説明

窒化物、炭化物および炭窒化物網目構造を実現するための、水素を含まない重合体イソシアネートに基づく無機樹脂の調製方法および保護コーティングとしてのその使用

本発明は、無機樹脂を製造する方法であって、CO抽出によって純粋な、水素を含まない重合物に変わることができる、少なくとも1種の水素を含まない無機イソシアネートの重合を含む方法に関し、前記方法によって製造される樹脂に関し、コーティングを製造するためのこのような樹脂の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機樹脂を製造する方法であって、CO抽出(abstraction)によって純粋な、水素を含まないポリマーに変換できる、少なくとも1種の水素を含まない無機イソシアネートの重合を含む方法に関し、この方法によって製造される樹脂に関し、コーティングを製造するためのこのような樹脂の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
「樹脂」は、有機または無機性の、天然または合成の物質混合物であり、その形成には、重合(重付加または重縮合)反応を伴う(R.Houwink、Physikalische Eigenschaften und Feinbau von Natur− und Kunstharzen [physical properties and fine structure of natural and synthetic resins]、Akademische Verlagsgesellschaft、Leipzig、1934)。樹脂は主としてガラス質−非晶質であり、多くの溶媒中への不溶解性によって特徴付けられる。適切な溶媒中の樹脂の溶液、または適切な分散剤中の樹脂のゾルは、「コーティング材」としても知られる。
【0003】
天然および合成樹脂の間に基本的な区別がつけられる。天然樹脂は、主として植物により、場合によっては動物により分泌される。最も早い時期から、これらの天然物質(例えば、マスチック(mastic)、ダンマル(dammar)、コーパル(copal)、ロジン(rosin)、テレピン油(turpentine)、ガンボージ(gamboge)およびセラック(shellac))は、保護コーティング、接着剤、ワニスおよび塑性物体(plastic mass)を提供するのに使用されている。このファミリーの物質の、制約された、かつ幾分不満足な性状プロフィル(耐熱および耐化学薬品性、耐光性、耐候性など)は、これらの樹脂の化学的微細構造を変化させる選択肢の制約と相まって、まもなく、代替物を見つける努力につながった。
【0004】
Staudinger、MeyerおよびMarkによって行われた系統的研究により、(有機)樹脂の化学的および物理的特性が十分理解され、そのため無機樹脂研究の分野における適切な系の研究または乗り換えを促進している(H.Staudinger、Die hochmolekularen organischen Verbindungen[high molecular weight organic compounds]、Springer Verlag、1960; K.H.Meyer、Makromolekulare Chemie [macromolecular chemistry]、Akademische Verlagsgesellschaft、Leipzig、1953)。ポリマー化学の用語法を使用すると、樹脂は、適切なモノマーの単独重合または共重合によって調製できる3次元高分子(macromolecules)と見なすことができる。
【0005】
したがって、原則として樹脂を形成することが可能である数多くの工業原料が存在するので、今や極めて多種多様な合成樹脂が知られている(J.Scheiber、Chemie und Technologie der kuenstlichen Harze [chemistry and technology of synthetic resins]、Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft、Stuttgart、1961)。実際に、今日では、用語「樹脂」は、「固体状溶液(solid solution)」、「固体状溶媒和物」、網目構造(networks)またはゲルなどが存在する場合はいつも、広く行き渡っている状態を記載する傾向がある。用語「樹脂」は、従来のシリコーン樹脂と共に知られている有機合成樹脂、および純粋な無機系(ClPN、窒化塩化リン(phosphorus nitrile chloride)、「無機ゴム」)を包含する。
【0006】
特に、無機、重合(ヘテロ−)シロキサンおよび関連した酸化物ゾル−ゲル方法の使用は、無機重縮合生成物に基づく利用可能なコーティング材の範囲を著しく拡大している。樹脂ゾルのコロイド状態を特に強調するために、用語「ナノコーティング」が設定されている。
【0007】
無機および有機モノマーの共重合は、「複合」材料の部類である物質を生じ、これらは、「有機改質ガラス(organically modified glasses)」または「有機改質セラミックス」としても知られる(H.Schmidt、J.Non−Cryst.Solids、1989、112、419f)。
【0008】
近年、さらなる無機樹脂への基礎研究は、極めて実り多いものであることが判明している。これは、熱的および機械的に安定な保護層への要求が増加している背景に対して、とりわけ考慮されるべきことである。Si−C−N−(H)系への極めて有望な研究(H.Lang、G.Woetting、G.Winter、Angew.Chem. 1991、103、1606f)に加えて、4元Si−B−N−C−(H)系における熱硬化体(thermosets)(H.−P.Baldus、M.Jansen、Angew.Chem. 1997、109、338 ff)は、とりわけ、さらなる論理的発展であるとみなすことができる。非晶質無機網目構造体として分類されるこれらのハイポリマーは、この点に関して、Si、BN、SiC、BCおよび黒鉛の密接なコポリマーとみなすべきである。それらは、高硬度および優れた熱的安定性によって特徴付けられる。構造的に均質であると見なすべきであるこれらの熱硬化体は、主原子価に関して、これらが共有化学結合によって連結されるので、比較的高温まで相分離/結晶化に耐える。したがって、この形成反応(重合)の逆反応は、極めて高温でのみ進行する(化学結合破壊)。網目構造が破壊されて断片となり、究極的には対応する熱力学的に安定な炭化物および窒化物の複合体を形成する。
