説明

空気調和機

【課題】着霜を抑制し、暖房能力の大幅な低下を回避することができる空気調和機を提供すること。
【解決手段】本発明の空気調和機は、室内機と室外機とを接続して構成される空気調和機であって、室外熱交換器の温度を検出する室外熱交換器温度検知部を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、冷凍サイクルの圧力変動に影響する構成部品を制御することにより、除霜運転へ入ることをできるだけ抑制させ、室内の快適性を損ねることを極力さけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機の運転周波数を可変とする空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機の運転周波数が可変の空気調和機の暖房運転において、特に、室外気温が低い場合、圧縮機の運転周波数を最大限に高め高暖房能力を確保していた。ところが、室外気温が低いために、室外熱交換器の温度が相乗的に低下して氷点下となると、室外熱交換器に霜が付着、成長し、室外空気から熱を取り込む作用の効率が低下し、暖房能力が大幅に低下する。
【0003】
そこで、一定の条件を満たした場合、暖房運転を一時中断し、冷凍サイクルを逆に切り替えることで室外熱交換器の除霜を行う方式が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−338673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の空気調和機においては、除霜運転中は暖房とは逆サイクル運転であり、暖房運転を中断する必要があり、さらに霜運転開始前においても、一旦着霜が始まると、霜により送風が阻害され、室外熱交換器の熱交換効率が加速度的に低下し、暖房能力が大幅に低下してしまうという課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、着霜を抑制し、暖房能力の大幅な低下を回避することができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために本発明は、室内機と室外機とを接続して構成される空気調和機であって、室外熱交換器の温度を検出する室外熱交換器温度検知部を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、冷凍サイクルの圧力変動に影響する構成部品を制御することにより、除霜運転へ入ることをできるだけ抑制させ、室内の快適性を損ねることを極力さけることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、着霜を抑制し、暖房能力の大幅な低下を回避することができる空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機のブロック図
【図2】同実施の形態1における概念図
【図3】本発明の実施の形態2における空気調和機のブロック図
【図4】本発明の実施の形態3における空気調和機のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明の空気調和機は、室内機と室外機とを接続して構成される空気調和機であっ
て、室外熱交換器の温度を検出する室外熱交換器温度検知部を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、冷凍サイクルの圧力変動に影響する構成部品を制御することにより、除霜運転へ入ることをできるだけ抑制させ、室内の快適性を損ねることを極力さけることができる。
【0011】
第2の発明の空気調和機は、特に第1の発明において、室内へ送風する室内送風機を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、前記室内ファンの回転数を下げることにより、高圧側を下げることで低圧側を上げて、出来るだけ着霜状態へ入ることを防ぐ。
【0012】
第3の発明の空気調和機は、特に第1または第2の発明において、室内へ送風する室内送風機と、上下へ風向を変更する上下風向変更羽根を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、室内への送風量を低下させる方向へ前記上下風向変更羽根を駆動させることにより、高圧側を下げることで低圧側を上げて、出来るだけ着霜状態へ入ることを防ぐ。
【0013】
第4の発明の空気調和機は、特に第1から第3の発明において、室内へ送風する室内送風機と、左右へ風向を変更する左右風向変更羽根を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、室内への送風量を低下させる方向へ前記左右風向変更羽根を駆動させることにより、高圧側を下げることで低圧側を上げて、出来るだけ着霜状態へ入ることを防ぐ。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における空気調和機のブロック図を示すものである。
【0016】
図1において、マイクロコンピュータ1と、運転周波数可変の圧縮機2と、室外熱交換器温度を検出してその値をマイクロコンピュータ1に送出する室外熱交換器温度検知部3を備え、マイクロコンピュータ1において、室外熱交換器外気温度の上限温度、下限温度を設定してあるデータ表4と、室外熱交換器温度検知部3からの室外熱交換器温度とを、データ比較部6で比較し、演算部7で着霜状態を予測する。
【0017】
