説明

窒素を利用した蓄電デバイス

【課題】酸素や水素よりも安全性の高い気体を利用した蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】金属窒化物の生成又は分解を行う正極2と、金属イオンを吸蔵放出する負極3と、両者の間に介在させた電解質4と、これらを収容する密閉容器10と、正極2に連通すると共に予め窒素ガスを収容又は充電の実施により生成した窒素ガスを収容するためのガス溜め部15とを有し、正極2において窒素ガスと金属イオンとを反応させて金属窒化物を生成することにより放電し、正極2において金属窒化物を分解して窒素ガスと金属イオンとを生成することにより充電するよう構成した。正極2は、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化鉄のいずれかを、予め含有している又は放電の実施により含有するよう構成されていることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素を利用した蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1においては、空気中に存在する酸素を正極活物質として利用する空気電池として、負極にアルミニウム又はアルミニウム合金を用いるアルミニウム空気電池(一次電池)が提案されている。
また、特許文献2においては、空気極からなる正極と、水素吸蔵合金を備えた負極と、水素供給材料を含むアルカリ性溶液を電解液に用いた空気−水素電池(一次電池)が提案されている。
【0003】
また、特許文献3においては、リチウム過酸化物又はリチウム酸化物を含み、酸素を酸化還元する正極と、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物を含む負極を有する空気リチウム二次電池が提案されている。
また、非特許文献1においては、負極に金属リチウムを用い、電解マンガン、カーボンブラック、フッ素系高分子により構成される正極を用いた充放電可能なリチウム空気電池が報告されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−147442号公報
【特許文献2】特開2003ー234115号公報
【特許文献3】特開2005−166685号公報
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.,Vol.126,1390−1393(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したいずれの空気電池も、正極活物質として酸素又は水素という支燃性又は可燃性のガスを用いており、取り扱い上十分に注意をしなければならない。一方、例えば、自動車等に搭載される電池のように、比較的過酷な使用状況が予想されるものにおいては、少しでも取り扱い上の安全性を高めることが求められる。
【0006】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、酸素や水素よりも安全性の高い気体を利用した蓄電デバイスを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、金属窒化物の生成又は分解を行う正極と、金属イオンを吸蔵放出する負極と、両者の間に介在させた電解質と、これらを収容する密閉容器と、上記正極に連通すると共に予め窒素ガスを収容又は充電の実施により生成した窒素ガスを収容するためのガス溜め部とを有し、
上記正極において窒素ガスと金属イオンとを反応させて金属窒化物を生成することにより放電し、上記正極において金属窒化物を分解して窒素ガスと金属イオンとを生成することにより充電するよう構成したことを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイスにある(請求項1)。
【0008】
本発明の蓄電デバイスは、上記のごとく、窒素ガスを正極活物質として用いて充放電が可能に構成されている。また、上記正極、負極、電解質等は、密閉容器内に収容されており、外部から、酸素等が侵入することがない。そのため、気体を用いる場合であっても、酸素や水素を活物質として用いる場合に比べて、格段に安全性を高めることができる。それ故、本発明の窒素を利用した蓄電デバイスは、取り扱いが容易であり、非常に広い用途への適用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明においては、上記正極は、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化鉄のいずれかを、予め含有している又は放電の実施により含有するよう構成されていることが好ましい(請求項2)。すなわち、本発明の蓄電デバイスにおいて利用する金属としては、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛及び鉄のうちのいずれかを採用することが好ましい。これらの金属を利用するために、正極に予めその金属の窒化物を含有させてもよい。また、正極に予め含有させない場合には、放電により、上記負極及び電解質に含有される金属イオンと窒素ガスとを反応させて正極に生成させてもよい。
【0010】
また、上記正極は、導電助剤としての炭素材料と、バインダとしてのフッ素系高分子化合物とを含有しており、上記導電助剤の含有量(A)と上記バインダの含有量(B)の重量比(A:B)は、80:2〜80:20の範囲内であることが好ましい(請求項3)。
