立体感を有する表面装飾が施された構造体、立体感を有する印刷シート並びに転写シート
【課題】 輪郭部分がシャープに立ち上がり、外観的意匠効果並びに視認効果に優れた立体感のある印刷シートを提供する。
【解決手段】 この発明の印刷シートは、表面側に配置される透明基材層1と、透明基材層1に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を2a形成するベースインク層2と、意匠領域2aの輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層3と、意匠領域2aの輪郭から所定の距離を有し、且つ第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層4と、意匠領域2a、第1及び第2の輪郭インク層3、4を覆って透明基材層1に印刷された反射層5と、を備える。
【解決手段】 この発明の印刷シートは、表面側に配置される透明基材層1と、透明基材層1に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を2a形成するベースインク層2と、意匠領域2aの輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層3と、意匠領域2aの輪郭から所定の距離を有し、且つ第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層4と、意匠領域2a、第1及び第2の輪郭インク層3、4を覆って透明基材層1に印刷された反射層5と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立体感を有する表面装飾が施された構造体、立体感を有する印刷シート並びに転写シートに関し、詳しくは、文字や図形などの各種の意匠が立体的に表現された立体感を有する表面装飾が施された構造体、立体感を有する印刷シート並びに転写シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
文字や図形などの意匠が立体的に浮き上がったり凹凸があったりするように見える立体表現印刷シートは、通常の平面的な印刷物に比べてより豊かな表現が可能であり、外観意匠性の高い印刷物となる。
【0003】
このような立体感を有する印刷シートとして、例えば、特許文献1に記載された印刷シートがある。
【0004】
特許文献1に記載された印刷シートは、透明性を有する被印刷板と、意匠部分に相当する白抜き部における外周に形成された透明インク層と、白抜き部と透明インク層の裏面とに形成された高輝度ハーフミラー層とで構成されている。
【0005】
このように、意匠を形成する部分は、被印刷板の裏面に設けられ、透明インク層の裏層に高輝度ハーフミラー層が形成されているので、白抜き部の外周部に影ができたようになる。そのため、視認者には、白抜き部分が浮き上がったように見え、白抜き部分が立体的に見えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−64356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された印刷シートにおいては、白抜き部の外周部に影ができたように視認されるだけで、外周部の立ち上がり感が無く丸みを帯びたように視認される。特に、文字等の場合には輪郭部分がシャープに立ち上がるように視認されることが望まれる。
【0008】
この発明は、輪郭部分がシャープに立ち上がり、外観的意匠効果並びに視認効果に優れた立体感を有する印刷シート並びに転写することによって被転写体に立体的な装飾を施すことができる転写シートを提供することを目的とする。
【0009】
また、この発明は、輪郭部分がシャープに立ち上がり、外観的意匠効果並びに視認効果に優れた立体感のある表面装飾が施された構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、表面側に配置される透明基材層と、前記透明基材層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、前記意匠部分、第1及び第2の輪郭インク層を覆って前記透明基材層上に設けられた反射層と、を備える。
【0011】
また、前記第1及び第2の輪郭インク層の前記意匠部分側の面に到達する側面は、テーパー面に形成するとよい。
【0012】
また、前記意匠部分に相当する領域は、前記第1及び第2の輪郭インク層が設けられていない領域が50%以上存在するように構成するとよい。
【0013】
また、前記第1の輪郭インク層に対して第2の輪郭インク層が重なる領域を、50%前後にするとよく、さらに、前記前記意匠部分の輪郭から所定の距離と、前記第1の輪郭インク層に対して第2の輪郭インク層が重なる領域と、前記第2の領域が前記意匠部分に現れる領域と、が同対比に構成するとよい。
【0014】
また、この発明の印刷シートは、基材層と、基材層上に設けられた反射層と、前記反射層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、第1及び第2の輪郭インク層が重なる領域が形成されることで、透明又は半透明の輪郭インク層のなかでその輪郭インク層を透過し、反射層で反射した光の量が変化することで、立体感とエッジ感を出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的平面図である。
【図3】図2のα部分で囲んだ領域を拡大した模式的平面図である。
【図4】この発明の第2の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図5】この発明の第3の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図6】この発明の第3の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図7】この発明の第4の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図8】この発明の第5の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図9】この発明の第6の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図10】この発明の第7の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図11】この発明の第8の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図12】この発明の第9の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図13】この発明の第10の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図14】この発明の第11の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体の形成状態を示す模式的断面図である。
