説明

窒化物蛍光体、その製造方法及び前記蛍光体を含む発光素子

【課題】窒化物蛍光体、その製造方法及び前記蛍光体を含む発光素子を提供する。
【解決手段】本発明は、Me2−xSi8−y3y(0<x<1、0≦y<0.5)の組成を有する希土類金属がドープされたアルカリ土類金属シリコン窒化物蛍光体粉末を常温で数秒以内に製造することができる窒化物蛍光体、その製造方法及び前記蛍光体を含む発光素子に関するものである。本発明によって製造されたシリコン窒化物蛍光体は、小さい粒径と高い表面積及び改善した化学的特性を有すると共に、UV及び青色光を強く吸収し、これを効率的に橙−赤色光に変換させることができ、効果的な蛍光体として使用することができ、LEDパッケージにおいて沈降がなく、均一な層を形成するために使用されることができ、また、ディスプレイ用及び光源用として特に有効に使用されることができる。特に、粒子の微細化によるLEDパッケージを適用する際、重量比によりコストを下げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Me2−xSi(0<x<0.5)の組成を有する希土類金属がドープされたアルカリ土類金属シリコン窒化物蛍光体粉末を常温で数秒以内に製造する方法及び前記方法により製造される蛍光体粉末に関する。
【0002】
前記希土類金属がドープされたアルカリ土類金属シリコン窒化物蛍光体粉末の製造方法は、反応混合物に少量の無機フッ化塩を含むフッ素源(FS)をさらに加えることによりフッ素が導入され、希土類金属がドープされたアルカリ土類金属シリコン窒化物蛍光体粉末(Me2−xSi8−y3y(0<x<1、0<y<0.5)を提供することができ、このように製造された蛍光体はより改善した物理的特性及び光学的特性を有することができる。
【0003】
本発明により製造されるシリコン窒化物系蛍光体は、小さい粒径、高い表面積及び改善した化学的特性を有すると共に、UV及び青色光を強く吸収し、これを効率的に橙−赤色光に変換することができ、効果的な蛍光体として使用することができるため、LEDパッケージにおいて沈降がなく均一な層を形成するために使用されることができ、またディスプレイ用及び光源用として有効に使用されることができる。特に、微細粒子をLEDパッケージに適用する際、重量比によりコストを下げることができる。
【0004】
また、本発明は、前記蛍光体を含む改善した光学性質を有する発光素子に関する。
【背景技術】
【0005】
白色LEDはエネルギー消費の少ない環境にやさしい光源として認められており、白色LED素子のほとんどは、Ce+3/Eu+2のような希土類金属がドープされた蛍光体を青色InGaNLEDチップによって励起し、長波長の光を放出することにより、混合した光によって白色を発光する原理である。
【0006】
青色InGaNLEDチップと黄色蛍光体である(Y、Ce)Al12の組み合わせが市場での最も普遍的な白色光源物質であるが、一般光、FPD、及び携帯電話用LCDのバックライトの用途として色再現性と色調指数を高めるために、赤色蛍光体の需要が徐々に増加している。
【0007】
これに応じて、シリケート、ホスフェート、アルミネート、ボレイト、スルフィド及びオキシスルフィド蛍光体のような既存の蛍光体を代替するために、三成分系またはそれ以上の多くの窒化物蛍光体が開発された。特に、最近開発された窒化シリコンベースの多重構成要素のニトリド錯体は蛍光体として高い可能性を示す。
【0008】
特許文献1には、赤色光源であるMSi(M=Ca、Sr、Ba)の窒化物蛍光体の製造方法について開示されている。前記製造方法によると、チューブファーネス内で550〜800℃にて8〜16時間窒素雰囲気下で前記金属の直接的な窒化反応によってアルカリ土類金属窒化物とユーロピウム窒化物が先ず製造される。その後、前記アルカリ土類金属窒化物とa−Si及びEuNxが混合されてモリブデン坩堝に満たされた後、90%Nと10%Hの雰囲気下で1300〜1400℃の温度条件で12時間〜16時間の反応時間を維持することにより、多結晶のM2xEuSi(M=Caについて0≦x≦0.2、M=Sr、Baについて0≦x≦2.0)蛍光体粉末が得られる。
【0009】
しかし、特許文献1に開示された方法は、アルカリ土類金属窒化物及び希土類金属窒化物をまず製造するため、製造工程が難しく前記窒化物のコストが高いという欠点を有し、また空気と湿気による原料物質に対する保管上の問題を有している。さらに、前記方法によって得られる蛍光体の転換効率は効果的でないため改善の余地がある。
【0010】
特許文献2には、MSi:Eu+2(MはCa、Sr、及びBa、から選択されたアルカリ土類金属、z=2/3x+4/3y)の組成を有する蛍光体が開示されている。前記赤色光の窒化物蛍光体は、アルカリ土類金属の窒化(nitridation)反応後、これを窒化シリコンと混合して製造したり、アルカリ土類金属イミドとシリコンイミドを原料物質として使用して、窒素またはアルゴン雰囲気下で加熱によって製造することについて開示している。前記方法は、特許文献1に開示された方法の欠点を全て有している。
【0011】
特許文献3には、MSi、MSi10、MSiN及びMeAlSiN、(Mは、Mg、Ca、Sr、Baなど)の組成を有し、実質的に酸素を有しない蛍光体について開示されている。これは出発物質としてアルカリ土類金属及び希土類金属の窒化物を使用しており、前記窒化物の製造工程の困難性、高い製造コスト、及び取り扱いの困難性等の欠点を有する。
【0012】
このような欠点により、シリコン窒化物系の蛍光体は工業的スケールの生産が困難であるという認識が広がっており、これは「商業的なシリコン窒化物系の物質は、1)不純物である酸素の存在による低い純度、2)低い純度による蛍光体の低い蛍光特性、3)高い製造コストなどによる欠点を有する」と認識され、これにより低い光学的特性を有すると公知されている。
