説明

空調システムの試運転方法

【課題】冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認することが可能な空調システムの試運転方法を提供する。
【解決手段】
圧縮機21a〜21dと室外熱交換器23a〜23dと室内膨張弁43a〜43dと室内熱交換器41a〜41dとが冷媒が循環するように接続されて構成される冷媒系統A〜Dを複数有する空調システム1の試運転方法であって、以下のステップを備えている。第1ステップでは、冷媒系統A〜D毎に異なる試運転を行う。第2ステップでは、冷媒系統A〜D毎に異なる試運転を行うことで生じる冷媒系統A〜D毎に対応する所定の物理量の違いまたは変化の違いに基づいて、冷媒系統A〜D毎の接続状態の適否を判定する。ここで、冷媒系統A〜D毎に異なる試運転が行われる際には、各冷媒系統A〜Dの試運転が同時に進行する時間帯を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムの試運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特公平07−065792号公報)に記載の方法のように、複数の室内ユニットと複数の室外ユニットによって構成される空調システムにおいて、室内ユニットと室外ユニットとの間における冷媒系統の誤接続、および、各種冷媒系統に備えられた制御機器とコントローラとの間における電気配線の誤配線を把握する方法が提案されている。
【0003】
この方法では、冷媒系統および電気配線の施工が終了している段階で試運転を行う場合に、電気配線を介して制御機器に制御信号を送ることにより特定の冷媒系統の膨張弁を絞り気味にした状態で冷凍サイクルを行わせ、高圧の上昇や低圧の低下が生じることを検出することで、制御信号によって制御しようとしていた制御機器が備えられている冷媒系統と実際に高圧の上昇や低圧の低下が検出された冷媒系統とが一致しているか否かを判断している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述の特許文献1(特公平07−065792号公報)に記載されているような誤接続、誤配線の把握方法では、冷媒系統の接続状態が適切である場合において、異なる冷媒系統に備えられている同様の機能を果たす制御機器同士の間で、接続状態がテレコになっている場合(食い違いが生じている場合)には、空調システムを構成している全ての室外ユニットと全ての室内ユニットとを同時に運転させると、高圧の上昇や低圧の低下は誤って接続されている対象についても、正常に接続されている場合と同様の変化が生じるため、誤配線を把握することができない。例えば、第1の冷媒系統の制御装置に対して接続すべき電気配線を誤って別の第2の冷媒系統の制御装置に接続してしまい、この第2の冷媒系統の制御装置に対して接続すべき電気配線を誤って第1の冷媒系統の制御装置に接続してしまった場合には、同時に運転させた場合に各冷媒系統は同様の運転状態となるため、誤配線を把握できない問題が生じる。
【0005】
これに対して、ある1つの冷媒系統について運転を実行させる制御信号を送った後に、高圧の上昇や低圧の低下が検出されるまで待機することで、このような検出が見られた冷媒系統を特定することによって電気配線の接続状態と冷媒系統の接続状態とを対応付けることができる。
【0006】
しかし、冷媒系統および電気配線の施工が終了している段階で、試運転としてこのような冷媒系統毎の接続確認作業を行う場合には、ある1つの冷媒系統の運転を開始させた時点から、高圧の上昇や低圧の低下が検出されることで冷媒系統と電気配線の接続状態を確認した後に、試運転に含まれる他の確認作業が終了するまで待たなければ、次の冷媒系統の接続確認作業に移行することができない。このため、全ての冷媒系統について試運転を終えるために要する時間が非常に長くなってしまう。
【0007】
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認することが可能な空調システムの試運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1観点に係る空調システムの試運転方法は、圧縮機構と熱源側熱交換器と膨張機構と利用側熱交換器とが冷媒が循環するように接続されて構成される冷媒系統を複数有する空調システムの試運転方法であって、以下のステップを備えている。第1ステップでは、冷媒系統毎に異なる試運転を行う。第2ステップでは、冷媒系統毎に異なる試運転を行うことで生じる冷媒系統毎に対応する所定の物理量の違いまたは変化の違いに基づいて、冷媒系統毎の接続状態の適否を判定する。ここで、冷媒系統毎に異なる試運転が行われる際には、各冷媒系統の試運転が同時に進行する時間帯を設ける。なお、冷媒系統同士の間では、冷媒が互いに行き来せず、冷媒系統毎に冷凍サイクルは独立している。また、冷媒系統毎に異なる試運転としては、例えば、全ての冷媒系統がそれぞれ独自の試運転を行う場合も含まれるし、全ての冷媒系統のうちのいくつかにおいて同じ試運転が行われるような場合も含まれる。また、所定の物理量としては、例えば、冷媒系統における冷媒の過熱度、過冷却度、温度、熱源側熱交換器もしくは利用側熱交換器を通過した空気の温度等が含まれるが、これらに限定されず、冷媒系統毎に異なる試運転を行った場合に冷媒系統毎に値が異なることになったり、値が変化する程度が異なるような物理量であればよい。
【0009】
この空調システムの試運転方法では、冷媒系統毎に異なる試運転が行われることで、冷媒系統毎に所定の物理量の値が異なるようにするか、もしくは、冷媒系統毎に所定の物理量の変化の様子に違いを生じさせることができる。これにより、試運転を行わせようとする冷媒系統と、実際に試運転が行われる冷媒系統とが一致するか否かを把握することが可能になる。
【0010】
そして、ここでは、冷媒系統毎に異なる試運転が、同時に進行する時間帯を設けている。このため、冷媒系統毎に試運転が終わるのを待って、冷媒系統毎に、順次、接続確認作業を行う場合と比較して、空調システム全体の試運転を終えるために要する時間を短くすることが可能になる。
【0011】
また、このように各冷媒系統の試運転が同時に進行する時間帯を設けたとしても、各冷媒系統で行われている試運転は異なっているため、接続確認作業を冷媒系統毎に行うことができる。
【0012】
これにより、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認することが可能になる。
【0013】
本発明の第2観点に係る空調システムの試運転方法は、第1観点に係る空調システムの試運転方法において、冷媒系統毎に異なる試運転とは、冷媒系統毎に圧縮機構の運転開始タイミングを変えることである。なお、ここでの圧縮機構の運転負荷については、冷媒系統の全てにおいて全く同じ負荷であってもよいし、異なる負荷であってもよい。
【0014】
この空調システムの試運転方法では、冷媒系統毎に圧縮機構の運転開始タイミングを変えているために、冷媒系統毎に異なる試運転を行わせた場合には、冷媒系統毎の所定の物理量の値が変化するタイミングに違いを生じさせることができる。これにより、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を確認することができる。
【0015】
また、ここでは、運転開始させた圧縮機構を備える冷媒系統において所定の物理量の値の変化が検出される前の時点であっても、他の冷媒系統が備える圧縮機構について運転開始させてもよく、この場合には、空調システム全体の試運転をさらに早く終えることができるようになる。
【0016】
本発明の第3観点に係る空調システムの試運転方法は、第1観点または第2観点に係る空調システムの試運転方法において、冷媒系統毎に異なる試運転とは、冷媒系統毎に圧縮機構の運転負荷を変えることである。ここで、圧縮機構の運転負荷を変えるとしては、例えば、最大出力に対する出力割合を冷媒系統毎に違える場合等が含まれる。また、ここでは、冷媒系統に備えられている圧縮機構以外の他の要素については、同様の制御状態にして、圧縮機構の運転負荷のみが異なる状態で冷媒系統の判定処理を行うことが望ましいが、冷媒系統の区別をより明確に行うことが可能になるように他の要素を制御してもよい。
【0017】
この空調システムの試運転方法では、冷媒系統毎に圧縮機構の運転負荷を変えているために、冷媒系統毎に異なる試運転を行わせた場合には、所定の物理量の値が冷媒系統毎に異なる状態となるか、もしくは、所定の物理量の値の変化する程度が冷媒系統毎に異なる状態となる。このため、空調システムの試運転を開始した後であって、所定の物理量の値または変化の違いを検出できるようになった時点以降は、冷媒系統を区別できる状態が続くため、その間は任意のタイミングで冷媒系統の判定処理を行うことができる。これにより、冷媒系統の判定処理を行うタイミングについて、自由度を向上させることができる。
【0018】
なお、第3観点に係る空調システムの試運転方法が、第2観点に係る空調システムの試運転方法を前提とする場合には、各圧縮機構の運転開始タイミングを変えつつ、各圧縮機構の運転負荷も変えることで、より冷媒系統の違いを判定しやすくなる。例えば、運転開始タイミングが最初に設定されている冷媒系統の圧縮機構の負荷を大きめに設定し、タイミングの順に沿って冷媒系統毎の圧縮機構の負荷が小さくなるように設定した場合には、冷媒系統毎の所定の物理量の値の変化をより判別しやすくなるため、判定精度を上げることができる。
【0019】
本発明の第4観点に係る空調システムの試運転方法は、第1観点から第3観点のいずれかに係る空調システムの試運転方法において、冷媒系統毎に異なる試運転とは、冷媒系統毎に膨張機構の弁開度を変えることである。また、ここでは、冷媒系統に備えられている膨張機構以外の他の要素については、同様の制御状態にして、膨張機構の弁開度のみが異なる状態で冷媒系統の判定処理を行うことが望ましいが、冷媒系統の区別をより明確に行うことが可能になるように他の要素を制御してもよい。
【0020】
この空調システムの試運転方法では、冷媒系統毎に膨張機構の弁開度を変えているために、冷媒系統毎に異なる試運転を行わせた場合には、所定の物理量の値が冷媒系統毎に異なる状態となるか、もしくは、所定の物理量の値の変化する程度が冷媒系統毎に異なる状態となる。このため、空調システムの試運転を開始した後であって、所定の物理量の値または変化の違いを検出できるようになった時点以降は、冷媒系統を区別できる状態が続くため、その間は任意のタイミングで冷媒系統の判定処理を行うことができる。これにより、冷媒系統の判定処理を行うタイミングについて、自由度を向上させることができる。
【0021】
なお、第4観点に係る空調システムの試運転方法が、第2観点に係る空調システムの試運転方法を前提とする場合には、各圧縮機構の運転開始タイミングを変えつつ、各膨張機構の弁開度も変えることで、より冷媒系統の違いを判定しやすくなる。例えば、運転開始タイミングが最初に設定されている冷媒系統における膨張機構の弁開度を小さめに設定し、タイミングの順に沿って冷媒系統毎の膨張機構の弁開度が大きくなるように設定した場合には、冷媒系統毎の所定の物理量の値の変化をより判別しやすくなるため、判定精度を上げることができる。
【0022】
本発明の第5観点に係る空調システムの試運転方法は、第1観点から第4観点のいずれかに係る空調システムの試運転方法において、冷媒系統毎に異なる試運転とは、冷媒系統毎に圧縮機構の運転停止タイミングを変えることである。なお、ここでの圧縮機構の運転負荷については、冷媒系統の全てにおいて全く同じ負荷であってもよいし、異なる負荷であってもよい。
【0023】
この空調システムの試運転方法では、冷媒系統毎に圧縮機構の運転停止タイミングを変えているために、冷媒系統毎に異なる試運転を行わせた場合には、冷媒系統毎の所定の物理量の値が変化するタイミングに違いを生じさせることができる。これにより、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を確認することができる。
【0024】
また、ここでは、運転開始させた圧縮機構を備える冷媒系統において所定の物理量の値の変化が検出される前の時点であっても、他の冷媒系統が備える圧縮機構について運転停止させてもよく、この場合には、空調システム全体の試運転をさらに早く終えることができるようになる。
【0025】
また、第5観点に係る空調システムの試運転方法が、第2観点に係る空調システムの試運転方法を前提とする場合には、冷媒系統毎の圧縮機構の運転開始のタイミングだけでなく運転停止のタイミングも異なるようにすることで、1回の試運転において冷媒系統の判定を2回行うことができ、判定精度を高めることが可能となる。