【0009】
相分離の動力学は、適正量の炭素の存在に高度に依存していることが知られている。F.Habersの用語法を使用すると、網目構造の「析出速度(rate of precipitation)」および「配列速度(rate of ordering)」は共に、炭素によって強く影響される。こうして、温度の関数としてのSi−B−N−C樹脂中のコロイド領域の分散度の減少は、網目構造体の微細構造に強く依存しており、この微細構造は、出発成分の選択によって決定的に影響される可能性がある。
【0010】
Si−B−N−C−(H)系における均質なコポリマーの合成は、種々の特許に記されている。
【0011】
名目上の式「SiBNC」の第1のコポリマーは、Wagner、JansenおよびBaldusによって、欧州特許第502399号(1992)に記載されていた。基礎になる反応経路は、適切な1−成分前駆体(例えば、ClSi−N(H)−BCl、TADB)を種々のアミンおよびアンモニアと反応させる段階を含む。高分子のほかに、アンモニウム塩基NHClも形成される。最初に形成されるポリアミドは、高温熱分解によって窒化物樹脂に変換される。種々の熱分解ガス、特に水素が形成される。
【0012】
網目構造の改良された物理的性状は、国際公開第98/45302号に記され、そこでは1−成分前駆体(ClSi−CH(CH)−BCl、TSDE)が、アミンまたはアンモニアと反応した。この場合にも、ポリアミド網目構造が最初に形成され、これから、非常に高温で(>1100℃)水素を除去しなければならない。
【0013】
Si、B、NおよびC原子の比率は、国際公開第98/45303号において実際に変動するが、これらの実施形態は、常に水素含有基(C−H、N−H)を含む。
【0014】
国際公開第02/22522号において、水素含有出発材料が、水素含有反応性ガスと同様に反応する。この方法は、実際に、連続的にしたがって効率的に行われることによって特徴付けられるが、やはり、緻密な網目架橋を確保するために網目構造は1400℃まで加熱しなければならない。
【0015】
国際公開第02/22624号は、紡糸して繊維とするため最適化された樹脂混合物を開示する。しかし、この場合も、出発材料は水素を含有する。上限熱分解温度として1500℃と言及されている。
【0016】
特許出願国際公開第02/22625号は、しばしば観察される、望ましくない揮発性炭化水素の損失、および関連したSi−B−N−C−(H)系における望ましくないセラミック収率について、決定的に改良した方法を記載する。ここでも、出発材料は水素を含まないものではない。
【0017】
国際公開第07/110183号は、改良された脆性破壊挙動または高温安定性を有する樹脂を開示する。
【0018】
無機樹脂中の水素含量の低減に関して、種々の取組みが、すでに展開されている。
【0019】
国際公開第96/06812号は、適切なカルボジイミドの架橋によって、より低い水素含量を有する網目構造の生成を可能にする方法を提案している。ここでは、ハロゲン化元素が、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミドと反応する。1つの出発化合物が必然的にC−H基を含有するので、記述される生成物中の水素含量6重量%は理解できる。1つの問題になる状況は、例えばK.B.Wurmの学位論文(「Synthese elementorganischer Polymere zur Herstellung nichtoxidischer keramischer Materialien」[synthesis of element−organic polymers for producing non−oxide ceramic materials]、University of Stuttgart thesis、1998)に記載される、種々の網目構造の詳細な解析により、数多くの不純物、特に塩化物(PCl: 7%による、AlCl: 21%による、BCl: 30%による)が検出できる点である。
【0020】
国際公開第98/35921号において、同じ取組みが行われている。掲載されたIRデータは、望ましくないC−H官能基の存在(例えば、2955cm−1におけるバンド)を明白に示す。種々のプローブによってSi、Oおよびハロゲン化物による汚染が実証されている。
【0021】
後者の2方法についての1つの問題は、カルボジイミド基(R−N=C=N−R’)が基材と相互作用することが、辛うじて可能であるに過ぎず、したがって、可能性のあるコーティング材の基本的要求条件である良好な接着性を殆ど期待することができない点である。
【0022】
これらの網目構造において架橋リガンドとして作用するカルボジイミド官能基は、基材表面上の反応性基との比較的弱い「側面的(side−on)」相互作用が可能であるとしか期待されない。有効な相互作用(例えば化学吸着)のための構造的前提条件に欠けている。
【0023】
したがって、国際公開第96/23086号は、これらの不利点を克服し、基材上にセラミック層を施す方法を提案している。しかし、提案された方法は、全て複雑性の増大、高コストおよび不十分な反応制御によって特徴付けられるものである。したがって基材を、適切であるが、的確には規定されない方法で前処理しなければならず、このため基材表面が不均質な核として働く可能性がある。その上、基材は最初に、適切な官能基、例えば元素−Cl基を備えなければならない。このような予備作業が不要になる方法が望ましいであろう。
【0024】
さらに、カルボジイミド官能基(N=C=N)の所与の分子サイズ(異方性、長さ)および架橋中の架橋リガンドとしてのその機能のため、比較的大きな「メッシュ」を有する3次元高分子が予期されることになる。しかし、現在の学説により、より大きなメッシュでは、熱励起および分解が実質的により容易に、かつ実質的により低い温度で進行することが知られている(K.Ueberreiter、Angew.Chem. 1953、65、121f)。したがって、熱的および機械的安定性の増加は期待されないことになる。
