説明

空気調整機器

【課題】空気調整機器において、ユーザの枕元等に機器を置いた場合に身体が当たっても機器が転倒しないようにし、取り扱いが容易で、液状組成物が漏出しないようにする。
【解決手段】空気調整機器1は、基台10上に形成された載置部11に本体20が載置され、本体20に内装された薬用容器24内の液状組成物がヒータ25による加熱で蒸発し、液状組成物の有効成分がファン26によって、室内空気中に吐出される。載置部11に設けられた給電用電極14a、14bから本体底部に設けられた受電用電極32a、32bに接触して、電力が本体20に供給され、本体の磁性体31と基台の磁性体13N、13Sが磁気的に結合して本体20が基台10に保持される。これによって、本体を取り扱いが容易な大きさと形状にしつつ、機器1の転倒が防止され、液状組成物が漏出することがなくなる。液状組成物は、食欲抑制剤を含有しているものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状組成物を蒸発させてその有効成分を室内空気中に浮遊させる空気調整機
器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状組成物を蒸発させてその有効成分を室内空気中に浮遊させる空気調整機器として芳香器が知られている。この種の機器において、機器が転倒したときに液状組成物が外部に漏出しないようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、このような転倒対策を施した機器であっても、徐々に液状組成物が漏出することがある。特に、ユーザが就寝時に使用するに適した機器、例えば、有効成分として食欲抑制剤を含有した液状組成物を蒸発させる空気調整機器にあっては、可能な限り就寝者の枕元等に機器を置くことが効果的であるが、その場合、ユーザは睡眠中に身体を動かして、無意識に機器を引っ繰り返し易いという問題があった。また、機器は、その重心を低くして転倒し難いように設計されるが、機器に電源コードが接続されると、この電源コードの剛性が機器の動きを制約して、機器の転倒抑制が正常に機能しなくなる。そこで、電源コードとして細くて柔軟性の高いものを用いるが、ヒータ等を持つ機器の場合、電流容量等の関係から、電源コードの柔軟性向上にも限界がある。
【0004】
電源コードに関しては、電気ポットなどの機器において、電源コードが引っ張られた際に機器から電源コードが外れる、いわゆるマグネットプラグが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、マグネットプラグをこの種の空気調整機器に適用した場合、電源コードが引っ張られるとマグネットプラグが外れ、電源コードの引っ張りによって傾斜した機器は、機器の転倒抑制が機能して正常な姿勢に復帰するが、復帰後もマグネットプラグが外れたままで、通電が回復しないという問題がある。
【0006】
また、機器の転倒そのものを防ぐために、機器の底面を大きくすると、人の手にとって機器を取り扱い易い大きさと形状にすることが難しくなり、特に、液状組成物が充填された薬用容器の交換時に取り扱いが不便になるという問題がある。
【特許文献1】特開2001−149458号公報
【特許文献2】特開平5−54932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、ユーザの枕元等に機器を置いた場合に身体が当たっても機器が転倒しないようにし、取り扱いが容易で、液状組成物が漏出しないようにした空気調整機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、液状組成物を蒸発させてその有効成分を室内空気中に浮遊させる空気調整機器において、液状組成物を充填するための薬用容器と、前記液状組成物を加熱するためのヒータと、蒸発した前記液状組成物の有効成分を室内空気中に送出するためのファンと、を内装した本体と、前記本体が載置される載置部を上面に有し、外部電源から電力を供給するための電源コードが導出されたプレート状の基台と、を備え、前記基台の載置部は、凸曲面形状に形成され、かつ、前記載置部に形成された凹溝の底部に、前記外部電源からの電力を本体に給電するための給電用電極を備え、前記本体は、外形が玉子又は球形状で、重心が下方部位となるよう構成され、底部が前記凸曲面形状に対応する凹曲面形状に形成されており、本体が基台上に載置された状態で、前記ヒータ及び前記ファン用の電力を前記給電用電極に接触して受電するための受電用電極が前記凹曲面から突出して設けられ、前記本体と基台とには、本体が基台上に載置された状態で、互いに磁気的に結合される磁性体が設けられているものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気調整機器において、前記受電用電極は、リング形状電極とその中心付近に位置する電極とから成り、前記給電用電極は、前記受電用電極に対応した形状の電極から成るものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の空気調整機器において、前記外部電源から供給される電源電圧を降圧し、降圧した電圧を前記給電用電極に供給する降圧部を前記基台に備えたものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の空気調整機器において、有効成分として食欲抑制剤を含有する液状組成物が前記薬用容器に充填されたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、空気調整機器の本体がプレート状の基台に載置されているので、本体を取り扱いが容易な大きさと形状にしつつ、空気調整機器全体として転倒しない大きさと形状にすることができ、本体が基台に磁性体の磁気的な結合による吸引力で保持されるので、空気調整機器の転倒を防止することができる。