説明

空気処理システム

本発明は、商用車のための空気処理システム(10)であって、ケーシング(12)及び乾燥剤カートリッジ(14)を有し、乾燥剤カートリッジがケーシング(12)に結合されており若しくは結合可能となっており、更に乾燥剤カートリッジ(14)のカバーのためのカバーケーシング(16)を有しているものに関し、この場合にカバーケーシング(16)が、形状結合により前記乾燥剤カートリッジ(14)に結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥剤カートリッジを有する空気処理システムに関する。
【0002】
この種の空気処理システム若しくは乾燥剤カートリッジは、商用車、特にトラックやトラクターに用いられる。このような商用車は、多くの場合に1つ若しくは複数の圧力空気消費器を有しており、圧力空気消費器は、処理された圧力空気の供給を受けなければならない。典型的な圧力空気消費器は、例えば圧力空気式ブレーキシステムや空気ばね、更には駐車ブレーキシステム等である。商用車における圧力空気の供給のために、圧力空気供給装置が設けられており、圧力空気供給装置は特に空気処理システムを備えている。空気処理システムは、特に乾燥及び清浄された圧力空気を提供できるようになっていなければならない。このために、空気処理システムは一般的に、空気を乾燥させるための空気乾燥装置を備えており、空気乾燥装置は、多くの場合に空気のフィルタリングのためのフィルター装置をも備えている。フィルターの取り替えや特に乾燥剤の取り替え若しくは容易な保守のために、一般的に、乾燥剤カートリッジが、空気処理システムに結合される若しくは空気処理システム内に差し込まれる空気乾燥装置として用いられる。空気乾燥装置を空気処理システムに結合するために、バヨネット式結合部若しくはバヨネット錠が用いられるものである。バヨネット式結合部若しくはバヨネット錠は、差し込み・回動式結合部を介して空気乾燥装置と空気処理システムとを結合するようになっている。乾燥剤カートリッジと空気処理システムとを結合するバヨネット錠のための例が、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006037311A1号明細書に開示されており、記載内容は本発明の理解のために用いられるものである。
【0003】
乾燥剤カートリッジを空気処理システムに取り付け若しくは空気処理システムから取り外す際には、トルクが、空気処理システム及び乾燥剤カートリッジの種々の構成要素に作用させられる。例えばバヨネット錠のバヨネットリングを、空気処理システムへの乾燥剤カートリッジの固定のために用いる場合には、バヨネットリングの回動により、トルクが、空気処理システムのケーシング、乾燥剤カートリッジ、並びに乾燥剤カートリッジを取り囲むカバーケーシングに作用させられる。トルクにより、構成要素は互いに相対的に回動させられることになり、その結果、バヨネット錠の機能特性が損なわれ、またバヨネット錠の耐用年数が減少されてしまうことになる。
【0004】
特に、個々の構成要素の、バヨネットリングにより覆われるバヨネット突起が互いに合同に重なり合わないことが発生し得るものであり、空気処理システムが圧力で負荷されると、最適でない不均一な力伝達が生じてしまうことになる。更に、乾燥剤カートリッジの取り外しに際しては、バヨネット突起が合同に重なり合っていない場合には、バヨネットリングを場合によって外しにくい、或いは全く外せないという問題がある。正確に機能できない若しくは完全に機能できないバヨネット錠は、安全上の著しいリスクを有することになる。更に、乾燥剤カートリッジ若しくは空気処理システムの互いに回動されて正確に位置決めされていない構成要素は、空気貫流を不均一なものにし、ひいては空気処理システムの能率を低下させてしまうことになる。
【0005】
従って、空気処理システムの改良並びに乾燥剤カートリッジを改良する必要がある。
【0006】
本発明の課題は、回動防止されかつ良好に整合された構成要素を備えた空気処理システムを提供することである。
【0007】
本発明の上記課題が、独立請求項に記載の構成により解決される。本発明の有利な形態が従属請求項に記載してある。
【0008】