【0025】
総括として、従来技術から明白に明らかであるように、今日まで、完全に水素のない無機樹脂によって得ることができる窒化物網目構造に基づく、知られている適切なコーティング材は存在しない。
【0026】
緻密な3次元網目構造を提供するためには、比較的高温を要するので、このことは著しく不都合である。しかし、所望されることは、できる限り最低の温度で、適切な工程管理によって、最大限大きくかつ緻密な網目構造を精度よく形成することである。コーティングされた基材に関する層の硬度および層の保護機能を規定するものは、得られた網目構造の強固さである。
【0027】
温度>1300℃に達するまで水素の除去は完了しないと報告されている。他の情報源では、温度2000℃までとさえ報告している。不都合な高エネルギー消費、および基材が過剰な温度に曝される点(鋼の場合、スケール生成)のほかに、形成される水素による腐食の影響も不利である。したがって、多くの基材が、しかし特にチタンおよびいくつかの鋼が、それらの粒構造に水素が組み込まれることによって強度を失うことが知られている。この型の材料疲労は、基材の亀裂および脆性を導く恐れがある。基材のこのような応力腐食亀裂は全て、圧密温度が高いほど、ますます可能性がある。著しいガス逸出のため樹脂層内で同様に可能性がある亀裂について、より詳細な記述を提供する必要はない。
【0028】
しかし、他方では、適正な反応性基(N−H、O−H、より反応性が低いC−H)がしばしば、コーティングしようとする基材への最大限有効な接着(化学結合)のための重要な前提条件である。基材へのコーティング材の良好な接着力がなければ、殆ど保護作用(耐腐食、防錆、機械的保護)を確保することができない。可能な複合体(例えば、ガラス−セラミックス、繊維補強複合材料)の内部凝集力も、表面相互作用が存在しないと、大きく損なわれるであろう。
【0029】
上述の文献はいずれも、対応するコーティングの高い接着強度をいかに達成することができるか、その一方で、同時にいかに従来技術において記載された不利を克服するかについて何らかの指摘をもたらすものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】欧州特許第502399号(1992)、Wagner、JansenおよびBaldusによる
【特許文献2】国際公開第98/45302号
【特許文献3】国際公開第98/45303号
【特許文献4】国際公開第02/22522号
【特許文献5】国際公開第02/22624号
【特許文献6】国際公開第02/22625号
【特許文献7】国際公開第07/110183号
【特許文献8】国際公開第96/06812号
【特許文献9】国際公開第98/35921号
【特許文献10】国際公開第96/23086号
【特許文献11】DE197 14 949
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】R.Houwink、Physikalische Eigenschaften und Feinbau von Natur− und Kunstharzen [physical properties and fine structure of natural and synthetic resins]、Akademische Verlagsgesellschaft、Leipzig、1934
【非特許文献2】H.Staudinger、Die hochmolekularen organischen Verbindungen[high molecular weight organic compounds]、Springer Verlag、1960
【非特許文献3】K.H.Meyer、Makromolekulare Chemie [macromolecular chemistry]、Akademische Verlagsgesellschaft、Leipzig、1953
【非特許文献4】J.Scheiber、Chemie und Technologie der kuenstlichen Harze [chemistry and technology of synthetic resins]、Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft、Stuttgart、1961
【非特許文献5】H.Schmidt、J.Non−Cryst.Solids、1989、112、419f
【非特許文献6】H.Lang、G.Woetting、G.Winter、Angew.Chem. 1991、103、1606f
【非特許文献7】H.−P.Baldus、M.Jansen、Angew.Chem. 1997、109、338ff
【非特許文献8】K.B.Wurm、「Synthse elementorganischer Polymere zur Herstellung nichtoxidischer keramischer Materialien」[synthesis of element−organic polymers for producing non−oxide ceramic materials]、Unversity of Stuttgart thesis、1998
【非特許文献9】K.Ueberreiter、Angew.Chem. 1953、65、121f
【非特許文献10】W.Neumann、P.Fischer、Angew.Chem.、1962、74、801ff
【非特許文献11】J.Pump、E.G.Rochow、Zt. anorg. allg.Chem.、964、330、101ff
【非特許文献12】R.Riedel、A.Greiner、G.Miehe、W.Dessier、H.Fuess、J.Bill、F.Aldinger、Angew.Chem.−Int.Ed.、1997、36/6、603〜606
