説明

空気清浄機

【課題】汚れセンサーの個体ばらつきや感度差の影響を補正する補正係数を算出しフィルターの寿命判定を行うことで、正確に交換時期を算出でき使用者に報知することのできる空気清浄機を提供することを目的としている。
【解決手段】マイクロコンピュータ8は初回通電時に室内においセンサー6の検出信号のセンサー抵抗値Aとケース内においセンサー7の検出信号のセンサー抵抗値Bにより補正係数S=A/Bを算出し、室内においセンサー6が空気のにおい汚れを検出し、ファンモーター5が回転し空気清浄運転時に室内においセンサー6のセンサー抵抗値A1とケース内においセンサー7のセンサー抵抗値B1により、フィルター係数T=A1/B1を算出し、フィルター4によるにおい汚れレベルの減衰率Z=S/Tを算出することで、正確にフィルター交換時期を算出でき使用者に報知することのできる空気清浄機が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭や事務所等で使用される空気清浄機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気清浄機は下記に記載されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その空気清浄機について図4を参照しながら説明する。
【0004】
図4に示すように、前面に吸気口102、上面に吹き出し口103を配置し、吸気口102の本体101内に集塵フィルター104、さらにファンモーター105を備え、ファンモーター105の回転により吸気口102から吸い込まれた空気は集塵フィルター104で集塵され吹き出し口103より清浄された空気が吹き出される。
【0005】
また吸気口102に吸気口側汚れセンサー106と、吹き出し口103に吹き出し口側汚れセンサー107が設けられている。
【0006】
上記構成において、吸気口側汚れセンサー106で検知された汚れ度から吹き出し口側汚れセンサー107で検知された汚れ度を差し引き、差し引かれて算出された値により集塵フィルター104の交換時期を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−39628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の空気清浄機では、吸気口と吹き出し口に備えた汚れセンサーの個体ばらつきや感度差の影響を考慮せずにフィルターの寿命を判定するため、十分なフィルター性能があるのに交換時期と誤判定してしまったり、正確なフィルター寿命算出ができなかったりするという課題を有していた。
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、汚れセンサーの個体ばらつきや感度差の影響を補正する補正係数を算出しフィルターの寿命判定を行うことで、正確に交換時期を算出でき使用者に報知することのできる空気清浄機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の空気清浄機は上記目的を達成するために、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けた空気清浄手段と、前記空気清浄手段を介して室内の空気を前記吸気口から前記本体ケース内に吸気し前記排気口より室内に排気する風路に配置した送風手段と、前記吸気口の近傍に配置し室内の空気の汚れを検出する室内空気汚れ検出手段と、前記空気清浄手段から前記排気口までの風路間に配置し本体ケース内の空気の汚れを検出するケース内空気汚れ検出手段を備えた空気清浄機において、前記室内空気汚れ検出手段の検出信号と前記ケース内空気汚れ検出手段の検出信号を演算処理する制御手段を設け、前記制御手段は、初回通電時に前記室内空気汚れ検出手段の検出信号と前記ケース内空気汚れ検出手段の検出信号から補正係数を算出し、前記室内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと前記ケース内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと前記補正係数を演算処理し前記空気清浄手段の作用による汚れレベルの減衰率を算出するようにしたものである。
【0011】
この手段により、汚れセンサーの個体ばらつきや感度差の影響を補正する補正係数を算出しフィルターの作用による汚れレベルの減衰率、すなわちフィルターの寿命判定を行うことで、正確に交換時期を算出することのできる空気清浄機が得られる。
【0012】
