説明

空間位置特定装置および特定方法

【課題】簡易な構成で容易に対象物の空間位置を特定することができる空間位置特定装置および空間位置特定方法を提供する。
【解決手段】三次元座標系に配置される磁界発生器2によって、Z軸と平行な向きに磁界Gを発生させて、第一基準点Aに配置される第一磁界検出器3によって、第一基準点Aと磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cとを通る直線である第一基準線LがX軸と成す角度である第一角度θを検出し、第二基準点Bに配置される第二磁界検出器4によって、第二基準点Bと磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cとを通る直線である第二基準線LがX軸と成す角度である第二角度θを検出し、原点Oに配置される第三磁界検出器5によって、原点Oと磁界Gの発生点CをYZ平面に投影した点Cとを通る直線である第三基準線LがY軸と成す角度である第三角度θを検出して、磁界発生器2の空間位置を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間位置特定装置および特定方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間位置を特定する方法としては、複数のレーザ変位計やカメラ等の計測器を用いて、空間位置を特定したい対象物までの距離を計測することによって、それぞれの計測器の位置関係から対象物の空間座標を決定する方法が一般的に採用されているが、対象物の周辺に障害物が存在している場合には、この方法を採用することができないという問題があった。また、この問題は鏡等による反射を利用して回避することも可能ではあるが、その場合、装置構成が複雑になるとともに装置の設定にさらに時間を要することになってしまうという問題があった。
【0003】
また従来、空間位置を特定する方法としては、磁気を利用する方法が知られており、以下に示す特許文献1にその技術が開示され公知となっている。
特許文献1に示されている従来技術では、空間位置を特定したい箇所において磁気マーカーによって磁場(磁界)を発生させた上で、係る磁場を少なくとも3個以上の同一直線上に配置された2軸磁気ベクトルセンサで検出することによって、磁気マーカーの空間位置を特定するようにしている。
【0004】
しかしながら、係る特許文献1に示されている従来技術では、計測可能領域を2軸磁気ベクトルセンサが配置されている線分を一辺とする直方体内に制限する必要があり、測定範囲が狭い範囲に限られるという課題があった。また、2軸磁気ベクトルを検出して、そこから空間位置の解を導くため、2軸磁気ベクトルセンサの検出精度を確保する必要があり、簡易な装置構成によって、容易に空間位置を特定したいというようなニーズに適用できるものではなかった。
【特許文献1】特開2003−44217号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、係る現状を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で容易に対象物の空間位置を特定することができる空間位置特定装置および空間位置特定方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、原点において互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸によって規定され、前記X軸上に前記原点に対して点対称となる2点である第一基準点および第二基準点が設定される三次元座標系において、前記第一基準点に第一磁界検出器を配置して、かつ、前記第二基準点に第二磁界検出器を配置して、かつ、前記原点に第三磁界検出器を配置して、さらに、前記三次元座標系に磁界発生器を配置して構成され、該磁界発生器によって、前記Z軸と平行な向きに磁界を発生させて、前記第一磁界検出器によって、前記第一基準点と前記磁界の発生点をXY平面に投影した点とを通る直線である第一基準線が前記X軸と成す角度である第一角度を検出して、かつ、前記第二磁界検出器によって、前記第二基準点と前記磁界の発生点をXY平面に投影した点とを通る直線である第二基準線が前記X軸と成す角度である第二角度を検出して、さらに、前記第一基準線と前記第二基準線との交点から前記磁界の発生点をXY平面に投影した点のXY座標を検出しつつ、前記第三磁界検出器によって、前記原点と前記磁界の発生点をYZ平面に投影した点とを通る直線である第三基準線が前記Y軸と成す角度である第三角度を検出して、前記第三基準線上の点であって、そのY座標が、検出された前記磁界の発生点をXY平面に投影した点のY座標と一致する点のZ座標から、前記磁界の発生点をYZ平面に投影した点のZ座標を検出して、前記磁界の発生点の三次元座標を検出して、前記磁界発生器の空間位置を特定するものである。
