説明

穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システム

【課題】駆動源を1つにしても、駆動源からの駆動力を遮断する必要が無い穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムを提供する。
【解決手段】穿孔ユニット41は、第1通紙ガイドである底板76と、第2通紙ガイドである上板93と、複数のパンチ63A〜63Dと、係合突部95A〜95Fと、第1伝動部材64と、第2伝動部材65と、駆動源と、ラック・ピニオン機構67とを備える。この穿孔ユニット41では、駆動源における回転駆動軸66aの回転力をラック・ピニオン機構67により直線運動に変換し、第1伝動部材64と第2伝動部材65を互いに反対方向へ移動させることにより、第1穿孔グループのパンチ63A〜63D又は第2穿孔グループのパンチ63B,63Cを軸線方向に駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された用紙に対して穿孔処理を行う穿孔ユニット、この穿孔ユニットを備える後処理装置及びこの後処理装置と画像形成装置を備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置により画像が形成された用紙に対して穿孔処理やステープル処理等の各種後処理を行う後処理装置が提供されている。このような後処理装置は、穿孔処理を行うための穿孔ユニットやステープル処理を行うための平綴じ部等を備えている。
【0003】
穿孔処理を行う装置は、例えば、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されたシート穿孔装置は、係合突部を有する複数のパンチと、複数のパンチを挟んで両側に配置される2枚のカム板とを備えており、2枚のカム板には、各パンチの係合突部が係合するカム溝が設けられている。
【0004】
このシート穿孔装置では、カム板をスライドさせることにより、カム溝の傾斜部が係合突部を押してパンチを押し下げて用紙を穿孔するようになっている。そして、2枚のカム板のうちのどちらかをスライドさせることにより、複数のパンチのうちの作動するパンチを選択するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−1597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたシート穿孔装置では、2枚のカム板のうちのどちらかをスライドさせるため、駆動源を1つにすると、その駆動源からスライドさせないカム板への駆動力の伝達を遮断しなければならない。そのため、駆動源からの駆動力を遮断する遮断機構を設けることになり、部品点数及びコストが増加するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術における実情を考慮し、駆動源を1つにしても、駆動源からの駆動力を遮断する必要が無い穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の穿孔ユニットは、複数のパンチと、係合突部と、第1伝動部材と、第2伝動部材と、駆動源と、ラック・ピニオン機構とを備える。
係合突部は、複数のパンチの外面から突出している。
第1伝動部材は、係合溝を有する。この第1伝動部材の係合溝には、複数のパンチのうちの第1穿孔グループに分類されたパンチに設けられる係合突部が係合する。
第2伝動部材は、複数のパンチを挟んで第1伝動部材と対向しており、係合溝を有している。この第2伝動部材の係合溝には、複数のパンチのうちの第2穿孔グループに分類されたパンチに設けられる係合突部が係合する。
駆動源は、第1伝動部材及び第2伝動部材を移動させるための駆動力を発生する回転駆動軸を有する。
ラック・ピニオン機構は、駆動源の駆動力を第1伝動部材及び第2伝動部材に伝達して、第1伝動部材と第2伝動部材とを両者が対向する方向に直交する方向で互いに反対方向に移動させる。
そして、第1伝動部材が移動方向の一方に移動すると共に第2伝動部材が移動方向の他方に移動するとき、第1伝動部材は、係合溝に係合した係合突部を押圧して第1穿孔グループに分類されたパンチを軸線方向に駆動させる。
また、第2伝動部材が移動方向の一方に移動すると共に第1伝動部材が移動方向の他方に移動するとき、第2伝動部材は、係合溝に係合した係合突部を押圧して第2穿孔グループに分類されたパンチを軸線方向に駆動させる。
【0009】
本発明の後処理装置は、用紙を受け入れる受入部と、受入部によって受け入れた用紙を搬送する用紙搬送部と、用紙搬送部によって搬送された用紙に対して穿孔処理を行う穿孔ユニットとを備える。そして、この穿孔ユニットには、上述の穿孔ユニットを用いる。
【0010】
また、本発明の画像形成システムは、用紙に画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置から供給された用紙に対して穿孔処理を行う後処理装置とを備える。後処理装置は、用紙を受け入れる受入部と、受入部によって受け入れた用紙を搬送する用紙搬送部と、用紙搬送部によって搬送された用紙に対して穿孔処理を行う穿孔ユニットとを有する。そして、この穿孔ユニットには、上述の穿孔ユニットを用いる。
【0011】
上記構成の穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムでは、駆動源が発生した駆動力をラック・ピニオン機構により第1伝動部材と第2伝動部材へ伝達し、両者を互いに反対方向へ移動させる。したがって、駆動源を1つにした場合であっても、駆動源からの駆動力を遮断する必要は無い。その結果、駆動源からの駆動力を遮断する遮断機構を省くことができ、部品点数及びコストを削減することができる。
【0012】
すなわち、第1穿孔グループのパンチによって用紙に穿孔処理を施すには、駆動源の回転駆動軸を一方の回転方向へ回転させる。これにより、第1伝動部材は移動方向の一方に移動し、第2伝動部材は移動方向の他方に移動する。このとき、第1伝動部材は、その係合溝に係合した係合突部を押圧して第1穿孔グループに分類されたパンチを軸線方向に駆動させる。その結果、第1穿孔グループのパンチが、供給された用紙に対して穿孔処理を施す。
【0013】
また、第2穿孔グループのパンチによって用紙に穿孔処理を施すには、駆動源の回転駆動軸を他方の回転方向へ回転させる。これにより、第2伝動部材は移動方向の一方に移動し、第1伝動部材は移動方向の他方に移動する。このとき、第2伝動部材は、その係合溝に係合した係合突部を押圧して第2穿孔グループに分類されたパンチを軸線方向に駆動させる。その結果、第2穿孔グループのパンチが、供給された用紙に対して穿孔処理を施す。
【発明の効果】
【0014】
上記構成の穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムによれば、駆動源を1つにしても、駆動源からの駆動力を遮断する必要がない。したがって、遮断機構を省くことができ、部品点数及びコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成システムの一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】本発明の後処理装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の穿孔ユニットの第1実施形態を示す外観斜視図である。
【図4】図4A,図4Cは、本発明の穿孔ユニットの第1実施形態を側方から見た状態の部分断面図、図4Bは、本発明の穿孔ユニットの第1実施形態の平面図である。
【図5】図5A,図5Cは、本発明の穿孔ユニットの第1実施形態の第1穿孔グループによる穿孔処理を終えた状態を側方から見た部分断面図である。図5Bは、本発明の穿孔ユニットの第1実施形態の第1穿孔グループによる穿孔処理を終えた状態の平面図である。
【図6】図6A,図6Cは、本発明の穿孔ユニットの第1実施形態の第2穿孔グループによる穿孔処理を終えた状態を側方から見た部分断面図である。図6Bは、本発明の穿孔ユニットの第1実施形態の第2穿孔グループによる穿孔処理を終えた状態の平面図である。