【0013】
さらに、前記文献で開示された窒化物蛍光体の原料は粉末状では反応性が低いと公知されている。即ち、原料粒子間の固相反応を促進させるためには原料物質を高温(1200〜1600℃)で長時間(10時間以上)加熱しなければならない。
【0014】
その結果合成された蛍光体は非常に大きいグレインサイズ(3〜15μm)の凝集体で構成され、前記凝集された粉末は蛍光体として使用するためにそれぞれの独立した粉末に分離されなければならないため、粉砕する必要がある。
【0015】
しかし、前記目的を達成するためには長時間のミリング作業を要するが、これは発光強度の深刻な低下をもたらす可能性がある。
【0016】
非特許文献1で、Xianqing Piaoらは、ストロンチウムアセテートをアルカリ土類金属化合物及び還元剤として使用し、Eu2+を含む蛍光体を製造する方法について開示している。
【0017】
SrCOとSr(CHCOの化学量は1:1の割合で使用され、SiとEuを混合してこれをZrBヒータに投入し、窒素雰囲気下で高周波領域(8.0−9.5kHz)のファーネスで加熱することにより前記蛍光体を製造することができる。
【0018】
反応温度条件として、300℃/minの速度で急激に加熱し、1500〜1600℃の温度で6時間加熱して前記蛍光体を製造することができる。しかし、前記方法によると、酸素を含有しない窒化物蛍光体の製造が不可能であり、発光強度の深刻な低下をもたらすため、効率が低く商業的な適用が難しい。
【0019】
非特許文献2には、Rong−Jun Xieらが、SrCO、Si及びEuを含む混合物からSrSi:Eu2+ベースの赤色蛍光体を合成したことについて開示されている。
【0020】
前記原料の混合物は0.5MPaの窒素雰囲気下で1600℃にて2時間反応して製造され、最終生成物はSrSi、a−SrSiO、及びb−SrSiOの主成分を有する物質からなると公知された。しかし、前記文献では純粋なストロンチウム−シリコン窒化物系蛍光体については開示されていない。
【0021】
最近、Xianqing Piaoは熱炭素還元(carbothermal reduction)及び窒化方法(CRN)により、SrO+Si+Eu+C混合物を窒素雰囲気下で高温焼成し、SrSi:Eu+2系の蛍光体を製造する方法について開示した。
【0022】
前記方法は、蛍光体内の残留炭素を除去することができないため吸収及び放出特性を減少させ、また炭素によって熱力学的に非常に安定したSrOの完全な還元は高温でも容易でないと推定されている。
【0023】
前記のような理由により、新規で進歩したシリコン窒化物系蛍光体の製造方法が要求されている。
【0024】
特許文献4には、四塩化ジルコニウム(ZrCl)のようなTX型の第一塩と、LiNのようなAB型の第二塩とを混合して着火することにより、窒化ジルコニウム(ZrN)のようなTB型の物質を燃焼反応によって製造する方法について開示されている。
【0025】
前記反応は、前記第一塩であるZrClと第二塩であるLiNとの混合物を着火することにより窒化ジルコニウム(ZrN)が製造されることができ、不純物としてnAX(LiCl)及びB(N)型の物質がそれぞれさらに形成されることができることを開示している。
【0026】
前記文献において、Tはジルコニウムなどの遷移金属、炭素、シリコン、スズ、鉛などの4価元素などが可能であり、Xはハライド群が可能であり、Aはリチウム、ナトリウム、ポタシウムなどのアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属が可能であり、Bは窒素、リン、ヒ素、アンチモン等の5価元素と炭素、シリコン、ゲルマニウム、スズなどの4価元素が可能であり、前記mとnは適した整数で構成されることができると開示されている。しかし、前記文献には、シリコン窒化物、アルカリ土類金属窒化物については開示されておらず、アルカリ土類金属を含む窒化物蛍光体についても開示されていない。
【0027】
特許文献5には、アルファシリコン窒化物を燃焼合成法を用いて製造することについて開示している。前記アルファシリコン窒化物の製造方法は、シリコン粉末をアジ化ナトリウム(NaN)のようなアルカリ金属アジ化物と混合し、これを所望の形状に形成した後、燃焼室に投入して燃焼室内で窒素状態で着火ペレットを使用して着火することにより燃焼反応を行う。
【0028】
前記方法について具体的に説明すると、シリコン粉末(Si)または二酸化シリコン(SiO)を金属または金属酸化物と混合し、アジ化ナトリウム(NaN)のようなアルカリ金属アジ化物をさらに少量投入した後、前記反応混合物を燃焼室に移送する。前記燃焼室を窒素で加圧した後、反応混合物を着火して燃焼反応を行い、反応生成物として得られたアルファシリコン窒化物を分離する。しかし、前記文献ではシリコンを含む窒化物蛍光体またはアルカリ土類金属を含む窒化物蛍光体については開示されていない。
【0029】
前記文献の発明者は、アルカリ土類金属及び/または窒化アルミニウムとシリコン窒化物を含む蛍光体の燃焼合成法については研究しておらず、但し、一部の発明者のみが自己燃焼合成法(self−propagation high−temperature synthesis;SHS)について研究しただけである。
【0030】
この工程においてアルゴン雰囲気下でアーク溶融技術によってBa2−xEuSi及びCa1−xEuAlSiアロイ粉末がそれらの前駆体から製造されることができる。その後、前記アロイ粉末は窒素雰囲気下で1450〜1550℃の温度で熱処理されて窒化物蛍光体粉末として得られる。しかし、前記工程は固相反応であって燃焼工程による蛍光体の合成ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】欧州特許第1104 799(A1)号明細書
【特許文献2】特開2003−515665号公報
