説明

空気清浄機

【課題】空気清浄機に搭載される粉塵検出部による運転において、外部から室内に侵入する粒子径の小さい粉塵に対して、粉塵検出部で検出して自動的に清浄運転を継続しても集塵しきれず運転が止まらないという課題に対して実使用に合わせた清浄運転することを目的とする。
【解決手段】制御部は粉塵検出部7とニオイ検出部8からの検出信号をもとに、ニオイ検出部8からの検知量が所定の値より低く、粉塵検出部7から規定値未満の大きさの粉塵粒子だけを検知している時間が一定時間に達したときに運転を停止することで無駄で実使用に合わない運転を防止できるという効果を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭や事務所等で使用される空気清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気清浄機は、粉塵の大きさを検出して吸い込み方向を変更し効率よく集塵させたものが知られている(例えば、文献1参照)。
【0003】
以下、その空気清浄機について図7〜9を参照しながら説明する。
【0004】
図7、図8に示すように、空気清浄機本体101は略箱形に形成され、本体101の正面にはフロントパネル102を設け、本体101の側面に吸気口103、本体101下部に開閉式吸気口104を形成している。本体101内には空気を清浄化するためフィルター105と、このフィルター105に通風するファンモーター106が備えられ、本体101天面には吹出部107が設けられている。ファンモーター106の駆動により吸気口103、開閉式吸気口104から空気が吸い込まれ、フィルター105を通って清浄された後、吹出部107から吹出される。
【0005】
本体101側面には汚れ検出手段として光学式の粉塵センサ108aを備えた粉塵検出部108が設けられている。
【0006】
また本体101の正面上部には操作部109が設けられ、制御部110に演算部111を設けている。
【0007】
上記構成において、電源が通電されると制御部110は粉塵検出部108で検出した出力信号を0〜5の汚れレベル値に変換する処理をおこない、操作部109を自動運転に設定すると、制御部110は汚れレベル値に従ってファンモーター106を運転するものである。
【0008】
また図9に示すように粉塵検出部108は検出される粉塵の大きさが3μm未満のものか3μm以上のものかを識別して制御部110にその信号を伝達する。制御部110はその信号を演算部111にて演算し、3μm以上の粉塵が多い場合には開閉式吸気口104を開口して下方からの吸い込み量を増やし、3μm未満の粉塵が多い場合には開閉式吸気口104を閉口して側面からの吸い込みを増やしてそれぞれ空気汚れの除去をおこなうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−142624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような従来の空気清浄機では、室内で発生した汚れを除去するものであって、室内で発生した汚れは、あらかじめ目安にした時間内に除去できるものであった。
【0011】
一方、自然換気回数が多い居室において室外から室内へ継続して入り込む粉塵があった場合に、その粉塵を取りきれないことがあった。例えば、黄砂のような1μm未満の粉塵が継続して室内へ入り込む場合には、空気清浄機の除塵能力が不足して、粉塵検出部は常に汚れを検知している状態となり、いつまでも運転を停止させることができないことがあった。
【0012】
このような状況が継続すると、使用者は空気清浄機が故障している認識してしまうことがあった。
【0013】
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、使用者に誤解を与えないようにすることができる空気清浄機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そして、この目的を達成するために、本発明の空気清浄機は、室内の空気を清浄化する空気清浄機において、吸気した汚れ空気を清浄化する清浄化手段と、前記清浄化手段に通風する送風手段と、粉塵の大きさの識別と汚れ量を検知できる粉塵検出部と、ニオイを検出するニオイ検出部と、前記粉塵検出部および前記ニオイ検出部からの汚れ検知量を判断して前記送風手段を制御する制御部を備え、前記制御部は前記ニオイ検出部からの検知量が所定の値より低く、前記粉塵検出部から規定値未満の大きさの粉塵粒子だけを検知している時間が一定時間に達した場合に前記送風手段を停止するようにした構成としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【0015】
また、本発明の空気清浄機は、前記制御部に、前記粉塵検出部および前記ニオイ検出部からの汚れ検知量に応じて汚れ量を段階的に表示する汚れ表示部を設け、前記送風手段が停止しているときは汚れ検知無しの表示をするような構成にした。
【0016】
また、本発明の空気清浄機は、前記制御部は前記送風手段を停止している間、使用者に停止していることをお知らせする表示部を設けた構成にした。
【0017】
また、本発明の空気清浄機は、前記制御部は前記送風手段を停止している間、前記粉塵検出部から規定値以上の大きさの粉塵粒子を検知した場合に前記送風手段を運転開始するような構成にした。