【図7】本発明の穿孔ユニットの第2実施形態に係る伝動部材の係合溝を示す平面図である。
【図8】本発明の穿孔ユニットに係る係合突部と係合溝との間に転動体を設けた構成を示す説明図である。
【図9】本発明の穿孔ユニットに係るパンチにベアリング軸受を設け、係合突部を回転可能に支持する構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムを実施するための形態について、図1〜図7を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0017】
<画像形成システム>
まず、画像形成システムについて、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の画像形成システムの一実施形態を示す全体構成図である。
【0018】
図1に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置2と、この画像形成装置2に接続される後処理装置3から構成されている。
【0019】
[画像形成装置]
まず、画像形成装置2について説明する。
画像形成装置2は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、原稿搬送部11と、画像読取部12と、画像形成部13と、操作表示部14と、制御部15を有している。
【0020】
原稿搬送部11は、画像読取部12の読取位置に原稿を1枚ずつ搬送する。画像読取部12は、原稿搬送部11により搬送された原稿又は原稿台16に載置された原稿の画像を読み取って、画像データを生成する。
【0021】
画像形成部13は、ドラム状の感光体21と、感光体21の周囲に配置された帯電部22、露光部23、現像部24、転写部25A、分離部25B及びクリーニング部26を有している。帯電部22は、感光体21の表面を一様に帯電する。露光部23は、原稿から読み取られた画像データに基づいて、感光体21上に露光走査を行って潜像を形成する。現像部24は、潜像を現像して感光体21の表面にトナー像を形成する。
【0022】
用紙S1は、用紙収納部27に収納されている。この用紙S1は、給紙部28Aにより給紙されて転写部25Aが配置された転写位置へ送られる。転写部25Aは、転写位置へ送られた用紙S1上にトナー像を転写する。分離部25Bは、トナー像が転写された用紙S1の裏面の電荷を消去して、用紙S1を感光体21から分離する。感光体21から分離された用紙S1は、中間搬送部28Bにより搬送され、定着部29へ送られる。定着部29は、用紙S1に転写されたトナー像を加熱定着させる。
【0023】
定着部29の搬送方向下流側(以下、「下流側」という)には、切換ゲート28Cが配置されている。切換ゲート28Cは、定着部29を通過した用紙S1の搬送路を切り換える。すなわち、切換ゲート28Cは、片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合に、用紙S1を直進させる。これにより、用紙S1は、一対の排紙ローラ28Dによって排紙される。また、切換ゲート28Cは、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙S1を下方に案内する。
【0024】
フェースダウン排紙を行う場合は、用紙S1を切換ゲート28Cによって下方へ案内した後、用紙S1の後端が切換ゲート28Cを通過した時点で用紙の搬送方向を切り換え、一対の排紙ローラ28Dによって排紙する。
両面画像形成を行う場合は、用紙S1を切換ゲート28Cによって下方に案内して用紙反転搬送部28Eに送り込んだ後、再給紙路28Fを介して再び転写位置に送ることにより、用紙S1を表裏反転して転写位置に搬送する。
【0025】
クリーニング部26は、感光体21の表面に残留しているトナーを除去する。
【0026】
操作表示部14は、タッチパネル等を有しており、ユーザが画像形成装置2及び後処理装置3を動作させるためのジョブ情報を入力する入力部として機能する。この操作表示部14では、例えば、用紙のサイズの選択や枚数の選択等をジョブ情報として入力することができる。さらに、後処理装置3による穿孔処理やステープル処理の有無の選択、ステープル処理において綴じる用紙の枚数等をジョブ情報として入力することもできる。操作表示部14で入力されたジョブ情報は、制御部15に送信される。
【0027】
また、操作表示部14は、スタートボタンを有している。ユーザが操作表示部14によりジョブ情報を入力してスタートボタンを押圧することにより、画像形成装置2及び後処理装置3は、入力されたジョブ情報に基づいた動作を開始する。制御部15は、受信したジョブ情報に基づいて画像形成装置2の画像形成動作を制御する。
【0028】
制御部15の通信部15aは、後処理装置3における後処理制御部37の通信部37aと電気的に接続されている。画像形成装置2の制御部15は、後処理装置3の後処理制御部37と例えばシリアル通信を行って、後処理装置3を画像形成装置2の画像形成動作に連動して動作させるように制御する。
【0029】
[後処理装置]
次に、後処理装置3について図2を参照して説明する。
図2は、後処理装置3の縦断面図である。
【0030】
後処理装置3は、画像形成装置2から供給された用紙に穿孔処理やステープル処理等の各種後処理を行う。
図2に示すように、後処理装置3は、挿入紙給紙部31A,31Bと、受入部32と、用紙搬送部33と、固定排紙台34と、昇降排紙台35と、下部排紙台36と、後処理制御部37と、後述する複数の後処理部とを備えている。
【0031】
挿入紙給紙部31A,31Bは、後処理装置3における筐体30の上部に設けられている。この挿入紙給紙部31A,31Bには、例えば、表紙などの挿入紙が積載されている。受入部32は、筐体30の画像形成装置2に対向する面に開口されている。この受入部32は、画像形成装置2から供給された用紙及び挿入紙給紙部31A,31Bに積載された用紙を受け入れる。
【0032】
なお、以下の説明では、画像形成装置2から供給された用紙と、挿入紙給紙部31A,31Bに積載された用紙を用紙S2と総称する。
【0033】
用紙搬送部33は、モータ(不図示)により駆動される複数のローラと、複数の搬送路から構成されている。この用紙搬送部33は、後処理装置3が実行する後処理の内容に応じて用紙S2を各後処理部に搬送し、後処理が施された用紙S2を装置外に排出する。
【0034】
固定排紙台34は、挿入紙給紙部31A,31Bの下方に設けられており、下部排紙台36は、筐体30の下部に設けられている。昇降排紙台35は、固定排紙台34と下部排紙台36との間に設けられている。この昇降排紙台35は、不図示の昇降機構によって上下方向に移動可能になっており、順次下降して多数枚の用紙S2を収容することが可能になっている。
【0035】
筐体30の内部には、穿孔ユニット41と、シフト部42と、平綴じ部43と、中綴じ部44と、折り部45等の複数の後処理部が配設されている。後処理制御部37は、画像形成装置2の制御部15から送信されたジョブ情報や制御情報に基づいて各後処理部の動作を制御する。
【0036】
穿孔ユニット41は、受入部32の下流側に設けられている。この穿孔ユニット41は、ジョブ情報として穿孔処理が選択された場合に、用紙S2に穿孔処理を行う。ジョブ情報として穿孔処理が選択されていなければ、穿孔ユニット41は動作せず、用紙S2が穿孔ユニット41を通過する。この穿孔ユニット41については、後で詳しく説明する。
【0037】
穿孔ユニット41の下流側には、切換ゲート46が設けられている。この切換ゲート46は、用紙S2の搬送路を切り換える。すなわち、切換ゲート46は、第1搬送路33aと、第2搬送路33bと、第3搬送路33cのいずれかに用紙S2を案内する。
【0038】
切換ゲート46は、ジョブ情報として後処理が選択されていない場合又は穿孔処理のみが選択された場合に、第2搬送路33b及び第3搬送路33cを遮断し、第1搬送路33aのみを開放する。これにより、用紙S2は、第1搬送路33aを通過し、一対の排紙ローラ48Aによって筐体30の排出口30aへ送り出される。排出口30aから排紙された用紙S2は、固定排紙台34に載置され、順次積載される。
【0039】
