説明

空調機の運転監視装置、運転監視システム及び運転監視方法

【課題】本発明の課題は、空調機の種類や管理環境にかかわらず空調機の無駄な運転を特定することである。
【解決手段】運転監視装置10は、運転データを直接収集する第1の空調機30又は運転データを直接収集しない第2の空調機40の運転状態を監視する。データ取得部11は、第1の空調機の運転データ又は第2の空調機の消費電力量データを取得する。第1判定部13は、消費電力量データの値が基準消費電力量の所定値以下であるかどうかを判定し、第2判定部14は、運転データの値が基準運転データの値の所定範囲内であるかどうかを判定する。データ生成部15は、消費電力量データの値が所定値以下でないと第1判定部が判定した場合、消費電力量データの値と前記所定値との差分を示す無駄運転データを生成し、運転データの値が所定範囲内でないと第2判定部が判定した場合、運転データと所定範囲との差分を示す無駄運転データを生成する。出力部12,18は、無駄運転データを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機の運転監視装置、運転監視システム及び運転監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルなどの建造物に設置された空調設備の運転状態を遠隔より監視し、制御するシステムが知られている。また、このような運転監視システムにおいては、空調機の運転データ、特に電力消費量データを収集、分析し、無駄な電力消費をユーザーに通知することが行われている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−172406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
運転データは、各空調機やその制御装置から遠隔の監視装置に送信され収集される。しかし、空調機から運転データの出力が得られなかったり、或いは監視装置との通信規格が合わないことにより運転データを直接収集できなかったりする場合ある。例えば、ユーザーが使用している空調機に、管理対象でない他社の空調機が存在する場合である。他社の空調機からは直接運転データを自社の監視装置によって収集できない。しかし、ユーザーとしては、空調機の種類や管理環境に限らず、自身が使用する空調機の運転状態をまとめて把握したいという要望が大きい。
【0004】
そこで、本発明は、空調機の種類や管理環境にかかわらず空調機の無駄な運転状態を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る運転監視装置は、運転データを直接収集する第1の空調機又は運転データを直接収集しない第2の空調機の運転状態を監視する運転監視装置であって、データ取得部と、格納部と、第1判定部と、第2判定部と、データ生成部と、出力部と、を備える。データ取得部は、第1の空調機の運転データ、又は第2の空調機の消費電力量データを取得する。格納部は、消費電力量データ、又は運転データを格納する。第1判定部は、消費電力量データの値が、基準消費電力量の所定値以下であるかどうかを判定する。第2判定部は、運転データの値が、基準運転データの値の所定範囲内であるかどうかを判定する。データ生成部は、消費電力量データの値が所定値以下でないと第1判定部が判定した場合、消費電力量データの値と所定値との差分を示す無駄運転データを生成する。データ生成部はまた、運転データの値が所定範囲内でないと第2判定部が判定した場合、運転データと所定範囲との差分を示す無駄運転データを生成する。出力部は、無駄運転データを出力する。
【0006】
ここで、基準運転データとは、例えば、一日の運転スケジュール(設定温度、消費電力量等)、やユーザーによって決められた運転ON/OFF時間の基準データを含む。基準消費電力量とは、例えば、一日の運転スケジュールや運転ON/OFF時間から決められた消費電力量を含む。また、基準運転データの値の所定範囲内とは、例えば、運転データが消費電力量であれば所定値以下であること、設定温度であれば冷房運転の場合所定値以上、暖房運転の場合所定値以下であること、運転ON/OFFであれば一致することをいう。出力部は、情報を表示する表示部や、外部機器へ情報を送信する送信部を含む。
【0007】
ここでは、空調機の種類や管理環境にかかわらず空調機の無駄な運転状態を特定することができる。