【非特許文献13】A.Appen、A.Petzold、Hitzebestaendige Korrosions−, Waerme− und Verschleissschutzschichten [heat−resistant corrosion, heat and wear protection layers]、VEB Deutscher Verlag fuer Grundstoffindustrie、1980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
こうして、本発明により、基材に十分に接着し、基材上に緻密なコーティングの網目構造を形成することを可能とする、緊密な無機樹脂を提供する、またはこのような樹脂の製造方法を提供するという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本目的は、本発明により、純粋な、無機の水素を含まないイソシアネートが重縮合されて樹脂を生成する方法を提供することによって達成された。重縮合は、保護ガス(例えばアルゴンまたは窒素)下において比較的高温で進行することが好ましい。反応の間、ガス状COのみが脱離される(eliminated)。
【0034】
重縮合はまた、適切な溶媒または分散剤、すなわち、高沸点液体溶媒(沸点>130℃)、イオン性液体、塩溶融物などにおいて行われることが好ましいことがある。
【0035】
高分子のコーティング材に、基材の反応性基(特にO−H−基)と直接相互作用(化学結合)することが可能である官能基が存在しなければならない。
【0036】
水素含有官能基(C−H、O−H、N−Hなど)が不在であると、水素含有試料の知られている不利点を生じることなく適度な温度で、完全な3次元架橋が可能になる。共有結合する窒化物、炭化物および炭窒化物の知られている有利な特性のため、コーティング材は、これをベースとして製造されるべきである。本発明による工程管理は、比較的低い温度での、触媒的に進行する重縮合反応の利用によることが好ましい、効率的な架橋を可能にすることを意図している。
【0037】
本発明により製造される樹脂が「水素を含まない」ことを実証する方法は、当業者に知られ、例えば、IR、ラマンおよび熱的ガス分析(例えばH、NH、HO、CH、HCNなどのH−含有基の検出)を含む。
【0038】
本発明の他の態様において、この方法で提供される非酸化物樹脂は、酸化物マトリックス(フィラー)に組み込むことができる。こうして、有利な性状の組合せを呈する無機複合材料が作り出される。
【発明を実施するための形態】
【0039】
純粋に熱的に誘発される架橋は非常に時間を要し、したがって不経済であるが、樹脂を製造するための本発明による方法において、適切な触媒により非常に良好な結果が達成される。したがって、本発明の一態様は、本発明による方法での無機イソシアネートの触媒重合、特に触媒重縮合に関する。
【0040】
全く驚くべきことに、例えば、リン含有複素環式有機化合物のファミリーからの知られている触媒の助けにより、優れた結果を達成できることが見出された。しかし、原則として、化学的に連結されるイソシアネート向けに当業者に知られている任意の触媒を使用することができる。この主題について、いくつかの総説論文を利用できる。しかし、ホスホレン類の代表的な分子である物質、特に1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン1−オキシド(PMO)が好ましい。このような触媒の有利な影響は、反応生成物についての時間分割性、半定量的IR分光法の助け(約2275cm−1におけるイソシアネートバンドの分解)により実証でき、文献からは直接的に推論することはできない。純粋な有機イソシアネートの重縮合については、実際に、非常に多数の触媒の報告があるが、無機イソシアネートについては触媒系が知られるようになっていない。これに反して、無機系について試行され、信をおかれた、有機化学触媒の不適合性を明快に参照する刊行物(W.Neumann、P.Fischer、Angew.Chem.、1962、74、801ff)さえ利用できる。したがって、本発明により達成された結果は、この従来技術に対して驚くべきものである。無機イソシアネートの触媒重縮合の本発明による経路により、得られた架橋樹脂について比較的高い分子質量を生じるという有利な状況が、驚くべきことに生じている。このことは、単離した生成物についての比較MALDI−TOF測定によって実証できる。したがって、本発明による経路について、Si−C−N樹脂の場合に少なくとも24のオリゴマー度が得られている。これに反して、PumpおよびRochowは、彼らの経路を使用し、ポリカルボジイミドがオリゴマー度6〜9を有すると報告している(J.Pump、E.G.Rochow、Zt. anorg. allg.Chem.、1964、330、101ff)。
【0041】
適切であるとみなすことができるイソシアネートは、原則として、任意の容易に入手できる元素−イソシアネート化合物であるが、特に元素周期表(PTE)のp−ブロックからの元素によるもの、また特に好ましくはB、C、SiおよびPなどの軽い非金属元素のイソシアネートである。これらは、当業者に知られている公開された方法を使用して調製される。例えば1つの一般的方法は、適切なハロゲン化物、好ましくは塩化物を銀イソシアネートと反応させる段階を包含する:
SiCl + 4 AgNCO → Si(NCO) + 4 AgCl
【0042】
全てのイソシアネートは、湿気敏感性化合物であり、したがって適切に貯蔵および処理される。全ての反応は、例えば窒素などの保護ガス下で行われることが好ましい。イソシアネートは、最初にできる限り最も純粋な形態で導入され、特にNMR、IRおよびラマン分光法によって品質管理が行われる。
【0043】
好ましい実施形態において、無機イソシアネート、触媒および適切な溶媒を最初に導入し、加熱還流させる。
【0044】
触媒対イソシアネートの比率は、広い範囲内で変動でき、この比率は好ましくは、1:5と1:20の間、特に好ましくは1:10と1:20の間にある。
【0045】
