説明

空気浮上式ベルトコンベア

【課題】 搬送物の山を均すことができる空気浮上式ベルトコンベアの提供。
【解決手段】 凹形のトラフに設けた空気孔より上向きに空気を噴出させることにより、該トラフ内を移動するベルト1に浮上力を与えるものであり、ベルト1の両側部に、ベルト1上の搬送物10のベルト1からの零れ落ちを防止する一対のスカート12,12が立設されているものであって、一対のスカート12,12の間には、搬送方向においてこれらスカート12,12と重なる位置に、ベルト1上の搬送物10の上部に接触して該搬送10物の上部を両側方に広げて均すスクレーパ13が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉱石や石炭等のばら物を搬送する空気浮上式ベルトコンベアに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉱石や石炭等のばら物を搬送する場合、ローラ式のベルトコンベアが一般に用いられている。このベルトコンベアは、両端のプーリに巻回したループ状のベルトを、キャリア側(上側)およびリターン側(下側)に配置したローラで支持しながら周回駆動するようにしたものである。このコンベアでは、ベルトが所定のピッチで配置されたローラで支持されていることから、必然的にベルトに振動が生じることになり、その結果、鉱石や石炭等の搬送物が投入装置から投入されたときに例え山積み状になったとしても、この振動によって自然に均されるようになっている。
【0003】一方で、図5に示すような空気浮上式ベルトコンベアが開発されている。このコンベアは、ベルト1を支持するキャリア側およびリターン側のトラフ22,23の幅方向中央に長手方向に沿って多数の空気孔を列設するとともに、各トラフ22,23の下面に、各空気孔27に連通する空気ダクト26を設け、空気ダクト26にブロア28から空気を送り込むことで、各トラフ22,23の空気孔27より上向きに空気を噴出させ、それによりベルト1とトラフ22,23間に空気層を形成して、トラフ22,23上を移動するベルト1を浮上させるようにしたものである。なお、トラフ22,23はコンベアフレーム24に固定されている。
【0004】この空気浮上式ベルトコンベアは、上記の構成により、ローラ式ベルトコンベアに比べて、ベルトに作用する抵抗を大幅に低減することができ、駆動負担を軽減できることになる。また、ローラを無くしたことで、騒音や振動を少なくできる利点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、空気浮上式ベルトコンベアには、振動を少なくすることができる利点があるが、これは逆に言えば、上記のように鉱石や石炭等の搬送物がベルト上で山積み状になった場合に、この搬送物の山を振動で均すことができないという新たな問題を発生させてしまうことになる。そして、このように搬送物が偏って積まれたまま搬送されると、ベルトがトラフに局所的に接触等して別の新たな騒音を発生させてしまう可能性があった。
【0006】したがって、本発明は、搬送物の山を均すことができる空気浮上式ベルトコンベアの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、第1の発明は、凹形のトラフに設けた空気孔より上向きに空気を噴出させることにより、該トラフ内を移動するベルトに浮上力を与えるものであり、前記ベルトの両側部に、該ベルト上の搬送物の該ベルトからの零れ落ちを防止する一対のスカートが立設されている空気浮上式ベルトコンベアであって、前記一対のスカートの間には、搬送方向においてこれらスカートと重なる位置に、前記ベルト上の搬送物に接触して該搬送物を両側方に広げて均すスクレーパが配置されていることを特徴としている。
【0008】このようにスクレーパが設けられているため、該スクレーパがベルト上の搬送物の上部に接触して該搬送物の上部を両側方に広げて均すことになる。しかも、スクレーパは、ベルト上の搬送物の該ベルトからの零れ落ちを防止するようにベルトの両側部に立設された一対のスカートの間であって、搬送方向においてこれらスカートと重なる位置に設けられることになるため、スクレーパで両側方に広げられた搬送物についても一対のスカートでベルトからの零れ落ちが防止されることになる。
【0009】また、第2の発明は、前記スクレーパが、前記一対のスカートの下流側の末端位置に配置されており、これらスカートの末端部の下部には、傾斜形状の面取り部が形成されていることを特徴としている。
【0010】これにより、スクレーパで両側方に広げられた搬送物が多い場合には、該搬送物がスカートの面取り部で制限され、適正な量の搬送物のみが面取り部とベルトとの隙間を通過して両側方に広げられることになる。