【0008】
第2発明に係る運転監視装置は、第1発明の運転監視装置であって、運転データは、第1の空調機の運転のON/OFF、設定温度及び消費電力量のうち少なくとも一つを含む。
【0009】
第3発明に係る運転監視装置は、第1発明の運転監視装置であって、無駄運転データは更に、対応する第1又は第2の空調機の識別情報、及び対応する運転時刻を含む。
【0010】
第4発明に係る運転監視装置は、第2発明の運転監視装置であって、第2の空調機の空調対象空間の室温を取得する室温取得部と、消費電力量データの値が所定値以下であると第1判定部が判定した場合、同消費電力量が計測された時間における室温を推定設定温度として取得する設定温度推定部と、を更に備える。また、第2判定部は、推定設定温度の値が所定範囲内かどうかを判定する。
【0011】
ここでは、運転データを直接収集しない空調機について、消費電力量だけでなく設定温度の観点からの無駄運転を特定できる。
【0012】
第5発明に係る運転監視システムは、第1発明の運転監視装置と、第1の空調機と、第2の空調機と、電力計測器と、送信装置と、を備える。第1の空調機は、運転監視装置とネットワークを介して接続され、運転データを収集し運転監視装置に送信する制御装置に接続されている。電力計測器は、第2の空調機の消費電力量を計測する。送信装置は、第2の空調機の消費電力量を取得し、ネットワークを介して運転監視装置に送信する。
【0013】
第6発明に係る運転監視システムは、第5発明の運転監視システムであって、第2の空調機の空調対象空間の室温を計測する室温計測器を更に備え、送信装置は、室温のデータを、ネットワークを介して運転監視装置に送信する。
【0014】
第7発明に係る運転監視システムは、第5発明の運転監視システムであって、ネットワークを介して、運転監視装置に接続される端末機器を更に備える。同端末機器は、運転監視装置の出力部より送信される無駄運転データを受信する受信部と、無駄運転データを表示する表示部と、を有する。
【0015】
第8発明に係る運転監視方法は、運転データを直接収集する第1の空調機又は運転データを直接収集しない第2の空調機の運転状態を監視する運転監視方法であって、データ取得ステップと、格納ステップと、第1判定ステップと、第2判定部ステップと、データ生成ステップと、出力ステップと、を備える。データ取得ステップでは、第1の空調機の運転データ、又は第2の空調機の消費電力量データを取得する。格納ステップにおいては、消費電力量データ又は運転データを格納する。第1判定ステップにおいては、消費電力量データの値が、基準消費電力量の所定値以下であるかどうかを判定する。第2判定ステップにおいては、運転データの値が、基準運転データの値の所定範囲内であるかどうかを判定する。データ生成ステップにおいては、消費電力量データの値が所定値以下でないと第1判定部が判定した場合、消費電力量データの値と所定値との差分を示す無駄運転データを生成する。データ生成ステップにおいてはまた、運転データの値が所定範囲内でないと第2判定部が判定した場合、運転データと所定範囲との差分を示す無駄運転データを生成する。出力ステップにおいては、無駄運転データを出力する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、空調機の種類や管理環境にかかわらず空調機の無駄な運転状態を特定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
1.第一実施形態
1.1.運転監視システムの全体構成
図1は、本発明の第一実施形態に係る空調機の運転監視システム1を示す。
【0018】
運転監視システム1は、運転監視装置10と、施設3内に配された第1空調機30及び第2空調機40と、電力計測器41と、データ送信装置50と、端末機器70と、を備える。
【0019】
運転監視装置10は、遠隔の管理センター2に配され、複数箇所の空調機の運転監視を行う中央管理装置である。
【0020】
運転監視装置10は、第1空調機30の制御装置であるアダプタ装置31とネットワーク60を介して通信可能に設置されている。運転監視装置10はまた、第2空調機40のデータを収集し、送信するデータ送信装置50とネットワーク60を介して通信可能に設置されている。
【0021】