本発明の構成によれば、商用車のための乾燥剤カートリッジにおいて、乾燥剤カートリッジが、乾燥剤カートリッジケーシングを有しており、乾燥剤カートリッジケーシングは上方に対して蓋により画定され、かつ下方に対して支持部材又は支持要素により画定されている。更に乾燥剤カートリッジが、乾燥剤容器を有しており、乾燥剤容器は乾燥剤カートリッジケーシング内に受容されている。この場合に、乾燥剤容器が形状結合(形状による拘束又は束縛)により乾燥剤カートリッジケーシングに結合されている。特に、乾燥剤容器が乾燥剤を含んでいてよい。本発明により、乾燥剤容器と乾燥剤カートリッジケーシングとが簡単に互いに正確に整合され、その結果、所望の角度位置が得られ、運転時に空気が均一に流過できる。更に、形状結合による結合は、乾燥剤カートリッジの構成要素が正確に組み立てられたか否かを容易に識別することを可能にするので、乾燥剤カートリッジの製造が容易に行われる。更に、形状結合による結合は、乾燥剤カートリッジケーシングと乾燥剤容器との間の、これらの構成要素間の回動防止の改良につながる連結を行うものである。
【0009】
本発明の形態によれば、乾燥剤容器は、切欠き内に受容された少なくとも1つのピンにより支持部材に結合されている。ピン及び所属する切欠きとは、製造の際に簡単なプロセスによって設けられて、簡単な組立につながる形状結合による確実な結合を可能にするものである。更に、切欠き内に正確に差し込まれないピンは、直ちに構成要素間相互の傾きを発生させてしまい、その結果、組立不良が明瞭に認められるようになっている。
【0010】
有利な形態によれば、乾燥剤容器が少なくとも1つのピンを有しており、ピンが、支持部材の切欠き内に受容されている。可能な別の形態によれば、乾燥剤容器が少なくとも1つの切欠きを有しており、切欠きが支持部材のピンを受容している。更に可能な形態によれば、乾燥剤容器がピン及び切欠きを有しており、乾燥剤容器のピン及び切欠きが、支持部材の所属する切欠き及びピンと協働するようになっている。このような組み合わせは、特に良好で安定した形状結合による結合を提供するものである。
【0011】
別の形態によれば、乾燥剤容器が乾燥剤蓋を有しており、乾燥剤蓋が形状結合によりカバーに結合されている。これにより、上方の構成要素が互いに連結されている。特に有利には、乾燥剤容器がその蓋領域で乾燥剤カートリッジケーシングの蓋に、かつその下方の領域で支持部材に形状結合による結合されている。これにより、乾燥剤カートリッジの構成要素の内部の回動が避けられる。
【0012】
特に有利な形態によれば、乾燥剤蓋が、少なくとも1つの乾燥剤蓋リブを含んでおり、乾燥剤蓋リブが形状結合により、蓋の少なくとも1つの蓋リブに結合されている。この場合に、乾燥剤蓋は、有利には1つよりも多い乾燥剤蓋リブを含んでいる。リブ構造は、安定的な構成を可能にし、同時に空気流過を可能にするものである。特に有利には、1つの乾燥剤蓋リブが、2つの蓋リブ間に配置されている。これにより、蓋リブは、乾燥剤蓋リブのための一種の案内を形成しており、該案内は一面において、要求される正確な組立を可能にするものである。他面において、回動の際のリブの連結が得られる。類似の可能な形態によれば、1つの蓋リブが2つの乾燥剤蓋リブ間に受容されている。これらのリブ配置の組み合わせも合目的である。
【0013】
特に有利には、蓋リブと乾燥剤蓋リブとが軸線の方向で互いにほぼ上下に位置している。これにより、リブが少なくとも部分的に重なっていて、空気流過のための大きな横断面を可能にしている。支持部材の領域でもリブを用いる場合には、有利には該リブも軸線方向で蓋リブ及び乾燥剤蓋リブと重なっている。
【0014】
特に有利な形態によれば、乾燥剤カートリッジは、商用車の空気処理システムのケーシングのピンの受容のための少なくとも1つの切欠きを有している。有利には、乾燥剤カートリッジは、商用車の空気処理システムのケーシングのピンの受容のための横断面の互いに異なる少なくとも2つの切欠きを有している。合目的には、ピンは、その横断面が切欠きの横断面に相応するように形成されている。乾燥剤カートリッジは、ケーシングの切欠き内への受容のために設けられる1つ若しくは複数のピンをも有していてよく、若しくは少なくとも1つのピン及び少なくとも1つの切欠きを有していてよい。ピン及び所属する切欠きによって、乾燥剤カートリッジに対するケーシングの回動防止が達成される。異なる横断面形状により、所望の角度整合位置でのケーシングへの乾燥剤カートリッジの組み付けが保証される。
【0015】
本発明は、商用車のための、前述の乾燥剤カートリッジを備えた空気処理システムをも含んでいる。
【0016】
