説明

穿設装置

【課題】複数の穿孔の穿設を穿設装置が流体管に安定して支持された状態で穿設を行うことができる穿設装置を提供すること。
【解決手段】流体管2,4の内周面3a,5aを径方向に押圧若しくは押圧解除可能であり、該押圧状態で流体管に支持される管軸方向に離間した一対の押圧脚31と、該一対の押圧脚31の間に架設された架設部39と、該架設部39に設けられ、径方向に進退可能な穿孔刃を管軸方向に離間して一対有し、各流体管の内周面3a,5aにそれぞれ穿孔を穿設する穿設部32と、から構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続された流体管の端部同士の管軸方向の相対移動を防止する移動防止具を取り付けるために、各流体管の内周面に周方向に沿って複数の穿孔を穿設する穿設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の穿設装置は、流体管の管軸方向に移動可能な穿設装置に搭載されたドリルが流体管の径方向に進出することにより流体管の内壁に穿孔を穿設している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−118088号公報(第3頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にあっては、流体管に対し移動可能な穿設装置が固定されない状態で穿設する為、穿孔の穿設時に加わる反力を支持することができず、特に作業手間・時間を要さずに複数の穿孔を同時に穿設する際には、十分な支持力を要するため、穿設方向や穿孔の位置がバラついてしまう等の問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、複数の穿孔を穿設する穿設装置が安定して支持された状態で穿設を行うことができる穿設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の穿設装置は、
互いに接続された流体管の端部同士の管軸方向の相対移動を防止する移動防止具を取付けるために、各流体管の内周面に周方向に沿って複数の穿孔を穿設する穿設装置であって、
流体管の内周面を径方向に押圧若しくは押圧解除可能であり、該押圧状態で流体管に支持される管軸方向に離間した一対の押圧脚と、該一対の押圧脚の間に架設された架設部と、該架設部に設けられ、径方向に進退可能な穿孔刃を管軸方向に離間して一対有し、各流体管の内周面にそれぞれ穿孔を穿設する穿設部と、から構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、穿孔刃を有する穿設部が、一対の押圧脚の間に架設された架設部に設けられているため、架設部を介し押圧脚から安定的に得られる支持力を反力として利用し、一対の穿孔刃により各流体管それぞれに確実に穿孔を穿設できる。
【0007】
本発明の穿設装置は、
押圧状態である前記押圧脚に対し、前記穿設部を流体管の周方向に所定量回動させて固定する回動部が構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、押圧脚を押圧状態として流体管に支持されたままで、押圧脚に設けられた穿設部を回動部により所定量回動させて固定することで、穿孔刃の周方向の位置を正確に移しながら、周方向の各位置でそれぞれ穿孔を容易且つ速やかに順次穿設することができる。
【0008】
本発明の穿設装置は、
前記回動部は、前記複数の穿孔の周方向の離間間隔に応じて前記穿設部の回動角度を位置決めする位置決め機構を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、回動部の位置決め機構により穿設部の回動角度を位置決めすることで、周方向に複数の穿孔を所定箇所に正確に穿設できる。
【0009】
本発明の穿設装置は、
前記押圧脚は、押圧解除状態の該押圧脚を管軸方向に移動可能な移動部を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、押圧解除状態とした押圧脚を移動部により管軸方向に移動できるため、延設された管路を構成する流体管の端部から次の端部へ穿設作業が順次可能となり、施工速度が向上する。
【0010】
本発明の穿設装置は、
前記穿設部は、前記穿孔刃の過挿入を規制する規制部を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、規制部により穿孔刃の過挿入を規制できるため、流体管を損傷させずに管路の密封状態を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、実施例における流体管の端部同士の接続状態を示す拡大断面図であり、(b)は、モルタル層を除去した状態を示す拡大断面図である。
