説明

突出した光ファイバを有するフェルール組立体とその製造方法

【課題】高精度で突出した光ファイバを有するフェルール組立体とそのフェルール組立体を高効率/高精度且つ反復可能性よく製造する方法を提供する。
【解決手段】この点に関し、フェルールの前面の全ての部分から、少なくとも約3.5μm突出した複数の光ファイバを有するフェルール組立体を提供する。フェルール組立体の光ファイバの端部は、ほぼ同一面に形成され、光ファイバの端部同士は最大100nmしか互いに離れていない。フェルール組立体は、第1の研削をすることなく光ファイバを所望の突出量まで研磨することにより、あるいは光ファイバをフェルールの前面と面一に研磨することにより効率よく製造される。フェルール組立体は、フェルールが少なくとも1つの研磨特徴、例えば外側に延びるペデスタルあるいは後退部分を有するような場合には、さらに効率よく製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精度で突出した(例えば、光ファイバがフェルール前面から少なくとも3.5μmだけ突出している)光ファイバを有するフェルール組立体に関する。本発明はさらに、このフェルール組立体の製造方法に関し、特に、製造工程全体を通して光ファイバがフェルールの前面から高精度で突出した光ファイバを有するフェルール組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチファイバコネクタを効率よく適合させるために、コネクタが搭載される複数の光ファイバの端部は、別のコネクタに対応して搭載される光ファイバの端部と物理的に接触しなければならない。対応する対の光ファイバの端部間の直接的且つ物理的接触は、屈折率適合ゲルがあまり存在しないために、北米で用いられるマルチファイバコネクタにとって特に好ましいものであり、また、光ファイバの相互接続を補助するのに用いられるマルチファイバコネクタにとっても好ましいものである。かくして、マルチファイバコネクタが対応する光ファイバ間で直接的且つ物理的接触を確立せずに適合された場合には、光ファイバに沿って伝搬する信号は大幅に減衰し、信号が受ける反射量が大幅に増加する。
【0003】
マルチファイバコネクタは、フェルールの前面を貫通して開口する複数のボアを規定するマルチファイバフェルールを含む。マルチファイバコネクタは、それぞれのボアを貫通して延びる複数の光ファイバを含む。対応する光ファイバの端部間の直接的且つ物理的接触を確立するために、光ファイバの端部はフェルールの前面から延びて、これが突出距離(突出量)を規定している。従来、前面に対し測定された突出距離(突出量)は、1μmから最大3μmである。かくして光ファイバは、フェルールの前面のどのような欠陥も越えて延び、且つフェルールの前面に集まりやすいゴミ、チリあるいは他のくず等を越えて延びる。
【0004】
光ファイバがフェルールの前面を越えて伸びる所望の突出量を確定する通常のプロセスは、光ファイバとフェルールの前面を研削または研磨することにより、光ファイバの端部をフェルールの前面と面一にすることにより開始する。その後、フェルールの前面と光ファイバの端部とは、フェルールの前面の一部を光ファイバの端部に対し優先的に除去するような方法で研磨される。このような優先的研磨プロセスの後、光ファイバの端部はフェルールの前面を所定の長さ(通常1μmと3μmの間)だけ越えて延びる(突出する)。ところが、光ファイバの端部がフェルールの前面を越えて延びる量は、時には不十分である。この例においては、一対の適合したマルチファイバコネクタのフェルールの前面の部分同士が接触し、対応する光ファイバの端部間にギャップを形成することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,106,368号明細書
【0006】
1μmから3μmの突出量(距離)は最初は十分なものである。しかし、この大きさの光ファイバの突出量はいくつかの理由により不十分なものとなることがある。例えば、熱硬化性または熱可塑性のマトリックス内に配置された溶融水晶製のフェルールは、湿気を吸い込む傾向がある。そしてこの吸収された湿気がフェルールを変形させる。この変形はフェルールの前面が凹む(cupping)ことである。湿度が存在することにより、光ファイバはフェルール内に幾分引っ込むが、一方それに応じてフェルールの前面は膨張することになる。このようなことが起こると突出量は大幅に減少する。さらに、ゴミ、チリあるいは他のくず等はフェルールの前面に蓄積することがある。さらにまた、光ファイバにかかる機械的な負荷によってもフェルールは変形する。例えば、12本の光ファイバにかけられた2ポンドのスプリング負荷によりフェルールの前面は、光ファイバの端部に対し約4μmだけ変形する。この突出量(距離)は、ファイバ同士が接触しなくなる点まで減ることがあり、これは、フェルールの前面の凹みと膨張、光ファイバがフェルール内に部分的に引っ込むこと、ゴミ、チリあるいは他のくずがフェルールの前面に蓄積すること、光ファイバに負荷がかかることによる複合的効果の産物である。そのため光ファイバの端部は互いに分離する、すなわちスペースが空くことがあり、これにより光ファイバを介して伝搬される信号が受ける減衰量と反射量を好ましくないほど増加する。
【0007】
これらの問題は、適合するフェルールの前面間の接触可能部分の領域、すなわちファイバの突出部分がない場所の適合するフェルールの前面が接触する領域が増えるにつれて、悪化する。この点に関し、これらの問題は接触可能部分の領域内のゴミ、チリあるいは他のくずが蓄積する可能性が増えるためでも、悪化する。ゴミ、チリあるいは他のくずの蓄積に関連する問題は、接触可能領域がガイドピン用のホール(穴)を有している場合には特に問題である。その理由はゴミ、チリあるいは他のくずはガイドピンの穴の周囲にフェルールの前面の他の部分よりも多く、より大きな確率で蓄積するからである。さらにまた、接触可能領域が広い領域の場合には湿分に曝される結果としてフェルールの変形と膨張の好ましくない影響が増加する。さらにまた、光ファイバを接触させるために光ファイバにかけられる力は、適合するフェルールの前面が相対的に広い領域に渡って接触するような場合にはなくなることがある。
【0008】
一対の適合するマルチファイバコネクタの対応する光ファイバ間の物理的接触を確立するために、光ファイバの端部はそれぞれのフェルールの前面より突出しなければならないだけでなく、相対的に同一平面上になければならない。すなわち、それぞれの適合する部分の光ファイバの端部が同一面内に存在しなければならない。従来のプロセスでは、約250nm以下の同一平面性を達成することはできず、これが突出量の変動を引き起こしていた。明らかなことであるが、光ファイバの突出量の変動が大きくなると、光ファイバの対応する対の端部間の直接的/物理的接触を確立することがより困難となる。
【0009】
各光ファイバはクラッド層に包囲されたコアを有する。コア内にゲルマニウムのドーパントが存在するために、コアは時にしてクラッド層よりも相対的に速くエッチングされる。特に、光ファイバの端部を比較的粗い研磨粒子で研磨する場合にはそうである。クラッド層に対しコアが優先的にエッチングされることにより、コアディップ(core dip)の原因となり、これによりさらに所望の光ファイバ同士の接触の可能性が減り、特に光ファイバの対応する対のコア間の物理的接触の可能性が減る。対応する対の光ファイバのコア間で物理的接触ができないことは特に好ましくない。その理由は、信号は光ファイバのコアを介して伝搬されるからである。
【0010】