更に、本発明は、商用車のための次のような空気処理システムに関し、該空気処理システムは、ケーシング、ケーシングに結合されている若しくは結合可能となっている乾燥剤カートリッジ、及び乾燥剤カートリッジをカバーするためのカバーケーシングを有している。カバーケーシングは、形状結合により乾燥剤カートリッジに結合されている若しくは結合可能となっている。特に、カバーケーシングは、乾燥剤カートリッジとは別個に形成されていてよく、ようやく乾燥剤カートリッジの組み付け又は組立の際に、カバーケーシングが乾燥剤カートリッジの、ケーシングから自由に突出する部分を覆って保護するように、組み付けられてよい。乾燥剤カートリッジとカバーケーシングとの間の形状結合による結合は、正確な組付けを容易にし、回動運動の際にカバーケーシングと乾燥剤カートリッジとを連結することになり、その結果、トルクの作用時におけるこれらの構成要素間の相互の回動が避けられるようになっている。
【0017】
特に有利には、カバーケーシングがピンを有しており、ピンが乾燥剤カートリッジの切欠き内に受容されている。別の形態によれば、カバーケーシングが切欠きを有しており、切欠き内に乾燥剤カートリッジのピンが受容されている。最適には組合せもあり、この場合には、カバーケーシングも乾燥剤カートリッジもそれぞれ少なくとも1つのピン及び1つの切欠きを有している。
【0018】
特に有利な形態によれば、乾燥剤カートリッジとケーシングとがバヨネット錠によって結合されている若しくは結合可能となっている。乾燥剤カートリッジとケーシングとカバーケーシングとも、バヨネット錠によって結合されていてよく若しくは結合可能となっていてよい。バヨネット錠は、構成高さの低い場合の確実かつ良好な結合を提供するものである。
【0019】
特に有利には、乾燥剤カートリッジは、カバーケーシングのピンの受容のための切欠きを備えたバヨネット突起を有している。このような構成は、バヨネット錠を使用する場合に、カバーケーシングと乾燥剤カートリッジとが一般的にそのバヨネット突起の領域で互いに接触しており、従って既に存在する構造部分がピン及び切欠きの形成のために用いられるので実用的である。更に、バヨネット錠は、形状結合による結合部を成形する装置の形成のために特に良好に適する突出した構造部分を提供するものである。
【0020】
更に本発明の形態によれば、乾燥剤カートリッジとケーシングとが、切欠き内に配置された少なくとも1つのピンによって互いに結合されている。特に有利には、乾燥剤カートリッジは、横断面の互いに異なる2つ若しくは複数の切欠きを有しており、切欠きが、ケーシングの対応するピンを受容するように形成されている。有利には、ピンは、その横断面が切欠きの横断面に相応するように形成されている。乾燥剤カートリッジは、ケーシングの切欠き内への受容のために設けられる1つ若しくは複数のピンをも有していてよく、若しくは少なくとも1つのピン及び少なくとも1つの切欠きを有していてよい。ピン及び所属する切欠きによって、乾燥剤カートリッジに対するケーシングの回動防止が達成される。異なる横断面形状により、所望の角度整合位置でのケーシングへの乾燥剤カートリッジの組み付けが保証される。つまり全体的に、ケーシング、乾燥剤カートリッジ及びカバーケーシングの連結、ひいてはこれに伴う回動防止が達成される。
【0021】
特に有利には、乾燥剤カートリッジは、前述の乾燥剤カートリッジである。
【0022】
次に、本発明を図示の実施の形態に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】空気処理システムの縦断面図である。
【図2】乾燥剤カートリッジを下方から見た図である。
【図3】カバーケーシングと空気ドライヤーカートリッジとの間の形状結合による結合部を側方から見て示す図である。
【図4】支持部材と乾燥剤容器との間の形状結合による結合部を下方から見て示す図である。
【図5】乾燥剤蓋と乾燥剤カートリッジの蓋との間の形状結合による結合部の縦断面図である。
【0024】
