説明

空気調和装置

【課題】建物の居室等において空調機器からの気流の風量や風速等を居室内の場所によって異なった状態に調整することができる空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置本体に複数のダクトを介して複数の空気吹出口を付設した空気調和装置において、少なくとも一室の天井又は壁等の仕切り面に前記複数の空気吹出口を設け、該複数の空気吹出口の各一に、該空気吹出口から吹き出される気流を分散する繊維シート状物をそれぞれ配設する。各繊維シート状物の室内に臨む表面における気流の風量を、各繊維シート状物の通気特性と各ダクトのダクト抵抗により、調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅建物において、一般にエアコンと呼ばれている、居室内に直接冷気を吹き出すようになされた対流式の冷房装置を設置した場合、局所から冷気を送るため風速が大きく、その風が居室内の人に直接当たることになる。そのため、皮膚表面から水分を奪われ、肌が乾燥しやすくなり、この種の冷房装置を不快と感じる場合があった。また、対流式の冷房装置の場合、室内が設定温度になると冷房が弱まり、設定温度より高くなると再び強まることを繰り返すことから、居室内の温度変動が大きくなってしまう。つまり、丁度良くなったり暑くなったり、あるいは、丁度良くなったり寒くなったりを繰り返すため、常に最適な室温を保つことは困難であった。更に、下向きに冷気が吹き出すため、上下方向に温度分布ができてしまい、上側が暑く下側が寒く、足元ばかりが冷えて不快な状況となってしまうことがあった。
【0003】
そこで、本出願人等は、特許文献1において、建物の居室内において、身体にあたる風をほとんど感じず、居室内の温度変動が小さく、温度分布がほとんどないという効果を奏し、居室内の人にとってより快適な冷房効果を与えることのできる建物の室内空間の仕切り構造を提案した。
一方、最近の社会環境では、生活の時間帯が不規則になりがちで、様々なストレスを受けることが多いためか、日本人の5人に1人が睡眠の問題を抱えているとも言わる。
出願人の調査の結果では、夏の寝苦しさに関する悩みを抱える人が多く、約7割が就寝時に冷房を使用している一方、「冷風が身体に直接あたる」「冷えすぎる」「身体がだるくなる」「音がうるさい」「肌が乾燥する」など、寝室の冷房に対して不満が大きいことがわかった。
【0004】
夫婦の寝室など二人以上が過ごす(就寝することを含む)一室において、夏場・冬場などにおいて好まれる室温や気流の状態が各人によって異なるため、例えば、夏場に男性がエアコンの設定温度を下げると、女性が寒すぎて不快に感じ、場合によっては風邪を引いてしまうなどの不都合が生じることがある。すなわち、同一の室内において、個人により体感温度や好みが異なり、快適と感じる風速や温度は異なる場合がある。
よって、室内の一部分を他の部分とは異なった室温や気流の状態に設定することができれば、かかる不都合を解消することができる。
【特許文献1】特願2007−244611号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、建物の居室等において空調機器からの気流の風量や風速等を居室内の場所によって異なった状態に調整することができる空気調和装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、かかる空気調和装置を備えた建物を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明によれば、空気調和装置本体に複数のダクトを介して複数の空気吹出口を付設した空気調和装置において、少なくとも一室の天井又は壁等の仕切り面に前記複数の空気吹出口を設け、該複数の空気吹出口の各一に、該空気吹出口から吹き出される気流を分散する繊維シート状物をそれぞれ配設したことを特徴とする空気調和装置が提供される。
このような構成とすることにより、同一の室内において、一の繊維シート状物が配された領域と、他の繊維シート状物が配された他の領域とを、別々の空調状態に制御することができる。よって、例えば、夫婦寝室などの二人以上が過ごす一室において、ベッドの位置に応じて気流の風量や風速を異なるものとすることができ、またリビングダイニングルームなどの使用目的の異なる複数の空間が一体化された室内において、各空間に応じて気流の風量や風速を異なるものとすることができる。
【0007】
ここで、空気調和装置とは、空気を吸い込み、その温度及び/又は湿度を調整し、温度及び/又は湿度を調整した空気を所定空間に送り出す装置のことを言い、好適には、冷暖房装置であり、例えば温度調節機能、湿度調節機能、風量調節機能、タイマー機能などを更に備えたものを使用することができ、また、空気清浄機能などが具備されたものであってもよい。空気吹出口を仕切り面に設けさえできれば、空気調和装置の装置本体の設置場所は、天井内でもそれ以外の建物内の場所であってもよいし、屋外であってもよい。
空気吹出口が設けられる仕切り面は、典型的には天井又は壁であるが、室内空間に臨む他の仕切り部位の面、例えば押入れ上部天袋や下部地袋などの面も含む。
【0008】