本体に過大な力が加わった場合には、本体が力の方向に傾斜し、空気調整機器の損傷を防止することができる。本体が傾斜すると、本体の受電用電極が基台の給電用電極から離れ、空気調整機器のヒータ等の負荷への電流が瞬時に遮断されるので、電気的な安全が確保できる。本体は、外形が玉子又は球形状で、かつ重心が下方部位になるよう構成されているので、重力によって自動的に正常な姿勢に復帰することができる。また、本体に電源コードがないので、本体の姿勢の復帰が電源コードの剛性で阻害されることを防止することができる。したがって、機器使用時に機器にユーザの身体が当たっても、機器の転倒が抑制され、液状組成物が漏出することがなくなる。また、凸曲面形状の載置部に凹曲面形状の本体の底部が合わさるので、本体が傾斜から復帰する際の載置位置のずれが防止され、本体の受電用電極が基台の給電用電極と接触して通電を自動的に回復することができる。また、ユーザが本体を基台の載置部から離すと、給電用電極と受電用電極が離れ、本体全体が電気的に無加圧の状態になるので、例えば、本体を持ち上げて本体内部の薬用容器を交換する際には、本体のファンやヒータが自動的にオフとなり、取り扱いがさらに容易となる。
【0013】
請求項2の発明によれば、基台の向きに対して本体の向きが回転しても受電用電極と給電用電極の接触を確保することができる。そのため、ユーザーは、基台の向きをそのままにしつつ、本体を基台に載置する際の空気吐出口の水平方向の向きを自由に設定することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、もし、ユーザが基台の給電用電極に接触しても、給電用電極に供給される電圧が降圧されているので、さらに安全である。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、有効成分として食欲抑制剤を含有している液状組成物を蒸発させる空気調整機器は、ユーザの枕元等に機器が置かれて使用されても問題がなく、有効成分をユーザに効率的に与えることができ、食欲抑制効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る空気調整機器について図面を参照して説明する。図1において、空気調整機器1は、液状組成物を蒸発させてその有効成分を室内空気中に浮遊させるものであり、プレート状の基台10に玉子形状又は球形状の本体20が載置される。液状組成物の有効成分は、本体20の空気吐出口22aから吐出される。液状組成物の残量は、本体に形成された長孔状の窓23aから視認することができる。
【0017】
基台10を図2を参照して説明する。プレート状の基台10の上面には凸曲面形状の載置部11が形成されている。凸曲面形状は、基台10に垂直な対称軸に対して回転対称な形状であり、例えば、球、楕円体、放物面体の一部である。載置部11には、1対の給電用電極14を表面に具備し、凸曲面形状の対称軸上に一方の電極14aが配置され、他方、その周囲に離間してリング形状の電極14bが配置される。給電用電極14は、載置部11に形成された凹溝の底部に配置される。これによって、ユーザが給電用電極に接触することが防止される。基台10には、磁性体13が配置される。磁性体13は、例えば、永久磁石であり、2個の永久磁石の一方の永久磁石13NをN極を上にして、他方の永久磁石13SをS極を上にして配置される。磁性体13は載置部11の表面に露出するよう配置しても、載置部11の内部に配置してもよい。基台10から電源コード12が導出され、電源コード12の端部のプラグ121により外部電源のコンセントに接続される。電源コード12は、給電用電極14に電気的に接続される。基台10に降圧部15を設け、降圧した電圧を給電用電極14に出力することが好ましい。降圧部15は、例えば、変圧器、スイッチングレギュレータなどとすることができる。また、降圧部15は、基台10の内部に配置するのが好ましい。降圧部15の重量が、空気調整機器1の転倒防止に寄与するからである。なお、基台10の平面形状は、正方形に限定されるものではなく、円、楕円などとしてもよい。
【0018】
本体20を図3を参照して説明する。本体20は、基台10の載置部11に載置される。本体20は、玉子形状又は球形状の外装ケース21を備え、転倒防止のため、重心が低い位置となるよう構成される。外装ケース21は、互いに嵌合係止される樹脂の上蓋体22と下部体23とからなる。下部体23の内面は、椀形状とされ、その椀形状内に、薬用容器24が交換自在に装填される。薬用容器24は、透明又は半透明材質から成り、内部に液状組成物が充填されている。下部体23には、薬用容器24内の液状組成物の残量を外部から視認するための長孔状の窓23aが形成されている。上蓋体22の内部には、液状組成物を加熱するヒータ25と、蒸発した液状組成物の有効成分を室内空気中に送出するファン26が設けられている。空気吸入口22bから吸入された空気は、有効成分とともに、ファン26によって、空気吐出口22aから吐出される。薬用容器24は、下部体23の椀形状に対応した形状とされ、下部体23にビルトインされている。この薬用容器24は、上面に開口を有し、この開口には、液状組成物を毛細管現象により蒸発させるための芯27が設けられている。ヒータ25は、芯27が導出される薬用容器24の開口付近に臨むように上蓋体22に配設され、液状組成物を50乃至60℃程度に加熱できるものでよい。ファン26は、モータ駆動式であり、適宜の固定部材で上蓋体22に固定される。なお、重心のバランスをとるため、芯27を挟んでファン26反対側にモータ及びヒータ25用の制御回路が配置されればよい。下部体23の底部30は、載置部11の凸曲面形状と対応した凹曲面形状に形成され、内面に本体の磁性体31が、表面に1対の受電用電極32が突出して配置されている。受電用電極32は、底部30の中心に配置された電極32aとその周囲に離間して配置されたリング形状の電極32bから構成されている。受電用電極32は、ヒータ25及びファン26に電気的に接続されている。本体の磁性体は、リング形状の鉄又は鉄合金製であり、本体20の重心を下げることにも寄与している。