図1は、空気処理装置の縦断面を示している。ケーシング12を備える空気処理システム10が示されており、ケーシング12に、乾燥剤カートリッジ14が受容されている。乾燥剤カートリッジ14は、上方からカバーケーシング16によって覆われ、つまりカバーされる。バヨネットリング20を備えるバヨネット錠18は、空気処理システム10のケーシング12、乾燥剤カートリッジ14及びカバーケーシング16を互いに結合するものである。このために、図示の実施の形態では、図面で見て左側及び右側にそれぞれ、バヨネットリング20の1つのバヨネット突起22、カバーケーシング16の1つのバヨネット突起24、乾燥剤カートリッジ14のバヨネット突起26、並びにケーシング12の1つのバヨネット突起28が設けられており、これらは周知の形式で互いに協働するようになっている。図示のように各2つのバヨネット突起22,24,26,28を設けることは、必須ではなく、その代わりに、構成要素毎に1つだけ若しくは2つより多い数のバヨネット突起22,24,26,28を設けることもできる。周知のように、バヨネット錠18のリング20は、乾燥剤カートリッジ14及びカバーケーシング16を解放するために回動可能である。
【0025】
ケーシング12が1つのピン30を有しており、ピンが乾燥剤カートリッジ14の相応の切欠き32内に受容されている。切欠き32とピン30とのこのような協働作用により、乾燥剤カートリッジ14は、空気処理システム10のケーシング12に対して回動防止されている。ピン30若しくは切欠き32とはそれぞれ異なって形成されている他の1つのケーシングピン並びに乾燥剤カートリッジの対応する1つの切欠きは、図示されていない。
【0026】
つまり、図示の実施の形態においては、ケーシングピン30のための互いに異なって形成された2つの切欠き32が設けられており、従って該切欠きは、互いに異なって形成されたケーシングピン30を受容するようになっている。このような構成により、ケーシング12への乾燥剤カートリッジ14の誤った装着が避けられる。もちろん、任意の適切な数のケーシングピン及び所属する切欠きが設けられてよい。
【0027】
乾燥剤カートリッジ14は、乾燥剤容器36及び支持部材38を含んでいる。乾燥剤容器36内に、空気の乾燥のための乾燥剤(図示省略)並びに空気の清浄のためのフィルターが受容されている。更に、乾燥剤容器36には、周囲に分配して配置された複数のリブ37が設けられており、該リブのうちの2つが図1に示されている。リブ37は、適切な数(図示の実施の形態ではリブが12個)で設けられてよいものであり、これにより、リブは、一面では十分な安定性を提供し、かつ他面では空気流を過度に妨げないようになっている。乾燥剤カートリッジ14の上方の端部に、乾燥剤蓋40が設けられており、乾燥剤蓋は乾燥剤容器36を上方に対して画定している。乾燥剤カートリッジ14自体は、上方に対して固有の蓋42により画定されており、該蓋は、乾燥剤蓋40の上側に位置していて、カバーケーシング16内に配置されている。ばね44が、乾燥剤蓋40に支えられていて、乾燥剤容器36を支持部材38とカバー42との間に締め付けている。つまり、乾燥剤容器36は、側壁を備える乾燥剤カートリッジケーシング35内に受容されており、乾燥剤カートリッジケーシングが、上方に対して蓋42により画定され、かつ下方に対して支持部材38により画定されている。この場合に、乾燥剤カートリッジケーシング35は、それが適切に選ばれた部位において、乾燥剤容器36への若しくは乾燥剤容器からの、運転時に所望される空気流を許すために、通気性であるように形成されていてよい。更に可能な構成として、乾燥剤カートリッジケーシング35の側壁と蓋42とは、例えば側壁が蓋42から耳片状に突出するようにして、一体に形成されていてよいものである。乾燥剤カートリッジ14は、乾燥剤カートリッジケーシング35並びにその中にある構成要素を含んでいる。カバーケーシング16はそれとは別個に形成されていて、カバーケーシングを空気処理システム10のケーシング12に組み付けた場合に、乾燥剤カートリッジ14を覆い、密閉しかつ保護するために用いられるものである。
【0028】
図2には、乾燥剤カートリッジ14が下方から見て示してある。外側に配置された環状の構造部は、乾燥剤カートリッジ14の複数のバヨネット突起26を含んでいる。更に、バヨネット突起26の1つに設けられた切欠き34が見て取れ、切欠きは、カバーケーシング16のピン50を受容するようになっている。他の突起26は、凹部48を有しており、凹部は、乾燥剤カートリッジ14をケーシング12から持ち上げるために、ねじ回しのような工具のためのスペースを提供することにより、乾燥剤カートリッジ14の取り外しを容易にするものである。
【0029】
