説明

窪み付き鋼管杭及びその鋼管杭を使用した複合鋼管杭

【課題】地盤あるいはコンクリート、セメント、あるいはソイルセメントに埋設された鋼管杭がその周面と地盤あるいはコンクリート等との摩擦力を増大させ、大きな支持力を発揮させることができる窪み付き鋼管杭とこの鋼管杭を使用した複合鋼管杭を提供すること。
【解決手段】鋼管の周方向に凹部を有する窪み付き鋼管杭であって、鋼管肉厚2mm以上、鋼管外径(D)50mm以上、凹部の深さが0.005D〜0.2D、凹部の幅が0.015D〜2Dで、凹部の幅を(B)、凹部の深さを(H)としたときに
(1)凹断面形状が三角形状の時、B/H=3〜20
(2)凹断面形状が四角形状の時、B/H=4〜20
(3)凹断面形状が半円状、台形状の時、B/H=3〜20
である窪み付き鋼管杭。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木建築構造物を構築する場合に用いられる窪み付き鋼管杭及びその鋼管杭を使用した複合鋼管杭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土木建築構造物の基礎としての杭の支持力は、先端支持力と周面摩擦力とにより発揮される。先端支持力は、強固な地盤に根入れした先端部での支圧抵抗であり、周面摩擦力は、杭と地盤との摩擦力により発現される。一般に、鋼管杭と地盤との周面摩擦力は小さいので、高い支持力を発揮させるためには、強固な支持層まで到達する支持杭とする方法、もしくは長尺または大径の杭として周面の摩擦面積を増大させる方法が用いられる。したがって、軟弱な地盤もしくは支持層が深い場合には不経済な杭の設計になることが課題であった。
【0003】
従来において、鋼管杭の周面摩擦力を増大させる方法として、以下の鋼管杭が提案されている。
(1)特許文献1に記載されているような網状の突起を有した鋼板を螺旋状に成形し、溶接し、スパイラル鋼管とする鋼管杭
(2)特許文献2に開示されているような、鋼管を内部から局部拡径し、外周に複数の節上突起部を形成した節つき鋼管杭
などがある。
【0004】
前記(1)の鋼管杭については、鋼管に設けられた突起が鋼管を補強するので、従来の同じ重量の鋼管に比べて強度がより高い鋼管杭を提供できるととの効果はあるが、しかし、鋼管の素材となる鋼板を製造する段階から網状突起を形成する専用のロールに組み替えるなど他工程の生産能率や作業性を低下させる要因となる。
【0005】
また、(2)の鋼管外側に節を複数有した鋼管杭は、節状の突起部により鋼管杭を地中に埋設し、突起部の支圧力の伝達により、周面摩擦力を増大し、高い支持力を発揮することが可能であるが、製造工程として鋼管の複数箇所について局部的な拡径を行うにはオフラインで長時間を要し、生産性を著しく低下させる。
【特許文献1】特開平2−8582号公報
【特許文献2】特開2000−129671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を有利に解消でき、地盤もしくはコンクリート、セメント、あるいはソイルセメント(以降、地盤あるいはコンクリート等と称す)に埋設された鋼管杭がその周面と地盤あるいはコンクリート等との摩擦力を増大させ、大きな支持力を発揮させることができる窪み付き鋼管杭とこの鋼管杭を使用した複合鋼管杭を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、下記(1)〜(8)の発明により構成されるものである。
(1)鋼管の周方向に凹部を有する窪み付き鋼管杭であって、鋼管肉厚2mm以上、鋼管
外径(D)50mm以上、凹部の深さが0.005D〜0.2D、凹部の幅が0.015D〜2Dで、凹部の幅を(B)、凹部の深さを(H)としたときに
(1)凹断面形状が三角形状の時、B/H=3〜20
(2)凹断面形状が四角形状の時、B/H=4〜20
(3)凹断面形状が半円状、台形状の時、B/H=3〜20
であることを特徴とする窪み付き鋼管杭。
(2)前記凹部が、鋼管の同一円周上に複数設けたことを特徴とする前記(1)記載の稿付き鋼管杭。
(3)前記凹部が、円周方向に複数設けられ、少なくとも向かい合う凹部が同一円周上に存在しないことを特徴とする前記(1)記載の窪み付き鋼管杭。
(4)前記凹部が、鋼管軸に対し、斜め方向に複数設けたことを特徴とする(1)記載の窪み付き鋼管杭。
