説明

空気調和機

【課題】湿度検出手段で検出される湿度の変化率に応じた適切なタイミングで湿度表示を更新する。
【解決手段】空気調和機は、湿度を検出する湿度センサと、湿度表示を行う表示部と、湿度センサで検出された湿度に基づいて表示部を制御する制御部とを備えている。制御部は、湿度センサで検出された湿度の変化率に基づいて湿度表示を更新するタイミングを変更する。制御部は、湿度センサで検出された湿度と表示部に表示される湿度との差が2%未満の場合は、予め設定されたガード時間が経過する度に湿度表示を更新し、湿度センサで検出された湿度と表示部に表示される湿度との差が2%以上の場合は、ガード時間にかかわらず湿度表示を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度検出手段と湿度を表示する表示部とを有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
加湿機などの空気調和機には、外気湿度を検出する湿度検出手段と、検出された湿度を表示する表示部が設けられている(例えば特許文献1参照)。湿度検出手段としては、例えば、電極間の電気抵抗値の変化に基づいて湿度を検出する電気抵抗変化式の湿度センサが用いられる。電気抵抗変化式の湿度センサでは、例えば図2のように、検出信号(電気抵抗値または電気抵抗値から換算される電圧)と湿度換算値との関係は、湿度換算値が1%ずつ変化するような関係となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−068763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この湿度センサでは、検知信号が、湿度換算値が変化する境界値(図2中の例えばA)付近の場合、境界値よりわずかに小さくなったり大きくなったりするだけで、検出される湿度が変動する。そのため、表示部に表示される湿度が短時間で変化してちらつくため、視認しにくくなる。
【0005】
その対策として、表示部に表示される湿度を、所定時間変化させないということが考えられるが、この場合、加湿中など湿度変化が大きい場合に、表示される湿度が湿度変化に追従していないという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、湿度検出手段で検出される湿度の変化率に応じて、適切なタイミングで湿度表示を更新できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る空気調和機は、湿度を検出する湿度検出手段と、湿度表示を行う表示手段と、前記湿度検出手段で検出された湿度に基づいて前記表示手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段が、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率に基づいて湿度表示を更新するタイミングを変更することを特徴とする。
【0008】
この空気調和機では、湿度検出手段で検出された湿度の変化率に応じて、適切なタイミングで湿度表示を更新することができる。
【0009】
第2の発明に係る空気調和機は、第1の発明において、前記制御手段が、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率が所定値未満の場合はガード時間が経過する度に湿度表示を更新すると共に、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率が所定値以上の場合はガード時間にかかわらず湿度表示を更新することを特徴とする。
【0010】
この空気調和機では、湿度検出手段で検出される湿度がわずかな上昇と下降を繰り返すように変動しても、ガード時間が経過するまで湿度表示を更新しないため、湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
また、湿度変化が大きい場合には、ガード時間にかかわらず湿度表示を更新するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0011】
第3の発明に係る空気調和機は、第2の発明において、ガード時間が、湿度表示を更新するときの前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率に基づいて変更されることを特徴とする。
【0012】
この空気調和機では、更新時の湿度の変化率に応じて、湿度表示が更新されるタイミングを変更するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0013】