マルチファイバコネクタは、それがマルチモード光ファイバに搭載される場合にはさらに別の問題を抱えることがある。この点に関し、所望の突出量を達成するために、光ファイバの端部とフェルールの前面とを研磨する従来のプロセスで用いられる相対的に粗い研磨粒子は、マルチモード光ファイバのコアのクラッキング(ひび割れ)の原因となり、あるいは少なくともそれを悪化させることがある。この種のコアのクラッキングは、追加的プロセスにより改善されるが、この追加的プロセスはマルチファイバコネクタを製造するのに必要な時間とコストを増加させるだけである。しかし、他の種類のコアのクラッキングは、修復することが出来ず、マルチファイバコネクタは廃棄しなければならない。
【0011】
したがって、光ファイバの突出量が、直接的/物理的接触が一対の適合したマルチファイバコネクタの対応する光ファイバの端部間で確立できる可能性を増加させるような改良したフェルール組立体を開発することが望まれている。同様に、高精度で突出した光ファイバで且つ一定の同一平面性を有するフェルール組立体を製造する効率的且つ精度が高く反復性の高い方法を開発することが望まれている。さらにまた、複数のマルチモードファイバに搭載されるコネクタに関しては、コアのクラッキングの発生を減らすようなコネクタを製造する改良方法を開発することが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
高精度で突出した光ファイバを有するフェルール組立体とそのフェルール組立体を高効率/高精度且つ反復可能性よく製造する方法が本発明により提供される。フェルールの前面の全ての部分から、製造誤差を考慮に入れて、少なくとも約3.5μm突出した複数の光ファイバを有するフェルール組立体が提供される。フェルール組立体の光ファイバの端部は、ほぼ同一面に形成され、本発明によれば、光ファイバの端部同士は最大100nmしか互いに離れていない。かくして本発明の一対のフェルール組立体は、環境条件、負荷等の結果としてフェルールが変形し光ファイバが引っ込んだ場合でも、光ファイバの端部間の直接的/物理的接触が維持できるように適合される。
【0013】
高精度に突出した光ファイバを有するフェルール組立体は、本発明の一態様の方法により製造される。本発明の方法によれば、光ファイバは、製造工程全体を通してフェルールの前面から突出した状態に維持されている。本発明の方法によれば、フェルール組立体は、フェルールの前面から光ファイバの端部が突出した状態で提供される。例えば、光ファイバは、フェルールの前面から離間した場所で、例えばレーザにより切断される。その後光ファイバの端部がラッピング(lapping:例えば(ラップ盤で)磨き上げること)される。一般的には、微細な研磨粒子でラッピングされ、フェルールの前面を越えて突出した光ファイバの突出部分を減少させる。光ファイバの端部のラッピングプロセスは、光ファイバの端部同士の距離の違いが所定量以下(例えば最大100nm)となるまで継続される。かくして光ファイバの端部のラッピングプロセスにより光ファイバの同一平面を有するアレイが得られる。
【0014】
光ファイバの端部は、フロック材料(flocked material:毛くず、綿くず、ぼろくず等の材料)でも研磨される。例えば、光ファイバの端部がラッピングされて光ファイバのエッジが丸められた後、光ファイバの端部はフロック材料、通常微細なフロック材料でもって研磨される。さらに光ファイバの端部は、光ファイバの端部をラッピングして光ファイバの突出量を減らし、且つフェルールの前面から一部あるいはすべてのエポキシを除去する前に、粗いフロック材料で研磨してもよい。一般的に粗いフロック材料は、光ファイバの端部のラッピングプロセスの後、光ファイバの端部が研磨されるのに用いられるフロック材料よりもより粗い研磨粒子を有する。本発明のこの態様によれば、本発明の方法は、突出した光ファイバを有するフェルール組立体が効率よく製造できる。その理由は、光ファイバの端部は、製造工程全体を通してフェルールの前面から通常突出した状態にあり、これにより従来技術で実施されていたフェルールの前面を光ファイバの端部より優先してエッチングする前に、フェルールの前面と光ファイバの端部とが同一面となるよう研磨あるいは研削する必要性がなくなるからである。
【0015】
それ故に前面と前記前面を貫通して開口する複数のボアを有するフェルールを含むフェルール組立体が製造できる。フェルール組立体はそれぞれのボアを介して延びる複数の光ファイバを有する。本発明の好ましい態様によれば、光ファイバの端部は少なくとも部分的に丸みを帯び、フェルールの前面の全ての部分から少なくとも約3.5μm突出している。光ファイバの端部はさらに、ある実施形態においては、フェルールの前面から少なくとも5μm、少なくとも10μm、あるいは少なくとも20μm突出している。
【0016】
突出量とは無関係に、本発明の一態様によるフェルール組立体の光ファイバの端部は、端部同士の位置が最大100nmしか離れていない程度に同一平面上にある。さらにまた、各光ファイバの端部は、隣の光ファイバの端部とは最大50nmしか離れていない。微細な研磨粒子を用いることにより、コアディップは、例えば最大10nmに低減され、且つマルチモード光ファイバのコアのクラッキングの可能性も低減している。それぞれのフェルールの前面から少なくとも約3.5μm突出させることにより、そしてある実施形態においては、同一平面性を改善しコアディップを減らすことにより、一対のフェルール組立体は、環境条件、負荷、あるいは他のファクタが変動しても、対応する対の光ファイバの端部が直接的/物理的接触をする維持されて適合される。
【0017】
本発明の一態様によれば、フェルールの前面は少なくとも最初は少なくとも1個の研磨特徴を有し、製造プロセスの効率を改善し、その結果得られたフェルール組立体の品質と再現性を改善している。研磨特徴に加えて、フェルールの前面はボアが少なくとも部分的に開口する第1部分を有する。研磨特徴は第1部分からずれている。例えば、研磨特徴は、前面の第1部分から後方に延びる基準表面(例えば平面状基準表面または湾曲した基準表面)を有する後退部分でもよい。
【0018】
別の構成として、研磨特徴は、フェルールの前面の第1部分から外側に延びる、例えば光ファイバの所望の突出量にほぼ等しい距離だけ外側に延びる平面状表面を有する少なくとも1個のペデスタル(台座)である。この実施形態においては、フェルールは、前面の第1部分の対向する側に配置され、そこから外側に延びる第1と第2のペデスタルを含む。例えば複数のボアは、フェルール本体の対向する側の間に延びる基準線に沿って前面内に開口する。かくしてこの実施形態の第1と第2のペデスタルは、基準線に沿ってフェルール本体の対向する側の近傍に配置される。
【0019】
最初に少なくとも1個の研磨特徴を有するフェルールを有するフェルール組立体を製造するために、光ファイバはフェルールの前面から離間した場所で切断される。その後フェルールの前面を越えて延びた光ファイバの突出部分は、光ファイバの端部が少なくとも1個の研磨特徴に対し所定の関係を有するまで、減らされる。その後研磨特徴は、少なくとも部分的に除去され、光ファイバの端部は、フェルールの前面の残りの全ての部分を超えて延びる。
【0020】
フェルールの前面の第1部分から外側に延びる少なくとも1個のペデスタルを有する実施形態においては、例えば光ファイバの突出部分の低減は、光ファイバの端部がフェルールの前面の第1部分をペデスタル以上越えて突出しなくなるまで、行われる。そのため光ファイバは、その結果得られたフェルール組立体のフェルールの前面から、ペデスタルの高さにほぼ等しい距離だけ延びる。
【0021】
