説明

窯業系建材及びその製造方法

【課題】自然な凹凸の粗密分布を容易に表現することができると共に破損の発生しにくい窯業系建材を提供する。
【解決手段】窯業系建材1の表面に、幅0.2〜3.0mm、深さ0.2〜1.0mmの第一の凹部2と、幅0.5〜4.0mm、高さ0.1〜2.0mmの第一の凸部3とのうち、少なくとも一方を、複数形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窯業系建材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建材、特に壁板材として、窯業系建材が広く使用されている。これら窯業系建材を製造するにあたっては、意匠性や手触りの向上のため、表面に砂粒等を撒布することで、天然に存在する岩石や焼成したレンガやタイルの外観に近い素材感を表現する化粧法が、多くの製品で採用されている。例えば特許文献1には、無機或いは高分子素材のほぼ球状で複数種の粒径を有する粒状物を、目地部を構成したサイディング材の表面全体に粒状物が隣接する程度の密度で敷き詰めて固定し、前記粒状物の粒径差により粗い多孔質な面を形成することが開示されている。
【0003】
このような砂粒等を使用した化粧法では、砂粒等を撒布する際、通常は砂粒等を均一に撒布している。これは砂粒等を不均一に撒布することが難しいこと、並びにプレス成形時に砂粒等に離型剤としての機能を発揮させるためには砂粒等を均一に撒布した方が好ましいことによる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−26175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術のような砂粒等の均一撒布でも、窯業系建材に天然に存在する岩石や焼成したレンガやタイルに近い素材感をある程度与えることができる。しかし、天然に存在する岩石や焼成したレンガ等の表面の凹凸の粗密分布にはばらつきがあり、このような自然のばらつきによる外観の変化を、均一撒布で充分に表現することは難しい。
【0006】
また、砂粒等を撒布する際に、砂粒等をある程度不均一に撒布する工夫も可能であるが、砂粒等の撒布状態を制御することは難しく、自然な凹凸の粗密分布を有する窯業系建材を安定して生産することは難しい。
【0007】
また、砂粒等によって窯業系建材に凹凸を形成する場合には、使用前の窯業系建材同士が輸送時や施工時に擦れ合ったり、建築物等に設置されている窯業系建材に衝撃が加わったりした場合に、窯業系建材から砂粒等が脱落して破損してしまうこともある。この場合、窯業系建材の外観が悪化してしまい、また窯業系建材に塗装が施されている場合には砂粒等と共に塗装膜も脱落してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上記の事由に鑑みてなされたものであり、自然な凹凸の粗密分布を容易に表現することができると共に破損の発生しにくい窯業系建材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の発明に係る窯業系建材は、表面に、幅0.2〜3.0mm、深さ0.1〜1.0mmの第一の凹部と、幅0.5〜4.0mm、高さ0.1〜2.0mmの第一の凸部とのうち、少なくとも一方が、複数形成されていることを特徴とする。
【0010】
第一の発明においては、前記表面に、第二の凹部と、第二の凸部とが形成され、前記第二の凹部の底面に複数の前記第一の凸部が、前記第二の凸部の頂上面に複数の前記第一の凹部が、それぞれ形成されていてもよい。
【0011】
第二の発明に係る窯業系建材の製造方法は、第一の発明に係る窯業系建材を製造する方法であって;
窯業系成形材料を成形して生板を得る工程;
前記生板にプレス加工を施すことで第一の凹部と第一の凸部のうち少なくとも一方を複数形成する工程;及び
