空調制御システム、空気調和装置、空調制御方法、温度計測システム及び温度計測方法
【課題】最適なエリア空調制御を容易に実現する。
【解決手段】可視光線撮像手段31は、居室空間全体の可視光線画像を撮像する。赤外線撮像手段32は、居室空間全体の赤外線画像を撮像する。温度計測対象物検出手段36は、可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する。温度計測手段39は、検出された複数の位置にそれぞれ対応する赤外線画像の赤外線強度を計測し、計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する。空調制御手段41は、取得された複数の位置の雰囲気温度に基づいて、居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う。
【解決手段】可視光線撮像手段31は、居室空間全体の可視光線画像を撮像する。赤外線撮像手段32は、居室空間全体の赤外線画像を撮像する。温度計測対象物検出手段36は、可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する。温度計測手段39は、検出された複数の位置にそれぞれ対応する赤外線画像の赤外線強度を計測し、計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する。空調制御手段41は、取得された複数の位置の雰囲気温度に基づいて、居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御を行う空調制御システム、空気調和装置及び空調制御方法、居室空間の温度を計測する温度計測システム及び温度計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化やエネルギ資源の枯渇などの問題やコスト削減の観点から、消費電力の低減が非常な課題となっている。空気調和装置や照明装置にも、使用していない場合には、電源をオフにするといったような省電力機能を備えるものが増えてきている。空気調和装置では、消費される電力が大きいため、省電力化が特に重要である。
【0003】
空気調和装置を用いて空調制御を行う空調制御システムでは、通常、例えば、空気調和装置に設置された温度センサにより温度を測定し、その測定結果に基づいて空調制御を行っている。しかし、居室空間の温度分布にはムラがあるため、ある場所では、冷暖房が効き過ぎたり、他の場所では、逆に冷暖房が弱過ぎたりする。このようなムラが、消費電力の増大を招く。
【0004】
居室空間内の複数のエリア各々に温度センサを設置して、各温度センサでそのエリアの温度を測定し、それぞれのエリアに区分して空調制御を行い、過不足のない冷暖房にすれば、快適な環境と省電力化とを両立させることは可能である。
【0005】
また、複数のエリアの温度をそれぞれ検出する複数の赤外線センサを備える空調制御システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−088957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の空調制御システムでは、赤外線センサは、その視野内に捉えた物体の表面温度を測定する。例えば、赤外線センサの視野内に什器や床や壁があると、その什器や床や壁の表面温度が測定される。この場合、什器や床などの表面温度が、空調制御に必要な雰囲気温度を表しているとは限らず、これらの表面温度と雰囲気温度とのずれが大きいと、適切な空調制御を行うことができない。
【0008】
また、温度センサを居室空間の複数のエリアにそれぞれ設置すれば、そのエリアの正確な雰囲気温度を計測して、空気調和装置におけるエリア別空調制御が可能になる。しかしながら、この場合には、各温度センサに供給される電力や、各温度センサで計測された温度や各温度センサの位置を空気調和装置に送信する通信手段に要する電力が必要になる。
【0009】
また、温度センサの位置を空気調和装置に予め登録しておけば、通知すべき情報は温度のみになる。しかしながら、この場合、温度センサの位置を変更する度に、温度センサの位置を登録し直す必要があるため、保守・運用コストがかかる。
【0010】
快適であると感じる環境には個人差がある。例えば、空気調和装置からの風を受けたくないという人もいれば、温度は高めがいいと感じる人もいる。したがって、1人1人に合わせた空調制御を行うようにすれば、快適度が向上するうえ、省電力化も実現される。しかしながら、例えばオフィスなどの場合、複数の空気調和装置が設置されていたとしても、1人1人が空気調和装置の設定を調整するのは、ユーザにとって非常に煩わしい作業となる。
【0011】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、最適なエリア空調制御を容易に実現することができる空調制御システム、空気調和装置、空調制御方法、温度計測システム及び温度計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、この発明に係る空調制御システムにおいて、可視光線撮像手段は、居室空間全体の可視光線画像を撮像する。赤外線撮像手段は、居室空間全体の赤外線画像を撮像する。位置検出手段は、可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する。計測手段は、検出された複数の位置にそれぞれ対応する赤外線画像の赤外線強度を計測する。温度取得手段は、計測された複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する。制御手段は、取得された複数の位置の雰囲気温度に基づいて、居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、居室空間全体の赤外線画像と可視光線画像とが撮像される。そして、それらの画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物の位置及びその周辺の雰囲気温度が計測される。そして、このように計測された位置及び雰囲気温度に基づいて、居室空間のエリア別の空調制御が行われる。
【0014】
この発明によれば、温度計測対象物の表面温度とその周辺の雰囲気温度は既知であるので、赤外線画像から雰囲気温度を正確に求めることができる。
【0015】
また、この発明によれば、雰囲気温度を計測するエリアに温度センサを配置する必要がない。これにより、消費電力を低減することができるうえ、温度センサの保守コストがかからない。
【0016】
また、この発明によれば、温度計測対象物の位置を検出しながら空調制御を行うので、その位置を空気調和装置に、その都度登録し直さなくても、有効なエリア別空調制御が可能となるうえ、保守・運用コストがかからない。
【0017】
また、居室空間内のある温度計測対象物には、電力を供給するためのケーブルを接続する必要がないので、温度計測対象物を任意の場所に設置することができる。
【0018】
さらに、居室空間内のユーザが温度計測対象物の設置位置を変更することができるので、ユーザ自身が空調制御エリアを容易に変更することができる。
【0019】
以上のことから、この発明を用いれば、空調制御の消費電力、コストを低減し、各人に適した空調制御が可能となるので、最適な空調制御を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空調制御システムによって空調が制御される居室空間の一例を示す模式図である。
【図2】図1の空気調和装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の温度計測対象物の外観を示す図である。
【図4】図1の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図5】空調制御システムのメイン処理のフローチャートである。
【図6】図5の温度計測処理のフローチャートである。
【図7】図5の空調制御処理のフローチャートである。
【図8】図1の空調制御システムの変形例を説明するための図である。
【図9】温度計測対象物の変形例(その1)を説明するための図である。
【図10】図1の撮像装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る空調制御システムを構成する撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る空調制御システムの温度計測処理のフローチャートである。
【図13】空気調和装置の変形例を説明するための図である。
【図14】温度計測対象物の変形例(その2)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
実施の形態1.
まず、実施の形態1について説明する。
【0023】
本発明の実施の形態1に係る空調制御システム100は、図1に示すように、居室空間4に適用される。本実施の形態1に係る空調制御システム100は、空気調和装置1と、温度計測対象物2と、撮像装置3と、を備える。
【0024】
(空気調和装置)
空気調和装置1は、居室空間4の天井に設置されている。空気調和装置1は、図2に示すように、制御情報受信手段11と、エリア別風向・風量制御手段12と、を備える。
【0025】
制御情報受信手段11は、撮像装置3からの制御情報を受信する。制御情報受信手段11と撮像装置3との間の通信手段として、無線通信や赤外線通信、有線通信、光通信などの通信手段を用いることができる。
【0026】
エリア別風向・風量制御手段12は、制御情報受信手段11から得られた制御情報に基づいて、特定のエリアへの風向(例えば、ルーバの向き)及び風量などを制御する。
【0027】
(温度計測対象物)
温度計測対象物2は、図1に示すように、居室空間4内に置かれた机の上に載置されている。温度計測対象物2は、図3に示すように、土台部21と、断熱部22と、空気接触部23と、を備える。
【0028】
土台部21は、断熱部22及び空気接触部23を支持する。
【0029】
断熱部22は、断熱材で形成されている。断熱部22は、土台部21及び空気接触部23との接触面積が小さくなるように形成されている。接触面積を小さくすることにより、土台部21から空気接触部23への熱伝導が抑えられるようになっている。
【0030】
空気接触部23は、熱容量が小さく、空気との熱伝達係数が大きい材質で形成されている。このような材質には、例えば、銅などのような金属がある。このような材質を採用すれば、雰囲気温度の変化に対する空気接触部23の表面温度の追従性を極めて高いものとして、空気接触部23の表面温度を、雰囲気温度にできるだけ近づけることができる。空気接触部23の材質としては、熱容量が金属以下で、かつ、空気との熱伝達係数が金属以上である材質を採用すればよい。
【0031】
(撮像装置)