高沸点(沸点>100℃)、非プロトン性溶媒であることが好ましい溶媒は、本発明により、イソシアネートおよび触媒の両方が十分にその中に可溶であるように選択される。「十分に」とは、ここでは、少なくとも溶媒の沸点で両成分が可溶であることを意味すると解釈すべきである。第2の、しかし絶対的に必須ではない要求条件は、選択された溶媒の沸点が、最初に導入されたイソシアネートの熱分解点を超えないものとすべきことである。次いで、反応制御は、結果としてより単純である。溶媒と出発物質との間の比率には、制限を設けないが、経済的工程管理の目的のため、できる限り最小の体積が選択されるであろう。例えば、最初に導入した2gのイソシアネートについては、20mlの溶媒で十分であることが見出されている。実施形態に応じて、例えばDMSO、HMPTAなどの非プロトン性の極性溶媒、ならびに例えばキシレン、デカリンおよびドデカンなどの非プロトン性の非極性溶媒が好ましい。反応は、非プロトン性の非極性溶媒中で行われるのが特に好ましい。イソシアネートがそれ自体液体である適切な場合、原則として溶媒を省くことが可能であるが、これは好ましくない。その場合、触媒の分離に、より時間がかかる。
【0046】
触媒的縮合反応は、還流しながら数時間行われる:
2 RSi−NCO (+ PMO) → RSi−NCN−SiR + CO
【0047】
COの形成は、接続された気泡カウンターによって、反応の間、目視で監視できる。試験の継続時間は、イソシアネートの選択、触媒の特性、溶媒の選択(沸点)および出発物質の量比によって決定される。ガスの形成のほかに、反応の進行は、ゲルの形成からも観察できる。始めに透明な溶液は、ますます濁り、溶液の粘度が絶えず増加する。ある時点から、不溶性の固体が最終的に形成し、それが溶液から分離し、溶液は次に再び透明になる(離漿)。見出すことができる、さらなる目視観察は、溶液の黄色着色であり、これは、反応が続くと、ますます強くなる。ゲル状態のものを単離することは、原則として可能であるが、相分離まで反応を継続することが好ましい。これにより、得られたポリマーを、依然として溶解している触媒から単離するのが容易になり、高純度の生成物が確保される。湿気敏感性生成物は溶媒から分離され、真空下で室温において洗浄および乾燥される。洗浄手順は、高沸点反応溶媒と混合するが、それ自体高沸点を有しない溶媒によって行われることが好ましい。
【0048】
この方法で調製される非晶質無機樹脂は、IRおよびラマン分光法で試験される。反応時間が長いほど、または反応温度が高いほど、イソシアネートバンドの強度が低下し、それに対応してカルボジイミドバンドの強度が高くなることが見出されている。
【0049】
本発明の決定的な実現点は、触媒架橋反応の間、いかなる場合にもイソシアネート官能基は完全に分解されないことである。したがって、全てのもたらされる無機樹脂は、それぞれの場合、基材の官能基と化学的に結合することが可能である十分な遊離イソシアネート基を含む。遊離イソシアネート基の存在は、触媒の存在にもかかわらず、それが形成する網目構造の非柔軟性が高くなることから結論できる。この状況により、遊離イソシアネート基がより接近して集まることがますます困難になる。しかし、驚くべきことに、形成されたカルボジイミド官能基とイソシアネートの間で反応が起こらない。この反応は、有機化学においてよく知られているが、無機系の場合には排除されるもののように見える。IR分光法では、いかなる場合にも、このような反応機作の兆候は、明らかにならなかった。したがって、触媒的架橋の後、樹脂は、
E(NCN)(NCO)
(E=元素)の形態の、水素を含まない網目構造となると解釈することができる。工程パラメーターによって、xおよびyの比率が決まる。したがって、xおよびyの比率に、意図的に影響を及ぼすことができ、かつ半定量的なIR分光法によって監視することができる。しかし比率x:yは、結果的に少なくとも1:1とすることが有利であるべきである。しかしこの比率は、明らかに、より大きいことが好ましい。基材への結合は:
−NCO + H−O−R → R−NH−CO−O−R
による、ウレタン結合によって進行することが好ましい。
【0050】
本発明の他の態様は、本発明の方法によって製造される樹脂に関する。この樹脂は、水素を含まないことが好ましく、かつ/またはイソシアネート基(−NCO)およびカルボジイミド/シアナミド基(−NCN−)の両方を含むことが好ましい。さらなる好ましい実施形態において、樹脂は、粉末および/またはコーティングの形態をとる。
【0051】
本発明のさらなる態様は、コーティングを製造する方法であって、
a)本発明による樹脂を、コーティングしようとする基材上に塗布する段階と、
b)そのコーティングした基材を熱処理する段階と
を含む方法に関する。
【0052】
あらゆる種類の清浄され脱脂した基材(金属、ガラスおよびセラミックス)上にコーティングを塗布するため、提供される樹脂は、適切な分散剤またはバインダーと混合することが好ましい。混合に先立って、樹脂粉末を機械的に粉砕し、篩分ける。粉砕および篩分けは、当業者に知られている操作である。粉砕は、例えば、ボールミルにおける粉砕操作によって達成できる。粉砕操作は、樹脂粉末が、適切なメッシュサイズの篩いを通過するまで行われるのが有利である。コーティングコンパウンドをブレンドするのに適したバインダーは、当業者に親しまれているもので、炭素含有残渣を形成せずに(「すす汚れ」を生じないで)、高温で完全に熱分解されるバインダーを選択することが好ましい。この種の1つの知られているバインダーは、例えば、グリセロールおよびフタル酸から調製した重縮合生成物であり、炭素質残渣をあとに残さないで約380℃で分解されるものである。
【0053】
しかし、本発明の代替的一態様において、無機樹脂は、温度安定性バインダーと組み合わせることもできる。これは、複合コーティング材にアクセスを提供する。適切な温度安定性バインダーは、例えば、水ガラス、コロイドシリカ、ポリリン酸塩、粘土およびセメント(モルタル)などの知られた、安価なコンパウンドである。しかし、特製のマトリックス系も選択できる。これらの場合、窒化物樹脂は、バインダーに分散させ、特にバインダーマトリックスの機械的性状(硬度、磨耗性など)に積極的影響を有するフィラーとして作用する。
【0054】