また、本発明の空気清浄機は、室内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルとケース内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと補正係数を演算処理し算出した空気清浄手段による汚れレベルの減衰率を表示する表示部を設け、減衰率が設定した閾値を下回った場合に表示の色を変化させるようにしたものである。
【0013】
この手段により、使用者がフィルターの正確な交換時期を知ることができ、使い勝手のよい空気清浄機が得られる。
【0014】
また、本発明の空気清浄機は、記憶手段を備え、前記記憶手段に少なくとも2つ以上の閾値を設け、一番低い閾値を下回った場合は送風手段の運転を停止するようにしたものである。
【0015】
この手段により、フィルター交換時期に到達後の運転によるフィルターからの汚れ再放出や無駄な運転を防ぐことができ、使い勝手のよい空気清浄機が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けた空気清浄手段と、前記空気清浄手段を介して室内の空気を前記吸気口から前記本体ケース内に吸気し前記排気口より室内に排気する風路に配置した送風手段と、前記吸気口の近傍に配置し室内の空気の汚れを検出する室内空気汚れ検出手段と、前記空気清浄手段から前記排気口までの風路間に配置し本体ケース内の空気の汚れを検出するケース内空気汚れ検出手段を備えた空気清浄機において、前記室内空気汚れ検出手段の検出信号と前記ケース内空気汚れ検出手段の検出信号を演算処理する制御手段を設け、前記制御手段は、初回通電時に前記室内空気汚れ検出手段の検出信号と前記ケース内空気汚れ検出手段の検出信号から補正係数を算出し、前記室内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと前記ケース内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと前記補正係数を演算処理し前記空気清浄手段の作用による汚れレベルの減衰率を算出するようにしたことにより、汚れセンサーの個体ばらつきや感度差の影響を補正する補正係数を算出しフィルターの作用による汚れレベルの減衰率、すなわちフィルターの寿命判定を行うので、正確に交換時期を算出することのできる空気清浄機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1の空気清浄機の外観斜視図
【図2】同空気清浄機の断面図
【図3】同空気清浄機のにおいセンサー抵抗値とにおい汚れの相関図((イ)「A>B」時のにおいセンサー抵抗値とにおい汚れの相関図、(ロ)「A=B」時のにおいセンサー抵抗値とにおい汚れの相関図、(ハ)「A<B」時のにおいセンサー抵抗値とにおい汚れの相関図)
【図4】同空気清浄機のブロック図
【図5】従来の空気清浄機の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の請求項1記載の空気清浄機は、吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けた空気清浄手段と、前記空気清浄手段を介して室内の空気を前記吸気口から前記本体ケース内に吸気し前記排気口より室内に排気する風路に配置した送風手段と、
前記吸気口の近傍に配置し室内の空気の汚れを検出する室内空気汚れ検出手段と、前記空気清浄手段から前記排気口までの風路間に配置し本体ケース内の空気の汚れを検出するケース内空気汚れ検出手段を備えた空気清浄機において、前記室内空気汚れ検出手段の検出信号と前記ケース内空気汚れ検出手段の検出信号を演算処理する制御手段を設け、前記制御手段は、初回通電時に前記室内空気汚れ検出手段の検出信号と前記ケース内空気汚れ検出手段の検出信号から補正係数を算出し、前記室内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと前記ケース内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと前記補正係数を演算処理し前記空気清浄手段の作用による汚れレベルの減衰率を算出するようにしたものである。
【0019】
これにより、制御手段が汚れセンサーの個体ばらつきや感度差の影響を補正する補正係数を算出しフィルターの作用による汚れレベルの減衰率、すなわちフィルターの寿命判定を行うので、正確に交換時期を算出することができるという効果を有する。
【0020】
また、本発明の請求項2記載の空気清浄機は、室内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルとケース内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと補正係数を演算処理し算出した空気清浄手段の作用による汚れレベルの減衰率を表示する表示部を設け、減衰率が設定した閾値を下回った場合に表示の色を変化させるようにしたものである。