撮像装置3は、居室空間4の天井に設置されている。撮像装置3は、図4に示すように、可視光線撮像手段31と、赤外線撮像手段32と、可視光線画像記憶手段33と、赤外線画像記憶手段34と、温度計測対象物データベース35と、温度計測対象物検出手段36と、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37と、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38と、温度計測手段39と、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40と、空調制御手段41と、制御情報通知手段42と、を備える。
【0032】
可視光線撮像手段31は、可視光線を受光し、居室空間4全体の可視光線画像を撮像する。赤外線撮像手段32は、赤外線を受光して、居室空間4全体の赤外線画像を撮像する。
【0033】
可視光線画像記憶手段33は、可視光線撮像手段31によって撮像された可視光線画像を記憶する。赤外線画像記憶手段34は、赤外線撮像手段32によって撮像された赤外線画像を記憶する。
【0034】
温度計測対象物データベース35には、可視光線画像から温度計測対象物2を抽出するために必要な温度計測対象物2の情報が登録されている。温度計測対象物データベース35に登録された情報には、例えば、温度計測対象物2のテンプレート画像や形状等の特徴量などの情報が含まれている。
【0035】
温度計測対象物検出手段36は、温度計測対象物データベース35に登録された温度計測対象物2の情報を参照して、可視光線画像記憶手段33によって記憶される可視光線画像における温度計測対象物2の位置を検出する。より具体的には、温度計測対象物検出手段36は、温度計測対象物データベース35に登録されたテンプレート画像等や特徴量を用いて、可視光線画像に対してパターンマッチングを行い、温度計測対象物2を抽出し、その位置を特定する。
【0036】
可視光線画像−赤外線画像対応データベース37には、可視光線撮像手段31と赤外線撮像手段32との間の撮像位置や解像度の違いを考慮し、可視光線撮像手段31で撮像された可視光線画像と、赤外線撮像手段32で撮像された赤外線画像とのそれぞれの位置の対応関係に関する情報が格納されている。
【0037】
赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38には、温度計測対象物2の表面の赤外線強度とその赤外線強度に対応する雰囲気温度とが関連付けられて格納されている。赤外線強度とその赤外線強度に対応する雰囲気温度との関係は、予め実験などで計測され、既知となっている。逆に言えば、温度計測対象物2は、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である物である。
【0038】
計測手段及び温度取得手段としての温度計測手段39は、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37及び赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38を参照して、温度計測対象物2周辺の雰囲気温度を、計測する。
【0039】
より具体的には、まず、温度計測手段39は、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37を参照して、温度計測対象物検出手段36によって検出された可視光線画像における温度計測対象物2の位置に対応する赤外線画像の位置を取得する。続いて、温度計測手段39は、取得された赤外線画像の位置における赤外線強度(すなわち、温度計測対象物2の表面温度)を取得する。さらに、温度計測手段39は、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38を参照して、赤外線画像から取得された赤外線強度に対応する雰囲気温度を取得する。
【0040】
可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40には、空気調和装置1が空調制御する居室空間4内のエリア区分と、可視光線画像の各領域とを対応付けした情報が格納されている。
【0041】
例えば、可視光線画像を4分割し、分割された各可視光線画像にそれぞれ対応する空調制御エリアをa〜dとする。エリア区分は、空気調和装置1の吹き出し口およびルーバの可動範囲などにより決定される。例えば、吹き出し口の数により、空調制御エリアを分割し、ルーバの可動範囲の半分の位置でさらに分割することにより、エリア区分を決定することができる。
【0042】
空調制御手段41は、温度計測対象物検出手段36で検出された温度計測対象物2の位置がどの空調制御エリアに対応するかを、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40を参照して決定する。そして、空調制御手段41は、温度計測手段39で得られた温度に基づいて、エリア別風向・風量制御手段12の風向、風量などの制御条件を生成する。
【0043】
制御情報通知手段42は、空調制御手段41で生成された制御情報を、空気調和装置1へ通知する。制御情報通知手段42との空気調和装置1との間の通信手段としては、有線通信、無線通信や赤外線通信、光通信などの様々な通信手段を採用することができる。
【0044】
次に、本実施の形態に係る空調制御システムの動作について、図5乃至図7のフローチャートを中心に説明する。
【0045】
(空調制御システム100の全体動作)
まず、空調制御システム100の全体動作について図5を参照して、説明する。
【0046】
図5に示すように、空調制御システム100は、サンプリング周期が経過するまで待つ(ステップS1;No)。
【0047】
サンプリング周期が経過すると(ステップS1;Yes)、空調制御システム100では、温度計測処理が行われる(ステップS2)。この温度計測処理は、居室空間4内に設置された温度計測対象物2を検出することにより、行われる。
【0048】
続いて、空調制御システム100では、計測された温度に基づいて、空調制御が行われる(ステップS3)。この空調制御では、居室空間4内の1つ又は複数の空調制御エリアにおける風向・風量が決定される。空調制御装置1では、エリア別風向・風量制御手段12が、決定された風向・風量に従って、空調制御エリア別に風向及び風量を調整する。
【0049】
このように、空調制御システム100では、温度計測処理(ステップS2)と空調制御処理(ステップS3)を一定のサンプリング周期で繰り返す。温度計測対象物2の位置が変更されると、次のサンプリング周期で、変更された位置で温度計測対象物2が検出され、対応する空調制御エリアが変更される。
【0050】
(温度計測処理)
ステップS2の温度計測処理について、さらに詳細に説明する。
【0051】
図6に示すように、撮像装置3では、可視光線撮像手段31が、居室空間4全体の可視光線画像を撮像するとともに、赤外線撮像手段32が、居室空間4全体の赤外線画像を撮像する(ステップS11)。
【0052】
続いて、撮像装置3では、可視光線画像記憶手段33が、可視光線画像を記憶するとともに、赤外線画像記憶手段34が、赤外線画像を記憶する(ステップS12)。
【0053】
続いて、撮像装置3では、温度計測対象物データベース35に格納された温度計測対象物2の情報を用いて、可視光線画像記憶手段33に記憶された可視光線画像に対して、パターンマッチングなどを行うことにより、温度計測対象物2の位置を検出する(ステップS13)。
【0054】
続いて、撮像装置3では、温度計測手段39は、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37を参照して、温度計測対象物2の位置に対応する赤外線画像の位置を取得し、その位置における赤外線強度を検出する(ステップS14)。
【0055】
続いて、温度計測手段39は、検出された位置における赤外線強度を取得し、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38を参照して、その位置における赤外線強度に対応する雰囲気温度を取得する(ステップS15)。
【0056】
(空調制御処理)
続いて、ステップS3の空調制御処理について、さらに詳細に説明する。
【0057】
図7に示すように、まず、撮像装置3では、空調制御手段41が、空調制御エリアや空調の風向・風量などの空気調和装置1の制御情報を生成する(ステップS21)。続いて、撮像装置3では、制御情報通知手段42は、制御情報を、空気調和装置1に通知する(ステップS22)。空気調和装置1を構成するエリア別風向・風量制御手段12は、制御情報受信手段11で受信された制御情報に従って、空調制御エリア別に、風向・風量を調整する(ステップS23)。
【0058】
ここで、制御情報の生成方法の一例について説明する。制御情報には、居室空間4において、空調制御エリア、その空調制御エリアに対応する吹き出し口、吹き出し口からの風向き(ルーバの向き)、風量などがある。
【0059】
まず、空調制御手段41は、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40を参照して、温度計測対象物検出手段36で検出された温度計測対象物2の位置に基づいて、調整する空調制御エリアを決定する。そして、空調制御手段41は、調整する空調制御エリアに対応する吹き出し口を決定する。
【0060】
続いて、空調制御手段41は、温度計測手段39で計測された温度計測対象物2周辺の雰囲気温度に基づいて、決定した吹き出し口からの風向・風量を決定する。
【0061】
冷房の場合の風向・風量は、例えば、以下のような方針に従って決定することができる。
【0062】
室内の目標温度より雰囲気温度が低いとき、その空調制御エリアへのルーバの移動は行なわない。また、決定された吹き出し口の対象となる全ての空調制御エリアの雰囲気温度が室内の目標温度より低いとき、その吹き出し口への送風を止める。
【0063】
また、決定された吹き出し口に対応する全ての空調制御エリアの雰囲気温度が室内の目標温度より高いとき、空調制御エリアへのルーバを空調制御エリアへの方向より上向きに設定し、足元を冷やし過ぎないように送風する。
【0064】
続いて、暖房の場合の風向・風量は、例えば、以下のような方針に従って決定することができる。
【0065】
室内の目標温度より雰囲気温度が高いとき、空調制御エリアへのルーバの移動は行わない。また、決定されたその吹き出し口の対象となる全ての空調制御エリアの雰囲気温度が室内の目標温度より高いとき、その吹き出し口への送風を止める。
【0066】
また、室内の目標温度より雰囲気温度が低いとき、その空調制御エリアへのルーバを、空調制御エリアへの方向より下向きに設定し、床から温まるような送風が行われるようにする。
【0067】
なお、1つの吹き出し口から複数の空調制御エリアを制御する場合、上記の方法により決定されたルーバの向きを各空調制御エリアに向けた状態での送風を一定時間行い、これを各空調制御エリアについて順次繰り返すようにしてもよい。また、各ルーバの向きを、最大角と最小角の間で連続的に動かすようにしてもよい。
【0068】
また、複数の温度計測対象物2が同じ空調制御エリアに存在する場合には、空調制御手段41は、例えば、複数の温度計測対象物2の温度の平均に基づいて、空調制御エリアへの風向・風量を決定するようにしてもよいし、いずれか一方だけの温度を空調制御に用いてもよい。
【0069】