(5)前記凹部が、鋼管軸に対し、平行に複数設けたことを特徴とする(1)記載の窪み付き鋼管杭。
(6)前記凹部が、スポット状に複数設けたことを特徴とする(1)記載の窪み付き鋼管杭。
(7)前記鋼管杭の表面にめっき、あるいは、樹脂被覆を施したことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項記載の窪み付き鋼管杭。
(8)コンクリート、セメント、あるいはソイルセメントの中に前記(1)〜(7)のいずれか1項記載の窪み付き鋼管杭を埋め込んだことを特徴とする複合鋼管杭。
【発明の効果】
【0008】
本発明により得られた窪み付き鋼管杭は、複数の周状の凹部を有しており、地盤やコンクリートと高い摩擦力を得ることができる。しかも厚肉で大径であり、回転しながら地盤に打ち込むことができ、基礎杭に適していて、しかもその製造過程においても、通常の鋼管の製造ラインの一部を変更するだけで、その生産性を落とすことなく生産でき、安価に優れた窪み付き鋼管杭を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、埋め込み杭工法により、鋼管杭を地盤中あるいはコンクリート等中に埋設施工する場合に適用される鋼管杭とその製造方法であり、鋼管杭は、複数の箇所にその周状に凹部を有し、その凹部が鋼管杭とコンクリート等あるいは地盤との摩擦力を高める。またその製造方法は、鋼管製造ラインにおいて造管後、熱間あるいは温間で、押圧手段により鋼管表面に凹部を付与するのみでオンラインでも製造可能であり、生産性は通常の造管工程とかわらないまま摩擦力の優れた鋼管杭を製造できるという優れた効果を奏する。
【0010】
図1(a)〜(k)に本発明に係る窪み付き鋼管杭の具体例を示す。
(a)(b)(c)は、いずれの鋼管杭も円周方向に凹部2を有し、該凹部2が軸方向に一定間隔で複数形成されている。図1(a)の鋼管杭1Aでは、凹部2は鋼管の同一円周上に複数(図では対向して2個)設けた例であり、(b)は、凹部を圧延ロールではなく、鋼管に対し、近接、退避可能な往復式の押圧装置により形成したもので、凹部が円周上でほぼ同一の深さとなっている。(c)の鋼管杭1Bでは、凹部2は鋼管の円周方向に複数設けられ、これらのうち少なくとも向かい合う凹部2が同一円周上には存在しない例である。
図1(c)の鋼管杭1Bのように、向かい合う凹部2が同一円周上に存在しないように千鳥配置としたのは、(a)の鋼管杭に比べて凹部位置の強度を向上させるためであり、特にこの部分の強度がより高く要求される場合に適応するに適している。なお、凹部の千鳥配置の例では、対向する凹部部分の全幅ががラップしないように形成することが望ましい。
(d)〜(g)は、鋼管軸に対し斜め方向に長辺を有する凹部を形成した鋼管を示した図、(h)(i)は、鋼管軸に平行な方向に長辺を有する凹部を形成した鋼管を示した図、(j)(k)は、丸いスポット状の凹部を形成した鋼管を示した図である。スポット状の凹部形状は、形成し易さなどから楕円や多角形などから自由に選択できる。また、凹部を同一円周上に配置するかあるいは交互に千鳥状に配置するかなども自由に選択できる。
【0011】
本発明の鋼管杭は、後述するように熱間あるいは温間で凹部を形成するので鋼管の肉厚が2mm以上でも容易に製造可能であり、厚肉なので鋼管杭として例えば地盤に回転させながら打ち込む際に、鋼管にねじれ力が作用し、屈曲したり、先端が潰れたりすることがない。また、鋼管杭として実用可能な外径50mm以上のものも容易に製造できる。
従って、本発明の鋼管杭においては、肉厚2mm以上、外径50mm以上の厚肉・大径の鋼管が素材となるが、その使用に際しては地盤中あるいはコンクリート等中に埋設施工されることから、十分な強度を保持する必要がある。特に、本発明の鋼管杭では、円周上に凹部を設けているため、その位置での強度低下を最小限に抑えることが要求される。
【0012】
鋼管杭の凹部については、図2(a)、(b)、(c)、(d)に示す如く、基本的には断面三角形状の場合と、断面四角形状の場合が考えられる。半円状、及び台形状の場合はほぼ三角形と等しいと考えてもよい。いずれの場合も、凹部の深さ(最も深い部分の深さを指す)(H)は、鋼管周面と地盤あるいはコンクリート等との摩擦力を得るために0.005D(但し、D:鋼管外径)以上は必要である。しかし、0.2D超で摩擦力向上の効果も飽和してしまうので、凹部深さは0.005D〜0.2Dとする。さらに凹部の幅(B)は、上記摩擦力を得るためには0.015D以上必要であるが、2D超では、摩擦力向上効果が小さいため2D以下とする必要がある。