【0026】
本発明の第6観点に係る空調システムの試運転方法は、第1観点から第5観点のいずれかに係る空調システムの試運転方法において、熱源側熱交換器に対して空気流れを送るファンが、冷媒系統毎にそれぞれ設けられている。ここで、冷媒系統毎に異なる試運転とは、冷媒系統毎にファンの風量を変えることである。また、ここでは、冷媒系統に設けられているファン以外の他の要素については、同様の制御状態にして、ファンの風量のみが異なる状態で冷媒系統の判定処理を行うことが望ましいが、冷媒系統の区別をより明確に行うことが可能になるように他の要素を制御してもよい。
【0027】
この空調システムの試運転方法では、冷媒系統毎にファンの風量を変えているために、冷媒系統毎に異なる試運転を行わせた場合には、所定の物理量の値が冷媒系統毎に異なる状態となるか、もしくは、所定の物理量の値の変化する程度が冷媒系統毎に異なる状態となる。このため、空調システムの試運転を開始した後であって、所定の物理量の値または変化の違いを検出できるようになった時点以降は、冷媒系統を区別できる状態が続くため、その間は任意のタイミングで冷媒系統の判定処理を行うことができる。これにより、冷媒系統の判定処理を行うタイミングについて、自由度を向上させることができる。
【0028】
なお、第6観点に係る空調システムの試運転方法が、第2観点に係る空調システムの試運転方法を前提とする場合には、各圧縮機構の運転開始タイミングを変えつつ、各ファンの風量も変えることで、より冷媒系統の違いを判定しやすくなる。例えば、運転開始タイミングが最初に設定されている冷媒系統のファンの風量を小さめに設定し、タイミングの順に沿って冷媒系統毎のファンの風量が大きくなるように設定した場合には、冷媒系統毎の所定の物理量の値の変化をより判別しやすくなるため、判定精度を上げることができる。
【0029】
本発明の第7観点に係る空調システムの試運転方法は、第1観点から第6観点のいずれかに係る空調システムの試運転方法において、冷媒系統毎に異なる試運転を行うことで冷媒系統毎に冷媒を循環させて、冷媒系統毎の冷媒充填量の適否の判定が可能な状態にする第3ステップをさらに備えている。この第3ステップでは、冷媒系統毎の冷媒充填量の適否の判定が可能な状態になるまで待つ処理が、冷媒系統毎に同時に進行する時間帯を設ける。
【0030】
この空調システムの試運転方法では、試運転において、冷媒系統毎に冷媒充填量の適否の判定を行っている。そして、この冷媒充填量の適否の判定を行う際には、冷媒系統の状態が判定を行うことができる状態になるまで待つ処理を行っている。ここでは、冷媒系統毎の冷媒充填量の適否の判定が可能な状態になるまで待つ処理が冷媒系統毎に同時に進行する時間帯を設けている。
【0031】
このため、冷媒充填量の適否の判定を含む冷媒系統毎の試運転が終わるのを待って、冷媒系統毎に、順次、接続確認作業を行う場合と比較して、冷媒系統毎の冷媒充填量の適否の判定が可能な状態になるまで待つ処理を同時に進行させる時間帯分だけ、空調システム全体の試運転を終えるために要する時間を短くすることが可能になる。
【0032】
これにより、冷媒系統毎の試運転において冷媒充填量の適否の判定を行う場合であっても、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認することが可能になる。
【0033】
本発明の第8観点に係る空調システムの試運転方法は、第1観点から第7観点のいずれかに係る空調システムの試運転方法において、複数の冷媒系統のうちの少なくとも1つの冷媒系統は、利用側熱交換器が複数台、冷媒の循環流れに対して並列に接続されて構成されているか、もしくは、圧縮機構および熱源側熱交換器が複数台、冷媒の循環流れに対して並列に接続されて構成されている。なお、複数の冷媒系統の全てについて、利用側熱交換器が複数台、冷媒の循環流れに対して並列に接続されて構成されていてもよいし、圧縮機構および熱源側熱交換器が複数台、冷媒の循環流れに対して並列に接続されて構成されていてもよい。また、複数の冷媒系統が、利用側熱交換器が複数台、冷媒の循環流れに対して並列に接続されて構成されている冷媒系統と、圧縮機構および熱源側熱交換器が複数台、冷媒の循環流れに対して並列に接続されて構成されている冷媒系統と、の両方を備えていてもよい。なお、並列接続されている複数の利用側熱交換器には、それぞれに対応するように、空気流れを送るためのファンが設けられ、個別の風量制御を行うことができるように構成されていてもよい。また、並列接続されている複数の熱源側熱交換器には、それぞれに対応するように、空気流れを送るためのファンが設けられ、個別の風量制御を行うことができるように構成されていてもよい。
【0034】
この空調システムの試運転方法では、複数の冷媒系統の少なくとも1つにおいて、冷媒回路に並列分岐部分が含まれることで複雑な空調システムが構築されている場合であっても、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認することが可能になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明の第1観点に係る空調システムの試運転方法では、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認することが可能になる。
【0036】
本発明の第2観点に係る空調システムの試運転方法では、冷媒系統毎の所定の物理量の値が変化するタイミングに違いを生じさせることで、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を確認することができる。
【0037】
本発明の第3観点に係る空調システムの試運転方法では、冷媒系統の判定処理を行うタイミングについて、自由度を向上させることができる。
【0038】
本発明の第4観点に係る空調システムの試運転方法では、冷媒系統の判定処理を行うタイミングについて、自由度を向上させることができる。
【0039】
本発明の第5観点に係る空調システムの試運転方法では、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を確認することができる。
【0040】
本発明の第6観点に係る空調システムの試運転方法では、冷媒系統の判定処理を行うタイミングについて、自由度を向上させることができる。
【0041】
本発明の第7観点に係る空調システムの試運転方法では、冷媒系統毎の試運転において冷媒充填量の適否の判定を行う場合であっても、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認することが可能になる。
【0042】
本発明の第8観点に係る空調システムの試運転方法では、複数の冷媒系統の少なくとも1つにおいて、冷媒回路に並列分岐部分が含まれることで複雑な空調システムが構築されている場合であっても、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る空調システムにおいて、適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る空調システムにおいて、不適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるタイムチャートを示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるタイムチャートを示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかるタイムチャートを示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかるタイムチャートを示す図である。
【図7】本発明の第5−7実施形態にかかるタイムチャートを示す図である。
【図8】本発明の第8実施形態の空調システムにおいて、適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【図9】本発明の第8実施形態の空調システムにおいて、不適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【図10】本発明の第8実施形態の空調システムにおいて、他の不適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【図11】本発明の第9実施形態の空調システムにおいて、適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【図12】本発明の第9実施形態の空調システムにおいて、不適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【図13】本発明の第10実施形態の空調システムにおいて、適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【図14】本発明の第10実施形態の空調システムにおいて、不適切な接続がなされている場合の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態が採用された空調システム1による試運転方法を説明する。
【0045】
(1−1)全体構成
図1に空調システム1の全体概略構成を示す。
【0046】
空調システム1は、複数の冷媒系統に属する室内熱交換器や室内膨張弁等が収容された室内ユニット4に対して、複数の室外ユニット2a、2b、2c、2dが並列に接続されて構成されている。空調システム1は、複数の冷媒系統を備えており、本実施形態では4つの冷媒系統A、冷媒系統B、冷媒系統C、および、冷媒系統Dを備えている。
【0047】
室内ユニット4のうちの1つの室内熱交換器や室内膨張弁等の組み合わせは、同じ冷媒系統に属するように設けられた1つの室外ユニットと接続されることで1つの冷媒回路が構成されている。各冷媒回路相互の間で冷媒の往来が生じないように、各冷媒回路は、互いに独立して構成されている。本実施形態の空調システム1では、冷媒系統Aにおいて冷媒回路10aが、冷媒系統Bにおいて冷媒回路10bが、冷媒系統Cにおいて冷媒回路10cが、冷媒系統Dにおいて冷媒回路10dが、それぞれ設けられている。
【0048】
各冷媒系統A〜Dには、室内ユニット4側における室内制御部74a、74b、74c、74dと、室外ユニット2a、2b、2c、2d側における室外制御部72a、72b、72c、72dがそれぞれ設けられている。室内制御部74a、74b、74c、74dと室外制御部72a、72b、72c、72dとは、同一冷媒系統に属している関係にあるもの同士の間で電気配線を介して通信可能となるように一対一に接続されている。4つの室内制御部74a、74b、74c、74d同士は、電気配線を介して互いに通信可能となるように接続されている。4つの室外制御部72a、72b、72c、72d同士も、同様に、電気配線を介して互いに通信可能となるように接続されている。このうち、冷媒系統Dに属している室内制御部74dには、集中コントローラ71が電気配線を介して通信可能となるように接続されている。集中コントローラ71は、空調システム1の各構成要素を制御するための指令や、試運転を開始させるための指令等を受け付ける受付部71xと、所定の運転状態や異常が生じた場合の警告表示を行う出力部71yが設けられている。これらの集中コントローラ71、室内制御部74a、74b、74c、74d、4つの室外制御部72a、72b、72c、72dによって、空調システム1の制御を行うための制御部70が構成されており、集中コントローラ71が受け付けた指令や各種センサの検出値に基づいて空調システム1の各構成要素の制御を実行する。
【0049】
以下、冷媒系統Aを例に挙げて、1つの冷媒系統の詳細を説明する。なお、冷媒系統B、C、Dの要素については、図面において、冷媒系統Aの要素の部材番号とb、c、dの添え字のみが異なる部材番号については、以下で説明する冷媒系統Aの対応する要素と実質的に同様の機能を有するものとし、説明を省略する。
【0050】
(1−2)冷媒系統の詳細
冷媒系統Aは、図1に示すように、冷媒回路10a、室内ファン42a、室外ファン25a、吸入圧力センサ31a、吐出圧力センサ32a、室内ガス側温度センサ37a、室内液側温度センサ38a、室外熱交温度センサ33a、外気温度センサ36a、および、上述した室内制御部74aと室外制御部72aを備えている。
【0051】
