説明

空気通路開閉装置

【課題】製造上、組み付け上の誤差の影響を排除してシール性を向上する。
【解決手段】空気通路の開口部23、24を形成するケース11と、ケース11内に配置され、開口部23、24を開閉するドア28とを備え、ドア28は、ケース11に対して回転自在に支持された回転軸28aと、回転軸28aと一体に回転するドア本体部28bとを有し、ドア本体部28bは、ドア回転方向に窪んだ凹形状部30と、凹形状部30の縁部においてドア回転方向と交差する方向に拡がる平面状に形成されたドア側シール面31とを有し、開口部23、24の縁部には、平面状のケース側シール面23a、24aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気通路を開閉する板ドアを備える空気通路開閉装置に関し、車両用空調装置に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気通路開閉装置において、板ドアの板面に、Uターン旋回する空気流れの主流に沿った形状に凹む凹形状部(円弧面状の曲面部)を設けたものが特許文献1に記載されている。
【0003】
この従来技術によると、板ドアの板面がUターン旋回する空気流れの主流に沿う形状になるので、板面が単純な平板状に形成される場合と比較して、空気流れをスムーズにUターン旋回させることができ、板面での通風抵抗を抑制することができる。
【特許文献1】特開2004−148963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術は、板面に凹形状部が設けられた板ドアにおけるシール構造について全く開示されていない。
【0005】
そこで、本発明者は、板面に凹形状部が設けられた板ドアにおけるシール構造として、図8に示すシール構造を検討した。この検討例の板ドア50は、回転軸50aをドア本体部50bの一端部(図3の下端部)に配置した片持ちドアであり、ドア本体部50b全体が凹形状部(円弧面状の曲面部)を構成している。
【0006】
そして、空気通路51の縁部に形成されるケース側シール面52をドア本体部50bに対応した凹形状(円弧面状の曲面形状)に形成し、ドア本体部50bとケース側シール面52とが当接することによってシール性を発揮する。
【0007】
しかしながら、この検討例では、シール構造を凹形状で構成しており、平坦な形状で構成していないので、製造上、組み付け上の誤差によってドア側シール面とケース側シール面との間に隙間が発生しやすく、シール不良が発生しやすいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、製造上、組み付け上の誤差の影響を排除してシール性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、空気通路の開口部(23、24)を形成するケース(11)と、
ケース(11)内に配置され、開口部(23、24)を開閉するドア(28)とを備え、
ドア(28)は、ケース(11)に対して回転自在に支持された回転軸(28a)と、回転軸(28a)と一体に回転するドア本体部(28b)とを有し、
ドア本体部(28b)は、ドア回転方向に窪んだ凹形状部(30)と、凹形状部(30)の縁部においてドア回転方向と交差する方向に拡がる平面状に形成されたドア側シール面(31)とを有し、
開口部(23、24)の縁部には、平面状のケース側シール面(23a、24a)が形成されていることを特徴とする。
【0010】
これによると、ドア側シール面(31)およびケース側シール面(23a、24a)がともに平面状に形成されているので、シール構造が平坦な形状で構成されることとなる。このため、上記検討例のごとく凹形状で構成されたシール構造と比較して、製造上、組み付け上の誤差によってドア側シール面(31)とケース側シール面(23a、24a)との間に隙間が発生することを抑制できるので、製造上、組み付け上の誤差の影響を排除してシール性を向上することができる。
【0011】
本発明は、具体的には、凹形状部(30)は、平面形状が回転軸(28a)と平行に延びる矩形状であり、
ドア側シール面(31)は、凹形状部(30)の縁部の全体から凹形状部(30)の外方側に突出する矩形枠形状を有しており、
ドア本体部(28b)は、ドア側シール面(31)のうち回転軸(28a)と平行に延びる部位にて回転軸(28a)と結合されていればよい。
【0012】
