説明

窓付き紙容器

【課題】 紙容器の輪郭線に沿って切断して取り除いた輪郭線で囲まれた切除部分を有効利用できる窓付き紙容器を得る。
【解決手段】 板紙を基材とする包材2によって角筒状の胴部5とその上下を閉塞する底部6及び頂部7とを形成し、そのいずれかの部分の板紙基材に予定窓12の輪郭線13を切り込み14により形成し、包材2の裏面には予定窓12を塞ぐフィルム18を輪郭線13の外側に接着又は融着して設け、包材2を板紙基材に形成した輪郭線13に沿って切断して輪郭線13で囲まれた切除部分16を取り除くことにより、フィルム18により塞がれた窓21を形成する構造になっている窓付き紙容器であって、板紙基材に形成されている予定窓12の輪郭線13を所要の形状の輪郭に沿って形成し、輪郭線13内にはこの部分から切除した切除部分16を立体的に成形し得る折れ線17を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙を基材とする包材によって形成された紙容器において、フィルムで塞がれた窓を設けた窓付き紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムで塞がれた窓を設けた窓付き紙容器として、板紙を基材とする包材によって角筒状の胴部とその上下を閉塞する底部及び頂部とが形成され、胴部、頂部のいずれかの部分の板紙基材に予定窓の輪郭線がミシン目によって形成され、包材の裏面には予定窓を塞ぐ透明又は半透明のフィルムが輪郭線の外側に接着又は融着して設けられ、包材を板紙基材に形成された輪郭線に沿って切断して輪郭線で囲まれた切除部分を取り除くことにより、透明又は半透明のフィルムを通して内部を目視可能な窓が形成される構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−315367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の構造の窓付き紙容器では、輪郭線に沿って切断して取り除いた輪郭線で囲まれた切除部分は一般にはごみとして捨てられていた。
【0004】
本発明の目的は、紙容器の前記輪郭線に沿って切断して取り除いた輪郭線で囲まれた切除部分を有効利用できる窓付き紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、板紙を基材とする包材によって角筒状の胴部とその上下を閉塞する底部及び頂部とが形成され、そのいずれかの部分の前記板紙基材に予定窓の輪郭線が切り込みにより形成され、前記包材の裏面には前記予定窓を塞ぐフィルムが前記輪郭線の外側に接着又は融着して設けられ、前記包材を前記板紙基材に形成された前記輪郭線に沿って切断して前記輪郭線で囲まれた切除部分を取り除くことにより、前記フィルムにより塞がれた窓が形成される構造になっている窓付き紙容器であって、前記板紙基材に形成されている前記予定窓の前記輪郭線は所要の形状の輪郭に沿って形成され、前記輪郭線内にはこの部分から切除した前記切除部分を立体的に成形し得る折れ線が設けられていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記輪郭線で囲まれた切除部分を取り除く糸口となる前記輪郭線またはその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線、角筒状の前記胴部の胴部縦罫線、又は前記胴部と前記底部との境界の底部横罫線の少なくともいずれかに隣接して形成され、前記切断糸口端部が存在している前記胴部、前記頂部又は前記底部のいずれかの面には、前記切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している前記罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる2本の補助折線が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の、前記輪郭線で囲まれた切除部分を取り除く糸口となる前記輪郭線またはその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線、角筒状の前記胴部の胴部縦罫線、又は前記胴部と前記底部との境界の底部横罫線の少なくともいずれかに隣接して形成され、前記切断糸口端部が存在している前記胴部、前記頂部又は前記底部のいずれかの面には、前記切断糸口端部を横切り或いは前記切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接する前記頂部横罫線、前記胴部縦罫線、前記底部横罫線のいずれかの罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