【特許文献3】米国特許公開公報第2007/0040152号号明細書
【特許文献4】米国特許第5110768号明細書
【特許文献5】米国特許第4944930号明細書
【非特許文献】
【0032】
【非特許文献1】Xianqing Piaoら、Journal of Luminescence、2010年、130巻、812頁
【非特許文献2】Rong−Jun Xieら、Chem.Mater.、2006年、第18巻、5578−5583頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
従って、本発明の第一の目的は、前記問題を解決できるフッ素を導入することにより高結晶性の新しい蛍光体を提供することにある。
【0034】
また、本発明の第二の目的は、コスト効率性が高く、取り扱いやすい反応混合物を使用して外部の熱源なしに蛍光体を安定して製造できる方法を提供することにある。
【0035】
また、本発明の第三の目的は、小さい粒径と高結晶性のアルカリ土類金属を含む窒化シリコン蛍光体粉末を迅速に製造するための方法を提供することにある。
【0036】
また、本発明の第四の目的は、前記蛍光体を含む発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は、希土類金属がドープされたアルカリ土類金属シリコン窒化物蛍光体粉末を常温で数秒以内に製造する方法及び前記方法によって製造される蛍光体粉末、前記蛍光体を含む発光素子に関する。
【0038】
具体的に、本発明は、下記構造を有する窒化物蛍光体に関する。
Me2−xSi8−y3y
(前記Meはアルカリ土類金属であり、Rは希土類金属であり、Siはシリコン元素であり、Nは窒素元素であり、0<x<1、0≦y<0.5を満足する。)
【0039】
前記構造において、0<x<1、0<y<0.5を満足することが好ましい。
【0040】
前記構造において、0<x<0.5、0<y<0.3を満足することがより好ましい。
【0041】
前記窒化物蛍光体粉末の粒径は3μm以下であり、好ましくは2.5μm以下であることを特徴とする。
【0042】
本発明による窒化物蛍光体の製造方法は下記のような段階を経て行われることができる。
a)希土類金属化合物(RC)、アルカリ土類金属塩(MX)、アルカリ金属アジ化物(AN)、シリコン源(Si)及び窒素(N)の反応混合物を提供する段階と、
b)前記反応混合物を用いて高圧反応器内の窒素雰囲気下で燃焼反応を行う反応段階と、
c)燃焼反応によって生成された窒化物蛍光体を分離し、洗浄する洗浄段階と、を含む。
【0043】
前記洗浄の際、HCl、HNO、HSO、HFなどの酸を用いることができる。
【0044】
前記反応混合物の提供段階は反応物原料を選択する段階であって、第一の反応原料はアルカリ土類金属塩(MX)である。これはアルカリ土類金属とハロゲン化イオンで構成され、ハロゲン化イオンとしては塩素イオンが好ましい。アルカリ土類金属塩(MX)としては、MgF、CaF、BaF、SrF、MgCl、CaCl、BaCl、SrCl、MgBr、CaBr、BaBr、SrBr、MgI、CaI、BaI、SrIから選択される何れか一つが好ましく、アルカリ土類金属塩(MX)の含量はシリコン源(Si)に対して2〜3.5のモル比を有することができる。前記塩化アルカリ土類金属塩は、市販されているものであり、アルカリ土類金属窒化物より取り扱いやすく、価格が低いという長所がある。
【0045】
一般的に使用されるストロンチウムは、例えば、塩化ストロンチウムの場合結晶水(SrCl*6HO)を含んでおり、脱水工程が必要になり得る。前記脱水工程は結晶水を含む塩化ストロンチウム(SrCl*6HO)を400〜500℃にて数時間加熱することにより行われることができる。
【0046】
反応混合物の選択において、第二の反応原料はアルカリ金属アジ化物(AN)である。前記アルカリ金属アジ化物(AN)は二つの機能を行うが、第一に、前記アルカリ土類金属塩の還元剤として使用され、第二に、前記燃焼合成反応において窒素原子のドナー(donor)として作用することができる。
【0047】
アルカリ金属アジ化物(AN)としては、NaN、KN、LiNから選択される何れか一つが好ましく、前記アルカリ土類金属塩(MX)とアルカリ金属アジ化物(AN)のモル比が2:4〜3.5:7であることができる。
【0048】
反応混合物の選択において、第三の反応原料はシリコン源(Si)である。前記シリコン源としてシリコン粉末が使用され、シリコン粉末の粒径は0.5〜100μm、好ましくは5〜20μmの大きさを有することができる。
【0049】
シリコン粉末を使用する場合、上述の発明を含む従来技術で使用されたシリコン窒化物より価格の面において非常に有効であり、本発明の経済的な面において有効性を高めることができる。
【0050】
シリコンの窒化反応(nitridation)は激しい発熱反応であり、前記工程によって生成される反応熱は、本発明の常温における自己燃焼モード(self−sustaining combustion mode)による窒化物蛍光体の製造工程において必須の要素に該当する。
【0051】
反応混合物の選択において、第四の反応原料は、希土類金属化合物(RC;Rear−earth compound)であり、希土類金属塩が使用されることができる。希土類金属塩としてはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luから選択される何れか一つの金属を含む金属塩を使用することが好ましく、より好ましくはユーロピウムが使用されることができ、前記ユーロピウムを含む希土類金属塩としてはEuCl、EuFまたはEuなどが好ましい。使用される希土類化合物(RC)の量はアルカリ土類金属に対して0.02〜1モルが使用されることができる。
【0052】
本発明でさらに使用されることができる第五の反応原料はフッ素源(FS)である。