また、本発明は、具体的には、凹形状部(30)は、平面形状が回転軸(28a)と平行に延びる矩形状であり、
ドア本体部(28b)は、凹形状部(30)の縁部のうち回転軸(28a)と平行に延びる部位にて回転軸(28a)と結合されており、
ドア側シール面(31)は、凹形状部(30)の縁部のうち回転軸(28a)と結合される部位を除く部位から凹形状部(30)の外方側に突出するコの字形状を有していてもよい。
【0013】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態は本発明による空気通路開閉用ドアを車両用空調装置のエアミックスドアに適用したものであって、図1は本実施形態による車両用空調装置の室内ユニット部のうち、空調ユニット部10の概略断面図である。
【0015】
空調ユニット部10は車室内前部の計器盤(図示せず)内側において車両幅(左右)方向の略中央部に配置される。その際、空調ユニット部10は車両の上下前後方向に対して図1の矢印のように搭載される。
【0016】
なお、空調ユニット部10に空気を送風する送風機ユニット(図示せず)は、計器盤内側において空調ユニット部10から助手席側にオフセット配置されている。この送風機ユニットは周知のごとく、内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替部と、この内外気切替部から導入した空気を空調ユニット部10へ向けて送風する遠心式の送風機部とを有している。
【0017】
空調ユニット部10は樹脂製のケース11を有し、このケース11は、その内部に下方側から上方側へと送風空気が流れる空気通路を構成する。ケース11内部において最下部に、上記送風機ユニットの送風空気が流入する空気入口空間12が形成されている。
【0018】
この空気入口空間12の上方側に冷房用熱交換器をなす蒸発器13と暖房用熱交換器をなすヒータコア14とを配置している。蒸発器13は空気入口空間12の直ぐ上方に配置され、ヒータコア14は蒸発器13の更に上方に配置されている。
【0019】
蒸発器13はケース11の底面部15より所定高さだけ上方部位に水平面から所定角度(例えば、20°程度)傾斜して配置されている。より具体的には、蒸発器13は、水平面から所定の傾斜角度だけ車両後方側に向かって斜め下方に傾斜配置されている。
【0020】
ケース11の底面部15は蒸発器13に発生する凝縮水の受け部を構成し、底面部15のうち、その車両前方側の最底部には、凝縮水を車室外に排出するための排出パイプ(図示せず)が配置されている。
【0021】
蒸発器13は、周知のように空調用冷凍サイクルの減圧手段(図示せず)にて減圧された低圧冷媒が導入され、この低圧冷媒が送風空気から吸熱して蒸発することにより送風空気を冷却するようになっている。
【0022】
なお、蒸発器13は、周知のようにタンク部13a、13bの間に熱交換コア部13cを配置した構成となっている。この熱交換コア部13cは複数の偏平チューブ(図示せず)と複数のコルゲートフィン(図示せず)とを交互に積層して接合した構成である。空気入口空間12内に流入した空気は蒸発器13の熱交換コア部13cを矢印aのように下方から上方へ通過するようになっている。
【0023】
これに対し、ヒータコア14は、車両エンジン(図示せず)からの温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する温水式暖房用熱交換器であって、ヒータコア14は、所定間隔を隔てて対向配置した下側の温水入口タンク部14aと上側の温水出口タンク部14bとの間に熱交換コア部14cを配置した構成となっている。
【0024】
この熱交換コア部14cは、複数の偏平チューブ(図示せず)と複数のコルゲートフィン(図示せず)とを交互に積層して接合した構成である。
【0025】
このヒータコア14を蒸発器13の上方側で、かつ、車両後方寄りの部位に配置しているため、ヒータコア14よりも車両前方側の部位に、ヒータコア14をバイパスして冷風を矢印bのように流す冷風バイパス通路16が形成されている。
【0026】
また、ヒータコア14と蒸発器13との間には、エアミックスドア17が配置されている。エアミックスドア17の回転軸17aは、ヒータコア14の温水出口タンク部14bの車両前方側にて車両幅方向に延びるように配置され、回転軸17aの両端部はケース11の左右の側壁面の軸受孔(図示せず)により回転可能に保持される。
【0027】