樹脂対バインダーの比率は、広い範囲内で変動でき、究極的には、セラミックコーティングの達成可能な膜厚に影響を及ぼすのみである。樹脂の重量に対して30重量パーセントまでの添加が有利であることが判明している。顔料(例えばTiO、Fe)、乳白剤(例えばSnO)、流動化防止剤などの添加剤が、この方法で提供される系に、さらに添加できる。量は変動できるが、樹脂に対して30重量%までの顔料含量、10重量%までの乳白剤、および7重量%までの流動化防止剤が、特に有利な結果を提供することが見出されている。コーティングコンパウンドまたはコーティング材は、任意の通常の表面仕上げ方法、すなわち、はけ塗布、はけ塗り、浸し塗り、吹付け塗りおよびスピン塗り(spinning)を使用して塗布できる。しかし、吹付け塗り方法が好ましい。有利な実施形態において、コーティング材は、ロボット制御吹付け塗り方法によって塗布される。ここでは、最初に導入したコーティング材を脱気し、連続的なポンプ制御循環に掛ける。こうして気泡も集塊物も含まないコーティング材が、適切な噴霧ノズルによって基材上に直接吹き付けられる。噴霧室内の温度、雰囲気および大気湿度、ならびにコーティング材の固有粘度は、互いに調整される。したがって、適切なコーティング材は、T=22.2℃で5〜12cPの粘度を呈することが見出されている。塗布される膜の厚さは、上述のパラメーターに著しく依存しており、したがって広い範囲内で変動できる。5から15μmの間の湿潤膜厚により有利な結果が得られる。15μmを超える塗布膜厚では亀裂発生の可能性が増大し、一方より薄い膜厚(特に「ナノ層」)では有利な機械的性状(硬度、磨耗性など)を呈しない。
【0055】
RTで予備乾燥した膜は、次いで熱圧密工程に掛けられる。樹脂が水素を含まないという本発明による状況により、かなりT=1000℃未満の温度で有利な圧密化が進行できる。これは上述の特許の系からの基本的相違点である。したがって、Si−C−N樹脂の場合、ほんのT=220℃における触媒的架橋により、密度1.56g/cmの非晶質−ガラス質樹脂を生じることが見出されている。この値は、X−線写真データに基づいて1.52g/cmの密度が計算された結晶性化合物「Si(NCN)」(ケイ素カルボジイミド)についての結果(R.Riedel、A.Greiner、G.Miehe、W.Dessier、H.Fuess、J.Bill、F.Aldinger、Angew.Chem.−Int.Ed.、1997、36/6、603〜606)に非常に近い。後者で記述される値が不確実であるとしても、データの類似性は、イソシアネートの極めて効率的な触媒制御された架橋を示すものである。さらなる熱的配列または架橋は、熱分解ガス(N、CO、(CN))の放出を伴って進行し、並行して行われるDTA−MS試験で検討できる。究極的には熱分解につながる、さらなる圧密化により、可変の組成SiCの樹脂膜またはセラミック膜を得ることができる。境界線の場合は、温度範囲下限における式Si(NCN)、および範囲上限におけるSiC(炭化ケイ素)である。したがって、正確な炉プロトコール(加熱速度、継続時間、雰囲気)によって、可撓性のセラミック組成物を得ることができる。ラマン分光法が、セラミックコポリマーの均質性を支える。T>1400℃まで、Si、SiCバンドも、遊離炭素バンドも検出することができない。この温度からのみ、熱力学的に安定な生成物SiC(779cm−1および950cm−1におけるバンド)が形成され、その場合粉末回折測定法(F−43m、a=4.361Å)によっても実証され得る。これらの実験データから、比較的高い温度まで均質な非晶質コポリマーが存在することは、疑いなく明らかである。
【0056】
最終的な多孔質セラミック炭化物層の形成も、本発明の範囲に含まれる。
【0057】
従来技術と比較すると、この経路による炭化物の生成は、著しく低い工程温度のため明確に好ましいものである(A.Appen、A.Petzold、Hitzebestaendige Korrosions−, Waerme− und Verschleissschutzschichten [heat−resistant corrosion, heat and wear protection layers]、VEB Deutscher Verlag fuer Grundstoffindustrie、1980)。
【0058】
本出願の好ましい実施形態において、本発明により生成される層、特に炭化物、窒化物もしくは炭窒化物の非晶質網目構造、一部結晶性ガラス質セラミックスまたは高性能セラミックスに、さらなる層をコーティングできる。さらに、この方法で、例えば引っかき抵抗性、耐腐食性または装飾効果などのさらなる特性を得ることができる。好ましい実施形態において、このさらなるコーティング層は、ガラス質層を含むことが好ましい。このような層は、例えばDE197 14 949に記載されている。
【0059】
本発明のさらなる態様は、高温安定性を有する耐腐食、耐摩耗保護および/または耐酸化としてのコーティングを製造するための本発明による樹脂の使用に関する。
【0060】
(実施例)
下記の実施例は、本発明を例示する役割のものであり、限定するものとみなすべきではない。これらの方法への修正は、当業者に知られており、同様に本発明の範囲内に該当するものである。
【0061】
イソシアネートの合成
SiCl + 4 AgNCO → Si(NCO) + 4AgCl
予備乾燥したAgNCO(KOCNおよびAgNOから作製した)を無水トルエンに分散させ、この分散液に、撹拌しながら、トルエンに溶解した、新たに蒸留したSiClを滴下する(10%過剰のAgNCOを使用した)。この懸濁液を還流しながら3時間加熱する。懸濁液の色が無色から青紫−灰色に変化する。固体(AgCl)を分離した後、動的真空下で溶媒を除去し、残った淡色の帯黄色液体をT=186℃で蒸留する。透明な液体が得られる。収量は定量的である。
【0062】
解析: ラマン: 1471cm−1、618cm−1、494cm−1、294cm−1および251cm−1
13C−NMR: 122.2ppm
融点: 26℃
【0063】
他の元素イソシアネート(例えば、B(NCO)、P(NCO)、Ge(NCO))が、同様の方法で調製される。
【0064】
高分子/樹脂の合成
少量の触媒PMO(0.2g)を20mlのドデカン(沸点:216℃)に溶解し、2gの新たに調製したSi(NCO)を添加する。透明な無色の溶液を数時間加熱還流する。分離した橙−褐色物質を単離し、ペンタンで洗浄し、動的真空下で乾燥する。
【0065】
解析: XRD: 非晶質物質