繊維シート状物は、空気調和装置本体から送られ空気吹出口から吹き出される空気を該繊維シート状物に透過させ空気を整流することができるものであれば如何なるものでもよく、例えば、織編物、不織布、フェルトなどの布帛からなるものが用いられ、複数種のものを積層し併用することも可能である。ここで、空気を透過させ整流するとは、該繊維シート状物で空気吹出口を覆うことによって、空気調和装置本体から供給されて空気吹出口から局所的に吹き出される空気を、室内空間に広く分散させることをいい、かかる機能を達成すべく、繊維シート状物は適切な通気特性を有するものが選択される。かかる通気特性は、種々の特性パラメータによって規定することが可能であるが、典型的には、所定の圧力差における単位面積、単位時間あたりの空気の通過量を示し、JIS−L−1096フラジール法に準じて測定される通気度によって規定することができ、具体的には、かかる通気度は、例えば40〜650cc/cm・sec、好ましくは40〜400cc/cm・sec、より好ましく50〜300cc/cm・sec、更に好ましくは50〜200cc/cm・secである。
【0009】
第二の発明によれば、第一の発明に係る空気調和装置において、各繊維シート状物の室内に臨む表面における気流の風量を、各繊維シート状物の通気特性と各ダクトのダクト抵抗により調整したことを特徴とする空気調和装置が提供される。
このような構成とすることにより、一の繊維シート状物が配された領域と、他の繊維シート状物が配された他の領域に対する空調状態を確実にかつ効果的に調整することができる。
【0010】
ここで、空調状態の調整とは、基本的には、一の繊維シート状物が配された領域と、他の繊維シート状物が配された他の領域との空調状態を互いに異なったものとすることを想定しているが、各繊維シート状物の通気特性とダクトのダクト抵抗の調整を行わない状態で既に、一の繊維シート状物が配された領域と、他の繊維シート状物が配された他の領域との空調状態が異なった状態になるが、そのような異なった状態が居住者等にとって不具合で、むしろ同一の状態にする方が望ましいような場合には、各繊維シート状物の通気特性とダクトのダクト抵抗の調整により、一の繊維シート状物が配された領域と、他の繊維シート状物が配された他の領域との空調状態を同じ状態にすることも包含する。
また、繊維シート状物の通気特性の調整は、一の繊維シート状物と他の繊維シート状物を、例えば異なった素材、構造、又は仕様のものを利用することによりなされ、特に各繊維シート状物の通気度、密度、及び/又は開口率を調整することにより行うことができる。また、ダクトのダクト抵抗の調整は、ダクトの長さを、一の繊維シート状物に対するダクトと他の繊維シート状物に対するダクトの間で変えることの他、圧力損失が異なるダクト継手を使用したり、ダクトの内径を部分的に又は全体的に異なったものとするなど、種々の方法で実施することができる。
【0011】
第三の発明によれば、第一又は第二の発明に係る空気調和装置において、前記複数の繊維シート状物が、互いに異なる通気特性を有するものであることを特徴とする空気調和装置が提供される。
ダクトのダクト抵抗の調整は、各住宅建物の構造、間取り等によって左右される場合があるので、特に複数の繊維シート状物を、互いに異なる通気特性を有するものとすることにより、最適な整流分布を得んとするものである。
【0012】
第四の発明によれば、第一から第三の発明の何れか一に係る空気調和装置において、前記繊維シート状物がパネルであり、天井又は壁等の前記仕切り面に着脱可能に取付けられたことを特徴とする空気調和装置が提供される。
このような構成によれば、繊維シート状物の設置やメンテナンスが容易にできる。
【0013】
第五の発明によれば、第一から第四の発明の何れか一に係る空気調和装置において、前記各繊維シート状物の室内に臨む表面における気流の風速又は風量を測定する気流状態測定手段と、該気流状態測定手段により測定された風速又は風量を表示する気流状態表示部を更に具備することを特徴とする空気調和装置が提供される。
このような構成によれば、室内の家人の感じる風速又は風量を正確に把握することができ、室内の各領域における風速又は風量の調節が容易になる。
【0014】
第六の発明によれば、第一から第五の発明の何れか一に係る空気調和装置を備えた建物であって、2人以上が就寝する室の天井又は壁等の仕切り面に、2以上の前記空気吹出口を設け、該各空気吹出口の下方にベッドをそれぞれ配置したことを特徴とする建物が提供される。
このような構成によれば、相対的に低い室温を好む就寝者のベッド付近と相対的に高い室温を好む就寝者のベッド付近をそれぞれの就寝者の好みに合わせた空調状態にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る空気調和装置によれば、建物の居室等において空調機器からの気流の風量や風速等を、居室内の場所に応じた好ましい状態に調整することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1〜3は、本発明の第一実施形態に係る空気調和装置を示すもので、図1は、住宅の夫婦寝室のベッド配置図に天井側の空気調和装置を重ねて示す概略平面図、図2は、空気調和装置の要部となる繊維シート状物の設置部分を示す図1のII−II矢視断面図、図3は繊維シート状物の一例を示す概略模式図であり、図中、A、Bは長辺を隣り合わせて並列に配置されているベッド、Sは天井板である。
【0017】