回転軸17aの一端部はケース11の外部にてリンク機構を介して温度調整操作機構に連結されて、この温度調整操作機構によりエアミックスドア17が回転操作される。この温度調整操作機構は、サーボモータを用いたオート操作機構で構成されるが、乗員の手動操作力により直接操作されるマニュアル操作機構にしてもよい。
【0028】
このエアミックスドア17は周知のごとくヒータコア14の熱交換コア部14cを通過する温風(矢印c)とヒータコア14をバイパスして冷風バイパス通路16を通過する冷風(矢印b)との風量割合を調整して車室内への吹出空気温度を調整する温度調整手段である。
【0029】
図1において、エアミックスドア17の実線位置は冷風バイパス通路16を全閉し、ヒータコア14の熱交換コア部14cの空気入口通路18を全開する最大暖房位置である。また、エアミックスドア17の2点鎖線位置は冷風バイパス通路16を全開し、空気入口通路18を全閉する最大冷房位置である。
【0030】
エアミックスドア17が空気入口通路18を開けると、蒸発器13通過後の空気は矢印cのように熱交換コア部14cを通過してヒータコア14の上方へ流れる。
【0031】
ヒータコア14の上方側に温風通路19が形成されており、この温風通路19を通して温風が空気混合部20へ向かって流れる。この空気混合部20は冷風バイパス通路16と温風通路19の合流部に形成され、冷風と温風を混合する。この冷温風の混合により所望温度の空気が得られる。この空気混合部20は、ケース11内においてエアミックスドア17の上方側に形成される。
【0032】
ケース11の上面部において、車両前方側の部位に車両窓ガラス側へ空調風を吹き出すデフロスタ開口部21を配置し、このデフロスタ開口部21よりも車両後方側の部位に乗員の上半身側へ空調風を吹き出すフェイス開口部22を配置している。
【0033】
デフロスタ開口部21には、空気混合部20から温度調整された空調風が第1連通口23を経て流出する。フェイス開口部22には、空気混合部20から温度調整された空調風が第2連通口24を経て流出する。なお、第1、第2連通口23、24は、本発明における開口部に該当するものである。
【0034】
そして、第2連通口24と連通するフット開口部25をフェイス開口部22下方のケース内部空間に配置している。第2連通口24およびフット開口部25を通過した空調風はフット吹出通路26を通過して車両左右両側に開口するフット吹出口27から乗員の足元側へ空調風を吹き出すようになっている。
【0035】
第1連通口23と第2連通口24は第1吹出モード切替ドア28により開閉され、フェイス開口部22とフット開口部25は第2吹出モード切替ドア29により開閉されるようになっている。なお、第1、第2吹出モード切替ドア28、29もエアミックスドア17の温度調整操作機構と同様の操作機構により回転操作される。
【0036】
図2は第1吹出モード切替ドア28の斜視図であり、図3は第1吹出モード切替ドア28の正面図であり、図4は図3のA−A断面図である。なお、図2、図3では、図示の都合上、後述のパッキン32を省略している。
【0037】
第1吹出モード切替ドア28は回転軸28aと、この回転軸28aに一体に結合され回転軸28aを中心として回転するドア本体部28bとから構成されており、ポリプロピレン等の合成樹脂にて一体に成形されている。
【0038】
本実施形態では、この第1吹出モード切替ドア28を、ドア本体部28bの一端部(図3の下端部)に回転軸28aが配置され、ドア本体部28bの他端部(図2の上端部)が回転先端側となる片持ちドアで構成している。
【0039】
第1吹出モード切替ドア28のドア本体部28bは、ドア回転方向に窪んだ凹形状部30と、凹形状部30の縁部にてドア回転方向と交差する方向(本例では、ドア回転方向と直交する方向)に拡がる平面状に形成されたドア側シール面31とを有している。
【0040】
本例では、凹形状部30は、回転軸28aと平行に延びる断面円弧状の凹面と、凹面の軸方向両端部を塞ぐように配置された略半円状の側板とで構成されている。したがって、凹形状部30は、平面形状(図3に示す形状)が回転軸28aと平行に延びる矩形状になっている。
【0041】
ドア側シール面31は、凹形状部30の縁部の全体から凹形状部30の外方側に突出する矩形枠形状を有している。ドア本体部28bは、ドア側シール面31のうち回転軸28aと平行に延びる部位(図3の下方側の部位)にて回転軸28aと結合されている
ドア側シール面31の両板面上には、発泡ウレタンのような多孔質樹脂弾性材からなる薄板状のパッキン(シール部材)32が接着等により貼り付けられている。