【0008】
請求項2においては、前記磁界発生器は、電磁石を備え、該電磁石に通電されるときに、前記磁界を発生させるものである。
【0009】
請求項3においては、原点において互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸によって規定され、前記X軸上に前記原点に対して点対称となる2点である第一基準点および第二基準点が設定される三次元座標系において、前記三次元座標系に配置される磁界発生器によって、前記Z軸と平行な向きに磁界を発生させて、前記第一基準点に配置される前記第一磁界検出器によって、前記第一基準点と前記磁界の発生点をXY平面に投影した点とを通る直線である第一基準線が前記X軸と成す角度である第一角度を検出して、かつ、前記第二基準点に配置される前記第二磁界検出器によって、前記第二基準点と前記磁界の発生点をXY平面に投影した点とを通る直線である第二基準線が前記X軸と成す角度である第二角度を検出して、さらに、前記第一基準線と前記第二基準線との交点を検出して、前記磁界の発生点をXY平面に投影した点のXY座標を検出しつつ、前記原点に配置される前記第三磁界検出器によって、前記原点と前記磁界の発生点をYZ平面に投影した点とを通る直線である第三基準線が前記Y軸と成す角度である第三角度を検出して、前記第三基準線上の点であって、そのY座標が、検出された前記磁界の発生点をXY平面に投影した点のY座標と一致する点のZ座標から、前記磁界の発生点をYZ平面に投影した点のZ座標を検出して、前記磁界の発生点の三次元座標を検出して、前記磁界発生器の空間位置を特定するものである。
【0010】
請求項4においては、前記磁界発生器は、電磁石を備え、該電磁石に通電されるときに、前記磁界を発生させるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、簡易な構成の空間位置特定装置で、容易に対象物の空間位置を特定することができる。
【0013】
請求項2においては、複数の対象物の空間位置を一度の特定作業で特定することができる。
【0014】
請求項3においては、簡易な構成の空間位置特定装置を用いた空間位置特定方法によって、容易に対象物の空間位置を特定することができる。
【0015】
請求項4においては、複数の対象物の空間位置を一度の特定作業で特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の一実施例に係る空間位置特定装置の全体構成について、図1〜図4を用いて説明をする。
図1は本発明の一実施例に係る空間位置特定装置の全体構成を示す斜視図、図2は本発明の一実施例に係る磁界発生器による磁界の発生状況を示す模式図、図3は本発明の一実施例に係る磁界発生器の設置状況を示す模式図、図4は本発明の一実施例に係る磁界検出器の全体構成を示す斜視図である。
【0017】
図1に示す如く、本発明の一実施例に係る空間位置特定装置1は、磁界発生器2と、該磁界発生器2によって発生させた磁界を検出するための3つの磁界検出器である第一磁界検出器3、第二磁界検出器4、および第三磁界検出器5とによって構成されている。
【0018】
磁界発生器2は、その内部に備える磁石によって磁界Gを発生させることができる装置である。図2に示す如く、本発明の一実施例に係る磁界発生器2では、その内部に図示しない電磁石を備える構成としており、電磁石に通電がなされるときだけ磁界Gを発生させることができる構成としている。ここで、電磁石のコイルの巻線方向とコイルに対する電流の通電方向が定まれば、右ネジの法則により決まった方向がN極およびS極となる磁界Gを発生させることができる。尚、本発明の一実施例に係る磁界発生器2では、Z軸と平行な向きにZ軸の負方向をN極とする磁界Gを発生させる構成としているが、本発明に係る磁界発生器の構成をこれに限定するものではなく、例えば、Z軸と平行な向きにZ軸の正方向をN極とする磁界Gを発生させる構成とすることも可能である。
【0019】
また、磁界発生器2によって発生された磁界Gには、最も磁束密度が高くなっている点Cが形成される。各磁界検出器3・4・5によって、係る点Cを目標として磁界Gが検出される(以後、係る点Cを発生点Cと記載する)。
【0020】
図1および図3に示す如く、また、磁界発生器2は、空間位置を特定する対象となる対象物6に対して、図示しないクランプ機構等によって付設されるものである。