第4の発明に係る空気調和機は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、前記制御手段が、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率が所定値未満の場合はガード時間が経過する度に湿度表示を更新すると共に、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率が所定値以上の場合は湿度表示が更新されるまでの時間を短縮することを特徴とする。
【0014】
この空気調和機では、湿度検出手段で検出される湿度がわずかな上昇と下降を繰り返すように変動しても、ガード時間が経過するまで湿度表示を更新しないため、湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
また、湿度変化が大きい場合には、湿度表示が更新されるまでの時間を短縮するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0015】
第5の発明に係る空気調和機は、第2〜第4の発明のいずれかにおいて、前記所定値は、前記湿度検出手段で検出された湿度が所定湿度以上の場合に、所定湿度未満の場合より大きくなるように変更されることを特徴とする。
【0016】
この空気調和機では、湿度が高い場合、湿度検出手段の検出精度が湿度が低いときよりも低くなり、湿度検出手段で検出される湿度が変動しやすくなる。そのため、湿度表示を更新するタイミングを変更する基準となる前記所定値を、湿度が高い場合に、湿度が低い場合よりも大きくなるように変更することで、検出精度の悪化によって湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
【0017】
第6の発明に係る空気調和機は、第2〜第5の発明のいずれかにおいて、空気を加湿する加湿運転と、空気を加湿しないで清浄化する空清運転のいずれかが行われるように切り換え可能であって、加湿運転時のガード時間が、空清運転時のガード時間より短いことを特徴とする。
【0018】
この空気調和機では、加湿運転時には、空清運転時よりも湿度変化が大きくなる。加湿運転時のガード時間を短くすることで、湿度変化の大きい加湿運転時に、湿度表示を湿度変化に追従させることができ、空清運転時のガード時間を長くすることで、湿度変化の小さい空清運転時に、湿度表示の無駄な更新を減らすことができる。
【0019】
第7の発明に係る空気調和機は、第2〜第6の発明のいずれかにおいて、加湿運転が可能であって、ガード時間が、加湿運転が開始された後、所定時間が経過したときに長くなるように変更されることを特徴とする。
【0020】
この空気調和機では、加湿運転開始直後は湿度変化が大きく、時間の経過とともに湿度が安定する。加湿運転開始後のガード時間を短くすることで、湿度変化の大きい加湿運転開始後に、湿度表示を湿度変化に追従させることができ、加湿運転を開始してから所定時間が経過した後のガード時間を長くすることで、湿度変化が小さいときに、湿度表示の無駄な更新を減らすことができる。
【0021】
第8の発明に係る空気調和機は、第1〜第7の発明のいずれかにおいて、加湿運転時に水を貯留する貯水容器内の水を気化させる気化部材と、前記気化部材に空気流を供給するファンとを備えており、前記制御手段が、ファンの回転開始時から所定時間が経過するまで、湿度表示を行わないように前記表示手段を制御することを特徴とする。
【0022】
この空気調和機では、ファンが停止状態から回転を開始した際、風量が急激に増加することで、湿度検出手段の検出精度が低下して、湿度検出手段で検出される湿度が変動しやすくなる。ファンの回転開始時から所定時間が経過し、風量が安定した後で湿度表示を行うことによって、風量変動に起因して湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0024】
第1の発明では、湿度検出手段で検出された湿度の変化率に応じて、適切なタイミングで湿度表示を更新することができる。
【0025】
第2の発明では、湿度検出手段で検出される湿度がわずかな上昇と下降を繰り返すように変動しても、ガード時間が経過するまで湿度表示を更新しないため、湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
また、湿度変化が大きい場合には、ガード時間にかかわらず湿度表示を更新するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0026】
第3の発明では、更新時の湿度の変化率に応じて、湿度表示が更新されるタイミングを変更するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0027】
第4の発明では、湿度検出手段で検出される湿度がわずかな上昇と下降を繰り返すように変動しても、ガード時間が経過するまで湿度表示を更新しないため、湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
