説明

空気脱臭・除菌装置

【課題】 汚れた空気を脱臭・除菌し、好みの色の灯りと好みの香りを一台の小型装置で提供する。
【解決手段】 吸気口(1)より吸引された空気の通路に紫外線ランプ(4)を配置し、また紫外線ランプ(4)の周りに紫外線と空気の両方が通る構造の光触媒収納容器(5)を備え、また光触媒収納容器(5)に立体的に光触媒(7)を配置し、吸引された空気が光触媒(7)と接触しながら円周方向に排気されるような構造にし、また光触媒収納容器(5)の外側には蛍光体を塗布した透明な筒(9)を備え、さらに装置の最上部に浄化された空気の流れによりエッセンシャルオイルを蒸発させる通気孔(12)のある蒸発皿(11)を備えた構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を利用して、紫外線のみによる空気の脱臭・除菌、および紫外線と光触媒による脱臭・除菌、同時に紫外線が蛍光体を照射して好みの灯りを発光、さらに上記記載の構造で浄化された空気に新たな香りを付加するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線のみによる空気の脱臭・除菌装置、紫外線と光触媒を組み合わせた脱臭・除菌装置、両者の組み合わせによる脱臭・除菌装置、好みの灯りを提供するランプ、好みの香りを提供する装置は別々の製品として存在している。また、本発明者が考案した紫外線を使い、上記記載の機能を一体化した装置もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
日本の居室は狭く、脱臭・除菌装置、好みの色の灯りを提供するランプ、好みの香りを提供する装置を別々に設置するには問題があった。
【0004】
また、本発明者が考案した脱臭・除菌機能、好みの色の灯り、好みの香りを蒸発させる機能を一体化した塗料型光触媒を使用した装置では、満足な脱臭能力と均一な灯りおよび短時間に香りの蒸発を提供できなかったほか、香りを発生させる蒸発皿には水が必要で、水の補給時に水をこぼす危険性があるなどの問題点があった。
【0005】
また、比表面積の大きい光触媒を単純に積み重ねると紫外線の透過が阻害され、実用的な明るさを提供できなかった。
【0006】
本発明は、空気の脱臭・除菌と好みの色の灯りおよび好みの香りを短時間に蒸発させる小型の一体化装置を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成させるために、本発明に係わる空気脱臭・除菌装置は、吸気口より吸引された空気の通路に紫外線ランプを備え、紫外線ランプの周りに、該紫外線と空気を通しかつ光触媒を収納できる容器を備え、該容器に重畳的に積み上がるように光触媒を配置し、吸引された空気が光触媒と接触しながら排出するようにしたことを特徴とする。
【0008】
また、紫外線の一部を通過させ同時に吸引した空気を光触媒と接触させながら通すために、網または多数の孔のある板で容器状にすると共に、その容器内に比表面積の大きい光触媒を断面から見て単層または千鳥状に配置したことを特徴とする。
【0009】
また、光触媒を収納する容器の外側に、紫外線で発光する蛍光体を保持した筒を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、浄化された空気の排気口に、側面に通気孔のある蒸発皿を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の空気脱臭・除菌装置にあっては、空気の脱臭・除菌と好みの色の灯りおよび好みの香りを短時間に蒸発させる機能を一体化し、小型の装置にすることができる。
【0012】
吸引された空気は重畳的に積み上がるように配置された光触媒(7)に接触する面積が増えことにより、従来当発明者の考案した光触媒を平面的に配置する装置に比べ、脱臭効果が30%以上改善(図7)できる。
【0013】
また、蛍光体を光らせる紫外線が、断面から見て単層または千鳥状に配置した光触媒を(8)の間隙を通過することで、光量が増えさらに光むらが減って、常夜灯としての明るさとむらの少ない灯かりを発光させることができ、癒し効果を高めることができる。
【0014】