そして、対象物6の空間位置の特定を所望する点D(以下、特定点Dと呼ぶ)と、磁界発生器2による磁界Gの発生点Cとの位置関係を予め知得しておき、発生点Cの空間位置を特定することによって、発生点Cの空間位置に基づいて特定点Dの空間位置を特定する構成としている。
【0021】
図4に示す如く、本発明の一実施例に係る空間位置特定装置1に備えられる3つの磁界検出器である第一磁界検出器3、第二磁界検出器4、第三磁界検出器5は、装置構成は全て共通しており、それぞれに方位磁針3a・4a・5a、回転軸3b・4b・5b、ロータリーポテンショメータ3c・4c・5cを備えている。
【0022】
方位磁針3a・4a・5aは、磁性を帯びた菱形状の平板金属部材であり、回転軸3b・4b・5bによって、回転可能に支持される構成としている。そして、方位磁針3a・4a・5aの一方の先端部はN極を形成し、他方の先端部はS極を形成している。これにより、方位磁針3a・4a・5aに対して、N極の極性を有する磁界が接近すると、方位磁針3a・4a・5aのS極がその磁界の方向を指し示すように回転軸3b・4b・5bを中心として回転する。
【0023】
尚、本実施例では、磁界発生器2のN極側に磁界Gの発生点Cが形成される例を例示しているが、本発明に係る空間位置特定装置の構成をこれに限定するものではなく、磁界発生器2のS極側に磁界Gの発生点Cが形成される構成とし、方位磁針3a・4a・5aのN極がその磁界の方向を指し示すように回転軸3b・4b・5bを中心として回転する構成とすることも可能である。
【0024】
ロータリーポテンショメータ3c・4c・5cは、回転軸3b・4b・5bの回転角度を検出することができる装置であり、即ち、回転軸3b・4b・5bに支持される方位磁針3a・4a・5aの向きを回転角度として検出することができるものである。
尚、本実施例で示す磁界検出器は、方位磁針と回転軸とロータリーポテンショメータからなる回転機構部を有し、方位磁針の向きによって、磁界の向きを検出する構成としているが、磁界検出器の構成はこれに限定するものではなく、例えば、回転機構部を有していない構成の2軸磁気ベクトルセンサ等を磁界検出器として採用することも可能である。
【0025】
ここで、各磁界検出器3・4・5の配置について説明をする。
図1および図4に示す如く、第一磁界検出器3は、回転軸3bがZ軸と平行に点Aを通過する位置に配置され、方位磁針3aが点Aを中心としてXY平面上を回転することができるように構成されている。また、第二磁界検出器4は、回転軸4bがZ軸と平行に点Bを通過する位置に配置され、方位磁針4aが点Bを中心としてXY平面上を回転することができるように構成されている。ここで、点Aと点Bは、原点Oに対して点対称となるように、いずれも原点Oから距離Pだけ離れた位置に配設される構成としている。つまり、点Aの三次元座標は(P,0,0)であり、点Bの三次元座標は(−P,0,0)としている。
【0026】
そして、第三磁界検出器5は、回転軸5bがX軸上に配置され、方位磁針5aが原点Oを中心としてYZ平面上を回転することができるように構成されている。尚、原点Oの三次元座標は(0,0,0)である。
【0027】
このような構成により、磁界発生器2による磁界Gの発生点CをXY平面上に投影した点Cを第一磁界検出器3および第二磁界検出器4によって検出することができ、さらに、発生点CをYZ平面上に投影した点Cを第三磁界検出器5によって検出することが可能となる。尚、本実施例で示すXYZ座標系は、XY平面が水平面を構成し、Z軸の正方向が鉛直上向きとなる三次元座標系を例示して説明をしているが、これに限定するものではなく、設定した三次元座標系における磁界発生器2および各磁界検出器3・4・5の相対的な位置関係が本実施例の構成と一致していれば、設定した三次元座標系の向きに関係なく本発明を適用することが可能である。
【0028】
即ち、本発明の一実施例に係る空間位置特定装置1は、原点Oにおいて互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸によって規定され、X軸上に原点Oに対して点対称となる2点である第一基準点Aおよび第二基準点Bが設定される三次元座標系において、第一基準点Aに第一磁界検出器3を配置して、かつ、第二基準点Bに第二磁界検出器4を配置して、かつ、原点Oに第三磁界検出器5を配置して、さらに、三次元座標系に磁界発生器2を配置して構成され、該磁界発生器2によって、Z軸と平行な向きに磁界Gを発生させて、第一磁界検出器3によって、第一基準点Aと磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