前記生板を養生硬化する工程;を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自然な凹凸の粗密分布を容易に表現することができると共に破損の発生しにくい窯業系建材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)及び(b)は本発明の実施の形態の一例を示す一部の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示す他の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例を示す、外観を撮影した写真である。
【図4】本発明の実施の形態の一例における、有機塗料層の形成工程の例を示す、概略の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態に係る窯業系建材1は、図1〜3に示されるように、表面に、幅W1が0.2〜3.0mm、深さD1が0.2〜1.0mmの第一の凹部2と、幅W2が0.5〜4.0mm、高さH2が0.1〜2.0mmの第一の凸部3とのうち、少なくとも一方が、複数形成されている。第一の凹部2の幅W1とは第一の凹部2の深さ方向と直交する方向の最大幅であり、第一の凸部3の幅W2とは第一の凸部3の高さ方向と直交する方向の最大幅である。この第一の凹部2及び第一の凸部3は、窯業系建材1に追加的に付着される砂粒等の粒状体には依らずに、生板の養生硬化物自体に形成されている。
【0015】
窯業系建材1は、例えば瓦や外壁材等の用途に使用される。窯業系建材1は、例えば水硬性材料に無機充填剤、繊維質材料等に水を配合して得られる成形材料から生板を形成し、この生板を養生硬化させて作製される。
【0016】
水硬性材料としては、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、高炉スラグ、ケイ酸カルシウム、石膏等から挙げられる。これらの材料のうち一種のみを用いても二種以上を併用してもよい。無機充填剤としては、フライアッシュ、ミクロシリカ、珪砂等が挙げられる。繊維質材料としては、パルプ、合成繊維等の無機繊維や、スチールファイバー等の金属繊維が挙げられる。無機充填剤や繊維質材料も、それぞれ一種のみを用いても二種以上を併用してもよい。
【0017】
成形材料から生板を形成するにあたっては、押出成形、注型成形、抄造成形等の適宜の成形方法が採用される。
【0018】
この生板にプレス成形を施すことで、生板の表面に第一の凹部2と第一の凸部3のうち少なくとも一方を形成することができる。第一の凹部2及び第一の凸部3の寸法は、養生硬化による生板の寸法変化を考慮して形成される。プレス成形時には、平板プレス、ロールプレス等の適宜の手法が採用され得る。
【0019】
この生板に更にオートクレーブ養生、蒸気養生、常温養生等を施して養生硬化することにより、窯業系建材1を得ることができる。窯業系建材1の表面には、溶剤系、水溶性あるいはエマルション系のシーラーにより目止めをしてもよい。シーラーとしては、例えばアクリル系やラテックス系のシーラーを使用することができる。
【0020】
これにより、表面に第一の凹部2と第一の凸部3のうち少なくとも一方を複数有する窯業系建材1を得ることができる。第一の凹部2及び第一の凸部3の寸法や位置は、プレス成形時に用いられるプレス型の型面の形状を調整することで適宜設定される。
【0021】
このようにして窯業系建材1の表面に第一の凹部2と第一の凸部3のうち少なくとも一方が形成されると、窯業系建材1に追加的に付着される砂粒等には依らずに、窯業系建材1に天然に存在する岩石や焼成したレンガやタイルなどに近い素材感(手触り感、外観、質感など)を与えることができる。また、第一の凹部2と第一の凸部3とは窯業系建材1自体の表面に形成されるため、第一の凹部2や第一の凸部3の寸法や分布状態を制御することが容易である。このため第一の凹部2や第一の凸部3の寸法や粗密分布に自然なばらつきを生じさせることが容易となり、窯業系建材1に、より良好な素材感を与えることができる。また、第一の凹部2や第一の凸部3によって光が乱反射するため、第一の凹部2や第一の凸部3によって良好な素材感を発現させながら、窯業系建材1の表面のてかりを抑制することもできる。また、第一の凹部2や第一の凸部3の形成にあたって砂粒等の粒状体を使用しないため、砂粒等の脱落による破損が生じることがなくなり、窯業系建材1に破損が発生しにくくなる。また、砂粒等の粒状体を撒布する工程が不要になるため、窯業系建材1の生産効率が高くなる。更に、第一の凹部2や第一の凸部3の寸法や位置の制御が容易であることから、不良発生率を低減し、窯業系建材1を安定して生産することが可能となる。
