説明

空気油分離器

【課題】油分離器および交換容易な弁を有するダブルカートリッジ式エアドライヤの提供。
【解決手段】二つの略同一のキャニスター型エアドライヤ装置24,26を備えるエアドライヤシステムである。各ドライヤ装置は、湿り空気入口と、第一乾燥剤と、乾燥空気出口と、貯留設備への乾燥空気の供給手段とを備える。同システムは、さらに、第二乾燥剤を再生するために乾燥空気のごく一部を供給する通気弁52と、第一湿り空気抜き弁46とを備える。同システムは逆状態でも作動し、貯留設備に空気を供給する。一対の空気油分離器34,36が、湿り空気入口と各乾燥剤との間に配置される。この場合、上向きの空気がハウジング110を通って流れ、偏向板に当たり、垂直に延出するフェンスの下、および、ろ過材を収容した通気孔を通って流出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ねエアドライヤ装置に関し、さらに詳細には、各々が多量の乾燥剤を袋内に有する二つのスピンオン式ドライヤカートリッジを備え、新規な空気油分離器および容易に交換可能な弁を有するツインタワー型の乾燥器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本装置は、バスや貨車で特に適用されるだけでなく、他に空気圧縮器の使用率が連続的な場合にも適用される。本発明のもう一つの特徴は、保守の容易性にあり、このため、不稼働時間が必要になったとしてもごくわずかですむ。これは、スピンオン式カートリッジと、手の届く弁と、容易に着脱および交換ができる油分離器とを有することで実現される。
【0003】
本装置は基本的に、一のカートリッジで流入圧縮空気を乾燥させながら、同時に、すでに乾燥させた空気の一部を用いて、反対側のカートリッジを再生することで作動する。サイクルに対する制御は、いわゆるMLT(ミクロ論理タイマー)と、装置のサイクル動作を制御する付属の弁で実現される。
【0004】
乾燥空気を用いる理由は、エアブレーキシステムが、液体水、また水蒸気含有率の比較的高い空気にさえも耐えることができないためである。従って、ほぼ完全に乾燥させた空気を用いることが非常に望ましい。圧縮空気システムにおける湿気の問題はよく知られている。例えば、圧縮空気が非常に多量の湿気を含む理由として、空気を圧縮する過程により、はるかに小さな容量に同一量の湿気が濃縮されるため、圧縮空気の相対湿度が高くなることが知られている。
【0005】
したがって、高圧縮度で空気を用いると、相対湿度がかなり上昇する。例えば、空気が200ポンド/平方インチまたはそれ以上で圧縮されると、その中の湿気の相対量が非常に大きくなる可能性がある。したがって、乾燥空気を用いる必要があるブレーキ等を作動させる際に、引き込む周囲の空気をその相対湿度がゼロに近くなるまで乾燥させる何らかの手段を用いる必要がある。
【0006】
乾燥していることに加えて、エアブレーキで用いられる空気は、例えば、明らかな理由から、できるだけ多くの固体混入物質を取り除くために細かくろ過される必要があり、また、空気から油を分離するための手段を有する必要がある。このような油空気分離器は本発明の重要な特徴である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、改良型エアドライヤを提供することが本発明の目的である。
【0008】
もう一つの目的は、そのような装置に新規設計の空気油分離器を与えることである。
【0009】
さらに他の目的は、流入空気に乱流を起こし、この空気が乾燥剤キャニスターに達する過程で、スクリーンとフィルタとを通過する前に、逆方向に転換させるよう装置内に配設された空気油分離器を提供することである。
【0010】
他の目的は、弁が閉止されている時でも空気がその内部を流れる小穴を有する一対の弁を提供することであり、その空気は、乾燥剤カートリッジから湿気を取り去って再生させるよう逆方向に通過させるために用いられる。
【0011】