第1空調機30は、例えば運転監視装置10を保有する管理会社により管理された空調機であって、アダプタ装置31から直接運転データを取得できる空調機である。第2空調機40は、例えば他社により管理された空調機であって、運転監視装置10が直接運転データを取得できない空調機である。
【0022】
電力計測器41は、対象の第2空調機40の消費電力量を計測し、データ送信装置50に送信する。アダプタ装置31及びデータ送信装置50は、施設3内のネットワークから所定のインターフェース機器を介してネットワーク60及び運転監視装置10と通信可能に設置されている。
【0023】
端末機器70は、空調機30,40のユーザーの端末機器等であり、ネットワーク60を介して運転監視装置10と通信可能な機器である。
【0024】
1.2.運転監視装置
図2は、第1実施形態に係る運転監視装置10を示す。
【0025】
運転監視装置10は、例えば次のような構成を有するコンピュータである。電力消費判定部13、運転データ判定部14及びデータ生成部15は、ROMやハードディスク等に保存されたプログラムとそのプログラムを実行するCPU19により実現される。受信部11及び送信部12は、CPU19の指令によりデータを入出力するI/Oにより実現される。入力部17は、キーボードやマウス等である。表示部18は、液晶ディスプレイ等のモニターである。
【0026】
運転監視装置10は、受信部11と、送信部12と、電力消費判定部13と、運転データ判定部14と、データ生成部15と、入力部17と、表示部18とを有する。
【0027】
受信部11は、ネットワーク60を介して第1空調機30のアダプタ装置31やデータ送信装置50から消費電力量データや運転データ等を取得する。送信部12は、生成した無駄運転データ等を端末機器70等に送信する。
【0028】
電力消費判定部13は、後述するように、空調機毎にデータベース20に格納された消費電力量データと基準消費電力量とに基づき、当該空調機に無駄な運転による電力消費があるかどうかを判定する。運転データ判定部14は、後述するように、空調機毎にデータベース20に格納された運転データと基準運転データに基づき、当該空調機に無駄な運転がなかったかどうかを判定する。データ生成部は、電力消費判定部13及び運転データ判定部14による、無駄な運転による電力消費又は無断な運転があったとの判定に基づき、無駄運転データを生成する。
【0029】
入力部17は、ユーザーによりCPUに対する各種の指令をユーザーによる操作により入力する。表示部18は、CPU19からの指令により所定のデータを表示する。
なお、上述の運転監視装置10の構成は一例であり、本発明は上記構成に限定されない。
【0030】
1.2.1.データベース
図2に示すように、データベース20は、運転監視装置に接続されたハードディスク等のストレージ機器に格納されている。データベース20は、少なくとも第2空調機40の消費電力量データを格納する消費電力量データ格納部21と、第2空調機40の基準消費電力量を格納する基準消費電力量格納部22と、第1空調機30の基準運転データを格納する基準運転データ格納部23と、第1空調機30の運転データを格納する運転データ格納部24と、データ生成部15で生成された無駄運転データ格納部25とを備える。
【0031】
基準消費電力量は、第2空調機40に対する基準消費電力量であり、運転監視装置10の入力部17やネットワーク60を介した通信により入力される。基準運転データは、第1空調機30に対する基準運転データであり、運転監視装置10の入力部17やネットワーク60を介した通信により入力される。消費電力量データの消費電力量は、第2空調機40に接続された電力計測器41により計測され、データ送信装置50及びネットワーク60を介して運転監視装置10で受信された消費電力量である。運転データは、主に第1空調機30のアダプタ装置31で所定時間毎(例えば、1時間毎)収集され、データ送信装置50及びネットワーク60を介して運転監視装置10で受信された運転データである。
図3及び図4に示すように、各データは次のように格納される。なお、各データはユーザー毎や施設毎のデータである。
図3(a)に示すように、基準消費電力量は、少なくとも対象時間とその時間における基準消費電力量のデータを含む。この基準消費電力量は、ユーザーが設定する運転スケジュールや運用規則等に基づき設定される。例えば、営業時間外であって人がいない時間帯は運転をOFFにすることになるため、基準消費電力量は0kWに近い値が設定される。