【0042】
このドア側シール面31と、第1連通口23の周縁部に形成された平面状の第1ケース側シール面23a(図1)および第2連通口24の周縁部に形成された平面状の第2ケース側シール面24a(図1)との間でパッキン32を弾性的に圧縮変形させて、第1連通口23および第2連通口24の閉塞時のシール作用を得ている。
【0043】
第1、第2ケース側シール面23a、24aは、本発明におけるケース側シール面に該当するものであり、本例では、ドア側シール面31およびパッキン32の矩形枠形状に対応した矩形枠形状を有している。この第1、第2ケース側シール面23a、24aはケース11と一体成形することができる。
【0044】
パッキン32は、ドア側シール面31の矩形枠形状に合わせて打ち抜き成形された矩形枠状のでもよいし、帯状に形成された複数本のパッキンを組み合わせて矩形枠状にしたものでもよい。また、パッキン32の代わりに熱可塑性エラストマによって形成されたシール部材を用いてもよい。シール部材として熱可塑性エラストマを用いる場合は、シール部材を樹脂製の第1吹出モード切替ドア28に一体に射出成形することができる。
【0045】
図1に示すように、本例では、第2吹出モード切替ドア29を、回転軸29aと、ドア回転方向に延びる外周壁面29bと、これら回転軸29aと外周壁面29bの軸方向の両側部との間を連結する扇形の側板29cとを有する、いわゆるロータリドアで構成している。
【0046】
このロータリドア29のうち外周壁面29bと扇形の側板29cの周縁部には弾性シール材からなるドア側シール部29dが設けられている。このドア側シール部29dが第2ケース側シール面24a、フェイス開口部22とフット開口部25の間に形成された平面状の第3ケース側シール面22a、および、フット開口部25の下方側に形成された平面状の第4ケース側シール面25aに弾性的に圧着することにより、フェイス開口部22およびフット開口部25の閉塞時のシール作用を得ている。
【0047】
次に、上記構成に基づいて本実施形態の作動を説明する。図示しない送風機ユニットから送風空気が空気入口空間12を介して蒸発器13の前面部に送風されると、送風空気は蒸発器13を矢印aのごとく車両前方側から車両後方側へ通過して冷却され、冷風となる。
【0048】
この冷風は、次に、エアミックスドア17の開度により冷風バイパス通路16を通過する冷風bとヒータコア14を通過する温風cとに振り分けられ、この冷風bと温風cが空気混合部20付近で混合する。従って、エアミックスドア17により冷風bと温風cの風量割合を調整することにより空気混合部20において所望温度の空気が得られる。
【0049】
次に、吹出モードの切替作動について説明する。いま、フェイスモードが設定されると、吹出モード操作機構(図示せず)により第1吹出モード切替ドア28が第1連通口23を全閉し、第2連通口24を全開する位置に操作される。また、同時に、第2吹出モード切替ドア29は吹出モード操作機構により2点鎖線位置に操作され、フェイス開口部22を全開し、フット開口部25を全閉する。
【0050】
従って、エアミックスドア17により所望温度に調整された空調風(フェイスモードは主に冷風)が空気混合部20から第2連通口24を通過してフェイス開口部22に流入して、このフェイス開口部22から乗員の上半身へ吹き出して、車室内を冷房する。
【0051】
次に、バイレベルモードが設定されると、吹出モード操作機構(図示せず)により第1吹出モード切替ドア28がフェイスモード時と同様に第1連通口23を全閉し、第2連通口24を全開する位置に操作される。また、第2吹出モード切替ドア29が図1の実線位置と2点鎖線位置の中間位置となるので、フェイス開口部22とフット開口部25の両者が同時に同程度開口する。
【0052】
従って、エアミックスドア17により温度調整された空調風の一部がフェイス開口部22から乗員の上半身へ吹き出すと同時に、残余の空調風がフット開口部25、フット吹出通路26に流入し、このフット吹出通路26から更にケース11の車両左右両側に開口するフット吹出口27へと流れ、このフット吹出口27から空調風が乗員の足元側へ吹き出す。
【0053】
次に、フットモードが設定されると、第1吹出モード切替ドア28が図1の実線位置となり、第1連通口23を微小開度だけ開ける。また、第2吹出モード切替ドア29が図1の実線位置となり、フェイス開口部22を全閉し、フット開口部25を全開する。
【0054】