本実施形態に係る空気調和装置1は、上記寝室のベッドA,Bからベッド短辺方向側方にずれた位置であってベッドA,Bに比較的近い位置に対応する天井裏の場所に設置された空気調和装置本体2と、天井板Sの各ベッドA,Bの略中心に対向する位置にそれぞれ設けられた第一空気吹出口3及び第二空気吹出口4と、空気調和装置本体2の吹出し側の二箇所のダクト接続部を第一空気吹出口3及び第二空気吹出口4にそれぞれ接続する第一ダクト5及び第二ダクト6と、第一空気吹出口3及び第二空気吹出口4にそれぞれ配設された第一繊維シート状物7及び第二繊維シート状物8を具備する。
【0018】
ここで、空気調和装置本体2は、周知のヒートポンプ式冷暖房の天井埋め込み型のエアコンであるがその二箇所のダクト接続部からは略同一の風量、風速の空調空気が吹き出す構造のものであり、空調状態を制御・表示する制御・表示部を室内の壁面等に備え、又は空調状態を制御・表示する制御・表示部を備えたリモコン等により遠隔制御が可能なものである。
また、図1から明らかなように、本実施形態においては、空気調和装置本体2が、ベッドAの側方に近接する天井裏の位置に設置されており、第一空気吹出口3及び第二空気吹出口4がその各ベッドA,Bの略中央に対応する位置に設けられているので、空気調和装置本体2と第一空気吹出口3を接続する第一ダクト5が、空気調和装置本体2と第二空気吹出口4を接続する第二ダクト6よりも短い。第一ダクト5及び第二ダクト6は、互いに同一の内径を有する可撓性を備えた断熱ダクト管材により構成されており、よって、第一ダクト5の方が第二ダクト6よりもダクト抵抗(圧力損失)が少なく、高い送風量、風速を確保でき、よって、ダクトだけの比較では、ベッドAに対する送風量がベッドBに対する送風量よりも多くなるように構成されている。
【0019】
上記第一繊維シート状物7及び第二繊維シート状物8は、それぞれ、各ベッドA,Bをほぼカバーする畳一枚分の大きさ(典型的には、長辺方向長さが略1800mm、短辺方向長さが略900mm)を有している所望の通気特性を備えた長方形の繊維パネル材であり、第一空気吹出口3及び第二空気吹出口4から吹き出す空気を整流して下方に送風することができれば、織編物、不織布、フェルト等、如何なる素材、構造のものでもよく、特に本出願人等の名義の先願(特許文献1)にその詳細を記載したものを使用することができる。典型的には、各繊維シート状物7,8は、織編物(平織、斜文織、朱子織ジャガード織等の織物や、天竺、両面編、ハーフトリコット編、ダブルラッセル編等、丸編や経編の各種編物)で、通気度が40〜650cc/cm・sec(好ましくは40〜400cc/cm・sec、より好ましく50〜300cc/cm・sec、更に好ましくは50〜200cc/cm・sec)のものが好ましく、及び/又は密度が、織物では経密度70〜150本/2.54cm、緯密度が0〜120本/2.54cm、編物ではコース密度13〜60コース/2.54cm、ウエール密度12〜50ウエール/2.54cmのものが好ましく、及び/又は開口率(例えば、繊維シート状物の表側又は裏側の拡大写真を直角方向から撮影して10cm角の写真を得て、写真から単位面積に占める開口部の面積比率を画像処理や重量比等により算出)が0.2〜35%(より好ましくは0.3〜30%、更により好ましくは0.4〜25%)であるものが好ましい。かかる繊維シート状物7,8には、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維等の合成繊維、綿、麻、ウール等の天然繊維、キュプラレーヨン、ビスコースレーヨン、リヨセル等の再生繊維等、任意の繊維を用いることができる。
【0020】
また、繊維シート状物7,8は、シワや弛みがなくきれいに仕切り面に張るためには、繊維シート状物7,8のタテ方向及び又はヨコ方向の伸長率が、5〜120%が好ましく、より好ましくは10〜100%、さらに好ましくは15〜80%である。タテ方向及び又はヨコ方向の伸長率が6%未満であると、繊維シート状物7,8をシワや弛みのない状態できれいに張ることが困難となり、更には取り外して洗濯をする場合、洗濯後にシワが入り易くなる。一方、伸長率が120%を超えると、繊維シート状物7,8を張る際に繊維シート状物7,8の密度調整が困難となり、張り方により空気の通過性、光の透過性等が大きく異なるものとなる。ここで、繊維シート状物7,8は、パネル状であり、そのパネル状の外周の要所をマジックテープ(登録商標)や引っ掛け具等により仕切り面に接着する方法をとる。その際、前記パネル状で繊維シート状物7,8の面外方向にテンションをかけているので、該繊維シート状物7,8と仕切り面とは略直に接触するか、自然にわずかな隙間が生じる程度である。なお、この隙間は、特に密閉状態にする必要はない。
【0021】
