空気吹出調整用レジスタ
【課題】
複数の横フィンと、複数の縦フィンとが斜交して配置されたレジスタにおいて、いずれか一方のフィンに設けられた操作ノブを操作することにより、互いに斜交した横フィン及び縦フィンを回転させてそれぞれの向きを容易に変更することができる空気吹出調整用レジスタを提供する。
【解決手段】
レジスタは縦可動ルーバの縦フィン31と、横可動ルーバの横フィンとを斜交して配置する。横フィン21は操作ノブ35と、操作ノブに設けられ、縦フィン31の回転軸心に沿って配置された複数の歯を有するノブ歯車37を備える。レジスタは横フィン21に設けられた複数の歯を周方向に有する三次元歯車23を有する。三次元歯車23は縦フィン31回転軸心に沿った操作ノブの摺動時にノブ歯車37との噛合により横フィン21を回転するとともに、縦フィン31の回転軸心の周り方向の回転時にノブ歯車37の同方向の回転を許容する。
複数の横フィンと、複数の縦フィンとが斜交して配置されたレジスタにおいて、いずれか一方のフィンに設けられた操作ノブを操作することにより、互いに斜交した横フィン及び縦フィンを回転させてそれぞれの向きを容易に変更することができる空気吹出調整用レジスタを提供する。
【解決手段】
レジスタは縦可動ルーバの縦フィン31と、横可動ルーバの横フィンとを斜交して配置する。横フィン21は操作ノブ35と、操作ノブに設けられ、縦フィン31の回転軸心に沿って配置された複数の歯を有するノブ歯車37を備える。レジスタは横フィン21に設けられた複数の歯を周方向に有する三次元歯車23を有する。三次元歯車23は縦フィン31回転軸心に沿った操作ノブの摺動時にノブ歯車37との噛合により横フィン21を回転するとともに、縦フィン31の回転軸心の周り方向の回転時にノブ歯車37の同方向の回転を許容する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車内等の換気や空調の吹出口に使用される空気吹出調整用レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通風路を形成するベゼル内に、複数の横フィンを平行に配置してなる横可動ルーバと、複数の縦フィンを平行に配置してなる縦可動ルーバを前後に位置するように配置した空気吹出調整用レジスタが知られている(特許文献1、2)。
【0003】
前記各横フィン並びに各縦フィンにはルーバの回転操作時に同じ方向を向くように、リンクバーが各フィンに連結された構造となっている。
特許文献1の空気吹出調整用レジスタは、図11に示すように操作ノブ100が、横可動ルーバの中央部の横フィン110上に、その軸方向(横方向)に摺動可能に嵌合されるとともに、前記横可動ルーバの横フィン110と共に上下に回転可能に設けられている。図11は、特許文献1に記載のレジスタの断面図である。この操作ノブ100の先端には、後方に位置する縦可動ルーバの縦フィン104の被係合部に係合する係合部が形成されている。上記の空気吹出調整用レジスタは、風の向きを左右に調整する場合、前記操作ノブ100を横可動ルーバの横フィン110上で左又は右に摺動させて、後の縦可動ルーバの向きを左右に変え、風の向きを上下に調整する場合、操作ノブを横可動ルーバのフィンと共に上又は下に回転させて風の向きを調整する。
【0004】
特許文献1では、図11に示すように前記係合部として、前記操作ノブ100から二股状の作動片102が突出しており、該作動片102が後方に位置する中央の縦可動ルーバの縦フィン104に設けられた偏位軸106(縦フィン104の回転軸心Oよりも前側に位置した軸)に対して係合するようにされている。そして、操作ノブ100の左右の移動に応じて、前記作動片が、縦フィン104に被係合部として設けられた偏位軸106に対して左右のいずれかから係合して前記縦フィン104の向きを変えるようにしている。
【0005】
特許文献2では、前記操作ノブの後方に前記係合部としてラックが横方向に延出されており、同ラックが、後方に位置する中央の縦可動ルーバに設けられた被係合部としての部分歯車と噛み合うように配置されている。そして、操作ノブの左右のいずれかの方向に移動すると、ラックに噛み合った部分歯車を介して前記縦フィンの向きを変えるようにしている。なお、前記部分歯車は平歯車の部分歯車である。
【0006】
ところで、従来、上記特許文献1,2の空気吹出調整用レジスタは、断面形状が長方形又は正方形のようにコーナーが直交する四角形である吹出口において、前記縦フィン及び横フィンのそれぞれの回転軸心が、互いに直交するように格子状に配置されている。このことにより、前記四角形の上下に位置する2辺と横フィンとを平行に配置できるとともに、左右に位置する二辺と縦フィンとを平行に配置できるため、見映え良く配置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−318440号公報 図1
【特許文献2】特開2007−131055号公報 図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来は図10に示すように、吹出口120の断面形状が、平行四辺形となっている場合にも、縦フィン104及び横フィン110の回転軸心をそれぞれ直交するように配置していた。このため、従来は、縦フィンを前記吹出口の左右二辺に対して平行に配置すると、横フィンは上下の二辺には平行とならず、横フィンを前記吹出口の上下二辺に対して平行に配置すると、縦フィンが左右二辺に平行とならず、見映えが悪くなる。
【0009】
又、断面形状が平行四辺形の吹出口を有するレジスタにおいて、特許文献1の係合部と被係合部の構成を利用することが考えられる。すなわち、図11に示す縦フィン104を吹出口の左右の二辺に平行に配置し、横フィン110を前記吹出口の上下二辺に平行に配置することにより、それぞれの回転軸が互いに斜交するように配置することが考えられる。
【0010】
ここで、図12(a)は、吹出口を車室側からレジスタを見た場合、縦フィン104の中立位置(フィンにより吹出口から吹出す空気流を直進させる位置)に位置しているときの、偏位軸106と作動片102との位置関係を表している。同図において、作動片102の上限位置をA1で示し、下限位置をB1で示している。特許文献1では、作動片102の上限位置及び下限位置は、作動片102がその位置において、偏位軸106の上端及び下端の近傍に位置する縦フィン104の切欠きの上端及び下端に係合することにより規定されている。そして、作動片102が上限位置に位置するときは、横フィン110は下向きの限界位置となり、作動片102が下限位置に位置するときは横フィン110の上向きの限界位置となる。
【0011】