の窓付き紙容器によれば、板紙基材に形成されている予定窓の輪郭線が所定の目的を持った所要の形状の輪郭に沿って形成され、輪郭線内にはこの部分から切除した切除部分を立体的に成形し得る折れ線が設けられているので、この紙容器の輪郭線に沿って切断して取り除いた輪郭線で囲まれた切除部分をその折れ線に沿って折ると立体的に成形されて所要の立体形状になり、所定の目的に供するといった有効利用ができ、切除部分をごみとして廃棄しないので省資源化を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の窓付き紙容器によれば、請求項1に記載の、輪郭線で囲まれた切除部分を取り除く糸口となる輪郭線またはその延長部分によって形成される切断糸口端部は、胴部と頂部との境界の頂部横罫線、角筒状の胴部の胴部縦罫線、又は胴部と底部との境界の底部横罫線の少なくともいずれかに隣接して形成され、切断糸口端部が存在している胴部、頂部又は底部のいずれかの面には、切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる2本の補助折線が設けられているので、輪郭線で囲まれた切除部分の切除に際し、切断糸口端部に隣接し、その両端又は近傍に補助折線が繋がる罫線を押し込むことにより、山折り状態にあった罫線が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部が存在する胴部、頂部又は底部のいずれかの面が補助折線で山折り状態となって突出して切断糸口端部の先端が浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部を包材の表面から容易に立ち上げることができ、この立ち上げた切断糸口端部を摘み引っ張ることにより包材が板紙基材に形成された輪郭線に沿って切断され輪郭線で囲まれた切除部分を容易に切除することができる。
【0010】
また、切断糸口端部に隣接する罫線を押し込んで、罫線を凹ませることにより切断糸口端部の先端を浮き上がらせ、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部を包材の表面から容易に立ち上げることができるので、切断糸口端部を包材の表面から立ち上げ易くするために、たとえば、切断糸口端部を形成する輪郭線又はその延長部分の切り込みを、未切断部分の少ないミシン目によって形成する等して切断し易くする必要はない。しかも、切断糸口端部に隣接する罫線を押し込んで凹ませるまでは、切断糸口端部を形成する輪郭線又はその延長部分の切り込みが切断されて切断糸口端部の先端が包材の表面から浮き上がることがないので、輸送時に他の容器と衝突する等して衝撃を受けたとき、切断糸口端部等から輪郭線で囲まれた切除部分が捲れてしまうといったおそれを防ぐこともできる。
【0011】
請求項3に記載の窓付き紙容器によれば、請求項1に記載の、輪郭線で囲まれた切除部分を取り除く糸口となる前記輪郭線またはその延長部分によって形成される切断糸口端部は、胴部と頂部との境界の頂部横罫線、角筒状の胴部の胴部縦罫線、又は胴部と底部との境界の底部横罫線の少なくともいずれかに隣接して形成され、切断糸口端部が存在している胴部、頂部又は底部のいずれかの面には、切断糸口端部を横切り或いは切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接する頂部横罫線、胴部縦罫線、底部横罫線のいずれかの罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられているので、輪郭線で囲まれた切除部分の切除に際し、切断糸口端部に隣接し、その両端又は近傍に補助折線が繋がる罫線を押し込むことにより、山折り状態にあった罫線が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部が存在する胴部、頂部又は底部のいずれかの面が補助折線で山折り状態となって突出して切断糸口端部の先端が浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部を包材の表面から容易に立ち上げることができ、この立ち上げた切断糸口端部を摘み引っ張ることにより包材が板紙基材に形成された輪郭線に沿って切断され輪郭線で囲まれた切除部分を容易に切除することができる。
【0012】