最も好ましい繊維シート状物7,8は、図3に示されるように、表裏2層の編地9を連結糸10で間隔を空けて連結した立体編物から構成される。立体編物はタテ方向及びヨコ方向にストレッチ性を有すると同時に面剛性が高いため、天井の広い面積に張る際の施工性が良好となり、大きな張力を掛けて張る場合や殆ど張力を掛けない場合においてもシワがなく、きれいな外観で天井に張ることができる。特に立体編物の連結糸10は、20〜500デシテックスの繊度の繊維を用いることが寸法安定性、柔軟性、軽量性、取り扱い性を良好にする上で好ましく、より好ましくは20〜300デシテックス、さらに好ましくは20〜200デシテックスであり、またモノフィラメントを使用することにより、形態安定性と面剛性が向上し、シワや弛みの発生し難い繊維シート状物7,8となると共に、人や物が触れても変形等が起こり難く、耐久性も向上する。かかる立体編物はダブルラッセル編機やダブル丸編機等、2列の針列を有する編機で形成され、その連結糸には、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル系エラストマー繊維等、任意の合成繊維を用いることができる。また、立体編物に適度な剛性を持たせて形状安定性を向上させるために、立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸10の本数をN(本/6.45cm)、連結糸の繊度(dtex)をD(g/1×10 cm)、連結糸10の比重をρ(g/cm)とした時、立体編物2.54cm平方(6.45cm)の面積中にある連結糸10の総断面積(N・D/1×10・ρ)が0.02〜0.15cmであることが好ましい。本実施形態においては、繊維シート状物7,8は特に本出願人から登録商標フュージョンとして製造販売されている立体編物により構成される。
【0022】
本実施形態においては、前述のように、第一ダクト5の方が第二ダクト6よりもダクト抵抗(圧力損失)が少なく、これによって、ベッドAに対する送風量がベッドBに対する送風量よりも多くなるように構成されているが、これに加えて、ベッドAの上に配置される第一繊維シート状物7が、ベッドBの上に配置される第二繊維シート状物8よりも通気性が大なるものが採用されており、繊維シート状物7,8の通気特性の差異によっても、ベッドAに対する送風量がベッドBに対する送風量よりも多くなるように構成されている。この通気特性は、繊維シート状物7,8の如何なるパラメータを調整することによって調整しても構わないが、簡便には通気度によって調整される。すなわち、前述のように、繊維シート状物7,8としては、気流の整流効果を達成するために、好ましくは40〜650cc/cm・sec(より好ましくは40〜400cc/cm・sec、更に好ましく50〜300cc/cm・sec、また更に好ましくは50〜200cc/cm・sec)の通気度を備えた立体編物が使用されるが、ベッドAに対応する繊維シート状物7には、上記数値範囲内において相対的に高い通気度のものが使用され、ベッドBに対応する繊維シート状物8には、上記数値範囲内において相対的に低い通気度のものが使用される。
【0023】
ここで、繊維シート状物7を構成する相対的に高い通気度の立体編物及び繊維シート状物8を構成する相対的に低い通気度の立体編物は、特許文献1に記載されているようにして製作することができる。特定の例を以下の実施例に示す。
また、図示しないが、各繊維シート状物7,8の下面側の任意位置には、風量計又は風速計あるいは風量及び風速の双方を計測できる風量風速計が設置され、該計器は空気調和装置1の前記制御・表示部に電気的に接続され、また前記制御・表示部には、該機器からの計測風量及び/又は風速が表示される風量及び/又は風速表示部が組み込まれている。
【0024】
上記実施形態においては、空気調和装置本体2からダクト5,6中に吐出される空気量は互いに同一であるが、ダクト5のダクト抵抗(圧力損失)はダクト6のダクト抵抗よりも低く、繊維シート状物7の通気度は繊維シート状物8の通気度よりも多い。従って、ダクト5,6を通過して各空気吹出口3,4から吹き出され、繊維シート状物7,8を透過してベッドA,B上に流下してくる気流は、ベッドA上の方がベッドB上よりも風量が多く風速が速い。よって、ベッドAの例えば男性の就寝者がより低温を好み、ベッドBの例えば女性の就寝者がより高温を好む場合、双方の就寝者が快適に就寝できる環境が得られる。
尚、各空気吹出口3,4から流下した冷風は、室内において対流拡散し室内に広がるが、室内の下方部分のベッドよりも下方(床面からベッド表面(寝床)までの高さは、通常40cmほどである。)において横に広がり滞留する傾向があり、よって、ベッドA,Bの就寝者には、未だ混ざっていない適切な温度の気流が各空気吹出口3,4から流下するので、就寝者はそれぞれの好みに合った気流を受けることとなることが想定される。
【0025】
上記実施形態においては、ダクト抵抗の調整と繊維シート状物の通気特性の調整を共に実施したが、必要な風量の差が達成できれば、ダクト抵抗の調整と繊維シート状物の通気特性の調整の何れか一方を実施するだけでもよい。またダクト抵抗の調整の方法は、本実施形態におけるように、ダクト長さの調整によるのが簡便であるが、ダクト内径の異なる管材を適宜配置したり、仕切り板をダクト管路に適宜介装するなど、別の手段でダクト抵抗(圧力損失)を発生させてもよい。
【0026】
図4〜8は本発明の第二の実施形態に係る空気調和装置を天井裏に埋め込んで設置した様子を示すもので、特にダクト抵抗の調整方法に関する別態様を示すものであり、第一の実施形態における場合と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
本発明の第二実施形態の建物の躯体構造は、一定の設計モジュールに基づき建物構成部品が配置され接続される工業化住宅の軽量鉄骨造軸組構造(柱梁構造)としており、屋根組、床組が鋼製梁(鉄骨梁)に軽量気泡コンクリート床パネル(ALC床パネル)を敷設したものである。