以上詳細に説明したように、この実施の形態によれば、この居室空間4全体の赤外線画像と可視光線画像とを撮像し、それらの画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物2の周辺の雰囲気温度を計測する。そして、このように計測された温度計測対象物2の位置及びその雰囲気温度に基づいて、居室空間4内における空調制御エリア別に、空気調和装置1の風向及び風量制御が行われる。
【0070】
温度計測対象物2の表面温度とその周辺の雰囲気温度は既知であるので、赤外線画像から雰囲気温度を高精度に求めることができる。また、温度計測対象物2は、表面温度と雰囲気温度は近くなるような材質で形成されているので、雰囲気温度をさらに高精度に求めることができる。
【0071】
この実施の形態によれば、居室空間4に複数の温度センサを配置する必要がない。これにより、消費電力を低減することができるうえ、センサの保守コストがかからない。
【0072】
また、温度センサなどを用いた場合、空調制御エリア別の空調制御を有効に行うためには、空気調和装置1が温度センサの位置の変更を予め設定しておく必要がある。しかし、この実施の形態では、温度計測対象物2の位置を検出しながら空調制御を行うので、その位置を空気調和装置1に、その都度登録し直さなくても、有効なエリア別空調制御が可能となるうえ、保守・運用コストがかからない。
【0073】
また、居室空間4内の温度計測対象物2には、電力を供給するためのケーブルを接続する必要がないので、温度計測対象物2を、任意の場所に設置することができる。
【0074】
例えば、居室空間4のユーザが温度計測対象物2の設置位置を変更することができるので、ユーザ自身が空調制御エリアを容易に変更することができる。
【0075】
以上のことから、この実施形態によれば、空調制御の消費電力、コストを低減し、各人に適した空調制御が可能となるので、最適な空調制御を容易に実現することができる。
【0076】
また、この実施の形態では、可視光線画像から温度計測対象物2の位置が検出され、その位置に基づいて、赤外線画像から、温度計測対象物2の表面温度が検出され、その周辺の雰囲気温度が取得される。この際、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37を参照することにより、可視光線画像と赤外線画像との位置誤差等が解消される。このようにすれば、温度計測対象物2の位置とその付近の雰囲気温度を、より高精度に計測することができる。
【0077】
また、温度計測対象物2の設置箇所を、空調制御エリアと対応付けることにより、1つのセンサ(撮像装置3)で居室空間4内の複数のエリアを個別に制御することができる。
【0078】
また、温度計測対象物2の設置箇所を空調制御エリアと対応付けることにより、複数の空調制御エリアのうち、空調制御の調整が必要な空調制御エリアに対してだけ、空調制御の調整を行うことができる。
【0079】
また、この実施の形態では、空調制御システム100が、1台の空気調和装置1と、1台又は複数台の温度計測対象物2と、1台の撮像装置3と、を備えるものとした。しかしながら、図8に示すように、空気調和装置1、温度計測対象物2及び撮像装置3は、それぞれ1台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0080】
なお、温度計測対象物2の形状は、図3に示すものに限られない。図9に示すように、温度計測対象物2は、紐状の断熱部22を介して、居室空間4の天井204から空気接触部23を吊すようなものであってもよい。
【0081】
(属性情報)
また、上記実施の形態1では、温度計測対象物2を、位置検出(すなわち空調制御エリアの決定)と温度計測だけに用いた。しかしながら、温度計測対象物2の属性情報(色、形状、文字など)を画像処理などにより検出して、空調制御に利用するようにしてもよい。
【0082】
この場合、図10に示すように、撮像装置3は、温度計測対象物2の属性情報と制御情報(冷房を強めにする、暖房を弱めにするなど)との関係が登録された属性情報データベース43を備えるようにする。撮像装置3の温度計測対象物検出手段36は、可視光線画像から、温度計測対象物2の属性情報を画像処理などにより検出する。さらに、空調制御手段41は、属性情報データベース43を参照して、属性情報に対応する制御情報を取得する。制御情報通知手段42は、得られた制御情報を、空気調和装置1に通知する。
【0083】
例えば、温度計測対象物2の属性情報が、色が赤いことを示している場合には、冷房を強めにしたり、温度計測対象物2の形が四角い場合には、空気調和装置1の送風が、その空調制御エリアに当らないようにしたり、温度計測対象物2の外面に、温度(例えば25℃)が表示されていた場合には、温度計測対象物2の温度がその温度となるように空調を制御してもよい。
【0084】
このように、温度計測対象物2の属性情報を空調制御に利用することにより、温度以外の情報に基づいて、空気調和装置1を制御することができる。これにより、ユーザ自身が、温度計測対象物2の属性情報を変更することにより、空気調和装置1を容易に制御できる。
【0085】
(具体的な利用例)
次に、この実施の形態に係る空調制御システム100の具体的な利用例について説明する。ここでは、空調制御システム100を、オフィスに適用した場合と、ネームプレートに適用した場合と、プルスイッチに適用した場合と、デパートなどの監視カメラに適用した場合と、に分けて説明する。
【0086】
(オフィス)
まず、空調制御システム100が、広いスペースに机が複数並べられているオフィスに適用される場合について説明する。
【0087】
オフィスに空調制御システム100を用いた場合、図1に示すように、居室空間4の天井に撮像装置3を設置し、机1つ1つに温度計測対象物2を設置することで、その机を使用する個人個人を空調制御対象にする。このようにすれば、各人に合った空調制御が可能となる。また、温度計測対象物2の位置を変更するだけで、空調制御エリアを変更することができるので、オフィスのレイアウトやメンテナンスが容易となる。
【0088】
また、前述のように、属性情報に基づいて空調制御を行う場合、より細やかな制御が可能となる。例えば、個人の好みにより温度計測対象物2の属性情報を変えて(例えば、温度計測対象物2の色を赤色に変更して)、風が当らないようにしたり、席を離れる人は温度計測対象物2の属性情報を変えて(例えば、温度計測対象物2の色を青色にして)、空調制御を行わないようにしたりすることができる。
【0089】
通常、オフィスで、ユーザが空調制御を調整することは困難であった。しかし、この空調制御システム100を用いれば、温度計測対象物2の属性情報を変えるだけで、ユーザが容易に空調制御を調整することができる。
【0090】
(ネームプレート)
温度計測対象物2をユーザが携帯するネームプレートに取り付けるようにすれば、個人個人に合った空調制御が可能となる。また、このようにすれば、ユーザがネームプレート等に取り付けられた属性情報を変更するだけで、ユーザが容易に空調制御を調整することができる。
【0091】
(プルスイッチ)
天井に設置された照明1つ1つから、プルスイッチが紐状につるされている場合、天井に撮像装置3を設置し、天井から吊るされたプルスイッチの先端に温度計測対象物2を取り付けることにより、居室空間4の設備を利用して、空調制御を行うことができる。
【0092】
(監視カメラ)
既に監視カメラが設置されているデパートなどでは、監視カメラに撮像装置3の機能を備え、商品棚や壁などに温度計測対象物2を取り付けるようにすれば、デパートの既存設備を利用して、空調制御を行うことができる。
【0093】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0094】
上記実施の形態1では、温度計測対象物2を設置した。しかしながら、この実施の形態では、居室空間4に通常置かれている机や書類などを温度計測対象物2とする。すなわち、この実施の形態では、温度計測対象物2が、居室空間4に通常設置されている物となる。
【0095】
この実施の形態について、図11及び図12を参照して説明する。この実施の形態に係る空調制御システム100は、撮像装置3に代えて、図11に示す撮像装置3Bを1台備える点が上記実施の形態1と異なる。
【0096】
この実施の形態では、居室空間4内の机や椅子、書類、ネームプレートなどを温度計測対象物2として検出し、その雰囲気温度を計測する。
【0097】
図11に示すように、この実施の形態に係る撮像装置3Bは、温度計測対象物データベース35Bと、温度計測対象物検出手段36Bと、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38Bと、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40Bと、空調制御手段41Bと、を備える点が、上記実施の形態1に係る撮像装置3と異なる。
【0098】
(温度計測対象物の検出)
温度計測対象物データベース35Bには、温度計測対象物2のパターンマッチングや選定に必要な情報が格納されている。例えば、机や椅子、書類などのテンプレート画像や形状を示す特徴量や、そのテンプレート画像が撮像されたときの撮像時刻、温度計測対象物2として検出された検出回数などの情報が格納される。
【0099】
温度計測対象物検出手段36Bは、まず、温度計測対象物データベース35Bに格納された情報を用いて、可視光線画像記憶手段33に記憶された可視光線画像の中から温度計測対象物2の候補を抽出し、その位置を検出する。
【0100】
さらに、温度計測対象物検出手段36Bは、抽出された温度計測対象物2の候補の中から、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40Bに示される空調制御エリア各々に、1つの温度計測対象物2を選定する。
【0101】
赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38Bには、例えば、机や椅子、書類などの温度計測対象物2の赤外線強度とその赤外線強度に対応する雰囲気温度が格納される。赤外線強度と該赤外線強度に対応する雰囲気温度の関係は、予め実験などで計測され、保持されている。
【0102】
可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40Bには、空気調和装置1が空調制御するエリア区分と、可視光線画像とを対応付けした情報が格納される。例えば、可視光線画像を4分割し、それぞれを空調制御エリアa〜dとする。
【0103】
空調制御手段41Bは、温度計測対象物検出手段36Bで検出された温度計測対象物2周辺の雰囲気温度に基づいて、各空調制御エリアにおける空調制御の制御条件を生成する。
【0104】
次に、本実施の形態に係る空調制御システム100の動作について、図12のフローチャートを中心に説明する。この実施の形態に係る空調制御システム100も、図5に示すように、一定周期で(ステップS1;Yes)、温度計測処理(ステップS2)及び空調制御処理(ステップS3)を繰り返す。
【0105】
(温度計測処理)
図12には、この実施の形態に係る温度計測処理のフローチャートが示されている。
【0106】