また、湿度変化が大きい場合には、湿度表示が更新されるまでの時間を短縮するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0028】
第5の発明では、湿度が高い場合、湿度検出手段の検出精度が湿度が低いときよりも低くなり、湿度検出手段で検出される湿度が変動しやすくなる。そのため、湿度表示を更新するタイミングを変更する基準となる前記所定値を、湿度が高い場合に、湿度が低い場合よりも大きくなるように変更することで、検出精度の悪化によって湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
【0029】
第6の発明では、加湿運転時には、空清運転時よりも湿度変化が大きくなる。加湿運転時のガード時間を短くすることで、湿度変化の大きい加湿運転時に、湿度表示を湿度変化に追従させることができ、空清運転時のガード時間を長くすることで、湿度変化の小さい空清運転時に、湿度表示の無駄な更新を減らすことができる。
【0030】
第7の発明では、加湿運転開始直後は湿度変化が大きく、時間の経過とともに湿度が安定する。加湿運転開始後のガード時間を短くすることで、湿度変化の大きい加湿運転開始後に、湿度表示を湿度変化に追従させることができ、加湿運転を開始してから所定時間が経過した後のガード時間を長くすることで、湿度変化が小さいときに、湿度表示の無駄な更新を減らすことができる。
【0031】
第8の発明では、ファンが停止状態から回転を開始した際、風量が急激に増加することで、湿度検出手段の検出精度が低下して、湿度検出手段で検出される湿度が変動しやすくなる。ファンの回転開始時から所定時間が経過し、風量が安定した後で湿度表示を行うことによって、風量変動に起因して湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る空気調和機の断面図であって、(b)は(a)のX−X線に沿った断面図である。
【図2】湿度センサの検知信号と湿度換算値との関係を示すグラフである。
【図3】第1実施形態の制御部による表示部の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態における検出湿度と表示湿度の一例を示す表である。
【図5】第2実施形態の制御部による表示部の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態における検出湿度と表示湿度の一例を示す表である。
【図7】第3実施形態の制御部による表示部の制御手順を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態における検出湿度と表示湿度の一例を示す表である。
【図9】本発明の変更例における検出湿度と表示湿度の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態は、加湿機に本発明を適用した一例である。図1に示すように、本実施形態の加湿機1は、空気清浄ユニット5と、水を吸水して気化させる気化部材3と、図示しない給水タンクから供給される水を貯留する貯水容器4と、ファン2と、湿度を検出する湿度センサ(図示省略)と、湿度表示等を行う表示部6と、制御部(図示省略)とを備えている。
【0034】
空気清浄ユニット5および気化部材3は、ファン2によって発生する空気流の流路に配置されている。気化部材3は回転可能に構成されており、気化部材3が回転することで、貯水容器4内に溜められた水が気化部材3に供給されるようになっている。本実施形態の加湿機1は、空気を加湿する加湿運転と、空気を加湿しないで清浄化する空清運転のいずれかが行われるように切り換え可能となっている。加湿運転時には、ファン2が駆動すると共に、気化部材3が回転し、加湿機1内に吸い込まれた空気が、空気清浄ユニット5を通過して空気中の塵埃や臭気成分が除去された後、気化部材3を通過して加湿されて、吹き出される。空清運転時には、気化部材3が停止した状態で、ファン2が駆動し、加湿機1内に吸い込まれた空気は、空気清浄ユニット5を通過して清浄化された後、吹き出される。
【0035】
湿度センサは、電気抵抗変化式の湿度センサであって、電極間の電気抵抗値の変化に基づいて湿度を検出する。より具体的には、図2に示すように、電気抵抗値から換算される電圧に基づいて、湿度を検出する。また、湿度センサは、吹出口付近に設けられている。表示部6は、加湿機1の表面部に設けられている。表示部6は、湿度を1%ごとデジタル表示する。
【0036】
制御部は、加湿運転および空清運転を制御すると共に、湿度センサで検出される湿度に基づいて表示部6を制御する。制御部は、湿度センサで検出される湿度を所定時間(本実施形態では1秒)ごとに記憶しており、検出湿度の変化率に基づいて湿度表示を更新するタイミングを変更する。具体的には、検出湿度と表示湿度(湿度表示を更新した時の検出湿度)との差が1%以下の場合には、予め設定されたガード時間(本実施形態では20秒)が経過する度に湿度表示を更新する。また、検出湿度と表示湿度との差が2%以上の場合には、ガード時間に関わらず、湿度表示を更新する。なお、検出湿度と表示湿度との差とは、差の絶対値のことである。