又、図12(b)は、吹出口を車室内からレジスタを見た場合、縦フィン104の中立位置から、縦フィン104が向かって左向きになるように回転されて偏位軸106が移動したときの、偏位軸106と作動片102との位置関係を表している。図12(b)に示すように、この場合は、作動片102の上限位置はA1からA2迄下がるとともに、作動片102の下限位置はB1からB2迄下がる。ここで作動片102が上限位置A1及び下限位置B1に位置するときに、横フィン110がそれぞれ下向きの最大位置及び上向きの最大位置とした場合、A2の上限位置は、横フィン110の下向きの最大位置ではなくなる。
【0012】
縦フィン104が向かって右向きになるように回転されて偏位軸106が移動したときには、上記と同様の理由から、作動片102の下限位置がB1よりも上方に移動するため、B1よりも上方に位置した作動片102の下限位置は、横フィン110の上向きの最大位置ではなくなる。このように、特許文献1の係合部と被係合部の構成は、横フィンと縦フィンとを斜交したレジスタには採用できない問題がある。
【0013】
特許文献2では、係合部であるラックと被係合部である部分歯車とが互いに噛合するように構成されているが、縦フィンと横フィンとを斜交して配置した場合、従来のラックと部分歯車の噛合は円滑に行われない問題がある。
【0014】
本発明の目的は、複数の横フィンと、複数の縦フィンとが斜交して配置されたレジスタにおいて、いずれか一方のフィンに設けられた操作ノブを操作することにより、互いに斜交した横フィン及び縦フィンを回転させてそれぞれの向きを容易に変更することができる空気吹出調整用レジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、通風路内において互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の第1フィンからなる第1可動ルーバと、前記第1可動ルーバに対し通風路の下流側において前記第1可動ルーバの第1フィンの回転軸心とは斜交するように、互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の第2フィンからなる第2可動ルーバと、前記第2可動ルーバの1つの第2フィンに対し、前記第2フィンの回転軸心に沿って摺動自在に配置された操作ノブと、前記操作ノブに設けられ、前記第2フィンの回転軸心に沿って配置された複数の歯を有するラックと、前記第1可動ルーバの1つの第1フィンに設けられた複数の歯を周方向に有する三次元歯車であって、前記第2フィンの回転軸心に沿った前記操作ノブの摺動時に、前記ラックとの噛合により第1フィンを回転するとともに、前記第2フィンの回転軸心の周り方向の回転時に前記ラックの同方向の回転を許容する三次元歯車を備える空気吹出調整用レジスタを要旨としている。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、前記通風路の吹出口の開口断面が平行四辺形に形成され、前記第1フィン及び第2フィンのうちいずれか一方のフィンは、平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置され、他方間フィンが前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記三次元歯車は、第1フィンの回転軸心の周りで回転した際に、前記第2フィンの回転軸心を含む平面に平行でかつ前記第2フィンの回転軸心と直交する線分に含まれる複数の歯先を有し、前記複数の歯先は、前記第1フィンの回転軸心の周りで等間隔角度に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、複数の横フィンと、複数の縦フィンとが斜交して配置されたレジスタにおいて、いずれか一方のフィンに設けられた操作ノブを操作することにより、互いに斜交した横フィン及び縦フィンを回転させてそれぞれの向きを容易に変更することができる空気吹出調整用レジスタを提供できる。
【0019】
請求項2の発明によれば、第1フィン及び第2フィンのうちいずれか一方のフィンは、開口断面が平行四辺形となっている通風路の吹出口の平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置され、他方のフィンは前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置でき、吹出口の開口形状に合わせてフィンを配置できる。この結果、意匠性を挙げることができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、三次元歯車が、第1フィンの回転軸心の周りで回転した際に、第2フィンの回転軸心を含む平面に平行でかつ直交する線分に含まれる複数の歯先を有し、複数の歯先は、第1フィンの回転軸心の周りで等間隔角度に配置されていることにより、三次元歯車の構成を簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態のレジスタの車室内側から見た正面図。
【図2】一実施形態の三次元歯車を備える横フィンの斜視図。
【図3】一実施形態のレジスタ及び通風路の縦断面図。
【図4】一実施形態のレジスタ及び通風路の概略断面図。
【図5】三次元歯車の設計の説明図。
【図6】ラックと三次元歯車の位置関係の説明図。
【図7】横フィンの中立位置状態の斜視図。
【図8】横フィンの中立位置から上向きにした状態の斜視図。
【図9】横フィンの中立位置から下向きにした状態の斜視図。
【図10】平行四辺形を有する吹出口に従来例のレジスタを配置した状態の説明図。
【図11】従来のレジスタの断面図。
【図12】(a)、(b)は、従来の操作ノブの係合部と被係合部の位置関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態の車両に使用される空気吹出調整用レジスタを図1〜図9を参照して説明する。
図1、図3に示すように、車両のインストルメントパネル(図示しない)、或いは、ダッシュボード(図示しない)に設けられたベゼル10の正面には開口断面が平行四辺形となるように形成された吹出口12を有する。前記吹出口12の内側にリテーナ14が接続されている。
【0023】
前記リテーナ14の上流側は矩形のダクト状に形成されていて内部に通風路16が形成されている。一方、前記リテーナ14と接続される部分は、ベゼル10の開口断面形状に接続できるように断面が平行四辺形に形成されている。
【0024】
図1、図3に示すように通風路16内には第1可動ルーバとしての横可動ルーバ20が配設されている。
横可動ルーバ20は、複数の横フィン21が一定の間隔で互いに平行となるよう、かつ、前記平行四辺形の吹出口12の上下2辺に対して平行に配置されるとともにリテーナ14の左右両側壁に回動可能に支持されている。本実施形態では、横フィン21は、吹出口12の開口断面に平行となるように配置されている。なお、本明細書において左右とは、車室内側から吹出口12を見たときを基準にしている。
【0025】