【0022】
第一の凹部2の幅W1が小さい程、或いは深さD1が大きい程、窯業系建材1の表面に第一の凹部2による陰影が生じやすくなって、窯業系建材1に良好な素材感が発現しやすくなる。但し、第一の凹部2を形成する場合に、その幅W1を0.2〜3.0mm、深さD1を0.1〜1.0mmの範囲とすることは、窯業系建材1に良好な素材感を与える上で重要である。第一の凹部2の幅W1や深さD1が大きすぎる場合には第一の凹部2が外観上目立ちすぎ、第一の凹部2の幅W1や深さD1が小さすぎる場合は第一の凹部2が外観上目立たなくなって、いずれの場合も窯業系建材1に良好な素材感を与えることができなくなる。窯業系建材1の表面に良好な素材感を発現させるためには、特に第一の凹部2の深さD1が0.2mm以上であることが好ましい。
【0023】
また、第一の凸部3を形成する場合に、その幅W2を0.5〜4.0mm、高さH2を0.1〜2.0mmの範囲とすることも、窯業系建材1に良好な素材感を与える上で重要である。第一の凸部3の幅W2が小さすぎる場合や、第一の凸部3の高さH2が小さすぎる場合には、窯業系建材1の表面に第一の凸部3による陰影が生じにくくなって、窯業系建材1に良好な素材感が発現しなくなる。また、第一の凸部3の幅W2が大きすぎる場合や、第一の凸部3の高さH2が大きすぎる場合には、第一の凸部3が外観上目立ちすぎて良好な素材感が発現しなくなり、また人の手が第一の凸部3に触れた場合に怪我を負う危険性が大きくなってしまう。
【0024】
窯業系建材1の表面に、より良好な素材感を付与するためには、窯業系建材1の表面における第一の凹部2及び第一の凸部3の分布密度は、平均して20〜150個/cmの範囲であることが好ましい。また、窯業系建材1の表面により良好な素材感を付与するためには、窯業系建材1の表面に第一の凹部2及び第一の凸部3が不規則に分散していることが好ましい。例えば窯業系建材1の表面全体から任意に選択される一定面積の領域(面積1cmの領域)における第一の凹部2及び第一の凸部3の個数のうち、最も少ない個数に対する最も多い個数の割合が1.2〜7.5の範囲になることが好ましい。
【0025】
窯業系建材1の表面により良好な素材感を付与するためには、複数の第一の凹部2の幅W1及び深さD1や、複数の第一の凸部3の幅W2及び高さH2が、不均一であることも好ましい。すなわち互いに幅W1や深さD1が異なる複数の第一の凹部2が形成されていること、並びに幅W2や高さH2が異なる複数の第一の凸部3が形成されていることも好ましい。この場合、例えば、複数の第一の凹部2における、最も大きな幅W1の値と最も小さな幅W1の値との比、並びに最も大きな深さD1の値と最も小さな深さD1の値との比が、それぞれ1.2〜10.0の範囲であることが好ましい。具体例としては、複数の第一の凹部2のうちの最小幅を0.5mm、最大幅を1.0mm、最小深さを0.1mm、最大深さを0.25mmとして、複数の第一の凹部2の幅W1及び深さD1を不均一にすることが挙げられる。また、複数の第一の凸部3における、最も大きな幅W2の値と最も小さな幅W2の値との比、並びに最も大きな高さH2の値と最も小さな高さH2の値との比が、それぞれ1.2〜8.0の範囲であることが好ましい。具体例としては、複数の第一の凸部3のうちの最小幅を0.5mm、最大幅を1.0mm、最小高さを0.1mm、最大高さを0.25mmとして、複数の第一の凸部3の幅W2及び高さH2を不均一にすることが挙げられる。
【0026】