切換ゲート46は、ジョブ情報としてシフト処理が選択された場合に、第1搬送路33aと第3搬送路33cを遮断し、第2搬送路33bのみを開放する。これにより、用紙S2は、第2搬送路33bを通過する。
また、切換ゲート46は、穿孔処理のみが選択された場合に、第1搬送路33aと第3搬送路33cを遮断し、第2搬送路33bのみを開放することがある。この場合は、用紙S2が第2搬送路33bを通過して、昇降排紙台35に排出される。
【0040】
シフト部42は、第2搬送路33b上に配設されており、用紙S2に対してシフト処理を行う。このシフト処理では、用紙S2を所定の枚数毎に、用紙搬送方向に直交する方向であって用紙S2の表裏面に平行な方向に変位させる。これにより、用紙Sは、所定の枚数毎に排紙位置を変えられて排紙される。
【0041】
シフト部42によってシフト処理された用紙S2は、一対の排紙ローラ48Bに挟持されて排出口30bへ送り出される。排出口30bから排出された用紙S2は、昇降排紙台35に載置され、順次積載される。
【0042】
切換ゲート46は、ジョブ情報として平綴じ処理、中綴じ処理又は折り処理が選択された場合に、第1搬送路33aと第2搬送路33bを遮断し、第3搬送路33cのみを開放する。これにより、用紙S2は、第3搬送路33cを通過する。そして、平綴じ処理が選択された場合は、用紙S2が切換ゲート(不図示)により第4搬送路33dに案内される。一方、中綴じ処理又は折り処理が選択された場合は、用紙S2が切換ゲート(不図示)により第5搬送路33eに案内される。
【0043】
第4搬送路33dを通過した用紙S2は、一対の搬送ローラ48Cによって送り出され、平綴じ部43の集積プレート51に順次積載される。平綴じ部43は、集積プレート51と、ステープラ52と、ステープラ移動機構53と備えている。この平綴じ部43では、集積プレート51に積載された複数枚の用紙S2(用紙束)の一辺に平綴じ処理(ステープル処理)を行う。
【0044】
平綴じ処理が行われた用紙束は、排出ベルト55に設けられた排出爪56により平綴じ処理が施された縁部を保持され、集積プレート51上を滑走して斜め上方に押し上げられる。これにより、用紙束は、一対の排紙ローラ48Bにより排出口30bへ送り出される。排出口30bから排紙された用紙束は、昇降排紙台35に載置され、順次積載される。
【0045】
第5搬送路33e上には、中綴じ部44が配設されている。中綴じ部44は、ジョブ情報として中綴じ処理が選択された場合に、不図示の用紙集積部に積載された複数枚の用紙S2(用紙束)に対して中綴じ処理(ステープル処理)を行う。中綴じ処理が行われた用紙束は、折り部45に搬送される。また、中綴じ処理が選択されていなければ、中綴じ部44のステープラ(不図示)は動作せず、用紙束は中綴じ部44を通過して、折り部45に搬送される。
【0046】
折り部45は、ジョブ情報として折り処理が選択された場合に、用紙束に対して折り処理を行う。折り処理が行われた用紙束は、一対の排紙ローラ48Dによって排出口30cへ送り出される。排出口30cから排紙された用紙束は、下部排紙台36に載置され、順次積載される。
【0047】
[穿孔ユニットの第1の実施の形態]
次に、穿孔ユニット41について、図3及び図4を参照して説明する。
図3は、穿孔ユニット41の外観斜視図である。図4A,図4Cは、穿孔ユニット41を側方から見た状態の部分断面図である。図4Bは、穿孔ユニット41の平面図である。なお、図4Aと図4Cは、図4Bの平面図を中心に上下逆に示している。
【0048】
図3に示すように、穿孔ユニット41は、第1のフレーム61と、第2のフレーム62と、複数のパンチ63A〜63Dと、第1伝動部材64と、第2伝動部材65と、駆動源66と、ラック・ピニオン機構67とを備えている。
【0049】
第1のフレーム61は、細長に形成された通紙側フレーム部71と、この通紙側フレーム部71の長手方向の一端に連続する駆動源側フレーム部72から構成されている。
通紙側フレーム部71は、略長方形の側板74,75と、これら側板74,75の一方の長辺に連続する底板76と、側板75の他方の長辺に連続するフランジ77とを有している。
【0050】
側板74には、複数のパンチ63A〜63Dに設けられる係合突部95A〜95D(図4B参照)との干渉を避けるための4つの逃げ孔(不図示)が形成されている。また、側板75には、複数のパンチ63B,63Cに設けられる係合突部95E,95F(図4C参照)との干渉を避けるための2つの逃げ孔(不図示)が形成されている。
【0051】
底板76は、供給される用紙S2(図2参照)をガイドする第1通紙ガイドを兼ねる。この底板76の側板74,75が突出する側と反対側の面は、供給される用紙S2の平面(表面又は裏面)に対向する通紙面76aである。この通紙面76aは、用紙S2の搬送を妨げないように滑らかな面に加工されている。
また、第1通紙ガイドである底板76には、複数のパンチ63A〜63Dが貫通可能な刃逃げ孔76bが設けられている(図4C参照)。
【0052】
本実施の形態では、第1のフレーム61の一部である底板76が通紙面76aを有する第1通紙ガイドを兼ねる構成とした。しかし、本発明に係る第1通紙ガイドは、第1のフレーム61とは別の部材として設けてもよい。別の部材として設けた第1通紙ガイドは、例えば、第1のフレーム61の底板76に取り付けられる。
【0053】
通紙側フレーム部71には、複数のパンチ63A〜63Dの軸線方向への移動を案内するパンチガイド部81が取り付けられている。このパンチガイド部81は、通紙側フレーム部71の側板74及びフランジ77にそれぞれ固定される取付片82,83と、通紙側フレーム部71の底板76に適当な距離を開けて対向するガイド片84から構成されている。
【0054】
ガイド片84には、複数のパンチ63A〜63Dがそれぞれ貫通するガイド孔84aが設けられている(図4C参照)。複数のパンチ63A〜63Dは、ガイド片84によって軸線方向と交差する方向への移動が規制され、軸線方向のみに移動可能になる。
なお、本発明に係るパンチガイド部は、通紙側フレーム部と一体に成形されていてもよい。
【0055】
駆動源側フレーム部72は、中空の略直方体状に形成されており、通紙側フレーム部71側に開口部を有している。この駆動源側フレーム部72と通紙側フレーム部71の内側には、第1伝動部材64と第2伝動部材65が配置されている。
【0056】
駆動源側フレーム部72には、駆動源ブラケット86と、第1検出器87及び第2検出器88が取り付けられている。駆動源ブラケット86は、駆動源側フレーム部72の下部に固定されている。この駆動源ブラケット86には、駆動源66が固定されている。つまり、駆動源66は、駆動源ブラケット86によって第1のフレーム61の駆動源側フレーム部72に取り付けられている。
【0057】
第1検出器87及び第2検出器88は、駆動源側フレーム部72の側部に配置されており、駆動源側フレーム部72の側部に設けられた開口部を貫通して駆動源側フレーム部72の内側へ挿入されている。第1検出器87は、第1伝動部材64の例えば後述する基準位置からの移動距離を検出する。また、第2検出器88は、第2伝動部材65の例えば後述する基準位置からの移動距離を検出する。
【0058】
第2のフレーム62は、第1のフレーム61の通紙側フレーム部71と略同じ長さに設定されている。この第2のフレーム62は、略長方形の側板91,92と、これら側板91,92の一方の長辺に連続する上板93とを有している。
側板91,92の長辺は、通紙側フレーム部71における側板74,75の長辺と略同じ長さである。
【0059】
上板93は、供給される用紙S2を底板76と共にガイドする第2通紙ガイドを兼ねる。この上板93は、通紙側フレーム部71の底板76と所定の間隙をあけて対向している。上板93の側板91,92が突出する側と反対側の面は、底板76の通紙面76aに対向する通紙面93aである。この通紙面93aは、通紙面76aと同様に、滑らかな面に加工されている。
【0060】
通紙面76aと通紙面93aとの間には、所定の厚みを有するスペーサ90A,90Bが介在されている。これらスペーサ90A,90Bは、底板76及び上板93の長手方向の両端部に配置されている。そして、上板93は、スペーサ90A,90Bが配置されている箇所で固定ねじ、接着剤などの固定方法により底板76に固定されている。