本発明の他の目的は、必要に応じて乾燥剤の取り替えを容易にするスピンオン型カートリッジ内に、それぞれ乾燥剤を内包している二つのタワーを備えたエアドライヤを提供することである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、微粒材をろ過し、乾燥器に向かい、さらにそれを通過する空気の進路を蛇行させるカートリッジを提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、乾燥剤が袋内に内包され、これが同様に円筒状ハウジング内に内包されている、すなわち、最大限の効率を得るため、乾燥剤が非常に細かく細分化され、なおかつ、その容器から漏れることがないという特徴を有するエアドライヤを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、ツイン型タワーを有するエアドライヤを提供することである。乾燥器の一つのタワーが流入する空気を乾燥させるよう機能している時、もう一つのタワーは、その空気のごく一部を用いて第二タワー内に内包させている乾燥剤を再生させる。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、カートリッジの取り外しおよび取り替えが、一、二年に一度だけの簡易化されたスピンオン型システムを提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、エアドライヤのすべての主要部品がいつでも保守、取替え、および/または、修理できるように配置されることを特徴とするシステムを提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、節約を実現し、専門機器や広範な他の用途にも適応するダブルカートリッジ式乾燥器を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的は、ろ過材を有する空気油分離器を提供することである。このろ過材は、表面活性であり、それにより油および湿気を吸着し、従って逆方向で空気油分離器上を通過する乾燥器の空気により再生される。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、分離器構成体の一部に接着されたアラミド、あるいは同等物の吸着フィルタを備えた分離器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明のこれらの目的、あるいは他の目的及び利点は、ダブルカートリッジ式乾燥器システムを提供することで実際に達成されるが、ここで、空気流の向きを逆転させ、空気流中の油を吸着し、空気をフィルタに通し、乾燥剤カートリッジ外を通過させ、その後、乾燥剤カートリッジ内を通過させ、出口に通じる弁を通して排出させるための井筒等のハウジングと合わせて用いる新規装置により空気から油が分離されることを特徴とする。もう一方のカートリッジは、カートリッジに入って、そのカートリッジに内包される乾燥剤を通過して逆流し、最終的に空気圧で開く弁によって制御されるドレンポートを出る抽気量を調節することにより、同時に再生される。これにより、主要な供給に対する空気圧の障害、あるいはその損失をまったく生じさせることなく、サイクルが逆方向に作動する。
【0021】
本発明はまた、新規油分離器を備えた同装置に電動式タイマーを取り付けることによって湿り空気に対する排気すなわち空気抜き弁、また乾燥される空気の入口弁に対する制御に空気圧が向けられ、またその一方でいくつかの補助的機能をもたらすことで、その目的を達成する。
【0022】
本発明がその目的、および本発明に固有の他の目的を達成する方法は、例示により提示され、全体を通して、同じ参照番号が対応する部品を示す添付図で示される本発明の好ましい実施例についての以下の説明を参照すると、さらに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の主要構成要素を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の逆止弁と空気抜き弁とを示す下部弁本体の横断面図である。
【図3】図2に示す弁本体の縦断面図であり、一の逆止弁と一の空気抜き弁とを示し、本発明の皿状部および両方の空気油分離器を示している。
【図4】本発明の空気油分離器の一つの平面図である。
【図5】本発明の分離器の一つの底面図である。
【図6】皿状ハウジングの一部と、その中に配置された分離器ユニットの縦断面図である。