図4は、天井裏に設置された空気調和装置本体2とその周辺部分を示す平面図、図5は図4のIV−IV矢視断面図、図6は図4のVI−VI矢視断面図、図7は図6のVII部の拡大断面図、図8は図6のVIII部の拡大断面図である。
これらの図中、11は縦横に敷設されたH型鋼等からなる鉄骨梁であり、寝室の上階の床スラブを構成するALC製の床パネル12がその上に敷設されている。また天井面の天井板Sは、床パネル12の下面に複数の吊り金具(不図示)を介して取付けられたCチャンネルからなる複数の薄板軽量鉄骨下地13に固定され、設けられている。
【0027】
前記第一の実施形態では、夫婦寝室において2つのベッドA,Bが隣り合わせて配置されており、よって空気吹出口3,4が側方に並列に離間して設けられていたが、本実施形態では、例えば同様の寝室において2つのベッドA,Bが今度はL字型に配置されていたり、あるいはリビングダイニングルームであって、リビング空間の中心位置とダイニング空間の中心位置が、平面視で斜め方向に離間しているような間取りの場合を想定している。この場合、上階の床パネル12等を支持する前記鉄骨梁11が一定の間隔で格子状に組まれて敷設されており、空気調和装置本体2と第一空気吹出口3及び第二空気吹出口4を接続する第一ダクト5及び第二ダクト6は、その鉄骨梁11のウェブに形成されている貫通孔を通過させる必要があるため、貫通孔に応じて第一ダクト5及び第二ダクト6を縮径させたり、延設方向を変更したりすることが要求される。
【0028】
すなわち、本実施形態では、鉄骨梁11に四方が囲まれた位置に空気調和装置本体2は配置されている。より詳細には、二本の鉄骨梁11に直交する方向に平行に二本のチャンネル材14が、各両端を、各鉄骨梁11に吊り金具15を介して固定されて平行に架設されており、該チャンネル材14に、空気調和装置本体2が吊り金具16を介して取り付けられている。
【0029】
空気調和装置本体2は、前記第一実施形態におけるものと同様のものであるが、より詳しく説明すると、その下方に向く一面に吸気口を備え、天井板Sの該吸気口に対向する部分には、所定広さの吸込みグリル17が取り付けられ、寝室の室内の空気が該吸込みグリル17から空気調和装置本体2内に吸引されるようになっている。
また、空気調和装置本体2の一方の側面には、吸気側に連通された複数のダクト接続部18が設けられている。図示例では、長辺の側面に横並びで3カ所のダクト接続部18が形成され、その内の中央の接続部18には盲板19が取り付けられて使用されない状態とされ、残りの左右二箇所のダクト接続部18に、前記第一ダクト5と第二ダクト6がそれぞれ取り付けられている。
【0030】
第一ダクト5は、断熱性を有する樹脂等からなる積層チューブ、管部材等を適宜組み合わせて構成されており、第二ダクト6よりも短く形成され、途中で鉄骨梁11に形成された貫通孔11a(該貫通孔は鉄骨梁11に従来から設計モジュールに従った一定ピッチで穿設されているものの一つを利用する)を通過させられて、その端部が、一方のベッドA又はダイニング等のより高風量が臨まれる領域の空気吹出口3に接続されている。この第一ダクト5の延設状態を、図6を参照して更に詳細に説明すると、空気調和装置本体2のダクト接続部18の一つに、所定の一定内径の可撓性がある高断熱積層チューブ20の一端が接続され、該高断熱積層チューブ20の他端に断熱片落管21の大径端が接続され、該断熱片落管21の小径部が鉄骨梁11の貫通孔に嵌入させられ、該鉄骨梁11の貫通孔を貫通した小径部に、前記高断熱積層チューブ20よりも小なる内径の高断熱積層チューブ22の一端が嵌合され、該高断熱積層チューブ22の他端が、前記断熱片落管21と同様の断熱片落管23の小径部に接続され、該断熱片落管23の大径端が高断熱積層チューブ22と同径の高断熱積層チューブ24の一端に接続され、該高断熱積層チューブ24の他端が断熱エルボ管25を介して空気吹出口3に接続されている。このように、第一ダクト5は、鉄骨梁11の貫通孔にダクトを通すために、ダクト径が途中で縮径され、それによってダクト抵抗(圧力損失)が付加されている。一般に建物の躯体構造を構成する梁等と干渉する場合に通常配管自身を下げる対応を採る結果、天井高がその分だけ下がり室内空間の余裕が無くなる弊害があるが、ウェブ部に貫通孔を設けた鉄骨梁を使用すれば、貫通孔にダクトを通すことができる。
本実施形態では、さらにダクトの配管径寸法に対して、梁成寸法が不足している場合であっても天井高を下げる必要がない点で有利である。
【0031】
第二ダクト6は、第一ダクト5と共に高い断熱性を有する樹脂等からなる積層チューブ、管部材等を適宜組み合わせて構成されるものであり、第一ダクト5よりも長く形成され、その端部が、ベッドAに対してL字状に配置されたベッドBやダイニングに対して横方向に離間したリビングに設けられた第二の空気吹出口4に接続されているが、空気調和装置本体2とその第二の空気吹出口4までの間には図示されている鉄骨梁11が存在し、また場合によっては更に他の鉄骨梁も存在する。この鉄骨梁11の部分は、第一ダクト5の場合(図7〜8)と同様に、鉄骨梁11部分で縮径されてダクト配管がなされる。