すなわち、各横フィン21の左右両端部には回転軸21aが突設され、それらの回転軸21aは上記リテーナ14の左右両側壁に穿設した軸受孔に対して回動可能に嵌合されている。又、各横フィン21は、前記回転軸21aに一体に連結されたアーム21bに対して回動自在に連結されたリンクバー22により、一斉に回転可能である。
【0026】
複数の横フィン21のうち、吹出口12の上下方向において、中央側に位置する横フィン21には、その長手方向の中央部に図4に示すように部分歯車である三次元歯車23が設けられている。なお、三次元歯車23を設ける横フィン21は中央側に位置する横フィン21に限定するものではない。又、三次元歯車23の横フィン21に設ける位置は長手方向の中央部に限定するものではない。三次元歯車23の設計方法については、後述する。
【0027】
リテーナ14の前縁部には、図3に示すように、第2可動ルーバとしての縦可動ルーバ30が設けられている。図1、図3に示すように縦可動ルーバ30は、複数の縦フィン31が一定の間隔で互いに平行となるよう、かつ、前記平行四辺形の吹出口12の左右2辺に対して平行に、かつ縦方向において斜めとなるように配置されるとともにリテーナ14の上下両側壁に回動可能に支持されている。
【0028】
各縦フィン31の上下両端部には回転軸31aが突設され、それらの回転軸31aは上記リテーナ14の上下両側壁に穿設した軸受孔に対して回動可能に嵌合されている。又、各縦フィン31の上端には、回転軸31aから偏位した位置に偏位軸31bが突出されている。図3に示すように各縦フィン31の偏位軸31bにはリンクバー32が回動自在に連結されている。各縦フィン31は、リンクバー32により、一斉に回転可能である。
【0029】
上記縦可動ルーバ30と横可動ルーバ20の向きを調整するために筒状に形成された操作ノブ35が、縦可動ルーバ30の略中央位置の縦フィン31に対して摺動可能に貫通して取り付けられている。
【0030】
操作ノブ35の横フィン21側の側面には、ラックとしてのノブ歯車37が設けられている。ノブ歯車37は、縦フィン31の背面側を覆うと共に、操作ノブ35の背面側に組み付けられるように形成され、その背面には複数の歯37aが所定の等ピッチの間隔をおいて縦方向に形成されている。又、各歯37aの断面形状は、互いに同形状に形成されている。
【0031】
ノブ歯車37は、横フィン21の三次元歯車23に対して、図3、図4、図6に示すように噛合されている。
(三次元歯車23の設計方法)
前記三次元歯車23の設計方法を、図5を参照して説明する。
【0032】
(1) まず、前記横フィン21の回転軸21aの軸心Lの位置を、吹出口12の開口断面に平行となるように決定する。
(2) 次に、三次元歯車23におけるノブ歯車37との噛み合い位置として、図5に示すように各縦フィン31の回転軸31aの軸心を含む平面Hに対して、平行な線分A0B0を決定する。線分A0B0は、縦フィン31の軸心L1に対して直交する。この線分A0B0は、三次元歯車23の所定の歯数Nを有するギヤ1段目の歯先(歯23a)の頂部の位置となる。なお、前記平面Hは、吹出口12の開口断面を規定するものであることが好ましいが、限定するものではない。又、前記平面Hは、前記横フィン21の軸心Lと平行であってもよい。
【0033】
(3) 線分A0B0を横フィン21の回転軸21aの軸心Lを中心として、θ/N回転したものを線分A1B1とし、これをギヤ2段目とする。この線分A1B1は、三次元歯車23の所定の歯数Nを有するギヤ2段目の歯先(歯23a)の頂部の位置となる。ここで、θは横フィン21の操作可能な回転角度であり、Nは三次元歯車23の歯数である。
【0034】
(4) 線分A1B1を横フィン21の回転軸21aの軸心Lを中心として、θ/N回転したものを線分A2B2とし、これをギヤ3段目とする。この線分A2B2は、三次元歯車23の所定の歯数Nを有するギヤ3段目の歯先(歯23a)の頂部の位置となる。
【0035】
以下、同様に、線分A2B2に基づいて軸心Lを中心に回転し、線分A3B3,A4B4,A5B5を得る。
本実施形態では、N=6、θ=90°としているが、この数値に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。図5において、線分A0B0〜A5B5の各線分の間は、歯溝が形成される。又、図5において点線で示されている従来の吹出口の前後において斜交していない場合の、例えば、特許文献2で開示されている部分歯車の歯先を、斜交していない横フィンの回転軸心L0を中心にして線分A0B0から18°ずつ回転して描いたものを示している。
【0036】
このようにして本実施形態では、軸心Lを中心とした回転範囲90°で、ギヤ6段分の三次元歯車23が得られる。
本実施形態の三次元歯車23は、上記のように設計されることにより、第1フィンとしての横フィン21の軸心L(回転軸心)の周りで回転した際に、第2フィンとしての縦フィン31の軸心L1(回転軸心)を含む平面に平行でかつ軸心L1に対して直交する線分A0B0に対して、含まれる複数の歯先を有することとなる。又、前記複数の歯先は、前記第1フィンとしての横フィン21の軸心Lの周りで等間隔角度に配置されることになる。
【0037】
上記のようにして得られた三次元歯車23は、縦フィン31の回転軸31aの軸心(回転軸心)に沿った操作ノブ35が摺動する時に、ノブ歯車37との噛合により横フィン21を回転させる。又、縦フィン31の回転軸31aの軸心(回転軸心)の周り方向の回転時には、噛合している歯23aは、ノブ歯車37の同方向の回転を邪魔することなく、すなわち許容するものとなる。
【0038】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用を図6〜9を参照して説明する。
上記のように構成された空気吹出調整用レジスタは、リテーナ14の末端が図示しない通風ダクトに接続されている。前記通風ダクトから送られる空気は、リテーナ14内の通風路16から吹出口12を通して吹き出される。
【0039】
なお以下では、説明の便宜上、横フィン21が中立位置に位置していた状態で説明する。なお、横フィン21の中立位置とは、横フィンにより吹出口12から吹出す空気流を直進させる位置である。
【0040】
図7の横フィン21が中立位置に位置していた状態から、操作ノブ35を乗員が把持して上方に縦フィン31に対して摺動した場合、図8に示すように、ノブ歯車37が三次元歯車23を介して横フィン21を上方に傾ける(回転させる)。このとき、各横フィン21はリンクバー22が連結されていることにより一斉に傾動する。このようにして、一斉に横フィン21が上方に向くことにより、空気の吹出方向が上に調整される。
【0041】
又、図7の横フィン21が中立位置に位置していた状態から、操作ノブ35を下方に縦フィン31に対して摺動した場合、図9に示すように、ノブ歯車37が三次元歯車23を介して横フィン21を下に傾ける(回転させる)。このとき、各横フィン21はリンクバー22が連結されていることにより一斉に傾動する。このようにして、一斉に横フィン21が下方に向くことにより、空気の吹出方向が下に調整される。