また、切断糸口端部に隣接する罫線を押し込んで、罫線を凹ませることにより切断糸口端部の先端を浮き上がらせ、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部を包材の表面から容易に立ち上げることができるので、切断糸口端部を包材の表面から立ち上げ易くするために、たとえば、切断糸口端部を形成する輪郭線又はその延長部分の切り込みを、未切断部分の少ないミシン目によって形成する等して切断し易くする必要はない。しかも、切断糸口端部に隣接する罫線を押し込んで凹ませるまでは、切断糸口端部を形成する輪郭線又はその延長部分の切り込みが切断されて切断糸口端部の先端が包材の表面から浮き上がることもないので、輸送時に他の容器と衝突する等して衝撃を受けたとき、切断糸口端部等から輪郭線で囲まれた切除部分が捲れてしまうといったおそれを防ぐこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る窓付き紙容器を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例にて詳細に説明する。
【0014】
図1乃至図6は本発明に係る窓付き紙容器の第1実施例を示したもので、図1は本実施例の窓付き紙容器を示す斜視図、図2は図1に示す切断糸口端部の箇所の拡大図、図3は図1に示す予定窓を形成する切除部分の箇所の縦断拡大図、図4は本実施例の頂部横罫線を押し下げて凹ませた状態を示す縦断拡大図、図5は本実施例の窓付き紙容器から予定窓を形成する切除部分を切除する状態を示す斜視図、図6は本実施例の窓付き紙容器から切除した切除部分をその折れ線に沿って折り立体的に成形した状態を示す斜視図である。なお、図3及び図4においては、板紙基材の表裏面に積層された熱可塑性樹脂の層は省略して示した。
【0015】
図1乃至図3に示すように本例は、本発明をゲーブルトップ型の窓付き紙容器1Aに実施した実施例であり、本例では、板紙基材の表裏面に熱可塑性樹脂層を積層した包材2によって形成されたものであって、4つの平面部3がそれぞれ胴部縦罫線4で直角に繋がった構造の四角筒状の胴部5と、その上下を閉塞する底部6及び頂部7とで形成されている。底部6は平に形成され、頂部7は切妻屋根型に形成されている。切妻屋根型の頂部7は、切妻屋根面8とその両端の妻壁9とによって形成されている。胴部5と頂部7との境界には頂部横罫線10が設けられ、胴部5と底部6との境界には底部横罫線11が設けられている。
【0016】
本例では、図1乃至図3に示すように、胴部5を構成する1つの平面部3aには、包材2に、予定窓12の輪郭線13が所定の目的を持った所要の形状の輪郭に沿って切り込み14により形成されている。本例では、予定窓12の輪郭線13はミシン目15により形成されている。輪郭線13で囲まれた包材2aの部分、即ち予定窓12を開ける切除部分16には、切除した切除部分16を所定の形状に立体的に成形し得る折れ線17が設けられている
本例では、輪郭線13の輪郭形状はスプーンの形状となっており、輪郭線13で囲まれた包材2aの部分、即ち切除部分16に設けられている折れ線17は、切除した切除部分16をスプーンの形状に立体的に成形し得るように設けられている。
【0017】
輪郭線13の形状にあってはこれに限られるものではなく、例えば、この輪郭線13で囲まれた包材2aの部分、即ち切除部分16を切除して立体的に成形した場合に、さじ置き、お面、折り紙、その他所定の目的を持った形状となるように設けることができる。
【0018】
また、平面部3aの裏面には予定窓12を塞ぐ透明又は半透明のフィルム18が輪郭線13の外側で液密に接着又は融着して設けられている。本例では、フィルム18は透明ポリエチレンフィルムが用いられている。
【0019】
平面部3aには、輪郭線13で囲まれた部分の包材2a、即ち切除部分16を取り除く糸口となる切断糸口端部19が、輪郭線13によって形成されている。この切断糸口端部19は、胴部5を構成する1つの平面部3aと頂部7との境界の頂部横罫線10に隣接して形成されており、そして、切断糸口端部19が存在している平面部3aには、切断糸口端部19の左右又はその近傍からそれぞれ延びて頂部横罫線10のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線20a,20bが設けられている。切断糸口端部19の先端19aが補助折線20a,20bを繋ぐ仮想線を越える長さLは、20mm以下が好ましい(図2)。
【0020】