冷媒回路10aでは、熱源側装置としての室外ユニット2aの要素と、利用側装置としての室内ユニット4のうちの冷媒系統Aに属する要素とが冷媒配管によって接続されて、室内ユニット4のうちの冷媒系統Aが担当するエリアについて空気調和を行う。
【0052】
冷媒回路10aは、圧縮機21a、四路切換弁22a、室外熱交換器23a、室外膨張弁24a、室外側液管閉鎖弁27a、室内側液管閉鎖弁29a、室内膨張弁43a、室内熱交換器41a、室内側ガス管閉鎖弁28a、および、室外側ガス管閉鎖弁26aが、冷媒配管を介して接続されることで構成されている。
【0053】
なお、圧縮機21a、四路切換弁22a、室外熱交換器23a、室外ファン25a、室外膨張弁24a、室外側液管閉鎖弁27a、室外側ガス管閉鎖弁26a、室外制御部72a、吸入圧力センサ31a、吐出圧力センサ32a、外気温度センサ36a、および、室外熱交温度センサ33aは、室外ユニット2a内に収容されている。このうち、圧縮機21a、四路切換弁22a、室外ファン25a、室外膨張弁24a、室外側液管閉鎖弁27a、室外側ガス管閉鎖弁26aは、室外制御部72aに接続されており、室外制御部72aがこれらを制御する。また、外気温度センサ36aと室外熱交温度センサ33aは、室外制御部72aに接続されており、室外制御部72aがこれらの検知値を把握できるようになっている。
【0054】
また、室内側液管閉鎖弁29a、室内膨張弁43a、室内熱交換器41a、室内ファン42a、室内側ガス管閉鎖弁28a、室内制御部74a、室内ガス側温度センサ37a、および、室内液側温度センサ38aは、室内ユニット4内に収容されている。このうち、室内側液管閉鎖弁29a、室内膨張弁43a、室内ファン42a、室内側ガス管閉鎖弁28aは室内制御部74aに接続されており、室内制御部74aがこれらを制御する。また、室内ガス側温度センサ37aと室内液側温度センサ38aは、室内制御部74aに接続されており、室内制御部74aがこれらの検知値を把握できるようになっている。
【0055】
圧縮機21aは、容量可変タイプのインバータを備えており、運転状態で冷媒回路10a内に冷媒を循環させる。
【0056】
四路切換弁22aは、冷媒回路10において、圧縮機21aと室外側ガス管閉鎖弁26aとの間に設けられ、冷房運転サイクルと暖房運転サイクルとを切換可能である。図1では、冷房運転を行う際の接続状態を実線で示し、暖房運転を行う際の接続状態を点線で示している。冷房運転時には、室外熱交換器23aが冷媒の冷却器(凝縮器)として、室内熱交換器41aが冷媒の加熱器(蒸発器)として機能する。暖房運転時には、室内熱交換器41aが冷媒の冷却器(凝縮器)として、室外熱交換器23aが冷媒の加熱器(蒸発器)として機能する。
【0057】
吸入圧力センサ31aは、圧縮機21aと四路切換弁22aとの間の吸入管に設けられており、圧縮機21aに吸入される冷媒圧力を検出する。
【0058】
吐出圧力センサ32aは、圧縮機21aと四路切換弁22aとの間の吐出管に設けられており、圧縮機21aから吐出される冷媒圧力を検出する。
【0059】
室外熱交換器23aは、冷媒回路10aにおいて、四路切換弁22aと室外膨張弁24aとの間に設けられている。
【0060】
室外熱交温度センサ33aは、室外熱交換器23a内を流れる冷媒の温度(すなわち、冷房運転時における凝縮温度に対応する冷媒温度、又は、暖房運転時における蒸発温度に対応する冷媒温度)を検出する。
【0061】
室外ファン25aは、室外熱交換器23aに対して、空気流れを供給する。
【0062】
外気温度センサ36aは、室外熱交換器23aを通過する前の空気温度を検出する。
【0063】
室外膨張弁24aは、冷媒回路10aにおいて、室外熱交換器23aと室外側液管閉鎖弁27aとの間に設けられており、弁開度が調節されることで、通過する冷媒量を調節したり冷媒の減圧程度を調節したりする。
【0064】
冷媒系統Aにおいて、室外ユニット2aの室外側液管閉鎖弁27aと、室内ユニット4の室内側液管閉鎖弁29aとは、冷媒配管である液冷媒連絡配管を介して接続されている。
【0065】
室内膨張弁43aは、冷媒回路10aにおいて、室内側液管閉鎖弁29aと室内熱交換器41aとの間に設けられており、弁開度が調節されることで、通過する冷媒量を調節したり冷媒の減圧程度を調節したりする。
【0066】
室内液側温度センサ38aは、室内膨張弁43aと室内熱交換器41aとの間を流れる冷媒の温度を検出する。
【0067】
室内熱交換器41aは、冷媒回路10において、室内膨張弁43aと室内側ガス管閉鎖弁28aとの間に設けられている。
【0068】
室内ファン42aは、室内熱交換器41aに対して、空気流れを供給する。
【0069】
室内ガス側温度センサ37aは、室内熱交換器41aと室内側ガス管閉鎖弁28aとの間を流れる冷媒の温度を検出する。
【0070】
冷媒系統Aにおいて、室内ユニット4の室内側ガス管閉鎖弁28aと、室外ユニット2aの室外側ガス管閉鎖弁26aとは、冷媒配管であるガス冷媒連絡配管を介して接続されている。
【0071】
室内ガス側温度センサ37aおよび室内液側温度センサ38aの検出値は、室内制御部74aを介して制御部70が把握する。
【0072】
室外熱交温度センサ33aおよび外気温度センサ36aの検出値は、室外制御部72aを介して制御部70が把握する。
【0073】
(1−3)試運転について
空調システム1の試運転は、設置対象となる建物等に対して、空調システム1の冷媒回路10a〜10dが冷媒配管の接続作業を行うことで施工され、室外制御部72a〜72dと室内制御部74a〜74dおよび集中コントローラ71の電気配線を介した配線接続作業を終えた状態になった後で行われる。すなわち、試運転が開始される前に、室内ユニット4が施工され、各室外ユニット2a〜2dが施工され、これらが各ガス冷媒連絡配管および液冷媒連絡配管を介して接続され、室外制御部72a〜72dと室内制御部74a〜74dが電気配線を介して冷媒系統別に一対一に接続され、室外制御部72a〜72d同士も相互に電気配線を介して接続され、室内制御部74a〜74d同士も相互に電気配線を介して接続され、集中コントローラ71が室内制御部74dに対して接続されるという作業が行われる。
【0074】
本実施形態の試運転では、冷媒回路10a〜10dがそれぞれ正しく施工されている場合において、電気配線の接続誤りを把握することができる。すなわち、複数の室外ユニット2a〜2dのうちのある室外ユニットの構成要素と、その室外ユニットの構成要素が属している冷媒系統と同じ冷媒系統に属している室内ユニット4の構成要素と、が液冷媒連絡配管およびガス冷媒連絡配管を介して正しく施工されている場合において、電気配線の接続誤りを把握することができるように、試運転が行われる。
【0075】
この試運転は、サービスエンジニア等によって、集中コントローラ71を介した試運転開始の指示の入力があった場合に開始される。この試運転では、少なくとも、(i)電気配線の接続においてテレコが生じているか否か(接続において食い違いが生じているか否か)、(ii)各閉鎖弁が開けられた状態になっているか否か、および、(iii)各冷媒系統における冷媒充填量は適切であるか否か、の3項目について確認するための判定処理を制御部70が行う。
【0076】
(1−3−1)試運転の開始の概略
試運転が開始されると、制御部70は、集中コントローラ71からの各圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dを介して、それぞれの室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部72a〜72dに送信する。
【0077】
このようにして、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの全ての四路切換弁22a〜22dを冷房運転時の接続状態として、各冷媒系統A〜Dの圧縮機21a〜21dについて同じ周波数を目標値としてインバータ制御する。さらに、制御部70は、各冷媒系統において室内熱交換器41a〜41dの出口を流れる冷媒の過熱度が目標過熱度で一定となるように、室内ガス側温度センサ37a〜37dおよび吸入圧力センサ31a〜31dで検出された値に基づいて各室外膨張弁24a〜24dの開度制御および各室内膨張弁43a〜43dの開度制御を行う過熱度一定制御を行う。なお、他の制御機器の制御条件は、各冷媒系統間で同一となるように制御する。
【0078】
なお、本実施形態では、後述するように、各冷媒系統A〜Dの各圧縮機21a〜21dが運転を開始するタイミングを違えている。
【0079】
(1−3−2)配線接続状態の判定処理
試運転が開始されると、制御部70は、図3のタイムチャートに示すように、冷媒系統Aの室内制御部74aに接続された室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する圧縮機の運転開始のタイミング(図3におけるSa参照)、冷媒系統Bの室内制御部74bに接続された室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する圧縮機の運転開始のタイミング(図3におけるSb参照)、冷媒系統Cの室内制御部74cに接続された室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する圧縮機の運転開始のタイミング(図3におけるSc参照)、冷媒系統Dの室内制御部74dに接続された室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する圧縮機の運転開始のタイミング(図3におけるSd参照)、をこの順でずらしながら、起動させる。
【0080】
具体的には、制御部70は、まず、集中コントローラ71から冷媒系統Aの室内制御部74aを介して接続されている室外制御部に対して圧縮機の運転を開始させる旨の指令を送る(配線接続が正しい場合における、冷媒系統Aに属する圧縮機21aの運転を開始させようとする)。その後、制御部70は、冷媒系統Aの室内制御部74aに、室内液側温度センサ38aにおける検知値の低下が生じることを確認させる。
【0081】
ここで、図2に示すように、配線接続状態が誤っており、冷媒系統Aの室内制御部74aにおいて室内液側温度センサ38aにおける検知値の低下を確認できずに、他の冷媒系統B〜Dの室内制御部74b〜74dにおいて室内液側温度センサ38b〜38dにおける検知値の低下が確認された場合には、集中コントローラ71の出力部71yに、冷媒系統Aの配線接続状態が誤っていることを表示出力して、試運転を中止する。この場合には、冷媒系統Aの室内制御部74aが、検知値の低下が確認された室内液側温度センサが属する冷媒系統の室外制御部に対して、誤って接続されている旨を表示出力させる。
【0082】
冷媒系統Aの室内制御部74aにおいて、室内液側温度センサ38aにおける検知値の低下が確認された場合には、制御部70は、冷媒系統Aについては引き続き過熱度一定制御を継続させつつ、冷媒充填量の判定処理に移行させる。そして、制御部70は、冷媒系統Aについて冷媒充填量の判定処理が終了する前に、続いて、集中コントローラ71から冷媒系統Bの室内制御部74bに指令を送ることで、室内制御部74bに接続されている室外制御部に圧縮機の運転を開始させる(配線接続が正しい場合における、冷媒系統Bに属する圧縮機21bの運転を開始させようとする、図3におけるSb参照)。これにより、冷媒系統Bの室内制御部74bに、室内液側温度センサ38bにおける検知値の低下が生じることを確認させる。
【0083】
ここでも、上記同様に、冷媒系統Bの室内制御部74bにおいて室内液側温度センサ38bにおける検知値の低下を確認できずに、他の冷媒系統C、Dの室内制御部74c、74dにおいて室内液側温度センサ38c、38dにおける検知値の低下が確認された場合には、集中コントローラ71の出力部71yに、冷媒系統Bの配線接続状態が誤っていることを表示出力して、試運転を中止する。この場合には、冷媒系統Aの室内制御部74aが、検知値の低下が確認された室内液側温度センサが属する冷媒系統の室外制御部に対して、誤って接続されている旨を表示出力させる。
【0084】
このような処理を、さらに冷媒系統Cについて行った後(図3におけるSc参照)、冷媒系統Dについても行うことで(図3におけるSd参照)、配線接続状態の判定を終了する。
【0085】
(1−3−3)閉鎖弁の開状態の判定処理
試運転開始後、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの、吸入圧力センサ31a〜31d、および、吐出圧力センサ32a〜32dの検知値もしくはその値の変化を把握することで、各閉鎖弁の開状態の判定処理を行う。