フェルールの前面の第1部分から外側に延びる基準表面を有する後退部分を含む実施形態において、光ファイバの突出部分の低減は、光ファイバの端部が後退部分の基準表面により規定される仮想表面に沿って存在するまで、行われる。後退部分が平面状の基準表面を有する例においては、光ファイバの突出部分は、光ファイバの端部が互いに同一面になるまで、低減される。別の構成として、後退部分が湾曲した基準表面を有する例においては、光ファイバの突出部分は、光ファイバの端部が湾曲した基準表面により規定される湾曲した仮想表面に沿って存在するまで、低減される。
【0022】
後退部分を含む実施形態においては、基準表面は、フェルールの前面の隣接する部分と交差するラインを規定する。光ファイバの突出部分を減少させることは、光ファイの端部のみを研磨することから最初は行われるが、研磨過程を継続すると、光ファイバの端部と基準表面の両方の研磨が始まる。基準表面が研磨されると、交差ラインは光ファイバの方向に移動する。かくして交差ラインと光ファイバとの間のスペース、例えば複数の光ファイバを貫通して延びる基準ラインが、光ファイバの突出量の測定値を与える。
【0023】
本発明の一実施形態により、少なくとも1本の光ファイバの突出量を低減しながら、交差ラインと少なくとも1本の光ファイバとの間のスペースを監視し、少なくとも1本の光ファイバの突出量の低減プロセスは、交差ラインと少なくとも1本の光ファイバとの間のスペースが所定のスペースを越えない間、継続される。交差ラインと光ファイバとの間のスペースが、少なくとも1本の光ファイバの突出量の測定値を与えるので、所定のスペースは、少なくとも1本の光ファイバの所望の突出量に対応するよう選択される。所定のスペースが検出された後、少なくとも1本の光ファイバの突出部分をさらに減少させるステップを停止することにより、その結果得られたフェルールは、所望の突出量の光ファイバを有することになる。
【0024】
さらにまた、交差ラインと少なくとも1本の光ファイバとの間のスペースを監視する(例えばビジョンシステムによって)ことにより、本発明のこの態様の方法は、従来技術で必要とされたような光ファイバの突出量を測定する高価な干渉計を必要とせずに、所望の突出量の光ファイバを有するフェルールを信頼性高く製造することができる。さらにまた交差ラインと複数の光ファイバを貫通して延びる基準ラインとの間の角度を監視することもできる。その理由は、この角度は光ファイバの端部が研磨される角度に対応するからである。
【0025】
本発明により、フェルールの前面から約3.5μmから約5μm突出した光ファイバのような、高精度に突出した光ファイバを有するフェルール組立体が提供できる。さらにほぼ同一面にある突出した光ファイバ、例えば最大100nmしか端部がずれていない光ファイバを有するフェルール組立体が提供できる。一対のマルチファイバコネクタを適合するために、対応する対の光ファイバの端部の間の直接的/物理的接触が確立され、維持される。さらにフェルールの前面の大部分を除去することなく、所望の突出量を形成するために、光ファイバの端部を研磨することにより、製造効率を上げることができ、特にフェルールが所望の突出量を規定するよう少なくとも研磨特徴を有するような場合には、特に効率をあげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一態様によるフェルールの前面の第1部分から外側に延びた一対のペデスタルを含むフェルールの斜視図。
【図2】本発明の一態様による製造方法に従って行われる動作(操作)を表すフローチャート図。
【図3A】フェルール組立体が図2のフローチャートによる方法に従って処理される際の、フェルールの前面の一連の斜視図。
【図3B】フェルール組立体が図2のフローチャートによる方法に従って処理される際の、フェルールの前面の一連の斜視図。
【図3C】フェルール組立体が図2のフローチャートによる方法に従って処理される際の、フェルールの前面の一連の斜視図。
【図3D】フェルール組立体が図2のフローチャートによる方法に従って処理される際の、フェルールの前面の一連の斜視図。
【図3E】フェルール組立体が図2のフローチャートによる方法に従って処理される際の、フェルールの前面の一連の斜視図。
【図3F】フェルール組立体が図2のフローチャートによる方法に従って処理される際の、フェルールの前面の一連の斜視図。
【図3G】フェルール組立体が図2のフローチャートによる方法に従って処理される際の、フェルールの前面の一連の斜視図。
【図3H】フェルール組立体が図2のフローチャートによる方法に従って処理される際の、フェルールの前面の一連の斜視図。
【図4】本発明の他の態様による製造方法に従って行われる動作(操作)を表すフローチャート図。
【図5】図1に示したタイプの一対の適合するフェルールの組立体の側面図。
【図6A】研磨特徴として機能する平面状の後退部分表面を有する本発明の他の実施形態のフェルール組立体の斜視図と断面図。
【図6B】研磨特徴として機能する平面状の後退部分表面を有する本発明の他の実施形態のフェルール組立体の斜視図と断面図。
【図7A】複合した基準表面を有する外側に延びたペデスタルを含む本発明の他の実施形態のフェルール組立体の斜視図と断面図。
【図7B】複合した基準表面を有する外側に延びたペデスタルを含む本発明の他の実施形態のフェルール組立体の斜視図と断面図。
【図8A】研磨特徴として機能する湾曲した後退部分表面を有する本発明の他の実施形態のフェルール組立体の斜視図と断面図。
【図8B】研磨特徴として機能する湾曲した後退部分表面を有する本発明の他の実施形態のフェルール組立体の斜視図と断面図。
【図9A】本発明の他の実施形態のフェルール組立体の斜視図と断面図。
【図9B】本発明の他の実施形態のフェルール組立体の斜視図と断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
突出した光ファイバを有するフェルール組立体とこのフェルール組立体を製造する方法とが本発明により与えられる。図1に示すようにフェルール組立体10は、複数の区分を有する前面を有する前端14とそれに対向する後端16との間に延びるマルチファイバ・フェルール12を有する。前面は、光ファイバの長手軸を横切る表面14aを有する。MTフェルールが図面には示されているが、必要によっては非標準の形態を含む従来の形態のいずれでもよい。いかなる形態であるかを問わず、フェルールは、後端と前端の間に延び、フェルールの前面を貫通して開口する複数のボアを有する。通常、フェルールは、対応する数の光ファイバを受け入れ可能なように4個、8個、12個のボアを形成する。しかし、アプリケーションによっては、いかなる数のボアを形成することも可能である。さらにまたフェルールは、必要によっては2次元あるいは他のパターンで配列された複数のボアを形成することも可能である。
【0028】
フェルール組立体10は、複数の光ファイバ18を有し、この光ファイバ18は、それぞれのボアを貫通して延び、その結果、光ファイバの端部は、最初は、表面14aから通常1mm−3mmだけ突出する(図3A)。光ファイバは、シングルモードファイバあるいはマルチモードファイバのいずれかであるが、これはフェルール組立体のアプリケーションに依存して決まる。
【0029】
光ファイバ18は、それぞれのボア内にエポキシで固定される。これに関しては、図2のブロック20を参照のこと。さまざまな種類のエポキシが当業者には公知で用いられる。しかし、マルチモードファイバにおいては、エポキシは好ましくは熱硬化性で、必要な半径方向の圧縮力を与えるものが好ましい。コアのクラッキング(ひび割れ)の可能性を最小にするために、エポキシは硬化に必要な温度を低下させてものが選択される。
【0030】