【0042】
一方、空気の吹出向きを左右に調整する場合、操作ノブ35を持って左または右に動かすと、操作ノブ35を有する縦フィン31は回転軸31aを中心に操作された方向へ回転し、他の縦フィン31は、リンクバー32により、一斉に同方向に回転する。このとき、操作ノブ35のノブ歯車37も縦フィン31と同方向に回転するが、ノブ歯車37と三次元歯車23の噛合している歯同士は、干渉することなくノブ歯車37の同方向の回転を許容する。
【0043】
このようにして、一斉に各縦フィン31が左又は右に向くことにより、空気の吹出方向が左方向又は右方向に調整される。
本実施形態では、下記の特徴を有する。
【0044】
(1) 本実施形態の空気吹出調整用レジスタは、通風路16内において互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の横フィン21(第1フィン)からなる横可動ルーバ20(第1可動ルーバ)を備える。又、レジスタは、横可動ルーバ20に対し通風路16の下流側において横フィン21の回転軸21aの軸心L(回転軸心)とは斜交するように、互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の縦フィン31(第2フィン)からなる縦可動ルーバ30(第2可動ルーバ)を備える。又、レジスタは、縦可動ルーバ30の1つの縦フィン31に対し、横フィン21の回転軸21aの軸心L(回転軸心)に沿って摺動自在に配置された操作ノブ35と、操作ノブ35に設けられ、縦フィン31の回転軸心に沿って配置された複数の歯を有するノブ歯車37(ラック)を備える。又、レジスタは、横可動ルーバ20の1つの横フィン21に設けられた複数の歯を周方向に有する三次元歯車23を有する。そして、三次元歯車23は、縦フィン31(第2フィン)の回転軸31aの軸心(回転軸心)に沿った操作ノブ35の摺動時に、ノブ歯車37との噛合により横フィン21を回転するとともに、縦フィン31の回転軸心の周り方向の回転時にノブ歯車37の同方向の回転を許容する。
【0045】
この結果、本実施形態のレジスタによれば、複数の横フィン21と、複数の縦フィン31とが斜交して配置されたレジスタにおいて、縦フィン31に設けられた操作ノブ35を操作することにより、互いに斜交した横フィン21及び縦フィン31を回転させてそれぞれの向きを容易に変更することができる。
【0046】
(2) 本実施形態のレジスタは、通風路16の吹出口12の開口断面が平行四辺形に形成されている。そして、本実施形態のレジスタによれば、横フィン21(第1フィン)を、前記平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置でき、縦フィン31(第2フィン)を、前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置に配置でき、吹出口12の開口形状に合わせてフィンを配置できる。この結果、形状に合わせてフィンを配置できる。この結果、意匠性を挙げることができる。
【0047】
(3) 本実施形態によれば、三次元歯車23が、横フィン21(第1フィン)の軸心L(回転軸心)の周りで回転した際に、縦フィン31(第2フィン)の軸心L1を含む平面に平行でかつ、軸心L1に直交する線分A0B0に対して、含まれる複数の歯先を有する。そして、前記複数の歯先は、横フィン21の軸心Lの周りで等間隔角度に配置されていることにより、三次元歯車23の構成を簡単に得ることができる。
【0048】
(4) 本実施形態によれば、第1フィンを横フィン21とし、第2フィンを縦方向に延びる縦フィン31とした空気吹出調整用レジスタにおいて、上記(1)の発明の効果を容易に実現できる。
【0049】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 前記実施形態の空気吹出調整用レジスタの構成中、横フィン21と縦フィン31の構成を互いに入れ替えて配置してもよい。例えば、前記実施形態の構成を吹出口12の開口中心を中心にして90度、時計周り或いは反時計回りに回転した状態で構成すると、前記横フィン21が縦フィンとなり、前記縦フィンが横フィンとなる。このように構成すると、通風路16の下流側に横可動ルーバ(第2可動ルーバ)の横フィン(第2フィン)が配置され、上流側に縦可動ルーバ(第1可動ルーバ)の縦フィン(第1フィン)が配置されたレジスタにできる。
【0050】
そして、このレジスタによれば、通風路16の吹出口12の開口断面が平行四辺形に形成されていることから、横フィン(第2フィン)を、前記平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置でき、縦フィン(第1フィン)を、前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置に配置できて、吹出口12の開口形状に合わせてフィンを配置できる。
【0051】
・ 前記実施形態では、操作ノブ35を中央部寄りの縦フィン31に設けたが、操作ノブ35を設ける縦フィン31は、中央部よりの縦フィン31に限定されるものではなく、端寄りの縦フィン31に設けても良い。
【符号の説明】
【0052】
16…通風路、
20…横可動ルーバ(第1可動ルーバ)、21…横フィン(第1フィン)、
23…三次元歯車、23a…歯、
30…縦可動ルーバ(第2可動ルーバ)、31…縦フィン(第2フィン)、
35…操作ノブ、37…ノブ歯車(ラック)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車内等の換気や空調の吹出口に使用される空気吹出調整用レジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通風路を形成するベゼル内に、複数の横フィンを平行に配置してなる横可動ルーバと、複数の縦フィンを平行に配置してなる縦可動ルーバを前後に位置するように配置した空気吹出調整用レジスタが知られている(特許文献1、2)。
【0003】
前記各横フィン並びに各縦フィンにはルーバの回転操作時に同じ方向を向くように、リンクバーが各フィンに連結された構造となっている。
特許文献1の空気吹出調整用レジスタは、図11に示すように操作ノブ100が、横可動ルーバの中央部の横フィン110上に、その軸方向(横方向)に摺動可能に嵌合されるとともに、前記横可動ルーバの横フィン110と共に上下に回転可能に設けられている。図11は、特許文献1に記載のレジスタの断面図である。この操作ノブ100の先端には、後方に位置する縦可動ルーバの縦フィン104の被係合部に係合する係合部が形成されている。上記の空気吹出調整用レジスタは、風の向きを左右に調整する場合、前記操作ノブ100を横可動ルーバの横フィン110上で左又は右に摺動させて、後の縦可動ルーバの向きを左右に変え、風の向きを上下に調整する場合、操作ノブを横可動ルーバのフィンと共に上又は下に回転させて風の向きを調整する。