【0018】
また、本発明の空気清浄機は、前記制御部は前記送風手段を停止している間に、前記粉塵検出部から規定値未満の大きさの粉塵粒子も検出しなくなった後に、再度規定値未満の大きさの粉塵粒子のみ検出した場合に前記送風手段を運転開始する構成にした。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、室内の空気を清浄化する空気清浄機において、吸気した汚れ空気を清浄化する清浄化手段と、前記清浄化手段に通風する送風手段と、粉塵の大きさの識別と汚れ量を検知できる粉塵検出部と、ニオイを検出するニオイ検出部と、前記粉塵検出部および前記ニオイ検出部からの汚れ検知量を判断して前記送風手段を制御する制御部を備え、前記制御部は前記ニオイ検出部からの検知量が所定の値より低く、前記粉塵検出部から規定値未満の大きさの粉塵粒子だけを検知している時間が一定時間に達した場合に前記送風手段を停止するようにしたことにより、外部から継続的に侵入する粉塵に対して空気清浄機を停止させることとなるので、空気清浄機が故障しているという使用者の誤解を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1の空気清浄機の構造図
【図2】同制御ブロック図
【図3】同汚れ検知レベルと運転風量の相関図
【図4】同制御フローチャート
【図5】本発明の実施の形態2の制御ブロック図
【図6】本発明の実施の形態3の制御ブロック図
【図7】従来の空気清浄機の構造図
【図8】同ブロック図
【図9】同制御フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の請求項1記載の発明は、室内の空気を清浄化する空気清浄機において、吸気した汚れ空気を清浄化する清浄化手段と、前記清浄化手段に通風する送風手段と、粉塵の大きさの識別と汚れ量を検知できる粉塵検出部と、ニオイを検出するニオイ検出部と、前記粉塵検出部および前記ニオイ検出部からの汚れ検知量を判断して前記送風手段を制御する制御部を備え、前記制御部は前記ニオイ検出部からの検知量が所定の値より低く、前記粉塵検出部から規定値未満の大きさの粉塵粒子だけを検知している時間が一定時間に達した場合に前記送風手段を停止する構成を有する。これにより規定値未満の大きさの粉塵粒子だけを検知している時間が一定時間に達した場合に前記送風手段を停止することで、外部から継続的に侵入する粉塵に対して空気清浄機を停止させることとなるので、空気清浄機が故障しているという使用者の誤解を防止できるという効果を奏する。
【0022】
また、請求項2記載の発明は、制御部に前記粉塵検出部および前記ニオイ検出部からの汚れ検知量に応じて汚れ量を段階的に表示する汚れ表示部を設け、前記送風手段が停止しているときは汚れ検知無しの表示をするようにした構成を有する。これにより使用者は視覚的にも室内が清浄であることを認識できるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項3記載の発明は、制御部は前記送風手段を停止している間、使用者に停止していることをお知らせする表示部を設けた構成を有する。これにより使用者は視覚的にも運転が停止していることを認識できるという効果を奏する。
【0024】
また、請求項4記載の発明は、制御部は前記送風手段を停止している間、前記粉塵検出部から規定値以上の大きさの粉塵粒子を検知した場合に前記送風手段を運転開始する構成を有する。これにより室内で粉塵汚れが発生した際に、すぐに運転再開できるという効果を奏する。
【0025】
また、請求項5記載の発明は、前記制御部は前記送風手段を停止している間に、前記粉塵検出部から規定値未満の大きさの粉塵粒子も検出しなくなった後に、再度規定値未満の大きさの粉塵粒子のみ検出した場合に前記送風手段を運転開始するようにした構成を有する。これにより室内からの粉塵発生を想定して運転ができるので使用者にとって実使用に合う清浄運転ができるという効果を奏する。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1、図2に示すように、空気清浄機の本体1は略箱形に形成され、本体1の側面に吸気口2、本体1下部に開閉式吸気口3を形成している。本体1内には空気を清浄化するためフィルター4と、このフィルター4に通風するファンモーター5が備えられ、本体1天面には吹出部6が設けられている。ファンモーター5の駆動により吸気口2、および開閉式吸気口3から空気が吸い込まれ、フィルター4を通って清浄された後、吹出部6から吹出される。
【0028】
本体1側面には汚れ検出手段として光学式の汚れ検出手段を備えた粉塵検出部7とニオイを検出するニオイ検出部8が設けられている。
【0029】
また本体1の正面上部には操作部9が設けられ、制御部10に演算部11を設けている。
【0030】
上記構成において、電源が通電されると制御部10は粉塵検出部7とニオイ検出部8で検出した出力信号を0〜5の汚れレベル値に変換する処理をおこない、操作部9を自動運転に設定すると、制御部10は汚れレベル値に従ってファンモーター5を運転するものである。このとき粉塵検出部7およびニオイ検出部8で検出する汚れレベルに対するファンモーター5の送風量は図3に示す関係としている。