図12に示すように、撮像装置3Bでは、可視光線撮像手段31が、居室空間4全体の可視光線画像を撮像するとともに、赤外線撮像手段32が、居室空間4全体の赤外線画像を撮像する(ステップS11)。
【0107】
続いて、可視光線画像記憶手段33が、可視光線画像を記憶するとともに、赤外線画像記憶手段34が、赤外線画像を記憶する(ステップS12)。
【0108】
続いて、温度計測対象物検出手段36Bが、温度計測対象物データベース35Bに格納された情報を用いて、可視光線画像記憶手段33で記憶された可視光線画像から温度計測対象物2の候補及びその位置を画像処理等により抽出する(ステップS16)。
【0109】
続いて、温度計測対象物検出手段36Bは、検出した温度計測対象物2の候補から、例えば、検出回数が多いものや、色が黒に近いもの(すなわち、赤外線放射が強い傾向にあるもの)を、各空調制御エリアの温度計測対象物2として選定する(ステップS17)。
【0110】
続いて、撮像装置3Bでは、温度計測手段39は、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37を参照して、選定された温度計測対象物2の位置に対応する赤外線画像の赤外線強度を検出する(ステップS14)。
【0111】
続いて、温度計測手段39は、検出された位置における赤外線強度を取得し、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38Bを参照して、その位置における赤外線強度に対応する雰囲気温度を取得する(ステップS15)。
【0112】
ステップS3の空調制御処理は、上記実施の形態1と同じである(図7参照)。
【0113】
以上詳細に説明したように、この実施の形態によれば、机や椅子、書類など、居室空間4に通常存在する物を、温度計測対象物2の候補として抽出し、抽出された該温度計測対象物2の候補から空調制御エリアごとに温度計測対象物2を選定した。このように、居室空間4に通常存在する物を温度計測対象物とするので、温度計測対象物をわざわざ用意する必要がなくなる。このため、コストなどの面で有利となる。
【0114】
もっとも、上記実施の形態1に係る温度計測対象物2を、本実施の形態に係る温度計測対象物として用いてもよい。
【0115】
なお、可視光線撮像手段31及び赤外線撮像手段32は、それぞれ個別のカメラで可視光線画像と赤外線画像とを撮像するものであってもよいし、同一のカメラで可視光線画像と赤外線画像とを撮像するものであってもよい。
【0116】
カメラを別々にする場合には、例えば、可視光線撮像手段31内に可視光線カメラが設けられ、赤外線撮像手段32内に赤外線カメラが設けられる。そして、それぞれのカメラで赤外線画像と可視光線画像とが撮像される。
【0117】
カメラが同一である場合には、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37は必要ない。また、カメラが同一である場合、そのカメラは、可視光線領域から赤外線領域までの広い波長領域を撮像可能なカメラである必要がある。赤外線を受光する場合は、可視光線の入光を遮断するフィルタを駆動させて、そのフィルタをレンズに取り付け可視光線を遮断し、可視光線を受光する場合は、該フィルタを駆動させて、そのフィルタをレンズから取り外すようにして、撮像を行えばよい。
【0118】
なお、上記各実施の形態では、撮像装置3が、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40、40Bと、空調制御手段41、41Bと、を備えている。しかしながら、空気調和装置1が、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40等と、空調制御手段41等と、を備えるようにしてもよい。
【0119】
また、上記各実施の形態では、撮像装置3と、空気調和装置1と、を別々としたが、図13に示すように、空気調和装置1が、撮像装置3の構成要素を内蔵していてもよい。この場合、制御情報受信手段11(図2参照)及び制御情報通知手段42(図4参照)は不要となる。
【0120】
このとき、空気調和装置1が複数設置されており、撮像装置3と、空気調和装置1と、が1対1対応ではない場合、制御する空気調和装置1を選択する空気調和装置の選択手段を備えるようにしても良い。空気調和装置の選択手段は、制御する空気調和装置1を、温度計測対象物2の位置に基づいて選択する。
【0121】
(除湿・加湿制御への応用)
また、上記各実施の形態における空気調和装置1では、エリアごとに空調の風向・風量を調整していたが、さらに、除湿や加湿を行ってもよいし、空気清浄の制御を調整するようにしても良い。この場合には、除湿・加湿を制御するために必要な湿度を、湿度計により取得する。湿度計を室内に設置し、可視光線撮像手段31で湿度計を撮像し、空調制御手段41で、湿度計の値やゲージなどを画像処理などにより取得すればよい。前述の属性情報と対応付けされた制御情報として、「空気清浄を行う」や「除湿を行う」等を設定すれば、除湿や加湿、空気清浄の制御が可能となる。
【0122】
(火災検知への応用)
また、撮像された可視光線画像及び赤外線画像を用いて、火災検知を行っても良い。例えば、画像処理により、可視光線画像から、温度計測対象物2として炎が検出され、同じ領域から、炎と同程度の高温領域が検出された場合には、停止信号を空気調和装置1に送信したり、アラームを鳴らしたりする。
【0123】
上述のようにすれば、この空調制御システム100を、災害対策にも適用することができる。
【0124】
なお、温度計測対象物2については、検出し易くするため、図14に示すような構造とすることができる。図14に示すように、計測対象物50を、熱容量が小さく、表面温度が雰囲気温度と近い材質で形成し、その計測対象物50の周囲を、熱容量が大きく、雰囲気温度との差異が大きい材質の被覆51でコーティングする。この場合には、赤外線画像から被覆51を検出し、計測対象物50の赤外線強度に基づいて、雰囲気温度を計測することができる。このようにすれば、赤外線画像からも温度計測対象物2の位置を特定し、可視光線画像から求められた温度計測対象物2の位置と照合することができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、居室空間の空調制御に好適である。
【符号の説明】
【0126】
1 空気調和装置
2 温度計測対象物
3、3B 撮像装置
4 居室空間
11 制御情報受信手段
12 エリア別風向・風量制御手段
21 土台部
22 断熱部
23 空気接触部
31 可視光線撮像手段
32 赤外線撮像手段
33 可視光線画像記憶手段
34 赤外線画像記憶手段
35、35B 温度計測対象物データベース
36、36B 温度計測対象物検出手段
37 可視光線画像−赤外線画像対応データベース
38、38B 赤外線強度−雰囲気温度対応データベース
39 温度計測手段
40、40B 可視光線画像−空調制御エリア対応データベース
41、41B 空調制御手段
42 制御情報通知手段
43 属性情報データベース
50 計測対象物
51 被覆
100 空調制御システム
204 天井
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調制御を行う空調制御システム、空気調和装置及び空調制御方法、居室空間の温度を計測する温度計測システム及び温度計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化やエネルギ資源の枯渇などの問題やコスト削減の観点から、消費電力の低減が非常な課題となっている。空気調和装置や照明装置にも、使用していない場合には、電源をオフにするといったような省電力機能を備えるものが増えてきている。空気調和装置では、消費される電力が大きいため、省電力化が特に重要である。
【0003】
空気調和装置を用いて空調制御を行う空調制御システムでは、通常、例えば、空気調和装置に設置された温度センサにより温度を測定し、その測定結果に基づいて空調制御を行っている。しかし、居室空間の温度分布にはムラがあるため、ある場所では、冷暖房が効き過ぎたり、他の場所では、逆に冷暖房が弱過ぎたりする。このようなムラが、消費電力の増大を招く。
【0004】
居室空間内の複数のエリア各々に温度センサを設置して、各温度センサでそのエリアの温度を測定し、それぞれのエリアに区分して空調制御を行い、過不足のない冷暖房にすれば、快適な環境と省電力化とを両立させることは可能である。
【0005】
また、複数のエリアの温度をそれぞれ検出する複数の赤外線センサを備える空調制御システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平7−088957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載の空調制御システムでは、赤外線センサは、その視野内に捉えた物体の表面温度を測定する。例えば、赤外線センサの視野内に什器や床や壁があると、その什器や床や壁の表面温度が測定される。この場合、什器や床などの表面温度が、空調制御に必要な雰囲気温度を表しているとは限らず、これらの表面温度と雰囲気温度とのずれが大きいと、適切な空調制御を行うことができない。
【0008】
また、温度センサを居室空間の複数のエリアにそれぞれ設置すれば、そのエリアの正確な雰囲気温度を計測して、空気調和装置におけるエリア別空調制御が可能になる。しかしながら、この場合には、各温度センサに供給される電力や、各温度センサで計測された温度や各温度センサの位置を空気調和装置に送信する通信手段に要する電力が必要になる。
【0009】
また、温度センサの位置を空気調和装置に予め登録しておけば、通知すべき情報は温度のみになる。しかしながら、この場合、温度センサの位置を変更する度に、温度センサの位置を登録し直す必要があるため、保守・運用コストがかかる。
【0010】
快適であると感じる環境には個人差がある。例えば、空気調和装置からの風を受けたくないという人もいれば、温度は高めがいいと感じる人もいる。したがって、1人1人に合わせた空調制御を行うようにすれば、快適度が向上するうえ、省電力化も実現される。しかしながら、例えばオフィスなどの場合、複数の空気調和装置が設置されていたとしても、1人1人が空気調和装置の設定を調整するのは、ユーザにとって非常に煩わしい作業となる。
【0011】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、最適なエリア空調制御を容易に実現することができる空調制御システム、空気調和装置、空調制御方法、温度計測システム及び温度計測方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、この発明に係る空調制御システムにおいて、可視光線撮像手段は、居室空間全体の可視光線画像を撮像する。赤外線撮像手段は、居室空間全体の赤外線画像を撮像する。位置検出手段は、可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する。計測手段は、検出された複数の位置にそれぞれ対応する赤外線画像の赤外線強度を計測する。温度取得手段は、計測された複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する。制御手段は、取得された複数の位置の雰囲気温度に基づいて、居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、居室空間全体の赤外線画像と可視光線画像とが撮像される。そして、それらの画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物の位置及びその周辺の雰囲気温度が計測される。そして、このように計測された位置及び雰囲気温度に基づいて、居室空間のエリア別の空調制御が行われる。
