説明

空気調和装置

【課題】低外気温度時に複数の室外熱交換器のうちいくつかの室外交換機を凝縮器として機能させる場合に、冷媒回路での冷媒循環量の不足を防止しつつ、熱交換効率を向上できる空気調和装置を提供する。
【解決手段】CPU110は、抽出した外気温度と第1低圧飽和温度とを比較し、外気温度が第1低圧飽和温度より低い場合は、第1三方弁22および第2三方弁23を切り換えて、第2室外熱交換器25を凝縮器として使用し、第2室外熱交換器25は不使用とする。また、外気温度が第1低圧飽和温度に所定温度を加えた第2低圧飽和温度より高い場合は、第1三方弁22および第2三方弁23を切り換えて、第1室外熱交換器24を凝縮器として使用し、第2室外熱交換器25は不使用とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台の室外機に複数の室内機が並列に冷媒配管で接続された空気調和装置に係わり、より詳細には、低外気温度時の冷房運転中に冷媒循環量の不足を防止しつつ室外熱交換器を効率よく使用する空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1台の室外機に複数の室内機が並列に冷媒配管で接続され、室内機毎に冷房運転と暖房運転とを選択して運転できる、所謂冷暖房フリーの空気調和装置が知られている。この空気調和装置は、例えば、複数の室内機が各々異なる部屋に設置されており、ある室内機では冷房運転を行う一方、他の室内機では暖房運転を行うことができるよう構成されている。
【0003】
この種の空気調和装置は、圧縮機と室外熱交換器と三方弁や四方弁等の流路切換弁と室外膨張弁とを備えた室外機と、室内熱交換器と室内膨張弁とを備えた複数の室内機と、複数の室内機に対応して備えられて室内機内を流れる冷媒の流れ方向を切り替える複数の分流ユニットとが、高圧ガス管や低圧ガス管や液管等の冷媒配管で相互に接続されている。
【0004】
そして、このような空気調和装置では、全ての室内機が冷房運転を行っている場合や、冷房運転を行っている室内機で要求される負荷が暖房運転を行っている室内機で要求される負荷よりも大きい場合は、室外熱交換器を凝縮器として使用する。また、全ての室内機が暖房運転を行っている場合や、暖房運転を行っている室内機で要求される負荷が冷房運転を行っている室内機で要求される負荷よりも大きい場合は、室外熱交換器を蒸発器として使用する。
【0005】
このような空気調和装置が設置されているオフィスビルや商業施設等において、コンピュータサーバーが設置されたサーバールームや発熱量の大きい試験装置が設置された試験室等、熱源となる装置が設置された部屋がある場合、これらの部屋に設置された室内機は季節を問わず冷房運転を行うことで室温を所定の温度に保ち、熱源となる機器が高温による悪影響を受けないようにしている。
【0006】
しかし、冬季において、例えば外気温度が−10℃以下となるような非常に外気温度が低い状態で、室外熱交換器を凝縮器として使用する場合は、室外熱交換器での冷媒と外気との熱交換が必要以上に行われて室内機へ送られる冷媒の圧力が低下する虞があった。そして、冷媒の圧力が低下すると、空気調和装置の冷媒回路での冷媒循環量が低下し、冷房運転を行っている室内機の室内熱交換器での蒸発圧力が低下して冷房能力が低下する虞があった。
【0007】
以上のような問題を解決するため、室外機の室外熱交換器を複数に分割して各々に室外膨張弁を接続し、検出した外気温度や冷媒温度に応じて使用する室外熱交換器の台数を決定する空気調和装置が提案されている(例えば、特許文献1)。この空気調和装置では、非常に外気温度が低い状態で室外熱交換器を凝縮器として使用する場合は、使用する室外熱交換器以外の室外熱交換器に接続された室外膨張弁を全閉することによって、全閉とした室外膨張弁に対応する室外熱交換器を不使用とし、使用する室外熱交換器台数を減らす。これにより、室外熱交換器で冷媒と外気との熱交換が必要以上に行われて室内機へ送られる冷媒の圧力が低下することを防止できるので、冷媒循環量の低下により冷房運転を行っている室内機の室内熱交換器での蒸発圧力が低下して冷房能力が低下することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−3691号公報(第4〜6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
通常、上記特許文献1のような空気調和装置では、使用する室外熱交換器の台数を減らして冷房運転を行う場合、複数の室外熱交換器のうち予め定められた1台〜数台の室外熱交換器を凝縮器として使用する。その際、使用する室外熱交換器としては、できる限り熱交換効率を上げるために、室外機内部に取り込んだ外気の通過量が一番多くなる室外ファン近傍に配置されている室外熱交換器を選択する場合が多い。しかし、上記のように室外熱交換器を選択的に使用する場合は、使用しない室外熱交換器に存在する冷媒が凝縮して液冷媒となり、この液冷媒が使用しない室外熱交換器内で滞留する虞があった。これにより、冷媒回路での冷媒循環量が不足しこれに起因して冷房能力が低下するという問題があった。
【0010】
本発明は以上述べた問題点を解決するものであって、低外気温度時に一の室外機に搭載された複数の室外熱交換器のうちいくつかの室外交換機を凝縮器として機能させる場合に、冷媒回路での冷媒循環量の不足を防止しつつ、熱交換効率を向上できる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和装置は、圧縮機と複数の室外熱交換器と複数の室外熱交換器の各々の一端に接続されて圧縮機の冷媒吐出口あるいは冷媒吸入口への接続を切り換える流路切換手段と複数の室外熱交換器の各々の他端に接続された開閉手段と室外ファンと外気温度を検出する外気温度検出手段とを備えた室外機と、室内熱交換器と室内熱交換器に流入あるいは流出する冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段とを備えた複数の室内機と、室外機および室内機を制御する制御手段とを備えたものであって、室外ファンは室外機の筺体上部に配置され、室外機の筺体には室外ファンの回転により筺体内部に外気を取り込むための吸込口を備えている。また、複数の室外熱交換器は、吸込口に対向して上下に配置されている。制御手段は、外気温度検出手段で検出した外気温度を取り込むとともに、蒸発器として使用されている室内熱交換器に対応した冷媒温度検出手段で検出した冷媒温度を第1低圧飽和温度として取り込む。