【図7】本発明のキャニスターの一つについて、一部が破断された縦断面図であって、取付ニップルを仮想線で示している。
【図8】キャニスターの一つの縦断面図であり、マニホールド内に排気路を有する本発明の再生弁の一つを示している。
【図9】図8と同様な図であり、再生弁を示し、図8で示されたのと逆方向で空気抜き口を通る空気で再生されるキャニスターを示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は複数の態様を有し、複数の異なる方法で、あるいは異なる変形例で実施できる。しかしながら、現時点での本発明の好ましい実施例について説明を行う。
【0025】
さて、より詳細には図面を参照して、図1は、全体を18で示すエアドライヤ装置を示しており、全体を20で示す取付ブラケットと、全体を22で示す複数の締結具と、全体を24,26で示す一対の乾燥剤キャニスターとを備えている。
【0026】
さらに、図1は、全体を28,30で示す一対の環状キャニスター取付台と、全体を32で示す下部弁本体と、全体を34,36で示す一対の空気油分離器と、全体を38で示すマニホールドとを示しており、このマニホールドは、空気の大部分を一のカートリッジから、タンクあるいは他の貯蔵設備(不図示)へ向けると共に、空気のごく一部を他のカートリッジへ向けるものである。
【0027】
全体を32で示す下部弁本体は、一対の入口逆止弁40,42と、全体を44,46で示す一対の空気抜き弁とを備えている。これらはそれぞれ、全体を48で示す一連の蓋によって所定の場所に保持される。全体を50,52で示す再生/乾燥弁と、全体を54で示すばね荷重式一方向逆止弁とがあり、空気はこれを通過して継ぎ手60、さらには貯留タンクあるいはそれと同等物(不図示)まで達する。図1はまた、全体を56で示すMLT(ミクロ論理タイマー)弁と、空気圧縮器からの空気に対する全体を58で示す入口とを示し、空気は、本発明のさまざまな流路、弁、新規な空気油分離器を通過して初めて、乾燥され最終的に貯留タンクへ送られる。全体を61で示す加熱部材も図示されている。
【0028】
さて、図2を参照すると、下部弁本体32の詳細図が示されている。この本体32は、一対の逆止弁40,42と、全体を44,46で示す一対の空気抜き弁とを有する。これらの図面は、主流入路58が、二つの別個の弁座66,68にそれぞれつながる二つの流路62,64に分割される様子を示している。詳細な説明は米国特許第6,094,836号にあるが、MLT弁56は、入口58内へ流入する空気を制御し、流路62または64のいずれが空気を流すかを決定する。入口逆止弁40の先端部70は、一つの位置が座66にあり、これにより弁40を閉じ、他方で、入口逆止弁は穴72内を逆にスライドし、これにより流路64を開く。開位置において、弁40の後端部70は、弁40の中空ヒール部74に押し付けられている。示されているように、これにより弁40の座66から流路76を開き、空気を垂直流路78に流入させることができる。
【0029】
もう一方の弁42は、内部空間80内の圧力で閉じられ、これにより先端部68を座82へ押し付け、弁ひいては流路62を閉じる。この例では、MLT弁56は、圧縮器(不図示)からの圧力を、小穴84を介して内部空間80内へ通すよう切り替えられる。同時に、84で示される穴内の圧力はまた、流路86を経由して空気抜き弁46の内部空間88へ送られる。正圧が可動弁本体91と、弁ヘッド94に対してネジ軸92によって取り付けられたピストン90とに作用し、これにより、弁ヘッド94と封止ゴム97とは固定弁座99から外される。
【0030】
これにより弁46が開き、湿り空気を流路96、ネジ軸92に沿った空間を通し、外気100まで移動させることができる。弁42,46の内部の状態が逆転した場合、すなわちMLT弁が他の穴102を加圧した場合、弁40内の内部空間104、流路105、および弁44の内部空間106が、すべて加圧される。
【0031】
図3は、弁46が開位置にあり、弁40もまた開位置にある様子を示す別の図である。流入路84,102は、MLT弁によって生じ、継ぎ手107,108のいずれかを介して入り込む空気圧に対し択一的にある(図1)。弁42が閉じられ、すなわち本体69が座82に当接すると、流路62が塞がれ、その後、空気は弁40の座66を通過して垂直流路78内へ流れる。
【0032】