さらに、浄化された空気の流れを利用した蒸発により、芳香剤の蒸発量が増え、好みの香りを短時間で提供できるほか、従来必要だった蒸発皿の水が不要になり、水の補給時に水をこぼす危険性が無くなったほか、間違って多量の芳香剤を蒸発皿にこぼしても蒸発皿から漏れることがない。
【0015】
これらにより、従来、単独製品で提供されていた機能を1台の小型装置で実現でき、さらに、小型化により本発明装置を寝室の枕もとに置いて常夜灯としても使用できる。
【0016】
また、小型の本装置は大きな設置面積を必要としないため、部屋から部屋へ簡便に移動させて使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明に係わる空気脱臭・除菌装置の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係わる脱臭・除菌機能のみを持つ空気脱臭・除菌装置を模擬的に示す概略断面図であり、装置の底部に空気を取り込むための吸気口(1)とフアン(3)を備え、また、紫外線ランプ(4)は取込まれた空気へ均一に紫外線を照射するように、紫外線ランプ(4)を中心に空気の誘導路を兼ねる光触媒収納容器(5)を同心円上に配置する。
【0018】
紫外線ランプ(4)は、254nmの波長のみを照射するものと、254nmに加えオゾンを発生させることができる185nmの波長を同時に照射するものを選ぶことができ、254nmの波長を照射する紫外線ランプ(4)を使うと、254nmの紫外線のみで空気の誘導路内で吸引された空気の浮遊菌を不活化することができる。
【0019】
254nmと185nmの波長を同時に照射する紫外線ランプ(4)を使うと、上記記載の機能のほか、空気の誘導路内でオゾンを発生させ、このオゾンが装置から飛び出し、空気中に浮遊する菌や臭いを分解することができる。
【0020】
光触媒(7)の形状として、シリカゲルや多孔質ガラスを利用したビーズ型のものが立体的な配置が容易なので使用しているが、現状のビーズ光触媒は短波長の紫外線を吸収して透過させないが、ビーズ材質としては短波長の紫外線を透過するものが理想である。
【0021】
なお、塗料型光触媒やシート型光触媒でも比表面積の大きくなる配置にすることで代替使用が可能である。
【0022】
図2は、図1の光触媒収納容器部分を拡大表示したもので、本発明に係わる光触媒収納容器にビーズ型光触媒を複層状に配置したことを示す概略断面図であり、光触媒収納容器(5)は、紫外線と空気を空気の流路(8)のように通すために二重の金網を使った円筒形の容器にし、二重の金網の間隔はビーズ型光触媒サイズ(1.7〜4.0mm)の最大値より1.5倍程度広くし、ビーズ型光触媒(7)を光触媒収納容器(5)に千鳥状に入れ、紫外線が光触媒に十分吸収されるように図っている。
【0023】
また、光触媒(7)に直接照射しない紫外線(4)を有効活用するため、光触媒収納容器(5)の蓋兼用の反射板(6)を紫外線ランプ(4)の先端方向に配置する。
【0024】
また、光触媒収納容器(5)の紫外線ランプ(4)側の金網に、塗料型の光触媒を塗布することで、光触媒の活性面積をさらに増やすことができる。
【0025】
図3は、本発明に係わる脱臭・除菌と蛍光体による灯かり機能を持つ空気脱臭・除菌装置を模擬的に示す概略断面図であり、図1の構成に加えて、光触媒収納容器(5)の外側に、好みの発光色の蛍光塗料を塗布した透明で紫外線を透過させないガラス製の円筒(9)を、紫外線ランプ(4)および光触媒収納容器(5)と同心円上になるように配置し、蛍光体を発光(10)させる。
【0026】
図4は、図3の光触媒収納容器部分を拡大表示したもので、本発明に係わる光触媒収納容器にビーズ型光触媒を単層状に配置したことを示す概略断面図であり、光触媒収納容器(5)は、紫外線と空気を空気の流路(8)のように通すために二重の金網を使った円筒形の容器にし、二重の金網の間隔はビーズ型光触媒サイズ(1.7〜4.0mm)の最大値より若干広くし、ビーズ型光触媒(7)を光触媒収納容器(5)に単層状に入れ、常夜灯としての明るさに必要な紫外線量と均一な紫外線を蛍光体に照射するようにしてある。
【0027】
なお、紫外線ランブの中心からガラス製の円筒(9)の内面までの許容距離は、紫外線ランプ(4)のパワーによりその距離が決まる。
【0028】
また、紫外線ランプ(4)と光触媒収納容器(5)および蛍光塗料をガラス製の円筒(7)を正確に同心円上に配置しなくても、基本的な機能を実現できる。