【図2】流体管内で穿設装置の押圧脚を押圧状態とした正面断面図である。
【図3】(a)は、図2のA−A断面図であり、(b)は、(a)の穿孔ドリルを進出した状態を示す図である。
【図4】(a)は、図2のB−B断面図であり、(b)は、(a)の穿設部を回動部で回動させた状態を示す図である。
【図5】流体管内で穿設装置を移動させる状態を示す正面断面図である。
【図6】(a)は、穿孔への移動防止体の取り付けを示す拡大断面図であり、(b)は、連結部材を示す平面図である。
【図7】(a)は、流体管の端部に管継手移動防止具を架設した状態示す正面断面図であり、(b)は、(a)のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る穿設装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
実施例に係る穿設装置につき、図1から図7を参照して説明する。図1(a)に示されるように、本実施例における既設流体管の管継手1は、挿口管2の端部である挿口部3と、この挿口部3が挿入された受口管4の端部である受口部5と、両口部3,5の対向面を水密にシールしたシール部材6と、を主に備えており、挿口管2と受口管4とは、互いの管軸を略直線状に一致させて(図示せず)接続されている。
【0014】
これら本実施例における挿口管2と受口管4とは、内部において作業員等が作業可能な程度の内径を有する、比較的大径の既設流体管である。また、挿口管2と受口管4とはスチール等の金属材で構成されており、両口管2,4の内周面には、流体による両口管2,4の腐食を防止するためのモルタル層7,8が形成されている。
【0015】
更に、挿口部3の外周面には押輪9が配置されており、この押輪9に管軸方向に形成された挿通孔9aと受口部5の端部外面に形成された挿通孔5aとに挿通されたボルトナット11により、シール部材6を両口部3,5の対向する周面間に押圧保持している。
【0016】
次に図2に示されるように、両口部3,5に渡って後述の管継手移動防止具12を架設するために(図7(a),(b)参照)、両口部3,5の内周面に周方向に沿って複数の穿孔を穿設するための穿設装置30の構造について説明する。
【0017】
穿設装置30は、後述するように、流体管である挿口管2及び受口管4の内周面を径方向に押圧若しくは押圧解除可能であり、押圧状態で挿口管2及び受口管4に支持される管軸方向に離間した一対の押圧脚31、31’と、径方向に進退可能な穿孔刃である管軸方向に離間された一対の穿孔ドリル50、50’を有し、両口管2,4の内周面にそれぞれ穿孔を穿設する穿設部32と、両押圧脚31、31’の間に架設された架設部としての回動軸39を有し、押圧状態である押圧脚31、31’に対し穿設部32を両口管2,4の周方向に所定量回動させて固定する回動部33と、から主として構成されている。
【0018】
より詳しくは、図2及び図3(a),(b)に示されるように、穿設装置30の押圧脚31、31’は、両口管2,4の径方向に略90度間隔で四方に延設され管軸方向に所定間隔離間される各延設部34a、34a’と、延設部34a、34a’の各々の基端部に設けられ、図示しないベアリングを内部に有し後述のように回動軸39を枢支する軸受部40、40’と、延設部34a、34a’の外端リブ34b、34b’に螺着された雄ネジ部35、35’の先端であって延設部34a、34a’の延長方向に配設された計8個の固定用アジャスタ36、36’と、固定用アジャスタ36、36’よりも管軸方向の端部側で外端リブ34b、34b’に螺着された雄ネジ部37、37’の先端に設けられた移動用アジャスタ38、38’と、から主として成る。
【0019】
また図2及び図3(a),(b)に示されるように、穿設装置30の回動部33について説明すると、延設部34a、34a’の径方向の略中心部には、管軸方向に延びる回動軸39が、延設部34a、34a’に各々設けた軸受部40、40’を介し延設部34a、34a’に対し軸回りに回動可能に枢支されており、回動軸39の図示左側に、この回動軸39を回動するための回動ハンドル41が接続されている。
【0020】
この回動軸39の管軸方向の略中央部には、回転軸39に固定ピン392によって固定された回動体391が設けられ、回動体391には、穿設部32が連結しており、穿設部32は、回動軸39が回転すると連動して回動するようになっている。