【0053】
前記反応混合物の提供段階において、無機フッ化塩を含むフッ素源(FS)がさらに含まれ、Me2−xSi8−y3y(0<x<1、0<y<0.5)の組成を有するフッ素が含有された窒化物蛍光体を提供することができ、前記フッ素が含有された窒化物蛍光体はより向上した光学的特性を有する。
【0054】
前記フッ素が含有された窒化物蛍光体は、Me2−xSi8−y3y(0<x<1、0<y<0.3)の組成を有することが好ましい。
【0055】
前記無機フッ化塩を含むフッ素源(FS)は、1族、2族、3族のうち一つの元素またはそれ以上の元素を組み合わせたフッ化物であり、例えば、NaF、NaSiF、CaF、NHF、AlFから選択される一つまたはそれ以上であることができ、無機フッ化塩を含むフッ素源(FS)の量は5モルのシリコン(Si)に対して0.01〜0.3モルを使用する。
【0056】
本発明で使用される全ての原料は市販されているものであり、取り扱いやすく価格の面において経済性があるため製造方法において競争力があり、本発明の製造工程は、燃焼合成反応時に反応熱を放出することにより前記窒化物蛍光体を合成する際外部の熱源を必要としない長所を含む。
【0057】
本発明で提供する窒化物蛍光体の製造方法の第二の段階である反応段階は、反応混合物を反応器カップに充填し、これを高圧反応器内に投入した後、窒素雰囲気下で燃焼反応を行う段階であり、燃焼合成法による窒化物蛍光体を製造するために円筒形または長方形などの所望の形のペレットを製造し、前記反応混合物を窒素雰囲気下で高温高圧による燃焼合成法を用いる窒化物蛍光体を製造する工程を含む。前記反応段階における窒素圧力の条件は0.5〜10MPaであり、好ましくは2〜5MPaである。
【0058】
本発明の反応混合物は前記前駆体粉末を単純に混合することにより製造されることができる。混合は既存の工程で使用されるどのような混合も可能であるが、高い均一度の混合と迅速な工程のためには、ボールミルによる混合が好ましい。前記ボールミルは高分子容器とセラミックボールを使用することで原料を迅速で均一に混合することができる。混合した反応原料は200〜500μmの大きさを有する金属製網ふるいによってセラミックボールから容易に分離できる。
【0059】
前記ボールミルなどの混合によって得られる反応混合物は、円筒形または長方形カップに満たされ、ペレット形態に製造されることができる。前記カップは紙、金属または石英等、各種成分から製造されることができ、得られたペレットの密度は0.7〜2.0g/cm、好ましくは0.9〜1.2g/cmを有することができる。
【0060】
ペレット化された反応混合物は金属線の抵抗による熱源から前記ペレットが着火することにより開始されることができる。製造されるペレットの密度は0.7〜2.0g/cmになることができ、好ましくは0.9〜1.1g/cmになることができる。
【0061】
第二の段階における燃焼反応は1〜30秒以内に1000〜2000℃にて行われ、好ましい反応温度は1100〜1400℃である。
【0062】
本発明で使用される燃焼工程は高圧条件下で行われるため、高圧反応器が必要であり、窒素雰囲気下で反応しなければならない。本発明で使用される窒素の反応圧力は0.5〜10MPa、好ましくは2.0〜4.0MPa程度である。
【0063】
典型的な燃焼反応は前記製造されたペレットが高圧反応器内に移送されてニッケルクロム線などの熱源によって着火されることで進行されることができる。
【0064】
前記燃焼反応は自己維持(self−sustaining)反応であり、着火反応によって反応が開始された後には外部の熱源を必要とせず、0.1〜0.5cm/secの速度で反応原料に沿って迅速に反応する。
【0065】
図2に記載したように、反応温度−時間のプロファイルを見ると、燃焼反応温度の最高値は1100〜1400℃程度になる。
【0066】
本発明における燃焼反応工程時の反応熱を見ると、原料として使用される反応混合物であるSrCl−NaN−Si−EuCl−NaSiF−Nの場合、以下の反応式によって反応熱を類推することができる。
【0067】
【化1】

【0068】
前記反応を参照すると、燃焼工程は反応熱を含み、原料を窒化物蛍光体に急速に変換できることが分かる。また燃焼工程中に十分な量の溶融状の塩化ナトリウム(NaCl、約4mole)が形成(Tmelt.NaCl=810℃)されることが分かる。
【0069】
本発明で提供する窒化物蛍光体の製造方法の第三の段階である燃焼反応によって生成された窒化物蛍光体を洗浄する洗浄段階は、燃焼反応後に得られる生成物を含むペレットの表面部位を除去した後、残りの部位をグラインディングして精製することから始まる。前記洗浄段階は、酸処理が施された蒸留水によって洗浄されることができ、前記酸処理はHCl、HNO、HSO、HFのうち何れか一つによって処理されることができる。
【0070】
燃焼反応工程の後、前記ペレットは常温に冷却して反応器から除去する。反応後のペレットの表面層の部分(厚さ1−2mm)は充分に反応されていなかったり不純物の汚染問題によって除去されることができる。その後、表面を除いた残りの部分のペレットをグラインディングし、洗浄するために、1ビーカーに投入して副反応物及び不純物を分離する。
【0071】
燃焼反応の生成物は、先ず、熱い蒸留水を使用して副反応物である塩化ナトリウムを除去することができる。その後、追加の洗浄工程のために、希釈したHCl:HO(1:5)溶液で1時間程度洗浄し、アルカリ土類金属などの残りの不純物をさらに除去することができる。その後、溶液を中和するために、少量のNaOH、KOH、NHOHなどの塩基性溶液を使用することができる。
【0072】
その後、乾燥されていない窒化物蛍光体粉末は高分子容器内に投入され、蒸留水と共に30〜60分程度ジルコニアボールによってグラインディングすることができる。
【0073】