このような構造の窓付き紙容器1Aによれば、切断糸口端部19が存在している胴部5を構成する1つの平面部3aに、切断糸口端部19の左右又はその近傍からそれぞれ延びて頂部横罫線10のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線20a,20bが設けられているので、輪郭線13で囲まれた切除部分16の切除に際し、図4に示すように頂部横罫線10を押し込むことにより、山折り状態にあった頂部横罫線10が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部19が存在する胴部5を構成する1つの平面部3aが補助折線20a,20bで山折り状態となって突出して切断糸口端部19の先端19aが平面部3aから浮き上がることから、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部19を平面部3aから容易に立ち上げることができる。
【0021】
そして、図5に示すように、この立ち上げた切断糸口端部19を摘み引っ張ることにより包材2が輪郭線13に沿って切断され輪郭線13で囲まれた切除部分16を容易に切除することができ、これにより窓21が形成される。
【0022】
前記のようにして輪郭線13内から切除した切除部分16を、その折れ線17に沿って折ると立体的に成形されて図6に示すようにスプーンの立体形状になり、スプーンとして使用することができる。
【0023】
図7、図8は本発明に係る窓付き紙容器の第2実施例を示したもので、図7は本実施例の窓付き紙容器を示す斜視図、図8は図7に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0024】
本例のゲーブルトップ型の窓付き紙容器1Aでは、切断糸口端部19が存在している平面部3aに、切断糸口端部19を横切り或いは切断糸口端部19の先端19aと一致し且つ頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がる補助折線20が設けられている。切断糸口端部19の先端19aが補助折線20を越える長さLは、0mm〜20mmが好ましい(図8)。また、補助折線20にあっては、本例では円弧状となっている。
【0025】
その他の構成は第1実施例と同様であるので、第1実施例の説明を援用する。
【0026】
このように構成された第2実施例からも第1実施例と同様の効果を得ることができる。
【0027】
上記各実施例では、ゲーブルトップ型の窓付き紙容器1Aの胴部5に、所定の目的を持った所要の形状の輪郭線13を切り込み14により形成し、輪郭線13で囲まれた包材2aの部分、即ち予定窓12を開ける切除部分16を切除して、この切除部分16を利用する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図示しないが、たとえば、ゲーブルトップ型の窓付き紙容器1Aの切妻屋根面8にも所定の目的を持った所要の形状の輪郭線を切り込みにより形成し、輪郭線で囲まれた切除部分を切除して、この切除部分を利用することもできる。またこのとき、図1及び図2に示したと同様に、輪郭線13の切断糸口端部19が存在している切妻屋根面8に、切断糸口端部19の左右又はその近傍からそれぞれ延びて頂部横罫線10のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線20a,20bを設けることも、或いは図7及び図8に示したと同様に、切断糸口端部19を横切り或いは切断糸口端部19の先端19aと一致し且つ頂部横罫線10の両端又はその近傍に繋がる補助折線20を設けることもできる。
【0028】
図9乃至図12は本発明に係る窓付き紙容器の第3実施例を示したもので、図9は本実施例を示した斜視図、図10は図9に示す予定窓を形成する切除部分の箇所の縦断拡大図、図11は本実施例の頂部横罫線を押し下げて凹ませた状態を示す縦断拡大図、図12は本実施例の窓付き紙容器から予定窓を形成する切除部分を切除する状態を示す縦断拡大図である。なお、前述した第1実施例と対応する部分には、同一符号を付けて示している。
【0029】
本例は、本発明を平らな屋根をもつフラットトップ型の窓付き紙容器1Bに実施した実施例であり、図示のように、板紙基材の表裏面に熱可塑性樹脂層を積層した包材2によって形成されたものであって、4つの平面部3がそれぞれ胴部縦罫線4で直角に繋がった構造の四角筒状の胴部5と、その上下を閉塞する底部6及び頂部7とで形成されている。底部6は平に形成され、頂部7もまた平らに形成されている。胴部5と頂部7との境界には頂部横罫線10が設けられ、胴部5と底部6との境界には底部横罫線11が設けられている。
【0030】
本例のフラットトップ型の窓付き紙容器1Bでも第1実施例と同様に、胴部5を構成する1つの平面部3aには、包材2に、予定窓12の輪郭線13が所定の目的を持った所要の形状の輪郭に沿って切り込み14により形成されている。輪郭線13の輪郭形状はスプーンの形状となっており、輪郭線13で囲まれた包材2aの部分、即ち切除部分16に設けられている折れ線17は、切除した切除部分16をスプーンの形状に立体的に成形し得るように設けられている。