この第二ダクト6の延設状態は、図4に示すように、空気調和装置本体2のダクト接続部18の一つに、第一ダクト5の高断熱積層チューブ20と同様の管材料からなる高断熱積層チューブ26の一端が接続され、該高断熱積層チューブ26の他端に断熱片落管27の大径端が接続され、該断熱片落管27の小径部が鉄骨梁11の貫通孔に嵌入させられ、該鉄骨梁11の貫通孔を貫通した小径部に、前記高断熱積層チューブ26よりも小なる内径の高断熱積層チューブ28の一端が嵌合され、該高断熱積層チューブ28の他端が、前記断熱片落管27と同様の断熱片落管29の小径部に接続され、該断熱片落管29の大径端が高断熱積層チューブ26と同径の高断熱積層チューブ30の一端に接続され、該高断熱積層チューブ30の他端が断熱エルボ管31を介して空気吹出口5に接続されている。尚、図示例では、第二ダクト6が通過すべき鉄骨梁11は一カ所のみであるが、空気吹出口5の位置によっては、通過すべき鉄骨梁11が2カ所以上ある場合があり、鉄骨梁11間のダクトは鉄骨梁11の貫通孔に合致させられた小径ダクトとされてもよいし、一旦は大径に拡径されても構わない。何れにせよ、第二ダクト6においては、第一ダクト5よりもダクト抵抗(圧力損失)が大きく、よって、第二の空気吹出口4から吹き出される空気量は第一の空気吹出口3から吹き出される空気量よりも少なくなる。
【0032】
本実施形態における第一繊維シート状物7及び第二繊維シート状物(不図示)は、第一実施形態におけるものと同様のものであり、第一繊維シート状物7の通気度が第二繊維シート状物の通気度よりも高い。よって、ベッドA又はダイニング空間等に対して送風される第一繊維シート状物7からの気流の風量又は風速は、ベッドB又はリビング空間等に対して送風される気流の風量又は風速よりも大きく又は強くなり、強い空調を必要とする男性等の就寝者と弱い空調を希望する女性等の就寝者の好みに応じて夫婦寝室の空調を実施したり、強い空調が望まれるダイニング空間と弱い空調が望まれるリビング空間等が一体化したリビングダイニングルームの各空間機能に合致した状態リビングダイニングルームの空調を行うことができる。
【0033】
上記実施形態においては、夫婦寝室とリビングダイニングルームの空調を例として本発明を説明したが、本発明はかかる形態への適用に限定されるものではなく、一居室における一領域の空調を同居室の他の領域とは異なった状態に緻密に調節することが望まれる場合には如何なる場合にでも適用することができる。
【0034】
以上、本発明の空気調和装置に係る実施形態を、図1〜8を参照して説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる限り、他の形態で実施されてもよい。例えば、寝室やリビングダイニングルームに限定されるものではなく、住人の好みに応じて、同一の居室内の場所に応じて空調状態を変更したい場合には如何なる居室に対してでも利用することができる。また同一の居室に限るものではなく、一居室の空調状態と他の居室の空調状態を異なったものにする場合や、逆に通常の空調設備では居室毎に空調状態に差異が出てしまう場合に同一の空調状態にしたい場合などにも、本発明を適用することは可能である。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0036】
<実施例1>
第一の実施形態に係る空気調和装置と同様の基本構造の装置を夫婦寝室に施工した。ベッドA側の第一ダクト5は内径150mmφで、鉄骨梁を貫通させないが、ベッドB側の第二ダクト6は鉄骨梁を一回貫通させた。梁貫通箇所では、ダクト内径は150mmφから片落管で100mmφに絞り、その後150mmφで接続した。
また繊維シート状物7,8は通気度が78cc/cm・secの同じものを使用した。
実施例では、繊維シート状物は、出願人が製造・販売する「フュージョンTM」が使用される。これは、出願人が製造・販売する繊維素材をパネル化したものであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)・ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)・ポリブチレンテレフタレート(PBT)・ナイロン(Ny)などから構成された、表面部・連結部・裏面部からなる画期的な三次元立体編物である。柱・筋違構造を編組織に応用し、形態保持性や弾力性、通気性、通水性などの特徴を合わせ持つ素材である。
【0037】
ここで、上記通気度の繊維シート状物(立体編物)の製造例を示すと、以下の如くである(特許文献1の実施例3に相当)。
6枚筬を装備した22ゲージ、釜間4.5mmのダブルラッセル編機を用い、表面の編地を形成する筬(L1、L2)から167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸をオールインの配列で供給し、連結糸用の筬(L3、L4)から33dtexのポリエステルモノフィラメントをオールインの配列で供給し、また、裏面の編地を形成する筬(L5、L6)から、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸をL5の筬に3イン1アウトの配列で、L6の筬に(1イン)1アウト3インの配列で供給した。
(編組織1)に示す編組織で、機上コース33コース/2.54cmの密度で生機を編成し、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行い、立体編物を得た。この立体編物は低通気度編物として、各種物性値と共に表1に示す。