窒化物粉末とボールの割合は、1:(2〜5)の重量比が好適であり、1:3程度が好ましい。グラインディングした後には前記蛍光体粉末は20〜200μmの金属製網ふるいを用いて分離することができる。
【0074】
最終的に前記分離した蛍光体粉末はフィルターされ、蒸留水によって数回洗浄され、70〜90℃にて数時間程度乾燥される。
【0075】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されるMe2−xSi(0<x<1)の組成を有し、粉末の粒径が2.5μm以下である窒化物蛍光体、またはMe2−xSi8−y3y(0<x<1、0<y<0.5)の組成を有し、粉末の粒径が2.5μm以下である窒化物蛍光体を提供することができる。
【0076】
本発明によって製造された窒化物蛍光体は2.5μmより小さい粉末の粒径を有し、0.5〜2μmの粒径が好ましい。また、前記蛍光体は高結晶性粒子として非常に優れており、安定した光学的特性を有する。
【0077】
また、前記方法によって得られた窒化物蛍光体粉末は、LED素子の特性を確認するために高分子樹脂と適量を混合して青色光に使用されるInGaN系物質とともに使用され、発光素子に製造されることができる。この場合、UV−青色光源を含む発光素子の表面に本発明の蛍光体がパッケージングされることができる。
【0078】
前記発光素子はセリウム活性化されたイットリウム−アルミニウム酸化物またはセリウム活性化されたイットリウム−ガドリニウム−アルミニウム酸化物を含む群から選択される蛍光体を含むことができ、LED素子、ディスプレイ素子などに適用することができ、特にInGaN系物質によって放電された青色光と、本発明によって製造された赤色光蛍光体とを含む発光素子を使用することができる。
【0079】
前記優れた特性は燃焼反応によるものであると共に、生成された蛍光体がフッ素イオンを含むことによるものとして認識され、具体的に、フッ素イオンは燃焼工程時に以下のような多重の機能を行うと推定される。
【0080】
(1)フッ素イオンはガス輸送反応(gas−transport reactions)を誘発し、容易に蒸発できるフッ化ケイ素類(SiF、SiF、など)から高結晶性の蛍光体粒子を提供する。
(2)フッ素イオンは熱力学的に安定したフッ化ストロンチウム(SrF、Tmelt=1470℃)などのフッ化アルカリ土類金属を形成し、前記フッ化物は蛍光体粒子の表面に薄膜を形成することができ、光学的特性を改善することができる。
(3)本発明によって製造されることができるフッ化物(NaF、SrF)の溶融塩はフラックスとして作用し、燃焼反応の転換率を増加させることができる。
(4)フッ素イオンは蛍光体の結晶格子内に拡散し、部分的にN−3イオンで置換されることができ、本発明の蛍光体の光学特性に寄与することができる。
【0081】
一方、粒子が微細化(2.5μm以下)する場合(既存方法により製造される粉末の粒径は7〜8μm以上)光特性が著しく向上する理由は、
(1)非表面積の増大によって大きい粒子に比べて粒子表面のEu(活性剤)の濃度が増加することにより光度が増加する。
(2)大きい粒子に比べて相対的に見かけ比重が減少するため、LED適用時に沈降されず光効率が増加し、少量を使用しても効果が現れる。
【発明の効果】
【0082】
本発明の製造方法によって製造される窒化物蛍光体は、赤色光源の性質を有しており、また青色光源の蛍光体と組み合わせて使用することができる。また、高効率を有した発光素子に適用することができる。さらに、市販されている原料を使用し、原料のコストが経済的であるため、既存の製造方法に比べて有利である。特に、微細粒子をLEDパッケージに適用する際、重量比によりコストを下げることができる。
【0083】
なお、赤色光源の蛍光体のための電子産業の要求に合わせて本発明で提供するフッ素を含む窒化物蛍光体は、今後有効な代案として適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】実施例1によって製造されたSr1.95Eu0.05Si蛍光体のXRDパターンである。
【図2】実施例1によって製造されたSr1.95Eu0.05Si蛍光体のSEM写真である。
【図3】実施例2によって製造されたSr1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体XRDパターンである。
【図4】実施例2によって製造されたSr1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体のSEM写真である。
【図5】実施例3によって製造されたSr1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体XRDパターンである。
【図6】実施例3によって製造されたSr1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体のSEM写真である。
【図7】実施例4によって製造されたSr1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体XRDパターンである。
【図8】実施例4によって製造されたSr1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体のSEM写真である。
【図9】実施例1によって製造されたCa1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体XRDパターンである。
【図10】実施例1によって製造されたCa1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体のSEM写真である。
【図11】実施例1によって製造されたBa1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体XRDパターンである。