【0061】
スペーサ90A,90Bにより、通紙面76aと通紙面93aとの間には、用紙S2が通紙される間隙が形成されている。供給される用紙S2は、スペーサ90A,90B間に挿入され、底板76及び上板93の短手方向に通紙される。
【0062】
また、上板93には、複数の刃受け孔93bが設けられている(図4C参照)。これら複数の刃受け孔93bは、底板76の複数の刃逃げ孔76bにそれぞれ対向している。複数のパンチ63A〜63Dは、複数の刃逃げ孔76bを貫通した後に複数の刃受け孔93bを貫通する。このとき、通紙面76aと通紙面93aとの間に通紙された用紙S2に穿孔処理が行われる。
【0063】
本実施の形態では、第2のフレーム62の一部である上板93が通紙面93aを有する第2通紙ガイドを兼ねる構成とした。しかし、本発明に係る第2通紙ガイドは、第2のフレーム62とは別の部材として設けてもよい。別の部材として設けた第2通紙ガイドは、例えば、第2のフレーム62の上板93に取り付けられる。
【0064】
複数のパンチ63A〜63Dは、それぞれ円柱状に形成されている。各パンチ63A〜63Dの軸線方向の一端には、穿孔刃70(図4A参照)が設けられている。これら複数のパンチ63A〜63Dの穿孔刃70側は、通紙側フレーム部71における底板76の刃受け孔76bに対向している。
【0065】
複数のパンチ63A〜63Dは、特定の穿孔処理に使用されるパンチ毎にグループ分けされる。本実施の形態では、4孔の穿孔処理に使用される全てのパンチ63A〜63Dを第1穿孔グループに分類し、2孔の穿孔処理に使用されるパンチ63B,63Cを第2穿孔グループに分類する。つまり、パンチ63B,63Cは、第1穿孔グループと第2穿孔グループの両方に分類される共用パンチである。
【0066】
第1穿孔グループによって穿孔処理を行う場合は、通紙面76a,93a間に通紙される用紙S2に4つのパンチ孔が形成される。また、第2穿孔グループによって穿孔処理を行う場合は、通紙面76a,93a間に通紙される用紙S2に2つのパンチ孔が形成される。
パンチの数量及び穿孔グループの分類は、任意に行うことができる。共用パンチの数量は、2つに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上であってもよい。また、共用パンチは、設けなくてもよい。
【0067】
図4Bに示すように、第1穿孔グループに分類されたパンチ63A〜63Dの外周面には、それぞれ係合突部95A〜95Dが設けられている。これら係合突部95A〜95Dは、円柱状に形成されたピンであり、各パンチ63A〜63Dの半径外方向に突出している。各係合突部95A〜95Dは、第1伝動部材64の後述する係合溝101〜104にそれぞれ係合する。
【0068】
第2穿孔グループに分類されるパンチ63Bの外周面には、係合突部95Bの他に係合突部95Eが設けられている。これと同様に、第2穿孔グループに分類されるパンチ63Cの外周面には、係合突部95Cの他に係合突部95Fが設けられている。
【0069】
係合突部95E,95Fは、係合突部95A〜95Dと同様のピンである。これら係合突部95E,95Fは、パンチ63B,63Cの係合突部95B,95Cと反対側に配置されており、各パンチ63A〜63Dの半径外方向に突出している。係合突部95E,95Fは、第2伝動部材65の後述する係合溝107,108にそれぞれ係合する。
【0070】
第1伝動部材64及び第2伝動部材65は、複数のパンチ63A〜63Dを挟んで互いに対向している。第1伝動部材64は、通紙側フレーム部71の側板74側に配置され、第2伝動部材65は、通紙側フレーム部71の側板75側に配置されている。
【0071】
図4Aに示すように、第1伝動部材64は、略長方形の板体からなっている。第1伝動部材64の一方の長辺を形成する端面は、パンチガイド部81におけるガイド片84の内面に係合し、他方の長辺を形成する端面は、通紙側フレーム部71における底板76の内面に係合している。これにより、第1伝動部材64は、短手方向への移動が規制されている。この第1伝動部材64の短手方向は、パンチ63A〜63Dの軸線方向と平行になっている。
【0072】
また、第1伝動部材64は、側板74と不図示のガイドレールとに係合することにより、厚み方向への移動が規制されている。この第1伝動部材64の厚み方向は、係合突部95A〜95Fが突出する方向に平行になっている。
したがって、第1伝動部材64は、長手方向のみに移動可能になっている。この第1伝動部材64の長手方向は、第1伝動部材64と第2伝動部材65が対向する方向に直交する方向であって、複数のパンチ63A〜63Dの軸線方向に直交する方向である。
【0073】
以下、第1伝動部材64の移動方向の一方を第1の方向X1とし、他方を第2の方向X2とする。
【0074】
第1伝動部材64は、4つの係合溝101〜104を有している。
係合溝101は、始点水平部101a、V字部101b、終点水平部101cの順番で第2の方向X2に連続することにより形成されている。
始点水平部101a、V字部101b及び終点水平部101cの幅は、係合突部95A〜95Fの直径と略等しい。この係合溝101には、パンチ63Aに設けた係合突部95Aが係合する。
【0075】
第1伝動部材64が図4A〜図4Cに示す基準位置(ホームポジション)に配置されているとき、係合突部95Aは、始点水平部101a内の所定の位置にある。
ここで基準位置とは、穿孔ユニット41による穿孔処理を行う前に第1伝動部材64及び第2伝動部材65が配置される位置である。
【0076】
係合溝102は、幅広水平部102a、幅広V字部102b、始点水平部102c、V字部102d、終点水平部102eの順番で第2の方向X2に連続することにより形成されている。
【0077】
始点水平部102c、V字部102d及び終点水平部102eの幅は、係合突部95A〜95Fの直径と略等しい。一方、幅広水平部102a及び幅広V字部102bの幅は、始点水平部102c、V字部102d及び終点水平部102eの幅よりも大きい。この係合溝102には、パンチ63Bに設けた係合突部95Bが係合する。
第1伝動部材64が基準位置に配置されているとき、係合突部95Bは、始点水平部102c内の所定の位置にある。
【0078】
係合溝103は、係合溝102と同様の形状であり、幅広水平部103a、幅広V字部103b、始点水平部103c、V字部103d、終点水平部103eの順番で第2の方向X2に連続することにより形成されている。この係合溝103には、パンチ63Cに設けた係合突部95Cが係合する。
第1伝動部材64が基準位置に配置されているとき、係合突部95Cは、始点水平部103c内の所定の位置にある。
【0079】
係合溝104は、係合溝101と同様の形状であり、始点水平部104a、V字部104b、終点水平部104cの順番で第2の方向X2に連続することにより形成されている。この係合溝104には、パンチ63Dに設けた係合突部95Dが係合する。
第1伝動部材64が基準位置に配置されているとき、係合突部95Dは、始点水平部104a内の所定の位置にある。
【0080】
また、第1伝動部材64の長手方向の一端部は、駆動源側フレーム部72の内側に位置している。この第1伝動部材64の長手方向の一端部において、第2伝動部材65と対向する面には、ラック105が設けられている。このラック105は、後述するピニオン110に係合する。
【0081】
図4Cに示すように、第2伝動部材65は、略長方形の板体からなっている。第2伝動部材65の一方の長辺を形成する端面は、パンチガイド部81におけるガイド片84の内面に係合し、他方の長辺を形成する端面は、通紙側フレーム部71における底板76の内面に係合している。これにより、第2伝動部材65は、短手方向への移動が規制されている。この第2伝動部材65の短手方向は、パンチ63A〜63Dの軸線方向と平行になっている。
【0082】
また、第2伝動部材65は、側板75と不図示のガイドレールとに係合することにより、厚み方向への移動が規制されている。この第2伝動部材65の厚み方向は、係合突部95A〜95Fが突出する方向に平行になっている。したがって、第2伝動部材65は、長手方向のみに移動可能になる。
【0083】