光ファイバ18が、それぞれのボア内を貫通して延びてそこに固定されると、光ファイバは、表面14aから離れた場所で切断される。図2のブロック22を参照のこと。光ファイバの切断は、光ファイバに切れ目を付けてこの切れ目の線に沿って光ファイバを折ることにより行われるが、好ましくは光ファイバはレーザービームで切断される。レーザービームを光ファイバを切断するために用いることにより、マルチモード光ファイバを含むフェルール組立体10のコアのひび割れの可能性がさらに低減する。光ファイバは、フェルールの前面から所望の突出量よりはるかに長い距離の場所で通常切断される。例えば、光ファイバは、フェルールの前面から80μm−125μmの間の離れた場所で切断される(図3Bを参照のこと)。光ファイバの所望の突出量は、通常3.5μmから50μmの間であるため、光ファイバの端部は、突出量を低減するために研磨あるいは他の方法で処理しなければならない。
【0031】
表面14aから越えた光ファイバ18の突出部分は、さまざまな方法、例えば研削あるいは研磨により突出量が減らされる。突出部分の低減は、信頼性を有し、且つ正確な方法で行うのみならず、比較的単純で迅速且つ安価な方法で行うのが好ましいが、本発明の一実施形態においては、最小のステップ数で行われる。信頼性があり且つ正確な方法で突出量を減らすさまざまな技術が例示的な目的で以下に示されるが、例えば、これには前述した技術および光ファイバの突出部分を減らすさまざまなステップを含み、その後わずか数回の処理ステップで、光ファイバの突出量を減らすような、よりシンプルな技術を記載する。
【0032】
本発明の一実施形態においては、光ファイバ18の少なくとも端部は最初はフロック材料(flocked material)でもって研磨される。特許文献1に記載したように(その内容は参照文献として本明細書に挿入する)、フロック材料は、ベース(例えば、ポリエチレン・テレフタレート・ベース(polyethylene terephthalate base))から外側に延びた複数の繊維に固着された研磨粒子を含む。フロック材料の繊維は、比較的フレキシブルで柔軟性があるために、フロック材料は光ファイバの端部を研磨するだけでなく、表面14a近傍の光ファイバの周囲に形成されたエポキシ・ビーズ19の全てではないが大部分を取り除く。フェルールの前面からエポキシを効率よく取り除くために、光ファイバの端部は、少なくとも2種類のフロック材料で研磨してもよい。
【0033】
例えば、光ファイバの端部を最初は粗い研磨粒子を含む第1のフロック材料でもって研磨し、その後、微細な研磨粒子を含むフロック材料で研磨してもよい。これに関しては、図2のブロック24と26を参照のこと。図3Cは、第1のフロック材料で研磨した後のフェルールの前面を示し、図3Dは、第2のフロック材料で研磨した後のフェルールの前面を示す。さまざまなフロック材料を用いることが出来るが、本発明の一実施形態のフェルール組立体は、平均の粒子サイズが40μmの酸化アルミ製粒子を含むフロック材料で最初に研磨し、その後、平均粒子サイズが16μmの炭化ケイ素粒子を有するフロック材料で研磨する。光ファイバの端部は、必要によってはさらに別の種類のフロック材料で研磨することも可能であるが、異なる処理ステップの数を最小にしながら、光ファイバの端部の研磨は、最初は粗いフロックでもって研磨し、その後きめの細かいフロック材料で研磨することもできる。
【0034】
フロック材料でもって研磨することにより、表面14aを越えて延びた光ファイバ18の突出部分(距離)を低減するが、フロック材料による光ファイバの端部の研磨は、通常比較的ゆっくりとしたプロセスである。かくして、エポキシがフェルールの前面から除去された後は、光ファイバの突出部分は、より速い速度で光ファイバの突出部分を減らすことにより、より速い別の研磨ステップでもって、減らすこともできる。例えば、約80μmー125μmだけフェルールの表面14aから突出するように、光ファイバを切断する実施形態においては(図3B)、フロック材料で光ファイバの端部を研磨することにより、光ファイバの突出量を約30μmから40μmの間にすることができる(図3D)。かくして、光ファイバの端部をさらに研磨して光ファイバの突出量を所望の突出量まで減らす。例えば、本発明の一実施形態においては5μmまで減らす。
【0035】
継続して光ファイバ18の突出量を減らすために、光ファイバの端部は微細な研磨粒子でもって研磨するのが好ましい。本明細書で用いられる微細な研磨粒子とは、その平均粒子サイズが約1μm以下の研磨粒子を意味する。光ファイバの端部を微細な研磨粒子で研磨することは、以下に示すような1回のステップで行うことができ、これにより、マルチファイバ・フェルール12の前面から所定量だけ突出した光ファイバを有するフェルール組立体10を得るためには、例えば、光ファイバの端部を微細な研磨粒子でラッピング(lapping)することにより行われる。
【0036】
しかし、本発明の一実施形態においては、光ファイバの端部はさらに少なくとも2回のステップで微細な研磨粒子でもって研磨される。この点に関し、光ファイバの端部をフロック材料で研磨した後に、光ファイバの端部を次に平均粒子サイズが1μm以下の研磨粒子を有する他の媒体あるいは研磨フィルムでもって研磨してもよい。この研磨プロセスは、光ファイバの端部がフェルールの前面から所定の距離(例えば、3.5μm、5μmあるいはそれ以上)だけ突出するまで行われる。これに関しては、図3Eと以下の記載を参照のこと。研磨フィルムはさまざまな種類の研磨粒子を担持できるが、本発明の一実施形態の研磨フィルムは炭化ケイ素製の研磨粒子を含む。
【0037】
その後、光ファイバ18の端部の位置の変動を減らして、光ファイバの端部がさらに面一となる(同一平面性を有する)ようにするのが好ましい。この点に関し、光ファイバの端部は堅いラップ(hard lap)でもって研磨する。例えば、微細な研磨粒子でもって光ファイバの端部をラッピングすることにより研磨される(これに関しては、図2のブロック30を参照のこと)。ラップ(lap)は、さまざまな裏材により担持されるさまざまな研磨粒子を用いる。しかし、一般的により良い結果(即ち、面一性の改善)は、より堅いラップ(harder lap)により得られる。例えば堅いラップは、アルミナ、セラミックの裏材により搬送される平均粒子サイズが1μm以下のセリウム、炭化ケイ素あるいはアルミナ製(cerium, silicon carbide or alumina)の研磨粒子により行われる。
【0038】
別の方法として、光ファイバの端部の相対的位置の変動は、小さなグリットフィルム(grit film)で端部を研磨することにより低減できる。いずれの実施形態においても、光ファイバの研磨の結果得られた端部は、最大100nm離れる程度の面一性を有している(図3Fを参照のこと)。一般的に、隣り合う光ファイバの端部は、さらに少ない量しか違わない。例えば、各光ファイバの端部は、すぐ隣の光ファイバの端部とは最大50nmしかずれない。
【0039】
通常光ファイバ18の端部をその後さらにフロック材料で研磨して、光ファイバの端部を丸めるが、これは、光ファイバの端部が所望の突出量を有するように、且つほぼ同一面となるように維持しながら行われる。これに関しては、図2のブロック32を参照のこと。図3Gはさらなる研磨ステップの後のマルチファイバ・フェルール12の前面を示す。さまざまな種類のフロック材料を用いることが出来るが、好ましいフロック材料は、平均粒子サイズが0.05μmの酸化セリウム(cerium oxide)の研磨粒子を有する。しかし、微細な研磨粒子を有する他のフロック材料も同様に用いることができる。
【0040】