そして、制御手段は、室外熱交換器を凝縮器として機能させ、複数の室外熱交換器のうちいくつかの室外熱交換器を選択的に使用する際に、外気温度が第1低圧飽和温度よりも低い場合は、下方に配置された室外熱交換器を選択して使用し、外気温度が第1低圧飽和温度よりも高い場合は、上方に配置された室外熱交換器を選択して使用するものである。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成した本発明の空気調和装置によれば、室外熱交換器を凝縮器として機能させる場合であって、複数の室外熱交換器のうちいくつかの室外熱交換器を選択的に使用する場合は、取り込んだ外気温度と第1低圧飽和温度との関係に応じて使用する室外熱交換器を選択する。これにより、不使用となっている室外熱交換器内での液冷媒の滞留を防止して使用している室外熱交換器を含めた冷媒回路における冷媒循環量の低下を防止しつつ、室外ファンに近い室外熱交換器をできる限り使用することで室外熱交換器での熱交換効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例である空気調和装置の冷媒回路図であり、冷房主体運転を行う場合の冷媒の流れを説明する冷媒回路図である。
【図2】本発明の実施例である空気調和装置における、室外機概略図である。
【図3】本発明の実施例である空気調和装置における、第2室外熱交換器を凝縮器として使用する場合の冷媒回路図である。
【図4】本発明の実施例である空気調和装置における、第1室外熱交換器を凝縮器として使用する場合の冷媒回路図である。
【図5】図2の室外機を前面から見た概略図であり、第2室外熱交換器を凝縮器として使用する場合の効果を説明する図である。
【図6】本発明の実施例である空気調和装置における、室外熱交換器の切り換え制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。実施例としては、2台の室外熱交換器を備えた1台の室外機に5台の室内機が並列に接続され、室内機毎に冷房運転と暖房運転とを選択して運転できる、所謂冷暖房フリーの運転が行える空気調和装置を例に挙げて説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【実施例】
【0015】
図1に示すように、本実施例における空気調和装置1は、1台の室外機2と、5台の室内機8a〜8eと、5台の分流ユニット6a〜6eと、第1冷媒配管である高圧ガス管30と、低圧ガス管31と、第2冷媒配管である液管32と、制御部100とを備えている。室外機2と室内機8a〜8eと分流ユニット6a〜6eとが、高圧ガス管30と低圧ガス管31と液管32とで相互に接続されることによって、空気調和装置1の冷媒回路が構成される。
【0016】
この空気調和装置1では、室外機2や分流ユニット6a〜6eに備えられた各種弁類の開閉状態に応じて、様々な運転動作が可能である。以下の説明では、これら運転動作の中から、室内機8a〜8cが冷房運転、室内機8dおよび8eが暖房運転をそれぞれ行い、冷房運転を行っている室内機8a〜8cで要求される負荷が、暖房運転を行っている室内機8d、8eで要求される負荷よりも大きい状態である冷房主体運転を行う場合を例に挙げて説明する。
【0017】
図1は、上記冷房主体運転を行う場合の冷媒回路図であり、図2は本実施例の室外機の説明図である。図1および図2に示すように、室外機2は、主として、板金を箱型に形成し内部に制御基板や電源基板等の基板類を格納する電装品箱10と、圧縮機21と、流路切換手段である第1三方弁22および第2三方弁23と、第1室外熱交換器24と、第2室外熱交換器25と、室外ファン26と、室外ファン26に出力軸が接続されて室外ファン26を回転させるファンモータ27と、アキュムレータ29と、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に各々接続された冷媒配管を開閉する開閉手段である第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41と、閉鎖弁42〜44とを備えている。これら室外機2を構成する機器は、天板3と、底板4と、前面パネル5と、前面側支柱7と、左側支柱9aと、右側支柱9bと、ファンガード11とからなる室外機2の筺体内部に備えられている。
【0018】
図2(A)および(B)に示すように、前面パネル5は、室外機2の前面から左側面に上面から見て略L字形状に折り曲げて形成された鋼板であり、室外機2の筺体前面の大半と左側面の前面側の一部を覆うように配置されている。前面側支柱7は、図2(B)に示すように、室外機2内に外気を取り込むためのグリル7aを備えた鋼板で形成され、両端部を所定の角度(鈍角)で折り曲げ、各々の折り曲げ部が室外機2の筺体前面の一部と右側面の前面側の一部を覆うように配置されている。左側支柱9aおよび右側支柱9bは略同形状であり、断面略L字形状に加工された鋼板である。左側支柱9aは底板4の背面側左角部に配置され、右側支柱9bは底板4の背面側右角部に配置されている。
【0019】
図2(B)に示すように、室外機2の筺体左側面側は、前面パネル5の側端と左側支柱9aとの間が開口されて外気を室外機2内部に取り入れるための吸込口13aとなっており、吸込口13aには保護部材12aが設けられている。また、室外機2の筺体背面側は、左側支柱9aと右側支柱9bの間が開口されて外気を室外機2内部に取り入れるための吸込口13bとなっており、吸込口13bには保護部材12bが設けられている。また、室外機2の筺体右側面側は、前面側支柱7と右側支柱9bの間が開口されて外気を室外機2内部に取り入れるための吸込口13cとなっており、吸込口13cには保護部材12cが設けられている。尚、各吸込口13a〜13cには、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25の各吸込口に対応する部分が露出している。
【0020】
天板3は、略四角形状の鋼板であり、その周縁部は下方に略直角に折り曲げられたフランジとなっている。天板3は、前面パネル5、前面側支柱7、左側支柱9aおよび右側支柱9bの各上端とネジ止めによって組み付けられる。天板3には、筺体上部に配置された室外ファン26と対応する位置に、円状に開口されその周縁部が上方に略直角に折り曲げられて形成されて、室外ファン26により室外機2内に吸い込まれた外気を外部へ排出する吹出口11となっている。吹出口11の上端には、吹出口11の上端を覆うようにファンガード14が設けられている。尚、ファンモータ27は、固定金具28により第1熱交換器24の上端に固定されている。