【0021】
また、回動軸39には、後述のように穿設される複数の穿孔の周方向の離間間隔に応じた所定角度(本実施例では18度)ごとに切欠溝43aを周端に複数形成した位置決めプレート43が回動軸39とともに回動可能に取付けられるとともに、この切欠溝43aに嵌合若しくは脱嵌自在に回動する位置決めピン44が、延設部34aの所定箇所に設けたピン軸45回りに枢支されている。
【0022】
次に、穿設装置30の穿設部32について説明すると、本体部48に設けられた回動用凸部(図示略)に嵌合されたラチェット49の操作により径方向に進退可能な2本の穿孔ドリル50、50’が、減速機を介し電動モータによりドリル軸回りに回転力を付与されるように本体部48の端部に接続されている。これ等2本の穿孔ドリル50、50’は、各々が後述のように挿口部3の穿孔3bと受口部5の穿孔5bをそれぞれ穿設するべく管軸方向に所定寸法離間するとともに、径方向のドリル先端位置を略一致させ、且つ同期して回転若しくは停止するように設けられている。また、本体部48には、ラチェット49の操作により径方向に進退する穿孔ドリル50、50’とともに本発明の規制部としてのメカストッパ51が、穿孔ドリル50、50’の先端からドリル軸方向に所定の穿孔深さ分控えた位置に配設されている。
【0023】
次に、上述した穿設装置30を用いて、両口部3,5の内周面3a,5aに周方向に沿って複数の穿孔を穿設する穿設方法について順に説明する。
【0024】
先ず、図1(b)に示されるように、両口部3,5の端部におけるモルタル層7,8を図示しない剥離手段により剥離除去し、両口部3,5の内周面3a,5aを露出させる。そして、図2に示されるように、穿設装置30を、両口管2,4内部に配設する。尚、穿設装置30は、この穿設装置30を構成する各部材を個別に両口管2,4内部に搬入した後に、両口管2,4内部で各部材を組み立ててもよいし、あるいは両口管2,4の外で穿設装置30を一式組み立てた後に、この穿設装置30を両口管2,4内部に搬入しても構わない。
【0025】
より詳しくは、図2及び図3(a),(b)に示されるように、穿設部32の送出しラチェット49を操作することで、穿孔ドリル50、50’をモルタル層7が剥離除去された両口部3,5の内周面3a,5aに近づけ、設計上の穿孔の位置に配設する。尚、送出しラチェット49を操作することにより穿設部32の穿孔ドリル50、50’が径方向に進退するようになっているが、これに限らずラックギア等を用いて穿孔ドリル50、50’を径方向に進退させてもよい。
【0026】
図2及び図3(a),(b)に示されるように、穿孔ドリル50、50’の管軸方向の位置が設計上の穿孔の位置に概ね合致する箇所に於いて、延設部34a、34a’の雄ネジ部35、35’を外径方向に漸次螺出させて固定用アジャスタ36、36’を本実施例では両口管2,4のモルタル層7,8の内周面に向け押圧する。径方向に対抗する固定用アジャスタ36、36’が、互いの押圧力を反力として利用しながら両口管2,4のモルタル層7,8の内周面を十分に押圧することで、押圧脚31が両口管2,4に対し強力に支持され、穿孔ドリル50、50’によって2つの穿孔を同時に穿設する際にも穿孔方向や位置がずれることを防ぎ、両口部3,5の内周面3a,5aに確実に穿孔を穿設することができる。
【0027】
この押圧脚31の押圧状態では、回動軸39の軸心が両口管2,4の軸心に略一致して配置されている。尚、位置決めピン44は位置決めプレート43における所定箇所の切欠溝43aに嵌合させておく。
【0028】
次に、図3(b)及び図4に示されるように、本体部48の電動モータに電源入力して両方の穿孔ドリル50、50’を回転させながら、続けてラチェット49を操作することで、穿孔ドリル50、50’を平行に外径方向に更に進出させ、挿口部3の内周面3a、受口部5の内周面5aにそれぞれ穿孔3b、5bを穿設する。予め管軸方向に所定寸法離間して設けられた穿孔ドリル50、50’を外径方向に進出させることで、一対の穿孔3b、5bを同時に且つ正確な位置に穿設することができ、作業を効率よく行うことができる。尚、本実施例では、挿口部3に穿設される穿孔3bは、挿口部3の管壁を貫通形成されるものであるが、穿孔は、例えば挿口部の管壁を貫通せずに所定深さまで穿設されるものでもよい。
【0029】
穿孔ドリル50、50’による穿設が所定深さまで到達すると、メカストッパ51が挿口部3若しくは受口部5の内周面3a,5aに当接することで、穿孔ドリル50、50’の前記した所定深さを超える穿設が規制されるようになっている。
【0030】