【0031】
次に、第1実施例と相違する点について説明する。本例では、輪郭線13を形成する切り込み14は、図9及び図10に示すように、胴部5を構成する一つの平面部3aの裏面から板紙基材に達し、且つ板紙基材を貫通しないように設けられた第1ハーフカット22と、第1ハーフカット22を囲んで、平面部3aの表面から板紙基材に達し、且つ板紙基材を貫通しないように設けられた第2ハーフカット23とで構成されている。また、平面部3aの裏面には予定窓12を塞ぐ透明又は半透明のフィルム18が輪郭線13の外側で液密に接着又は融着して設けられている。
【0032】
また、第1ハーフカット22と第2ハーフカット23とで形成される輪郭線13で囲まれた部分の包材2a、即ち切除部分16を取り除く糸口となる切断糸口端部19は、本例では第2ハーフカット23で形成されている。この切断糸口端部19は第1実施例と同様に、頂部横罫線10に隣接して形成されており、そして、切断糸口端部19が存在している平面部3aには、図9に示すように、切断糸口端部19の左右又はその近傍からそれぞれ延びて頂部横罫線10のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線20a,20bが設けられている。その他の構成は第1実施例と同様であるので、第1実施例の説明を援用する。
【0033】
このような構造の窓付き紙容器1Bによれば、切断糸口端部19が存在している胴部5を構成する1つの平面部3aに、切断糸口端部19の左右又はその近傍からそれぞれ延びて頂部横罫線10のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる補助折線20a,20bが設けられているので、輪郭線13で囲まれた切除部分16の切除に際し、図11に示すように頂部横罫線10を押し込むことにより、山折り状態にあった頂部横罫線10が谷折り状態となって凹み、切断糸口端部19が存在する胴部5を構成する1つの平面部3aが補助折線20a,20bで山折り状態となって突出して、第2ハーフカット23で形成されている切断糸口端部19の先端19aが板紙基材の層間で剥離し、次いでこの層間剥離が第1ハーフカット22に達して包材2が切断され、切断糸口端部19の先端19aが平面部3aから浮き上がる。そこで、この浮き上がったところを糸口として切断糸口端部19を平面部3aから容易に立ち上げることができる。
【0034】
そして、図12に示すように、この立ち上げた切断糸口端部19を摘み引っ張ることによりそのまま包材2の切断が進み、輪郭線13で囲まれた部分の包材2a、即ち切除部分16を容易に切除することができ、これにより窓21が形成される。
【0035】
また、本例の窓付き紙容器1Bによれば、輪郭線13は第1ハーフカット22と第2ハーフカット23とで形成され、切断糸口端部19は第2ハーフカット23で形成されているので、輪郭線13は板紙基材2をその厚み方向に貫通しておらず、輪郭線13を通して外部の光が紙容器1Bの内部に差し込むことを防止でき、紙容器1Bが光により劣化する性質の製品を収容するものである場合、劣化の防止を図ることができる。
【0036】
なお、第1乃至第3実施例では、予定窓12を塞ぐフィルム18として透明又は半透明のものを用いたが、本発明においてフィルム18は、予定窓12の輪郭線13の外側で包材2の裏面に液密に接着又は融着できるものであれば、不透明のものを用いても構わない。たとえば、フィルム18としてキャラクターなどの図柄や文字を印刷等によって表したものを用い、輪郭線13で囲まれた切除部分16を切除すると、フィルムに表された図柄や文字が表れるようにすることもできる。
【0037】
また、フィルム18は、予定窓12の輪郭線13の外側で包材2の裏面に液密に接着又は融着されてさえいれば、その積層される範囲は問わない。すなわちフィルム18は、上記第1乃至第3実施例で図示したように、予定窓12を輪郭線13の外側の範囲で部分的に被覆するように包材2の裏面に積層するだけではなく、たとえば、包材2の裏面全面に積層することもできる。
【0038】
さらに、本発明においては、輪郭線13で囲まれた包材2aとその裏面を被覆するフィルム18との間の空間を利用して、たとえば、砂糖、シロップ、ジャム等を入れた小型ピローもしくはポーションパック、又はストロー等の収容部とし、輪郭線13で囲まれた包材2a、すなわち切除部分16を切除すると、これらの小型ピローもしくはポーションパック、又はストロー等が取り出せるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る窓付き紙容器の第1実施例を示した斜視図である。