【0086】
この開閉弁の開状態の判定処理は、上記配線接続状態の判定処理と同時に進行させてもよいし、上記配線接続状態の判定処理を開始する前、もしくは、配線接続状態の判定処理が完了した後に行ってもよい。
【0087】
開閉弁の開状態の判定処理では、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの圧縮機21a〜21dの運転が開始された時点から所定時間経過するのを待って、吸入圧力センサ31a〜31d、および、吐出圧力センサ32a〜32dの検知値を把握する。
【0088】
そして、制御部70は、その際に把握した吐出圧力が、所定の判定高圧値より高い状態になっているか否かを判断する。さらに、制御部70は、その際に把握した吸入圧力が、所定の判定低圧値よりも低い状態になっているか否かを判断する。
【0089】
ここで、制御部70は、吐出圧力が所定の高圧値より高い状態になっていると判断した場合には、吐出圧力センサ32a〜32dのうち、その高い圧力を検出した吐出圧力センサが設けられている冷媒系統について、その冷媒系統に属している室外側液管閉鎖弁27a〜27dおよび室内側液管閉鎖弁29a〜29dが閉じられた状態になっている可能性があることを示す警告を出力部71yにおいて出力させ、試運転を中止する。
【0090】
(1−3−4)冷媒充填量の判定処理
冷媒充填量の判定処理では、制御部70は、過熱度一定制御を行うことで冷媒系統の過熱度が目標過熱度で維持された状態で、所定の安定時間の間継続されるまで待機する処理を行う。
【0091】
そして、目標過熱度で所定の安定時間を超えて安定した状態が続いている冷媒系統が生じた場合には、当該冷媒系統について、各センサの検出値、圧縮機の回転周波数、室外ファンや室内ファンの風量等の情報に基づいて、当該冷媒系統の冷媒回路に充填されている冷媒量を算出する。
【0092】
制御部70は、ここで算出された冷媒量が、所定の充填量の条件を満たしているか否かを判断し、満たしていると判断された場合には、当該冷媒系統の運転を停止することで、当該冷媒系統についての試運転を終了する。なお、所定の充填量の条件を満たしていないと判断された場合には、集中コントローラ71の出力部71yに対して、当該冷媒系統の情報と、不足する冷媒量を表示して、試運転を中止する。
【0093】
ここで、所定の安定待機時間を超えて待機を続けても、目標過熱度の条件を満足することができない冷媒系統が生じた場合には、当該冷媒系統について、冷媒充填量の異常がある旨を集中コントローラ71の出力部71yに表示出力し、試運転を中止する。
【0094】
(1−4)第1実施形態の特徴
第1実施形態の空調システム1の試運転方法では、冷媒系統毎の圧縮機21a〜21dを1つ1つ順に運転開始させている。
【0095】
ここで、ある1つの冷媒系統に属する圧縮機を運転開始させるための指示を当該冷媒系統の室内制御部に対して集中コントローラ71から送った場合に、同じ室内制御部において室内液側温度センサの検知値の低下を把握できるか否かを判断することによって、当該冷媒系統の室内制御部についての電気配線の接続状態の適否を判断することが可能になっている。そして、当該冷媒系統の室内制御部についての配線接続状態の判定処理を終えた後に、別の冷媒系統の室内制御部についての配線接続状態の判定処理を行うようにしている。これにより、冷媒系統A〜Dの室内制御部毎についての電気配線の接続状態を正確に確認し、誤配線の有無の判断およびその特定をすることができている。
【0096】
また、この空調システム1の試運転方法では、ある冷媒系統の試運転について、室内制御部の配線接続状態の判定処理、閉鎖弁の開状態の判定処理、および、冷媒充填量の判定処理の3つの処理の全てが完了するまで待って、別の冷媒系統についての試運転を開始するのではなく、各冷媒系統A〜Dにおいて試運転の処理の一部が同時に進行する時間帯を持たせながら空調システム1の全体の試運転を進行させている。これにより、空調システム1の全体の試運転をより短時間で終了させることが可能になっている。
【0097】
<第2実施形態>
第2実施形態の全体構成および冷媒系統の詳細については、上記第1実施形態と同様である。
【0098】
(2−1−1)試運転の開始の概略
第2実施形態の試運転では、制御部70は、集中コントローラ71からの各圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dを介して、それぞれの室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部72a〜72dに送信する。
【0099】
このようにして、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの全ての四路切換弁22a〜22dを冷房運転時の接続状態として、冷媒系統Aの圧縮機21a、冷媒系統Bの圧縮機21b、冷媒系統Cの圧縮機21c、冷媒系統Dの圧縮機21dの全てについて、同じ周波数を目標値としてインバータ制御するように起動させる。
【0100】
ここで、制御部70は、図4に示すように、所定の開始時間間隔Tsの時間間隔を介在させながら、集中コントローラ71によって各室内制御部74a〜74dに指令を送らせる。
【0101】
すなわち、図4に示すように、制御部70は、集中コントローラ71によって冷媒系統Aの室内制御部74aに向けて制御信号を送らせることで、この室内制御部74aを介して接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)に対して圧縮機の運転を開始させる。制御部70は、その後、所定の開始時間間隔Tsが経過するのを待ってから、集中コントローラ71によって冷媒系統Bの室内制御部74bに向けて制御信号を送らせることで、この室内制御部74bを介して接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)に対して圧縮機の運転を開始させる。制御部70は、その後、さらに所定の開始時間間隔Tsが経過するのを待ってから、集中コントローラ71によって冷媒系統Cの室内制御部74cに向けて制御信号を送らせることで、この室内制御部74cを介して接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)に対して圧縮機の運転を開始させる。制御部70は、その後、さらに所定の開始時間間隔Tsが経過するのを待ってから、集中コントローラ71によって冷媒系統Dの室内制御部74dに向けて制御信号を送らせることで、この室内制御部74dを介して接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)に対して圧縮機の運転を開始させる。
【0102】
なお、上記所定の開始時間間隔Tsは、遅くとも冷媒系統Aについて冷媒充填量の判定処理が終了する前に別の冷媒系統に属する圧縮機を運転開始させることができる程度に短い時間間隔として設定されている。
【0103】
また、ここでは、制御部70は、各冷媒系統において、室内熱交換器41a〜41dの出口を流れる冷媒の過熱度が目標過熱度で一定となるように、室内ガス側温度センサ37a〜37dおよび吸入圧力センサ31a〜31dで検出された値に基づいて各室外膨張弁24a〜24dの開度制御および各室内膨張弁43a〜43dの開度制御を行う過熱度一定制御を行う。なお、他の制御機器の制御条件は、各冷媒系統間で同一となるように制御する。
【0104】
(2−1−2)配線接続状態の判定処理
図4に示すように、試運転が開始されることで、制御部70は、冷媒系統Aの室内制御部74aに接続されている室外制御部によって駆動される圧縮機、冷媒系統Bの室内制御部74bに接続されている室外制御部によって駆動される圧縮機、冷媒系統Cの室内制御部74cに接続されている室外制御部によって駆動される圧縮機、冷媒系統Dの室内制御部74dに接続されている室外制御部によって駆動される圧縮機、の順に所定の開始時間間隔Tsで運転開始のタイミングをずらしながら起動させた後に、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dに、室内液側温度センサ38a〜38dにおいて検知値の低下が生じたことを確認させる。そして、制御部70は、各室内制御部74a〜74dが室内液側温度センサ38a〜38dにおける検知値の低下を確認したタイミングを、それぞれ把握して記憶する。
【0105】
ここで、各室内制御部74a〜74dが室内液側温度センサ38a〜38dにおける検知値の低下を確認したタイミングを把握した後、制御部70は、試運転の開始時において圧縮機を駆動させようとして指示を送った室内制御部74a〜74dの冷媒系統の順序と、室内液側温度センサ38a〜38dにおける検知値の低下を確認した室内制御部74a〜74dの属する冷媒系統の順序と、が一致するか否か判断する。
【0106】
ここで、制御部70が、順序が一致すると判断した場合には、試運転を続行し、そのまま過熱度一定制御を続行することで、各冷媒系統について冷媒充填量の判定処理に移行する。
【0107】
また、制御部70が、順序が一致しない場合には、集中コントローラ71の出力部71yにおいて、配線接続ミスが生じていることを出力させ、試運転を中止する。ここでは、試運転の開始時において圧縮機を駆動させようとして指示を送った室内制御部74a〜74dの冷媒系統の順序と、室内液側温度センサ38a〜38dにおける検知値の低下を確認した室内制御部74a〜74dの属する冷媒系統の順序と、を示す情報を出力部71yに出力する。
【0108】
これにより、サービスエンジニア等は、電気配線の接続ミスが生じている冷媒系統を把握することができる。
【0109】
例えば、図2に示すように、配線接続状態が誤っており、冷媒系統Aの室内制御部74a→冷媒系統Bの室内制御部74b→冷媒系統Cの室内制御部74c→冷媒系統Dの室内制御部74dの順で、それぞれ圧縮機の駆動開始の指令を送った場合において、室内液側温度センサ38a〜38dにおける検知値の低下を確認した室内制御部74a〜74dの属する冷媒系統の順序が、冷媒系統B→冷媒系統A→冷媒系統C→冷媒系統Dの順であった場合には、室内制御部74aが誤って室外制御部72bと接続されており、室内制御部74bが誤って室外制御部72aと接続されていることを把握することができる。
【0110】
(2−1−3)開閉弁の開状態の判定処理
この開閉弁の開状態の判定処理は、上記第1実施形態と同様であり、上記配線接続状態の判定処理と同時に進行させてもよいし、上記配線接続状態の判定処理を開始する前、もしくは、配線接続状態の判定処理が完了した後に行ってもよい。
【0111】
(2−1−4)冷媒充填量の判定処理
この冷媒充填量の判定処理は、上記第1実施形態と同様である。
【0112】
(2−2)第2実施形態の特徴
第2実施形態の空調システム1の試運転方法では、冷媒系統毎の圧縮機21a〜21dを所定の開始時間間隔Tsで順次運転開始させている。
【0113】
そして、制御部70は、試運転の開始時において圧縮機を駆動させようとして指示を送った室内制御部74a〜74dの冷媒系統の順序と、室内液側温度センサ38a〜38dにおける検知値の低下を確認した室内制御部74a〜74dの属する冷媒系統の順序と、を比較することで配線接続状態の判定処理を行い、誤配線の有無の判断およびその特定をすることができている。
【0114】
このため、冷媒系統毎に配線接続状態の判定処理が終わるまで待機する必要が無く、各冷媒系統の試運転を同時に進行させていくことができるため、より短時間で空調システム1の全体の試運転を終了させることが可能になっている。
【0115】
<第3実施形態>
第3実施形態の全体構成および冷媒系統の詳細については、上記第1実施形態と同様である。
【0116】
(3−1−1)試運転の開始の概略
第3実施形態の試運転では、制御部70は、集中コントローラ71からの各圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dを介して、それぞれの室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部72a〜72dに送信する。
【0117】
そして、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの全ての四路切換弁22a〜22dを冷房運転時の接続状態として、冷媒系統Aの圧縮機21a、冷媒系統Bの圧縮機21b、冷媒系統Cの圧縮機21c、冷媒系統Dの圧縮機21dの全てについて、同じ周波数を目標値としてインバータ制御するように起動させる。