このため、空気混合部20で温度調整された空気のほとんどがフット開口部25、フット吹出通路26、フット吹出口27を通して乗員の足元部に吹き出され、空気混合部20で温度調整された空気の一部が第1連通口23、デフロスタ開口部21を通して車両窓ガラス側へ吹き出される。
【0055】
このとき、空気混合部20からフット開口部25に流入する空気の流れは、実線矢印dに示すようにUターン旋回する。ここで、図1中の破線矢印eは、第1吹出モード切替ドア28のドア本体部28bを単純な平板状に形成した場合におけるUターン旋回流れを比較例として示している。
【0056】
実線矢印dと破線矢印eの比較からわかるように、本実施形態では、第1吹出モード切替ドア28のドア本体部28bに、Uターン旋回する空気流れの主流に沿った形状に凹む凹形状部30を設けているので、ドア本体部28bを単純な平板状に形成する場合と比較して空気流れをスムーズにUターン旋回させることができ、ドア本体部28bでの通風抵抗を抑制することができる。そのため、フット開口部25から吹き出される温風の風量増加および温風吹出にともなう騒音の低下を図ることができる。
【0057】
次に、フットデフロスタモードが設定されると、第1吹出モード切替ドア28が図1の実線位置と2点鎖線の中間位置となり、第1連通口23と第2連通口24の両者が同時に同程度開口する。また、第2吹出モード切替ドア29が図1の実線位置となり、フェイス開口部22を全閉し、フット開口部25を全開する。
【0058】
これにより、空気混合部20で温度調整された空気を第1連通口23、デフロスタ開口部21を通して車両窓ガラス側へ吹き出して車両窓ガラスの曇り止めを行う。これと同時に、空気混合部20で温度調整された空気をフット開口部25、フット吹出通路26、フット吹出口27を通して乗員の足元部に吹き出して、乗員足元部を暖房する。
【0059】
次に、デフロスタモードが設定されると、第1吹出モード切替ドア28が図1の2点鎖線となり、第1連通口23を全開し、第2連通口24を全閉する。これにより、空気混合部20で温度調整された空気を第1連通口23、デフロスタ開口部21を通して車両窓ガラス側へ吹き出すことができ、車両窓ガラスの曇り止め能力を向上できる。
【0060】
ところで、上述のように、第1吹出モード切替ドア28のシール構造は、平面状に形成されたドア側シール面31と、同じく平面状に形成された第1ケース側シール面23a、24aとの間でパッキン32を弾性的に圧縮変形させて、ドアシール性を確保するものである。つまり、第1吹出モード切替ドア28のシール構造は平坦な形状で構成されている。
【0061】
このため、図8の検討例のごとく凹形状で構成されたシール構造と比較して、製造上、組み付け上の誤差によってドア側シール面31と第1ケース側シール面23a、24aとの間に隙間が発生することを抑制できるので、製造上、組み付け上の誤差の影響を排除してシール性を向上することができる。
【0062】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、凹形状部30の凹面を断面円弧状に形成しているが、本第2実施形態では、図5に示すように、凹面を断面三角状に形成している。本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、第1吹出モード切替ドア28を片持ちドアで構成しているが、本第3実施形態では、図6に示すように、第1吹出モード切替ドア28をバタフライドア、すなわち、ドア本体部28bの中央部に回転軸28aが配置され、ドア本体部28bの両端部が回転先端側となるドアで構成している。
【0064】
そして、ドア本体部28bのうち回転軸28aよりも一端側(図6の上端側)および他端側(図6の下端側)の両方の部位にそれぞれ凹形状部30およびドア側シール面31を形成している。
【0065】
本例では、一方(図6の上方側)の凹形状部30の凹面を断面円弧状に形成し、他方(図6の下方側)の凹形状部30の凹面を断面三角状に形成している。
【0066】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、ドア側シール面31が矩形枠形状を有しているが、本第3実施形態では、図7に示すように、ドア側シール面31がコの字形状を有している。
【0068】
より具体的には、ドア本体部28bは、凹形状部30の縁部のうち回転軸28aと平行に延びる部位(図7の下方側の部位)にて回転軸28aと結合されており、ドア側シール面31は、凹形状部30の縁部のうち回転軸28aと結合される部位を除く部位(図7の左右両側および上方側の部位)から凹形状部30の外方側に突出するコの字形状を有している。