【0037】
制御部による表示部6の制御を図3のフローチャートと図4とを用いて説明する。図4は、検出湿度と表示湿度の一例をしている。
湿度表示を更新するまでの時間を、更新残り時間とする。制御部は、湿度表示を更新するとき(ステップS1)、更新残り時間をガード時間(図4では20秒)に初期化する(ステップS2)。
【0038】
湿度表示を更新後、更新残り時間が0秒となるまでの期間中、検出湿度と表示湿度との差が1%以下(2%未満)の場合には(ステップS3:Noと、ステップS4:Noの繰り返し)、更新残り時間が0秒となったときに(ステップS4:Yes)、湿度表示を検出湿度に更新する(ステップS1)(図4中の29秒を参照)。
【0039】
また、湿度表示を更新後、検出湿度と表示湿度との差が2%以上となった場合には(ステップS3:Yes)、更新残り時間に関わらず、湿度表示を検出湿度に更新する(ステップS1)(図4中の4秒、6秒、7秒、9秒を参照)。
【0040】
本実施形態の空気調和機では、湿度センサで検出される湿度がわずかな上昇と下降を繰り返すように変動しても、ガード時間が経過するまで湿度表示を更新しないため、湿度表示が短時間で変化して、湿度表示がちらつくのを防止できる。
また、湿度変化が大きい場合には、ガード時間にかかわらず湿度表示を更新するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、ガード時間を20秒に設定しているが、ガード時間は20秒に限定されるものではない。
また、本実施形態では、湿度表示を更新するタイミングを変更する基準となる検出湿度と表示湿度との差が、2%であるが、この数値に限定されるものではない。
【0042】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態の加湿機は、第1実施形態の加湿機1と制御部の構成が異なっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。第1実施形態と同様の構成を有するものについては、説明を省略する。
【0043】
第1実施形態では、ガード時間は一定(20秒)であるが、本実施形態では、表示湿度を更新するときの検出湿度と表示湿度との差に基づいて、ガード時間を変更する。具体的には、表示湿度を更新するときの検出湿度と表示湿度との差が、5%以上の場合に、5%未満の場合よりも大きくなるように変更する。
【0044】
制御部による表示部6の制御を図5のフローチャートと図6とを用いて説明する。
制御部は、表示湿度を更新するとき(ステップS201)、検出湿度と前回の表示湿度(前回更新時の検出湿度)との差が4%以下(5%未満)の場合には(ステップS202:No)、ガード時間を20秒として(ステップS203)、更新残り時間をガード時間に初期化する(ステップS205)(図6の4秒、6秒、12秒を参照)。また、表示更新時の検出湿度と前回の表示湿度との差が5%以上の場合には(ステップS202:Yes)、ガード時間を5秒に変更して(ステップ204)、更新残り時間をガード時間に初期化する(ステップS205)(図6の7秒を参照)。
【0045】
湿度表示を更新後、更新残り時間が0秒となるまでの期間中、検出湿度と表示湿度との差が1%以下(2%未満)の場合には(ステップS206:Noと、ステップS207:Noの繰り返し)、更新残り時間が0秒となったときに(ステップS207:Yes)、湿度表示を検出湿度に更新する(ステップS201)(図6の12秒を参照)。
【0046】
また、湿度表示を更新後、検出湿度と表示湿度との差が2%以上となった場合には(ステップS206:Yes)、更新残り時間に関わらず、湿度表示を検出湿度に更新する(ステップS201)(図6の4秒、6秒、7秒を参照)。
【0047】
本実施形態では、上記第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果が得られる。 表示湿度を更新するときの検出湿度と表示湿度との差に応じて、湿度表示が更新されるタイミングを変更するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、ガード時間を20秒と5秒に設定しているが、ガード時間はこれらの数値に限定されるものではない。
また、本実施形態では、湿度表示を更新するタイミングを変更する基準となる検出湿度と表示湿度との差が、2%と5%であるが、これらの数値に限定されるものではない。
【0049】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態の加湿機は、第1実施形態の加湿機1と制御部の構成が異なっており、その他の構成は第1実施形態と同じである。第1実施形態と同様の構成を有するものについては、説明を省略する。