更に、上記の前提のもとで、更に、凹部形状の最適化を図る上で、下記の事項を規定することが重要である。すなわち、
(1)凹断面形状が三角形状の時、B/H=3〜20
(2)凹断面形状が四角形状の時、B/H=4〜20
(3)凹断面形状が半円状、台形状の時、B/H=3〜20
である。
【0013】
以下、上記のB/Hの関係が導き出された経緯を図3を用いて説明する。なお、前提として、凹部での破壊モードは、凹部の外側、図中の三角形の底辺でのソイルセメントのせん断強度と、凹部の内部でのソイルセメントの支圧強度のいずれかで決定されるものとする。このとき、いずれかの破壊モードが他方に対して、明らかに先行すると、その破壊モードで強度が決定するため、強度は低下すると考えられる。ゆえに、凹部の最適形状を考える上では、上記の二つの破壊モードが同時に発生するような形状を見出することが必要となる。
その結果、最適形状においては、支圧強度を与える支圧力Pとせん断強度を与えるせん断力Sは、以下の式(1)のつりあい条件式を満たすことが求められる。
S=Pcosθ (1)
ただし、θ:鋼管表面と凹部入側面のなす角度
【0014】
ここで、せん断力Sは、せん断力が作用する面積×せん断力で定義されるため、以下の式(2)で定式化される。尚、ここでは、凹部は鋼管周囲全周に配置されるものと仮定し、せん断面積は、鋼管の周長πDと、凹部の幅B(三角形の底辺部分)の積で表される。
S=τ・B・π・D (2)
一方、支圧力は、支圧応力に作用する面積を乗じたものとして以下のように定式化される。
P=H・σb・cosθ・π・D (3)
τ:せん断応力、D:鋼管外径、σb:支圧力(支圧応力、力/面積の次元)
式(1)に式(2)、(3)を代入して整理すると、以下の式が導かれる。
τ・B=(H・σb・cosθ)cosθ (4)
∴B/H=σb・cos2θ/τ (4′)
【0015】
式(4′)は、最適形状を与える際の力のつりあい条件式(1)を変形したものである。ここでは、凹部形状の側面、即ち図3の三角形の斜面が鋼管表面とのなす角度(θ)を45度の場合(これを以下、三角形状とする)と、90度の場合(これを以下、四角形状とする)に関して、解くこととする。
θ=90°(凹部が四角)とすると、
B/H=σb/τ (5)
例えば、ソイルセメントの支圧強度σb=1N/mm、せん断強度τ=0.1N/mmを(5)式に代入すると、B/H=10(凹部の幅が高さの10倍)となり、凹部形状は長辺10H、高さHの長方形となる。
一方、最終的な凹部形状が三角形状で、更にその三角形が二等辺三角形とすると、B、H、θには下記の関係式が成立する。
tanθ=2・H/B (6)
これを式(4′)に代入すると、
2/(sinθ・cosθ)=σb/τ (7)
これに、ソイルセメントの支圧強度σb=1N/mm、せん断強度τ=0.1N/mmを代入すると、
sinθ・cosθ=1/5 (8)
sin2θ=2/5=0.4 (8′)
∴θ=11.8
【0016】
ソイルセメント(コンクリート)の支圧強度σbとせん断強度τの関係を
1/20≦τ/σb≦2/9
とすると(通常はτ/σb=1/10程度)、
(a)凹部形状が四角形の場合、凹部の幅Bと深さHの関係は式(5)により
4.5≦B/H≦20.0
(b)凹部形状が三角形の場合、適正なθの範囲は式(7)により
5.8≦θ≦31.4
このとき、凹部の幅Bと深さHの関係は式(6)により
3.3≦B/H≦19.8
となる。
ここで、図1(d)〜(k)に示したような鋼管軸方向に斜め、平行、あるいはスポット状の凹部形状の場合についても、(d)のA−A断面、(h)のB−B断面、(j)のC−C断面について前記式を適用すればよい。
以上のことから、本発明においては、B/Hを下記の如く規定した。
(1)凹断面形状が三角形状の時、B/H=3〜20
(2)凹断面形状が四角形状の時、B/H=4〜20
(3)凹断面形状が半円状、台形状の時、B/H=3〜20
【0017】
次に、本発明に係る鋼管杭の製造方法について説明する。
本発明においては、以下のa),b),c),d)のいずれかの工程でも適用可能であるが、鍛接鋼管の製造ラインを代表例として本発明を説明する。