この第2伝動部材65の長手方向は、第1伝動部材64と第2伝動部材65が対向する方向に直交する方向であって、複数のパンチ63A〜63Dの軸線方向に直交する方向である。つまり、第1伝動部材64の長手方向と平行である。
したがって、第2伝動部材65の移動方向の一方は、第1伝動部材64の移動方向の一方と同じであり、第1の方向X1である。また、第2伝動部材65の移動方向の他方は、第2の方向X2である。
【0084】
第2伝動部材65は、2つの係合溝107,108を有している。
係合溝107は、第1伝動部材64の係合溝102と等しい形状であり、幅広水平部107a、幅広V字部107b、始点水平部107c、V字部107d、終点水平部107eの順番で第2の方向X2に連続することにより形成されている。この係合溝107には、パンチ63Bに設けた係合突部95Eが係合する。
第2伝動部材65が基準位置に配置されているとき、係合突部95Eは、始点水平部107c内の所定の位置にある。
【0085】
係合溝108は、第1伝動部材64の係合溝103と等しい形状であり、幅広水平部108a、幅広V字部108b、始点水平部108c、V字部108d、終点水平部108eの順番で第2の方向X2に連続することにより形成されている。この係合溝108には、パンチ63Cに設けた係合突部95Fが係合する。
第2伝動部材65が基準位置に配置されているとき、係合突部95Fは、始点水平部108c内の所定の位置にある。
【0086】
また、第2伝動部材65の長手方向の一端部は、駆動源側フレーム部72の内側に位置している。この第2伝動部材65の長手方向の一端部において、第1伝動部材64と対向する面には、ラック109が設けられている。このラック109は、後述するピニオン110に係合する。
【0087】
駆動源66(図3参照)は、いわゆるモータであり、回転駆動軸66aを有している。この回転駆動軸66aは、駆動源側フレーム部72内に挿入される。そして、回転駆動軸66aには、ピニオン110が取り付けられている。ピニオン110は、第1伝動部材64に設けたラック105と、第2伝動部材65に設けたラック109に係合する。
なお、ピニオン110は、ギヤ(歯車)を介して回転駆動軸66aに接続されていてもよい。
【0088】
ラック・ピニオン機構67は、上述のラック105,109と、ピニオン110から構成されている。ラック・ピニオン機構67は、回転駆動軸66aの駆動力(回転力)を第1伝動部材64と第2伝動部材65の第1の方向X1及び第2の方向X2への移動(直線運動)に変換する。
【0089】
回転駆動軸66aが上方から見て左回りに回転すると、第1伝動部材64は第1の方向X1へ移動し、第2伝動部材65は第2の方向X2へ移動する。
一方、回転駆動軸66aが上方から見て右回りに回転すると、第1伝動部材64は第2の方向X2へ移動し、第2伝動部材65は第1の方向X1へ移動する。
したがって、第1伝動部材64と第2伝動部材65は、互いに反対方向に移動する。
【0090】
[穿孔ユニットの動作]
次に、穿孔ユニット41の動作について、図4〜図6を参照して説明する。
図4に示すように、穿孔処理を行う前の穿孔ユニット41では、第1伝動部材64と第2伝動部材65は、基準位置(ホームポジション)に位置している。このとき、各係合突部95A〜95Fは、それぞれ始点水平部101a,102c,103c,104a,107c,108c内の所定の位置にある。
【0091】
まず、第1穿孔グループによる穿孔処理の動作について、図5を参照して説明する。
図5A,図5Cは、第1穿孔グループによる穿孔処理を終えた穿孔ユニット41を側方から見た状態の部分断面図である。図5Bは、第1穿孔グループによる穿孔処理を終えた穿孔ユニット41の平面図である。なお、図5Aと図5Cは、図5Bの平面図を中心に上下逆に示している。
【0092】
第1穿孔グループによる4孔の穿孔処理を行う場合は、後処理制御部37(図2参照)が駆動源66(図3参照)の駆動を制御し、回転駆動軸66aを上方から見て左回りに回転させる。これにより、回転駆動軸66aの回転力はピニオン110とラック105,109によって直線運動に変換され、第1伝動部材64が第1の方向X1へ移動し、第2伝動部材65が第2の方向X2へ移動する。
【0093】
第1伝動部材64が基準位置から第1の方向X1へ移動すると、係合突部95A〜95Dは、まず、係合溝101〜104のV字部101b,102d,103d,104bに係合する。そして、係合突部95A〜95DがV字部101b,102d,103d,104bの頂点部に到達するまで、第1伝動部材64は、係合突部95A〜95Dを第2のフレーム62側へ押圧する。
【0094】
これにより、パンチ63A〜63Dは、軸線方向の第2のフレーム62側へ駆動し、第1通紙ガイドである底板76の刃逃げ孔76bと第2通紙ガイドである上板93の刃受け孔93bを貫通する。その結果、底板76と上板93との間に通紙された用紙S2に4つのパンチ孔があけられる。
【0095】
なお、本実施の形態では、第1伝動部材64が基準位置に位置している状態において、各係合突部95A〜95Dが係合溝101〜104のV字部101b,102d,103d,104bに到達するまでの距離が異なる。そのため、パンチ63A〜63Dは、駆動のタイミングがずれることになり、用紙S2に対して順に穿孔処理を行う。これにより、第1伝動部材64に生じる応力を軽減することができ、第1伝動部材64及び第2伝動部材65を移動させるために必要な駆動源66のトルクを省力化することができる。
【0096】
その後、係合突部95A〜95Dは、V字部101b,102d,103d,104bの頂点部から終点水平部101c,102e,103e,104cに到達する。このとき、第1伝動部材64は、係合突部95A〜95Dを軸線方向のパンチガイド部81側へ押圧する。これにより、パンチ63A〜63Dは、軸線方向の第2のフレーム62側と反対側へ駆動し、底板76の刃逃げ孔76bと上板93の刃受け孔93bから抜ける。その結果、底板76と上板93との間に通紙された用紙S2が搬送可能になる。
【0097】
第1伝動部材64がさらに第1の方向X1へ移動すると、係合突部95A〜95Dは、係合溝101〜104の終点水平部101c,102e,103e,104cに係合する。そして、図5A〜図5Cに示すように、係合突部95A〜95Dは、終点水平部101c,102e,103e,104cの端部に到達する。このとき、第1伝動部材64が係合突部95A〜95Dを押圧しないので、パンチ63A〜63Dは、軸線方向へ移動しない。
【0098】
一方、第1伝動部材64が基準位置から第1の方向X1へ移動しているとき、第2伝動部材65は、基準位置から第2の方向X2へ移動している。そして、係合突部95A〜95Dが係合溝101〜104のV字部101b,102d,103d,104bに係合しているとき、係合突部95E,95Fは、第2伝動部材65における係合溝107,108の幅広V字部107b,108bに挿通される。これにより、係合突部95E,95Fは、第2伝動部材65に接触せずに変位する。
【0099】
また、係合突部95A〜95Dが係合溝101〜104の終点水平部101c,102e,103e,104cに係合しているとき、係合突部95E,95Fは、係合溝107,108の幅広水平部107a,108aに挿通される。これにより、係合突部95E,95Fは、第2伝動部材65に接触しないで変位する。したがって、第1穿孔グループによる穿孔処理を行う場合に、係合突部95E,95Fと第2伝動部材65が干渉することはなく、駆動源66の負荷を軽減することができる。
【0100】
係合突部95A〜95Dが終点水平部101c,102e,103e,104cの端部に到達すると、係合突部95E,95Fは、幅広水平部107a,108aの端部に到達する。このとき、第1検出器87及び第2検出器88は、第1伝動部材64及び第2伝動部材65がそれぞれ基準位置から所定の距離移動したことを検出し、その検出結果を後処理制御部37に送信する。
第1伝動部材64及び第2伝動部材65が基準位置から所定の距離移動した位置を、折り返し位置とする。
【0101】
後処理制御部37(図2参照)は、第1検出器87及び第2検出器88からの検出結果を受信すると、駆動源66(図3参照)の駆動を制御し、回転駆動軸66aの回転を停止する。その後、後処理制御部37は、再び駆動源66の駆動を制御し、回転駆動軸66aを上方から見て右回りに回転させる。