さて、図3〜6を参照すると、弁40,42などの真上には、本発明の重要部分である空気油分離器ユニット34,36を有する、一対の皿状領域107,222が示されている。全体を36で示され使用中は皿状領域107内に収められるこの分離器について、複数の締結具穴110とスクリーン保持具112と、加えて複数の小片114とを有するフランジ板108が示されており、その小片114は、好ましくはドーム状部材116からなる無孔中央部材に溶着される。この保持具112は、複数の開口部117を有し、それぞれが上部スクリーン118を収容し、各スクリーン118は不織アラミドフィルタ材のブランケット120を覆う。
【0033】
特に図5を参照して、これは分離器36の底面図であるが、細長くて浅いポケット122と共に、下部スクリーン118と、その中のアラミド繊維材のブランケット120とが示されている。この図から、ほぼ垂直に延びる金属製の外フェンス124と、さらに多くのアラミド繊維材120が充填された近接周辺部126とがあり、これはフェンス124と、ドーム116の底面115とに接着されているのが分かる。重要な点として、偏向板128もまた存在しており、これはフランジ板108に対して複数のスポット溶接位置130で固定されている。
【0034】
図6で見られるとおり、空気油分離器36は皿状領域107上に配置され、その分離器は偏向板128に向けられた垂直流路78と協動する。アラミド繊維120は、図6において、ドーム116の下面115を覆い、外フェンス124の真下へ延在する周辺部126を有して示される。チューブ138で規定される流路を通過した上向きの空気流が偏向板128に当たり、この偏向板128は、この空気流が逆向きになり、空洞107内で渦を巻き、最終的に皿状部107の底部から僅かに離間するアラミド材120の底縁下部を通過するようにさせる。皿状部107は、空気油分離器で完全に仕切られ、すべての流入する空気を、スクリーンおよびアラミド繊維部120で覆われた開口部117に通過させる。
【0035】
開口部117や側面126で用いられると共にドーム116を覆う繊維は、アラミド繊維が望ましい。この素材は、流入する空気中の油と水を吸着すると共に、微粒子分をろ過する。油と水が繊維表面で吸着されるため、空気流が逆流する際に、この繊維から、湿気や油が奪われ易くなる。従って、アラミドあるいは同様の表面活性化繊維により、典型的には6ヵ月から数年に亘って、ブランケットの耐用年数を大幅に延ばすことができる。
【0036】
再び図1および7を参照すると、空気油分離器34,36の上に配置されているのは、一対のキャニスター取付台28,30であり、それぞれ、ニップル164と複数の入口/出口開口部144を内部に有している。また、キャニスター装置24,26のそれぞれの底板148に、複数の合わせ穴146がある。これら装置24,26は同一であるため、一つの装置26のみを詳細に説明する。底板148は、巻返し部152aから内側に離間してシールリングすなわちアダプタ150を有し、巻返し部は、キャニスター26の外周部154を保持する。内側キャニスター152はフランジ158を有し、このフランジは半径方向内側へ延出し、板状ガスケット160の溝部で終わる。このガスケット160は、今度は、板148の上向きフランジ部161に押し付けられる。ネジ162があり、これはキャニスター取付台30から上方へ延出するニップル164(図1)と螺合する。ニップル164はまた、図7において仮想線で示される。
【0037】
再びキャニスター26を参照すると、流路146の真上の空間は、外向きに広がって、フィルタ部材166が組み込まれており、これは内側キャニスター152の下端168の直ぐ手前で終わり、内外のキャニスター152,154間の空間170と連通する。
【0038】
キャニスター26の上端部には、バネ174で下方へ押し下げられたストレーナ板172がある。乾燥剤178の袋176は、上部ストレーナ板172と下部ストレーナ板180との間に保持されている。Oリング182,184は、カバー装置186,188を所定箇所に保持する。ストレーナ板は、開口部190,192を有し、これらの開口部は、ネジ留め式キャニスター26の雌ネジ部162につながる。
【0039】