上記導電助剤としては、炭素材料以外の導電性材料を採用してもよいが、炭素材料が最も好ましい。炭素材料としては、例えばカーボンブラック、アセチレンブラック、孔径が2〜50nmのメソポーラスカーボン、天然又は人造の黒鉛等の炭素物質粉末状体の1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
また、上記バインダとしては、様々な材料を用いることができるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライト、ビニリデンフルオライド−フキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系高分子化合物が好ましい。
【0011】
上記導電助剤の含有量が上記特定の範囲を下回る場合、つまり上記バインダの含有量が上記特定の範囲を上回る場合には、正極における導電性が十分に得られないおそれがある。一方、上記導電助剤の含有量が上記特定の範囲を上回る場合、つまり上記バインダの含有量が上記特定の範囲を下回る場合には、正極の形状安定性が低下するおそれがある。
【0012】
また、上記正極は、金属窒化物の生成又は分解反応を促進するための触媒を含有しており、該触媒は、(a)遷移金属イオン交換を施したゼオライト、(b)パラジウムを担持した活性炭、(c)インジウム、ロジウム、又はガリウムを担持したアルミナ、(d)電解二酸化マンガン、(e)酸化ジルコニウムのうち、少なくとも1種以上よりなることが好ましい(請求項4)。これらの触媒を含有することにより、正極における金属窒化物の生成又は分解を容易化することができ、電池としての特性を向上させることができる。
【0013】
また、上記触媒の含有量は、上記導電助剤と上記バインダの合計含有量を100重量部とした場合に、2〜15重量部であることが好ましい(請求項5)。触媒の含有量が2重量部未満の場合には、上記触媒による反応促進効果が十分に得られないおそれがあり、一方、15重量部を超える場合には、反応促進効果が飽和してしまい、高価な触媒が無駄になってしまうという問題が生じるおそれがある。
【0014】
また、上記導電助剤、バインダ、触媒等を含有する正極は、これらを例えばN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤に溶解または懸濁させながら混合した後、その有機溶剤を除去することによって形成することが可能である。
【0015】
また、上記負極は、上記正極に含有されうる金属窒化物を構成する金属又は当該金属を含む合金よりなることが好ましい(請求項6)。この場合には、反応に用いる金属イオンその物を含む金属が負極であるので、その金属イオンの吸蔵放出を容易に実現することができる。例えば、金属のリチウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、あるいは、リチウム・アルミニウム合金、マグネシウム・銅合金、マグネシウム・ゲルマニウム合金、マグネシウム・ニッケル合金、マグネシウム・カルシウム合金、アルミニウム・銅合金、アルミニウム・シリコン合金、アルミニウム・チタニウム合金、アルミニウム・タンタル合金、フェロシリコンフェロバナジウム、フェロジルコニウム、鉄・マンガン合金等がある。
【0016】
また、上記負極は、上記正極に含有されうる金属窒化物を構成する金属イオンを吸蔵、放出可能な炭素材料又はシリコンより構成することもできる(請求項7)。
上記炭素材料としては、例えば天然或いは人造の黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素等が挙げられる。
この場合は、例えば上記炭素材料にバインダを混合し、適当な溶媒を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布、乾燥し、その後にプレスにて形成することができる。炭素材料を負極活物質とした場合には、正極同様、バインダとしてはフッ素系高分子化合物等を、溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いて負極を形成することができる。
【0017】
また、上記電解質は、上記正極に含有されうる金属窒化物を構成する金属イオンを含有していることが好ましい(請求項8)。
この場合、上記電解質は、上記正極に含有されうる金属窒化物を構成する金属イオンを、PF6、BF4、ClO4、(CF3SO22Nのいずれかを含む塩として含有されていることが好ましい(請求項9)。
【0018】
これらの塩は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートなど、リチウムイオン電池で広く使われている単一有機溶媒または混合有機溶媒に0.6M〜1.4Mの濃度となるように溶解させた非水系電解液を構成して用いることが好ましい。
またこれらの電解液を、ゲル化させたゲル電解質であってもよい。ゲル化剤としては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオライド、アミノ酸誘導体、ソルビトール誘導体、多糖類など、二次電池に広く適用されている公知のゲル化剤を用いることができる。
【0019】
また、上記電解質に含有させる金属イオンがリチウムイオンの場合には、より具体的には、Li3PO4−Li2S−SiS2、LiS−SiS2、Li2S−GeS2−P25、LiLiI−Li2S−P25などの無機電解質を用いることができる。
これらの電解液は、ポリエチレンポリプロピレン等の多孔質のセパレータに含浸して用いることができる。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
本発明の実施例に係る窒素を利用した蓄電デバイスにつき、図1、図2を用いて説明する。