図3(b)に示すように、基準運転データは、対象時間とその各時間における基準運転データを含む。基準運転データは、例えば、基準設定温度、基準消費電力量、運転のON/OFFを含む。例えば、冷房運転時において、営業時間外に人が少なくなる時間帯には、通常時より高い基準設定温度とする。
図4(a)に示すように、消費電力量データは、対象となる第2空調機40の識別情報と、データの計測時間、その消費電力量を含む。図4(b)に示すように、運転データは、対象となる第1空調機30の識別情報と、データの計測時間、その消費電力量、設定温度及び電源のON/OFFを含む。
図4(c)は、データ生成部15で生成された無駄運転データの一例を示す。無駄運転データは、無駄運転と判定された第1又は第2空調機30、40の識別情報と、その無駄運転時刻を含む。無駄運転データは更に、基準消費電力量又は基準運転データとの差分を含む。この差分とは、消費電力量と基準消費電力量との差分値、設定温度と基準設定温度との差分値、運転ON/OFFの不一致を含む。
なお、上述のデータベース20の構成は一例であり、本発明は上記構成に限定されない。
【0032】
1.3.第1及び第2空調機
第1空調機30及び40は、例えば、個別空調方式の室内機、室外機や、セントラル空調方式による大型空調機である。
【0033】
1.4.第1空調機のアダプタ装置
図5に示すアダプタ装置31は、第1空調機30の制御装置であり、第1空調機30が設置された施設3内の空調用通信線4の一ノードとして配されている。アダプタ装置31は、ルーター等のネットワークインターフェース機器を介してネットワーク60及び運転監視装置10に通信可能に設置されている。なお、本実施形態では、アダプタ装置31は、各空調機30に接続されている。アダプタ装置31は、受信部32と、送信部33と、制御部34と、メモリ35とを備える。
【0034】
受信部32は、ネットワーク60を介して運転監視装置10から制御データやその他所定のデータを受信する。受信部32はまた、センサ等を介して所定時間毎(例えば、1時間毎)に空調機30の運転データを受信する。制御部34は、運転監視装置10より受信した制御データに従って空調機30の各部に対する制御を実行する指令を出す。受信した運転データは、メモリ35に蓄積する。送信部33は、メモリ35に蓄積した運転データを運転監視装置10に送信する。この送信間隔は一定であり、例えば3時間毎に運転監視装置10に送信する。メモリ35は、空調機30からの運転データを蓄積する。メモリ35はまた、運転監視装置10から受信した制御データを蓄積する。
【0035】
アダプタ装置31は、例えば次のような構成を有するコンピュータである。受信部32、送信部33及び制御部34は、メモリ35等に保存されたプログラムとそのプログラムを実行するCPUやI/O等により実現される。また、アダプタ装置31は、第1空調機30の内部に設けられた装置であってもよいし、第1空調機30の制御部の一部として組み込まれていてもよい。或いは、アダプタ装置31は、独立した装置として複数の空調機に有線又は無線で接続されていてもよい。
【0036】
なお、上述のアダプタ装置31の構成は一例であり、上記構成に限定されない。
【0037】
1.5.第2空調機のデータ送信装置
図5に示すデータ送信装置50は、第2空調機40のデータ送信装置であり、第2空調機40の通信線5の一ノードとして配されている。データ送信装置50は、ルーター等のネットワークインターフェース機器を介してネットワーク60及び運転監視装置10に通信可能に設置されている。
【0038】
データ送信装置50は、受信部52と、送信部53と、制御部54と、メモリ55とを備える。受信部52は、ネットワーク60を介して運転監視装置10から制御データやその他所定のデータを受信する。受信部52はまた、電力計測器41から各第2空調機40の消費電力量データを受信する。制御部54は、受信した消費電力量データをメモリ55に蓄積させ、蓄積された消費電力量データを運転監視装置10に送信させる等、データの送受信の制御を行う。メモリ55は、消費電力量データを蓄積する。
【0039】
データ送信装置50は、例えば次のような構成を有するコンピュータである。受信部52、送信部53及び制御部54は、メモリ55等に保存されたプログラムとそのプログラムを実行するCPUやI/O等により実現される。