【0019】
本体20が基台10に載置された状態を図4を参照して説明する。載置部11と本体底部30は対応する曲面形状となっており、本体底部30が載置部11に合わさる状態で、本体20が基台10に載置される。その状態において、給電用電極14aが受電用電極32aと、給電用電極14bが受電用電極32bとそれぞれ接触し、基台10から本体20に給電される。基台の磁性体13Nおよび13Sが本体の磁性体31と磁気的に結合し、吸引力で本体20が基台10に保持される。
【0020】
上記のように構成された空気調整機器1は、使用時に床面上に設置され、ヒータ25に通電すると共に、ファン26をモータ駆動する。これにより、薬用容器24内の液状組成物が蒸発し、蒸発した液状組成物の有効成分がファン26により上蓋体22の空気吐出口22aを通して機器外部に吐出される。そして、本体20にユーザの身体等が当たるなどの外力によって、本体20が20’のように傾いても、本体20の外形と低い重心によって、本体20は正常な姿勢に復帰し、機器が転倒することは防止される。このため、液状組成物が漏出することがない。
【0021】
また、蒸発させる液状組成物の有効成分として食欲抑制剤を含有しているものである場合、機器1がユーザの枕元等に置かれて使用されても転倒しないので、ユーザの睡眠中に、蒸発した液状組成物の有効成分を効率的に吸気させることができ、もって、食欲抑制効果を高めることができる。このような液状組成物は、例えば、特許第3839832号に示されるようなものを用いればよい。
【0022】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られることなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、図5に示すように、リング形状でない給電用電極16bをリング形状の受電用電極32bの位置に対応して配置することによって、本体20向きが回転した場合にも給電可能な構成としてもよい。また、図6に示すように、上記実施形態とは逆に、本体の磁性体を永久磁石34N、34S、基台の磁性体を鉄又は鉄合金製のリング形状の磁性体17としてもよい。また、液状組成物の有効成分として、芳香剤や害虫忌避剤を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調整機器の斜視図。
【図2】(a)は空気調整機器の基台の断面図、(b)は同基台の平面図。
【図3】(a)は空気調整機器の本体の断面図、(b)は同本体の底面図。
【図4】基台に本体が載置された状態を説明する断面図。
【図5】(a)は本発明の一変形例に係る基台の断面図、(b)は同基台の平面図。
【図6】(a)は本発明の別の一変形例に係る本体の底面図、(b)は同基台の平面図。
【符号の説明】
【0024】
1 空気調整機器
10 基台
11 載置部
12 電源コード
13 基台の磁性体
14 給電用電極
15 降圧部
20 本体
24 薬用容器
25 ヒータ
26 ファン
30 本体の底部
31 本体の磁性体
32 受電用電極
32a 受電用電極
32b リング形状の受電用電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状組成物を蒸発させてその有効成分を室内空気中に浮遊させる空気調整機器において、
液状組成物を充填するための薬用容器と、前記液状組成物を加熱するためのヒータと、蒸発した前記液状組成物の有効成分を室内空気中に送出するためのファンと、を内装した本体と、
前記本体が載置される載置部を上面に有し、外部電源から電力を供給するための電源コードが導出されたプレート状の基台と、を備え、
前記基台の載置部は、凸曲面形状に形成され、かつ、前記載置部に形成された凹溝の底部に、前記外部電源からの電力を本体に給電するための給電用電極を備え、
前記本体は、外形が玉子又は球形状で、重心が下方部位となるよう構成され、底部が前記凸曲面形状に対応する凹曲面形状に形成されており、本体が基台上に載置された状態で、前記ヒータ及び前記ファン用の電力を前記給電用電極に接触して受電するための受電用電極が前記凹曲面から突出して設けられ、
前記本体と基台とには、本体が基台上に載置された状態で、互いに磁気的に結合される磁性体が設けられていることを特徴とする空気調整機器。
【請求項2】
前記受電用電極は、リング形状電極とその中心付近に位置する電極とから成り、前記給電用電極は、前記受電用電極に対応した形状の電極から成ることを特徴とする請求項1に記載の空気調整機器。
【請求項3】
前記外部電源から供給される電源電圧を降圧し、降圧した電圧を前記給電用電極に供給する降圧部を前記基台に備えたことを特徴とする請求項1に記載の空気調整機器。
【請求項4】
有効成分として食欲抑制剤を含有する液状組成物が前記薬用容器に充填されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の空気調整機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−34394(P2009−34394A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202223(P2007−202223)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(503372048)株式会社健康医科学研究所 (2)
【Fターム(参考)】