【0014】
この発明によれば、温度計測対象物の表面温度とその周辺の雰囲気温度は既知であるので、赤外線画像から雰囲気温度を正確に求めることができる。
【0015】
また、この発明によれば、雰囲気温度を計測するエリアに温度センサを配置する必要がない。これにより、消費電力を低減することができるうえ、温度センサの保守コストがかからない。
【0016】
また、この発明によれば、温度計測対象物の位置を検出しながら空調制御を行うので、その位置を空気調和装置に、その都度登録し直さなくても、有効なエリア別空調制御が可能となるうえ、保守・運用コストがかからない。
【0017】
また、居室空間内のある温度計測対象物には、電力を供給するためのケーブルを接続する必要がないので、温度計測対象物を任意の場所に設置することができる。
【0018】
さらに、居室空間内のユーザが温度計測対象物の設置位置を変更することができるので、ユーザ自身が空調制御エリアを容易に変更することができる。
【0019】
以上のことから、この発明を用いれば、空調制御の消費電力、コストを低減し、各人に適した空調制御が可能となるので、最適な空調制御を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る空調制御システムによって空調が制御される居室空間の一例を示す模式図である。
【図2】図1の空気調和装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1の温度計測対象物の外観を示す図である。
【図4】図1の撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図5】空調制御システムのメイン処理のフローチャートである。
【図6】図5の温度計測処理のフローチャートである。
【図7】図5の空調制御処理のフローチャートである。
【図8】図1の空調制御システムの変形例を説明するための図である。
【図9】温度計測対象物の変形例(その1)を説明するための図である。
【図10】図1の撮像装置の変形例の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る空調制御システムを構成する撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る空調制御システムの温度計測処理のフローチャートである。
【図13】空気調和装置の変形例を説明するための図である。
【図14】温度計測対象物の変形例(その2)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
実施の形態1.
まず、実施の形態1について説明する。
【0023】
本発明の実施の形態1に係る空調制御システム100は、図1に示すように、居室空間4に適用される。本実施の形態1に係る空調制御システム100は、空気調和装置1と、温度計測対象物2と、撮像装置3と、を備える。
【0024】
(空気調和装置)
空気調和装置1は、居室空間4の天井に設置されている。空気調和装置1は、図2に示すように、制御情報受信手段11と、エリア別風向・風量制御手段12と、を備える。
【0025】
制御情報受信手段11は、撮像装置3からの制御情報を受信する。制御情報受信手段11と撮像装置3との間の通信手段として、無線通信や赤外線通信、有線通信、光通信などの通信手段を用いることができる。
【0026】
エリア別風向・風量制御手段12は、制御情報受信手段11から得られた制御情報に基づいて、特定のエリアへの風向(例えば、ルーバの向き)及び風量などを制御する。
【0027】
(温度計測対象物)
温度計測対象物2は、図1に示すように、居室空間4内に置かれた机の上に載置されている。温度計測対象物2は、図3に示すように、土台部21と、断熱部22と、空気接触部23と、を備える。
【0028】
土台部21は、断熱部22及び空気接触部23を支持する。
【0029】
断熱部22は、断熱材で形成されている。断熱部22は、土台部21及び空気接触部23との接触面積が小さくなるように形成されている。接触面積を小さくすることにより、土台部21から空気接触部23への熱伝導が抑えられるようになっている。
【0030】
空気接触部23は、熱容量が小さく、空気との熱伝達係数が大きい材質で形成されている。このような材質には、例えば、銅などのような金属がある。このような材質を採用すれば、雰囲気温度の変化に対する空気接触部23の表面温度の追従性を極めて高いものとして、空気接触部23の表面温度を、雰囲気温度にできるだけ近づけることができる。空気接触部23の材質としては、熱容量が金属以下で、かつ、空気との熱伝達係数が金属以上である材質を採用すればよい。
【0031】
(撮像装置)
撮像装置3は、居室空間4の天井に設置されている。撮像装置3は、図4に示すように、可視光線撮像手段31と、赤外線撮像手段32と、可視光線画像記憶手段33と、赤外線画像記憶手段34と、温度計測対象物データベース35と、温度計測対象物検出手段36と、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37と、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38と、温度計測手段39と、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40と、空調制御手段41と、制御情報通知手段42と、を備える。
【0032】
可視光線撮像手段31は、可視光線を受光し、居室空間4全体の可視光線画像を撮像する。赤外線撮像手段32は、赤外線を受光して、居室空間4全体の赤外線画像を撮像する。
【0033】
可視光線画像記憶手段33は、可視光線撮像手段31によって撮像された可視光線画像を記憶する。赤外線画像記憶手段34は、赤外線撮像手段32によって撮像された赤外線画像を記憶する。
【0034】
温度計測対象物データベース35には、可視光線画像から温度計測対象物2を抽出するために必要な温度計測対象物2の情報が登録されている。温度計測対象物データベース35に登録された情報には、例えば、温度計測対象物2のテンプレート画像や形状等の特徴量などの情報が含まれている。
【0035】
温度計測対象物検出手段36は、温度計測対象物データベース35に登録された温度計測対象物2の情報を参照して、可視光線画像記憶手段33によって記憶される可視光線画像における温度計測対象物2の位置を検出する。より具体的には、温度計測対象物検出手段36は、温度計測対象物データベース35に登録されたテンプレート画像等や特徴量を用いて、可視光線画像に対してパターンマッチングを行い、温度計測対象物2を抽出し、その位置を特定する。
【0036】
可視光線画像−赤外線画像対応データベース37には、可視光線撮像手段31と赤外線撮像手段32との間の撮像位置や解像度の違いを考慮し、可視光線撮像手段31で撮像された可視光線画像と、赤外線撮像手段32で撮像された赤外線画像とのそれぞれの位置の対応関係に関する情報が格納されている。
【0037】
赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38には、温度計測対象物2の表面の赤外線強度とその赤外線強度に対応する雰囲気温度とが関連付けられて格納されている。赤外線強度とその赤外線強度に対応する雰囲気温度との関係は、予め実験などで計測され、既知となっている。逆に言えば、温度計測対象物2は、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である物である。
【0038】
計測手段及び温度取得手段としての温度計測手段39は、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37及び赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38を参照して、温度計測対象物2周辺の雰囲気温度を、計測する。
【0039】
より具体的には、まず、温度計測手段39は、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37を参照して、温度計測対象物検出手段36によって検出された可視光線画像における温度計測対象物2の位置に対応する赤外線画像の位置を取得する。続いて、温度計測手段39は、取得された赤外線画像の位置における赤外線強度(すなわち、温度計測対象物2の表面温度)を取得する。さらに、温度計測手段39は、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38を参照して、赤外線画像から取得された赤外線強度に対応する雰囲気温度を取得する。
【0040】
可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40には、空気調和装置1が空調制御する居室空間4内のエリア区分と、可視光線画像の各領域とを対応付けした情報が格納されている。
【0041】
例えば、可視光線画像を4分割し、分割された各可視光線画像にそれぞれ対応する空調制御エリアをa〜dとする。エリア区分は、空気調和装置1の吹き出し口およびルーバの可動範囲などにより決定される。例えば、吹き出し口の数により、空調制御エリアを分割し、ルーバの可動範囲の半分の位置でさらに分割することにより、エリア区分を決定することができる。
【0042】
空調制御手段41は、温度計測対象物検出手段36で検出された温度計測対象物2の位置がどの空調制御エリアに対応するかを、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40を参照して決定する。そして、空調制御手段41は、温度計測手段39で得られた温度に基づいて、エリア別風向・風量制御手段12の風向、風量などの制御条件を生成する。
【0043】
制御情報通知手段42は、空調制御手段41で生成された制御情報を、空気調和装置1へ通知する。制御情報通知手段42との空気調和装置1との間の通信手段としては、有線通信、無線通信や赤外線通信、光通信などの様々な通信手段を採用することができる。
【0044】
次に、本実施の形態に係る空調制御システムの動作について、図5乃至図7のフローチャートを中心に説明する。
【0045】
(空調制御システム100の全体動作)
まず、空調制御システム100の全体動作について図5を参照して、説明する。
【0046】
図5に示すように、空調制御システム100は、サンプリング周期が経過するまで待つ(ステップS1;No)。
【0047】