【0021】
底板4は、略四角形状の鋼板であり、その周縁部は上方に略直角に折り曲げられたフランジとなっている。底板4は、前面パネル5、前面側支柱7、左側支柱9aおよび右側支柱9bの各下端とネジ止めによって組み付けられる。尚、底板4の下面には、室外機2の左右方向に延び室外機2を地面や屋上フロア等に設置するための脚部15が前後に各々設けられている。
【0022】
圧縮機21は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転容量を可変できる能力可変型圧縮機であり、底板4に固定されている。また、図1に示すように、圧縮機21の吐出側は、室外機高圧ガス管30aで閉鎖弁42に接続されており、室外機高圧ガス管30aから接続点Pで分岐した配管が第1三方弁22および第2三方弁23に接続されている。圧縮機21の吸入側は、アキュムレータ29の流出側に冷媒配管で接続されている。また、アキュムレータ29の流入側は、室外機低圧ガス管31aで閉鎖弁44に接続されている。尚、アキュムレータ29は、流入した冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離し、ガス冷媒のみを圧縮機21に吸入させる。
【0023】
第1三方弁22および第2三方弁23は、冷媒の流れる方向を切り替えるための弁であり、第1三方弁22はa〜cの3つのポートを、第2三方弁23はd〜fの3つのポートをそれぞれ備えている。第1三方弁22では、ポートaに接続された冷媒配管と圧縮機21の吐出側に接続された冷媒配管とが接続点Pで接続されている。また、ポートbと第1室外熱交換器24とが冷媒配管で接続され、ポートcに接続された冷媒配管が接続点Sで室外機低圧ガス管31aに接続されている。
【0024】
第2三方弁23では、ポートdに接続された冷媒配管が接続点Pに接続されている。またポートeと第2室外熱交換器25とが冷媒配管で接続され、ポートfに接続された冷媒配管が第1三方弁22のポートcと接続点Sとを接続する冷媒配管に接続点R接続されている。
【0025】
図2(B)に示すように、第1室外熱交換器24と第2室外熱交換器25とは、各々上面からみて略コ字状に形成されており、各面が室外機2に備えられた吸込口13a〜13cに対向して配置されている。また、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25の右側端部は前面側支柱7のグリル7aが備えられている面に沿うように折り曲げられている。第2室外熱交換器25は底板4に固定されており、第2室外熱交換器25の上端に、固定金具16を介して第1室外熱交換器24の下端が固定されることによって、第1室外熱交換器24と第2室外熱交換器25とが上下に配置されている。
【0026】
第1室外熱交換器24は、アルミ材で形成された多数のフィン24aと銅材で形成され内部に冷媒を流通させる複数の銅管24bとから構成されている。銅管24bの一端は冷媒配管を介して第1三方弁22のポートbに、銅管24bの他端は冷媒配管を介して第1室外膨張弁40の一端に、それぞれ接続されている。尚、第1室外膨張弁40の他端は、閉鎖弁43と室外機液管32aで接続されている。
【0027】
第2室外熱交換器25は、アルミ材で形成された多数のフィン25aと銅材で形成され内部に冷媒を流通させる複数の銅管25bとから構成されている。銅管25bの一端は冷媒配管を介して第2三方弁23のポートeに、銅管25bの他端は冷媒配管を介して第2室外膨張弁41の一端に、それぞれ接続されている。尚、第2室外膨張弁41の他端は、接続点Qで室外機液管32aと冷媒配管で接続されている。
【0028】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1に示すように、室外機高圧ガス管30aにおける圧縮機21の吐出側と接続点Pとの間には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する高圧センサ50と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出する吐出温度センサ53とが設けられている。室外機低圧ガス管31aにおける圧縮機21の吸入側と接続点Sとの間には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する低圧センサ51と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ54とが設けられている。室外機液管32aにおける接続点Qと閉鎖弁43との間には、室外機液管32aを流れる冷媒の圧力を検出する中間圧センサ52と、室外機液管32aを流れる冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ55とが設けられている。
【0029】
第1三方弁22のポートbと第1室外熱交換器24とを接続する配管には、第1室外熱交換器24から流出あるいは第1室外熱交換器24へ流入する冷媒の温度を検出する第1熱交温度センサ57が設けられている。第2三方弁23のポートeと第2室外熱交換器25とを接続する配管には、第2室外熱交換器25から流出あるいは第2室外熱交換器25へ流入する冷媒の温度を検出する第2熱交温度センサ58が設けられている。圧縮機21の密閉容器の外表面には、圧縮機21の温度を検出する圧縮機温度センサ56が備えられている。室外機2の吸込口13付近には、室外機2内に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度検出手段である外気温度センサ59が備えられている。
【0030】
また、室外機2には、制御部100が備えられている。制御部100は、電装品箱10に格納されている図示しない制御基板に搭載されており、CPU110と、記憶部120と、通信部130とを備えている。CPU110は、室外機2の上述した各センサからの検出信号を取り込むとともに、各室内機8a〜8eから出力される制御信号を通信部130を介して取り込む。CPU110は、取り込んだ検出信号や制御信号に基づいて圧縮機21、第1三方弁22および第2三方弁23の切り換え、ファンモータ27の回転、第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41の開度調整、といった様々な制御を行う。