【図2】図1に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。
【図3】図1に示す予定窓を形成する切除部分の箇所の縦断拡大図である。
【図4】第1実施例の頂部横罫線を押し下げて凹ませた状態を示す縦断拡大図である。
【図5】第1実施例の窓付き紙容器から予定窓を形成する切除部分を切除する状態を示す斜視図である。
【図6】第1実施例の窓付き紙容器から切除した切除部分をその折れ線に沿って折り立体的に成形した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る窓付き紙容器の第2実施例を示した斜視図である。
【図8】図7に示す切断糸口端部の箇所の拡大図である。
【図9】本発明に係る窓付き紙容器の第3実施例を示した斜視図である。
【図10】図9に示す予定窓を形成する切除部分の箇所の縦断拡大図である。
【図11】第3実施例の頂部横罫線を押し下げて凹ませた状態を示す縦断拡大図である。
【図12】第3実施例の窓付き紙容器から予定窓を形成する切除部分を切除する状態を示す縦断拡大図である。
【符号の説明】
【0040】
1A ゲーブルトップ型の窓付き紙容器
1B フラットトップ型の窓付き紙容器
2 包材
3,3a 平面部
4 胴部縦罫線
5 胴部
6 底部
7 頂部
8 切妻屋根面
9 妻壁
10 頂部横罫線
11 底部横罫線
12 予定窓
13 輪郭線
14 切り込み
15 ミシン目
16 切除部分
17 折れ線
18 フィルム
19 切断糸口端部
19a 切断糸口端部の先端
20、20a、20b 補助折線
21 窓
22 第1ハーフカット
23 第2ハーフカット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板紙を基材とする包材によって角筒状の胴部とその上下を閉塞する底部及び頂部とが形成され、そのいずれかの部分の前記板紙基材に予定窓の輪郭線が切り込みにより形成され、前記包材の裏面には前記予定窓を塞ぐフィルムが前記輪郭線の外側に接着又は融着して設けられ、前記包材を前記板紙基材に形成された前記輪郭線に沿って切断して前記輪郭線で囲まれた切除部分を取り除くことにより、前記フィルムにより塞がれた窓が形成される構造になっている窓付き紙容器であって、
前記板紙基材に形成されている前記予定窓の前記輪郭線は所要の形状の輪郭に沿って形成され、前記輪郭線内にはこの部分から切除した前記切除部分を立体的に成形し得る折れ線が設けられていることを特徴とする窓付き紙容器。
【請求項2】
前記輪郭線で囲まれた切除部分を取り除く糸口となる前記輪郭線またはその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線、角筒状の前記胴部の胴部縦罫線、又は前記胴部と前記底部との境界の底部横罫線の少なくともいずれかに隣接して形成され、前記切断糸口端部が存在している前記胴部、前記頂部又は前記底部のいずれかの面には、前記切断糸口端部の左右又はその近傍からそれぞれ延びて、隣接している前記罫線のそれぞれ対応する両端又はその近傍に繋がる2本の補助折線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の窓付き紙容器。
【請求項3】
前記輪郭線で囲まれた切除部分を取り除く糸口となる前記輪郭線またはその延長部分によって形成される切断糸口端部は、前記胴部と前記頂部との境界の頂部横罫線、角筒状の前記胴部の胴部縦罫線、又は前記胴部と前記底部との境界の底部横罫線の少なくともいずれかに隣接して形成され、前記切断糸口端部が存在している前記胴部、前記頂部又は前記底部のいずれかの面には、前記切断糸口端部を横切り或いは前記切断糸口端部の先端と一致し且つ隣接する前記頂部横罫線、前記胴部縦罫線、前記底部横罫線のいずれかの罫線の両端又はその近傍に繋がる補助折線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の窓付き紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−234657(P2009−234657A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−86518(P2008−86518)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(502394520)日本紙パック株式会社 (33)
【Fターム(参考)】