操作用パイプの先端に対し、空気充填対象物のバルブに差し込み用とするニードルの着脱用基端部が着脱自在且つ気密状に接続されたものにすると共に、当該操作用パイプの先端外周には、その先端から、装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとし、該雄ネジ部に、当該針抜き用ナットを、着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとしたことを特徴とする空気入れハンドル。
【請求項2】
圧縮空気の供給源に直接か、または、耐圧管あるいは耐圧ホースを介してかの何れか一方で気密状に接続可能な基端接続部を有する操作用パイプの先端内周に刻設されたニードル着脱用雌ネジ部に対し、空気充填対象物のバルブに差し込み用とするニードルの基端部分外周にニードル着脱用雄ネジ部を刻設した螺着用基端部が着脱自在且つ気密状に螺着、同心状に接続されたものにすると共に、当該操作用パイプの先端外周には、その先端から、装着済みとなっているニードルの針部先端までの長さ以上となる長さ寸法とした針抜き用ナットが螺着可能となる雄ネジ部を刻設したものとし、該雄ネジ部に、少なくとも当該空気充填対象物のバルブ周辺表面に当接するがわとなる端面が、同ニードル針部に直交状となる環状平坦面に形成された当該針抜き用ナットを、着脱自在か、または針部先端を最大でも2ないし3mmだけ露出状とする位置までに進退自在かの何れかであって、且つニードルの針部に掛からない姿勢に収まるようにして螺合させてなるものとしたことを特徴とする空気入れハンドル。
【請求項3】
針抜き用ナットは、その軸方向の空気充填対象物への接触端がわとなる適所に、同針抜き用ナットのナット孔周囲に環状配置となる回転座金部が、該ナット孔の螺合回転軸心回りに回転自在となるよう着脱自在とするか、または回転自在に連結するかの何れか一方に設定されてなるものとした、請求項1または2何れか一項記載の空気入れハンドル。
【請求項4】
針抜き用ナットは、その外周全面か、または外周の一部かの何れか一方の範囲に渡り、軟質合成樹脂製か、または硬質合成樹脂製かの何れか一方の材質からなる筒型グリップカバーが外装、一体化されてなるものとした、請求項1ないし3何れか一項記載の空気入れハンドル。
【請求項5】
空気入れハンドルの操作用パイプ先端外周に螺着した針抜き用ナットを、該操作用パイプの雄ネジ部奥がわ配置とするよう取り付け方向に正転操作して該操作用パイプ先端に接続したニードルが十分に露出された状態としてから、該ニードルを、空気充填対象物バルブのスリットに対して垂直に差し込んだ上、圧縮空気供給源からの空気を該操作用パイプ内の管路およびニードル中を通じて該空気充填対象物中に注入し、該空気充填対象物が所望の内圧まで高まった後、当該針抜き用ナットを操作用パイプの雄ネジ部に対して螺合方向とは逆回りとなる、螺解方向に逆転操作し、該操作用パイプの雄ネジ部に沿った回転操作を受けて当該ニードル先端がわに向けた推進力を発生するものとし、該針抜き用ナットの該空気充填対象物に当接する端面が、同空気充填対象物バルブのスリット周囲表面を押圧し、当該ニードルを相対的に引き抜くように操作するようにした、請求項1ないし4何れか一項記載の空気入れハンドルを利用する圧縮空気の充填方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−90740(P2010−90740A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259091(P2008−259091)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(508299175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(508299175)
【Fターム(参考)】
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