【0031】
記憶部120は、ROMやRAMで構成されており、室外機2の制御プログラムや各センサからの検出信号に対応した検出値を記憶する。通信部130は、室外機2と室内機8a〜8eとの通信を行うインターフェイスである。
尚、制御部100が格納される電装品箱10は、図2に示すように、室外機2の筺体前面側の上部(第1室外熱交換器24と略同じ高さ)に設置されている。
【0032】
図1は、上述したように空気調和装置1が冷房主体運転を行う場合の冷媒回路図であり、この場合室外機2のCPU110は、第1三方弁22のポートaとポートbとを連通するよう、また、第2三方弁23のポートdとポートeとを連通するよう切り替えて、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25を凝縮器として機能させる。
【0033】
この時、第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41は、運転状態によって開度がCPU110によって制御され、例えば、冷房運転の際はCPU110によって各々の開度が全開状態とされ、暖房運転の際はCPU110によって高圧センサ50で検出した圧縮機21の吐出圧力と中間圧センサ52で検出した液圧との差に応じて調整される。
尚、図1では、第1三方弁22および第2三方弁23の連通しているポート間は実線で示し、連通していないポート間は破線で示している。
【0034】
5台の室内機8a〜8eは、室内熱交換器81a〜81eと、室内膨張弁82a〜82eと、室内ファン83a〜83eとを備えている。尚、室内機8a〜8eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、室内機8aの構成についてのみ説明を行い、その他の室内機8b〜8eについては説明を省略する。
【0035】
室内熱交換器81aは、一端が室内膨張弁82aを介して液管32に、他端が後述する分流ユニット6aに、それぞれ接続されている。室内熱交換器81aは、室内機8aが冷房運転を行う場合は蒸発器として機能し、室内機8aが暖房運転を行う場合は凝縮器として機能する。
【0036】
室内膨張弁82aは、一端が室内熱交換器81aに接続され、他端が液管32に接続されている。室内膨張弁82aは、室内熱交換器81aが蒸発器として機能する場合は、その開度が要求される冷房能力に応じて調整され、室内熱交換器81aが凝縮器として機能する場合は、その開度が要求される暖房能力に応じて調整される。
【0037】
室内ファン83aは、図示しないファンモータによって回転することで、室内機8a内に室内空気を取り込み、室内熱交換器81aにおいて冷媒と室内空気とを熱交換させた後、熱交換した空気を室内へ供給する。
【0038】
以上説明した構成の他に、室内機8aには各種のセンサが設けられている。室内熱交換器81aの室内膨張弁82a側の配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段である冷媒温度センサ84aが、また、室内熱交換器81aの分流ユニット6a側の配管には冷媒の温度を検出する冷媒温度センサ85aが、それぞれ備えられている。また、室内機8aの図示しない室内空気の吸込口付近には、室内機2内に流入する室内空気の温度、すなわち室内温度を検出する室温センサ86aが備えられている。
【0039】
空気調和装置1には、5台の室内機8a〜8eに対応する5台の分流ユニット6a〜6eが備えられている。分流ユニット6a〜6eは、第1電磁弁61a〜61eと、第2電磁弁62a〜62eと、第1分流管63a〜63eと、第2分流管64a〜64eとを備えている。尚、分流ユニット6a〜6eの構成は全て同じであるため、以下の説明では、分流ユニット6aの構成についてのみ説明を行い、その他の分流ユニット6b〜6eについては説明を省略する。
【0040】
第1分流管63aの一端は高圧ガス管30に接続されており、第2分流管64aの一端は低圧ガス管31に接続されている。また、第1分流管63aの他端と第2分流管64aの他端とが相互に接続され、この接続部と室内熱交換器81aとが冷媒配管で接続されている。第1分流管63aには第1電磁弁61aが、また、第2分流管64aには第2電磁弁62aが、それぞれ設けられており、第1電磁弁61aおよび第2電磁弁62aをそれぞれ開閉することによって、分流ユニット6aに対応する室内機8aの室内熱交換器81aが圧縮機21の吐出側(高圧ガス管30側)または吸入側(低圧ガス管31側)に接続されるよう、冷媒回路における冷媒の流路を切り替えることができる。
【0041】
以上説明した室外機2、室内機8a〜8eおよび分流ユニット6a〜6eと、高圧ガス管30、低圧ガス管31および液管32との接続状態を図1を用いて説明する。室外機2の閉鎖弁42には高圧ガス管30の一端が接続され、高圧ガス管30の他端は分岐して分流ユニット6a〜6eの第1分流管63a〜63eに接続される。室外機2の閉鎖弁44には低圧ガス管31の一端が接続され、低圧ガス管31の他端は分岐して分流ユニット6a〜6eの第2分流管64a〜64eに接続される。
【0042】
室外機2の閉鎖弁43には液管32の一端が接続され、液管32の他端は分岐して、一端が室内機8a〜8eの室内膨張弁82a〜82eに接続される。また、対応する室内機8a〜8eの室内熱交換器81a〜81e側と分流ユニット6a〜6eとが各々接続される。
以上説明した接続によって、空気調和装置1の冷媒回路が構成され、冷媒回路に冷媒を流すことによって冷凍サイクルが成立する。
【0043】
尚、図示は省略するが、各室内機8a〜8eには制御部が備えられている。室内機8a〜8eの制御部は、室内機8a〜8eの各センサからの検出信号を取り込むとともに、図示しない空気調和装置1のリモートコントローラからの制御信号を取り込む。室内機8a〜8eの制御部は、取り込んだ検出信号や制御信号に基づいて室内機8a〜8eの制御を行う。また、室内機8a〜8eの制御部は、室内機8a〜8eの運転モード(冷房運転/暖房運転)に応じて、対応する分流ユニット6a〜6eの第1電磁弁61a〜61eおよび第2電磁弁62a〜62eをそれぞれ開閉する。
以上説明した制御部100と室内機8a〜8eに備えられた各制御部とで、空気調和装置1の制御手段が構成されている。
【0044】