図4に示した他の実施形態においては、光ファイバ18の突出量を減らすために用いられるステップの回数は、上記した方法と比較すると大幅に低減できる。この実施形態においては、光ファイバはマルチファイバ・フェルール12のそれぞれのボアを貫通して延び、フェルールの前面から離間した場所で切断された後、光ファイバの突出量はハードラップの手段(これに限られるわけではないが)により主に低減される。エポキシ・ビーズ19がフェルールの前面近傍の光ファイバの周囲に形成されるような実施形態においては、光ファイバの端部は、ハードラップ研磨の前にブロック60で示されるようにフロック材料で研磨してもよい。さまざまな種類のフロック材料を用いることができるが、ある代表的なフロック材料は、比較的粗く且つ平均粒子サイズが約40μmの炭化ケイ素製の粒子を含む。光ファイバを粗いフロックで研磨した後、光ファイバの端部がハードラップ(hard lapped)でもって研磨される。しかし上記したように、光ファイバは最初にフロック材料で研磨する必要はなく、その代わりに光ファイバの端部のハードラップによる研磨を最初のステップで実行してもよい。
【0041】
ハードラップは、光ファイバ18の突出量を所望の高さまで減らし、光ファイバ間の高低差を減らし、これにより光ファイバの相対的な面一性を改善する。この点に関し、光ファイバの端部をハードラップで(例えば、微細な研磨粒子でもって光ファイバの端部をラッピングで)研磨する(これに関しては図4のブロック62を参照のこと)。ラップ(lap)は、さまざまな裏材により担持されるさまざまな研磨粒子を用いる。しかし、一般的により良い結果(即ち、改善された面一性)はより堅いラップ(harder lap)により得られる。例えば堅いラップは、平均粒子サイズが1μm以下のセリウム、炭化ケイ素あるいはアルミナ(cerium, silicon carbide or alumina)製の研磨粒子により行われる。
【0042】
ハードラップのステップが完了した後、光ファイバは、好ましくはフェルールの前面から所定距離(例えば3.5μm、5μmあるいはそれ以上)突出している。さらにまた、その結果得られた光ファイバの端部同士は、最大100nmずれている程度面一となる。一般的に、隣の光ファイバの端部は、それよりも少ない量しか離れていない。例えば、各光ファイバの端部は隣の光ファイバの端部から最大50nmしか離れて(ずれて)いない。
【0043】
ハードラップのステップの後、光ファイバ18の端面のエッジは、通常極めてシャープすなわち尖っている。かくして光ファイバの端部は、フロック材料でエッジを丸めるが、これは光ファイバの端部が所望量だけ突出し、且つ同一面となるような関係にしながら行われる。これに関しては図4のブロック64を参照のこと。通常、端部を丸めるのに用いられるフロック材料は、エポキシ・ビーズ19等を最初に取り除くのに用いられるフロック材料よりも木目が細かい。例えば、さまざまな種類のフロック材料が用いられるが、適切なフロック材料の1つは、平均粒子サイズが1μmのセリウム(cerium)製の研磨粒子を有する。
【0044】
上記した方法のいずれかの結果として生成されたフェルール組立体10は、マルチファイバ・フェルール12と光ファイバ18とを有し、この光ファイバ18はそれぞれのボアを貫通して延び、その結果光ファイバの端部はフェルールの端面のあらゆる部分から所定の距離だけ延びる。この点に関し、光ファイバの端部は、フェルールの表面14aのあらゆる部分を越える少なくとも約3.5μmの突出距離を有する。本発明の好ましい実施形態においては、光ファイバの端部は所定距離だけ突出する。この所定距離とは、フェルールの前面に対しする光ファイバの端部の相対的位置に関し、湿度や切りくずや負荷あるいは光ファイバの端部がフェルールの表面14aの全ての部分を越えて延びる量を変化させるような他の条件の累積的な影響よりも、少なくとも若干大きいものである。この点に関し、少なくとも5μmの突出量で、光ファイバの端部がフェルールがさまざまな環境条件あるいは負荷条件に曝された際に、フェルールの端面のあらゆる部分を超えて延び続けることができるようになる。
【0045】
かくして、本発明の一実施形態のフェルール組立体は、フェルールの前面を越えて少なくとも5μm延びる複数の光ファイバを含む。本発明の他の実施形態においては、光ファイバは少なくとも10μm、さらにまた別の実施形態においては少なくとも20μm、フェルールの前面を越えて延びる。さらに別の実施形態においては、光ファイバの端部はフェルールの表面14aから少なくとも50μm延びる。光ファイバの突出量はさまざまな方法により測定されるが、米国電気通信工業会(Telecommunications Industry Association (TIA))によるFiber Optic Test Procedure (FOTP) 219がファイバの突出量の測定するための適切な技術を特定している。
【0046】
マルチファイバ・フェルール12の前面に対し、光ファイバ18の端部は精度高く突出することに加えて、ほぼ同一面にあることが好ましい。この点に関し、本発明の一実施形態のフェルール組立体10の光ファイバの端部は、互いに最大100nmだけその位置が長さ方向に測定して異なる(ずれる)だけである。相対的同一平面性は、当業者に公知の最小二乗適合法(least squares fit approach)に基づいて光ファイバの端部を通した線を適合させ、その後この最小二乗適合ラインからそれぞれの光ファイバの端部の最大偏差を決定する従来方法で決定される。光ファイバは、光ファイバの全体の列に渡って全体的ベースで同一面にあるだけでなく、隣の光ファイバに関する局部的なベースでより接近して整合しているのが好ましい。
【0047】
この点に関し、光ファイバの端部はごく近接する光ファイバ(あるいは、隣の光ファイバ)の端部から最大50nmしかずれていないのが好ましい。全体的ベースおよび局部的ベースの両方で光ファイバの端部がほぼ同一面になった結果として、本発明のフェルール組立体は、各光ファイバとそれに対応する別のフェルール組立体の光ファイバとの間の物理的接触をより良好に確立できる。フェルール組立体の全体的なプロセス処理が光ファイバの端部の同一平面性を確立するのに役立つが、光ファイバの端部のハードラップ処理により光ファイバの端部の位置の偏差を大幅に低減できる。
【0048】
大部分の処理ステップの間用いられる研磨粒子のサイズが比較的小さい結果として、光ファイバ18の端部は大きなコアディップ(core dip)を有さない、すなわち光ファイバのコアディップは10nm以下である。コアディップはさまざまな方法により測定できるが、その1つの技術はFOTP 219に開示されている。このコアディップが小さくなったことにより、光ファイバの端部とそれに対応する別のフェルール組立体の光ファイバの端部との間の直接的/物理的接触の確立をさらに向上させることができる。光ファイバの端部を主に(必ずしもこれに限られないが)微細な研磨粒子でもって研磨することには別の利点がある。この点に関し、光ファイバの端部をより小さな径の研磨粒子で研磨することによりマルチモード光ファイバのコアのクラック(ひび割れ)の確率を減らすことができる。
【0049】
光ファイバ18をマルチファイバ・フェルール12の表面14aから3.5μm以上突出させることにより、ある実施形態においては、同一平面性を改善させ、コアディップを減らすことにより、本発明のフェルール組立体10は、環境条件、負荷あるいは他のファクタが変わった場合でも、対応する対の光ファイバの端部を直接的/物理的に接触させるように別のフェルール組立体と適合させることができる。この点に関し、光ファイバのこの突出量は、湿度、負荷、傷等に起因して光ファイバの突出量が変化しても、対となるフェルールの前面同士を接触させず、光ファイバの端部が分離しないようにする。