【0102】
そして、第1検出器87及び第2検出器88は、第1伝動部材64及び第2伝動部材65がそれぞれ折り返し位置から所定の距離移動したことを検出し、その検出結果を後処理制御部37に送信する。後処理制御部37は、第1検出器87及び第2検出器88からの検出結果を受信すると、駆動源66の駆動を制御し、回転駆動軸66aの回転を停止する。これにより、第1伝動部材64と第2伝動部材65は、基準位置に復帰する。
なお、回転駆動軸66aが上方から見て右回りに回転してから、第1伝動部材64と第2伝動部材65が基準位置に復帰するまでの間に、パンチ63A〜63Dによる穿孔処理が1回実行される。
【0103】
次に、第2穿孔グループによる穿孔処理の動作について、図6を参照して説明する。
図6A,図6Cは、第2穿孔グループによる穿孔処理を終えた穿孔ユニット41を側方から見た状態の部分断面図である。図6Bは、第2穿孔グループによる穿孔処理を終えた穿孔ユニット41の平面図である。なお、図6Aと図6Cは、図6Bの平面図を中心に上下逆に示している。
【0104】
第2穿孔グループによる2孔の穿孔処理を行う場合は、後処理制御部37が駆動源66の駆動を制御し、回転駆動軸66aを上方から見て右回りに回転させる。これにより、第2伝動部材65が第1の方向X1へ移動し、第1伝動部材64が第2の方向X2へ移動する。
【0105】
第2伝動部材65が基準位置から第1の方向X1へ移動すると、係合突部95E,95Fは、まず、係合溝107,108のV字部107d,108dに係合する。そして、係合突部95E,95FがV字部107d,108dの頂点部に到達するまで、第2伝動部材65は、係合突部95E,95Fを第2のフレーム62側へ押圧する。
【0106】
一方、係合突部95E,95Fが係合溝107,108のV字部107d,108dに係合しているとき、係合突部95B,95Cは、第1伝動部材64における係合溝102,103の幅広V字部102b,103bに挿通される。前述したように、幅広V字部102b,103bの幅は、係合突部95B,95Cの直径よりも大きい。これにより、係合突部95B,95Cは、第2の方向X2に移動する第1伝動部材64に接触せずに変位する。
【0107】
また、係合突部95A,95Dは、第1伝動部材64における係合溝101,104の始点水平部101a,104aに係合している。そのため、係合突部95A,95Dは、第2の方向X2に移動する第1伝動部材64に押圧されない。
【0108】
これにより、第2穿孔グループであるパンチ63B,63Cのみが、軸線方向の第2のフレーム62側へ駆動し、第1通紙ガイドである底板76の刃逃げ孔76bと第2通紙ガイドである上板93の刃受け孔93bを貫通する。その結果、底板76と上板93との間に通紙された用紙S2に2つのパンチ孔があけられる。
【0109】
なお、本実施の形態では、第2伝動部材65が基準位置に位置している状態において、各係合突部95E,95Fが係合溝107,108のV字部107d,108dに到達するまでの距離が異なる。そのため、パンチ63B,63Cは、駆動のタイミングがずれることになり、用紙S2に対して順番に穿孔処理を行う。これにより、第2伝動部材65に生じる応力を軽減することができ、第1伝動部材64及び第2伝動部材65を移動させるために必要な駆動源66のトルクを省力化することができる。
【0110】
その後、係合突部95E,95Fは、V字部107d,108dの頂点部から終点水平部107e,108eに到達する。このとき、第2伝動部材65は、係合突部95E,95Fを軸線方向のパンチガイド部81側へ押圧する。これにより、パンチ63B,63Cは、軸線方向の第2のフレーム62側と反対側へ駆動し、底板76の刃逃げ孔76bと上板93の刃受け孔93bから抜ける。その結果、底板76と上板93との間に通紙された用紙S2が搬送可能になる。
【0111】
第2伝動部材65がさらに第1の方向X1へ移動すると、係合突部95E,95Fは、係合溝107,108の終点水平部107e,108eに係合する。そして、図6A〜図6Cに示すように、係合突部95E,95Fは、終点水平部107e,108eの端部に到達する。係合突部95E,95Fが終点水平部107e,108eに係合しているとき、第2伝動部材65は係合突部95E,95Fを押圧しない。
【0112】
係合突部95E,95Fが終点水平部107e,108eに係合しているとき、係合突部95B,95Cは、第1伝動部材64における係合溝102,103の幅広水平部102a,103aに挿通される。これにより、係合突部95B,95Cは、第2の方向X2に移動する第1伝動部材64に接触せずに変位する。
【0113】
また、係合突部95A,95Dは、第1伝動部材64における係合溝101,104の始点水平部101a,104aに係合している。そのため、係合突部95A,95Dは、第2の方向X2に移動する第1伝動部材64に押圧されない。
したがって、係合突部95E,95Fが終点水平部107e,108eに係合しているとき、複数のパンチ63A〜63Dは、軸線方向へ移動しない。
【0114】
係合突部95E,95Fが終点水平部107e,108eの端部に到達すると、係合突部95B,95Cは、幅広水平部102a,103aの端部に到達する。また、係合突部95A,95Dは、始点水平部101a,104aの端部に到達する。
このとき、第1検出器87及び第2検出器88は、第1伝動部材64及び第2伝動部材65がそれぞれ基準位置から所定の距離移動したことを検出し、その検出結果を後処理制御部37に送信する。その後の第1伝動部材64及び第2伝動部材65の基準位置への復帰動作は、第1穿孔グループによる穿孔処理と同様である。
【0115】
このような第2穿孔グループによる穿孔処理では、係合突部95B,95Cが第1伝動部材64と干渉しない。そのため、駆動源66の負荷を軽減することができる。
【0116】
上述した穿孔ユニット41では、第1伝動部材64と第2伝動部材65が互いに反対方向へ同時に移動する。したがって、駆動源66からの駆動力を遮断する遮断機構が必要ない。これにより、部品点数及びコストを削減することができる。
【0117】
ところで、特開2003−1597号公報(特許文献1)に記載されたシート穿孔装置では、2枚のカム板のうちのどちらかを選択してスライドさせることにより、複数のパンチのうちの作動するパンチを切り換える。したがって、共用パンチを設ける場合には、例えば、非スライド側のカム板と共用パンチの係合突部との干渉を避けるために、共用パンチの係合突部が係合する各カム板のカム溝に垂直部を設けている。
【0118】
待機時において、共用パンチの2つの係合突部は、それぞれが係合するカム溝の垂直部上方に位置する。そして、一方のカム板がスライドすることで共用パンチが押し下げられたとき、非スライド側となるカム板のカム溝に係合した共用パンチの係合突部は、上述の垂直部に入り込む。
【0119】
このように構成すると、待機時の共用パンチは、2枚のカム板のどちらにも支えられていないことになる。そのため、特開2003−1597号公報(特許文献1)に記載されたシート穿孔装置では、共用パンチを付勢して共用パンチの落下を防ぐコイルスプリングを設けている。
【0120】
しかし、共用パンチを付勢するコイルスプリングを設けると、部品点数が増加してしまう。また、2枚のカム板にコイルスプリングとの干渉を避けるための切り欠き(逃げ部)を設ける必要があり、2枚のカム板の加工工数が増加してしまう。
さらに、コイルスプリングの付勢力に抗して共用パンチを押し下げなければならない。そのため、2枚のカム板をスライドさせるための駆動力の省力化を妨げると共に、2枚のカム板の強度を強化しなければならない。
【0121】
これに対し、本実施の形態の穿孔ユニット41では、第1伝動部材64と第2伝動部材65を互いに反対方向へ移動させる。そのため、共用パンチであるパンチ63B,63Cに設けた係合突部は、少なくとも一方の伝動部材に係合している。
【0122】
したがって、パンチ63B,63Cの係合突部95B,95C,95E,95Fが係合する係合溝102,103,107,108に、パンチ63A〜63Dの軸線方向へ延びる逃げ部を設ける必要がない。その結果、パンチ63B,63Cを付勢する付勢部材を省くことができる。