(編組織1)
L1:2022/2422/
L2:4644/2022/
L3:4624/2042/
L4:2042/4624/
L5:6664/6668/6664/4420/2224/2220/
2224/4468/
L6:2224/2220/2224/4468/6664/
6668/6664/4420/
【0038】
【表1】

【0039】
上記空気調和装置について、空気調和装置本体2の風量設定を、「強」、「弱」、「微」、「しずか」の各設定にし、繊維シート状物7,8の表面近傍に設置した風量計(コーナー札幌製風量計KNS300)によって、ベッドA及びベッドBにおける風量を測定した。その結果を次表に示す。
【表2】

この結果から分かるように、空気調和装置本体2の風量設定を何れの強さに設定しても、ベッドAにおける風量がベッドBにおける風量よりも有意に多くなることが確認された。
また、空気調和装置本体2の設定温度を24℃として自動運転を実施した。その結果、ベッドAにおける温度はベッドBにおける温度よりも低く、ベッド間での有意な温度差が確認された。
【0040】
<実施例2>
実施例1においては繊維シート状物7,8が同じ通気度のものを使用したが、本実施例においては、ベッドB側の繊維シート状物8は実施例1において使用した通気度78cc/cm・secのものとし、ベッドA側の繊維シート状物7は、通気度が164cc/cm・secのものを使用した。
通気度が164cc/cm・secの繊維シート状物7は特許文献1の実施例5と同様にして製作した。すなわち、22ゲージのダブル丸編機により、167dtex/48フィラメントのポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸を用い、ダブルジャージィの生機を作製した後、得られた生機を70℃で精練後、180℃×2分の乾熱ヒートセットを行った。得られたダブルジャージィからなる繊維シート状物7の各種物性値を高通気度編物として、各種物性値と共に前記の表1に併せて示す。
この空気調和装置において、実施例1における場合と同様に空気調和装置本体2の風量設定を種々変更し、繊維シート状物7,8の表面近傍に設置した風量計によってベッドA及びベッドBにおける風量を測定した結果、ベッドAにおける風量とベッドBにおける風量の差は、実施例1の結果よりも更に顕著であった。図9は、ベッドAとベッドBの温度差の測定結果を示すグラフである。この結果から分かるように、ベッドAにおける温度はベッドBにおける温度より有意に低い。
【0041】
以上の実施例1および2を通じて、
(1)風を感じにくくすることができた。
冷風を小さな吹き出し口から直接吹き出す一般的な冷暖房室内機と違い、天井面に張った繊維シート状物(フュージョンの立体構造)を通し冷気をゆっくりジンワリと下ろすことにより、風量を調節することができた。繊維シート状物(フュージョン)を通して下りてくる冷気は、例えば、エアコン自体の風量設定を「しずか」に設定しても、
間欠的に生じる瞬間風速が平均で1〜0.5mm以上程度であるところ(実施例では風速は最大で0.7m/sであった)、実施例ではほとんど風を感じない程度の風速(安定期で約0.2m/s以下程度)にすることができた。この結果は、図10のグラフに示す。この結果から分かるように、壁掛けエアコンでは、風速は最大で0.7m/sと大きく、変動幅も大きく、風を感じるのに対して、本発明のフュージョン利用冷房システムでは、風速は約0.2m/s以下と小さく、風を感じにくい(冷風が直接あたらない)。
(2)高さ方向の温度分布が均一にすることができた。
一般的な冷暖房では天井付近と床付近で温度差があるのに対し、フュージョン冷暖房システムでは温度差がほとんど見られず、足元が冷えすぎるということがない。この結果を、図11のグラフに示す。この結果から分かるように、壁掛けエアコンでは、温度は上部が高く、下部が低く、温度差は2℃であったが、本発明のフュージョン利用冷房システムでは、高さ方向の温度差は殆どない。
(3)吹き出し口ごとに風量を異ならせることができた。
天井面に設置する繊維シート状物の通気特性(密度等)を異ならせることで、複数の吹き出し口の風量を互いに異なる設定にすることが可能であった。
そして、本発明により、夫婦等の寝室において、それぞれのベッドに応じたエアコンの風量や温度を設定し、睡眠時の冷房に関する悩みの1つである「冷風が身体に直接あたる」という不満が解消される効果が期待でき、リビングダイニングなど広い空間のそれぞれの用途(場所)に応じたエアコンの風量や温度の調節が期待できることがわかった。
【0042】
<実施例3>
本発明に係るフュージョン利用冷房システムと、壁掛けエアコンでの冷房について、足の甲の皮膚温変化を調べて比較した。冷房方法は次の通りである。
実測で温度26〜27℃、湿度50〜60%に制御、
壁掛けエアコンのみ、入室から5分後に送風開始(風量:弱)
結果を図12に示す。このグラフから分かるように、壁掛けエアコンの方がフュージョン利用冷房システムよりも足先の冷えが有意に大きい。また、サーモカメラを用いた画像比較によっても、壁掛けエアコンでは冷えが大きいが、フュージョン利用冷房システムでは冷えが小さいことが確認された。
【0043】
<実施例4>
本発明に係るフュージョン利用冷暖房システムを用いて各種の評価実験を行った。図13〜15にその結果を示す。