次に、本実施例における空気調和装置1の運転動作について、図1を用いて説明する。尚、図1では、室外機2や室内機8a〜8eに備えられた各熱交換器が凝縮器となる場合はハッチングを付し、蒸発器となる場合は白抜きで図示する。また、分流ユニット6a〜6eにおける第1電磁弁61a〜61eおよび第2電磁弁62a〜62eの開閉状態については、閉じている場合を黒塗りで、開いている場合を白抜きで図示する。また、矢印は冷媒の流れを示している。
【0045】
図1に示すように、空気調和装置1が冷房主体運転を行う際、室外機2では上述したように、制御部100のCPU110は、第1三方弁22のポートaとポートbとを連通するよう、また、第2三方弁23のポートdとポートeとを連通するよう切り替えて、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25を凝縮器として使用する。
【0046】
各室内機8a〜8eのうち、冷房運転を行う室内機8a〜8cでは、各々の制御部は対応する分流ユニット6a〜6cの第1電磁弁61a〜61cを閉じて第1分流管63a〜63cを遮断するとともに、第2電磁弁62a〜62cを開いて第2分流管64a〜64cを連通させる状態とする。これにより、室内機8a〜8cの室内熱交換器81a〜81cは全て蒸発器となる。一方、暖房運転を行う室内機8d、8eでは、各々の制御部は対応する分流ユニット6d、6eの第1電磁弁61d、61eを開いて第1分流管63d、63eを連通させるとともに、第2電磁弁62d、62eを閉じて第2分流管64d、64eを遮断する。これにより、室内機8d、8eの室内熱交換器81d、81eは全て凝縮器となる。
【0047】
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、接続点Pで第1三方弁22および第2三方弁23側と室外機高圧ガス管30a側へ分流する。第1三方弁22および第2三方弁23を通過した高圧の冷媒は、第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25に流入し外気と熱交換を行って凝縮する。第1室外熱交換器24および第2室外熱交換器25で凝縮した冷媒は、CPU110により、高圧センサ50から取り込んだ圧縮機21の吐出圧力と、中間圧センサ52から取り込んだ液圧との差に応じた開度とされた第1室外膨張弁40および第2室外膨張弁41を各々通過して中間圧の冷媒となり、接続点Qで合流して室外機液管32aに流入する。そして、閉鎖弁43を介して液管32を流れて室内機8a〜8cへ分かれて流入する。
【0048】
室内機8a〜8cへ流入した中間圧の冷媒は、室内膨張弁82a〜82cで減圧され低圧の冷媒となって室内熱交換器81a〜81cに流入する。室内熱交換器81a〜81cに流入した低圧の冷媒は、室内空気と熱交換を行って蒸発し、これにより室内機8a〜8cが設置された室内の冷房が行われる。ここで、室内膨張弁82a〜82cは、室内機8a〜8cの制御部が、冷媒温度センサ84a〜84cから取り込んだ冷媒温度および冷媒温度センサ85a〜85cから取り込んだ冷媒温度から、蒸発器である室内熱交換器81a〜81cでの冷媒過熱度を求め、これに応じて開度が決定されている。
【0049】
具体的には、室内機8a〜8cで要求された冷房能力の大きさに対して冷媒流量が少なく、これに伴って室内熱交換器81a〜81c出口における冷媒の過熱度が大きくなるような場合では、室内機8a〜8cの制御部は、室内膨張弁82a〜82cの開度を大きくして冷媒の流量を増加させる。また、室内機8a〜8cで要求された冷房能力の大きさに対して冷媒流量が多く、これに伴って室内熱交換器81a〜81c出口における冷媒の過熱度が小さくなるような場合では、室内機8a〜8cの制御部は、室内膨張弁82a〜82cの開度を小さくして冷媒の流量を減少させる。
【0050】
室内熱交換器81a〜81cから流出した低圧の冷媒は分流ユニット6a〜6cに流入し、開となっている第2電磁弁62a〜62cが備えられた第2分流管64a〜64cを流れて低圧ガス管31に流入する。そして、各分流ユニット6a〜6cから低圧ガス管31に流入した低圧の冷媒は、低圧ガス管31内で合流後室外機2に流入し、アキュムレータ29を介して圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0051】
一方、接続点Pから室外機高圧ガス管30aおよび閉鎖弁42を介して高圧ガス管30に流入した高圧の冷媒は、分流ユニット6d、6eに流入し開となっている第1電磁弁61d、61eが備えられた第1分流管63d、63eを流れて室内機8d、8eに流入する。室内機8d、8eに流入した高圧の冷媒は、室内熱交換器81d、81eに流入して室内空気と熱交換を行って凝縮し、これにより室内機8d、8eが設置された室内の暖房が行われる。室内熱交換器81d、81eから流出した高圧の冷媒は、室内膨張弁82d、82eを通過して減圧され中間圧の冷媒となる。
【0052】
ここで、室内膨張弁82d、82eは、室内機8d、8eの制御部が、冷媒温度センサ84d、84eから取り込んだ冷媒温度および室外機2から得た高圧飽和温度(例えば、高圧センサ50で検出した圧力から算出)から、凝縮器である室内熱交換器81d、81eでの冷媒過冷却度を求め、これに応じて開度が決定されている。
【0053】
具体的には、室内機8d、8eで要求された暖房能力の大きさに対して冷媒流量が少なく、室内熱交換器81d、81e出口における冷媒の過冷却度が大きくなるような場合では、室内機8d、8eの制御部は、室内膨張弁82d、82eの開度を大きくして冷媒の流量を増加させる。また、室内機8d、8eで要求された暖房能力の大きさに対して冷媒流量が多く、これに伴って室内熱交換器81d、81e出口における冷媒の過冷却度が小さくなるような場合では、室内機8d、8eの制御部は、室内膨張弁82d、82eの開度を小さくして冷媒の流量を減少させる。
【0054】
そして、室内機8d、8eから各々流出した中間圧の冷媒は、液管32に流入して合流し、冷房運転を行っている室内機8a〜8cに流入する。
【0055】
次に、図3乃至図5を用いて、本実施例の空気調和装置1における室外機2で、室外熱交換器を凝縮器として機能させる場合であって、使用する室外熱交換器が1台である場合の、室外熱交換器の選択方法およびその効果について説明する。以下の説明では、空気調和装置1が行っている冷房主体運転の状態として、図3に示すように、2台の室内機8a、8bが冷房運転、1台の室内機8cが暖房運転、その他の室内機8d、8eは運転停止、となっており、冷房運転を行っている2台の室内機8a、8bで要求される運転能力が暖房運転を行っている室内機8cで要求される運転能力よりも高い場合を例に挙げて説明する。