このように、メカストッパ51により穿孔ドリル50、50’の過挿入を規制できるため、両口管2,4を損傷させずに管路の密封状態を維持できる。
【0031】
次に、図4(a),(b)に示されるように、位置決めピン44を嵌合していた位置決めプレート43における当該切欠溝43aから脱嵌するように引き上げた後(図4(a)の点線囲い部C−C断面図参照)、固定用アジャスタ36、36’により押圧脚31が両口管2,4に支持された状態のままで、回動ハンドル41を操作することで、回動軸39そして回動体391を介し穿設部32を周方向に所定角度回動させる。そして位置決めピン44を、上記のように脱嵌した切欠溝43aに隣接する切欠溝43aに嵌合するように引き下ろす。尚、位置決めピン44が所定の切欠溝43aに嵌合しない場合は、穿設部32を正確に所定角度回動できていない場合であるとして、位置決めピン44が当該切欠溝43aに嵌合する位置まで回動ハンドル41を修正操作する。すなわち、切欠溝43aを有する位置決めプレート43及び位置決めピン44は、本発明の位置決め機構を構成している。
【0032】
また、回動部33の位置決め機構である位置決めプレート43及び位置決めピン44により穿設部32の回動角度を位置決めすることで、周方向に複数の穿孔3b,5bを所定箇所に正確に穿設できる。
【0033】
以下、固定用アジャスタ36、36’により押圧脚31が両口管2,4に支持された状態を維持したままで、上記したように穿設部32による両口部3,5の内周面3a,5aにそれぞれの穿孔3b,5bの穿設と、回動部33による穿設部32の周方向の所定角度の回動とを繰返すことで、両口部3,5の内周面3a,5aに全周方向にわたり複数の穿孔3b,5bを同時に穿設する。穿設部32のいずれの回動角度においても、穿孔ドリル50、50’は管軸方向に直交する径方向に正確に進出するため、穿孔3b,5bの穿設方向を一律の径方向に形成できる。
【0034】
このように、押圧脚31、31’を押圧状態として挿口管2及び受口管4の内周面に支持されたままで、押圧脚31、31’に設けられた穿設部32を回動部33により所定量回動させて固定することで、穿孔ドリル50、50’の周方向の位置を正確に移しながら、周方向の各位置でそれぞれ穿孔を容易且つ速やかに順次穿設することができる。
【0035】
図5に示されるように、両口部3,5の内周面3a,5aに全周方向にわたり複数の穿孔3b,5bを穿設した後、雄ネジ部35、35’を内径方向に漸次螺出させて固定用アジャスタ36、36’を両口管2,4の内周面から離間させ、押圧脚31を押圧解除状態とするとともに、雄ネジ部37、37’を外径方向に漸次螺出させて移動用アジャスタ38、38’を両口管2,4の内周面に当接させる。次に、移動用アジャスタ38、38’を両口管2,4の内周面に転動させることで、穿設装置30を管軸方向に自在に移動させ、例えば上記のように当該穿孔3b,5bを穿設した管継手1の隣りの管継手(図示略)を同様に穿設できる。すなわち移動用アジャスタ38、38’は、本発明の移動部を構成している。
【0036】
このように、押圧解除状態とした押圧脚31、31’を移動部である移動用アジャスタ38、38’により管軸方向に移動できるため、延設された管路を構成する両口管2,4の端部から次の端部へ穿設作業が順次可能となり、施工速度が向上する。
【0037】
以上説明したように、本発明の穿設装置30は、流体管である挿口管2及び受口管4の内周面を径方向に押圧若しくは押圧解除可能であり、押圧状態で挿口管2及び受口管4に支持される管軸方向に離間した一対の押圧脚31、31’と、一対の押圧脚31、31’の間に架設された架設部としての回動軸39と、回動軸39に設けられ、径方向に進退可能な穿孔ドリル50、50’を管軸方向に離間して一対有し、両口管2,4の内周面にそれぞれ穿孔を穿設する穿設部32と、から構成されていることで、穿孔ドリル50、50’を有する穿設部32が、一対の押圧脚の間に架設された回動軸39に設けられているため、回動軸39を介し押圧脚から安定的に得られる支持力を反力として利用し、一対の穿孔ドリル50、50’により両口管2,4それぞれに確実に穿孔を穿設できる穿設装置30を提供することができる。
【0038】
次に、上述した穿設装置30による穿孔を利用して、両口部3,5に渡って架設された管継手移動防止具12の構造について説明する。
【0039】
この管継手移動防止具12は、例えば地震等の発生などで管継手1が不測の力を受けることによって、両口管2,4の管軸方向への相対移動を防止するために取り付けられる。この管継手移動防止具12は、両口部3,5のモルタル層7,8が除去された内周面に渡って取り付けられる複数の移動防止体13と、移動防止体13を両口部3,5の内周面に向けて被覆する筒状体と、から主に構成されている。