【0011】さらに、第3の発明は、前記スクレーパが、搬送方向における下流側の支持部において回転自在に支持されるとともに、該支持部よりも上流側に、該スクレーパの上下位置を調整する上下位置調整手段が設けられていることを特徴としている。
【0012】これにより、スクレーパは、上下位置調整手段で支持部を中心に回転し上下位置が調整されることになるため、搬送物の量等に応じて搬送物への接触高さを変更できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の空気浮上式ベルトコンベアの一の実施の形態について図1〜図4を参照して以下に説明する。
【0014】この空気浮上式ベルトコンベアは、図5に示したものとキャリア側のベルト1から下側は同じ構造のものであり、キャリア側のベルト1が走行することで石炭等の搬送物10を搬送する。なお、図1〜図4においては、キャリア側のベルト1から上側の構成のみ図示し、ベルト1よりも下側の構成は略している。
【0015】キャリア側のベルト1の上側には、該キャリア側のベルト1上に搬送物10を投入するための筒状のシュート11とこのシュート11に連結されてシュート11で投入された搬送物10のベルト1からの零れ落ちを防止する一対のスカート12,12とが設けられている。
【0016】一対のスカート12,12は、キャリア側のベルト1の搬送方向に直交する方向の両側部に鉛直立設された状態で、シュート11から下流側にキャリア側のベルト1の搬送方向に沿って延在するようにしてシュート11に連設されている。
【0017】そして、この実施の形態においては、一対のスカート12,12の間であって、搬送方向においてこれらスカート12,12と重なる位置、具体的にはこれらスカート12,12の搬送方向における下流側の末端位置と重なる位置に、キャリア側のベルト1上の搬送物10の上部に接触して該搬送物10の上部を両側方に広げて均すスクレーパ13が配置されている。
【0018】このスクレーパ13は、搬送物10に接触してこれを均すスクレーパ本体14と、該スクレーパ本体14の搬送方向下流側の上部を搬送方向に直交する水平軸回りに回転自在に支持する支持部15と、スクレーパ本体14の支持部15よりも上流側に設けられて該スクレーパ13の上下位置を調整する上下位置調整機構(上下位置調整手段)16とを有している。
【0019】スクレーパ本体14は、支持部15に対し反対側に支持部15側よりも上方に突出する突起部17が形成されており、支持部15に対し反対側の端部に搬送方向を中心に鏡面対称に配置される一対の均し面18,18が形成されている。これら均し面18,18は、それぞれ搬送方向に対し同角度で逆方向に傾斜しており、合わせて平面視V字形状をなしている。
【0020】上下位置調整機構16は、上部にハンドル19を有しており、該ハンドル19の正逆回転でスクレーパ本体14の連結部分を昇降させ、その結果、スクレーパ本体14を支持部15を中心に回転させつつその均し面18,18側の高さを調整する。
【0021】他方、一対のスカート12,12の搬送方向における下流側の末端部の下部には、それぞれ、下流側に位置するほど高くなるよう傾斜する同一形状の面取り部20が形成されている。これら面取り部20,20は、搬送方向においてスクレーパ13と重なり合う位置に形成されている。
【0022】以上に述べた空気浮上式ベルトコンベアによれば、シュート11を介してキャリア側のベルト1上に投入された搬送物10(図3参照)は、ベルト1の走行でスクレーパ13に接触し、その上部が両側方に広げられて均されてさらに下流側に向け搬送されることになる(図4参照)。
【0023】ここで、スクレーパ13は、ベルト1上の搬送物10の該ベルト1からの零れ落ちを防止するようにベルト1の両側部に立設された一対のスカート12,12の間であって、搬送方向においてこれらスカート12,12と重なる位置に設けられているため、スクレーパ13で両側方に広げられた搬送物10は一対のスカート12,12でベルト1からの零れ落ちが防止されることになる。
【0024】そして、特にスクレーパ13で両側方に広げられた搬送物10が多い場合には、該搬送物10がスカート12,12の面取り部20,20で制限され、適正な量の搬送物10のみが面取り部20,20とベルト1との隙間を通過して両側方に広げられることになる。
【0025】以上により、搬送物10の山を良好に均すことができる。
【0026】ここで、スクレーパ13は、上下位置調整機構16で支持部15を中心に回転し上下位置が調整されることになるため、搬送物10の量等に応じて搬送物10への接触高さを変更できる。したがって、搬送物10の山をさらに良好に均すことができる。