【図12】実施例1によって製造されたBa1.95Eu0.05Si7.950.15蛍光体のSEM写真である。
【図13】実施例1〜実施例4によって製造された赤色蛍光体のLED PKGスペクトルである。
【図14】実施例1〜実施例4によって製造された赤色蛍光体の励起スペクトルである。
【図15】正規化した発光強度に対する波長(Normalized radian Flux vs Wavelength)(Chip:452.5−455.0nm):5%phosphor(Sr1.95Eu0.05Si7.950.15YFは改質された蛍光体−樹脂複合体、BR101A−YFとBR102C−YFは基準蛍光体−樹脂複合体)を示す図面である。
【図16】正規化した発光強度に対する波長(Normalized radian Flux vs Wavelength)(Chip:452.5〜455.0nm):10%phosphor(Sr1.95Eu0.05Si7.950.15YFは改質された蛍光体−樹脂複合体、BR101A−YFとBR102C−YFは基準蛍光体−樹脂複合体)を示す図面である。
【図17】450〜452.5nmブルーチップ上に黄色YAG及び赤色蛍光体Sr1.95Eu0.05Si7.950.15のLED PKGを適用した時の比較サンプルとの光特性比較(比較サンプル(BR102C)、SY−LESI3:00902:BR−101;10:10:2.8:0.125、Sr1.95Eu0.05Si7.950.15、SY−LESI3:00902:SSN−47;10:10:2.8:0.06)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下、実施例により本発明の窒化物蛍光体の製造方法及び発光素子への応用について詳細に説明する。しかし、これら実施例は例示に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0086】
蛍光体の結晶構造と表面形状は、Cu Ka radiation X線回折器(Siemens D5000、Germany)とSEM(JSM5410、JEOL、Japan)によって測定され、蛍光体粉末の粒径はレーザ粒度分析方法(LPSA)によってMalvern M 7 UK particle size analyzerによって測定した。
【0087】
蛍光体粉末のphotoluminescence analysis(PL)は、InGaN層上に5〜10%の蛍光体粉末を樹脂と混合して蒸着し、LED素子特性を評価した。
【0088】
蛍光スペクトルは、450nmの励起波長のXeランプを使用するFluorescence spectrophotometer(F−7000、Hitachi、Japan)を使用して測定した。
【0089】
蛍光体粉末のphotoluminescence analysis(PL)は、450nmの励起波長のXeランプを使用するFluorescence spectrophotometer(F−7000、Hitachi、Japan)を使用して測定した。
【0090】
蛍光体粉末内のフッ素濃度(wt%)は、SEA 5120 Fluorescence X−ray Element Monitor(Seiko Instruments Inc.)によって測定され、蛍光体の特性は表1に詳細に図示した。
【実施例】
【0091】
[実施例1]
52.8gの塩化ストロンチウム(SrCl)、47.6gのアジ化ナトリウム(NaN)、18.6gのシリコン粉末(Si)及び1.2gの酸化ユーロピウム(Eu)を高分子材質の容器に入れてジルコニアボールを使用して回転スピードω=150rotation/minuteで2時間ボールミルして反応混合物を製造した。
【0092】
前記製造した反応混合物を紙カップを使用して直径4cmの紙カップに充填し、ペレット化した。前記ペレットの密度を測定すると1.0g/cmであった。
【0093】
燃焼反応の着火は、ニッケルクロム線の加熱下で高純度の窒素において2.0MPaの圧力下で行われ、燃焼工程が完了した後、反応混合物を常温に冷却した。
【0094】
反応生成物の表面層を2mmの厚さで除去した。その後、反応後のペレットの残りの部分をグラインディングし、副反応物(reaction by−product)を除去して生成物を精製するために、グラインディングした粉末を500mlビーカーに注入した。
【0095】
得られた蛍光体を精製するために、熱い蒸留水で副反応物であるNaClを洗浄した。その後、HCl:HO(1:5の重量比)に希釈し、酸処里が施された蒸留水を使用して2回洗浄した後、酸成分を除去するために少量の水酸化ナトリウム溶液を添加してビーカー内の酸成分を中和する。
【0096】
その後、純粋な蒸留水で数回洗浄した後、70〜90℃にて10時間以上乾燥する。
【0097】
生成されたSr1.95Eu0.05Si蛍光体の結晶構造と表面形状はCu Ka radiation X線回折器(Siemens D5000、Germany)とSEM(JSM5410、JEOL、Japan)によって測定され、蛍光体粉末のphotoluminescence analysis(PL)は355nmの励起波長のXeランプを使用するFluorescence spectrophotometer(F−7000、Hitachi、Japan)を使用して測定された。
【0098】
蛍光体の組成は純粋なSr1.95Eu0.05Siと確認(図1)され、蛍光体粉末の粒径は10.0μm以下(図2)に示された。この際、LED PKG発光強度は102%であり、表1のように比較サンプル(BR102C)より若干高い値を示す。
【0099】
[実施例2]