【0056】
尚、図3において、室外機2、室内機8a〜8e、および分流ユニット6a〜6eの構成や、各室内機8a〜8cやこれに対応する分流ユニット6a〜6cおよび室外機2での冷媒の流れについては、図1で説明した内容と同じであるため、説明は省略する。また、全閉とされる膨張弁は黒塗りで図示する。
【0057】
2台の室内機8a、8bは、例えばサーバールームに設置されており、使用者(サーバールームの管理者)によって、季節を問わず冷房運転を行うように設定されている。従って、室内機8a、8bに対応する分流ユニット6a、6bでは、第1電磁弁61a、61bが閉とされ第2電磁弁62a、62bが開とされることで、室内熱交換器81a、81bは蒸発器として使用される。
【0058】
3台の室内機8c〜8eは、事務所や会議室等に設置されており、使用者によって、冷房/暖房運転の切り換えや運転開始/停止が指示される。暖房運転を行っている室内機8cに対応する分流ユニット6cでは、第1電磁弁61cが開とされ第2電磁弁62cが閉とされることで、室内熱交換器81cは凝縮器として使用される。また、停止している室内機8d、8eでは、室内膨張弁82d、82eが全閉とされる。
【0059】
制御部100のCPU110は、外気温度センサ59で検出した外気温度を定期的に取り込んで記憶部120に記憶している。また、CPU110は、室内機8a、8bに備えられた冷媒温度センサ84a、84bで検出した、蒸発器として使用している室内熱交換器81a、81bに流入する冷媒の温度(以下、流入冷媒温度と記載)を、通信部130を介して定期的に取り込んで記憶部120に記憶している。
【0060】
また、CPU110は、冷房運転を行っている2台の室内機8a、8bから要求される運転能力が暖房運転を行っている室内機8cから要求される運転能力より大きく、かつ、外気温度が低くて2台の室外熱交換器を使用すると凝縮能力が過剰となる場合、第1室外熱交換器24あるいは第2室外熱交換器25のどちらか一方を凝縮器として使用し、他方は不使用とするよう、制御を行う。
【0061】
この時、CPU110は、記憶部120にアクセスして記憶している外気温度のうち直近の外気温度を抽出するとともに、記憶している室内熱交換器81a、81bの流入冷媒温度のうち直近の温度でかつ低いほうの流入冷媒温度を抽出しこれを第1低圧飽和温度とする。そして、CPU110は、抽出した外気温度と第1低圧飽和温度とを比較し、外気温度が第1低圧飽和温度より低い場合は、図3に示すように、第2室外熱交換器25を凝縮器として使用するとともに、第1室外熱交換器24を不使用とするよう、室外機2を制御する。
【0062】
具体的には、CPU110は、第1三方弁22のポートbとポートcとを連通するよう切り換えるとともに、第1室外膨張弁40を全閉とする。これにより、第1室外熱交換器24には、圧縮機21から吐出された冷媒は流入せず、不使用状態となる。
【0063】
また、CPU110は、第2三方弁23のポートdとポートeとを連通するよう切り換えるとともに、第2室外膨張弁41を所定の開度で開く。これにより、第2室外熱交換器25は凝縮器として使用され、圧縮機21から吐出された高温高圧の冷媒が第2室外熱交換器25に流入して外気と熱交換を行う。
【0064】
例えば、寒冷地や冬季の朝晩等、外気温度が非常に低く第1低圧飽和温度よりも低くなっている場合に、例えば図3に示すような冷媒回路で冷房主体運転を行っているときは、不使用となっている第1室外熱交換器24に存在する冷媒が凝縮して液冷媒となり、第1室外熱交換器24内に滞留する虞がある。これにより、使用している第2室外熱交換器25を含めた冷媒回路での冷媒循環量が不足して冷房能力が低下する虞がある。
【0065】
しかし、本実施例の室外機2では、上述したように、下方に配置された第2室外熱交換器25を凝縮器として使用する。室外機2内部では、室外ファン26が回転することによって、吸込口13a〜13cから吸入された外気が第2室外熱交換器25で冷媒と熱交換を行って暖められ、吹出口11から外部へ排出される。この時、図5の矢印Bに示すように、第2室外熱交換器25で発生した熱は第1室外熱交換器24へ対流する。
【0066】
第2室外熱交換器25で発生した熱は第1室外熱交換器24へ対流し、第1室外熱交換器24内部に滞留している液冷媒と熱交換を行い、滞留している液冷媒は蒸発してガス冷媒となって圧縮機21に吸入される。これにより、第1室外熱交換器24内で液冷媒が滞留することを防止できるので、第1室外熱交換器24での冷媒の滞留量を減少することができ、使用している第2室外熱交換器25を含む空気調和装置1の冷媒回路での冷媒循環量の不足を防ぐことができる。
【0067】
一方、CPU110は、外気温度が、第1低圧飽和温度より所定温度、例えば5℃高い温度である第2低圧飽和温度より高い場合は、図4に示すように、第1室外熱交換器24を凝縮器として使用するとともに、第2室外熱交換器25を不使用とするよう、室外機2を制御する。
【0068】
具体的には、CPU110は、第1三方弁22のポートaとポートbとを連通するよう切り換えるとともに、第1室外膨張弁40を所定の開度で開く。これにより、第1室外熱交換器24は凝縮器として使用され、圧縮機21から吐出された高温高圧の冷媒が第1室外熱交換器24に流入して外気と熱交換を行う。
【0069】
また、CPU110は、第2三方弁23のポートeとポートfとを連通するよう切り換えるとともに、第2室外膨張弁を全閉とする。これにより、第2室外熱交換器25には、圧縮機21から吐出された冷媒は流入せず、不使用状態となる。
【0070】
外気温度が第2低圧飽和温度より高い場合は、不使用となっている室外熱交換器に存在する冷媒が凝縮して液冷媒となり、不使用となっている室外熱交換器内に冷媒が滞留して冷媒回路での冷媒循環量が不足する可能性が低い。このような場合は、図2(A)および図5に示すように、室外ファン26に近い位置であって、室外ファン26の回転によって吸込口13a〜13cから室外機2内部に吸入された外気が、第2室外熱交換器25に比べてより多く流れる場所に設置されている第1室外熱交換器24を凝縮器として使用すれば、第2室外熱交換器25を凝縮器として使用する場合よりも第1室外熱交換器24を流れる冷媒と外気との熱交換が効率よく行われるので、空気調和装置1で行っている冷房主体運転の効率が向上する。
【0071】