【0027】加えて、ベルト1上に搬送物10を投入するシュート11に連設された一対のスカート12,12の間であって、搬送方向においてこれらスカート12,12と重なる位置にスクレーパ13が設けられているため、スクレーパ13のためだけに別途のスカート12,12を設置する必要がなく効率がよい。
【0028】
【発明の効果】以上詳述したように、第1の発明によれば、スクレーパが設けられているため、該スクレーパが、ベルト上の搬送物の上部に接触して該搬送物の上部を両側方に広げて均すことになる。しかも、スクレーパは、ベルト上の搬送物の該ベルトからの零れ落ちを防止するようにベルトの両側部に立設された一対のスカートの間であって、搬送方向においてこれらスカートと重なる位置に設けられることになるため、スクレーパで両側方に広げられた搬送物についても一対のスカートでベルトからの零れ落ちが防止されることになる。したがって、搬送物の山を良好に均すことができる。
【0029】また、第2の発明によれば、スクレーパで両側方に広げられた搬送物が多い場合には、該搬送物がスカートの面取り部で制限され、適正な量の搬送物のみが面取り部とベルトとの隙間を通過して両側方に広げられることになる。したがって、搬送物の山をさらに良好に均すことができる。
【0030】さらに、第3の発明によれば、スクレーパは、上下位置調整手段で支持部を中心に回転し上下位置が調整されることになるため、搬送物の量等に応じて搬送物への接触高さを変更できる。したがって、搬送物の山をさらに良好に均すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空気浮上式ベルトコンベアの一の実施の形態を概略的に示す側断面図である。
【図2】 本発明の空気浮上式ベルトコンベアの一の実施の形態を概略的に示す平面面図である。
【図3】 本発明の空気浮上式ベルトコンベアの一の実施の形態の図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図4】 本発明の空気浮上式ベルトコンベアの一の実施の形態の図1におけるB−B線に沿う断面図である。
【図5】 空気浮上式ベルトコンベアの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ベルト
10 搬送物
11 シュート
12 スカート
13 スクレーパ
14 スクレーパ本体
15 支持部
16 上下位置調整機構(上下位置調整手段)
17 突起部
18 均し面
20 面取り部
22,23 トラフ
24 コンベアフレーム
26 空気ダクト
27 空気孔
28 ブロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】 凹形のトラフに設けた空気孔より上向きに空気を噴出させることにより、該トラフ内を移動するベルトに浮上力を与えるものであり、前記ベルトの両側部に、該ベルト上の搬送物の該ベルトからの零れ落ちを防止する一対のスカートが立設されている空気浮上式ベルトコンベアであって、前記一対のスカートの間には、搬送方向においてこれらスカートと重なる位置に、前記ベルト上の搬送物に接触して該搬送物を両側方に広げて均すスクレーパが配置されていることを特徴とする空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項2】 前記スクレーパは、前記一対のスカートの下流側の末端位置に配置されており、これらスカートの末端部の下部には、傾斜形状の面取り部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の空気浮上式ベルトコンベア。
【請求項3】 前記スクレーパは、搬送方向における下流側の支持部において回転自在に支持されるとともに、該支持部よりも上流側に、該スクレーパの上下位置を調整する上下位置調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の空気浮上式ベルトコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2001−139118(P2001−139118A)
【公開日】平成13年5月22日(2001.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−320327
【出願日】平成11年11月10日(1999.11.10)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)
【Fターム(参考)】