52.8gの塩化ストロンチウム(SrCl)、47.6gのアジ化ナトリウム(NaN)、18.6gのシリコン粉末(Si)、1.2gの酸化ユーロピウム(Eu)、及び2.25gのNaSiFを使用して反応混合物を製造したこと以外は実施例1と同一の工程であった。
【0100】
得られたフッ素が含有された蛍光体の組成はSr1.95Eu0.05Si7.950.15と確認(図3)され、蛍光体粉末の粒径は1.0μm以下(図4)に示された。このように反応時にFイオンを添加すると最終の蛍光体の大きさが低下することが分かった。この際、LED PKG発光強度は117%であり、表1のように比較サンプル(BR102C)より高い値を示す。
【0101】
[実施例3]
52.8gの塩化ストロンチウム(SrCl)、47.6gのアジ化ナトリウム(NaN)、18.6gのシリコン粉末(Si)、2.0gの酸化ユーロピウム(Eu)、及び2.2gのAlFを使用して反応混合物を製造したこと以外は実施例1と同一の工程であった。
【0102】
得られたフッ素が含有された蛍光体の組成はSr1.92Eu0.08Si7.950.15と確認(図5)され、蛍光体粉末の粒径は1.0μm以下(図6)に示された。また、反応時にFイオンを添加すると最終の蛍光体の大きさが低下することが分かった。この際、LED PKG発光強度は115%であり、表1のように比較サンプル(BR102C)より高い値を示す。
【0103】
[実施例4]
52.8gの塩化ストロンチウム(SrCl)、47.6gのアジ化ナトリウム(NaN)、18.6gのシリコン粉末(Si)、4.8gの酸化ユーロピウム(Eu)、及び2.25gのNaSiFを使用して反応混合物を製造したこと以外は実施例1と同一の工程であった。
【0104】
得られたフッ素が含有された蛍光体の組成はSr1.8Eu0.2Si7.950.15と確認(図7)され、蛍光体粉末の粒径は1.0μm以下(図8)に示された。また、反応時にFイオンを添加すると最終の蛍光体の大きさが低下することが分かる。この際、LED PKG発光強度は105%であり、表1のように比較サンプル(BR102C)より若干高い値を有した。
【0105】
[実施例5]
44.5gの塩化カルシウム(CaCl)、52gのアジ化ナトリウム(NaN)、27.5gのシリコン粉末(Si)、1.35gの酸化ユーロピウム(Eu)、及び1.9gのNaSiFを使用して反応混合物を製造したこと以外は実施例1と同一の工程であった。
【0106】
得られたフッ素が含有された蛍光体の組成はCa1.95Eu0.05Si7.950.15であり単一相のカルシウムシリコン−窒化物パターンを示し(図9)、蛍光体粉末の粒径は1.0μm以下(図10)に示された。また、反応時にFイオンを添加すると最終の蛍光体の大きさが減少することが分かる。しかし、この際、LED PKG発光強度は93%であり、比較サンプル(BR102C)よりむしろ減少した。
【0107】
[実施例6]
52.05gの塩化バリウム(BaCl)、35.7gのアジ化ナトリウム(NaN)、14.0gのシリコン粉末(Si)、0.9gの酸化ユーロピウム(Eu)、及び1.9gのAlFを使用して反応混合物を製造したこと以外は実施例1と同一の工程であった。
【0108】
得られたフッ素が含有された蛍光体の組成はBa1.95Eu0.05Si7.950.15と確認(図11)され、蛍光体粉末の粒径は1.0μm以下(図12)であり、また、反応時にFイオンを添加すると最終の蛍光体の大きさが低下することが分かる。この際、LED PKG発光強度は80%であり、比較サンプル(BR102C)よりむしろ減少した。
【0109】
[実施例7]
実施例2と同一の工程で製造された赤色蛍光体を添加量によってブルーチップ(波長:452.5〜455.0nm)にパッケージ化した時、正規化した発光強度に対する波長(Normalized radian Flux vs Wavelength)を標準サンプル(BR101A−YFとBR102C−YF)と比較して図15(赤色蛍光体添加量5%)と図16(赤色蛍光体添加量10%)に図示した。図によると、本製品は標準サンプルに比べて発光強度が最小10倍〜最大数十倍に達することを示し、LED適用効果が非常に優れていることを示す。
【0110】
[実施例8]
LEDを適用(BLU;Back Light Unit)するために実施例2と同一の工程で製造された赤色蛍光体をブルーチップ(波長:450〜452.5nm)にパッケージ化した時、光特性を標準サンプル(BR102C)と比較して図17に図示した。この際、ブルーチップ上の主成分、硬化剤、黄色蛍光体YAG及び赤色蛍光体Sr1.95Eu0.05Si7.950.15の組成比は以下のとおりである。((比較サンプルBR102C)、SY−LESI3:00902:BR−101;10:10:2.8:0.125、(本製品Sr1.95Eu0.05Si7.950.15)、SY−LESI3:00902:SSN−47;10:10:2.8:0.06)。図面によると、主成分、硬化剤及び黄色蛍光体YAGの組成比(10:10:2.8)を前記と同様にし、本製品(赤色蛍光体)の量を比較サンプルに比べて48%の量(比較サンプル:本製品=0.125:0.06)のみ添加しても同一の色座標と勾配が具現され、LED製品の発光強度が約4%増加することが分かる。従って、本製品は、量産時に重量比によりコストを著しく下げることができることが分かる。
【0111】
【表1】

Int.%:Sr1.95Eu0.05Si蛍光体粉末の相対放出強度(基準サンプルはBR102C)
DWL:Dominant Wavelength
BAND−W:放出バンド幅
CIE−x、CIE−y:color coordinates;
D:particles diameter;
:フッ素質量濃度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造を有する窒化物蛍光体。
Me2−xSi8−y3y