窯業系建材1の表面には、第一の凹部2及び第一の凸部3とは異なる、第二の凹部4と第二の凸部5とが形成されてもよい。第二の凹部4と第二の凸部5は、第一の凹部2や第一の凸部3に較べて大きな寸法とすることができる。例えば第二の凹部4と第二の凸部5の平面視面積を、第一の凹部2や第一の凸部3の平面視面積よりも大きくする。窯業系建材1の厚さに因る所が大きいが、例えば第二の凹部4の深さや第二の凸部5の高さ(すなわち第二の凹部4の底面6と第二の凸部5の頂上面7との高低差)を0.5〜12mmの範囲とすることができる。なお、スタッコ柄のように高低差が小さい場合には、第二の凹部4に形成した第一の凸部3の頂部が第二の凸部5の頂部よりも高くなる箇所が生じることもある。この第二の凹部4と第二の凸部5により、窯業系建材1の表面に凹凸状の意匠模様を形成することができる。図2,3に示される窯業系建材1では、溝状の第二の凹部4が並行並列に複数形成され、各第二の凹部4の間に第二の凸部5が並行並列に形成されている。このような第二の凹部4及び第二の凸部5は、例えば生板のプレス成形時に、第一の凹部2や第一の凸部3と同時に形成される。
【0027】
窯業系建材1に第二の凹部4及び第二の凸部5を形成する場合、第一の凹部2と第一の凸部3のうち、第二の凸部5の頂上面7には第一の凹部2のみが形成されていることが好ましく、第二の凹部4の底面6には第一の凸部3のみが形成されていることが好ましい。この場合、第一の凸部3が他の物と直接接触しにくくなり、使用前の窯業系建材1同士が輸送時や施工時に擦れ合ったり、使用前の窯業系建材1や建築物等に設置されている窯業系建材1に衝撃が加わったりした場合などに、第一の凸部3が破損することが抑制される。このため、窯業系建材1の破損が更に抑制される。
【0028】
第二の凸部5の頂上面7に形成される第一の凹部2の幅は0.5mm以上であることが好ましい。この場合、窯業系建材1の表面に第一の凹部2により生じる陰影が、第二の凹部4及び第二の凸部5により窯業系建材1の表面に生じる陰影によってかき消され難くすることができ、これにより窯業系建材1に更に良好な素材感を現出させることができる。
【0029】
第二の凹部4の底面6に形成される第一の凸部3の幅は1.0mm以上であることが好ましく、またこの第一の凸部3の高さは0.5mm以上であることが好ましい。この場合、第一の凸部3の外観を、粒径の粗い砂粒の外観により近づけて、石などの素材に砂粒が付着したかのような外観を現出させることができ、これにより窯業系建材1に更に複雑で良好な素材感を現出させることができる。
【0030】
第二の凸部5の頂上面7に第一の凹部2のみが形成される場合には、第二の凸部5の側面8(第二の凹部4の内壁面ということもできる)にも、第一の凹部2のみが形成されていることが好ましい。例えば、図2に示されるように、第二の凸部5の側面8が、第二の凹部4の底面6へ向けて下り傾斜する傾斜面である場合に、この傾斜面に第一の凹部2のみが形成されていることが好ましい。この場合、第二の凸部5の頂上面7及び側面8と、第二の凹部4の底面6とが有する素材感が異なったものとなり、窯業系建材1を観察する者に、あたかも窯業系建材1の表面に第二の凸部5が別部材として貼り付けられているかのような印象を与えることができる。
【0031】
勿論、窯業系建材1の表面に第一の凹部2のみを形成し、或いは第一の凸部3のみを形成してもよい。また窯業系建材1の表面に第一の凹部2と第一の凸部3とをランダムに混在させてもよい。
【0032】
更に、窯業系建材1の表面に、第一の凹部2及び第二の凸部が形成されていない部分が存在していてもよい。例えば第二の凸部5の頂上面7に第一の凹部2と第二の凸部のうちの少なくとも一方が形成されると共に、第二の凹部4の底面6に第一の凹部2と第二の凸部とが形成されていなくてもよい。
【0033】
窯業系建材1の表面上には塗装が施されてもよい。本実施形態では表面化粧にあたって砂粒等の粒状体が使用されていないため、塗装が施されても粒状体の脱落によって塗装膜が同時に脱落してしまうようなことがない。
【0034】
例えば窯業系建材1の表面上に塗装により有機塗料層、無機塗料層、光触媒含有無機塗料層をこの順に積層して形性することができる。この場合、窯業系建材1の表面を有機塗料層で保護或いは着色することができる。また、有機塗料層が紫外線で劣化することを無機塗料層で防ぐと共に、最外層の光触媒含有無機塗料層に含有される光触媒によって窯業系建材1に防汚性を付与することができる。
【0035】