支持部材38は、換気穴46及び支持リブ39を有している。更に、ケーシング12の異なって形成されたピン30の受容のための異なって形成された切欠き32が設けられている。少し明るい構造部は、乾燥剤容器36の下面を成しており、乾燥剤容器は、この図では部分的に支持部材38によって覆われている。見て取れるように、支持部材38と乾燥剤容器36とは、乾燥剤容器36のリブ37と支持リブ39とが直接に上下に位置し、従って、貫流する空気のための不必要な空気抵抗が生じないように、互いに角度整合されている。この場合に、リブ37と支持リブ39とを同一の数で設ける必要はない。図示の実施の形態では、リブ37の数は支持リブ39の数の半分であり、これにより、乾燥剤容器36の十分な安定性が得られる。
【0030】
図3は、カバーケーシング16が乾燥剤カートリッジ14に結合されている状態を側方から見て示している。カバーケーシング16の突起24が、乾燥剤カートリッジ14の突起26上に載せられている。突起26の切欠き34内に、カバーケーシング16から下方へ向けられたカバーケーシングピン50が差し込まれており、カバーケーシングピン50は図3では切欠き34を覆っている。
【0031】
図4は、乾燥剤カートリッジ14を下方から見た部分図である。支持部材38の支持リブ39が明確に見て取れる。乾燥剤容器36は、支持部材38の上側に配置されている。乾燥剤容器には1つの容器ピン52が設けられており、容器ピン52は支持部材38の支持体切欠き54内に嵌め込まれている。このような構成によって、支持部材38と乾燥剤容器36とを形状結合(形状による拘束又は束縛)により互いに結合し、かつ互いに正確に整合することが保証され、そうでない場合には、これらの構成要素は、組立に際して組み合わされないか、或いは互いに明らかに傾いた状態でしか組み合わされないからである。前述の構成により、乾燥剤カートリッジ14の製造に際してすでに、支持部材38及び乾燥剤容器36の正確な角度整合が達成されている。複数の容器ピン52及び所属する支持体切欠き54を設けることができ、各容器ピン52及び支持体切欠き54は、合目的には、乾燥剤容器36と支持部材38との間の一義的な位置決め若しくは整合を保証するために、互いに異なって形成される。
【0032】
図5は、乾燥剤カートリッジ14の上方の蓋領域の縦断面を示している。蓋42と乾燥剤蓋40とは同じく形状結合により互いに結合されており、その結果、蓋42と乾燥剤蓋40との間の正確に規定された角度整合が生じている。このために、複数の乾燥剤蓋リブ58が乾燥剤蓋40に設けられており、乾燥剤蓋リブ58の1つが図示されている。他方、蓋42が、下方へ乾燥剤蓋40に向かって突出する複数の蓋リブ56を有しており、蓋リブの各2つがそれぞれ1つの乾燥剤蓋リブ58を取り囲んでいる。乾燥剤蓋リブ58と所属する蓋リブ56との間には、乾燥剤蓋40への蓋42の組み付けを容易にするために、わずかな遊びが存在している。このようなリブ配置により、蓋42と乾燥剤蓋40とは、所望の位置で相対している。更に、組み付けの際に、所望の位置が得られていない場合には、突出しているリブが構成要素を相対的に傾倒させるので、所望の位置が容易に調整され、かつ容易に固定される。図示の実施の形態においては、12の乾燥剤蓋リブ58が設けられているものの、乾燥剤蓋リブ58のほかの適切なあらゆる数が考えられる。
【0033】
図示の実施の形態のピン30,50と切欠き32,34とは、ケーシング12と乾燥剤カートリッジ14とカバーケーシング16とが相対回動不能に互いに結合されるように、協働している。つまり、バヨネットリング20が、分解のために、構成要素、即ちケーシング12、乾燥剤カートリッジ14及びカバーケーシング16をバヨネットリングにより互いに結合している位置から回動させられるか、或いは構成要素の組立のために別の方向に回動させられる場合に、構成要素、即ちカバーケーシング16、乾燥剤カートリッジ14及びケーシング12は、切欠き32と係合するピン30及び切欠き34と係合するカバーケーシングピン50を介して相互に支えられ、従ってバヨネットリングの回転運動によって連行されないようになっている。これによって、構成要素が互いに相対的に回動することが阻止される。
【0034】
ピンと切欠きとにより形成される、一方で乾燥剤容器36と支持部材38との間の、他方で乾燥剤蓋40と蓋42との間の形状結合による結合部は、構成要素の互いの回動を阻止するように作用している。更に、構成要素は、すでに乾燥剤カートリッジの製造の際に、構成要素が相互の正確な位置を有し、即ち構成要素が正確に規定された相互の角度整合を有するように、容易に組み立てられるものである。これにより、構成要素は、空気処理システムの運転時において空気のできるだけ一様な流過を達成するために、互いに最適に整合されている。これにより、乾燥能力の向上が達成される。特に形状結合による結合に基づき、次のことが達成され、つまり、蓋リブ56、乾燥剤蓋リブ58、リブ37及び支持リブ39が軸線方向でほぼ重なっており、これにより、乾燥剤カートリッジ14の流れ抵抗が減少され、かつ空気流の望ましくない渦が避けられる。