図13は、暖房時の部屋の上下方向の温度分布を示す。エアコンなどの温風暖房では、暖められた空気は軽くなって上昇し、床付近には冷たく重い空気が漂うが、フュージョン利用暖房では、輻射暖房効果も有するので、床付近の温度の低下は殆どないことが分かる。
図14は、フュージョン利用暖房の暖まり方と部屋の上下温度分布を示し、図15は、暖房時の水平方向の温度分布を示す(図14中、別図の測定位置はグラフの横軸に対応する)。これらの結果から、フュージョン利用暖房では、輻射暖房となるため、温度分布が小さく、床表面温度も下がらないことが分かった。
また実験では、風のない穏やかな暖かさで、乾燥しすぎず、肌がかさかさせず、また埃を舞上げないことも確認された。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】住宅の夫婦寝室のベッド配置図に本発明の第一の実施形態に係る天井側の空気調和装置を重ねて示す概略平面図である。
【図2】空気調和装置の要部となる繊維シート状物の設置部分を示す図1のII−II矢視断面図である。
【図3】第一の実施形態に係る空気調和装置の繊維シート状物の一例を示す概略模式図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る空気調和装置を示すもので、天井裏に設置された空気調和装置本体とその周辺部分を示す平面図である。
【図5】図4のIV−IV矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI矢視断面図である。
【図7】図6のVII部の拡大断面図である。
【図8】図6のVIII部の拡大断面図である。
【図9】実施例2におけるベッドAとベッドBの温度差の測定結果を示すグラフである。
【図10】上記実施例における風速測定結果を示すグラフである。
【図11】上記実施例における高さ方向の平均温度分布を示すグラフである。
【図12】実施例3における皮膚温変化を示すグラフである。
【図13】実施例4における暖房時の上下方向の温度分布を示すグラフである。
【図14】フュージョン利用暖房の暖まり方と部屋の上下温度分布を示すグラフである。
【図15】暖房時の水平方向の温度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0045】
A ベッド
B ベッド
S 天井板
1 空気調和装置
2 空気調和装置本体
3 第一空気吹出口
4 第二空気吹出口
5 第一ダクト
6 第二ダクト
7 第一繊維シート状物
8 第二繊維シート状物
9 表裏の編地
10 連結糸
11 鉄骨梁
11a 貫通孔
12 床パネル
13 薄板軽量鉄骨下地
14 チャンネル材
15 吊り金具
16 吊り金具
17 吸込みグリル
18 ダクト接続部
19 盲板
20,22 高断熱積層チューブ
21,23 断熱片落管
24 高断熱積層チューブ
25 断熱エルボ管
26,30 高断熱積層チューブ
27,29 断熱片落管
28 高断熱積層チューブ
31 断熱エルボ管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置本体に複数のダクトを介して複数の空気吹出口を付設した空気調和装置において、少なくとも一室の天井又は壁等の仕切り面に前記複数の空気吹出口を設け、該複数の空気吹出口の各一に、該空気吹出口から吹き出される気流を分散する繊維シート状物をそれぞれ配設したことを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
各繊維シート状物の室内に臨む表面における気流の風量を、各繊維シート状物の通気特性と各ダクトのダクト抵抗により調整したことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記複数の繊維シート状物が、互いに異なる通気特性を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記繊維シート状物がパネルであり、天井又は壁等の前記仕切り面に着脱可能に取付けられたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記各繊維シート状物の室内に臨む表面における気流の風速又は風量を測定する気流状態測定手段と、該気流状態測定手段により測定された風速又は風量を表示する気流状態表示部を更に具備することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の空気調和装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の空気調和装置を備えた建物であって、
2人以上が就寝する室の天井又は壁等の仕切り面に、2以上の前記空気吹出口を設け、該各空気吹出口の下方にベッドをそれぞれ配置したことを特徴とする建物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−65954(P2010−65954A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234071(P2008−234071)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】