【0118】
ここで、制御部70は、図5に示すように、冷媒系統Aの室内制御部74aに接続されている室外制御部、冷媒系統Bの室内制御部74bに接続されている室外制御部、冷媒系統Cの室内制御部74cに接続されている室外制御部、および、冷媒系統Dの室内制御部74dに接続されている室外制御部の全てに対して、集中コントローラ71から、圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を同時に送信することで、各圧縮機21a〜21dの全てを同時に運転開始させる。
【0119】
ここでは、制御部70は、各冷媒系統において、室内熱交換器41a〜41dの出口を流れる冷媒の過熱度が目標過熱度で一定となるように、室内ガス側温度センサ37a〜37dおよび吸入圧力センサ31a〜31dで検出された値に基づいて各室外膨張弁24a〜24dの開度制御および各室内膨張弁43a〜43dの開度制御を行う過熱度一定制御を行う。なお、他の制御機器の制御条件は、各冷媒系統間で同一となるように制御する。
【0120】
(3−1−2)配線接続状態の判定処理
制御部70は、冷媒系統A〜Dの全てについて過熱度が目標過熱度でほぼ一定に制御された状態をしばらくの間維持させた後、各冷媒系統A〜Dの各室内液側温度センサ38a〜38dが検知している値を、冷媒系統A〜Dと対応付けてそれぞれ記憶する。
【0121】
その後、制御部70は、冷媒系統Aの室内制御部74aを介して、室内制御部74aに接続されている室外制御部だけに対して、集中コントローラ71から、圧縮機を停止させる旨の信号を送信する。これにより、冷媒系統Aの室内制御部74aと接続されている室外制御部が制御する圧縮機を備える冷媒回路には冷媒が流れない状態になる(図5のEa参照)。
【0122】
その後、制御部70は、各冷媒系統の室内液側温度センサ38a〜38dが検知している現状の検知値に変化が生じるか否かを見ることで、記憶している冷媒系統A〜D毎の室内液側温度センサ38a〜38dの値と現状の検知値との乖離度合いを見る。ここで、室内液側温度センサの現状の検知値について、上記所定値以上乖離を確認した室内制御部を1つだけ特定する。
【0123】
ここで、電気配線の接続状態が正しく行われている場合には、集中コントローラ71から圧縮機を停止させる旨の信号が送信された室内制御部と、上記所定値以上乖離を確認した室内制御部と、が一致することになる。他方、これが一致しない場合には、集中コントローラ71から圧縮機を停止させる旨の信号が送信された室内制御部が、誤って、上記所定値以上乖離を確認した室内制御部が属している冷媒系統の室外制御部と接続されていることになる。この場合には、上記第1実施形態と同様に、集中コントローラ71の出力部71yにおいて、誤った接続が行われている部分を特定する情報を表示出力し、試運転を中止する。これにより、誤配線を確認することができる。
【0124】
続いて、制御部70は、先ほど確認した冷媒系統A以外である冷媒系統Bの室内制御部74bを介して、室内制御部74bに接続されている室外制御部だけに対して、集中コントローラ71から、圧縮機を停止させる旨の信号を送信する。これにより、冷媒系統Bの室内制御部74bと接続されている室外制御部が制御する圧縮機を備える冷媒回路には冷媒が流れない状態になる(図5のEb参照)。以下、同様にして、記憶している冷媒系統A〜D毎の室内液側温度センサ38a〜38dの値と現状の検知値との乖離度合いを見ることで、配線接続状態の判定処理を続ける。
【0125】
これらの作業を、冷媒系統Cの室内制御部74c(図5のEc参照)および冷媒系統Dの室内制御部74d(図5のEd参照)についても行い、配線接続状態の判定処理を終了する。
【0126】
(3−1−3)開閉弁の開状態の判定処理
この開閉弁の開状態の判定処理は、上記第1実施形態と同様であり、上記配線接続状態の判定処理と同時に進行させてもよいし、上記配線接続状態の判定処理を開始する前、もしくは、配線接続状態の判定処理が完了した後に行ってもよい。
【0127】
(3−1−4)冷媒充填量の判定処理
この冷媒充填量の判定処理の内容は、上記第1実施形態と同様であるが、第3実施形態では、配線接続状態の判定処理によって正しい接続が確認された冷媒系統については、すぐに、冷媒充填量の判定処理に移行させる。すなわち、配線接続状態の判定処理によって正しい接続が確認された冷媒系統については、他の冷媒系統について配線接続状態の判定処置が続いて行われている間に、改めて圧縮機を稼働させ、冷媒回路に冷媒を循環させる。これにより、冷媒回路の冷媒分布状態をより早いタイミングで安定させることができ、冷媒充填量の判定を行うことが可能になる。
【0128】
(3−2)第3実施形態の特徴
第3実施形態の空調システム1の試運転方法では、運転状態にある冷媒系統毎の圧縮機21a〜21dを1つ1つ順に停止させている。
【0129】
ここで、ある1つの冷媒系統に属する圧縮機を停止させるための指示を当該冷媒系統の室内制御部に対して集中コントローラ71から送った場合に、同じ室内制御部において室内液側温度センサの検知値の変化を把握できるか否かを判断することによって、当該冷媒系統の室内制御部についての電気配線の接続状態の適否を判断することが可能になっている。そして、当該冷媒系統の室内制御部についての配線接続状態の判定処理を終えた後に、別の冷媒系統の圧縮機を停止させることで、別の冷媒系統の室内制御部についての配線接続状態の判定処理を行うようにしている。これにより、冷媒系統A〜Dの室内制御部毎についての電気配線の接続状態を正確に確認し、誤配線の有無の判断およびその特定をすることができている。
【0130】
また、この空調システム1の試運転方法では、ある冷媒系統の試運転について、室内制御部の配線接続状態の判定処理、閉鎖弁の開状態の判定処理、および、冷媒充填量の判定処理の3つの処理の全てが完了するまで待って、別の冷媒系統についての試運転を開始するのではなく、各冷媒系統A〜Dにおいて試運転の処理の一部が同時に進行する時間帯を持たせながら空調システム1の全体の試運転を進行させている。これにより、空調システム1の全体の試運転をより短時間で終了させることが可能になっている。
【0131】
<第4実施形態>
第4実施形態の全体構成および冷媒系統の詳細については、上記第1実施形態と同様である。
【0132】
(4−1−1)試運転の開始の概略
第4実施形態の試運転では、制御部70は、集中コントローラ71からの各圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dを介して、それぞれの室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部72a〜72dに送信する。
【0133】
そして、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの全ての四路切換弁22a〜22dを冷房運転時の接続状態として、冷媒系統Aの圧縮機21a、冷媒系統Bの圧縮機21b、冷媒系統Cの圧縮機21c、冷媒系統Dの圧縮機21dの全てについて、同じ周波数を目標値としてインバータ制御するように起動させる。
【0134】
ここで、制御部70は、図6に示すように、冷媒系統Aの室内制御部74aに接続されている室外制御部、冷媒系統Bの室内制御部74bに接続されている室外制御部、冷媒系統Cの室内制御部74cに接続されている室外制御部、および、冷媒系統Dの室内制御部74dに接続されている室外制御部の全てに対して、集中コントローラ71から、圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を同時に送信することで、各圧縮機21a〜21dの全てを同時に運転開始させる。
【0135】
ここでは、制御部70は、各冷媒系統において、室内熱交換器41a〜41dの出口を流れる冷媒の過熱度が目標過熱度で一定となるように、室内ガス側温度センサ37a〜37dおよび吸入圧力センサ31a〜31dで検出された値に基づいて各室外膨張弁24a〜24dの開度制御および各室内膨張弁43a〜43dの開度制御を行う過熱度一定制御を行う。なお、他の制御機器の制御条件は、各冷媒系統間で同一となるように制御する。
【0136】
(4−1−2)配線接続状態の判定処理
制御部70は、冷媒系統A〜Dの全てについて過熱度が目標過熱度でほぼ一定に制御された状態をしばらくの間維持させた後、各冷媒系統A〜Dの各室内液側温度センサ38a〜38dが検知している値を、冷媒系統A〜Dと対応付けてそれぞれ記憶する。
【0137】
その後、制御部70は、図6に示すように、冷媒系統Aの室内制御部74aを介して、室内制御部74aに接続されている室外制御部、室内制御部74bに接続されている室外制御部、室内制御部74cに接続されている室外制御部、室内制御部74dに接続されている室外制御部の順に、所定の停止時間間隔Teだけ時間間隔をあけながら、集中コントローラ71から、それぞれ圧縮機を停止させる旨の信号を送信する。
【0138】
これにより、冷媒系統Aの室内制御部74aと接続されている室外制御部が制御する圧縮機を備える冷媒回路には冷媒が流れない状態になり、その所定の停止時間間隔Te後には、冷媒系統Bの室内制御部74bと接続されている室外制御部が制御する圧縮機を備える冷媒回路には冷媒が流れない状態になり、さらにその所定の停止時間間隔Te後には、冷媒系統Cの室内制御部74cと接続されている室外制御部が制御する圧縮機を備える冷媒回路には冷媒が流れない状態になり、そして、その所定の停止時間間隔Te後には、冷媒系統Dの室内制御部74dと接続されている室外制御部が制御する圧縮機を備える冷媒回路には冷媒が流れない状態になる。
【0139】
その後、制御部70は、各冷媒系統の室内液側温度センサ38a〜38dが検知している現状の検知値に変化が生じる順序を把握し、記憶する。
【0140】
このようにして、制御部70は、運転停止の信号を送信した室外制御部が接続されている室内制御部の順序と、実際に室内液側温度センサ38a〜38d検知値の変化を把握した室内制御部の順序と、を比較することで、誤配線を確認することができる。ここで、室内制御部の順序が一致している場合には、電気配線の接続が正しく行われていたことになり、順序が一致していない場合には、不一致の組み合わせにおいて誤配線が生じていることを特定できる。
【0141】
(4−1−3)開閉弁の開状態の判定処理
この開閉弁の開状態の判定処理は、上記第1実施形態と同様であり、上記配線接続状態の判定処理と同時に進行させてもよいし、上記配線接続状態の判定処理を開始する前、もしくは、配線接続状態の判定処理が完了した後に行ってもよい。
【0142】
(4−1−4)冷媒充填量の判定処理
この冷媒充填量の判定処理の内容は、上記第1実施形態と同様であるが、第4実施形態では、各圧縮機を所定の停止時間間隔Teで順次停止させることで、全ての圧縮機が停止した後は、全ての圧縮機21a〜21dを改めて稼働させて、全ての冷媒回路10a〜10dに冷媒を循環させる。これにより、冷媒回路の冷媒分布状態が安定した際に、冷媒充填量の判定を行う。なお、全ての圧縮機21a〜21dを改めて稼働させたとしても、所定の停止時間間隔Teで各圧縮機を順次停止させたことに起因する室内液側温度センサ38a〜38d検知値の変化は確認できるため、上記配線接続状態の判定処理を問題なく行うことができる。
【0143】
(4−2)第4実施形態の特徴
第4実施形態の空調システム1の試運転方法では、冷媒系統毎の圧縮機21a〜21dを所定の停止時間間隔Teの時間間隔で順次停止させている。
【0144】
そして、制御部70は、圧縮機を停止させようとして指示を送った室内制御部74a〜74dの冷媒系統の順序と、室内液側温度センサ38a〜38dにおける検知値の低下を確認した室内制御部74a〜74dの属する冷媒系統の順序と、を比較することで配線接続状態の判定処理を行い、誤配線の有無の判断およびその特定をすることができている。
【0145】
そして、圧縮機を順次停止することで全ての圧縮機が停止した状態になった後は、冷媒系統A〜D毎に時間帯をずらして冷媒充填量の判定処理を行うのではなく、全ての冷媒系統A〜Dについて同時に冷媒充填量の判定処理を進行させることができ、空調システム1の全体の試運転をより早く終了させることが可能になっている。
【0146】
<第5実施形態>
第5実施形態の全体構成および冷媒系統の詳細については、上記第1実施形態と同様である。
【0147】
(5−1−1)試運転の開始の概略