さて、図8を参照すると、ニップル164がネジ留め式キャニスター26をキャニスター取付台30に取り付けることが示されている。ここから、中央流路194は、弁本体52用の小径の座部196につながる。バネ198は、マニホールド38の内部にある流路200に対し閉鎖される弁を付勢し、この流路200は逆止弁54(図1)と連通し、この逆止弁は、継ぎ手60、最終的には圧縮空気貯留タンク(不図示)につながる。弁本体52は、流路204と同軸を維持するために複数の縦溝202(図1)を有する。弁本体52はまた、弁52が閉じられているか否かに関わらず開かれる小さな中央通気路206を備える。
【0040】
図9は、キャニスター26の鏡像(左右反対の写し)である。この図では、図8で示されるのとは逆方向に、はるかに少量の空気流が通る点を除き、すべてが図8と同じに示される。これは、弁本体50が座部218上にあり、空気が、弁本体50の非常に小さな中央流路210を通り、流路212、ニップル214、乾燥剤216などを通過することしかできないためである。その空気はまた、内外のキャニスター219,221間を通り、さらにキャニスター取付台28内の流路144を通過する。最終的に、その空気流は、弁本体32の皿状領域222(図3)へ向けて下方に流れ、空気油分離器を逆方向に通過し、これにより吸着された油および湿気を分離器34から奪う。
【0041】
図3は、逆方向に流れる湿気を含んだ空気が、皿状領域222に集まり、そこから穴96を通って、さらに弁46を通って排気口100まで移動する様子を示す拡大図である。
【0042】
さて、装置18全体の作動について述べると、開口部58を通して下部弁本体32に入り込んで、圧縮器や他の圧力源からの圧力が存在しているものと仮定する。さらに、MLT弁は、当初、入口102ではなく入口84を加圧するように位置していると仮定する。入口84に供給された圧力は、逆止弁内の空間80に入り、弁本体69を座82に押し付ける。この圧力はまた、穴86でも見られるが、この穴は空気抜き弁46の内部88とつながる。図2に示されるとおり、この圧力によりピストン90と本体91の可動部が右側へ押される。また、この圧力により、弁46(図3)の流路98が開かれ、湿気と油を含んだ空気が排出されるように開放される。MLT弁が空気を入口84へ供給するため、空気圧力は入口102へは供給されない。従って、弁本体70は、流路64中の流入空気により座66から離され、これにより、圧縮器からの空気流に対して、流路72、特に垂直流路78を開く。空間領域104が加圧されていないので、空間104の長さは短くなっている。同様に、空気抜き弁の内部106の流路105における圧力も最小となる。これにより、弁の本体93が右側に動き、ピストン95や弁ヘッド97を共に移動させる。
【0043】
ここで図3を参照すると、垂直流路78が空気を皿状領域107へ向けることが示されている。多少の油や水蒸気を含むこの空気は、急速に移動し、偏向板128に当たり、偏向板128が空気を周囲に拡散させる。この乱流により油の大部分が空気から分離され、ろ過材120に吸着される。流れを逆転した空気はその後、フェンス124の影響下で進み再び流れを逆転し、ろ過材120を含むドーム116の下面115や周辺部126に接触する。空気はろ過材下の空間142を通過し、その後、スクリーン118で覆われて繊維120を収容する開口部117を介して上方へ向けられる。最後に、開口部117を介した流路が、残りの油および水蒸気を吸着する。
【0044】
ここから、空気はキャニスター取付台30内の開口146を通るよう方向付けられるが、ガスケット150の装備により気密状態が確保される。その後、空気は環状フィルタ166を通って、外側キャニスター154と内側キャニスター156との間の空間170内に入る。空間170を通って移動した後、流入空気はキャニスター26内の空間155に導かれるが、ここで、この空気は種々の開口部190を通過し、ストレーナカバー186を通り、袋176で保持される乾燥剤178内へ下向きに移動する。
【0045】
この過程が乾燥剤を流入空気にさらし、効果的に乾燥させ、その相対湿度をほぼゼロにまで下げる。ここから、空気はもう一つのストレーナカバー188を通過し、下部ストレーナ板の開口部192を通り、最終的には、使用時にニップル164の内側にある出口194へ至る。
【0046】