cとを通る直線である第一基準線LがX軸と成す角度である第一角度θを検出して、かつ、第二磁界検出器4によって、第二基準点Bと磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cとを通る直線である第二基準線LがX軸と成す角度である第二角度θを検出して、さらに、第一基準線Lと第二基準線Lとの交点から点CのXY座標(p,q)を検出しつつ、第三磁界検出器5によって、原点Oと磁界Gの発生点CをYZ平面に投影した点Cとを通る直線である第三基準線LがY軸と成す角度である第三角度θを検出して、第三基準線L上の点であって、そのY座標が、検出された点CのY座標(q)と一致する点のZ座標から、点CのZ座標(r)を検出して、磁界Gの発生点Cの三次元座標(p,q,r)を検出して、磁界発生器2の空間位置を特定するものである。
このような構成により、簡易な構成の空間位置特定装置1で、容易に対象物6の空間位置を特定することができる。
【0029】
次に、本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による空間位置特定方法について、図1および図5〜図8を用いて説明をする。
図5は本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による空間位置特定方法を説明する作業フロー図、図6は本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による空間位置特定方法を説明するα方向矢視(XY平面)図、図7は本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による空間位置特定方法を説明するβ方向矢視(YZ平面)図、図8は本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による複数位置の空間位置特定方法を説明する斜視図である。
【0030】
図1に示す配置状態において、図5に示すフロー図に沿って本発明の一実施例に係る空間位置特定装置1による空間位置特定方法が実施される。
図5に示す如く、まず始めに、三次元座標系に配置された磁界発生器2に通電がなされると、Z軸と平行な向きの磁界であって、N極がZ軸の負方向となる磁界Gが発生される(STEP−1)。
【0031】
すると、図6に示す如く、点A、点Bに配設された各方位磁針3a・4aによって磁界G(発生点C)が検出されるため、各方位磁針3a・4aのS極が発生点Cに向くようにして回転する(STEP−2)。そしてこのとき、第一磁界検出器3のロータリーポテンショメータ3cによって、点Aと磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cとを通る直線である第一基準線LがX軸と成す角度である第一角度θが検出され、かつ、第二磁界検出器4のロータリーポテンショメータ4cによって、点Bと磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cとを通る直線である第二基準線LがX軸と成す角度である第二角度θが検出される(STEP−3)。
【0032】
ここで、第一基準線Lは、x、yおよびθの関数として以下の数式1で表すことができ、また第二基準線Lは、x、yおよびθの関数として以下の数式2で表すことができる。
【0033】
【数1】

【0034】
【数2】

【0035】
そして、磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cの座標は、数式1、2を連立させて解くことによって、各基準線L・Lの交点として検出される(STEP−4)。ここで、交点CのXY座標(p,q)は、以下の数式3、4によって求めることができる。
【0036】
【数3】

【0037】
【数4】

【0038】
また、図7に示す如く、第一磁界検出器3および第二磁界検出器4による交点Cの検出と同時に、原点Oに配設された第三磁界検出器5の方位磁針5aによって磁界G(発生点C)が検出されるため、方位磁針5aのS極が発生点Cに向くように回転する(STEP−2)。そしてこのとき、第三磁界検出器5のロータリーポテンショメータ5cによって、原点Oと磁界Gの発生点CをYZ平面に投影した点Cとを通る直線である第三基準線LがX軸と成す角度である第三角度θが検出される。
【0039】