【0040】
なお、上述のデータ送信装置50の構成は一例であり、上記構成に限定されない。
【0041】
1.6.端末機器
図7は、端末機器70の構成例を示す。端末機器70は、CPU71、RAM72、ROM73、通信部74、入力部75、表示部76、記憶部77、ドライブ78等を含むコンピュータである。
【0042】
CPU71は、各種アプリケーションプログラム等を実行する制御演算ユニットである。RAM72は、CPU71の処理において実行されるプログラム、及びプログラム処理において適宜変化するパラメータの格納エリア、ワーク領域として使用される。ROM73は、CPU71が実行するプログラム、或いは演算パラメータとしての固定データを格納する。通信部74は、運転監視装置10と通信する。通信部74は、データをパケット化して送信し、或いはネットワーク60を介して運転監視装置10等からパケットを受信する処理を実行する。
【0043】
入力部75は、CPU71に対する各種の指令をユーザーによる操作により入力する。表示部76は、例えば液晶ディスプレイであり、各種情報をテキスト又はイメージ等により表示する。記憶部77は、情報記憶媒体としての例えばフラッシュメモリを有する。
【0044】
端末機器70は、サーバー機能も有する運転監視装置10に対しクライアント端末機器として機能し、Webブラウザを起動させ、運転監視装置10のURLにアクセスする。このアクセスにより、無駄運転データを取得する。具体的には、入力部75により、ユーザーの識別情報等を入力し、無駄運転データを表示部76に表示する。
【0045】
端末機器70は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Data Assistant)等である。
【0046】
なお、上述の端末機器70の構成は一例であり、上記構成に限定されない。
【0047】
1.7.運転監視装置による処理
図8及び図9は、本実施形態に係る空調機の運転監視システム1による処理の流れを示す。図8(a)は、第2空調機40の消費電力量データを受信し、無駄運転データを生成・格納する処理の流れを示す。図8(b)は、第1空調機30の運転データを受信し、無駄運転データを生成・格納する処理の流れを示す。図8(c)は、格納した無駄運転データを端末機器70に送信する処理の流れを示す。
【0048】
1.7.1.消費電力量データによる無駄運転データの生成処理
S101ステップ:まず、運転監視装置10の受信部11は、データ送信装置50からのアクセスを受け、消費電力量データを受信する。なお、このアクセスは、所定時間毎(例えば、3時間毎)に行われるよう設定されている。受信部11により受信した消費電力量データは、CPU19の制御によりデータベース20の消費電力量データ格納部21に格納される。
【0049】
S102ステップ:電力消費判定部13は、格納された基準消費電力量と消費電力量データとを読み出す。
【0050】
S103ステップ:電力消費判定部13は、消費電力量データが基準消費電力量である所定値以下であるかどうかを判定する。所定値を超える場合はS104ステップに進み、所定値以下の場合は処理を終了する。
【0051】
S104ステップ:データ生成部15は、電力消費判定部13の上記判定を受けて、無駄運転データを生成し、無駄運転データ格納部25に格納する。
【0052】
なお、上記処理において、S102〜S104ステップの無駄運転データの生成処理は、所定時間毎或いは所定量の消費電力量データが蓄積されたときに自動的に行われるようにしてもよい。
【0053】
上記処理の流れは一例であり、その処理手順は上記のものに限定されるものではない。
【0054】
1.7.2.運転データによる無駄運転データの生成処理
S111ステップ:まず、運転監視装置10の受信部11は、アダプタ装置31からのアクセスを受け、運転データを受信する。なお、このアクセスは、所定時間毎(例えば、3時間毎)に行われるよう設定されている。受信部11により受信した運転データは、CPU19の制御によりデータベース20の運転データ格納部24に格納される。
【0055】
S112ステップ:運転データ判定部14は、格納された基準運転データと運転データとを読み出す。
【0056】