【0050】
第1実施形態の制御部では、検出湿度と表示湿度との差が2%以上の場合に、湿度表示を更新するとともに、更新残り時間をガード時間に初期化していたが、本実施形態の制御部では、検出湿度と表示湿度との差が2%以上の場合に、湿度表示を更新せずに、更新残り時間を短縮する。具体的には、検出湿度と表示湿度との差が2%以上4%以下の場合に、更新残り時間を10秒に短縮する。さらに、検出湿度と表示湿度との差が5%以上の場合に、更新残り時間を1秒に短縮する。表示湿度の更新は、更新残り時間が0秒になった場合にのみ行う。
【0051】
また、本実施形態の制御部では、第2実施形態と同様に、湿度表示を更新するときの検出湿度と表示湿度との差に基づいて、ガード時間を変更する。具体的には、表示湿度を更新するときの検出湿度と表示湿度との差が、1%以下の場合にガード時間を20秒とし、2%以上4%以下の場合にガード時間を10秒とし、5%以上の場合にガード時間を1秒とする。
【0052】
制御部による表示部6の制御を図8および図7のフローチャートを用いて説明する。
制御部は、湿度表示を更新するとき(ステップS301)、検出湿度と前回の表示湿度との差が1%以下(2%未満)の場合には(ステップS302:No)、ガード時間を20秒として(ステップS304)、更新残り時間をガード時間に初期化する(ステップS307)(図8中の8秒、28秒を参照)。また、表示更新時の検出湿度と前回の表示湿度との差が2%以上4%以下(5%未満)の場合には(ステップS302:Yes、ステップS303:No)、ガード時間を10秒に変更して(ステップS305)、更新残り時間をガード時間に初期化する(ステップS307)。また、表示更新時の検出湿度と前回の表示湿度との差が5%以上の場合には、ガード時間を1秒に変更して(ステップS306)、更新残り時間をガード時間に初期化する(ステップS307)(図8中の7秒を参照)。
【0053】
湿度表示を更新後、更新残り時間が0秒となるまでの期間中、検出湿度と表示湿度との差が1%以下(2%未満)の場合には(ステップS308:Noと、ステップS309:Noの繰り返し)、更新残り時間が0秒となったときに(ステップS308:Yes)、湿度表示を検出湿度に更新する(ステップS301)(図8中の28秒を参照)。
【0054】
また、湿度表示を更新後、検出湿度と表示湿度との差が2%以上4%以下(5%未満)となった場合であって(ステップS309:Yes、ステップS310:No)、更新残り時間が10秒よりも長い場合には(ステップS311:No)、更新残り時間を10秒に短縮する(ステップS313)(図8中の4秒を参照)。また、更新残り時間が10秒よりも短い場合は(ステップS311:Yes)、更新残り時間を変更しない(図8中の5秒を参照)。
【0055】
また、湿度表示を更新後、検出湿度と表示湿度との差が5%以上となった場合であって(ステップS309:Yes、ステップS310:Yes)、更新残り時間が1秒よりも長い場合には(ステップS312:No)、更新残り時間を1秒に短縮する(ステップS314)(図8中の6秒を参照)。また、更新残り時間が1秒の場合は(ステップS312:Yes)、更新残り時間を変更しない。
【0056】
本実施形態によると、湿度センサで検出される湿度がわずかな上昇と下降を繰り返すように変動しても、ガード時間が経過するまで湿度表示を更新しないため、湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
また、湿度変化が大きい場合には、湿度表示が更新されるまでの時間を短縮するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0057】
また、表示湿度を更新するときの検出湿度と表示湿度との差に応じて、湿度表示が更新されるタイミングを変更するため、湿度表示を湿度変化に追従させることができる。
【0058】
なお、本実施形態では、ガード時間を20秒と10秒と1秒に設定しているが、ガード時間はこれらの数値に限定されるものではない。
また、本実施形態では、湿度表示を更新するタイミングを変更する基準となる検出湿度と表示湿度との差が、2%と5%であるが、これらの数値に限定されるものではない。
また、本実施形態では、更新残り時間を10秒または1秒に短縮しているが、これらの数値に限定されるものではない。
【0059】
また、本実施形態では、更新残り時間を短縮する際、元の更新残り時間に関わらず、短縮後の更新残り時間(10秒または1秒)を決定しているが、短縮前の更新時間に基づいて、短縮後の更新残り時間を決定してもよい。例えば、検出湿度と表示湿度との差が2%以上4%以下の場合に、短縮後の更新残り時間を、短縮前の更新残り時間から所定時間(例えば10秒)引いた値としてもよい。上記所定時間が10秒の場合には、図8中の5秒のときの短縮後の更新待ち時間は、短縮前の更新残り時間である17秒から10秒引いた値である7秒となる。