試運転が開始されると、制御部70は、集中コントローラ71からの各圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dを介して、それぞれの室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部72a〜72dに送信する。
【0148】
このようにして、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの全ての四路切換弁22a〜22dを冷房運転時の接続状態として、各冷媒系統A〜Dの圧縮機21a〜21dについて異なる周波数(異なる負荷)を目標値として同時にインバータ制御を開始する。さらに、制御部70は、各冷媒系統において室内熱交換器41a〜41dの出口を流れる冷媒の過熱度が目標過熱度で一定となるように、室内ガス側温度センサ37a〜37dおよび吸入圧力センサ31a〜31dで検出された値に基づいて各室外膨張弁24a〜24dの開度制御および各室内膨張弁43a〜43dの開度制御を行う過熱度一定制御を行う。なお、他の制御機器の制御条件は、各冷媒系統間で同一となるように制御する。
【0149】
(5−1−2)配線接続状態の判定処理
制御部70は、図7のタイムチャートに示すように、冷媒系統Aの室内制御部74aに接続された室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する圧縮機の周波数を最大周波数(100%)となるように、冷媒系統Bの室内制御部74bに接続された室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する圧縮機の周波数を最大周波数の80%となるように、冷媒系統Cの室内制御部74cに接続された室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する圧縮機の周波数を最大周波数の60%となるように、冷媒系統Dの室内制御部74dに接続された室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する圧縮機の周波数を最大周波数の40%となるように、目標周波数が圧縮機毎に異なるようにして、同時に起動させる。
【0150】
具体的には、制御部70は、集中コントローラ71から各冷媒系統の室内制御部を介して接続されている室外制御部に対して、圧縮機が上記目標周波数で運転されるように指令を送る。
【0151】
その後、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dに、室内ガス側温度センサ37a〜37dの検知値、および、室内液側温度センサ38a〜38dの検知値を確認させて記憶する。さらに、制御部70は、各冷媒系統の室外制御部72a〜72dに、吸入圧力センサ31a〜31dの検知値、および、吐出圧力センサ32a〜32dの検知値を確認させて記憶する。
【0152】
これにより、制御部70は、目標周波数の大きい圧縮機を制御する室外制御部に接続された室内制御部の順序と、室内ガス側温度センサ37a〜37dの検知値の大きさの順序、室内液側温度センサ38a〜38dの検知値の大きさの順序、吸入圧力センサ31a〜31dの検知値の大きさの順序、および、吐出圧力センサ32a〜32dの検知値の大きさの順序を、それぞれ比べることにより、電気配線の誤配線が生じているか否かを判断する。
【0153】
ここでは、目標周波数の大きい圧縮機を制御する室外制御部に接続された室内制御部の順序と比べる項目が複数あるため、各センサの検知値に多少の誤差が生じていることがあっても、他の項目との比較により配線接続状態のより正確な確認を行うことができる。
【0154】
なお、具体的には、配線接続状態に誤りが無ければ、圧縮機の目標周波数と、各センサの検知値と、の関係は、以下のようになる。
【0155】
各室内液側温度センサ38a〜38dが検知する室内熱交換器41a〜41dの入口の液冷媒温度は、圧縮機の目標周波数が大きい値に制御される冷媒回路ほど、低い温度になる。
【0156】
また、各室内ガス側温度センサ37a〜38dが検知する室内熱交換器41a〜41dの出口のガス冷媒温度についても、圧縮機の目標周波数が大きい値に制御される冷媒回路ほど、低い温度になる。
【0157】
また、各吸入圧力センサ31a〜31dが検知する圧縮機21a〜21dの吸入冷媒圧力は、圧縮機の目標周波数が大きい値に制御される冷媒回路ほど、低い圧力になる。
【0158】
また、各吐出圧力センサ32a〜32dが検知する圧縮機21a〜21dの吐出冷媒圧力は、圧縮機の目標周波数が大きい値に制御される冷媒回路ほど、高い圧力になる。
【0159】
以上の各センサの検知値と圧縮機の目標周波数との関係により、電気配線の誤配線が生じているか否かを把握することができる。
【0160】
例えば、図2に示すように、目標周波数が最大周波数(100%)となるように制御指示が集中コントローラ71から送られた室内制御部74aが、誤って、室外制御部72bに接続されている場合には、室外制御部72bが制御を行う圧縮機21bを含む冷媒回路10bが属している冷媒系統Bについて、室内ガス側温度センサ37bの検知値は最も低い温度になり、室内液側温度センサ38bの検知値は最も低い温度になり、吸入圧力センサ31bの検知値は最も低い圧力となり、吐出圧力センサ32bの検知値は最も高い圧力となる。また、配線接続が適切であれば制御信号が届いているはずである室外制御部72aが制御を行う圧縮機21aを含む冷媒回路10aが属している冷媒系統Aについては、室内ガス側温度センサ37aの検知値が最も低い温度とはならず、室内液側温度センサ38aの検知値も最も低い温度とはならず、吸入圧力センサ31bの検知値も最も低い圧力とはならず、吐出圧力センサ32bの検知値も最も高い圧力とはならないことになる。これにより、室内制御部74aが、誤って、室外制御部72bと接続されていることを確認することができる。
【0161】
ここで誤配線が生じていた場合には、集中コントローラ71の出力部71yに出力する内容は、上記第1実施形態と同様であり、試運転を停止させる点も上記第1実施形態と同様である。
【0162】
なお、電気配線の接続状態が適切であると判断した場合には、制御部70は、各冷媒系統A〜Dにおいて過熱度一定制御を続行させ、冷媒充填量の判定処理に移行させる。
【0163】
(5−1−3)開閉弁の開状態の判定処理
この開閉弁の開状態の判定処理は、上記第1実施形態と同様であり、上記配線接続状態の判定処理と同時に進行させてもよいし、上記配線接続状態の判定処理を開始する前、もしくは、配線接続状態の判定処理が完了した後に行ってもよい。
【0164】
(5−1−4)冷媒充填量の判定処理
この冷媒充填量の判定処理の内容は、上記第1実施形態と同様である。
【0165】
(5−2)第5実施形態の特徴
第5実施形態の空調システム1の試運転方法では、冷媒系統毎の圧縮機21a〜21dの周波数制御において目標周波数が異なるように制御している。
【0166】
そして、制御部70は、各センサの検知値の順序と、目標周波数の値の順序と、を比較することで配線接続状態の判定処理を行い、誤配線の有無の判断およびその特定をすることができている。
【0167】
また、冷媒系統A〜D毎に時間帯をずらして冷媒充填量の判定処理を行うのではなく、全ての冷媒系統A〜Dについて同時に冷媒充填量の判定処理を進行させることができ、空調システム1の全体の試運転をより早く終了させることが可能になっている。
【0168】
(5−3)第5実施形態の変形例
上記第5実施形態では、圧縮機の目標周波数を定めることで各冷媒系統A〜Dにおける負荷に違いが生じるように制御しているが、これに代えて、冷媒の目標蒸発温度または冷媒の目標飽和圧力を冷媒系統毎に変えて設定することで、各冷媒系統A〜Dにおける負荷に違いが生じるように制御してもよい。
【0169】
<第6実施形態>
第6実施形態の全体構成および冷媒系統の詳細については、上記第1実施形態と同様である。
【0170】
(6−1−1)試運転の開始の概略
試運転が開始されると、制御部70は、集中コントローラ71からの各圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dを介して、それぞれの室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部72a〜72dに送信する。
【0171】
このようにして、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの全ての四路切換弁22a〜22dを冷房運転時の接続状態として、各冷媒系統A〜Dの圧縮機21a〜21dについて同じ周波数を目標値として同時にインバータ制御を開始する(図7参照)。さらに、制御部70は、各室外膨張弁24a〜24dを全開状態に維持させたまま、各冷媒系統において室内熱交換器41a〜41dの出口を流れる冷媒の過熱度が、冷媒系統毎に異なる目標過熱度でそれぞれ一定となるように、室内ガス側温度センサ37a〜37dおよび吸入圧力センサ31a〜31dで検出された値に基づいて各室内膨張弁43a〜43dの開度制御を行う過熱度一定制御を行う。なお、他の制御機器の制御条件は、各冷媒系統間で同一となるように制御する。
【0172】
(6−1−2)配線接続状態の判定処理
制御部70は、室内ガス側温度センサ37aの検出値および室内制御部74aに接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)が把握する吸入圧力センサの検出値に基づいて、室内熱交換器41aの出口の冷媒の過熱度が5度で維持されるように室内膨張弁43aの制御を行う旨の指令を、集中コントローラ71から冷媒系統Aの室内制御部74aに送信させる。
【0173】
同時に、制御部70は、室内ガス側温度センサ37bの検出値および室内制御部74bに接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)が把握する吸入圧力センサの検出値に基づいて、室内熱交換器41bの出口の冷媒の過熱度が8度で維持されるように室内膨張弁43bの制御を行う旨の指令を、集中コントローラ71から冷媒系統Bの室内制御部74bに送信させる。
【0174】
同時に、制御部70は、室内ガス側温度センサ37cの検出値および室内制御部74cに接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)が把握する吸入圧力センサの検出値に基づいて、室内熱交換器41cの出口の冷媒の過熱度が10度で維持されるように室内膨張弁43cの制御を行う旨の指令を、集中コントローラ71から冷媒系統Cの室内制御部74cに送信させる。
【0175】
同時に、制御部70は、室内ガス側温度センサ37dの検出値および室内制御部74dに接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)が把握する吸入圧力センサの検出値に基づいて、室内熱交換器41dの出口の冷媒の過熱度が15度で維持されるように室内膨張弁43dの制御を行う旨の指令を、集中コントローラ71から冷媒系統Dの室内制御部74dに送信させる。
【0176】
その後、制御部70は、冷媒回路10a〜10dが安定した状態になるまで待機した後、各室内膨張弁43a〜43dの弁開度、および、各室内液側温度センサ38a〜38dの検知温度を、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dに確認させ、さらに、各吸入圧力センサ31a〜31dの検出圧力の値を、各室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部に確認させ、それぞれ記憶する。
【0177】
これにより、制御部70は、目標過熱度の大きさについての各室内制御部74a〜74dの順序と、各室内膨張弁43a〜43dの弁開度の大きさの順序、各吸入圧力センサ31a〜31dの検出圧力の大きさの順序、および、各室内液側温度センサ38a〜38dの検知温度の大きさの順序を、それぞれ比べることにより、電気配線の誤配線が生じているか否かを判断する。
【0178】
ここでは、目標周波数の大きい圧縮機を制御する室外制御部に接続された室内制御部の順序と比べる項目が複数あるため、各センサの検知値に多少の誤差が生じていることがあっても、他の項目との比較により配線接続状態のより正確な確認を行うことができる。
【0179】
なお、具体的には、配線接続状態に誤りが無ければ、目標過熱度と、各センサの検知値と、の関係は、以下のようになる。