【0004】
特許文献1では、図11に示すように前記係合部として、前記操作ノブ100から二股状の作動片102が突出しており、該作動片102が後方に位置する中央の縦可動ルーバの縦フィン104に設けられた偏位軸106(縦フィン104の回転軸心Oよりも前側に位置した軸)に対して係合するようにされている。そして、操作ノブ100の左右の移動に応じて、前記作動片が、縦フィン104に被係合部として設けられた偏位軸106に対して左右のいずれかから係合して前記縦フィン104の向きを変えるようにしている。
【0005】
特許文献2では、前記操作ノブの後方に前記係合部としてラックが横方向に延出されており、同ラックが、後方に位置する中央の縦可動ルーバに設けられた被係合部としての部分歯車と噛み合うように配置されている。そして、操作ノブの左右のいずれかの方向に移動すると、ラックに噛み合った部分歯車を介して前記縦フィンの向きを変えるようにしている。なお、前記部分歯車は平歯車の部分歯車である。
【0006】
ところで、従来、上記特許文献1,2の空気吹出調整用レジスタは、断面形状が長方形又は正方形のようにコーナーが直交する四角形である吹出口において、前記縦フィン及び横フィンのそれぞれの回転軸心が、互いに直交するように格子状に配置されている。このことにより、前記四角形の上下に位置する2辺と横フィンとを平行に配置できるとともに、左右に位置する二辺と縦フィンとを平行に配置できるため、見映え良く配置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−318440号公報 図1
【特許文献2】特開2007−131055号公報 図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来は図10に示すように、吹出口120の断面形状が、平行四辺形となっている場合にも、縦フィン104及び横フィン110の回転軸心をそれぞれ直交するように配置していた。このため、従来は、縦フィンを前記吹出口の左右二辺に対して平行に配置すると、横フィンは上下の二辺には平行とならず、横フィンを前記吹出口の上下二辺に対して平行に配置すると、縦フィンが左右二辺に平行とならず、見映えが悪くなる。
【0009】
又、断面形状が平行四辺形の吹出口を有するレジスタにおいて、特許文献1の係合部と被係合部の構成を利用することが考えられる。すなわち、図11に示す縦フィン104を吹出口の左右の二辺に平行に配置し、横フィン110を前記吹出口の上下二辺に平行に配置することにより、それぞれの回転軸が互いに斜交するように配置することが考えられる。
【0010】
ここで、図12(a)は、吹出口を車室側からレジスタを見た場合、縦フィン104の中立位置(フィンにより吹出口から吹出す空気流を直進させる位置)に位置しているときの、偏位軸106と作動片102との位置関係を表している。同図において、作動片102の上限位置をA1で示し、下限位置をB1で示している。特許文献1では、作動片102の上限位置及び下限位置は、作動片102がその位置において、偏位軸106の上端及び下端の近傍に位置する縦フィン104の切欠きの上端及び下端に係合することにより規定されている。そして、作動片102が上限位置に位置するときは、横フィン110は下向きの限界位置となり、作動片102が下限位置に位置するときは横フィン110の上向きの限界位置となる。
【0011】
又、図12(b)は、吹出口を車室内からレジスタを見た場合、縦フィン104の中立位置から、縦フィン104が向かって左向きになるように回転されて偏位軸106が移動したときの、偏位軸106と作動片102との位置関係を表している。図12(b)に示すように、この場合は、作動片102の上限位置はA1からA2迄下がるとともに、作動片102の下限位置はB1からB2迄下がる。ここで作動片102が上限位置A1及び下限位置B1に位置するときに、横フィン110がそれぞれ下向きの最大位置及び上向きの最大位置とした場合、A2の上限位置は、横フィン110の下向きの最大位置ではなくなる。
【0012】
縦フィン104が向かって右向きになるように回転されて偏位軸106が移動したときには、上記と同様の理由から、作動片102の下限位置がB1よりも上方に移動するため、B1よりも上方に位置した作動片102の下限位置は、横フィン110の上向きの最大位置ではなくなる。このように、特許文献1の係合部と被係合部の構成は、横フィンと縦フィンとを斜交したレジスタには採用できない問題がある。
【0013】
特許文献2では、係合部であるラックと被係合部である部分歯車とが互いに噛合するように構成されているが、縦フィンと横フィンとを斜交して配置した場合、従来のラックと部分歯車の噛合は円滑に行われない問題がある。
【0014】
本発明の目的は、複数の横フィンと、複数の縦フィンとが斜交して配置されたレジスタにおいて、いずれか一方のフィンに設けられた操作ノブを操作することにより、互いに斜交した横フィン及び縦フィンを回転させてそれぞれの向きを容易に変更することができる空気吹出調整用レジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、通風路内において互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の第1フィンからなる第1可動ルーバと、前記第1可動ルーバに対し通風路の下流側において前記第1可動ルーバの第1フィンの回転軸心とは斜交するように、互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の第2フィンからなる第2可動ルーバと、前記第2可動ルーバの1つの第2フィンに対し、前記第2フィンの回転軸心に沿って摺動自在に配置された操作ノブと、前記操作ノブに設けられ、前記第2フィンの回転軸心に沿って配置された複数の歯を有するラックと、前記第1可動ルーバの1つの第1フィンに設けられた複数の歯を周方向に有する三次元歯車であって、前記第2フィンの回転軸心に沿った前記操作ノブの摺動時に、前記ラックとの噛合により第1フィンを回転するとともに、前記第2フィンの回転軸心の周り方向の回転時に前記ラックの同方向の回転を許容する三次元歯車を備える空気吹出調整用レジスタを要旨としている。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、前記通風路の吹出口の開口断面が平行四辺形に形成され、前記第1フィン及び第2フィンのうちいずれか一方のフィンは、平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置され、他方間フィンが前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記三次元歯車は、第1フィンの回転軸心の周りで回転した際に、前記第2フィンの回転軸心を含む平面に平行でかつ前記第2フィンの回転軸心と直交する線分に含まれる複数の歯先を有し、前記複数の歯先は、前記第1フィンの回転軸心の周りで等間隔角度に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、複数の横フィンと、複数の縦フィンとが斜交して配置されたレジスタにおいて、いずれか一方のフィンに設けられた操作ノブを操作することにより、互いに斜交した横フィン及び縦フィンを回転させてそれぞれの向きを容易に変更することができる空気吹出調整用レジスタを提供できる。