【0060】
以上、本発明の好適な実施形態として、第1〜第3実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【0061】
<変更例1>
上記第1〜第3実施形態の湿度センサには、電極間の電気抵抗値の変化によって湿度を検出する電気抵抗変化式の湿度センサが用いられているが、電極間の静電容量の変化によって湿度を検出する電気容量変化式の湿度センサを用いてもよい。
【0062】
<変更例2>
上記第1〜第3実施形態では、加湿機に本発明を適用しているが、本発明の適用対象は加湿機に限定されるものではなく、湿度センサと湿度を表示する表示部とを有する空気調和機であればよい。
【0063】
<変更例3>
上記第1〜第3実施形態では、検出湿度と表示湿度(更新時の検出湿度)との差に基づいて、湿度表示を更新するタイミングを変更しているが、湿度表示を更新するタイミングを変更する基準となる検出湿度の変化率は、検出湿度と表示湿度との差に限定されない。
例えば、検出湿度と直前の検出湿度との差に基づいて、湿度表示を更新するタイミングを変更してもよい。この変更例を第1実施形態に適用した場合の具体例を図9に示す。図9では、検出湿度と直前の検出湿度との差が1%以下の場合には、ガード時間(20秒)が経過する度に湿度表示を更新し(図9の27秒を参照)、検出湿度と直前の検出湿度との差が2%以上の場合には、更新残り時間に関わらず、湿度表示を更新している(図9の3秒、6秒、7秒を参照)。
【0064】
<変更例4>
上記第1〜第3実施形態では、湿度表示を更新するタイミングを変更する基準となる値(検出湿度と表示湿度との差)は、検出湿度に関わらず一定であるが、検出湿度が所定湿度以上の場合と所定湿度未満の場合とで異ならせてもよい。
例えば、検出湿度が所定湿度以上の場合に、所定湿度未満の場合より大きくなるように変更してもよい。この変更例を第1実施形態に適用した場合の具体例としては、例えば、検出湿度が50%未満には、検出湿度と表示湿度との差が2%以上の場合に更新残り時間に関わらず湿度表示を更新し、検出湿度が50%以上の場合には、検出湿度と表示湿度との差が4%以上の場合に更新残り時間に関わらず湿度表示を更新してもよい。なお、上述の50%、2%、4%という数値は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0065】
湿度が高い場合には、湿度センサの検出精度が湿度が低いときよりも低くなり、検出湿度が変動しやすくなる。そのため、湿度表示を更新するタイミングを変更する基準となる値を、湿度が高い場合に、湿度が低い場合よりも大きくなるように変更することで、検出精度の悪化によって湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
【0066】
<変更例5>
上記第1〜第3実施形態では、ガード時間は、加湿運転時と空清運転のいずれでも同じであるが、加湿運転時のガード時間を、空清運転時のガード時間より短くしてもよい。
加湿運転時には、空清運転時よりも湿度変化が大きくなる。加湿運転時のガード時間を短くすることで、湿度変化の大きい加湿運転時に、湿度表示を湿度変化に追従させることができ、空清運転時のガード時間を長くすることで、湿度変化の小さい空清運転時に、湿度表示の無駄な更新を減らすことができる。
なお、除湿運転と空清運転とを切り換え可能な空気調和機に本発明を適用する場合(変更例2)には、除湿運転時のガード時間を、空清運転時のガード時間より短くしてもよい。
【0067】
<変更例6>
ガード時間を、加湿運転が開始された後、所定時間が経過したときに長くなるように変更してもよい。この変更例を第1実施形態に適用する場合の具体例としては、例えば、加湿運転が開始後、所定時間が経過する前に湿度表示を更新する際には、ガード時間を20秒として、更新残り時間をガード時間に初期化する。また、加湿運転が開始された後、所定時間が経過した後、湿度表示を更新する場合には、ガード時間を25秒に変更して、更新残り時間をガード時間に初期化する。
【0068】
また、この変更例6を第2実施形態に適用する場合、表示更新時の検出湿度と表示湿度との差が4%以下の場合のガード時間(第2実施形態では20秒)と、表示更新時の検出湿度と表示湿度との差が5%以上の場合のガード時間(第2実施形態では5秒)のいずれか一方を、加湿運転開始後の経過時間に応じて変更すれば、他方のガード時間は、運転開始後の経過時間に応じて変更しても変更しなくてもよい。第3実施形態にこの変更例6を適用する場合についても同様である。
【0069】
加湿運転開始直後は湿度変化が大きく、時間の経過とともに湿度が安定する。加湿運転開始後のガード時間を短くすることで、湿度変化の大きい加湿運転開始後に、湿度表示を湿度変化に追従させることができ、加湿運転を開始してから所定時間が経過した後のガード時間を長くすることで、湿度変化が小さいときに、湿度表示の無駄な更新を減らすことができる。