そして、室内送風機8の回転数を下げることによって、低圧を上げて室外熱交換器の温度を上げ、極力着霜状態とならないようにしている。
【0018】
データ表には任意の室外熱交換器温度の場合の、室外熱交換器への着霜状態との比較から作られており、室外熱交換器への着霜状態を、計測された室外熱交換器温度から類推することができる。
【0019】
以上のように、本実施の形態においては計測された室外熱交換器温度をデータ表と対比させ、データ表に予め対比設定してある室外熱交換器温度の上限値より、室外熱交換器に着霜し始める前に室内機の回転数を低減させることにより高圧を上げることに伴い低圧を上げることができ、室外熱交換器への着霜を抑制することができる。その結果、室外熱交換器の熱交換効率は確保され、室内住環境の快適性は確保される。
【0020】
図2は、本実施の形態における室内送風機の動作概念図である。図2において、データ表4内に予め設定された室外熱交換器の下限温度T1に達すれば室内機の回転数を現在の
回転数Nより(定数−n1)とした値とし、上限T2に達すれば室内機の回転数を現在の回転数Nより(定数+n2)とした値とする。この演算を繰り返し、室内機の回転数が下限値n3に達した場合これを下限とする。
【0021】
これによって、室内機の回転数の下げすぎによる能力の大きな低下を防ぎつつ、室外熱交換器への着霜状態を的確に予測することが可能となり、室外熱交換器への着霜を抑制することができる。その結果、室外熱交換器の熱交換効率は確保され、室内住環境の快適性は確保される。
【0022】
さらに、本発明の空気調和機は、本体に設けられた本体操作スイッチ10の操作によって、室内機の回転数を変化させる制御を中断できるようにしたものである。これによって、必要に応じて上記制御によらず、従来と同様の圧縮機周波数制御を行うことも可能になる。
【0023】
なお、上述したマイクロコンピュータ1は、室内機もしくは室外機のいずれかに設けられればよく、設置位置を限定するものではない。また、本体操作スイッチ10はリモートコントローラー等に設けてもよい。
【0024】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態における空気調和機のブロック図を示すものである。実施の形態1と異なる箇所は、上下風向変更羽根11を駆動するようにしたことである。
【0025】
そして、上下風向変更羽根11を駆動させて、通風抵抗を増加させることで、低圧を上げて室外熱交換器の温度を上げ、極力着霜状態とならないようにしている。
【0026】
(実施の形態3)
図4は、本発明の第3の実施の形態における空気調和機のブロック図を示すものである。実施の形態1および2と異なる箇所は、左右風向変更羽根12を駆動するようにしたことである。
【0027】
そして、左右風向変更羽根12を駆動させて、通風抵抗を増加させることで、低圧を上げて室外熱交換器の温度を上げ、極力着霜状態とならないようにしている。なお、上下風向変更羽根11を一緒に駆動させるような制御としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、霜により送風が阻害され、室外熱交換器の熱交換効率が加速度的に低下し、暖房能力が大幅に低下してしまう状態を回避し、暖房運転中の室外熱交換器への着霜を抑制することにより、暖房能力の大幅な低下を招くことなく、さらには除霜運転の頻度をも低減し、室内住環境の快適性を向上させるものである。
【符号の説明】
【0029】
1 マイクロコンピュータ
2 圧縮機
3 室外熱交換器温度検知部
8 室内送風機
11 上下風向変更羽根
12 左右風向変更羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と室外機とを接続して構成される空気調和機であって、室外熱交換器の温度を検出する室外熱交換器温度検知部を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、冷凍サイクルの圧力変動に影響する構成部品を制御することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
室内へ送風する室内送風機を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、前記室内ファンの回転数を下げることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
室内へ送風する室内送風機と、上下へ風向を変更する上下風向変更羽根を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、室内への送風量を低下させる方向へ前記上下風向変更羽根を駆動させることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
室内へ送風する室内送風機と、左右へ風向を変更する左右風向変更羽根を備え、暖房運転時において、前記室外熱交換器の温度が所定の範囲内となるように、室内への送風量を低下させる方向へ前記左右風向変更羽根を駆動させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−237482(P2012−237482A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105956(P2011−105956)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】