【0050】
一例として、本発明のフェルール組立体は、フェルールのそれぞれの前面が互いに少なくとも所定の距離だけ離間して光ファイバ相互接続を構成するようにすることができる。この所定の距離とは、光ファイバがフェルールの前面から越えて延びる量であり、例えば、約3.5μmから約5μmあるいはそれ以上である。かくして、本発明のフェルール組立体は、従来のフェルール組立体と容易に適合性を有し、対応する対の光ファイバ間の物理的接触が確立できるようになる。さらにまた、光ファイバ相互接続構造の両方のフェルール組立体が本発明の方法により製造され、正確に光ファイバが突出している場合には、その結果得られた光ファイバ相互組立体のフェルールの前面は、光ファイバがそれぞれのフェルールの前面を越えて延びる量の累積した距離だけ、例えば、7μm、10μmあるいはそれ以上、互いに離間する。これに関しては図5を参照のこと。
【0051】
本発明のフェルール組立体10を製造する効率、精度および再現性をさらに改善するために、マルチファイバ・フェルール12の前面は、前端14の中央部分14aの上に形成された第1部分40を有し、第1部分40を貫通してボアが少なくとも部分的に開口し、少なくとも1つの研磨特徴が第1部分から、例えば、第1部分に対し前方あるいは後方に延びることにより、ずれている。通常前面の第1部分は平面状であるが、第1部分は必要によっては別の形状を採ってもよい。第1部分40が平面状の例においては、第1部分40は光ファイバ18に直交する方向を向いてもよく(図1)、あるいは図5に示すように、光ファイバに直交して構成させる仮想面に対し所定の角度(例えば8°)傾いていてもよい。さらにまた、ボアはフェルールの前面の第1部分40を完全に貫通して開口している。しかし、ボアは、第1部分と研磨特徴との交点に整合して、第1部分と研磨特徴の両方を少なくとも部分的に貫通することも可能である。
【0052】
本発明のこの態様のマルチファイバ・フェルール12は、さまざまな種類の研磨特徴を有する。本発明の一実施形態においては、例えば研磨特徴は、少なくとも1個、通常複数のペデスタル42であり、このペデスタル42は、フェルールの前面の第1部分を外側に超えて延びる表面14aの側面部分の上に形成されている。図1と図3A−3Hに示すように、各ペデスタルは、光ファイバ18がフェルールの前面を越えて延びる少なくとも所定の距離だけ、第1部分40から離間した表面を形成する。各ペデスタルは、図1と図3A−3Hに示すような平面状表面を有するが、各ペデスタルはより複雑な形状の表面を有してもよい。図7A、7Bに示すように、例えば各ペデスタルは、第1と第2の平面状表面である第1平面表面42aと第2平面表面42bを有し、第1表面42aは、光ファイバに直交する方向に延び、第2表面42bは、フェルールの前面の第1部分に平行する方向に延びる。
【0053】
所望の角度を光ファイバの端部に付けるために、第2表面は、研磨ステップの間、研磨特徴として機能する。この実施形態の研磨特徴は、フェルールの前面の第1部分40を外側方向に越えて延びる単一のペデスタルであるが、例えば前面のエッジ全体に沿ってあるいは前面の周囲全部に関し、フェルールは複数のペデスタルを有してもよい。例えば、フェルールは光ファイバに対し対称の関係(例えば光ファイバを挟み対向する側)に配置された第1と第2のペデスタルを有してもよい。光ファイバが線形に配列される実施形態においては、第1と第2のペデスタルは図1、3A−3Hおよび7Aに示すような対向する端部を挟み両方に配置してもよく、あるいは光ファイバの線形配列を挟み対向して配列してもよい。
【0054】
本発明の他の実施形態においては、研磨特徴は、マルチファイバ・フェルール12の前面の後退部分44である。この後退部分44は、フェルールの前面の第1部分40から後方に延びる基準表面である。かくして光ファイバ18が延びるフェルールの前面の第1部分は、この実施形態のフェルールの前面の最先端部分である。基準表面は、図6A、6Bに示すような平面状表面であるか、あるいは図8A、8Bに示すような湾曲表面である。いずれの実施形態においても基準表面は、仮想表面44aを規定し、この仮想表面44aが、次に光ファイバの端部の位置を規定し、その結果光ファイバの突出量を決定する。
【0055】
光ファイバの突出量を規定することに加えて、基準表面は、光ファイバ端部の形状またはプロファイルも規定する。この点に関し、基準表面は、光ファイバの端部が存在する仮想表面は、所定のプロファイルあるいは形状を光ファイバの端部に課し、その結果所定の傾斜を有する角度のついた端部表面を形成する。例えば、後退部分が平面状の基準表面を有するような実施形態においては、平面状基準表面は、フェルールの前面の第1部分に対し、8°の角度θで配置され、その結果光ファイバの端部もまた8°で傾斜している(図6B)。
【0056】
この実施形態の後退部分44は、マルチファイバ・フェルール12の前面の第1部分40から後方に延びる、例えば前面のエッジ全体に沿って延びる連続した基準表面を規定するが、後退部分は基準表面を規定する1つあるいは複数のペデスタルを含んでもよい。しかし、本発明の一実施形態においては、後退部分はフェルールの前面全体に渡って側面方向に延びるかあるいはフェルールの前面の少なくともある領域から側面方向に延びる。
【0057】
少なくとも1つのマルチファイバ・フェルール12の前面が後退部分44を有するような一対の適合したフェルールについては、接触可能領域のサイズまたは領域は、従来のフェルールと比較すると小さくなっているが、これは後退部分が後方に延びた結果である。後退部分が一対の適合したフェルールの各々の前面の一方の側に沿って延びる例においては、接触可能領域の大きさと光ファイバの突出量である距離は比例している。この点に関し、後退部分が前面の第1部分40と交差するライン46が光ファイバ18から離れる方向に移動すると、接触可能領域のサイズと光ファイバの突出量の両方とも増加する。逆に、後退部分が前面の第1部分と交差する線が光ファイバの方向に移動すると、接触可能領域のサイズと光ファイバの突出量の両方が減少する。かくしてフェルールの前面の設計は、その結果得られたフェルール組立体10が所望の光ファイバ突出量と許容可能な大きさの接触可能領域を有するように行われる。
【0058】
上記したように、光ファイバ18に対するライン46の位置と光ファイバの突出量との間のこの相関関係に示されるように、光ファイバの突出量は、光ファイバとラインとの間のスペースを監視することにより測定できる。この点に関し、光ファイバの突出量は、光ファイバとラインとの間の距離と、光ファイバが延びるマルチファイバ・フェルール12の表面14aの第1部分40と後退部分44との間のなす角度のタンジェント(tangent)をかけ算した値に等しい。
【0059】
以下に述べるように、ライン46と光ファイバとの間のスペース(距離)を監視することにより、より一般的にはライン46と光ファイバの中心線を通る基準ラインとの間の距離を監視することにより、光ファイバの突出量も監視でき、その結果研磨は、光ファイバが所望の突出量を有した時に中止される。通常スペースは監視システム(vision system)手段により監視されるが、これは光ファイバの突出量を直接測定するのに通常必要とされる干渉計よりもはるかに安いものである。さらにまた、ライン46と光ファイバを通る基準ラインとの間の角度は、光ファイバの端部が研磨される角度に相当し、これにより研磨プロセスの間のさらなる情報を提供できる。
【0060】