なお、空清運転を行う場合のガード時間は、運転開始からの時間に関わらず一定であってもよく、加湿運転を行う場合と同様に、空清運転開始後、所定時間が経過したときに長くなるように変更してもよい。
また、除湿機能を有する空気調和機に本発明を適用する場合(変更例2)には、ガード時間を、除湿運転が開始された後、所定時間が経過したときに長くなるように変更してもよい。
【0070】
<変更例7>
上記第1〜第3実施形態では、加湿運転時または空清運転時には、常に湿度表示を行っているが、ファンの回転開始時から所定時間(例えば30秒程度)が経過するまでの間、湿度表示を行わないようになっていてもよい。
ファンが停止状態から回転を開始した際、風量が急激に増加することで、湿度検出手段の検出精度が低下して、湿度検出手段で検出される湿度が変動しやすくなる。ファンの回転開始時から所定時間が経過し、風量が安定した後で湿度表示を行うことによって、風量変動に起因して湿度表示が短時間で変化するのを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明を利用すれば、湿度検出手段で検出される湿度の変化率に応じて、適切なタイミングで湿度表示を更新できる。
【符号の説明】
【0072】
1 加湿機(空気調和機)
2 ファン
3 気化部材
4 貯水容器
5 空気清浄ユニット
6 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度を検出する湿度検出手段と、
湿度表示を行う表示手段と、
前記湿度検出手段で検出された湿度に基づいて前記表示手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率に基づいて湿度表示を更新するタイミングを変更することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記制御手段が、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率が所定値未満の場合はガード時間が経過する度に湿度表示を更新すると共に、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率が所定値以上の場合はガード時間にかかわらず湿度表示を更新することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
ガード時間が、湿度表示を更新するときの前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率に基づいて変更されることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御手段が、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率が所定値未満の場合はガード時間が経過する度に湿度表示を更新すると共に、前記湿度検出手段で検出された湿度の変化率が所定値以上の場合は湿度表示が更新されるまでの時間を短縮することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記所定値は、前記湿度検出手段で検出された湿度が所定湿度以上の場合に、所定湿度未満の場合より大きくなるように変更されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載された空気調和機。
【請求項6】
空気を加湿する加湿運転と、空気を加湿しないで清浄化する空清運転のいずれかが行われるように切り換え可能であって、 加湿運転時のガード時間が、空清運転時のガード時間より短いことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項7】
加湿運転が可能であって、
ガード時間が、加湿運転が開始された後、所定時間が経過したときに長くなるように変更されることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項8】
加湿運転時に水を貯留する貯水容器内の水を気化させる気化部材と、
前記気化部材に空気流を供給するファンとを備えており、
前記制御手段が、ファンの回転開始時から所定時間が経過するまで、湿度表示を行わないように前記表示手段を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−53753(P2013−53753A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190001(P2011−190001)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】