【0019】
請求項2の発明によれば、第1フィン及び第2フィンのうちいずれか一方のフィンは、開口断面が平行四辺形となっている通風路の吹出口の平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置され、他方のフィンは前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置でき、吹出口の開口形状に合わせてフィンを配置できる。この結果、意匠性を挙げることができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、三次元歯車が、第1フィンの回転軸心の周りで回転した際に、第2フィンの回転軸心を含む平面に平行でかつ直交する線分に含まれる複数の歯先を有し、複数の歯先は、第1フィンの回転軸心の周りで等間隔角度に配置されていることにより、三次元歯車の構成を簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一実施形態のレジスタの車室内側から見た正面図。
【図2】一実施形態の三次元歯車を備える横フィンの斜視図。
【図3】一実施形態のレジスタ及び通風路の縦断面図。
【図4】一実施形態のレジスタ及び通風路の概略断面図。
【図5】三次元歯車の設計の説明図。
【図6】ラックと三次元歯車の位置関係の説明図。
【図7】横フィンの中立位置状態の斜視図。
【図8】横フィンの中立位置から上向きにした状態の斜視図。
【図9】横フィンの中立位置から下向きにした状態の斜視図。
【図10】平行四辺形を有する吹出口に従来例のレジスタを配置した状態の説明図。
【図11】従来のレジスタの断面図。
【図12】(a)、(b)は、従来の操作ノブの係合部と被係合部の位置関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した一実施形態の車両に使用される空気吹出調整用レジスタを図1〜図9を参照して説明する。
図1、図3に示すように、車両のインストルメントパネル(図示しない)、或いは、ダッシュボード(図示しない)に設けられたベゼル10の正面には開口断面が平行四辺形となるように形成された吹出口12を有する。前記吹出口12の内側にリテーナ14が接続されている。
【0023】
前記リテーナ14の上流側は矩形のダクト状に形成されていて内部に通風路16が形成されている。一方、前記リテーナ14と接続される部分は、ベゼル10の開口断面形状に接続できるように断面が平行四辺形に形成されている。
【0024】
図1、図3に示すように通風路16内には第1可動ルーバとしての横可動ルーバ20が配設されている。
横可動ルーバ20は、複数の横フィン21が一定の間隔で互いに平行となるよう、かつ、前記平行四辺形の吹出口12の上下2辺に対して平行に配置されるとともにリテーナ14の左右両側壁に回動可能に支持されている。本実施形態では、横フィン21は、吹出口12の開口断面に平行となるように配置されている。なお、本明細書において左右とは、車室内側から吹出口12を見たときを基準にしている。
【0025】
すなわち、各横フィン21の左右両端部には回転軸21aが突設され、それらの回転軸21aは上記リテーナ14の左右両側壁に穿設した軸受孔に対して回動可能に嵌合されている。又、各横フィン21は、前記回転軸21aに一体に連結されたアーム21bに対して回動自在に連結されたリンクバー22により、一斉に回転可能である。
【0026】
複数の横フィン21のうち、吹出口12の上下方向において、中央側に位置する横フィン21には、その長手方向の中央部に図4に示すように部分歯車である三次元歯車23が設けられている。なお、三次元歯車23を設ける横フィン21は中央側に位置する横フィン21に限定するものではない。又、三次元歯車23の横フィン21に設ける位置は長手方向の中央部に限定するものではない。三次元歯車23の設計方法については、後述する。
【0027】
リテーナ14の前縁部には、図3に示すように、第2可動ルーバとしての縦可動ルーバ30が設けられている。図1、図3に示すように縦可動ルーバ30は、複数の縦フィン31が一定の間隔で互いに平行となるよう、かつ、前記平行四辺形の吹出口12の左右2辺に対して平行に、かつ縦方向において斜めとなるように配置されるとともにリテーナ14の上下両側壁に回動可能に支持されている。
【0028】
各縦フィン31の上下両端部には回転軸31aが突設され、それらの回転軸31aは上記リテーナ14の上下両側壁に穿設した軸受孔に対して回動可能に嵌合されている。又、各縦フィン31の上端には、回転軸31aから偏位した位置に偏位軸31bが突出されている。図3に示すように各縦フィン31の偏位軸31bにはリンクバー32が回動自在に連結されている。各縦フィン31は、リンクバー32により、一斉に回転可能である。
【0029】
上記縦可動ルーバ30と横可動ルーバ20の向きを調整するために筒状に形成された操作ノブ35が、縦可動ルーバ30の略中央位置の縦フィン31に対して摺動可能に貫通して取り付けられている。
【0030】
操作ノブ35の横フィン21側の側面には、ラックとしてのノブ歯車37が設けられている。ノブ歯車37は、縦フィン31の背面側を覆うと共に、操作ノブ35の背面側に組み付けられるように形成され、その背面には複数の歯37aが所定の等ピッチの間隔をおいて縦方向に形成されている。又、各歯37aの断面形状は、互いに同形状に形成されている。
【0031】
ノブ歯車37は、横フィン21の三次元歯車23に対して、図3、図4、図6に示すように噛合されている。
(三次元歯車23の設計方法)
前記三次元歯車23の設計方法を、図5を参照して説明する。
【0032】
(1) まず、前記横フィン21の回転軸21aの軸心Lの位置を、吹出口12の開口断面に平行となるように決定する。
(2) 次に、三次元歯車23におけるノブ歯車37との噛み合い位置として、図5に示すように各縦フィン31の回転軸31aの軸心を含む平面Hに対して、平行な線分A0B0を決定する。線分A0B0は、縦フィン31の軸心L1に対して直交する。この線分A0B0は、三次元歯車23の所定の歯数Nを有するギヤ1段目の歯先(歯23a)の頂部の位置となる。なお、前記平面Hは、吹出口12の開口断面を規定するものであることが好ましいが、限定するものではない。又、前記平面Hは、前記横フィン21の軸心Lと平行であってもよい。