a)電縫鋼管製造ラインにおいて、電縫溶接後、当該鋼管を加熱し、押圧手段によりその表面を押圧すること。
b)熱間あるいは温間溶接鋼管製造ラインにおいて、溶接後、押圧手段によりその表面を押圧すること。
c)鍛接鋼管製造ラインにおいて、衝合後、押圧手段によりその表面を押圧すること。
d)シームレス鋼管製造ラインにおいて、造管後、押圧手段によりその表面を押圧する。
【0018】
図4は通常の鍛接管の製造ラインを示す図である。
所望の幅にスリットされた鋼帯を#1ロールで断面円形状に成形し、#2ロールでその両端部を高熱に加熱し、圧接し、衝合する。衝合された管をそれ以降のロールにより所定の寸法に縮径するために絞り込み、そして切断機により所定の長さに切断し、以降のロールで形状を整えて鍛接管が製造される。
【0019】
図5は、鍛接管製造ラインの一実施例である。
従来の製造ラインに対して、切断機前の絞りロールの最終ロールのみを変更している。当該ロールは、図6のようにロール周面にロール軸方向に1箇所あるいは複数箇所に凸部を設け、これを押圧手段としている。この凸部を設けたロールを上下両方あるいは片側に使用する。なお、図では、上下2基のロールで示しているが、1組が3基以上のロールでも構わない。
【0020】
このような凸部を有したロールで高温の(およそ1200〜1300℃程度)鍛接管に圧力を加えるので、その凸部の当たる鋼管の部分は容易に凹部が形成される。しかも冷間での加工に比較して凹部形状はロールの凸部形状に則した形状で形成されるのでより鋭角の凹部を得ることが可能である。その後、所定の長さに切断され、定形され、窪み付き鍛接鋼管が完成される。
ここで、鋼管上の凹部の高さ、幅、ピッチを変更したい場合は、ロールの凸部の形状やピッチを変更すれば良い。また、上下ロール両方に凸部を設け、鋼管上の凹部位置を同じ
位置で形成したい場合は、上下ロールの凸部位置を初期に合せておき、例えば上下ロールを一つの駆動源およびユニバーサルジョイントなどを介して連結し、同期させて上下ロールを駆動すれば良い。
【0021】
次に、ロールに形成する凸部の形状は、図6の下図に示すように、ロール中心部を高くし、ロール端部に向かうにつれ低くすることが望ましい。その理由は、ロールの中心部と端部とでは、周速が異なり、端部の方が径が大きいため周速が大きい。従って、通過する管よりも早く進行するために、鋼管に対し無用な力が加わり、必要以上の変形や歪を鋼管に与えてしまう。
【0022】
図7は、別の鍛接管製造ラインの例である。
本例では、絞りロールと切断機との間に、専用の鋼管への加圧装置(押圧手段)を設けた例である。加圧装置としては、前述の凸部を有したロールでも良く、また、上下から挟み込む形で鋼管に加圧するタイプのものでも良い。そしてこの加圧装置は、鋼管に対して進退、あるいは鋼管の進行方向に進退可能な機構を有することが望ましい。
鋼管に対して近接、退避可能なことにより、鋼管の任意の位置に凹部を形成することができ、また凹部のピッチを変更したいときでもロールの交換などしなくても良い。更に、この機能により、予め鋼管の切断位置を制御部が認識しておき、この切断位置に凹部が位置しないように制御することも可能となる。鋼管端部に凹部がくると鋼管毎に端面の径や形状が異なり、例えば鋼管同士の接続が困難となるからである。
また、鋼管の進行方向に移動可能とすることにより鋼管の進行と同調して縮径部形成装置を移動することができ、そのことにより、前述したようなロールの中心部と端部の周速の差による鋼管への無用な歪などが発生せずに凹部の形状も自由に形成できる。
【0023】
以上、専用装置において説明したが、もちろんこれら機能を既存の最終絞りロールに凸部を設けたロールにもたせても良い。
このように、造管方法は、電縫による造管方法、熱間あるいは温間で溶接する造管方法、鍛接による造管方法、シームレス造管方法のいずれでも良。造管まま、あるいは造管後加熱などし、温間あるいは熱間の状態で押圧手段でその造管された表面を押圧すれば良く、オンラインでの窪み付き鋼管杭の製造が可能である。
そして、これらの製造方法で製造された鍛接鋼管は、熱間で凹部を形成するので鋼管の肉厚が2mm以上でも容易に製造可能であり、厚肉なので鋼管杭として例えば地盤に回転させながら打ち込む際に、鋼管にねじれ力が作用し、屈曲したり、先端が潰れたりすることがない。また、鋼管杭として実用可能な外径50mm以上のものも容易に製造できる。しかも生産能率は、通常の鍛接鋼管を製造する際と同じである。