本例の蓄電デバイス1は、図1に示すごとく、金属窒化物の生成又は分解を行う正極2と、金属イオンを吸蔵放出する負極3と、両者の間に介在させた電解質4と、これらを収容する密閉容器10と、正極2に連通すると共に予め窒素ガスを収容又は充電の実施により生成した窒素ガスを収容するためのガス溜め部12とを有している。そして、上記正極2において窒素ガスと金属イオンとを反応させて金属窒化物を生成することにより放電し、上記正極2において金属窒化物を分解して窒素ガスと金属イオンとを生成することにより充電するよう構成してある。
【0021】
以下、さらに詳説する。
上記正極2を形成するに当たっては、まず、窒化マグネシウム(アルドリッチ製)、カーボンブラック(デグサ製:プリンテックスXE2)、電解二酸化マンガン(三井金属製)、及びテフロン(登録商標)パウダー(ダイキン工業製)を、重量比において152:81:5:14の割合で乳鉢を用いて混合して正極部材を得た。その正極部材10mgを集電体25としてのニッケルメッシュに圧着して正極2とした。
【0022】
負極3としては、直径10mm、厚さ1mmの金属マグネシウム(田中貴金属製)を採用した。
電解質4としては、1Mの過塩素酸マグネシウムのプロピレンカーボネート溶液よりなる電解液を採用し、東燃化学製のポリエチレンの多孔質のセパレータ40に含浸させることととした。
また、上記密閉容器10としては、北斗電工製のガス溜め部15を備えたF型電気化学セルの容器を用いた。
【0023】
そして、この密閉容器10全体をアルゴン雰囲気のグローブボックス内に配置し、アルゴン雰囲気下において正極2、負極3、セパレータ40等を組み付けた。そして、セパレータ40には、上記電解液を注入した。得られた蓄電デバイス1は、初期状態として、上記ガス溜め部15及び集電体25にアルゴンガスが充填された状態のものである。
【0024】
次に、本例の蓄電デバイス1を用いて、充電試験を行った。具体的には、上記蓄電デバイス1を充放電装置にセットし、正極2と負極3との間に10μAの電流を流し、開放端電圧が2.4Vとなるまで充電した。
図2には、この充電時における電圧の変位(符号E1)を示す。同図は横軸に時間(h)、縦軸に電圧(V)をとったものである。同図から知られるごとく、本例の蓄電デバイス1は正常に充電可能であることがわかる。
【0025】
(実施例2)
本例の蓄電デバイスは、実施例1における正極2の構成を変更するとと共に、上記ガス溜め部15に窒素を充填した以外は、上記実施例1と同様の構成とした蓄電デバイスである。本例の正極は、上述した実施例1の正極の構成から、窒化マグネシウムだけを除いた構成としたものである。
【0026】
次に、本例の蓄電デバイスを用いて、充放電試験を行った。具体的には、上記蓄電デバイスを充放電装置にセットし、正極と負極との間に10μAの電流を流し、開放端電圧が0.3Vとなるまで放電し、続いて2.3Vとなるまで充電した。
図3には、この充放電における電圧の変位を示す。同図は横軸に時間(h)、縦軸に電圧(V)をとったものである。なお、充電(符号E22)のプロットは、放電(符号E21)が完了した時点から、時間軸を逆行するようにした。同図から知られるごとく、本例の蓄電デバイスは正常に充放電可能であることがわかる。
【0027】
(実施例3)
本例の蓄電デバイスも基本構成は図1に示すごとく実施例1と同様であるが、各部の構成を以下のように変更した。
正極2を形成するに当たっては、まず、窒化リチウム(アルドリッチ製)、カーボンブラック(デグサ製:プリンテックスXE2)、電解二酸化マンガン(三井金属製)、及びテフロン(登録商標)パウダー(ダイキン工業製)を、重量比において155:64:6:15の割合で乳鉢を用いて混合して正極部材を得た。その正極部材10mgを集電体25としてのニッケルメッシュに圧着して正極とした。
【0028】
負極3としては、直径10mm、厚さ1mmの金属リチウムを採用した。
電解質4としては、1Mのリチウムヘキサフルオロホスフェートを、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比3:7)に溶解してなる電解液を採用し、ポリエチレンの多孔質のセパレータ40に含浸させることととした。
また、上記密閉容器10としては、実施例1と同様に、北斗電工製のガス溜め部15を備えたF型電気化学セルの容器を用いた。
【0029】
そして、この密閉容器10全体をアルゴン雰囲気のグローブボックス内に配置し、アルゴン雰囲気下において正極2、負極3、セパレータ40等を組み付けた。そして、セパレータ40には、上記電解液を注入した。得られた蓄電デバイスは、初期状態として、上記ガス溜め部15及び集電体25にアルゴンガスが充填された状態のものである。
【0030】
次に、本例の蓄電デバイスを用いて、充電試験を行った。具体的には、上記蓄電デバイスを充放電装置にセットし、正極2と負極3との間に50μAの電流を流し、開放端電圧が4.2Vとなるまで充電した。
図4には、この充電時における電圧の変位(符号E3)を示す。同図は横軸に時間(h)、縦軸に電圧(V)をとったものである。同図から知られるごとく、本例の蓄電デバイスは正常に充電可能であることがわかる。
【0031】
(実施例4)
本例の蓄電デバイスは、実施例3における正極2の構成を変更するとと共に、上記ガス溜め部15に窒素を充填した以外は、上記実施例3と同様の構成とした蓄電デバイスである。本例の正極は、上述した実施例3の正極の構成から、窒化リチウムだけを除いた構成としたものである。
【0032】
次に、本例の蓄電デバイスを用いて、充放電試験を行った。具体的には、上記蓄電デバイスを充放電装置にセットし、正極と負極との間に50μAの電流を流し、開放端電圧が2.0Vとなるまで放電し、続いて4.2Vとなるまで充電した。