尚、第1室外熱交換器24と第2室外熱交換器25の切り換えに際し、外気温度と比較する低圧飽和温度を第1低圧飽和温度および第2低圧飽和温度として区別しているのは、以下の理由による。外気温度と低圧飽和温度との差が小さい場合は、低圧飽和温度より外気温度が高い状態と低い状態とが頻繁に入れ替わる可能性がある。このような状況下で、第1室外熱交換器24と第2室外熱交換器25との切り換えを同じ低圧飽和温度値に対して外気温度が高いか否かに応じて行うと、第1室外熱交換器24と第2室外熱交換器25との切り換えが頻繁に起こる可能性がある。そこで、本実施例のように、第1室外熱交換器24から第2室外熱交換器25に切り換える際に外気温度と比較する第1低圧飽和温度と、第2室外熱交換器25から第1室外熱交換器24に切り換える際に外気温度と比較する第2低圧飽和温度とを、異なる低圧飽和温度とすることで、第1室外熱交換器24と第2室外熱交換器25との切り換えが頻繁に起こることを防止できる。
【0072】
以上説明した実施例では、室外機2に室外熱交換器が2台備えられている場合を例に挙げて説明したが、3台以上室外熱交換器を備えていてもよい。例えば、室外熱交換器が3台並列に冷媒配管接続されており、室外ファン26の下方に3台の室外熱交換器が上下方向に積み重ねて設置されている場合は、外気温度が第1低圧飽和温度より低い場合は、要求される運転能力に応じて下段のみ、あるいは、下段と中段の室外熱交換器を凝縮器として使用すればよい。また、外気温度が第2低圧飽和温度より高い場合は、要求される運転能力に応じて上段のみ、あるいは、上段と中段の室外熱交換器を凝縮器として使用すればよい。
【0073】
また、室外熱交換器を4台備えており、室外熱交換器が2台ずつ、図2(A)および図5に示すように上下に積み重ねられた状態で、室外機2の左右あるいは前後方向に2列に設置されている場合においては、外気温度が第1低圧飽和温度より低い場合は、要求される運転能力に応じて各々の列の下方の室外熱交換器のうちいずれか一方、あるいは、両方を凝縮器として使用すればよい。また、外気温度が第2低圧飽和温度より高い場合は、要求される運転能力に応じて各々の列の上方の室外熱交換器のうちいずれか一方、あるいは、両方を凝縮器として使用すればよい。
【0074】
また、複数の室外熱交換器に代えて、複数のフィンと各々独立した複数の冷媒流路とを備えた室外熱交換器を室外機2に備えてもよい。例えば、図1乃至図5における第1室外熱交換器24と第2室外熱交換器25とに代えて、フィンが共通で銅管24bと銅管25bとからなる独立した2つの冷媒流路を備えた室外熱交換器では、いずれか一方の銅管のみに冷媒を流せばよい場合においては、外気温度が第1低圧飽和温度より低い場合は、下方の銅管を使用すればよい。また、外気温度が第2低圧飽和温度より高い場合は、上方の銅管を使用すればよい。
【0075】
次に、図6に示すフローチャートを用いて、本実施例における空気調和装置1での処理の流れについて説明する。図6に示すフローチャートは、空気調和装置1が冷房主体運転を行っている場合の、CPU110での室外熱交換器の切り換えに関する処理の流れを示すものであり、STはステップを表しこれに続く数字はステップの番号を表している。尚、図6では本発明に関わる処理を中心に説明しており、使用者の指示した設定温度や風量等の運転条件に対応した圧縮機21の回転数制御や各種弁の切り換え/開度制御等といった、一般的な冷媒回路の処理については説明を省略する。
【0076】
使用者による運転指示を受け空気調和装置1が運転を開始し、図3を用いて説明した冷房主体運転を行っている。CPU110は、高圧センサ50で検出した圧力を取り込みこの圧力から高圧飽和温度を算出するとともに、低圧センサ51で検出した圧力を取り込みこの圧力から低圧飽和温度を算出する。本実施例に係る空気調和装置1では、制御目標となる高圧飽和温度の範囲と制御目標となる低圧飽和温度の範囲とが、予め空気調和装置1の構成(室外熱交換器の搭載台数や室外機に接続される室内機の台数)に応じて個別に設定されて記憶部120に記憶されている。室外熱交換器を凝縮器として機能させている際に、高圧飽和温度および低圧飽和温度が共に目標範囲以下である場合は、高圧飽和温度および低圧飽和温度を共に目標範囲まで上昇させるために、使用する室外熱交換器の台数を減少して凝縮能力を減少させる。一方、高圧飽和温度および低圧飽和温度が共に目標範囲以上である場合は、高圧飽和温度および低圧飽和温度を共に目標範囲まで下降させるために、使用する室外熱交換器の台数を増加して凝縮能力を増加させる。
【0077】
CPU110は、高圧飽和温度および低圧飽和温度が共に目標範囲以下であるか否かを判断する(ST1)。高圧飽和温度および低圧飽和温度が共に目標範囲以下でない場合は(ST1−No)、CPU110は、現在使用している室外熱交換器が1台であるか否かを判断する(ST20)。現在使用している室外熱交換器が1台でない、つまり、2台使用していれば(ST20−No)、CPU110は、ST1処理を戻す。
【0078】
現在使用している室外熱交換器が1台であれば(ST20−Yes)、CPU110は、圧縮機21を停止し(ST21)、不使用となっている室外熱交換器に対応する三方弁を、圧縮機21と当該室外熱交換器とが連通するよう切り換える(ST22)。そして、CPU110は、圧縮機21を起動し(ST23)、第1室外膨張弁および第2室外膨張弁を所定の開度となるよう制御し冷房主体運転を行う。終えたCPU110は、ST1に処理を戻す。
【0079】
ST1において、高圧飽和温度および低圧飽和温度が共に目標範囲以下である場合は(ST1−Yes)、CPU110は、記憶部120にアクセスし直近の外気温度および直近の流入冷媒温度のうち低いほうの流入冷媒温度を抽出し(ST2)、抽出した流入冷媒温度を第1低圧飽和温度とする。
【0080】
次に、CPU110は、抽出した外気温度が第1低圧飽和温度より低いか否かを判断する(ST3)。外気温度が第1低圧飽和温度より低い場合は(ST3−Yes)、CPU110は、現在使用している室外熱交換器が2台であるか否かを判断する(ST4)。
【0081】
現在使用している室外熱交換器が2台である場合は(ST4−Yes)、CPU110は、圧縮機21を停止し(ST5)、第1三方弁22を切り換えて圧縮機21の吐出口と第1室外熱交換器24との連通を遮断するとともに、第1室外膨張弁40を全閉とする(ST6)。そして、CPU110は、圧縮機21を起動し(ST7)、第2室外膨張弁41を所定の開度となるよう制御し冷房主体運転を行う。ST7の処理を終えたCPU110は、ST1に処理を戻す。
【0082】