サンプリング周期が経過すると(ステップS1;Yes)、空調制御システム100では、温度計測処理が行われる(ステップS2)。この温度計測処理は、居室空間4内に設置された温度計測対象物2を検出することにより、行われる。
【0048】
続いて、空調制御システム100では、計測された温度に基づいて、空調制御が行われる(ステップS3)。この空調制御では、居室空間4内の1つ又は複数の空調制御エリアにおける風向・風量が決定される。空調制御装置1では、エリア別風向・風量制御手段12が、決定された風向・風量に従って、空調制御エリア別に風向及び風量を調整する。
【0049】
このように、空調制御システム100では、温度計測処理(ステップS2)と空調制御処理(ステップS3)を一定のサンプリング周期で繰り返す。温度計測対象物2の位置が変更されると、次のサンプリング周期で、変更された位置で温度計測対象物2が検出され、対応する空調制御エリアが変更される。
【0050】
(温度計測処理)
ステップS2の温度計測処理について、さらに詳細に説明する。
【0051】
図6に示すように、撮像装置3では、可視光線撮像手段31が、居室空間4全体の可視光線画像を撮像するとともに、赤外線撮像手段32が、居室空間4全体の赤外線画像を撮像する(ステップS11)。
【0052】
続いて、撮像装置3では、可視光線画像記憶手段33が、可視光線画像を記憶するとともに、赤外線画像記憶手段34が、赤外線画像を記憶する(ステップS12)。
【0053】
続いて、撮像装置3では、温度計測対象物データベース35に格納された温度計測対象物2の情報を用いて、可視光線画像記憶手段33に記憶された可視光線画像に対して、パターンマッチングなどを行うことにより、温度計測対象物2の位置を検出する(ステップS13)。
【0054】
続いて、撮像装置3では、温度計測手段39は、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37を参照して、温度計測対象物2の位置に対応する赤外線画像の位置を取得し、その位置における赤外線強度を検出する(ステップS14)。
【0055】
続いて、温度計測手段39は、検出された位置における赤外線強度を取得し、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38を参照して、その位置における赤外線強度に対応する雰囲気温度を取得する(ステップS15)。
【0056】
(空調制御処理)
続いて、ステップS3の空調制御処理について、さらに詳細に説明する。
【0057】
図7に示すように、まず、撮像装置3では、空調制御手段41が、空調制御エリアや空調の風向・風量などの空気調和装置1の制御情報を生成する(ステップS21)。続いて、撮像装置3では、制御情報通知手段42は、制御情報を、空気調和装置1に通知する(ステップS22)。空気調和装置1を構成するエリア別風向・風量制御手段12は、制御情報受信手段11で受信された制御情報に従って、空調制御エリア別に、風向・風量を調整する(ステップS23)。
【0058】
ここで、制御情報の生成方法の一例について説明する。制御情報には、居室空間4において、空調制御エリア、その空調制御エリアに対応する吹き出し口、吹き出し口からの風向き(ルーバの向き)、風量などがある。
【0059】
まず、空調制御手段41は、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40を参照して、温度計測対象物検出手段36で検出された温度計測対象物2の位置に基づいて、調整する空調制御エリアを決定する。そして、空調制御手段41は、調整する空調制御エリアに対応する吹き出し口を決定する。
【0060】
続いて、空調制御手段41は、温度計測手段39で計測された温度計測対象物2周辺の雰囲気温度に基づいて、決定した吹き出し口からの風向・風量を決定する。
【0061】
冷房の場合の風向・風量は、例えば、以下のような方針に従って決定することができる。
【0062】
室内の目標温度より雰囲気温度が低いとき、その空調制御エリアへのルーバの移動は行なわない。また、決定された吹き出し口の対象となる全ての空調制御エリアの雰囲気温度が室内の目標温度より低いとき、その吹き出し口への送風を止める。
【0063】
また、決定された吹き出し口に対応する全ての空調制御エリアの雰囲気温度が室内の目標温度より高いとき、空調制御エリアへのルーバを空調制御エリアへの方向より上向きに設定し、足元を冷やし過ぎないように送風する。
【0064】
続いて、暖房の場合の風向・風量は、例えば、以下のような方針に従って決定することができる。
【0065】
室内の目標温度より雰囲気温度が高いとき、空調制御エリアへのルーバの移動は行わない。また、決定されたその吹き出し口の対象となる全ての空調制御エリアの雰囲気温度が室内の目標温度より高いとき、その吹き出し口への送風を止める。
【0066】
また、室内の目標温度より雰囲気温度が低いとき、その空調制御エリアへのルーバを、空調制御エリアへの方向より下向きに設定し、床から温まるような送風が行われるようにする。
【0067】
なお、1つの吹き出し口から複数の空調制御エリアを制御する場合、上記の方法により決定されたルーバの向きを各空調制御エリアに向けた状態での送風を一定時間行い、これを各空調制御エリアについて順次繰り返すようにしてもよい。また、各ルーバの向きを、最大角と最小角の間で連続的に動かすようにしてもよい。
【0068】
また、複数の温度計測対象物2が同じ空調制御エリアに存在する場合には、空調制御手段41は、例えば、複数の温度計測対象物2の温度の平均に基づいて、空調制御エリアへの風向・風量を決定するようにしてもよいし、いずれか一方だけの温度を空調制御に用いてもよい。
【0069】
以上詳細に説明したように、この実施の形態によれば、この居室空間4全体の赤外線画像と可視光線画像とを撮像し、それらの画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物2の周辺の雰囲気温度を計測する。そして、このように計測された温度計測対象物2の位置及びその雰囲気温度に基づいて、居室空間4内における空調制御エリア別に、空気調和装置1の風向及び風量制御が行われる。
【0070】
温度計測対象物2の表面温度とその周辺の雰囲気温度は既知であるので、赤外線画像から雰囲気温度を高精度に求めることができる。また、温度計測対象物2は、表面温度と雰囲気温度は近くなるような材質で形成されているので、雰囲気温度をさらに高精度に求めることができる。
【0071】
この実施の形態によれば、居室空間4に複数の温度センサを配置する必要がない。これにより、消費電力を低減することができるうえ、センサの保守コストがかからない。
【0072】
また、温度センサなどを用いた場合、空調制御エリア別の空調制御を有効に行うためには、空気調和装置1が温度センサの位置の変更を予め設定しておく必要がある。しかし、この実施の形態では、温度計測対象物2の位置を検出しながら空調制御を行うので、その位置を空気調和装置1に、その都度登録し直さなくても、有効なエリア別空調制御が可能となるうえ、保守・運用コストがかからない。
【0073】
また、居室空間4内の温度計測対象物2には、電力を供給するためのケーブルを接続する必要がないので、温度計測対象物2を、任意の場所に設置することができる。
【0074】
例えば、居室空間4のユーザが温度計測対象物2の設置位置を変更することができるので、ユーザ自身が空調制御エリアを容易に変更することができる。
【0075】
以上のことから、この実施形態によれば、空調制御の消費電力、コストを低減し、各人に適した空調制御が可能となるので、最適な空調制御を容易に実現することができる。
【0076】
また、この実施の形態では、可視光線画像から温度計測対象物2の位置が検出され、その位置に基づいて、赤外線画像から、温度計測対象物2の表面温度が検出され、その周辺の雰囲気温度が取得される。この際、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37を参照することにより、可視光線画像と赤外線画像との位置誤差等が解消される。このようにすれば、温度計測対象物2の位置とその付近の雰囲気温度を、より高精度に計測することができる。
【0077】
また、温度計測対象物2の設置箇所を、空調制御エリアと対応付けることにより、1つのセンサ(撮像装置3)で居室空間4内の複数のエリアを個別に制御することができる。
【0078】
また、温度計測対象物2の設置箇所を空調制御エリアと対応付けることにより、複数の空調制御エリアのうち、空調制御の調整が必要な空調制御エリアに対してだけ、空調制御の調整を行うことができる。
【0079】
また、この実施の形態では、空調制御システム100が、1台の空気調和装置1と、1台又は複数台の温度計測対象物2と、1台の撮像装置3と、を備えるものとした。しかしながら、図8に示すように、空気調和装置1、温度計測対象物2及び撮像装置3は、それぞれ1台であってもよいし、複数台であってもよい。
【0080】
なお、温度計測対象物2の形状は、図3に示すものに限られない。図9に示すように、温度計測対象物2は、紐状の断熱部22を介して、居室空間4の天井204から空気接触部23を吊すようなものであってもよい。
【0081】
(属性情報)
また、上記実施の形態1では、温度計測対象物2を、位置検出(すなわち空調制御エリアの決定)と温度計測だけに用いた。しかしながら、温度計測対象物2の属性情報(色、形状、文字など)を画像処理などにより検出して、空調制御に利用するようにしてもよい。
【0082】
この場合、図10に示すように、撮像装置3は、温度計測対象物2の属性情報と制御情報(冷房を強めにする、暖房を弱めにするなど)との関係が登録された属性情報データベース43を備えるようにする。撮像装置3の温度計測対象物検出手段36は、可視光線画像から、温度計測対象物2の属性情報を画像処理などにより検出する。さらに、空調制御手段41は、属性情報データベース43を参照して、属性情報に対応する制御情報を取得する。制御情報通知手段42は、得られた制御情報を、空気調和装置1に通知する。
【0083】
例えば、温度計測対象物2の属性情報が、色が赤いことを示している場合には、冷房を強めにしたり、温度計測対象物2の形が四角い場合には、空気調和装置1の送風が、その空調制御エリアに当らないようにしたり、温度計測対象物2の外面に、温度(例えば25℃)が表示されていた場合には、温度計測対象物2の温度がその温度となるように空調を制御してもよい。
【0084】
このように、温度計測対象物2の属性情報を空調制御に利用することにより、温度以外の情報に基づいて、空気調和装置1を制御することができる。これにより、ユーザ自身が、温度計測対象物2の属性情報を変更することにより、空気調和装置1を容易に制御できる。
【0085】
(具体的な利用例)
次に、この実施の形態に係る空調制御システム100の具体的な利用例について説明する。ここでは、空調制御システム100を、オフィスに適用した場合と、ネームプレートに適用した場合と、プルスイッチに適用した場合と、デパートなどの監視カメラに適用した場合と、に分けて説明する。
【0086】
(オフィス)
まず、空調制御システム100が、広いスペースに机が複数並べられているオフィスに適用される場合について説明する。
【0087】