【0033】
(3) 線分A0B0を横フィン21の回転軸21aの軸心Lを中心として、θ/N回転したものを線分A1B1とし、これをギヤ2段目とする。この線分A1B1は、三次元歯車23の所定の歯数Nを有するギヤ2段目の歯先(歯23a)の頂部の位置となる。ここで、θは横フィン21の操作可能な回転角度であり、Nは三次元歯車23の歯数である。
【0034】
(4) 線分A1B1を横フィン21の回転軸21aの軸心Lを中心として、θ/N回転したものを線分A2B2とし、これをギヤ3段目とする。この線分A2B2は、三次元歯車23の所定の歯数Nを有するギヤ3段目の歯先(歯23a)の頂部の位置となる。
【0035】
以下、同様に、線分A2B2に基づいて軸心Lを中心に回転し、線分A3B3,A4B4,A5B5を得る。
本実施形態では、N=6、θ=90°としているが、この数値に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。図5において、線分A0B0〜A5B5の各線分の間は、歯溝が形成される。又、図5において点線で示されている従来の吹出口の前後において斜交していない場合の、例えば、特許文献2で開示されている部分歯車の歯先を、斜交していない横フィンの回転軸心L0を中心にして線分A0B0から18°ずつ回転して描いたものを示している。
【0036】
このようにして本実施形態では、軸心Lを中心とした回転範囲90°で、ギヤ6段分の三次元歯車23が得られる。
本実施形態の三次元歯車23は、上記のように設計されることにより、第1フィンとしての横フィン21の軸心L(回転軸心)の周りで回転した際に、第2フィンとしての縦フィン31の軸心L1(回転軸心)を含む平面に平行でかつ軸心L1に対して直交する線分A0B0に対して、含まれる複数の歯先を有することとなる。又、前記複数の歯先は、前記第1フィンとしての横フィン21の軸心Lの周りで等間隔角度に配置されることになる。
【0037】
上記のようにして得られた三次元歯車23は、縦フィン31の回転軸31aの軸心(回転軸心)に沿った操作ノブ35が摺動する時に、ノブ歯車37との噛合により横フィン21を回転させる。又、縦フィン31の回転軸31aの軸心(回転軸心)の周り方向の回転時には、噛合している歯23aは、ノブ歯車37の同方向の回転を邪魔することなく、すなわち許容するものとなる。
【0038】
(実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用を図6〜9を参照して説明する。
上記のように構成された空気吹出調整用レジスタは、リテーナ14の末端が図示しない通風ダクトに接続されている。前記通風ダクトから送られる空気は、リテーナ14内の通風路16から吹出口12を通して吹き出される。
【0039】
なお以下では、説明の便宜上、横フィン21が中立位置に位置していた状態で説明する。なお、横フィン21の中立位置とは、横フィンにより吹出口12から吹出す空気流を直進させる位置である。
【0040】
図7の横フィン21が中立位置に位置していた状態から、操作ノブ35を乗員が把持して上方に縦フィン31に対して摺動した場合、図8に示すように、ノブ歯車37が三次元歯車23を介して横フィン21を上方に傾ける(回転させる)。このとき、各横フィン21はリンクバー22が連結されていることにより一斉に傾動する。このようにして、一斉に横フィン21が上方に向くことにより、空気の吹出方向が上に調整される。
【0041】
又、図7の横フィン21が中立位置に位置していた状態から、操作ノブ35を下方に縦フィン31に対して摺動した場合、図9に示すように、ノブ歯車37が三次元歯車23を介して横フィン21を下に傾ける(回転させる)。このとき、各横フィン21はリンクバー22が連結されていることにより一斉に傾動する。このようにして、一斉に横フィン21が下方に向くことにより、空気の吹出方向が下に調整される。
【0042】
一方、空気の吹出向きを左右に調整する場合、操作ノブ35を持って左または右に動かすと、操作ノブ35を有する縦フィン31は回転軸31aを中心に操作された方向へ回転し、他の縦フィン31は、リンクバー32により、一斉に同方向に回転する。このとき、操作ノブ35のノブ歯車37も縦フィン31と同方向に回転するが、ノブ歯車37と三次元歯車23の噛合している歯同士は、干渉することなくノブ歯車37の同方向の回転を許容する。
【0043】
このようにして、一斉に各縦フィン31が左又は右に向くことにより、空気の吹出方向が左方向又は右方向に調整される。
本実施形態では、下記の特徴を有する。
【0044】
(1) 本実施形態の空気吹出調整用レジスタは、通風路16内において互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の横フィン21(第1フィン)からなる横可動ルーバ20(第1可動ルーバ)を備える。又、レジスタは、横可動ルーバ20に対し通風路16の下流側において横フィン21の回転軸21aの軸心L(回転軸心)とは斜交するように、互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の縦フィン31(第2フィン)からなる縦可動ルーバ30(第2可動ルーバ)を備える。又、レジスタは、縦可動ルーバ30の1つの縦フィン31に対し、横フィン21の回転軸21aの軸心L(回転軸心)に沿って摺動自在に配置された操作ノブ35と、操作ノブ35に設けられ、縦フィン31の回転軸心に沿って配置された複数の歯を有するノブ歯車37(ラック)を備える。又、レジスタは、横可動ルーバ20の1つの横フィン21に設けられた複数の歯を周方向に有する三次元歯車23を有する。そして、三次元歯車23は、縦フィン31(第2フィン)の回転軸31aの軸心(回転軸心)に沿った操作ノブ35の摺動時に、ノブ歯車37との噛合により横フィン21を回転するとともに、縦フィン31の回転軸心の周り方向の回転時にノブ歯車37の同方向の回転を許容する。
【0045】
この結果、本実施形態のレジスタによれば、複数の横フィン21と、複数の縦フィン31とが斜交して配置されたレジスタにおいて、縦フィン31に設けられた操作ノブ35を操作することにより、互いに斜交した横フィン21及び縦フィン31を回転させてそれぞれの向きを容易に変更することができる。
【0046】
(2) 本実施形態のレジスタは、通風路16の吹出口12の開口断面が平行四辺形に形成されている。そして、本実施形態のレジスタによれば、横フィン21(第1フィン)を、前記平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置でき、縦フィン31(第2フィン)を、前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置に配置でき、吹出口12の開口形状に合わせてフィンを配置できる。この結果、形状に合わせてフィンを配置できる。この結果、意匠性を挙げることができる。