【0024】
なお、上記においては単一の窪み付き鋼管杭を例にして説明したが、本発明ではこれに限ることなく、上述したいずれかの鋼管杭を使用し、これをコンクリートまたはセメント中に埋め込んで複合型の鋼管杭を形成することも可能である。このような複合鋼管杭は、上記の本発明の鋼管杭の特性を十分生かしたもので、例えば、軟弱な地盤における基礎等に使用するに適したものである。
【実施例】
【0025】
既設の鍛接鋼管製造ラインにおいて、絞りロールの最終ロールの表面にロール中心部に高さ6mm、ロール端部に向けて徐々に低くした凸部を4箇所に設け、外径114.3mm、肉厚4.5mmの管を製造した。その結果、凹部の深さが最大6mm、幅が30mm、ピッチが130mmの凹部を同一円周上に対向して有する窪み付き鋼管を問題なく製造できた。
また、前記最終ロールについて、上下各ロールの凸部の回転タイミングを調整し、それぞれのロールの凸部が鋼管に交互に当たるように調整し、鋼管に形成される凹部が交互に
付与された窪み付き鋼管も問題なく製造できた。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1−1】(a)〜(c)は本発明に係る窪み付き鋼管杭の実施形態例を示す説明図。
【図1−2】(d)〜(g)は本発明に係る窪み付き鋼管杭の実施形態例を示す説明図。
【図1−3】(h)〜(k)は本発明に係る窪み付き鋼管杭の実施形態例を示す説明図。
【図2】(a)、(b)、(c)、(d)は本発明に係る窪み付き鋼管杭に形成する凹部の具体例を示す図。
【図3】本発明に係る窪み付き鋼管杭の凹部の幅と深さの関係を説明するための図。
【図4】通常の鍛接鋼管の製造ラインを示す図。
【図5】本発明に係る鋼管杭を製造するための鍛接鋼管製造ラインの一実施例を示す図。
【図6】本発明に係る鋼管杭を製造するために使用するロールの概念図。
【図7】本発明に係る鋼管杭を製造するため鍛接鋼管製造ラインの他の実施例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の周方向に凹部を有する窪み付き鋼管杭であって、鋼管肉厚2mm以上、鋼管外径(D)50mm以上、凹部の深さが0.005D〜0.2D、凹部の幅が0.015D〜2Dで、凹部の幅を(B)、凹部の深さを(H)としたときに
(1)凹断面形状が三角形状の時、B/H=3〜20
(2)凹断面形状が四角形状の時、B/H=4〜20
(3)凹断面形状が半円状、台形状の時、B/H=3〜20
であることを特徴とする窪み付き鋼管杭。
【請求項2】
前記凹部を、鋼管の同一円周上に複数設けたことを特徴とする請求項1記載の窪み付き鋼管杭。
【請求項3】
前記凹部が、円周方向に複数設けられ、少なくとも向かい合う凹部が同一円周上に存在しないことを特徴とする請求項1記載の窪み付き鋼管杭。
【請求項4】
前記凹部が、鋼管軸に対し、斜め方向に複数設けたことを特徴とする請求項1記載の窪み付き鋼管杭。
【請求項5】
前記凹部が、鋼管軸に対し、平行に複数設けたことを特徴とする請求項1記載の窪み付き鋼管杭。
【請求項6】
前記凹部が、スポット状に複数設けたことを特徴とする請求項1記載の窪み付き鋼管杭。
【請求項7】
前記鋼管杭の表面にめっき、あるいは、樹脂被覆を施したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の窪み付き鋼管杭。
【請求項8】
コンクリート、セメント、あるいはソイルセメントの中に請求項1〜7のいずれか1項記載の窪み付き鋼管杭を埋め込んだことを特徴とする複合鋼管杭。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図1−3】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−175055(P2008−175055A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30096(P2008−30096)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【分割の表示】特願2006−194697(P2006−194697)の分割
【原出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】