【0029】
図5は、本発明に係わる脱臭・除菌と蛍光体による灯かりとエッセンシャルオイルによる香り機能を持つ空気脱臭・除菌装置を模擬的に示す概略断面図であり、図3の構成に加えて、ガラス製の円筒(9)の頂部に、図6に示す側面に通気孔(12)を備えたエッセンシャルオイル用蒸発皿(11)を配置し、また、浄化された空気が蒸発皿の通気孔を通り、さらに不織布(13)を通過するように配置する。
【0030】
図7は、本発明に係わる脱臭・除菌と蛍光体による灯かりとエッセンシャルオイルによる香り機能を持つより小型化した空気脱臭・除菌装置を模擬的に示す概略断面図であり、ファンの位置を本体底部から本体上部に移し、脱臭・除菌能力を変えずに装置をコンパクトにしたもので、装置全体を、90度回転させて水平に配置、また、180度回転させて上下逆転させた配置も可能で、車載用として利用が可能である。
【0031】
なお、図1に示したユニットを複数台並列に設置するほか、紫外線照射強度の高い紫外線ランプとそれに見合った多量の光触媒を使用することで、脱臭・除菌能力高めることが可能である。
【0032】
以上のように本実施例によれば、空気の脱臭・除菌と好みの色の灯りおよび好みの香りを短時間に蒸発させる機能を一体化した小型の装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係わる脱臭・除菌機能のみのを持つ空気脱臭・除菌装置を模擬的に示す概略断面図である。
【図2】本発明に係わる光触媒収納容器にビーズ型光触媒を千鳥状に配置したことを示す概略断面図である。
【図3】本発明に係わる脱臭・除菌と蛍光体による灯かり機能を持つ空気脱臭・除菌装置を模擬的に示す概略断面図である。
【図4】本発明に係わる光触媒収納容器にビーズ型光触媒を単層状に配置したことを示す概略断面図である。
【図5】本発明に係わる脱臭・除菌と蛍光体による灯かりとエッセンシャルオイルによる香り機能を持つ空気脱臭・除菌装置を模擬的に示す概略断面図である。
【図6】本発明に係わる側面に通気孔のあるエッセンシャルオイル用蒸発皿を示す概略断面図である。
【図7】本発明に係わる脱臭・除菌と蛍光体による灯かりとエッセンシャルオイルによる香り機能を持つより小型化した空気脱臭・除菌装置を示す概略断面図である。
【図8】本発明装置と従来装置の脱臭性能試験結果である。
【符号の説明】
【0034】
1 吸気口
2 排気口
3 ファン
4 紫外線ランプ
5 光触媒収納容器
6 反射板
7 ビーズ型光触媒
8 空気の流路
9 内面に蛍光体を塗布した透明な筒
10 蛍光体による発光
11 エッセンシャルオイル用蒸発皿
12 蒸発皿の通気孔
13 不織布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口より吸引された空気の通路に紫外線ランプを備え、紫外線ランプの周りに、該紫外線と空気を通し、かつ光触媒を収納できる容器を備え、該容器に重畳的に積み上がるように光触媒を配置し、吸引された空気が光触媒と接触しながら排出するようにしたことを特徴とする空気脱臭・除菌装置。
【請求項2】
紫外線の一部を通過させ同時に吸引した空気を光触媒と接触させながら通すために、網または多数の孔のある板で容器状にすると共に、その容器内に比表面積の大きい光触媒を断面から見て単層または千鳥状に配置したことを特徴とする請求項1に記載の空気脱臭・除菌装置。
【請求項3】
光触媒を収納する容器の外側に、紫外線で発光する蛍光体を保持した筒を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気脱臭・除菌装置。
【請求項4】
浄化された空気の排気口に、側面に通気孔のある蒸発皿を備えたことを特徴とする請求項1、請求項2および請求項3の内いずれか一つに記載の空気脱臭・除菌装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−14972(P2006−14972A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−196425(P2004−196425)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(304031553)
【Fターム(参考)】