IR: 2275cm−1(イソシアネートバンド)、2180cm−1(カルボジイミドバンド)
密度: 1.56g/cm
MALDI−TOF−MS: 最高揮発分: 2566m/z
29Si−NMR: 100〜110ppm(ブロードシグナル)
【0066】
他の、またはさらなるイソシアネートによる高分子が、同様の方法で合成される。
【0067】
コーティング混合物の調製および塗布
100部の樹脂を30部のバインダーと混合し、互いに緊密に分散させる。これは、このバッチを交互にボールミル(例えば、RetschからのPM100)および超音波装置(例えばBandelinのSonorex Digitec)で処理する段階により、進行する。比較的大きな集塊物は、125μmメッシュサイズフィルターによって、コーティング材から最終的に除去される。コーティング材を手動吹付けガン(例えばSATAミニジェット4HVLP型)によって、前以って清浄にし脱脂した基材(1.4301ステンレス鋼シート)上に塗布する。最初にRTで乾燥した後、湿潤膜厚が6μmと測定される。
【0068】
コーティングした基材の熱的後処理
コーティングした基材を炉内において純粋な窒素雰囲気下でT=500℃の温度まで[加熱]する。加熱速度は、3℃/分に達する。この温度は、1時間保持し、次いでゆっくり低下させる。調製したセラミック層は、色が褐色である。乾燥膜厚は、約2μmに達する。
【0069】
解析: ラマン分光法: 識別できるバンドなし
XRD: 非晶質物質
ペンシル硬度: >9H
【0070】
多層系の生成
a)
本発明による層に、希釈PTFE懸濁液(60重量%、DuPont)を塗り重ねる。湿潤膜厚約1μmが得られる。このトップコートを2℃/分で350℃まで加熱し、そのレベルで1時間保持し、冷却する。
【0071】
さらに強く撥水性(疎水性)(水に対する接触角>90°)である硬質安定層が得られる。
【0072】
b)
本発明による(マット)層に、透明なガラス質トップコートを塗り重ねる。DE197 14 949は、このような塗り重ねのための配合物を記録している。
【0073】
6μmまでの湿潤膜厚を塗布し、2℃/分で450℃まで加熱する。その結果、最初のマットコーティングは、光沢のある目視性状を達成する。光沢度は、測定角60°で光沢計により測定する。50および60単位(100に対して)の間の光沢度が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO抽出によって純粋な、水素を含まないポリマーに変換できる、少なくとも1種の水素を含まない無機イソシアネートの重合を含む、無機樹脂を製造する方法。
【請求項2】
前記無機樹脂が、窒化物、炭窒化物および/または炭化物網目構造を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種の無機イソシアネートが、一般式E(NCO)(Eは、元素周期表の任意の所望の化学元素であり、xはNCOリガンドの数である)により調製できることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Eが、元素周期表のp−ブロックから選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
Eが、B、C、Si、Pからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記イソシアネートの前記重合が、触媒的に進行することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
使用される前記触媒が、無機イソシアネートの重縮合を触媒する化合物であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒が、複素環式リン化合物であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒が、ホスホレンであることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒が、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン1−オキシド(PMO)であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒重縮合が、前記得られたポリマーの分解温度未満で行われることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒重縮合が、適切な溶媒または分散剤中で行われることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒重縮合が、有機高沸点溶媒(沸点>100℃)中で行われることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒重縮合が、非極性、非プロトン性溶媒中で行われることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
触媒対イソシアネートの比率が、1:1と1:100の間、好ましくは1:5と1:20の間にあることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒および前記溶媒が、前記樹脂から分離されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に従って製造される樹脂。
【請求項18】
水素を含まないことを特徴とする、請求項17に記載の樹脂。
【請求項19】
イソシアネート基(−NCO)およびカルボジイミド/シアナミド基(−NCN−)の両方を含むことを特徴とする、請求項17または請求項18に記載の樹脂。
【請求項20】
粉末および/またはコーティングの形態をとることを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の樹脂。
【請求項21】
a)請求項17から20のいずれか一項に記載の樹脂を、コーティングしようとする基材上に塗布する段階と、
b)前記コーティングした基材を熱処理する段階と
を含む、コーティングを製造する方法。