また、付勢部材の付勢力に抗してパンチ63B,63Cを押し下げなくてもよいので、2つの伝動部材を移動させるために必要な駆動源66のトルクを省力化することができる。
【0123】
[穿孔ユニットの第2の実施の形態]
次に、穿孔ユニットの第2の実施の形態について、図7を参照して説明する。
図7は、穿孔ユニットの第2の実施の形態における伝動部材の係合溝を示す平面図である。
【0124】
穿孔ユニットの第2の実施の形態は、第1の実施の形態の穿孔ユニット41と同様の構成を備えている。穿孔ユニットの第2の実施の形態が穿孔ユニット41と異なるところは、パンチ63B,63Cに設けた係合突部95B,95C,95E,95F(図4参照)が係合する係合溝の形状のみである。なお、本実施の形態の係合溝は、全て略等しい形状であるため、ここでは、係合突部95Bが係合する係合溝202を例に挙げて説明する。
【0125】
第1伝動部材164は、係合突部95Bが係合する係合溝202を有している。
係合溝202は、開口部202a、始点水平部102c、V字部102d、終点水平部102eの順番で第2の方向X2に連続することにより形成されている。第1伝動部材164が基準位置に配置されているとき、係合突部95Bは、始点水平部102c内の所定の位置にある。
【0126】
開口部202aは、始点水平部102cに連続しており、略四角形に形成されている。この開口部202aは、第1の方向X1及び第2の方向X2に略平行な2つの長辺と、第1及び第2の方向X1,X2に略垂直な2つの短辺を有している。開口部202aの一方の長辺は、始点水平部102cの上部よりも上側に位置しており、他方の長辺は、V字部102dの頂点部よりも下側に位置している。つまり、開口部202aは、第1伝動部材164が第2の方向X2へ移動するときに係合突部95Bと第1伝動部材164との干渉を避ける大きさに形成されている。
【0127】
これにより、係合突部95E(図4参照)が係合溝107のV字部107dに係合しているとき、係合突部95Bは、第1伝動部材164に接触しないで変位する。そのため、駆動源66の負荷を軽減することができる。
【0128】
また、本実施の形態の穿孔ユニットでは、係合溝202の一部が開口部202aになるため、穿孔ユニット自体及び穿孔ユニットを備える後処理装置等の軽量化を図ることができる。
【0129】
なお、本実施の形態のように、伝動部材と係合突部との干渉を避けるために係合溝の一部を開口部にする構成は、第1の実施の形態よりも伝動部材の面積に占める係合溝の面積が大きくなるので、伝動部材の強度が低くなる。そのため、係合溝の一部を開口部にする構成は、伝動部材の強度が比較的低くてもよい場合に適用することが好ましい。
【0130】
ここで伝動部材の強度が比較的低くてもよい場合とは、穿孔処理に対する用紙の抵抗力が小さい場合である。例えば、薄い用紙は穿孔処理に対する抵抗力が小さいので、パンチ孔を開ける際に伝動部材に生じる応力が小さくなる。したがって、伝動部材の強度が比較的低くても、伝動部材がその応力によって破損することはない。
【0131】
例えば、適当な厚みを有する用紙は、穿孔処理に対する抵抗力が大きいのでパンチ孔を開ける際に伝動部材に生じる応力が大きくなる。このような場合は、第1の実施の形態に係る第1伝動部材64及び第2伝動部材65を適用し、伝動部材の強度を十分に確保することが好ましい。
なお、本発明に係る伝動部材は、強度を増大させるためのリブを適宜設けるとよい。
【0132】
上述した第1の実施の形態では、第1伝動部材64おける係合溝102,103及び第2伝動部材65における係合溝107,108に幅広部(例えば、幅広水平部102a,107aや幅広V字部102b,107b等)を設けた。また、第2の実施の形態では、第1伝動部材164における係合溝202に開口部202aを設けた。
【0133】
これにより、非選択の穿孔グループに係る係合突部を押圧する伝動部材(以下、「非穿孔側伝動部材」という)が第2の方向X2へ移動するときに、その非穿孔側伝動部材と共用パンチの係合突部との干渉を避けることができる。つまり、共用パンチは、非穿孔側伝動部材からの影響を受けない。そのため、係合溝及び係合突部等に加工誤差が生じても複数のパンチを軸線方向に駆動させることができる。また、駆動源のトルクの省力化を図ることができる。
【0134】
しかしながら、本発明に係る係合溝としては、幅広部や開口部を設けて係合突部と伝動部材との干渉を避ける構成とすることに限定されない。すなわち、第1の実施の形態に係る幅広水平部102a,103a,107a,108a及び幅広V字部102b,103b,107b,108bの幅を、係合突部95A〜95Fの直径と略等しくすることもできる。
【0135】
このような構成では、非穿孔側伝動部材と共用パンチの係合突部が接触するため、駆動源のトルクが増大するが、伝動部材の係合溝及び係合突部等を高精度に加工することで、非穿孔側伝動部材によってパンチの駆動が妨げられることがなくなる。
【0136】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、複数のパンチ63A〜63Dの軸線方向への移動を案内するパンチガイド部81を設けた。しかしながら、本発明に係る穿孔ユニットとしては、刃逃げ孔76bを有する底板76(第1通紙ガイド)が複数のパンチ63A〜63Dの軸線方向への移動を案内してもよい。
例えば、底板76が適当な厚みを有していれば、複数のパンチ63A〜63Dの穿孔刃70側を刃逃げ孔76bに常に挿入させておくことができる。これにより、複数のパンチ63A〜63Dは、軸線方向と交差する方向への移動が規制される。
【0137】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、係合突部95A〜95Fをパンチ63A〜63Dの外周面から突出する円柱状のピンとした。しかしながら、本発明に係る係合突部は、係合溝に係合される形状であればよく、例えば、L字状に折り曲げて形成されていてもよい。
【0138】
また、本発明の穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムとしては、パンチの外周面から突出する係合突部と、伝動部材に設ける係合溝との間に転動体を設ける構成にすることができる。
【0139】
図8A及び図8Bは、係合突部と係合溝との間に転動体を設けた構成を示す説明図である。
図8A及び図8Bに示すように、係合突部395は、パンチ363の外周面から突出しており、この係合突部395には、転動体396が回転可能に取り付けられている。また、係合溝301は、伝動部材364に設けられている。転動体396は、伝動部材364の係合溝301に係合され、係合溝301内を回転しながら移動する。
【0140】
このように、係合突部395と係合溝301との間に転動体396を設けることにより、駆動源におけるトルクの省力化を図ることができると共に、係合突部395や伝動部材364の耐久性を向上させることができる。
【0141】
また、本発明の穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムとしては、パンチにベアリング軸受を設け、そのベアリング軸受によって係合突部を回転可能に支持する構成にすることができる。
【0142】
図9A及び図9Bは、パンチにベアリング軸受を設けた構成を示す説明図である。
図9A及び図9Bに示すように、パンチ463には、ベアリング軸受468が設けられている。このベアリング軸受468には、係合突部495が回転可能に支持されている。また、係合溝401は、伝動部材464に設けられている。係合突部495は、伝動部材464の係合溝401に係合され、係合溝401内を回転しながら移動する。
【0143】
このように、パンチ463にベアリング軸受468を設け、係合突部495を回転可能に支持することにより、駆動源におけるトルクの省力化を図ることができると共に、係合突部495や伝動部材464の耐久性を向上させることができる。
【0144】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、パンチを円柱状に形成したが、本発明に係るパンチは、断面形状が三角形や四角形の角柱状に形成してもよい。つまり、本発明に係る係合突部は、パンチの外面から突出していればよい。