その構造とは無関係に、研磨特徴は光ファイバ18の突出量を減らすプロセスの間用いられる。この点に関し、光ファイバを切断した後(ステップ22)、光ファイバの端部はハードラップの手段により研磨される(ステップ62)。この実施形態によれば、光ファイバの端部のラッピングは、光ファイバの端部が研磨特徴に対し所定の関係を有するまで、少なくとも続けられる。この点に関し、光ファイバの端部は、光ファイバの端部が研磨特徴の基準表面により規定される仮想表面44aにあるまで、あるいは基準表面を含むようになるまで、通常ラッピングされる。研磨特徴が1つあるいは複数の上側に延びたペデスタル42であるような実施形態においては、光ファイバの端部は、光ファイバの端部が図3Eに示すようなペデスタルの基準表面と同一面になるまでラッピングされる。
【0061】
別の方法として、研磨特徴がマルチファイバ・フェルール12の前面の後退部分44であるような実施形態においては、光ファイバの端部は、光ファイバの端部が後退部分の基準表面により規定される仮想表面44a内に入るまでラッピングされる。上記したように、後退部分の基準表面により規定されそれを含む仮想表面は、後退部分の基準表面が平面状であるかあるいは湾曲しているかによって、それぞれ平面表面あるいは湾曲表面のいずれかである。後退部分はフェルールの前面の第1部分40に対し後方に延びているので、光ファイバの端部が後退部分の基準表面により規定される仮想表面内にある時には、光ファイバは、フェルールの前面を越えて突出している。
【0062】
本発明のこの態様のマルチファイバ・フェルール12は、光ファイバの端部が、研磨特徴に対し所定の関係を有する(例えば研磨特徴の基準表面により規定されたあるいはそれを含む仮想表面44a内にある)ことにより、光ファイバ18は所望の長さだけフェルールの前面から越えて延びるよう設計される。別の方法として、フェルールは、光ファイバの端部が研磨特徴と所定の関係を有した時、所望長さよりも若干長い量だけ光ファイバがフェルールの前面から突出するよう設計するこもできる。これにより、所望の突出量を有する光ファイバを得るために、光ファイバ一般的には研磨特徴のさらなる研磨を必要とする。
【0063】
研磨特徴を研磨し始めた後でも研磨プロセスを継続している場合には、さらなる研磨量は、フェルールが前面の一方の側に沿って延びる後退部分44を有するような実施形態においては、容易に決定できる。その理由は、光ファイバの突出量と、後退部分が前面の第1部分と交差するライン46と光ファイバとの間のスペース(距離)との間に比例関係があるからである。この実施形態においては、後退部分が前面の第1部分40と交差するラインを監視システムで監視し、さらなる研磨は、光ファイバから所定の距離離れた所定の場所にこのラインが入った時に中止する。
【0064】
研磨動作は、マルチファイバ・フェルール12を同時に研磨あるいは接触しない状態で、光ファイバ18の端部を研磨することで開始される。しかしフェルール組立体10の設計は、光ファイバがフェルールの前面の少なくとも一部と同時に研磨され、少なくとも研磨動作の間かかる力から光ファイバを少なくとも部分的に保護するように行われる。この点に関し、図9A、9Bは、研磨動作の間光ファイバを少なくとも部分的に保護するよう設計された後退部分44を具備したフェルールを有するフェルール組立体の別の実施形態を示す。この実施形態においては、フェルールは、後退部分の前方に延びるバンパー52を有する。バンパー52はn後退部分部分から十分前方まで延びその結果、研磨媒体は光ファイバに通常接触した後ではあるが、後退部分に接触する前にバンパーに接触する。光ファイバを粗く研磨する間バンパーは研磨され、後退部分を研磨あるいは接触を開始する前に除去される。
【0065】
バンパー52はさまざまな形状を有する。図9A、9Bに示された実施形態のバンパーは、後退部分44に対し同一の角度でテーパーが形成されているが、バンパーは別のプロファイル(形態)を有してもよい。さらにバンパーはマルチファイバ・フェルール12の前面の第1部分40と面一でもよく、あるいは必要によってはそこから突出していてもよい。さらにまた図9A、9Bに示す実施形態のフェルールは、中央に位置した後退部分を挟み対向する側に一対のバンパーを有するが、フェルールは他の構造のバンパーおよび後退部分を有してもよく、例えば1個の中央に位置したバンパーの両側に一対の後退部分を有する構成を有してもよい。
【0066】
少なくともある実施形態においては、研磨特徴を、その後、例えば図2のステップ34に示す研削により取り除いてもよい。マルチファイバ・フェルール12が少なくとも1個の外側に延びるペデスタル42を最初に有するような実施形態においては、各ペデスタルを取り除いてもよい。フェルールのその結果得られた前面は、通常ペデスタルを取り除いた後平面状あるいは面取りされたいずれかである。これに関しては、ペデスタルが取り除かれた後のフェルール組立体10を示す図3Hを参照のこと。フェルールが後退部分44を含むような少なくともある実施形態においては、後退部分もまた、例えばさらなる後退部分により、取り除いてもよい。例えば、図6Bに示す斜線で示した領域50も必要によっては取り除いてもよい。後退部分領域をさらに削る(後退させる)ことにより、一対の適合したフェルールの前面が接触するようになる可能性をさらに減らすことができる。さらにまた一対の適合したフェルールの前面が接触した場合でも、接触領域を無くすことができないまでも減らすことが好ましい。そして接触領域は、ガイドピンの穴を有さないような大きさと配置であり、これによりガイドピンの穴の周囲に通常集まるようなゴミ、チリ、あるいは他のくずの悪影響を回避できる。
【0067】
少なくとも1つの研磨特徴を有するマルチファイバ・フェルール12の実施形態は、本発明のフェルール組立体10を製造するプロセスの品質、効率および再現性を改善することができる。フェルールが最初に研磨特徴を有するか否かに関係なく、製造効率は、本発明によりフェルールの前面の大部分を除去することなく所望の突出量を達成するために光ファイバ18の端部を研磨することにより改善できる。本発明の好ましい製造プロセスの結果として、本発明により高い精度で突出した光ファイバ、例えばフェルールの前面から約3.5μmから約5μmあるいはそれ以上突出した光ファイバを有するフェルール組立体を提供できる。さらにまた、ほぼ同一平面の突出した光ファイバを有する、例えば最大100nmしか変動しない端部を有する光ファイバを有するフェルール組立体が本発明により提供できる。一対のマルチファイバコネクタを適合させる際に、対応する対の光ファイバの端部の間の物理的接触が、湿度、切りくず、負荷等が存在しても、確実に維持できる。
【0068】
本発明の多くの変形例および他の実施形態は、前述した発明の詳細な説明およびそれに関連する図面に示された教示を参照することにより当業者に容易に想到し得る。そのため本発明はここに開示した実施形態に限定されることなくその変形例および他の実施形態も本発明の特許請求の範囲内に入る。本明細書で使用される特定の用語は一般的記述的意味でのみ用いるものであって、限定的解釈をすべきものではない。
【0069】
以下に本発明の他の態様を記載する。