空間194は、弁本体52に対する座部196と連通する。流路194に出現する大容量の高圧空気は、バネ198からの力に打ち勝ち、この弁本体を座部から離す。圧力下の空気は、流路200を通してマニホールド38に取り込まれ、その流路によって、継ぎ手60を介してタンクへ供給される。
【0047】
同時に、マニホールド38内に出現する非常に少量の一定割り当て分の空気は、弁50の本体の中心部にある小流路210へ向けられる。この弁50の本体は座部218上にあるため、弁50は流路210を通過できない空気を通過させない。バネ220は、この付勢を維持する。ここで、流路212を流れる空気は、キャニスター28の中央部で上向きにされ、乾燥剤216を通過し、キャニスター28の壁219,221間で外に出る。その後、その空気は、開口部144を通って皿状領域222へ流れ、さらに空気油分離器34を逆に通り、空気抜き弁46の真上に移る。
【0048】
空気を乾燥させている右側キャニスター26に関するサイクルについて述べたが、その間、キャニスター24は、弁50の小流路210を通って供給される乾燥空気の一部を用いて、乾燥剤から湿気を取り除く。適当な間隔を置いた後、MLT弁は、入口84内への空気の流れを単に逆転させ、今度は、これを入口102へ供給する。ここから、流入路62が閉じられ、流路64が開かれ、空気を垂直流路79経由で送る。
【0049】
図4〜6で示されるものと同一の油空気分離器が皿状領域222内に配置されており、それが同一の機能を発揮する一方、空気抜き弁44,46の一つが開かれ、これによって空気を逃がし、出口100,107を通過させることができる。前に説明したとおり、空気抜き弁46は開かれており、それによって湿気を含んだ排気される空気が、弁98を通って流路100に達することができ、そこで大気に逃がされる。
【0050】
MLT弁が反対に付勢をかけられると、逆止弁はその際、加圧容積104により閉じられ、弁44が空間106内の圧力により開かれる。指摘したように、二つの弁40,44間の流路105は、両者を加圧するか、あるいは両者を減圧する。
【0051】
さて、エアドライヤ装置が作られる好ましい材料について述べると、キャニスターは、薄肉であるが、厚さ0.060インチの鋼材といった丈夫な材料で作られるのが望ましい。キャニスター取付台は、ダイカストアルミニウムといった鋳込材料から作られるのが望ましい。フランジ材や、中央板すなわちドーム部材116を備える空気油分離器は、すべてステンレス鋼材から作られる。ろ過材は、アラミド繊維やそれと同種の材料のような表面活性物質から作られる。アラミド繊維材は、不織布ブランケットの形態であり、通気性を有する。ろ過材およびステンレス鋼スクリーン材で閉止される開口部118がある。言い換えると、このフランジ板108は、ステンレス鋼製の開口底部117を有する細長く浅いポケット122を備えており、カバー112の対応する開口領域がその上にスポット溶接される。ポケットを有するこれら2枚の薄板は、スクリーンと、それらの間にあるアラミド繊維材とを閉じ込める。
【0052】
これらの空気油分離器は、その構成により効果的であると考えられ、空気を二つの逆方向へ通過させ、混入した油を空気流から分離させる上で非常に有用であると考えられる。この構成に加えて、当然ながら、フランジ板の外周辺部の内側に置かれた水平設置フィルタを通るよう垂直流を方向付けることで、フィルタリング効果が得られる。当然ながら、空気流が逆転される際に油および湿気を奪う能力と同様、繊維材料による吸着も非常に重要である。
【0053】
下部弁本体は、マニホールド38と同様に、鋳込アルミニウムで作られる。弁44,46は、アルミニウムとプラスチック材料との組合せで作られる。本発明の重要な特徴の一つは、これらの弁44,46が容易に取り外し可能である点、および交換可能であるという点である。その弁は、図1,2,3で示されるとおり、ねじで所定の場所に保持される。カバー板250はアルミニウム製であり、止め具252により所定の場所に保持される。その板は、弁本体の非可動の半分と一体的に形成される。これらの弁40〜46を修理、あるいは取り替える、あるいは弁50,52の較正を変更する時期になると、単にそれらを取り外して、取り替えることで容易にこれが達成される。マニホールドを取り外し、単に弁コアを外して、他のものと交換すれば、弁50,52は容易に取り外すことができる。これは、システムが作動する空気流の容積に応じて、流出穴を大きくするか、あるいは小さくするという目的のためになされるものである。弁40,42の先端や可動部69,76は黄銅製であるが、他の材料を用いることもできる。弁40,42,46のすべてのスリーブ部分99,101はアルミニウムであり、ビトン(登録商標)のフルオロカーボンゴム製Oリングを用いてピストンと、弁40,42,44,46の可動部分とを密閉する。