図5には、この充放電時における電圧の変位を示す。同図は横軸に時間(h)、縦軸に電圧(V)をとったものである。なお、充電(符号E42)のプロットは、放電(符号E41)が完了した時点から、時間軸を逆行するようにした。同図から知られるごとく、本例の蓄電デバイスは正常に充放電可能であることがわかる。
【0033】
(実施例5)
本例の蓄電デバイスも、実施例3における正極2の構成を変更するとと共に、上記ガス溜め部15に窒素を充填した以外は、上記実施例3と同様の構成とした蓄電デバイスである。本例の正極は、上述した実施例3の正極の構成から、窒化リチウムを除き、かつ、電解二酸化マンガンの代わりにロジウム担持アルミナを同量加え、その他は実施例3と同様の構成としたものである。
【0034】
次に、本例の蓄電デバイスを用いて、放電試験を行った。具体的には、上記蓄電デバイスを充放電装置にセットし、正極と負極との間に50μAの電流を流し、開放端電圧が2.0Vとなるまで放電した。
図6には、この放電時における電圧の変位(符号E5)を示す。同図は横軸に時間(h)、縦軸に電圧(V)をとったものである。同図から知られるごとく、本例の蓄電デバイスは正常に放電可能であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1における、蓄電デバイスの構成を示す説明図。
【図2】実施例1における、充電試験時における電圧の変位を示す説明図。
【図3】実施例2における、充放電試験時における電圧の変位を示す説明図。
【図4】実施例3における、充電試験時における電圧の変位を示す説明図。
【図5】実施例4における、充放電試験時における電圧の変位を示す説明図。
【図6】実施例5における、充放試験時における電圧の変位を示す説明図。
【符号の説明】
【0036】
1 蓄電デバイス、
10 密閉容器、
15 ガス溜め部、
2 正極、
25 集電体、
3 負極、
4 電解質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属窒化物の生成又は分解を行う正極と、金属イオンを吸蔵放出する負極と、両者の間に介在させた電解質と、これらを収容する密閉容器と、上記正極に連通すると共に予め窒素ガスを収容又は充電の実施により生成した窒素ガスを収容するためのガス溜め部とを有し、
上記正極において窒素ガスと金属イオンとを反応させて金属窒化物を生成することにより放電し、上記正極において金属窒化物を分解して窒素ガスと金属イオンとを生成することにより充電するよう構成したことを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。
【請求項2】
請求項1において、上記正極は、窒化リチウム、窒化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化亜鉛、窒化鉄のいずれかを、予め含有している又は放電の実施により含有するよう構成されていることを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記正極は、導電助剤としての炭素材料と、バインダとしてのフッ素系高分子化合物とを含有しており、上記導電助剤の含有量(A)と上記バインダの含有量(B)の重量比(A:B)は、80:2〜80:20の範囲内であることを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。
【請求項4】
請求項3において、上記正極は、金属窒化物の生成又は分解反応を促進するための触媒を含有しており、該触媒は、(a)遷移金属イオン交換を施したゼオライト、(b)パラジウムを担持した活性炭、(c)インジウム、ロジウム、又はガリウムを担持したアルミナ、(d)電解二酸化マンガン、(e)酸化ジルコニウムのうち、少なくとも1種以上よりなることを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。
【請求項5】
請求項4において、上記正極における上記触媒の含有量は、上記導電助剤と上記バインダの合計含有量を100重量部とした場合に、2〜15重量部であることを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記負極は、上記正極に含有されうる金属窒化物を構成する金属又は当該金属を含む合金よりなることを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記負極は、上記正極に含有されうる金属窒化物を構成する金属イオンを吸蔵放出可能な炭素材料又はシリコンよりなることを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、上記電解質は、上記正極に含有されうる金属窒化物を構成する金属イオンを含有していることを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。
【請求項9】
請求項8において、上記電解質は、上記正極に含有されうる金属窒化物を構成する金属イオンを、PF6、BF4、ClO4、(CF3SO22Nのいずれかを含む塩として含有していることを特徴とする窒素を利用した蓄電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−91200(P2008−91200A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270523(P2006−270523)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】