S113ステップ:運転データ判定部14は、運転データが基準運転データである所定範囲内かどうかを判定する。ここで所定範囲内とは、運転データのうち消費電力量であれば所定値以下であること、設定温度であれば冷房運転時は所定値以上、暖房運転時は所定値以下であること、電源のON/OFFであれば基準値(ON/OFF)と一致していることをいう。所定範囲内であればS114ステップに進み、所定値範囲内であれば処理を終了する。
【0057】
S114ステップ:データ生成部15は、運転データ判定部14の上記判定を受けて、無駄運転データを生成し、無駄運転データ格納部25に格納する。
【0058】
なお、上記処理において、S112〜S114ステップの無駄運転データの生成処理は、所定時間毎或いは所定量の運転データが蓄積されたときに自動的に行われるようにしてもよい。
【0059】
上記処理の流れは一例であり、その処理手順は上記のものに限定されるものではない。
【0060】
1.7.3.無駄運転データの送信処理
S121ステップ:まず、運転監視装置10の受信部11は、端末機器70からのアクセスを受信する。
【0061】
S122ステップ:上記アクセスを受けて、CPU19は、アクセスしているユーザーの識別情報や施設3の識別情報よりアクセスの主体を識別し、対象となる空調機30,40の無駄運転データ格納部25を参照する。
【0062】
S123ステップ:CPU19は、当該ユーザー又は施設3の無駄運転データ格納部25にデータがあるかどうかを判定する。データがある場合はS124ステップに進み、データがない場合は処理を終了する。
【0063】
S124ステップ:CPU19は、無駄運転データを読み出し、送信部12を介して端末機器70に送信する。
【0064】
なお、上記処理の流れは一例であり、その処理手順は上記のものに限定されるものではない。
【0065】
1.8.第一実施形態の効果
本実施形態に係る空調機の運転監視システム1によれば、運転データを直接収集できる第1空調機30のみならず、運転データを直接収集できない第2空調機40の消費電力量を収集し、空調機の無駄運転データを生成し、ユーザーに送信できる。これにより、空調機の種類や管理環境にかかわらず、空調機の無駄運転を特定できる。
【0066】
2.第二実施形態
2.1.構成
図10は、本発明の第二実施形態に係る運転監視システム100を示す。なお、第一実施形態と同一の構成及び機能を有する部位については、同一の符合を付し、その説明は省略する。
【0067】
本実施形態の運転監視システム100は、第2空調機40の空調対象空間の室温を計測する室温計測器142を備える点において第一実施形態に係る運転監視システム1と異なる。なお、図において、室温計測器142は各第2空調機40に取り付けられているが、空調対象空間の室温を計測できるものあれば複数の第2空調機40に対し一つの室温計測器142を備えるようにしてもよい。
【0068】
更に、図11に示すように、本実施形態に係る運転監視装置110は、設定温度推定部116を備える点において、第一実施形態に係る運転監視装置10と異なる。また、本実施形態に係るデータベース120は、室温データ格納部126を備える点において第一実施形態に係るデータベース120と異なる。室温データは、少なくとも対応する第2空調機の識別情報と、室温の計測時間を含む。
【0069】
2.2.処理
以下、図11及び図12を参照しながら、本実施形態に係る運転監視装置110の無駄運転データの生成処理の流れを説明する。
【0070】
S201ステップ:まず、運転監視装置110の受信部11は、データ送信装置50からのアクセスを受け、消費電力量データを受信する。なお、このアクセスは、所定時間毎(例えば、3時間毎)に行われるよう設定されている。受信部11により受信した消費電力量データは、CPU19の制御によりデータベース120の消費電力量データ格納部21に格納される。
【0071】
S202ステップ:電力消費判定部13は、格納された基準消費電力量と消費電力量データとを読み出す。
【0072】
S203ステップ:電力消費判定部13は、消費電力量データが基準消費電力量である所定値以下であるかどうかを判定する。所定値を超える場合はS204ステップに進み、所定値以下の場合はS205ステップに進む。
【0073】
S204ステップ:データ生成部15は、電力消費判定部13の上記判定を受けて、無駄運転データを生成し、無駄運転データ格納部25に格納する。
【0074】