そして、先述の如く求めた交点CのY座標(q)からYZ平面上にy=qの直線を設定し、第三基準線Lと、y=qの直線との交点から、磁界Gの発生点CをYZ平面に投影した点CのZ座標(r)を検出することができる(STEP−5)。ここで、交点CのZ座標(r)は、以下の数式5によって求めることができる。
【0040】
【数5】

【0041】
これにより、磁界発生器2による磁界Gの発生点Cの三次元座標(p,q,r)を検出することができる。そして、検出された発生点Cの三次元座標(p,q,r)に基づいて、所望する特定点Dの三次元座標(即ち、空間位置)を特定することができる。
以上のようにして、一連の本発明の一実施例に係る空間位置特定装置1による空間位置特定方法が実施される。
【0042】
即ち、本発明の一実施例に係る空間位置特定方法においては、原点Oにおいて互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸によって規定され、X軸上に原点Oに対して点対称となる2点である第一基準点Aおよび第二基準点Bが設定される三次元座標系において、該三次元座標系に配置される磁界発生器2によって、Z軸と平行な向きに磁界Gを発生させて、第一基準点Aに配置される第一磁界検出器3によって、第一基準点Aと磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cとを通る直線である第一基準線LがX軸と成す角度である第一角度θを検出して、かつ、第二基準点Bに配置される第二磁界検出器4によって、第二基準点Bと磁界Gの発生点CをXY平面に投影した点Cとを通る直線である第二基準線LがX軸と成す角度である第二角度θを検出して、さらに、第一基準線Lと第二基準線Lとの交点から点CのXY座標(p,q)を検出しつつ、原点Oに配置される第三磁界検出器5によって、原点Oと磁界Gの発生点CをYZ平面に投影した点Cとを通る直線である第三基準線LがY軸と成す角度である第三角度θを検出して、第三基準線L上の点であって、そのY座標が、検出された点CのY座標(q)と一致する点のZ座標から、点CのZ座標(r)を検出して、磁界Gの発生点Cの三次元座標(p,q,r)を検出して、磁界発生器2の空間位置を特定するものである。
このような構成により、簡易な構成の空間位置特定装置1による空間位置特定方法で、容易に対象物6の空間位置を特定することができる。
【0043】
また、図8に示す如く、本発明の一実施例に係る空間位置特定装置1を用いた空間位置特定方法では、複数(本実施例では二個)の対象物6・16が存在する場合であっても、一度の特定作業で全ての対象物の空間位置を特定することができる。尚、本実施例では、対象物の個数が二個である場合を例示しているが、所望する特定点の個数だけ磁界発生器を準備すれば、対象物の個数が三個以上である場合であっても、空間位置を特定することが可能である。
【0044】
この場合、例えば、まず対象物6に付設された磁界発生器2のみに通電し、磁界発生器2による磁界Gの発生点Cの空間位置(即ち、三次元座標(p,q,r))を特定して、特定点Dの空間位置を特定した後、次に対象物16に付設された磁界発生器12のみに通電して、磁界発生器12による磁界の発生点Eの空間位置(即ち、三次元座標(p,q,r))を特定して、特定点Fの空間位置を特定する構成としている。
【0045】
つまり、本発明の一実施例に係る空間位置特定装置1では、複数の対象物(例えば、対象物6・16)が存在している場合でも、通電する磁界発生器(例えば、磁界発生器2・12)を順次切替えていくことによって、各磁界検出器3・4・5の配置構成等には手を加えることなく、一度の特定作業で容易に複数の対象物の空間位置を特定することができる。
【0046】
即ち、本発明の一実施例に係る空間位置特定方法に用いられる空間位置特定装置1が有する磁界発生器2は、電磁石を備え、該電磁石に通電されるときに、磁界Gを発生させるものである。
このような構成により、複数の対象物6・16の空間位置を一度の特定作業で特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施例に係る空間位置特定装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】本発明の一実施例に係る磁界発生器による磁界の発生状況を示す模式図。
【図3】本発明の一実施例に係る磁界発生器の設置状況を示す模式図。
【図4】本発明の一実施例に係る磁界検出器の全体構成を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による空間位置特定方法を説明する作業フロー図。
【図6】本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による空間位置特定方法を説明するα方向矢視(XY平面)図。