【0021】
これにより、表示部が汚れレベルの減衰率を表示するので、使用者がフィルターの正確な交換時期を知ることができ、使い勝手がよいという効果を有する。
【0022】
また、本発明の請求項3記載の空気清浄機は、記憶手段を備え、前記記憶手段に少なくとも2つ以上の閾値を設け、一番低い閾値を下回った場合は送風手段の運転を停止するようにしたものである。
【0023】
これにより、制御手段がフィルターの作用による汚れレベルの減衰率と記憶手段の閾値を比較判定するので、フィルター交換時期に到達後の運転によるフィルターからの汚れ再放出や無駄な運転を防ぐことができ、使い勝手がよいという効果を有する。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1に示すように、空気清浄機の本体1は略箱形に形成され、本体1の前側面に吸気口2と上部に排気口3を形成し、本体1内に空気を清浄化する空気浄化手段としてのフィルター4と、吸気口2から室内の空気を吸気しフィルター4を介して排気口3から室内に排気する送風手段としてのファンモーター5を備えている。すなわち、本体内には、室内の空気を吸気口2から吸気し排気口3より室内に排気する風路を備え、この風路にファンモーター5を備えている。
【0026】
また吸気口2の近傍であって上部に室内のにおいを検出する室内汚れ検出手段としての室内においセンサー6を設けている。また図2に示すように、フィルター4から排気口3までの風路間に配置し本体1内の空気のにおいを検出するケース内空気汚れ検出手段としてのケース内においセンサー7と、本体1内部に配置した制御手段としてのマイクロコンピュータ8と、本体1前面にフィルター4の作用による汚れレベルの減衰率を表示する表示部9を備えている。また図4に示すように、記憶手段としてのEEPROM10を備えている。
【0027】
さて、図3に示すように、室内においセンサー6とケース内においセンサー7のセンサー感度差は3つのパターンに分類することができる。
【0028】
まず、図3(イ)に室内においセンサー6のセンサー抵抗値Aとケース内においセンサー7のセンサー抵抗値Bを比較し、室内においセンサー6のセンサー感度がケース内においセンサー7のセンサー感度より高い「A>B」の場合のにおいセンサー抵抗値と空気のにおい汚れの相関図の一例を示す。
【0029】
つぎに、図3(ロ)に室内においセンサー6のセンサー感度とケース内においセンサー7のセンサー感度が同じ「A=B」の場合のにおいセンサー抵抗値と空気のにおい汚れの相関図の一例を示す。
【0030】
さらに、図3(ハ)にケース内においセンサー7のセンサー感度が室内においセンサー6のセンサー感度より高い「B>A」の場合のにおいセンサー抵抗値と空気のにおい汚れの相関図の一例を示す。
【0031】
上記構成において、マイクロコンピュータ8は初回通電時に空気清浄運転を停止した状態で室内においセンサー6の検出信号のセンサー抵抗値Aとケース内においセンサー7の検出信号のセンサー抵抗値Bにより、補正係数S=A/Bを算出する。
【0032】
そして、室内においセンサー6が空気のにおい汚れを検出し、ファンモーター5が回転し、マイクロコンピュータ8は、空気清浄運転時に室内においセンサー6のセンサー抵抗値A1とケース内においセンサー7のセンサー抵抗値B1により、フィルター係数T=A1/B1を算出する。そして、フィルター4によるにおい汚れレベルの減衰率Z=S/Tを算出する。例えば、図3(イ)に示す状態においては、センサー抵抗値A=60.0kΩ、センサー抵抗値B=40.0kΩにより補正係数S=1.5となる。
【0033】
そして、マイクロコンピュータ8は、におい汚れ発生時のセンサー抵抗値A1=40.0kΩ時においてフィルター4がにおい汚れを取り除き清浄化している場合はセンサー抵抗値B1=40.0kΩとなり、フィルター係数T=1.0となる。そして減衰率Z=1.5となる。また、フィルター4の性能が無くなりにおい汚れを取り除けていな場合は、におい汚れをより多く検知してセンサー抵抗値B1は低下して、例えばセンサー抵抗値B1=26.7kΩとなり、フィルター係数T=1.5となる。その場合は減衰率Z=1.0となる。同様に、図3(ロ)に示す状態においては、センサー抵抗値A=60.0kΩ、センサー抵抗値B=60.0kΩにより補正係数S=1.0となる。そして、におい汚れ発生時のセンサー抵抗値A1=40.0kΩ時においてフィルター4がにおい汚れを取り除き清浄化している場合はセンサー抵抗値B1=60.0kΩとなり、フィルター係数T=0.67となる。そして減衰率Z=1.5となる。