S205ステップ:設定温度推定部116は、電力消費判定部13の上記判定を受けて、当該消費電力量を計測した時間の室温データを、室温データ格納部126より読み出す。これにより、この室温を当該第2空調機40の設定温度と推定する。なお、この場合、消費電力量データが所定値以下であることが所定回数(又は所定期間)続いたかをカウントし、続いた場合のみ設定温度を推定するように判定処理をしてもよい。
【0075】
S206ステップ:運転データ判定部14は、格納された基準運転データのうち基準設定温度を読み出す。
【0076】
S207ステップ:運転データ判定部14は、推定された設定温度値が、基準設定温度である所定範囲内かどうかを判定する。具体的には、冷房運転時は所定値以上であるか、暖房運転時は所定値以下であるかを判定する。所定範囲内でない場合はS208ステップに進み、所定範囲内であれば処理を終了する。
【0077】
S208ステップ:データ生成部15は、運転データ判定部14の上記判定を受けて、無駄運転データを生成し、無駄運転データ格納部25に格納する。
【0078】
生成された無駄運転データは、第一実施形態と同様の送信処理により端末機器70に送信される。
【0079】
なお、上記処理において、S202〜S208ステップの無駄運転データの生成処理は、所定時間毎或いは所定量の消費電力量データが蓄積されたときに自動的に行われるようにしてもよい。
【0080】
上記処理の流れは一例であり、その処理手順は上記のものに限定されるものではない。
【0081】
2.3.第二実施形態の効果
本実施形態に係る空調機の運転監視システム100によれば、第一実施形態の効果に加えて、設定温度データを直接収集できない第2空調機40の設定温度を推定し、空調機の無駄運転データを生成し、ユーザーに送信できる。これにより、消費電力量だけでなく設定温度の観点からの無駄運転を特定できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、空調機の種類や管理環境にかかわらず空調機の無駄な運転を特定できる運転監視装置、運転監視システム及び運転監視方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第一実施形態に係る運転監視システムの全体構成図
【図2】本発明の第一実施形態に係る運転監視装置の構成図
【図3】本発明の第一実施形態に係るデータベースの構成図
【図4】本発明の第一実施形態に係るデータベースの構成図
【図5】本発明の第一実施形態に係るアダプタ装置の構成図
【図6】本発明の第一実施形態に係るデータ送信装置の構成図
【図7】本発明の第一実施形態に係る端末機器の構成図
【図8】本発明の第一実施形態に係る運転監視装置の処理の流れを示す図
【図9】本発明の第一実施形態に係る運転監視装置の処理の流れを示す図
【図10】本発明の第二実施形態に係る運転監視システムの全体構成図
【図11】本発明の第二実施形態に係る運転監視装置の構成図
【図12】本発明の第二実施形態に係る運転監視装置の処理の流れを示す図
【符号の説明】
【0084】
1 運転監視システム
2 遠隔監視センター
3 施設
4 空調用通信線
5 通信線
10 運転監視装置
11 受信部(データ取得部)
12 送信部(出力部)
13 電力消費判定部(第1判定部)
14 運転データ判定部(第2判定部)
15 データ生成部
17 入力部
18 表示部(出力部)
19 CPU
20 データベース
21 消費電力量データ格納部
22 基準消費電力量格納部
23 基準運転データ格納部
24 運転データ格納部
25 無駄運転データ格納部
30 第1空調機
31 アダプタ装置(制御部)
32 受信部
33 送信部
34 制御部
35 メモリ
40 第2空調機
41 電力計測器
50 データ送信装置(送信装置)
52 受信部
53 送信部
54 制御部
55 メモリ
60 ネットワーク
70 端末機器
71 CPU
72 RAM
73 ROM
74 通信部
75 入力部
76 出力部
77 記憶部
100 運転監視システム
110 運転監視装置
116 設定温度推定部
120 データベース
126 室温データ格納部
142 室温計測器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転データを直接収集する第1の空調機(30)又は運転データを直接収集しない第2の空調機(40)の運転状態を監視する運転監視装置(10,110)であって、