【0145】
また、上述の第1の実施の形態では、第1伝動部材64及び第2伝動部材65の移動方向を、第1伝動部材64と第2伝動部材65が対向する方向に直交する方向であって、複数のパンチ63A〜63Dの軸線方向に直交する方向とした。
しかし、第1伝動部材及び第2伝動部材を、両者が対向する方向に直交する方向へ移動させれば、第1伝動部材及び第2伝動部材に設けた係合溝に係合する係合突部を押圧することができる。したがって、本発明に係る第1伝動部材及び第2伝動部材の移動方向は、第1伝動部材と第2伝動部材が対向する方向に直交する方向であればよい。
【0146】
なお、本発明に係る第1伝動部材及び第2伝動部材の移動方向は、両者が対向する方向に直交する方向であって、複数のパンチ63A〜63Dの軸線方向に交差する方向とすることが好ましい。この場合の第1伝動部材及び第2伝動部材の移動方向は、通紙面に対して傾斜した方向が含まれる。
このように構成することで、係合溝に共有パンチの軸線方向へ延びる逃げ部を設ける必要がなくなり、共有パンチを付勢する付勢部材を省くことができる。
【0147】
さらに、第1伝動部材及び第2伝動部材の移動方向は、上述の第1及び第2の実施の形態のように、第1伝動部材と第2伝動部材が対向する方向に直交する方向であって、複数のパンチ63A〜63Dの軸線方向に直交する方向とすることがより好ましい。
このように構成することで、第1伝動部材及び第2伝動部材の移動方向が通紙面に対して平行になり、穿孔ユニットの薄型化を図ることができる。
【0148】
また、上述の第1及び第2の実施の形態では、1つの駆動源66を設ける構成としたが、2つの駆動源を用いて第1伝動部材と第2伝動部材に対してそれぞれの駆動力を伝えてもよい。その場合は、各駆動源の回転駆動軸にそれぞれピニオンを取り付ける。
【0149】
以上、穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムの実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の穿孔ユニット、後処理装置及び画像形成システムは、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0150】
1…画像形成システム、2…画像形成装置、3…後処理装置、11…原稿搬送部、12…画像読取部、13…画像形成部、14…操作表示部、15…制御部、16…原稿台、30…筐体、31A,31B…挿入紙給紙部、32…受入部、33…用紙搬送部、37…後処理制御部、41…穿孔ユニット、42…シフト部、43…平綴じ部、44…中綴じ部、45…折り部、61…第1のフレーム、62…第2のフレーム、63A,63B,63C,63D…パンチ、64,164…第1伝動部材、65…第2伝動部材、66…駆動源、66a…回転駆動軸、67…ラック・ピニオン機構、70…穿孔刃、71…通紙側フレーム部、72…駆動源側フレーム部、74,75…側板、76…底板(第1通紙ガイド)、76a,93a…通紙面、76b…刃逃げ孔、77…フランジ、81…パンチガイド部、82,83…取付片、84…ガイド片、84a…ガイド孔、87…第1検出器、88…第2検出器、90A,90B…スペーサ、91,92…側板、93…上板(第2通紙ガイド)、93b…刃受け孔、95A〜95F…係合突部、101,102,103,104,107,108…係合溝、101a,102c,103c,104a,107c,108c…始点水平部、101b,102d,103d,104b,107d,108d…V字部、101c,102e,103e,104c,107e,108e…終点水平部、102a,103a,107a,108a…幅広水平部、102b,103b,107b,108b…幅広V字部、105,109…ラック、110…ピニオン、202…係合溝、202a…開口部、X1…第1の方向(移動方向の一方)、X2…第2の方向(移動方向の他方)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパンチと、
前記複数のパンチの外面から突出する係合突部と、
前記複数のパンチのうちの第1穿孔グループに分類されたパンチに設けられる前記係合突部が係合する係合溝を有する第1伝動部材と、
前記複数のパンチを挟んで前記第1伝動部材と対向し、前記複数のパンチのうちの第2穿孔グループに分類されたパンチに設けられる前記係合突部が係合する係合溝を有する第2伝動部材と、
前記第1伝動部材及び前記第2伝動部材を移動させるための駆動力を発生する回転駆動軸を有する駆動源と、
前記駆動源の駆動力を前記第1伝動部材及び前記第2伝動部材に伝達して、前記第1伝動部材と前記第2伝動部材とを両者が対向する方向に直交する方向で互いに反対方向に移動させるラック・ピニオン機構と、を備え、
前記第1伝動部材が移動方向の一方に移動すると共に前記第2伝動部材が移動方向の他方に移動するとき、前記第1伝動部材は、係合溝に係合した係合突部を押圧して第1穿孔グループに分類されたパンチを軸線方向に駆動させ、
前記第2伝動部材が移動方向の一方に移動すると共に前記第1伝動部材が移動方向の他方に移動するとき、前記第2伝動部材は、係合溝に係合した係合突部を押圧して第2穿孔グループに分類されたパンチを軸線方向に駆動させる穿孔ユニット。
【請求項2】
前記ラック・ピニオン機構は、前記第1伝動部材と前記第2伝動部材の対向する面にそれぞれ設けられた2つのラック部と、前記2つのラック部に係合し、前記駆動源の回転駆動軸によって回転するピニオンからなる請求項1に記載の穿孔ユニット。
【請求項3】
前記複数のパンチのうち少なくとも1つは、前記第1穿孔グループと前記第2穿孔グループの両方に分類された共用パンチである請求項1又は2に記載の穿孔ユニット。
【請求項4】
前記第1伝動部材と前記第2伝動部材の移動方向は、前記パンチの軸線方向に直交する方向である請求項1から3の何れか1項に記載の穿孔ユニット。
【請求項5】
前記第1伝動部材の係合溝において、前記第1伝動部材が移動方向の他方に移動するときに前記共用パンチに設けた係合突部が挿通する部分は、前記第1伝動部材の係合溝におけるその他の部分よりも幅広に形成され、
前記第2伝動部材の係合溝において、前記第2伝動部材が移動方向の他方に移動するときに前記共用パンチに設けた係合突部が挿通する部分は、前記第2伝動部材の係合溝におけるその他の部分よりも幅広に形成されている請求項1から4の何れか1項に記載の穿孔ユニット。
【請求項6】
前記第1伝動部材の係合溝において、前記第1伝動部材が移動方向の他方に移動するときに前記共用パンチに設けた係合突部が挿通する部分は、該係合突部と前記第1伝動部材との干渉を避ける大きさの開口部であり、
前記第2伝動部材の係合溝において、前記第2伝動部材が移動方向の他方に移動するときに前記共用パンチに設けた係合突部が挿通する部分は、該係合突部と前記第2伝動部材との干渉を避ける大きさの開口部である請求項1から4の何れか1項に記載の穿孔ユニット。
【請求項7】
前記複数のパンチの軸線方向への移動を案内するパンチガイド部を備える請求項1から6の何れか1項に記載の穿孔ユニット。
【請求項8】
用紙を受け入れる受入部と、
前記受入部によって受け入れた用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記用紙搬送部によって搬送された用紙に対して穿孔処理を行う請求項1から7の何れか1項に記載の穿孔ユニットと、を備えた後処理装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から供給された用紙を受け入れる受入部、前記受入部によって受け入れた用紙を搬送する用紙搬送部、および、前記用紙搬送部によって搬送された用紙に対して穿孔処理を行う請求項1から7の何れか1項に記載の穿孔ユニットを有する後処理装置と、を備えた画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−179684(P2012−179684A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44800(P2011−44800)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】