【請求項22】
前記熱処理が、2000℃以下で行われることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記熱処理が、1000℃以下で行われることを特徴とする、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記熱処理が、500℃以下で行われることを特徴とする、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記樹脂が、無機炭化物、窒化物または炭窒化物の非晶質網目構造に熱変換されることを特徴とする、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記樹脂が、無機炭化物、窒化物または炭窒化物の一部結晶性ガラス質セラミックに熱変換されることを特徴とする、請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記樹脂が、無機炭化物、窒化物または炭窒化物の結晶性セラミックに熱変換されることを特徴とする、請求項21から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記樹脂が、少なくとも元素Si、B、NおよびCを含有する無機炭化物、窒化物または炭窒化物の高性能セラミックに熱変換されることを特徴とする、請求項21から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記樹脂が、元素Si、B、NおよびCからなる無機炭化物、窒化物または炭窒化物の高性能セラミックに熱変換されることを特徴とする、請求項21から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記炭化物、窒化物もしくは炭窒化物の非晶質網目構造、一部結晶性ガラス質セラミックまたは高性能セラミックが、さらなる層でコーティングされることを特徴とする、請求項25から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
段階(a)において使用される前記樹脂が、コーティング系の一部(フィラー)であることを特徴とする、請求項21から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
段階(a)において使用される前記樹脂が、コーティング系のベースであることを特徴とする、請求項21から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記樹脂が、金属、ガラスまたはセラミックス材料からなる基材の表面仕上げおよび表面保護の役割を果たすコーティング系のベースであることを特徴とする、請求項21から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記樹脂が、バインダー、溶媒およびフィラー、例えば、顔料、乳白剤、流動化防止剤、レベリング剤および湿潤剤などをさらに提供されているコーティング系のベースであることを特徴とする、請求項21から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記樹脂が、焼付けられるコーティング系の必須成分であるバインダーとさらに組み合わされたコーティング系(複合系)のベースであることを特徴とする、請求項21から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記コーティング系が、はけ塗布、はけ塗り、浸し塗り、スピン塗り、または吹付け塗りによって塗布されることを特徴とする、請求項21から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記コーティング系が、吹付け塗りによって塗布されることを特徴とする、請求項21から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記コーティング系が、少なくとも1μmの湿潤膜厚で塗布されることを特徴とする、請求項21から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記コーティング系が、少なくとも5μmの湿潤膜厚で塗布されることを特徴とする、請求項21から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記コーティング系が、熱的に焼付けられることを特徴とする、請求項21から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記コーティング系が、2000℃以下で熱的に焼付けられることを特徴とする、請求項21から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記コーティング系が、1000℃以下で熱的に焼付けられることを特徴とする、請求項21から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記コーティング系が、500℃以下で熱的に焼付けられることを特徴とする、請求項21から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
高温安定性を有する耐腐食、耐摩耗保護および/または耐酸化としての請求項21から43のいずれか一項に記載のコーティングを製造するための請求項17から20のいずれか一項に記載の樹脂の使用。

【公表番号】特表2012−533510(P2012−533510A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521033(P2012−521033)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060572
【国際公開番号】WO2011/009891
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(596070445)マックス−プランク−ゲゼルシャフト ツール フォーデルング デル ヴィッセンシャフテン エー.ヴェー. (13)
【Fターム(参考)】