【0040】
図7(a)、(b)に示されるように、前記した筒状体は、周方向に2分割された円弧状フレーム25,25と、両円弧状フレーム25,25の周方向全周に渡って巻回された止水ゴム15と、止水ゴム15の周方向に巻回された押圧リングと、によって構成されている。尚、筒状体の分割構造は、必ずしも周方向に2分割された分割構造に限られず、例えば、周方向に3分割以上の構造であってもよい。
【0041】
この円弧状フレーム25は、予め防錆処理が施されたスチール等の金属材によって構成されており、両口部3,5の内径よりも若干小径の外径に形成されている。円弧状フレーム25の周方向の両端縁部には、それぞれ両口管2,4の径方向を向いて雌螺子が形成された螺着孔25bが管軸方向に向けて2つ形成されており、両円弧状フレーム25,25の螺着孔25b,25b間で接続板16を接続することによって筒状を形成している(図7(b)参照)。
【0042】
更に、図7(a)に示されるように、筒状に形成された両円弧状フレーム25,25の外周面に形成された凹溝内には、止水ゴム15が収納配置されている。この止水ゴム15の管軸方向側の両端部には、止水ゴム15の全周に亘って両口管2,4の外径方向に突出するリップ部が形成されているとともに、両リップ部間には、止水ゴム15の全周に亘って両口管2,4の外径方向に開口する凹溝が形成されている。
【0043】
一方、図6(a)、(b)に示されるように、移動防止体13は、両口部3,5のモルタル層7,8が除去された内周面に渡って配置される連結部材17と、この連結部材17を、管軸方向の挿口管2離脱方向側で挿口部3に係止する第1固着部材18と、管軸方向の挿口管2挿入方向側で受口部5に係止する第2固着部材19と、から構成されている。
【0044】
連結部材17は、円弧状フレーム25と同様に予め防錆処理の施されたスチール等の金属材によって構成されている。この連結部材17は、管軸方向に比較的長寸に形成されているとともに、管軸方向の中央に向かって周方向の幅寸法が短寸となる平面視で略瓢箪形状に形成されている。この連結部材17の管軸方向の挿口管2離脱方向側には、両口管2,4の径方向を向いて長孔17aが貫通形成されている。この長孔17aは、管軸方向に向けて長寸に形成されている。
【0045】
また、この連結部材17の管軸方向の挿口管2挿入方向側には、両口管2,4の径方向を向いて貫通孔17bが貫通形成されている。この貫通孔17bは、平面視で円形に形成されている。これら長孔17aと貫通孔17bに第1固着部材18及び第2固着部材19を挿通させることで、複数連結部材17は両口部3,5に渡って取り付けられる。
【0046】
具体的には、図7(a)に示されるように、上述のように穿設した穿孔3b,5bのうち、穿孔3bに連結部材17の長孔17aを対向配置させるとともに、穿孔5bに貫通孔17bを対向配置させた後、両口管2,4の外径方向に向けて第1固着部材18を長孔17aを介して穿孔3bに挿入させ、第2固着部材19を貫通孔17bを介して穿孔5bに挿入させることで連結部材17の取り付けがなされる。
【0047】
尚、より具体的には、両固着部材18,19は、周方向の両端部が互いに近接離間した平面視略C字状(図示せず)の筒形状に形成されたC字ピン20と、C字ピン20内に挿通することでC字ピン20を拡径させる拡径ピン21と、C字ピン20と拡径ピン21の頭部の間に介在するワッシャー22と、からなる同一構成の部材である。
【0048】
このうち第1固着部材18は、C字ピン20を長孔17aを介して穿孔3bに挿入させるとともに、ワッシャー22が挿通された拡径ピン21を長孔17aを介してC字ピン20内に挿通させる。このとき、拡径ピン21によってC字ピン20が拡径されることで、穿孔3bの内周面とC字ピン20の外周面との間に摩擦力が発生し、この摩擦力によって第1固着部材18は挿入孔3a内に固着される。更に、連結部材17は、穿孔3b内に固着された第1固着部材18に対して回動可能に枢支される。
【0049】
尚、第2固着部材19も第1固着部材18と同様にC字ピン20を貫通孔17bを介して穿孔5bに挿入させた後、拡径ピン21内にワッシャー22が挿通された拡径ピン21を挿入させることで、第2固着部材19が挿入孔5b内に固着される。このため、連結部材17は、第2固着部材19に対して回動可能に枢支される。更に尚、これら拡径ピン21の頭部は、長孔17aの短径及び貫通孔17bの孔径よりも長寸に形成されており、連結部材17が両固着部材18,19から離脱することが防止されている。