【0180】
各室内膨張弁43a〜43dの弁開度の大きさは、目標過熱度が大きい値に制御される冷媒回路ほど、小さくなる(絞り気味に制御される)。
【0181】
また、各吸入圧力センサ31a〜31dが検知する圧縮機21a〜21dの吸入冷媒圧力は、目標過熱度が大きい値に制御される冷媒回路ほど、低い圧力になる。
【0182】
また、各室内液側温度センサ38a〜38dが検出する室内熱交換器41a〜41dに流入する冷媒の温度は、目標過熱度が大きい値に制御される冷媒回路ほど、低い温度になる。
【0183】
以上の各センサの検知値と目標過熱度との関係により、電気配線の誤配線が生じているか否かを把握することができる。
【0184】
例えば、図2に示すように、目標過熱度が5度となるように制御指示が集中コントローラ71から送られた室内制御部74aが、誤って、室外制御部72bに接続されている場合には、室外制御部72bが把握する吸入圧力センサ31bの検知圧力は最も高い値にはならないことになる。
【0185】
ここで誤配線が生じていた場合には、集中コントローラ71の出力部71yに出力する内容は、上記第1実施形態と同様であり、試運転を停止させる点も上記第1実施形態と同様である。
【0186】
なお、電気配線の接続状態が適切であると判断した場合には、制御部70は、各冷媒系統A〜Dにおいて過熱度一定制御を続行させ、冷媒充填量の判定処理に移行させる。
【0187】
(6−1−3)開閉弁の開状態の判定処理
この開閉弁の開状態の判定処理は、上記第1実施形態と同様であり、上記配線接続状態の判定処理と同時に進行させてもよいし、上記配線接続状態の判定処理を開始する前、もしくは、配線接続状態の判定処理が完了した後に行ってもよい。
【0188】
(6−1−4)冷媒充填量の判定処理
この冷媒充填量の判定処理の内容は、上記第1実施形態と同様である。
【0189】
(6−2)第6実施形態の特徴
第6実施形態の空調システム1の試運転方法では、冷媒系統毎の各室内膨張弁43a〜43dの弁開度の制御において、目標過熱度の値が異なるように制御している。
【0190】
そして、制御部70は、各センサの検知値の順序と、目標過熱度の値の順序と、を比較することで配線接続状態の判定処理を行い、誤配線の有無の判断およびその特定をすることができている。
【0191】
また、冷媒系統A〜D毎に時間帯をずらして冷媒充填量の判定処理を行うのではなく、全ての冷媒系統A〜Dについて同時に冷媒充填量の判定処理を進行させることができるとともに、配線接続状態の判定処理の際に冷媒回路10a〜10dが安定した状態になるまで待機しているので、誤配線が生じていないことを確認した後はすぐに冷媒充填量の判定処理を開始することができ、空調システム1の全体の試運転をより早く終了させることが可能になっている。
【0192】
<第7実施形態>
第7実施形態の全体構成および冷媒系統の詳細については、上記第1実施形態と同様である。
【0193】
(7−1−1)試運転の開始の概略
試運転が開始されると、制御部70は、集中コントローラ71からの各圧縮機21a〜21dの運転を開始させる旨の指令を、各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dを介して、それぞれの室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部72a〜72dに送信する。
【0194】
このようにして、制御部70は、各冷媒系統A〜Dの全ての四路切換弁22a〜22dを冷房運転時の接続状態として、各冷媒系統A〜Dの圧縮機21a〜21dについて同じ周波数を目標値として同時にインバータ制御を開始する(図7参照)。さらに、制御部70は、各室外膨張弁24a〜24dを全開状態に維持させたまま、各冷媒系統において室内熱交換器41a〜41dの出口を流れる冷媒の過熱度が、同じ目標過熱度で一定となるように、室内ガス側温度センサ37a〜37dおよび吸入圧力センサ31a〜31dで検出された値に基づいて各室内膨張弁43a〜43dの開度制御を行う過熱度一定制御を行う。ここで、室外ファン25a〜25dについては、冷媒系統A〜D毎にファンの設定風量が異なるように制御する。なお、他の制御機器の制御条件は、各冷媒系統間で同一となるように制御する。
【0195】
(7−1−2)配線接続状態の判定処理
制御部70は、室内制御部74aに接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する室外ファンについて、設定風量の最大値である100%の出力で運転させるように制御を行う旨の指令を、集中コントローラ71から冷媒系統Aの室内制御部74aに送信させる。
【0196】
同時に、制御部70は、室内制御部74bに接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する室外ファンについて、設定風量の最大値の80%の出力で運転させるように制御を行う旨の指令を、集中コントローラ71から冷媒系統Bの室内制御部74bに送信させる。
【0197】
同時に、制御部70は、室内制御部74cに接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する室外ファンについて、設定風量の最大値の60%の出力で運転させるように制御を行う旨の指令を、集中コントローラ71から冷媒系統Cの室内制御部74cに送信させる。
【0198】
同時に、制御部70は、室内制御部74dに接続されている室外制御部(72a〜72dのいずれか)が制御する室外ファンについて、設定風量の最大値の40%の出力で運転させるように制御を行う旨の指令を、集中コントローラ71から冷媒系統Dの室内制御部74dに送信させる。
【0199】
その後、制御部70は、冷媒回路10a〜10dが安定した状態になるまで待機した後、各室内膨張弁43a〜43dの弁開度を各冷媒系統A〜Dの室内制御部74a〜74dに確認させ、さらに、各吐出圧力センサ32a〜32dの検出圧力の値を各室内制御部74a〜74dに接続されている室外制御部に確認させ、それぞれ記憶する。
【0200】
これにより、制御部70は、設定風量の大きさについての各室内制御部74a〜74dの順序と、各室内膨張弁43a〜43dの弁開度の大きさの順序、および、各吐出圧力センサ32a〜32dの検出圧力の大きさの順序を、それぞれ比べることにより、電気配線の誤配線が生じているか否かを判断する。
【0201】
ここでは、設定風量の大きさについての各室内制御部74a〜74dの順序と比べる項目が複数あるため、各センサの検知値に多少の誤差が生じていることがあっても、他の項目との比較により配線接続状態のより正確な確認を行うことができる。
【0202】
なお、具体的には、配線接続状態に誤りが無ければ、設定風量と、各センサの検知値と、の関係は、以下のようになる。
【0203】
各室内膨張弁43a〜43dの弁開度の大きさは、設定風量が大きい値に制御される冷媒回路ほど、小さくなる(絞り気味に制御される)。
【0204】
また、各吐出圧力センサ32a〜32dが検知する圧縮機21a〜21dの吐出冷媒圧力は、設定風量が大きい値に制御される冷媒回路ほど、低い圧力になる。
【0205】
以上の各センサの検知値と目標過熱度との関係により、電気配線の誤配線が生じているか否かを把握することができる。
【0206】
例えば、図2に示すように、設定風量が最大値の100%となるように制御指示が集中コントローラ71から送られた室内制御部74aが、誤って、室外制御部72bに接続されている場合には、室外制御部72bが把握する吐出圧力センサ32bの検知圧力は最も低い値にはならないことになる。
【0207】
ここで誤配線が生じていた場合には、集中コントローラ71の出力部71yに出力する内容は、上記第1実施形態と同様であり、試運転を停止させる点も上記第1実施形態と同様である。
【0208】
なお、電気配線の接続状態が適切であると判断した場合には、制御部70は、各冷媒系統A〜Dにおいて過熱度一定制御を続行させ、冷媒充填量の判定処理に移行させる。
【0209】
(7−1−3)開閉弁の開状態の判定処理
この開閉弁の開状態の判定処理は、上記第1実施形態と同様であり、上記配線接続状態の判定処理と同時に進行させてもよいし、上記配線接続状態の判定処理を開始する前、もしくは、配線接続状態の判定処理が完了した後に行ってもよい。
【0210】
(7−1−4)冷媒充填量の判定処理
この冷媒充填量の判定処理の内容は、上記第1実施形態と同様である。
【0211】
(7−2)第7実施形態の特徴
第7実施形態の空調システム1の試運転方法では、冷媒系統毎の各室外ファン25a〜25dの制御において、設定風量が異なるように制御している。
【0212】
そして、制御部70は、各センサの検知値の順序と、設定風量の大きさの順序と、を比較することで配線接続状態の判定処理を行い、誤配線の有無の判断およびその特定をすることができている。
【0213】
また、冷媒系統A〜D毎に時間帯をずらして冷媒充填量の判定処理を行うのではなく、全ての冷媒系統A〜Dについて同時に冷媒充填量の判定処理を進行させることができるとともに、配線接続状態の判定処理の際に冷媒回路10a〜10dが安定した状態になるまで待機しているので、誤配線が生じていないことを確認した後はすぐに冷媒充填量の判定処理を開始することができ、空調システム1の全体の試運転をより早く終了させることが可能になっている。
【0214】
<第8実施形態>
以下、本第8実施形態から第11実施形態までは、複数の冷媒系統の中に、分岐部分(並列接続部分)を有する冷媒回路が設けられた冷媒系統が含まれて構成されている空調システムを例に挙げて説明する。
【0215】
第8実施形態の空調システム101は、図8に示すように、冷媒系統Aと、冷媒系統Eとを備えている。ここで、本実施形態において上記第1実施形態と同様の構成については、同じ部材番号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0216】
この空調システム101は、各室内ユニットに対してリモコン64、65、66、67がそれぞれ接続されており、室外ユニットに対して集中管理コントローラ50が接続されている。
【0217】
冷媒系統Aには、上記第1実施形態において説明した内容と同様であり、室外ユニット2aと、室内ユニット4と、が一対一に接続されている冷媒回路10aが設けられている。具体的には、室外側ガス管閉鎖弁26aから伸びるガス連絡配管は、室内ユニットの室内側ガス管閉鎖弁28aまで伸びて接続している。室外側液管閉鎖弁27aから伸びる液連絡配管は、室内ユニットの室内側液管閉鎖弁29aまで伸びて接続している。冷媒系統Aの室外制御部72aは、図8に示すように、電気配線が適切に接続されている場合には、室内制御部74aに対して通信可能に接続されている。なお、冷媒系統Aの運転状態の設定入力や制御を行うリモコン64は、この室内制御部74aに対して電気配線を通じて接続されている。室外制御部72aについては、他の冷媒系統である冷媒系統Eの室外制御部72bに電気配線を通じて接続されている。リモコン64には、ユーザからの設定条件の入力等を受け付ける受付部64xと、各種表示を行う表示部64yと、が設けられている。
【0218】
冷媒系統Eには、室外ユニット2bに対して、複数台の室内ユニット(室内ユニット5、6、7)が冷媒流れに対して並列の関係になるように接続されている冷媒回路10eが設けられている。具体的には、室外側ガス管閉鎖弁26bから伸びるガス連絡配管は、複数台の室内ユニットそれぞれに対応するように分岐し、各室内側ガス管閉鎖弁28b、28c、28dまで伸びてそれぞれ接続している。室外側液管閉鎖弁27bから伸びる液連絡配管は、複数台の室内ユニットそれぞれに対応するように分岐し、各室内側液管閉鎖弁29b、29c、29dまで伸びてそれぞれ接続している。
【0219】
これらの室内ユニット5、6、7は、それぞれ対象とする空調空間の天井近傍に設置されており、当該対象とする空調空間の空気を調和させる。ここでは、室内ユニット5、6、7が別々の空調空間に設置されている例を示しているが、特に限定されるものではなく、室内ユニット5、6、7が同一の空調空間に設置されていてもよい。なお、冷媒系統Eに属している室内ユニット5、6、7は、冷媒系統Aに属している室内ユニット4とは設置されている空調空間が異なっている。そして、通常運転時には、空調システム101の各室内ユニット5、6、7では、各空調空間や設置場所の温度と、各室内ユニット5、6、7の設定温度と、の差に対応するように、それぞれ対応する室内膨張弁43b、43c、43dを個別に制御することで、個別能力制御を行うことが可能になっている。