【0054】
上述のMLT弁は、図1および図9で示されている。抽気の供給が二つの出口107,108を有する弁のブロック110に入ることに気づかれるであろう。ハウジング110中心部のスプール弁(不図示)は、ソレノイドにより前後に引かれ、チューブおよび取り付け具107,108の内の一方あるいは他方に空気を供給する。
【0055】
このように、本発明は、上で指摘したものや、その他本発明に固有のものを含む多数の利点や特性を有する新規エアドライヤシステムおよび空気油分離器を提供するということがわかる。好適な実施例を説明したが、当業者が改造や変更を行うこと、さらに、本発明の主旨、あるいは添付請求項の範囲から逸脱することなく、かかる改造や変更がなされるということが予想される。
【符号の説明】
【0056】
34 空気油分離器
36 空気油分離器
38 マニホールド(第一手段、第二手段)
40 弁(第一湿り空気入口)
42 弁(第二湿り空気入り口)
44 空気抜き弁(第二湿り空気抜き弁)
46 空気抜き弁(第一湿り空気抜き弁)
50 弁(第一通気弁)
52 弁(第二通気弁)
116 ドーム状部材(無孔中央部)
120 ろ過材
124 フェンス
128 偏向板
178 乾燥剤(第一乾燥剤)
204 流路(第一乾燥空気出口)
212 流路(第二乾燥空気出口)
216 乾燥剤(第二乾燥剤)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの略同一のエアドライヤ装置を備えるエアドライヤシステムであって、
それぞれは、ある状態で、第一湿り空気入口と、空気を乾燥させるための第一乾燥剤と、第一乾燥空気出口と、貯留設備へ乾燥空気を供給するための第一手段とを備え、
前記システムはまた、同状態において、第二乾燥剤を再生するために前記乾燥空気のわずかな部分を供給する第一通気弁と、再生中、集められた湿気を排出するための第一湿り空気抜き弁とを備え、
前記システムは、逆状態でも作動可能であり、第二湿り空気入口と、第二乾燥剤と、第二乾燥空気出口と、貯留設備へ空気を供給するための第二手段と、前記第一乾燥剤を再生するために前記乾燥空気のわずかな部分を供給する第二通気弁と、第二湿り空気抜き弁と、前記各湿り空気入口と前記各乾燥剤との間に設置され、略上向きの空気供給を規定する手段を備えた一対の空気油分離器とを備え、
各空気油分離器装置は、ハウジング内にあり、
前記装置はそれぞれ、前記空気供給と対向して配置された偏向板と、無孔中央部と、前記中央部を少なくとも部分的に取り囲む略垂直に延出するフェンスとを有し、
空気流路手段は、前記無孔中央部の外側寄りに設けられ、ろ過材を有し、
前記ろ過材はまた、前記中央部と前記フェンスとの内の少なくとも一つに付けられている
ことを特徴とするエアドライヤシステム。
【請求項2】
前記乾燥剤は、スピンオン型カートリッジ内に収容されており、
前記乾燥剤は、前記ハウジング内に配置された袋内に収容されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエアドライヤシステム。
【請求項3】
前記空気油分離器はそれぞれ、前記空気流路手段の外側寄りに設けられたフランジ部を備え、
前記フランジ部はまた、前記エアドライヤシステム内の所定箇所に、前記空気油分離器を取り外し可能に固定するのに役立つ
ことを特徴とする請求項1に記載のエアドライヤシステム。
【請求項4】
前記空気流路手段は、複数のポケットを備え、
前記ポケットのそれぞれは、前記ろ過材を収容し、
前記ポケットのそれぞれは、前記ろ過材を間に収容する一対のスクリーンを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のエアドライヤシステム。
【請求項5】
前記無孔中央部は、扁平円錐ドームを有する板形状である
ことを特徴とする請求項1に記載のエアドライヤシステム。