(前記Meはアルカリ土類金属であり、Rは希土類金属であり、Siはシリコン元素であり、Nは窒素元素であり、Fはフッ素元素であり、0<x<1、0≦y<0.5を満足する。)
【請求項2】
0<x<1であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物蛍光体。
【請求項3】
0<y<0.5であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物蛍光体。
【請求項4】
0<x<0.5、0<y<0.3であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物蛍光体。
【請求項5】
粒径が2.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化物蛍光体。
【請求項6】
a)希土類金属化合物(RC)、アルカリ土類金属塩(MX)、アルカリ金属アジ化物(AN)、シリコン源(Si)及び窒素(N)の反応混合物の提供段階と、
b)前記反応混合物を高圧反応器内の窒素雰囲気下で自己燃焼反応させる反応段階と、
c)燃焼反応によって生成された窒化物蛍光体を分離し、洗浄する洗浄段階
と、を含み、
Me2−xSi(0<x<1)の組成を有する窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項7】
前記a)反応混合物の提供段階において、前記反応混合物は無機フッ化塩を含むフッ素源(FS)をさらに加えて、Me2−xSi8−y3y(0<x<1、0≦y<0.5)の組成を有することを特徴とする請求項6に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項8】
前記窒化物蛍光体の粒径が2.5μm以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項9】
アルカリ土類金属塩(MX)は、MgF、CaF、BaF、SrF、MgCl、CaCl、BaCl、SrCl、MgBr、CaBr、BaBr、SrBr、MgI、CaI、BaI、SrIから選択されることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項10】
アルカリ土類金属塩(MX)はシリコン源(Si)に対して2〜3.5のモル比であることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項11】
アルカリ金属アジ化物(AN)は、NaN、KN、LiNから選択されることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項12】
前記アルカリ土類金属塩(MX)とアルカリ金属アジ化物(AN)のモル比は2:4〜3.5:7であることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項13】
無機フッ化塩を含むフッ素源(FS)は、1族、2族、3族から選択される少なくとも一つの元素のフッ化物であるか、またはNaF、NaSiF、CaF、NHF、AlFから選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項14】
希土類金属化合物(RC)は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luから選択されることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項15】
希土類金属化合物(RC)はアルカリ土類金属塩(MX)に対して0.02〜1モル比であることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項16】
シリコン源(Si)は粉末状のシリコンであり、粉末の粒径は0.5〜100μmであることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項17】
反応段階の窒素圧力の条件は0.5〜10MPaであることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項18】
b)段階の燃焼反応は、反応混合物をペレット化し、金属線の抵抗による熱源から前記ペレットが着火することにより開始されることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項19】
b)段階の燃焼反応は1〜30秒以内に1000〜2000℃にて行われることを特徴とする請求項6または7に記載の窒化物蛍光体の製造方法。
【請求項20】
請求項1〜5の何れか一項に記載の窒化物蛍光体を含む発光素子。
【請求項21】
請求項1〜5の何れか一項に記載の窒化物蛍光体を含むLEDパッケージ。
【請求項22】
前記LEDパッケージはブルーチップ(450〜470nm)上に黄色蛍光体と、請求項1〜5の何れか一項に記載の赤色の窒化物蛍光体と、を含むことを特徴とする請求項21に記載のLEDパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−512302(P2013−512302A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541001(P2012−541001)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【国際出願番号】PCT/KR2010/007148
【国際公開番号】WO2011/149156
【国際公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(512137935)エリム アドバンスト マテリアルズ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】