【0035】
明細書、図面及び特許請求範囲に記載された本発明の構成事項は、個別に、或いは任意に組み合わせて本発明の実施のために用いられるものである。
【符号の説明】
【0036】
10 空気処理システム、 12 ケーシング、 14 乾燥剤カートリッジ、 16 カバーケーシング、 18 バヨネット錠、 20 バヨネットリング、 22,24,26,28 バヨネット突起、 30 ケーシングピン、 32,34 切欠き、 35 乾燥剤カートリッジケーシング、 36 乾燥剤容器、 37 リブ、 38 支持部材、 39 支持リブ、 40 乾燥剤蓋、 42 蓋、 44 圧縮ばね、 46 換気穴、 48 凹部、 50 カバーケーシングピン、 52 容器ピン、 54 支持体切欠き、 56 蓋リブ、 58 乾燥剤蓋リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車のための空気処理システム(10)において、
ケーシング(12)を有し、
乾燥剤カートリッジ(14)を有し、該乾燥剤カートリッジが前記ケーシング(12)に結合されており若しくは結合可能となっており、
前記乾燥剤カートリッジ(14)のカバーのためのカバーケーシング(16)を有し、
前記カバーケーシング(16)が、形状結合により前記乾燥剤カートリッジ(14)に結合されており若しくは結合可能となっていることを特徴とする、空気処理システム。
【請求項2】
カバーケーシング(16)がピン(50)を有しており、該ピンが、乾燥剤カートリッジ(14)の切欠き(34)内に受容されている請求項1に記載の空気処理システム。
【請求項3】
カバーケーシング(16)が切欠きを有しており、該切欠き内に、乾燥剤カートリッジ(14)のピンが受容されている請求項1又は2に記載の空気処理システム。
【請求項4】
乾燥剤カートリッジ(14)とケーシング(12)とが、バヨネット錠(18)により結合されており若しくは結合可能となっている請求項1から3のいずれか1項に記載の空気処理システム。
【請求項5】
乾燥剤カートリッジ(14)とケーシング(12)とカバーケーシング(16)とが、バヨネット錠(18)により結合されており若しくは結合可能となっている請求項1から4のいずれか1項に記載の空気処理システム。
【請求項6】
乾燥剤カートリッジ(14)が、カバーケーシング(16)のピン(50)の受容のための切欠き(34)を備えたバヨネット突起(26)を有している請求項1から5のいずれか1項に記載の空気処理システム。
【請求項7】
乾燥剤カートリッジ(14)とケーシング(12)とが、切欠き(32)内に配置された少なくとも1つのピン(30)により互いに結合されている請求項1から6のいずれか1項に記載の空気処理システム。
【請求項8】
乾燥剤カートリッジ(14)が、異なる横断面を有する2つ若しくは複数の切欠き(32)を有しており、該切欠きが、ケーシング(12)の対応するピン(30)を受容するように形成されている請求項7に記載の空気処理システム。
【請求項9】
乾燥剤カートリッジ(14)が、請求項1から8のいずれか1項に記載の乾燥剤カートリッジ(14)である請求項1から8のいずれか1項に記載の空気処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−510758(P2013−510758A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538306(P2012−538306)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067107
【国際公開番号】WO2011/058006
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(597007363)クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (110)
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】