【図7】本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による空間位置特定方法を説明するβ方向矢視(YZ平面)図。
【図8】本発明の一実施例に係る空間位置特定装置による複数位置の空間位置特定方法を説明する斜視図。
【符号の説明】
【0048】
1 空間位置特定装置
2 磁界発生器
3 第一磁界検出器
4 第二磁界検出器
5 第三磁界検出器
6 対象物
O 原点
A 第一基準点
B 第二基準点
C 発生点
D 特定点
G 磁界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原点において互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸によって規定され、
前記X軸上に前記原点に対して点対称となる2点である第一基準点および第二基準点が設定される三次元座標系において、
前記第一基準点に第一磁界検出器を配置して、かつ、
前記第二基準点に第二磁界検出器を配置して、かつ、
前記原点に第三磁界検出器を配置して、さらに、
前記三次元座標系に磁界発生器を配置して構成され、
該磁界発生器によって、
前記Z軸と平行な向きに磁界を発生させて、
前記第一磁界検出器によって、
前記第一基準点と前記磁界の発生点をXY平面に投影した点とを通る直線である第一基準線が前記X軸と成す角度である第一角度を検出して、かつ、
前記第二磁界検出器によって、
前記第二基準点と前記磁界の発生点をXY平面に投影した点とを通る直線である第二基準線が前記X軸と成す角度である第二角度を検出して、
さらに、前記第一基準線と前記第二基準線との交点から前記磁界の発生点をXY平面に投影した点のXY座標を検出しつつ、
前記第三磁界検出器によって、
前記原点と前記磁界の発生点をYZ平面に投影した点とを通る直線である第三基準線が前記Y軸と成す角度である第三角度を検出して、
前記第三基準線上の点であって、そのY座標が、検出された前記磁界の発生点をXY平面に投影した点のY座標と一致する点のZ座標から、
前記磁界の発生点をYZ平面に投影した点のZ座標を検出して、
前記磁界の発生点の三次元座標を検出して、
前記磁界発生器の空間位置を特定する、
ことを特徴とする空間位置特定装置。
【請求項2】
前記磁界発生器は、
電磁石を備え、
該電磁石に通電されるときに、
前記磁界を発生させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の空間位置特定装置。
【請求項3】
原点において互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸によって規定され、
前記X軸上に前記原点に対して点対称となる2点である第一基準点および第二基準点が設定される三次元座標系において、
前記三次元座標系に配置される磁界発生器によって、
前記Z軸と平行な向きに磁界を発生させて、
前記第一基準点に配置される前記第一磁界検出器によって、
前記第一基準点と前記磁界の発生点をXY平面に投影した点とを通る直線である第一基準線が前記X軸と成す角度である第一角度を検出して、かつ、
前記第二基準点に配置される前記第二磁界検出器によって、
前記第二基準点と前記磁界の発生点をXY平面に投影した点とを通る直線である第二基準線が前記X軸と成す角度である第二角度を検出して、
さらに、前記第一基準線と前記第二基準線との交点を検出して、
前記磁界の発生点をXY平面に投影した点のXY座標を検出しつつ、
前記原点に配置される前記第三磁界検出器によって、
前記原点と前記磁界の発生点をYZ平面に投影した点とを通る直線である第三基準線が前記Y軸と成す角度である第三角度を検出して、
前記第三基準線上の点であって、そのY座標が、検出された前記磁界の発生点をXY平面に投影した点のY座標と一致する点のZ座標から、
前記磁界の発生点をYZ平面に投影した点のZ座標を検出して、
前記磁界の発生点の三次元座標を検出して、
前記磁界発生器の空間位置を特定する、
ことを特徴とする空間位置特定方法。
【請求項4】
前記磁界発生器は、
電磁石を備え、
該電磁石に通電されるときに、
前記磁界を発生させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の空間位置特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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