【0031】
また図4に示すように粉塵検出部7は検出される粉塵の大きさが1μm未満のものか1μm以上のものかを識別して制御部10にその信号を伝達する。制御部10はニオイ検出部8からの検出汚れレベル値が0で、粉塵検出部7からの1μm以上の粉塵検出汚れレベル値も0で、1μm未満の粉塵汚れのみ検出している状態が1時間以上継続する場合はファンモーター5の運転を停止するものである。
【0032】
以上のように粉塵の大きさが小さい粒子のみを長時間検出する場合は、汚れを取りきれない状況であるので運転を停止するものである。したがって、空気清浄機が故障しているという誤解を生じさせることがなくなる。
【0033】
なお、継続する時間を1時間にしたのは室内で一時的に発生した粉塵を除去するのに必要な時間をもとに定めた時間であって、室外から継続的に流入する粉塵は、制限のある時間内には取りきれないものである。
【0034】
そこで、ニオイ検出部8の検出信号のないときに検出する粉塵の粒子径と時間を定めて、粉塵汚れが検出され続けている場合に、空気清浄機の運転を(一時的に)停止させるものである。
【0035】
また、図5に示すように本実施例ではファンモーター5を停止させるだけであったが、粉塵検出部7やニオイ検出部8から検出される汚れレベルを使用者に知らせるための汚れ表示部12を設けて、1μm未満の粉塵汚れのみを1時間以上検出すれば汚れ表示部12に清浄状態を示す表示とすることで使用者に認識しやすいようにしても良い。
【0036】
また、図6に示すように本実施例ではファンモーター5を停止させるだけであったが、ファンモーター5の運転状態を示す運転表示部13を設けて、ファンモーター5が停止しているときは運転表示部13を消灯することで使用者に認識しやすいようにしても良い。
【0037】
また、本実施例ではファンモーター5を停止させるだけの記載であるが、粉塵検出部7から粉塵の大きさが大きい1μm以上の粒子を検出した場合にファンモーター5の運転を再開させるようにすることで、粉塵発生の際にはすぐに清浄運転を開始できるように実使用に即した空気清浄運転をおこなうことができる。
【0038】
また、突然の天候変化により大気の状態が変化した場合には大気中を飛散する粉塵量が激減するためファンモーター5の停止中に粉塵検出部7から粉塵の大きさが小さい1μm未満の粒子を検出しなくなることがあり、その後に再度1μm未満の粒子を検出した時にファンモーター5の運転を再開させるようにすることで、粉塵発生の際にはすぐに清浄運転を開始できるように実使用に即した空気清浄運転をおこなうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明にかかる空気清浄機は、集塵できない小さな粉塵に対して無駄な運転をせずに運転効率を高めようとするものであり、掃除機に用いる技術としても有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 本体
2 吸気口
3 開閉式吸気口
4 フィルター
5 ファンモーター
6 吹出部
7 粉塵検出部
8 ニオイ検出部
9 操作部
10 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気を清浄化する空気清浄機において、吸気した汚れ空気を清浄化する清浄化手段と、前記清浄化手段に通風する送風手段と、粉塵の大きさの識別と汚れ量を検知できる粉塵検出部と、ニオイを検出するニオイ検出部と、前記粉塵検出部および前記ニオイ検出部からの汚れ検知量を判断して前記送風手段を制御する制御部を備え、前記制御部は前記ニオイ検出部からの検知量が所定の値より低く、前記粉塵検出部から規定値未満の大きさの粉塵粒子だけを検知している時間が一定時間に達した場合に前記送風手段を停止するようにした空気清浄機。
【請求項2】
前記制御部に、前記粉塵検出部および前記ニオイ検出部からの汚れ検知量に応じて汚れ量を段階的に表示する汚れ表示部を設け、前記送風手段が停止しているときは汚れ検知無しの表示をするようにした請求項1記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記制御部は前記送風手段を停止している間、使用者に停止していることをお知らせする表示部を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記制御部は前記送風手段を停止している間、前記粉塵検出部から規定値以上の大きさの粉塵粒子を検知した場合に前記送風手段を運転開始するようにした請求項1記載の空気清浄機。
【請求項5】
前記制御部は前記送風手段を停止している間に、前記粉塵検出部から規定値未満の大きさの粉塵粒子も検出しなくなった後に、再度規定値未満の大きさの粉塵粒子のみ検出した場合に前記送風手段を運転開始するようにした請求項1記載の空気清浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−17971(P2013−17971A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154558(P2011−154558)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】