前記第1の空調機の運転データ、又は前記第2の空調機の消費電力量データを取得するデータ取得部(11)と、
前記消費電力量データ、又は前記運転データを格納する格納部(21、23)と、
前記消費電力量データの値が、基準消費電力量の所定値以下であるかどうかを判定する第1判定部(13)と、
前記運転データの値が、基準運転データの値の所定範囲内であるかどうかを判定する第2判定部(14)と、
前記消費電力量データの値が前記所定値以下でないと前記第1判定部が判定した場合、前記消費電力量データの値と前記所定値との差分を示し、前記運転データの値が前記所定範囲内でないと前記第2判定部が判定した場合、前記運転データと前記所定範囲との差分を示す無駄運転データを生成するデータ生成部(15)と、
前記無駄運転データを出力する出力部(12,18)と、
を備える、運転監視装置。
【請求項2】
前記運転データは、前記第1の空調機(30)の運転のON/OFF、設定温度及び消費電力量のうち少なくとも一つを含む、
請求項1に記載の運転監視装置。
【請求項3】
前記無駄運転データは更に、対応する前記第1又は第2の空調機(30,40)の識別情報、及び対応する運転時刻を含む、
請求項1に記載の運転監視装置。
【請求項4】
前記第2の空調機(40)の空調対象空間の室温を取得する室温取得部(11)と、
前記消費電力量データの値が前記所定値以下であると前記第1判定部(13)が判定した場合、前記消費電力量が計測された時間における前記室温を推定設定温度として取得する設定温度推定部(116)と、
を更に備え、
前記第2判定部(14)は、前記推定設定温度の値が前記所定範囲内かどうかを判定する、
請求項2に記載の運転監視装置。
【請求項5】
前記運転監視装置(10,110)と。
前記運転監視装置とネットワーク(60)を介して接続され、前記運転データを収集し前記運転監視装置に送信する制御装置(31)に接続された前記第1の空調機(30)と、
前記第2の空調機(40)と、
前記第2の空調機の消費電力量を計測する電力計測器(41)と、
前記第2の空調機の消費電力量を取得し、前記ネットワークを介して前記運転監視装置に送信する送信装置(50)と、
を備える、空調機の運転監視システム(1,100)。
【請求項6】
前記第2の空調機(40)の空調対象空間の室温を計測する室温計測器(142)を更に備え、
前記送信装置(50)は、前記室温のデータを、前記ネットワーク(60)を介して前記運転監視装置(10)に送信する、
請求項5に記載の運転監視システム(1,100)。
【請求項7】
前記ネットワーク(60)を介して、前記運転監視装置(10)に接続される端末機器(70)を更に備え、
前記端末機器は、
前記運転監視装置の前記出力部(12)より送信される前記無駄運転データを受信する受信部(74)と、
前記無駄運転データを表示する表示部(76)と、
を有する、
請求項5に記載の運転監視システム(1,100)。
【請求項8】
運転データを直接収集する第1の空調機(30)又は運転データを直接収集しない第2の空調機(40)の運転状態を監視する運転監視方法であって、
前記第1の空調機の運転データ、又は前記第2の空調機の消費電力量データを取得するデータ取得ステップと、
前記消費電力量データ、又は前記運転データを格納する格納ステップと、
前記消費電力量データの値が、基準消費電力量の所定値以下であるかどうかを判定する第1判定ステップと、
前記運転データの値が、基準運転データの値の所定範囲内であるかどうかを判定する第2判定部ステップと、
前記消費電力量データの値が前記所定値以下でないと前記第1判定部が判定した場合、前記消費電力量データの値と前記所定値との差分を示し、前記運転データの値が前記所定範囲内でないと前記第2判定部が判定した場合、前記運転データと前記所定範囲との差分を示す無駄運転データを生成するデータ生成ステップと、
前記無駄運転データを出力する出力ステップと、
を備える、運転監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−33279(P2010−33279A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193936(P2008−193936)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】