【請求項6】
前記ろ過材がアラミド繊維材料からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のエアドライヤシステム。
【請求項7】
前記アラミド繊維材料が不織布ブランケットに形成されている
ことを特徴とする請求項6に記載のエアドライヤシステム。
【請求項8】
前記アラミド繊維材料は、前記フェンスの内側と前記中央部の内面との両方を覆い、
前記ブランケットは、前記中央部と前記フェンスとに接着剤で固着される
ことを特徴とする請求項7に記載のエアドライヤシステム。
【請求項9】
前記第一および第二の湿り空気入口を容易に取り外し可能とする手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のエアドライヤシステム。
【請求項10】
前記第一および第二の通気弁の容易な取り外しと取り替えを可能とする手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のエアドライヤシステム。
【請求項11】
細かく細分化された乾燥剤を収容するカートリッジと、空気入口弁から略上向きに空気流を向けるための手段と共に使用するための空気油分離器であって、
前記空気油分離器は、前記空気入口弁と前記カートリッジとの間で用いられるよう配置され、
前記空気油分離器は、前記空気入口弁の上流でハウジングを塞ぐためのフランジ板と、空気を通過可能とする前記フランジ板の少なくとも一つの開口部と、前記開口部内に配置されたろ過材と、前記少なくとも一つの開口部より内側にある無孔中央部と、前記中央部の一部の下部にある偏向板と、前記中央部から略下向きに延出するフェンスとを備え、
前記ろ過材はまた、前記中央部の下面と前記フェンスの内面との少なくとも一つを覆い、
前記空気入口は、空気とそれに含まれる油とを前記偏向板へ向け、前記空気はその後、前記フェンス下を通り、前記開口部を通って上向きに前記乾燥剤へ移動する
ことを特徴とする空気油分離器。
【請求項12】
前記ろ過材は、表面活性物質であり、
この表面活性物質は、圧力下で前記乾燥剤へ給気される油を含んだ空気からその表面上で油を吸着しようとし、空気が前記乾燥剤から前記活性物質へ流れる際には、前記油を取り除こうとする
ことを特徴とする請求項11に記載の空気油分離器。
【請求項13】
前記ろ過材がアラミド繊維材料からできている
ことを特徴とする請求項11に記載の空気油分離器。
【請求項14】
前記アラミド繊維が不織布材料の形態である
ことを特徴とする請求項13に記載の空気油分離器。
【請求項15】
前記ろ過材が、前記フェンスと前記中央部との両方に接着剤で固定されている
ことを特徴とする請求項11に記載の空気油分離器。
【請求項16】
前記少なくとも一つの開口部は、複数の開口部からなる
ことを特徴とする請求項11に記載の空気油分離器。
【請求項17】
前記少なくとも一つの開口部は、前記ろ過材をそれらの間に挟み込む上部スクリーンと下部スクリーンとを備える
ことを特徴とする請求項11に記載の空気油分離器。
【請求項18】
前記少なくとも一つの開口部は、複数の開口部からなり、
前記開口部は、下部ポケットと、下部スクリーンと、装填ろ過材と、上部スクリーンと、上部ポケットカバーとで構成される
ことを特徴とする請求項11に記載の空気油分離器。
【請求項19】
前記無孔中央部が尖った扁平ドーム部を備える
ことを特徴とする請求項11に記載の空気油分離器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−130917(P2012−130917A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19977(P2012−19977)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【分割の表示】特願2007−500850(P2007−500850)の分割
【原出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(592223393)エス・ケイ・エフ・ユウ・エス・エイ・インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】