オフィスに空調制御システム100を用いた場合、図1に示すように、居室空間4の天井に撮像装置3を設置し、机1つ1つに温度計測対象物2を設置することで、その机を使用する個人個人を空調制御対象にする。このようにすれば、各人に合った空調制御が可能となる。また、温度計測対象物2の位置を変更するだけで、空調制御エリアを変更することができるので、オフィスのレイアウトやメンテナンスが容易となる。
【0088】
また、前述のように、属性情報に基づいて空調制御を行う場合、より細やかな制御が可能となる。例えば、個人の好みにより温度計測対象物2の属性情報を変えて(例えば、温度計測対象物2の色を赤色に変更して)、風が当らないようにしたり、席を離れる人は温度計測対象物2の属性情報を変えて(例えば、温度計測対象物2の色を青色にして)、空調制御を行わないようにしたりすることができる。
【0089】
通常、オフィスで、ユーザが空調制御を調整することは困難であった。しかし、この空調制御システム100を用いれば、温度計測対象物2の属性情報を変えるだけで、ユーザが容易に空調制御を調整することができる。
【0090】
(ネームプレート)
温度計測対象物2をユーザが携帯するネームプレートに取り付けるようにすれば、個人個人に合った空調制御が可能となる。また、このようにすれば、ユーザがネームプレート等に取り付けられた属性情報を変更するだけで、ユーザが容易に空調制御を調整することができる。
【0091】
(プルスイッチ)
天井に設置された照明1つ1つから、プルスイッチが紐状につるされている場合、天井に撮像装置3を設置し、天井から吊るされたプルスイッチの先端に温度計測対象物2を取り付けることにより、居室空間4の設備を利用して、空調制御を行うことができる。
【0092】
(監視カメラ)
既に監視カメラが設置されているデパートなどでは、監視カメラに撮像装置3の機能を備え、商品棚や壁などに温度計測対象物2を取り付けるようにすれば、デパートの既存設備を利用して、空調制御を行うことができる。
【0093】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0094】
上記実施の形態1では、温度計測対象物2を設置した。しかしながら、この実施の形態では、居室空間4に通常置かれている机や書類などを温度計測対象物2とする。すなわち、この実施の形態では、温度計測対象物2が、居室空間4に通常設置されている物となる。
【0095】
この実施の形態について、図11及び図12を参照して説明する。この実施の形態に係る空調制御システム100は、撮像装置3に代えて、図11に示す撮像装置3Bを1台備える点が上記実施の形態1と異なる。
【0096】
この実施の形態では、居室空間4内の机や椅子、書類、ネームプレートなどを温度計測対象物2として検出し、その雰囲気温度を計測する。
【0097】
図11に示すように、この実施の形態に係る撮像装置3Bは、温度計測対象物データベース35Bと、温度計測対象物検出手段36Bと、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38Bと、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40Bと、空調制御手段41Bと、を備える点が、上記実施の形態1に係る撮像装置3と異なる。
【0098】
(温度計測対象物の検出)
温度計測対象物データベース35Bには、温度計測対象物2のパターンマッチングや選定に必要な情報が格納されている。例えば、机や椅子、書類などのテンプレート画像や形状を示す特徴量や、そのテンプレート画像が撮像されたときの撮像時刻、温度計測対象物2として検出された検出回数などの情報が格納される。
【0099】
温度計測対象物検出手段36Bは、まず、温度計測対象物データベース35Bに格納された情報を用いて、可視光線画像記憶手段33に記憶された可視光線画像の中から温度計測対象物2の候補を抽出し、その位置を検出する。
【0100】
さらに、温度計測対象物検出手段36Bは、抽出された温度計測対象物2の候補の中から、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40Bに示される空調制御エリア各々に、1つの温度計測対象物2を選定する。
【0101】
赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38Bには、例えば、机や椅子、書類などの温度計測対象物2の赤外線強度とその赤外線強度に対応する雰囲気温度が格納される。赤外線強度と該赤外線強度に対応する雰囲気温度の関係は、予め実験などで計測され、保持されている。
【0102】
可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40Bには、空気調和装置1が空調制御するエリア区分と、可視光線画像とを対応付けした情報が格納される。例えば、可視光線画像を4分割し、それぞれを空調制御エリアa〜dとする。
【0103】
空調制御手段41Bは、温度計測対象物検出手段36Bで検出された温度計測対象物2周辺の雰囲気温度に基づいて、各空調制御エリアにおける空調制御の制御条件を生成する。
【0104】
次に、本実施の形態に係る空調制御システム100の動作について、図12のフローチャートを中心に説明する。この実施の形態に係る空調制御システム100も、図5に示すように、一定周期で(ステップS1;Yes)、温度計測処理(ステップS2)及び空調制御処理(ステップS3)を繰り返す。
【0105】
(温度計測処理)
図12には、この実施の形態に係る温度計測処理のフローチャートが示されている。
【0106】
図12に示すように、撮像装置3Bでは、可視光線撮像手段31が、居室空間4全体の可視光線画像を撮像するとともに、赤外線撮像手段32が、居室空間4全体の赤外線画像を撮像する(ステップS11)。
【0107】
続いて、可視光線画像記憶手段33が、可視光線画像を記憶するとともに、赤外線画像記憶手段34が、赤外線画像を記憶する(ステップS12)。
【0108】
続いて、温度計測対象物検出手段36Bが、温度計測対象物データベース35Bに格納された情報を用いて、可視光線画像記憶手段33で記憶された可視光線画像から温度計測対象物2の候補及びその位置を画像処理等により抽出する(ステップS16)。
【0109】
続いて、温度計測対象物検出手段36Bは、検出した温度計測対象物2の候補から、例えば、検出回数が多いものや、色が黒に近いもの(すなわち、赤外線放射が強い傾向にあるもの)を、各空調制御エリアの温度計測対象物2として選定する(ステップS17)。
【0110】
続いて、撮像装置3Bでは、温度計測手段39は、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37を参照して、選定された温度計測対象物2の位置に対応する赤外線画像の赤外線強度を検出する(ステップS14)。
【0111】
続いて、温度計測手段39は、検出された位置における赤外線強度を取得し、赤外線強度−雰囲気温度対応データベース38Bを参照して、その位置における赤外線強度に対応する雰囲気温度を取得する(ステップS15)。
【0112】
ステップS3の空調制御処理は、上記実施の形態1と同じである(図7参照)。
【0113】
以上詳細に説明したように、この実施の形態によれば、机や椅子、書類など、居室空間4に通常存在する物を、温度計測対象物2の候補として抽出し、抽出された該温度計測対象物2の候補から空調制御エリアごとに温度計測対象物2を選定した。このように、居室空間4に通常存在する物を温度計測対象物とするので、温度計測対象物をわざわざ用意する必要がなくなる。このため、コストなどの面で有利となる。
【0114】
もっとも、上記実施の形態1に係る温度計測対象物2を、本実施の形態に係る温度計測対象物として用いてもよい。
【0115】
なお、可視光線撮像手段31及び赤外線撮像手段32は、それぞれ個別のカメラで可視光線画像と赤外線画像とを撮像するものであってもよいし、同一のカメラで可視光線画像と赤外線画像とを撮像するものであってもよい。
【0116】
カメラを別々にする場合には、例えば、可視光線撮像手段31内に可視光線カメラが設けられ、赤外線撮像手段32内に赤外線カメラが設けられる。そして、それぞれのカメラで赤外線画像と可視光線画像とが撮像される。
【0117】
カメラが同一である場合には、可視光線画像−赤外線画像対応データベース37は必要ない。また、カメラが同一である場合、そのカメラは、可視光線領域から赤外線領域までの広い波長領域を撮像可能なカメラである必要がある。赤外線を受光する場合は、可視光線の入光を遮断するフィルタを駆動させて、そのフィルタをレンズに取り付け可視光線を遮断し、可視光線を受光する場合は、該フィルタを駆動させて、そのフィルタをレンズから取り外すようにして、撮像を行えばよい。
【0118】
なお、上記各実施の形態では、撮像装置3が、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40、40Bと、空調制御手段41、41Bと、を備えている。しかしながら、空気調和装置1が、可視光線画像−空調制御エリア対応データベース40等と、空調制御手段41等と、を備えるようにしてもよい。
【0119】
また、上記各実施の形態では、撮像装置3と、空気調和装置1と、を別々としたが、図13に示すように、空気調和装置1が、撮像装置3の構成要素を内蔵していてもよい。この場合、制御情報受信手段11(図2参照)及び制御情報通知手段42(図4参照)は不要となる。
【0120】
このとき、空気調和装置1が複数設置されており、撮像装置3と、空気調和装置1と、が1対1対応ではない場合、制御する空気調和装置1を選択する空気調和装置の選択手段を備えるようにしても良い。空気調和装置の選択手段は、制御する空気調和装置1を、温度計測対象物2の位置に基づいて選択する。
【0121】
(除湿・加湿制御への応用)
また、上記各実施の形態における空気調和装置1では、エリアごとに空調の風向・風量を調整していたが、さらに、除湿や加湿を行ってもよいし、空気清浄の制御を調整するようにしても良い。この場合には、除湿・加湿を制御するために必要な湿度を、湿度計により取得する。湿度計を室内に設置し、可視光線撮像手段31で湿度計を撮像し、空調制御手段41で、湿度計の値やゲージなどを画像処理などにより取得すればよい。前述の属性情報と対応付けされた制御情報として、「空気清浄を行う」や「除湿を行う」等を設定すれば、除湿や加湿、空気清浄の制御が可能となる。
【0122】
(火災検知への応用)
また、撮像された可視光線画像及び赤外線画像を用いて、火災検知を行っても良い。例えば、画像処理により、可視光線画像から、温度計測対象物2として炎が検出され、同じ領域から、炎と同程度の高温領域が検出された場合には、停止信号を空気調和装置1に送信したり、アラームを鳴らしたりする。
【0123】
上述のようにすれば、この空調制御システム100を、災害対策にも適用することができる。
【0124】