【0050】
尚、本実施例では前述のように挿口部3に固着する第1固着部材18を長孔17aに挿通させるとともに、受口部5に固着する第2固着部材18を貫通孔17bに挿通させたが、貫通孔17bを長孔17aと同様に管軸方向に長寸の長孔として形成することで両固着部材18,19の双方を長孔に挿通させるようにしてもよいし、本実施例とは逆に、貫通孔17bに第1固着部材18を挿通させるとともに、長孔17aに第2固着部材19を挿通させるようにしてもよい。
【0051】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0052】
例えば、前記実施例では、穿設装置30の押圧脚31、31’を構成する延設部34a、34a’が、両口管2,4の径方向に略90度間隔で四方に延設されているが、各延設部の延設方向の数は、本実施例に限らず例えば、3方向や6方向等の複数方向でもよい。
【0053】
また、前記実施例では、押圧状態である押圧脚31に対し回動部33により回動する対象となる作業具として、穿孔刃である穿孔ドリル50、50’を有する穿設部32を回動しているが、押圧状態である押圧脚に対し回動部により回動する作業具は、本実施例に限らず例えば、ネジ締め具や切断具、溶断具若しくは溶接具などであっても構わない。
【0054】
また、前記実施例では、管軸方向に離間した一対の押圧脚31、31’間に架設される架設部として、穿設部32を回動する回動軸39が枢支されているが、例えば架設部は、一対の押圧脚に対し固定して設けられていてもよく、更に回動部は、該一対の押圧脚に固定に設けられた前記架設部に対し枢支されていてもよい。このように、管軸方向に離間した一対の押圧脚の間に架設部を固定して設けることで、一対の押圧脚及び架設部を一体に構成でき、支持体としての構造強度を高めることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 管継手
2 挿口管(流体管)
3 挿口部(端部)
4 受口管(流体管)
5 受口部(端部)
3a,5a 内周面
3b,5b 穿孔
12 管継手移動防止具
13 移動防止体
30 穿設装置
31、31’ 押圧脚
32 穿設部
33 回動部
34、34’ 延設部
36、36’ 固定用アジャスタ
38、38’ 移動用アジャスタ(移動部)
39 回動軸(架設部)
43 位置決めプレート(位置決め機構)
44 位置決めピン(位置決め機構)
50、50’ 穿孔ドリル(穿孔刃)
51 メカストッパ(規制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続された流体管の端部同士の管軸方向の相対移動を防止する移動防止具を取付けるために、各流体管の内周面に周方向に沿って複数の穿孔を穿設する穿設装置であって、
流体管の内周面を径方向に押圧若しくは押圧解除可能であり、該押圧状態で流体管に支持される管軸方向に離間した一対の押圧脚と、該一対の押圧脚の間に架設された架設部と、該架設部に設けられ、径方向に進退可能な穿孔刃を管軸方向に離間して一対有し、各流体管の内周面にそれぞれ穿孔を穿設する穿設部と、から構成されていることを特徴とする穿設装置。
【請求項2】
押圧状態である前記押圧脚に対し、前記穿設部を流体管の周方向に所定量回動させて固定する回動部が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の穿設装置。
【請求項3】
前記回動部は、前記複数の穿孔の周方向の離間間隔に応じて前記穿設部の回動角度を位置決めする位置決め機構を有していることを特徴とする請求項2に記載の穿設装置。
【請求項4】
前記押圧脚は、押圧解除状態の該押圧脚を管軸方向に移動可能な移動部を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の穿設装置。
【請求項5】
前記穿設部は、前記穿孔刃の過挿入を規制する規制部を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の穿設装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−52450(P2013−52450A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190401(P2011−190401)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】