また、フィルター4の性能が無くなりにおい汚れを取り除けていな場合はセンサー抵抗値B1=40.0kΩとなり、フィルター係数T=1.0となる。その場合は減衰率Z=1.0となる。同様に、図3(ハ)に示す状態においては、センサー抵抗値A=40.0kΩ、センサー抵抗値B=60.0kΩにより補正係数S=0.67となる。そして、におい汚れ発生時のセンサー抵抗値A1=26.7kΩ時においてフィルター4がにおい汚れを取り除き清浄化している場合はセンサー抵抗値B1=60.0kΩとなり、フィルター係数T=0.45となる。そして減衰率Z=1.5となる。また、フィルター4の性能が無くなりにおい汚れを取り除けていな場合はセンサー抵抗値B1=40.0kΩとなり、フィルター係数T=0.67となる。その場合は減衰率Z=1.0となる。すなわちフィルター4の性能が有りにおい汚れを取り除けている間は減衰率Zは1よりも大きくなり、フィルター4の性能が無くなりにおい汚れを取り除けていない場合、つまり寿命到達時は減衰率Z=1.0となる。
【0034】
また、EEPROM10に任意の閾値XとY、例えばX=1.1、Y=1.0の記憶を設け、マイクロコンピュータ8はEEPROM10の記憶した値と減衰率Zの値を比較判定し、閾値X=1.1を下回った場合に表示部の色を変化させ、閾値Y=1.0を下回った場合にファンモーター5の回転を停止させる。
【0035】
このように汚れセンサーの個体ばらつきや感度差の影響を補正する補正係数を算出しフィルターの寿命判定を行うので、正確にフィルター交換時期を算出することができる。
【0036】
また使用者がフィルターの正確な交換時期を知ることができる。
【0037】
またフィルター交換時期に到達後の運転によるフィルターからの汚れ再放出や無駄な運転を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
正確にフィルターの寿命判定を行い、交換時期を報知することができるので、フィルターを備えた加湿空気清浄機や空気調和機にも適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 本体
2 吸気口
3 排気口
4 フィルター(空気清浄手段)
5 ファンモーター(送風手段)
6 室内においセンサー(室内空気汚れ検出手段)
7 ケース内においセンサー(ケース内空気汚れ検出手段)
8 マイクロコンピュータ(制御手段)
9 表示部
10 EEPROM(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内に設けた空気清浄手段と、前記空気清浄手段を介して室内の空気を前記吸気口から前記本体ケース内に吸気し前記排気口より室内に排気する風路に配置した送風手段と、前記吸気口の近傍に配置し室内の空気の汚れを検出する室内空気汚れ検出手段と、前記空気清浄手段から前記排気口までの風路間に配置し本体ケース内の空気の汚れを検出するケース内空気汚れ検出手段を備えた空気清浄機において、前記室内空気汚れ検出手段の検出信号と前記ケース内空気汚れ検出手段の検出信号を演算処理する制御手段を設け、前記制御手段は、初回通電時に前記室内空気汚れ検出手段の検出信号と前記ケース内空気汚れ検出手段の検出信号から補正係数を算出し、前記室内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと前記ケース内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと前記補正係数を演算処理し前記空気清浄手段の作用よる汚れレベルの減衰率を算出するようにしたことを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
室内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルとケース内空気汚れ検出手段の検出した汚れレベルと補正係数を演算処理し算出した空気清浄手段による汚れレベルの減衰率を表示する表示部を設け、減衰率が設定した閾値を下回った場合に表示の色を変化させることを特徴とする請求項1記載の空気清浄機。
【請求項3】
記憶手段を備え、前記記憶手段に少なくとも2つ以上の閾値を設け、一番低い閾値を下回った場合は送風手段の運転を停止することを特徴とする請求項2記載の空気清浄機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−63398(P2013−63398A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204091(P2011−204091)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】