なお、温度計測対象物2については、検出し易くするため、図14に示すような構造とすることができる。図14に示すように、計測対象物50を、熱容量が小さく、表面温度が雰囲気温度と近い材質で形成し、その計測対象物50の周囲を、熱容量が大きく、雰囲気温度との差異が大きい材質の被覆51でコーティングする。この場合には、赤外線画像から被覆51を検出し、計測対象物50の赤外線強度に基づいて、雰囲気温度を計測することができる。このようにすれば、赤外線画像からも温度計測対象物2の位置を特定し、可視光線画像から求められた温度計測対象物2の位置と照合することができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、居室空間の空調制御に好適である。
【符号の説明】
【0126】
1 空気調和装置
2 温度計測対象物
3、3B 撮像装置
4 居室空間
11 制御情報受信手段
12 エリア別風向・風量制御手段
21 土台部
22 断熱部
23 空気接触部
31 可視光線撮像手段
32 赤外線撮像手段
33 可視光線画像記憶手段
34 赤外線画像記憶手段
35、35B 温度計測対象物データベース
36、36B 温度計測対象物検出手段
37 可視光線画像−赤外線画像対応データベース
38、38B 赤外線強度−雰囲気温度対応データベース
39 温度計測手段
40、40B 可視光線画像−空調制御エリア対応データベース
41、41B 空調制御手段
42 制御情報通知手段
43 属性情報データベース
50 計測対象物
51 被覆
100 空調制御システム
204 天井
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室空間全体の可視光線画像を撮像する可視光線撮像手段と、
前記居室空間全体の赤外線画像を撮像する赤外線撮像手段と、
前記可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する位置検出手段と、
検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する計測手段と、
計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する温度取得手段と、
取得された前記複数の位置の雰囲気温度に基づいて、前記居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う制御手段と、
を備える空調制御システム。
【請求項2】
前記温度計測対象物をさらに備え、
前記居室空間内の空気と接触する空気接触部を有し、
前記空気接触部が、
金属と、熱容量が金属以下で、かつ、空気との熱伝達係数が金属以上である材質とのいずれかで形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の空調制御システム。
【請求項3】
前記可視光線画像に含まれる所定の物体を前記温度計測対象物の候補として抽出する抽出手段と、
抽出された前記温度計測対象物の候補の位置と、前記複数のエリアとの対応関係とに基づいて、抽出された前記温度計測対象物の候補の中から、前記温度計測対象物を選定する選択手段と、
をさらに備え、
前記計測手段は、
選定された前記温度計測対象物の位置に対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【請求項4】
前記可視光線画像に基づいて、前記温度計測対象物の外見上の特徴に関する属性情報を検出する属性情報検出手段をさらに備え、
検出された前記属性情報に基づいて、前記居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の空調制御システム。
【請求項5】
前記温度計測対象物の外見上の特徴は、
前記温度計測対象物の形状、色、外面に付された情報、又はそれらの組み合わせである、
ことを特徴とする請求項4に記載の空調制御システム。
【請求項6】
前記計測手段は、
前記可視光線画像と前記赤外線画像とのそれぞれの撮像位置の対応関係に基づいて、検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空調制御システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の空調制御システムが組み込まれた空気調和装置。
【請求項8】
居室空間全体の可視光線画像を撮像する可視光線撮像工程と、
前記居室空間全体の赤外線画像を撮像する赤外線撮像工程と、
前記可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する位置検出工程と、
検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する計測工程と、
計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する温度取得工程と、
取得された前記複数の位置の雰囲気温度に基づいて、前記居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う制御工程と、
を含む空調制御方法。
【請求項9】
居室空間全体の可視光線画像を撮像する可視光線撮像手段と、
前記居室空間全体の赤外線画像を撮像する赤外線撮像手段と、
前記可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する位置検出手段と、
検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する計測手段と、
計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する温度取得手段と、
を備える温度計測システム。
【請求項10】
居室空間全体の可視光線画像を撮像する可視光線撮像工程と、
前記居室空間全体の赤外線画像を撮像する赤外線撮像工程と、
前記可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する位置検出工程と、
検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する計測工程と、
計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する温度取得工程と、
を含む温度計測方法。
【請求項1】
居室空間全体の可視光線画像を撮像する可視光線撮像手段と、
前記居室空間全体の赤外線画像を撮像する赤外線撮像手段と、
前記可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する位置検出手段と、
検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する計測手段と、
計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する温度取得手段と、
取得された前記複数の位置の雰囲気温度に基づいて、前記居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う制御手段と、
を備える空調制御システム。
【請求項2】
前記温度計測対象物をさらに備え、
前記居室空間内の空気と接触する空気接触部を有し、
前記空気接触部が、
金属と、熱容量が金属以下で、かつ、空気との熱伝達係数が金属以上である材質とのいずれかで形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の空調制御システム。
【請求項3】
前記可視光線画像に含まれる所定の物体を前記温度計測対象物の候補として抽出する抽出手段と、
抽出された前記温度計測対象物の候補の位置と、前記複数のエリアとの対応関係とに基づいて、抽出された前記温度計測対象物の候補の中から、前記温度計測対象物を選定する選択手段と、
をさらに備え、
前記計測手段は、
選定された前記温度計測対象物の位置に対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空調制御システム。
【請求項4】
前記可視光線画像に基づいて、前記温度計測対象物の外見上の特徴に関する属性情報を検出する属性情報検出手段をさらに備え、
検出された前記属性情報に基づいて、前記居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の空調制御システム。
【請求項5】
前記温度計測対象物の外見上の特徴は、
前記温度計測対象物の形状、色、外面に付された情報、又はそれらの組み合わせである、
ことを特徴とする請求項4に記載の空調制御システム。
【請求項6】
前記計測手段は、
前記可視光線画像と前記赤外線画像とのそれぞれの撮像位置の対応関係に基づいて、検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の空調制御システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の空調制御システムが組み込まれた空気調和装置。
【請求項8】
居室空間全体の可視光線画像を撮像する可視光線撮像工程と、
前記居室空間全体の赤外線画像を撮像する赤外線撮像工程と、
前記可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する位置検出工程と、
検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する計測工程と、
計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する温度取得工程と、
取得された前記複数の位置の雰囲気温度に基づいて、前記居室空間の複数のエリア各々の空調制御を行う制御工程と、
を含む空調制御方法。
【請求項9】
居室空間全体の可視光線画像を撮像する可視光線撮像手段と、
前記居室空間全体の赤外線画像を撮像する赤外線撮像手段と、
前記可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する位置検出手段と、
検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する計測手段と、
計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する温度取得手段と、
を備える温度計測システム。
【請求項10】
居室空間全体の可視光線画像を撮像する可視光線撮像工程と、
前記居室空間全体の赤外線画像を撮像する赤外線撮像工程と、
前記可視光線画像に基づいて、雰囲気温度と表面温度との関係が既知である複数の温度計測対象物各々の位置を検出する位置検出工程と、
検出された前記複数の位置にそれぞれ対応する前記赤外線画像の赤外線強度を計測する計測工程と、
計測された前記複数の位置の赤外線強度にそれぞれ対応する雰囲気温度を取得する温度取得工程と、
を含む温度計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−106724(P2011−106724A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261600(P2009−261600)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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