【0047】
(3) 本実施形態によれば、三次元歯車23が、横フィン21(第1フィン)の軸心L(回転軸心)の周りで回転した際に、縦フィン31(第2フィン)の軸心L1を含む平面に平行でかつ、軸心L1に直交する線分A0B0に対して、含まれる複数の歯先を有する。そして、前記複数の歯先は、横フィン21の軸心Lの周りで等間隔角度に配置されていることにより、三次元歯車23の構成を簡単に得ることができる。
【0048】
(4) 本実施形態によれば、第1フィンを横フィン21とし、第2フィンを縦方向に延びる縦フィン31とした空気吹出調整用レジスタにおいて、上記(1)の発明の効果を容易に実現できる。
【0049】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 前記実施形態の空気吹出調整用レジスタの構成中、横フィン21と縦フィン31の構成を互いに入れ替えて配置してもよい。例えば、前記実施形態の構成を吹出口12の開口中心を中心にして90度、時計周り或いは反時計回りに回転した状態で構成すると、前記横フィン21が縦フィンとなり、前記縦フィンが横フィンとなる。このように構成すると、通風路16の下流側に横可動ルーバ(第2可動ルーバ)の横フィン(第2フィン)が配置され、上流側に縦可動ルーバ(第1可動ルーバ)の縦フィン(第1フィン)が配置されたレジスタにできる。
【0050】
そして、このレジスタによれば、通風路16の吹出口12の開口断面が平行四辺形に形成されていることから、横フィン(第2フィン)を、前記平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置でき、縦フィン(第1フィン)を、前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置に配置できて、吹出口12の開口形状に合わせてフィンを配置できる。
【0051】
・ 前記実施形態では、操作ノブ35を中央部寄りの縦フィン31に設けたが、操作ノブ35を設ける縦フィン31は、中央部よりの縦フィン31に限定されるものではなく、端寄りの縦フィン31に設けても良い。
【符号の説明】
【0052】
16…通風路、
20…横可動ルーバ(第1可動ルーバ)、21…横フィン(第1フィン)、
23…三次元歯車、23a…歯、
30…縦可動ルーバ(第2可動ルーバ)、31…縦フィン(第2フィン)、
35…操作ノブ、37…ノブ歯車(ラック)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通風路内において互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の第1フィンからなる第1可動ルーバと、
前記第1可動ルーバに対し通風路の下流側において前記第1可動ルーバの第1フィンの回転軸心とは斜交するように、互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の第2フィンからなる第2可動ルーバと、
前記第2可動ルーバの1つの第2フィンに対し、前記第2フィンの回転軸心に沿って摺動自在に配置された操作ノブと、
前記操作ノブに設けられ、前記第2フィンの回転軸心に沿って配置された複数の歯を有するラックと、
前記第1可動ルーバの1つの第1フィンに設けられた複数の歯を周方向に有する三次元歯車であって、前記第2フィンの回転軸心に沿った前記操作ノブの摺動時に、前記ラックとの噛合により第1フィンを回転するとともに、前記第2フィンの回転軸心の周り方向の回転時に前記ラックの同方向の回転を許容する三次元歯車を備える空気吹出調整用レジスタ。
【請求項2】
前記通風路の吹出口の開口断面が平行四辺形に形成され、
前記第1フィン及び第2フィンのうちいずれか一方のフィンは、平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置され、他方のフィンは前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気吹出調整用レジスタ。
【請求項3】
前記三次元歯車は、第1フィンの回転軸心の周りで回転した際に、前記第2フィンの回転軸心を含む平面に平行でかつ前記第2フィンの回転軸心と直交する線分に含まれる複数の歯先を有し、前記複数の歯先は、前記第1フィンの回転軸心の周りで等間隔角度に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気吹出調整用レジスタ。
【請求項1】
通風路内において互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の第1フィンからなる第1可動ルーバと、
前記第1可動ルーバに対し通風路の下流側において前記第1可動ルーバの第1フィンの回転軸心とは斜交するように、互いに平行に、かつ互いに連係して回転可能に併設された複数の第2フィンからなる第2可動ルーバと、
前記第2可動ルーバの1つの第2フィンに対し、前記第2フィンの回転軸心に沿って摺動自在に配置された操作ノブと、
前記操作ノブに設けられ、前記第2フィンの回転軸心に沿って配置された複数の歯を有するラックと、
前記第1可動ルーバの1つの第1フィンに設けられた複数の歯を周方向に有する三次元歯車であって、前記第2フィンの回転軸心に沿った前記操作ノブの摺動時に、前記ラックとの噛合により第1フィンを回転するとともに、前記第2フィンの回転軸心の周り方向の回転時に前記ラックの同方向の回転を許容する三次元歯車を備える空気吹出調整用レジスタ。
【請求項2】
前記通風路の吹出口の開口断面が平行四辺形に形成され、
前記第1フィン及び第2フィンのうちいずれか一方のフィンは、平行四辺形の上下二辺に対して平行に配置され、他方のフィンは前記平行四辺形の左右の二辺に対して平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の空気吹出調整用レジスタ。
【請求項3】
前記三次元歯車は、第1フィンの回転軸心の周りで回転した際に、前記第2フィンの回転軸心を含む平面に平行でかつ前記第2フィンの回転軸心と直交する線分に含まれる複数の歯先を有し、前記複数の歯先は、前記第1フィンの回転軸心の周りで等間隔角度に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気吹出調整用レジスタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−121445(P2012−121445A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273735(P2010−273735)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]