【0069】
一方、第1、第2ケース側シール面23a、24aは、ドア側シール面31のコの字形状に対応したコの字形状であってもよいし、上記第1実施形態と同様の矩形枠形状であってもよい。
【0070】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0071】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態では、本発明を車両用空調装置の吹出モード切替ドアに適用した例を説明しているが、これに限定されず、車両用空調装置のエアミックスドア、内外気ドアにも適用することができる。
【0072】
また、住宅やビル等に設置される空調装置における空気通路開閉装置等、種々の空気通路開閉装置に広く本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用空調装置の空調ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図2】第1実施形態の第1吹出モード切替ドアを示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の第1吹出モード切替ドアを示す正面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】第2実施形態の第1吹出モード切替ドアを示す斜視図である。
【図6】第3実施形態の第1吹出モード切替ドアを示す斜視図である。
【図7】第4実施形態の第1吹出モード切替ドアを示す斜視図である。
【図8】検討例による板ドアのシール構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
11…ケース、23、24…第1、第2連通口(開口部)、
23a、24a…第1、第2ケース側シール面(ケース側シール面)、
28…第1吹出モード切替ドア(ドア)、28a…回転軸、28b…ドア本体部、
30…凹形状部、31…ドア側シール面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路の開口部(23、24)を形成するケース(11)と、
前記ケース(11)内に配置され、前記開口部(23、24)を開閉するドア(28)とを備え、
前記ドア(28)は、前記ケース(11)に対して回転自在に支持された回転軸(28a)と、前記回転軸(28a)と一体に回転するドア本体部(28b)とを有し、
前記ドア本体部(28b)は、ドア回転方向に窪んだ凹形状部(30)と、前記凹形状部(30)の縁部において前記ドア回転方向と交差する方向に拡がる平面状に形成されたドア側シール面(31)とを有し、
前記開口部(23、24)の縁部には、平面状のケース側シール面(23a、24a)が形成されていることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記凹形状部(30)は、平面形状が前記回転軸(28a)と平行に延びる矩形状であり、
前記ドア側シール面(31)は、前記凹形状部(30)の縁部の全体から前記凹形状部(30)の外方側に突出する矩形枠形状を有しており、
前記ドア本体部(28b)は、前記ドア側シール面(31)のうち前記回転軸(28a)と平行に延びる部位にて前記回転軸(28a)と結合されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記凹形状部(30)は、平面形状が前記回転軸(28a)と平行に延びる矩形状であり、
前記ドア本体部(28b)は、前記凹形状部(30)の縁部のうち前記回転軸(28a)と平行に延びる部位にて前記回転軸(28a)と結合されており、
前記ドア側シール面(31)は、前記凹形状部(30)の縁部のうち前記回転軸(28a)と結合される部位を除く部位から前記凹形状部(30)の外方側に突出するコの字形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−296744(P2008−296744A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145318(P2007−145318)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】