[態様1]前面を有し、前記前面の第1部分を貫通して延びる複数のボアを規定するフェルールと、前記フェルールのそれぞれのボア内を貫通して延びる複数の光ファイバとを有するフェルール組立体の製造方法において、前記フェルールの前面は、前記第1部分に対し外側にずれている少なくとも一個の研磨特徴を有し、光ファイバの端部を、前記フェルールの前面を越えて配置するステップと、前記フェルールの前面を越えた光ファイバの突出部分を、前記光ファイバの端部が前記少なくとも一個の研磨特徴に対し所定の関係を有するまで低減するステップと、を有し、フェルールの前記少なくとも一個の研磨特徴は、フェルールの前面の第1部分から後方に延びる基準表面を有する後退部分を有し、前記光ファイバの突出部分を低減するステップは、光ファイバの端部がフェルールの前面の後退部分の基準表面により規定される仮想表面に沿って存在するまで、少なくとも光ファイバの突出部分を低減することを含み、前記方法は、さらに、前記光ファイバの端部が、前記フェルールの前面の全ての位置を越えて延びるように、前記光ファイバの突出部分を低減した後、前記少なくとも一個の研磨特徴を少なくとも部分的に取り除くステップを有することを特徴とするフェルール組立体の製造方法。
[態様2]前記フェルールの少なくとも一個の研磨特徴は、前記第1部分を外側に越えて延びる少なくとも一個のペデスタルを有し、前記光ファイバの突出部分を低減するステップは、光ファイバの端部がフェルールの前面の第1部分から突出するが前記少なくとも一個のペデスタルを越えなくなるまで、光ファイバの突出部分を低減することを含むことを特徴とする態様1記載の方法。
[態様3]前記フェルールの前面の後退部分は、平面状の基準表面を有し、前記光ファイバの突出部分を低減するステップは、光ファイバの端部がフェルールの前面の後退部分の平面状の基準表面と同一面となるまで、少なくとも光ファイバの突出部分を低減することを含むことを特徴とする態様1記載の方法。
[態様4]前記フェルールの前面後退部分は、湾曲した基準表面を有し、前記光ファイバの突出部分を低減するステップは、前記光ファイバの端部が、フェルールの前面の後退部分の湾曲した基準表面により規定される湾曲した仮想表面に沿って存在するまで、少なくとも光ファイバの突出部分を低減することを含むことを特徴とする態様1記載の方法。
[態様5]光ファイバの端部が前記フェルールの前面を越えて配置されるフェルール組み立て体を用意するステップは、フェルールの前面から離間した位置で光ファイバを切断するステップを含むことを特徴とする態様1記載の方法。
[態様6]前記光ファイバを切断するステップは、光ファイバをレーザビームで切断することを含むことを特徴とする態様5記載の方法。
[態様7]前面を有し、前記前面を貫通して延びる複数のボアを規定するフェルールと、前記フェルールのそれぞれのボア内を貫通して延びる複数の光ファイバとを有するフェルール組立体の製造方法において、前記フェルールの前面は、前記フェルールの前面の第1部分から後方に延びる基準表面を有する後退部分を有し、光ファイバの端部がフェルールの前面を越えて延びるようなフェルール組立体を用意するステップと、前記光ファイバの端部がフェルールの前面の後退部分の基準表面により規定される仮想表面に沿って存在するまで、少なくともフェルールの前面を越えて延びる光ファイバの突出部分を低減するステップと、を有し、前記光ファイバの端部は、光ファイバの突出部分を低減するステップの間、フェルールの前面を越えて存在することを特徴とするフェルール組立体の製造方法。
[態様8]前記フェルールの前面の後退部分は、平面状の基準表面を有し、前記光ファイバの突出部分を低減するステップは、光ファイバの端部がフェルールの前面の後退部分の平面状の基準表面と同一面となるまで、少なくとも光ファイバの突出部分を低減することを含むことを特徴とする態様7記載の方法。
[態様9]前記フェルールの前面後退部分は、湾曲した基準表面を有し、前記光ファイバの突出部分を低減するステップは、前記光ファイバの端部が、フェルールの前面の後退部分の湾曲した基準表面により規定される湾曲した仮想表面に沿って存在するまで、少なくとも光ファイバの突出部分を低減することを含むことを特徴とする態様7記載の方法。
[態様10]光ファイバの端部が前記フェルールの前面を越えて配置されるフェルール組立体を用意するステップは、フェルールの前面から離間した位置で光ファイバを切断するステップを含むことを特徴とする態様7記載の方法。
[態様11]前記光ファイバを切断するステップは、光ファイバをレーザビームで切断することを含むことを特徴とする態様10記載の方法。
[態様12]前面を有し、前記前面を貫通して開口する複数のボアを規定するフェルールと、前記フェルールの前面は、複数のボアが少なくとも部分的に開口している第1部分と前面の第1部分から後方に延びる基準表面を有する後退部分とを有し、前記フェルールの前面を貫通して延びる複数の光ファイバと、を有し、前記光ファイバの端部は、前記フェルールの前面の後退部分の基準表面により規定された仮想表面に沿って位置することを特徴とするフェルール組立体。
[態様13]前記後退部分は、前記光ファイバの端部が沿って存在する仮想表面を規定する基準表面を有する少なくとも一個のペデスタルを含むことを特徴とする態様12記載のフェルール組立体。
[態様14]前記フェルールの前面は、後退部分に対し前方に延びる少なくとも一個のバンパーを有することを特徴とする態様12記載のフェルール組立体。
【符号の説明】
【0070】
10 フェルール組立体
12 マルチファイバ・フェルール
14 前端
14a 表面
16 後端
18 光ファイバ
19 エポキシ・ビーズ
フローチャート
20 フェルールのボア内に光ファイバを固定する
22 光ファイバの端部を切断する
24 粗い研磨粒子のフロック材で研磨する
26 細かい研磨粒子のフロック材で研磨する
28 微細研磨粒子で研磨する
30 ハードラッピングを実行する
32 光ファイバ端部のエッジを丸く研磨する
34 研磨特徴物を取り除く
終了
60 粗い研磨粒子のフロック材で研磨する
62 ハードラッピングを実行する
64 光ファイバ端部のエッジを丸くする為に、細かい研磨粒子のフロック材で研磨する
40 第1部分
42 ペデスタル
42a 第1平面表面
42b 第2平面表面
44 後退部分
44a 仮想表面
46 ライン
52 バンパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面と前記前面を貫通して開口する複数のボアを規定するフェルールと、
前記それぞれのボアを貫通して延びる複数の光ファイバと、を有し、
前記光ファイバの端部は、前記フェルールの前面の全ての部分から少なくとも3.5μm越えて延び、
前記光ファイバの端部は、少なくとも部分的に丸められたエッジを有し、前記光ファイバの端部は、互いにその突出方向の位置の差が最大100nmであり、各光ファイバの端部は、隣の光ファイバの端部に対して突出方向の位置の差が最大50nmであることを特徴とするフェルール組立体。
【請求項2】
各光ファイバはクラッド層に包囲されたコアを有し、
各光ファイバの端部は、コアを越えてクラッドは最大10nmしか突出しないコアディップを有することを特徴とする請求項1記載のフェルール組立体。
【請求項3】
前記光ファイバの端部は、前記フェルールの前面から少なくとも20μm越えて延びることを特徴とする請求項1記載のフェルール組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2010−49287(P2010−49287A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274170(P2009−274170)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【分割の表示】特願2004−515668(P2004−515668)の分割
【原出願日】平成15年5月5日(2003.5.5)
【出願人】(501209863)コーニング ケーブル システムズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (65)
【Fターム(参考)】