有機塗料層を形成する有機塗料としては、特に限定されるものではないが、特にアクリルエマルションやアクリルシリコーンエマルションを主剤とする有機塗料を用いると、有機塗料層と無機塗料層との間の密着性を向上することができる。有機塗料は、着色剤を含有しないクリア塗料でも、着色剤を含有するエナメル塗料でもよい。有機塗料層の厚みは例えば20〜50μmの範囲とすることができる。
【0036】
有機塗料層は、一層のみを形成してもよく、複数層形成してもよい。例えば図4に示す例では、窯業系建材1の表面に第二の凹部4と第二の凸部5とが形成されている場合に、まず図4(a)に示すように、シーラー9が塗布された窯業系建材1の表面の全面上に一層目の有機塗料層10を形成している。この一層目の有機塗料層10は、スプレー塗装装置12を用いたスプレー塗装法により形成している。次に、図4(b)に示すように、一層目の有機塗料層10上において、第二の凸部5の頂上面7上のみに、ロール塗装装置13を用いたロール塗装法等により、二層目の有機塗料層11を形成している。一層目の有機塗料層10と二層目の有機塗料層11とは、互いに異なる色に着色されている。この場合、図4(c)に示すように、第二の凸部5の頂上面7が他の部分とは異なる色に着色され、窯業系建材1の意匠性が向上する 。尚、図4においては、第一の凹部2及び第一の凸部3の図示を省略している。
【0037】
また、第一の凹部2や第一の凸部3が形成された窯業系建材1の表面上に有機塗料層を形成すると、有機塗料層の厚みが不均一になりやすくなり、このため有機塗料層の色の濃淡の細かい分布が生じやすくなる。これにより、窯業系建材1の表面により良好な素材感が付与される。
【0038】
無機塗料層は、有機塗料層の表面上に無機質塗料を塗布成膜することで形成することができる。無機塗料層により窯業系建材1の耐候性を向上することができる。無機質塗料としては、例えばオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液に、ポリオルガノシロキサンや、アルキルチタン酸塩等の縮合反応触媒を加え、或いは更にシリカを加えたケイ素アルコキシド系塗料等が挙げられる。無機質塗料を静電塗装等して塗布した後、60〜120℃で焼き付け乾燥等して成膜することにより、無機質塗料層を形成することができる。この無機質塗料層の厚みは特に制限されないが、1〜10μmの範囲が好ましい。
【0039】
光触媒含有無機塗料層は、無機質塗料層の表面上に光触媒を含有する無機質塗料を塗布成膜することで形成することができる。光触媒含有無機塗料層により窯業系建材1の防汚性を向上することができる。光触媒を含有する無機質塗料としては、例えば上記のようなケイ素アルコキシド系塗料に酸化チタン等の光触媒を加えたもの等を用い、これをスプレー塗装等して塗布した後、60〜120℃で焼き付け乾燥等して成膜することにより、光触媒層を形成することができる。この光触媒層の厚みは特に制限されないが、0.2〜1.0μmの範囲であることが好ましい。
【符号の説明】
【0040】
1 窯業系建材
2 第一の凹部
3 第一の凸部
4 第二の凹部
5 第二の凸部
6 底面
7 頂上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に、幅0.2〜3.0mm、深さ0.1〜1.0mmの第一の凹部と、幅0.5〜4.0mm、高さ0.1〜2.0mmの第一の凸部とのうち、少なくとも一方が、複数形成されていることを特徴とする窯業系建材。
【請求項2】
前記表面に、第二の凹部と、第二の凸部とが形成され、前記第二の凹部の底面に複数の前記第一の凸部が、前記第二の凸部の頂上面に複数の前記第一の凹部が、それぞれ形成されていることを特徴とする窯業系建材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の窯業系建材を製造する方法であって;
窯業系成形材料を成形して生板を得る工程;
前記生板にプレス加工を施すことで第一の凹部と第一の凸部のうち少なくとも一方を複数形成する工程;及び
前記生板を養生硬化する工程;を含むことを特徴とする窯業系建材の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate

【図3】
image rotate