ST4において、現在使用している室外熱交換器が2台でない、つまり、いずれか一方の室外熱交換器を使用している場合は(ST4−No)、CPU110は、使用している室外熱交換器が第1室外熱交換器24であるか否かを判断する(ST8)。使用している室外熱交換器が第1室外熱交換器24でない場合(ST8−No)、つまり、使用している室外熱交換器が第2室外熱交換器25である場合は、CPU110は、ST1に処理を戻す。
【0083】
使用している室外熱交換器が第1室外熱交換器24である場合は(ST8−Yes)、CPU110は、圧縮機21を停止し(ST9)、第1三方弁22を切り換えて圧縮機21の吐出口と第1室外熱交換器24との連通を遮断するとともに、第2三方弁23を切り換えて圧縮機21の吐出口と第2室外熱交換器25とを連通させ、また、第1室外膨張弁40を全閉とする(ST10)。そして、CPU110は、ST7に処理を進める。
【0084】
一方、ST3において、外気温度が第1低圧飽和温度より高い場合は(ST3−No)、CPU110は、現在使用している室外熱交換器が2台であるか否かを判断する(ST11)。現在使用している室外熱交換器が2台である場合は(ST11−Yes)、CPU110は、圧縮機21を停止し(ST12)、第2三方弁23を切り換えて圧縮機21の吐出口と第2室外熱交換器25との連通を遮断するとともに、第2室外膨張弁41を全閉とする(ST13)。そして、CPU110は、圧縮機21を起動し(ST14)、第1室外膨張弁40を所定の開度となるよう制御し冷房主体運転を行う。ST14の処理を終えたCPU110は、ST1に処理を戻す。
【0085】
ST11において、現在使用している室外熱交換器が2台でない、つまり、いずれか一方の室外熱交換器を使用している場合は(ST11−No)、CPU110は、使用している室外熱交換器が第2室外熱交換器25であるか否かを判断する(ST15)。使用している室外熱交換器が第2室外熱交換器25でない場合(ST15−No)、つまり、使用している室外熱交換器が第1室外熱交換器24である場合は、CPU110は、ST1に処理を戻す。
【0086】
使用している室外熱交換器が第2室外熱交換器25である場合は(ST15−Yes)、CPU110は、抽出した外気温度が第1低圧飽和温度に所定温度を加えた第2低圧飽和温度より高いか否かを判断する(ST16)。
【0087】
外気温度が第2低圧飽和温度より低い場合は(ST16−No)、CPU110は、ST1に処理を戻す。外気温度が第2低圧飽和温度より高い場合は(ST16−Yes)、CPU110は、圧縮機21を停止し(ST17)、第1三方弁22を切り換えて圧縮機21の吐出口と第1室外熱交換器24と連通させるとともに、第2三方弁23を切り換えて圧縮機21の吐出口と第2室外熱交換器25との連通を遮断し、また、第2室外膨張弁41を全閉とする(ST18)。そして、CPU110は、ST14に処理を進める。
【0088】
以上説明したように、本発明の空気調和装置は、室外熱交換器を凝縮器として機能させる場合であって、複数の室外熱交換器のうちいくつかの室外熱交換器を選択的に使用する場合は、取り込んだ外気温度と第1低圧飽和温度との関係に応じて使用する室外熱交換器を選択する。これにより、不使用となっている室外熱交換器内での液冷媒の滞留を防止して使用している室外熱交換器を含めた冷媒回路における冷媒循環量の低下を防止しつつ、室外ファンに近い室外熱交換器をできる限り使用することで室外熱交換器での熱交換効率を向上できる。
【符号の説明】
【0089】
1 空気調和装置
2 室外機
6a〜6e 分流ユニット
8a〜8e 室内機
13a〜13c 吸込口
21 圧縮機
22 第1三方弁
23 第2三方弁
24 第1室外熱交換器
24b 銅管
25 第2室外熱交換器
25b 銅管
26 室外ファン
40 第1室外膨張弁
41 第2室外膨張弁
59 外気温度センサ
61a〜61e 第1電磁弁
62a〜62e 第2電磁弁
63a〜63e 第1分流管
64a〜64e 第2分流管
81a〜81e 室内熱交換器
82a〜82e 室内膨張弁
84a〜84e 冷媒温度センサ
100 制御部
110 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、複数の室外熱交換器と、複数の同室外熱交換器の各々の一端に接続されて前記圧縮機の冷媒吐出口あるいは冷媒吸入口への接続を切り換える流路切換手段と、複数の前記室外熱交換器の各々の他端に接続された開閉手段と、室外ファンと、外気温度を検出する外気温度検出手段とを備えた室外機と、
室内熱交換器と、同室内熱交換器に流入あるいは流出する冷媒の温度を検出する冷媒温度検出手段とを備えた複数の室内機と、
前記室外機および前記室内機を制御する制御手段と、
を備えた空気調和装置であって、
前記室外ファンは、前記室外機の筺体上部に配置され、
前記室外機の筺体には、前記室外ファンの回転により筺体内部に外気を取り込むための吸込口を備え、
複数の前記室外熱交換器は、前記吸込口に対向して上下に配置され、
前記制御手段は、前記外気温度検出手段で検出した外気温度を取り込むとともに、蒸発器として使用されている前記室内熱交換器に対応した前記冷媒温度検出手段で検出した冷媒温度を第1低圧飽和温度として取り込み、
前記制御手段は、室外熱交換器を凝縮器として機能させ、複数の前記室外熱交換器のうちいくつかの前記室外熱交換器を選択的に使用する際に、前記外気温度が前記第1低圧飽和温度よりも低い場合は、下方に配置された前記室外熱交換器を選択して使用し、前記外気温度が前記第1低圧飽和温度よりも高い場合は、上方に配置された前記室外熱交換器を選択して使用することを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和装置において、
前記室外機は、前記圧縮機に吸入される冷媒の圧力を検出する低圧検出手段を備え、
前記制御手段は、前記低圧検出手段で検出した冷媒の圧力から前記第1低圧飽和温度を算出することを特徴とする空気調和装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気調和装置において、
前記制御手段は、前記外気温度が前記第1低圧飽和温度に所定温度を加えた第2低圧飽和温度よりも高い場合は、上方に配置された前記室外熱交換器を選択して使用することを特徴とする空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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