【0220】
なお、冷媒系統Eの室外制御部72bは、図8に示すように、電気配線が適切に接続されている場合には、室内制御部74bと通信可能に接続されている。なお、冷媒系統Eの運転状態の設定入力や制御を行うリモコン65は、この室内制御部74bに対して電気配線を通じて接続されている。リモコン65には、ユーザからの設定条件の入力等を受け付ける受付部65xと、各種表示を行う表示部65yと、が設けられている。同様にして、受付部66xと表示部66yを有するリモコン66が室内制御部74cに接続されており、受付部67xと表示部67yを有するリモコン67が室内制御部74dに接続されている。なお、室内制御部74bと室内制御部74cは電気配線を通じて接続されており、この室内制御部74cはさらに電気配線を通じて室内制御部74dと接続されている。これにより、冷媒系統Eに属する室内制御部74b、74c、74dは互いに通信可能になっている。室外制御部72bについては、他の冷媒系統である冷媒系統Aの室外制御部72aと電気配線を通じて接続されると共に、空調システム101の全体を対象として管理および制御を行う集中管理コントローラ50に接続されている。中央管理コントローラ50には、空調システム101の各構成要素を制御するための指令や、試運転を開始させるための指令などを受け付ける受付部50xと、所定の運転状態や異常が生じた場合の警告表示を行う表示部50yと、が設けられている。
【0221】
ここで、冷媒系統Eにおいて冷媒配管の接続が適切に行われた後、電気配線の接続作業が不適切であり、接続誤りが生じている場合には、例えば、図9に示すように、室外制御部72bが室内制御部74aと接続され、室外制御部72aが室内制御部74bと接続されてしまっている状態が生じうる。
【0222】
空調システム101の試運転では、上述したような誤配線を特定する作業を行う。
【0223】
この空調システム101について行う試運転としては、特に限定されるものではなく、上述した第1実施形態から第7実施形態のいずれかの試運転を行うことで電気配線の接続誤りの把握を試みる。具体的には、上述した中央管理コントローラ50において、試運転を開始させる旨の指令を受け付けた場合に、試運転を開始する。
【0224】
ここで、図9のように接続誤りが生じている場合において、例えば、上記実施形態1と同様に試運転した場合には、冷媒系統Aの圧縮機21aが運転を開始した後に、開始タイミングを遅らせて冷媒系統Eの圧縮機21bが運転を開始する。これにより、室内液側温度センサ38aにおける検知値の低下が先に生じ、室内液側温度センサ38b、38c、38dの検知値の低下が遅れて生じることを確認できた場合には、電気配線の接続誤りが無く、適切に接続されていることを確認することができる。これに対して、冷媒系統Aの圧縮機21aが運転を開始した後に、開始タイミングを遅らせて冷媒系統Eの圧縮機21bが運転を開始させたにも関わらず、室内液側温度センサ38b、38c、38dの検知値の低下が先に生じ、室内液側温度センサ38aにおける検知値の低下が遅れて生じることを確認した場合には、電気配線の接続誤りが生じていることを把握することができる。なお、他の実施形態2から7の各試運転についても、同様に空調システム101に適用することができる。
【0225】
なお、ここで、例えば、室内ユニット5、6、7が同一の対象空間に設置されていたり、各室内ユニット5、6、7の負荷条件が同等である場合等において、試運転を開始した後の空調システム101の冷媒系統Eに属している室内液側温度センサ38b、38c、38dにおける検知値が同等であり、室内液側温度センサ38aの値と異なっている場合においても、接続誤りが生じておらず、適切な接続状態が確保されていることを確認することができる。
【0226】
また、例えば、空調システム101において、電気配線の接続誤りの態様が図10に示すように、室内制御部と室外制御部との接続誤りは生じておらず、室内ユニット4、5、6、7側における接続誤りが生じている場合にも、上記実施形態1から実施形態7の各試運転によって確認を行うことができる。例えば、実施形態1における試運転が行われる場合には、冷媒系統Aの圧縮機21aが運転を開始した後に、開始タイミングを遅らせて冷媒系統Eの圧縮機21bが運転を開始させた場合において、室内液側温度センサ38aにおける検知値の低下が先に生じ、室内液側温度センサ38b、38cの検知値の低下が遅れて生じ、室内液側温度センサ38dの検知値が同一冷媒系統Eに属する他の室内液側温度センサ38b、38cの検知値とは異なった値や挙動を示しており、他の冷媒系統Aに属する室内液側温度センサ38aの検知値とも異なった値や挙動を示す場合には、冷媒系統Aへの指令が誤って室内制御部74dにも送られていることを特定でき、接続誤りを把握することが可能になる。なお、他の実施形態2〜7の例についても、同様に、空調システム101の図10の態様における接続誤りの把握に適用することができる。
【0227】
<第9実施形態>
第9実施形態の空調システム201は、図11に示すように、冷媒系統Fと、冷媒系統Gとを備えている。ここで、本実施形態において上記第1実施形態と同様の構成については、同じ部材番号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0228】
ここで、冷媒系統Fについては、冷媒回路10fが設けられており、室内膨張弁43aが設けられていない点で異なる以外は、上記第8実施形態の冷媒系統Aと同様である。
【0229】
また、冷媒系統Gについては、冷媒回路10gが設けられており、室内膨張弁43b、43c、43dが設けられていない点で異なる以外は、上記第8実施形態の冷媒系統Eと同様である。
【0230】
この場合において、例えば、図12に示すように、室外制御部72bが室内制御部74aと接続され、室外制御部72aが室内制御部74bと接続されてしまっており、接続誤りが生じている場合には、上記実施形態8と同様にして、実施形態1から7のいずれかの試運転を行うことにより接続誤りを把握することができる。
【0231】
<第10実施形態>
第10実施形態の空調システム301は、図13に示すように、冷媒系統Aと、冷媒系統Hとを備えている。ここで、本実施形態において上記第1実施形態と同様の構成については、同じ部材番号を付しており、詳細な説明は省略する。
【0232】
ここで、冷媒系統Aについては、上記第8実施形態の冷媒系統Aと同様である。
【0233】
また、冷媒系統Hについては、室内ユニット5に対して、複数台の室外ユニット(室外ユニット2b、2c、2d)が冷媒流れに対して並列の関係になるように接続されている冷媒回路10hが設けられている。具体的には、室内側ガス管閉鎖弁28bから伸びるガス連絡配管は、複数台の室外ユニットそれぞれに対応するように分岐し、各室外側ガス管閉鎖弁26b、26c、26dまで伸びてそれぞれ接続している。室内側液管閉鎖弁29bから伸びる液連絡配管は、複数台の室外ユニットそれぞれに対応するように分岐し、各室外側液管閉鎖弁27b、27c、27dまで伸びてそれぞれ接続している。なお、冷媒系統Hに属している室内ユニット5は、冷媒系統Aに属している室内ユニット4とは設置されている空調空間が異なっている。
【0234】
なお、冷媒系統Hの室内制御部74bは、図13に示すように、電気配線が適切に接続されている場合には、室外制御部72bと通信可能に接続されている。なお、冷媒系統Hの運転状態の設定入力や制御を行うリモコン65は、この室内制御部74bに対して電気配線を通じて接続されている。リモコン65には、ユーザからの設定条件の入力等を受け付ける受付部65xと、各種表示を行う表示部65yと、が設けられている。室外制御部72bについては、他の冷媒系統である冷媒系統Aの室外制御部72aと電気配線を通じて接続されると共に、室外制御部72cと電気配線を介して接続されている。この室外制御部72cは、室外制御部72dと電気配線を介して接続されている。そして、室外制御部72dは、空調システム301の全体を対象として管理および制御を行う集中管理コントローラ50に接続されている。中央管理コントローラ50には、空調システム301の各構成要素を制御するための指令や、試運転を開始させるための指令などを受け付ける受付部50xと、所定の運転状態や異常が生じた場合の警告表示を行う表示部50yと、が設けられている。
【0235】
ここで、冷媒系統Hにおいて冷媒配管の接続が適切に行われた後、電気配線の接続作業が不適切であり、接続誤りが生じている場合には、例えば、図14に示すように、室外制御部72bが室内制御部74aと接続され、室外制御部72aが室内制御部74bと接続されてしまっている状態が生じうる。
【0236】
この場合であっても、上述した実施形態8、9と同様にして、各実施形態1から7の試運転を行うことによって接続誤りを把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0237】
本発明の空調システムの試運転方法では、例えば、冷媒系統に対する電気配線の接続状態を短時間で確認するために用いた場合に特に有用である。
【符号の説明】
【0238】
1 空調システム
21a〜21d 圧縮機(圧縮機構)
23a〜23d 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
24a〜24d 室外膨張弁(膨張機構)
41a〜41d 室内熱交換器(利用側熱交換器)
43a〜43d 室内膨張弁(膨張機構)
A〜D 冷媒系統
【先行技術文献】
【特許文献】
【0239】
【特許文献1】特公平07−065792号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構(21a〜21d)と熱源側熱交換器(23a〜23d)と膨張機構(43a〜43d、24a〜24d)と利用側熱交換器(41a〜41d)とが冷媒が循環するように接続されて構成される冷媒系統(A〜D)を複数有する空調システム(1)の試運転方法であって、
前記冷媒系統毎に異なる試運転を行う第1ステップと、
前記冷媒系統毎に異なる試運転を行うことで生じる前記冷媒系統毎に対応する所定の物理量の違いまたは変化の違いに基づいて前記冷媒系統毎の接続状態の適否を判定する第2ステップと、
を備え、
前記冷媒系統毎に異なる前記試運転が同時に進行する時間帯を設ける、
空調システムの試運転方法。
【請求項2】
前記冷媒系統毎に異なる試運転とは、前記冷媒系統毎に前記圧縮機構の運転開始タイミングを変えることである、
請求項1に記載の空調システムの試運転方法。
【請求項3】
前記冷媒系統毎に異なる試運転とは、前記冷媒系統毎に前記圧縮機構の運転負荷を変えることである、
請求項1または2に記載の空調システムの試運転方法。
【請求項4】
前記冷媒系統毎に異なる試運転とは、前記冷媒系統毎に前記膨張機構の弁開度を変えることである、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調システムの試運転方法。
【請求項5】
前記冷媒系統毎に異なる試運転とは、前記冷媒系統毎に前記圧縮機構の運転停止タイミングを変えることである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空調システムの試運転方法。
【請求項6】
前記熱源側熱交換器に対して空気流れを送るファンが、前記冷媒系統毎にそれぞれ設けられており、
前記冷媒系統毎に異なる試運転とは、前記冷媒系統毎に前記ファンの風量を変えることである、
請求項1から5のいずれか1項に記載の空調システムの試運転方法。
【請求項7】
前記冷媒系統毎に異なる試運転を行うことで前記冷媒系統毎に冷媒を循環させて、前記冷媒系統毎の冷媒充填量の適否の判定が可能な状態にする第3ステップをさらに備え、
前記冷媒系統毎の冷媒充填量の適否の判定が可能な状態になるまで待つ処理が、前記冷媒系統毎に同時に進行する時間帯を設ける、
請求項1から6のいずれか1項に記載の空調システムの試運転方法。
【請求項8】
複数の前記冷媒系統のうちの少なくとも1つの冷媒系統は、
前記利用側熱交換器が複数台、冷媒の循環流れに対して並列に接続されて構成されているか、もしくは、
前記圧縮機構および前記熱源側熱交換器が複数台、冷媒の循環流れに対して並列に接続されて構成されている、
請求項1から7のいずれか1項に記載の空調システムの試運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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