【図15】この発明の第11の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体の形成状態を示す模式的断面図である。
【図16】この発明の第11の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体を示す模式的断面図である。
【図17】この発明の第12の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体の形成状態を示す模式的断面図である。
【図18】この発明の第12の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体の形成状態を示す模式的断面図である。
【図19】この発明の第12の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体を示す模式的断面図である。
【図20】この発明の第13の実施形態を示す立体感を有する転写シートの模式的断面図である。
【図21】この発明の第13の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図22】この発明の第13の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図23】この発明の第14の実施形態を示す立体感を有する転写シートの模式的断面図である。
【図24】この発明の第14の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図25】この発明の第14の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図26】この発明の第15の実施形態を示す立体感を有する転写シートの模式的断面図である。
【図27】この発明の第15の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図28】この発明の第15の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図29】被着体として衣類にこの実施形態の転写シートの転写層を転写した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0018】
図1は、この発明による立体感を有する印刷シートの第1の実施形態を示す模式的断面図であり、図2は同平面図である。
【0019】
まず、この発明による立体感を有する印刷シートの第1の実施形態の構造を説明する。基材となる透明基材層1として、透明性の高い材料が用いられる。この透明基材層1は、完全な透明材料であってもよいし、光透過性を損なわない程度に薄く着色された半透明材料であってもよい。意匠領域を形成するインク層などを印刷する基材に適した機械的強度や物理的・化学的耐久性、平坦性、印刷適性などを備えていることが望ましい。
【0020】
具体的材料として、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアクリルエステル、ポリカーボネート、生分解性プラスチックなどの合成樹脂、ガラス板などを使用することができる。
【0021】
透明基材層1の厚みは、印刷シートの使用目的や要求性能によっても異なる。いわゆるフィルムからシートあるいは板材と呼ばれる範囲の厚みが採用できる。
【0022】
また、透明基材層1を、材料や特性、厚みが異なる複数の層を積層して構成することもできる。
【0023】
透明基材層1にベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2は、通常の印刷技術で形成され、視覚的に意匠領域2aを表現していることが認識できる形状や色、質感を有していればよい。このベースインク層2は、不透明インクで構成され、光を完全に遮光するものに限らず、光が透過するものでもよい。光が透過する場合には、意匠領域2aを区別できればよく、透明基材層1の反対面から入射し、透明基材1側へ透過する光の量が意匠領域2aとベースインク層2との間で差があればよい。
【0024】
ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0025】
ベースインク層2を印刷するには、着色インク、透明着色インク、微粉分散インクなどの通常のインク材料が使用される。透明度を調整した透明インクも使用できる。透明インク層であっても、表面に微細な凹凸を設けることで、意匠領域2aの形状や面を構成することができる。
【0026】
例えば、透明基材層1側から、着色透明インク層および非着色透明インク層を順次配置して意匠領域2aを形成することができる。反射層の色や質感が、着色透明インク層および非着色透明インク層を通して見えることにより、複雑で深みのある色の面を構成することができる。
【0027】
透明インク層の表面に、厚みの違いによる微細模様を設けておくと、透明インク層を通過したり屈折したり反射したりする光が、微細模様によって微妙な変化を受け、単なる着色では得られない色感や質感が得られる。このような微細模様による印刷を、ヘアライン模様、梨地模様などと呼ぶことがある。この場合も、反射層5との組み合わせによる色や質感の変化をつけた表現が可能である。
【0028】
ベースインク層2の厚み(s)は、通常の印刷物と同様の範囲に設定でき、3μm以上の厚みに形成される。また、ベースインク層2を2回印刷などで厚くする場合もある。
【0029】
図1に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅(a)はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚み(r)は3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離(z)は、ベースインク層2の厚み(s)に第1の輪郭インク層3の厚み(r)を加算した値となる。
【0030】
この第1の輪郭インク層3は、透明又は半透明のインクを印刷することで形成される。このインクは、完全な透明性を有するインクであってもよいし、輪郭インク層の機能を損なわない範囲で、少し透明性を落とした半透明状の透明インクや薄く着色された着色透明インクも使用できる。無色透明のメジウム材料が配合された透明メジウムインクも使用できる。シリカなどのマットメジウムを配合した、つや消し状のマットインクも使用できる。メジウムインクは、メジウムの配合量を変えることで、印刷インクの粘度を調整でき、幅が狭く厚みのある輪郭インク層を形成するのに適している。
【0031】
通常は、意匠領域2aの全周に隣接して第1の輪郭インク層3を配置するが、立体表現の目的によっては、意匠領域2aの周縁の一部には輪郭インク層を設けない場合もある。透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離(z)を大きくするほど、第1の輪郭インク層3による立体表現効果が強くなる。
【0032】
第1の輪郭インク層3の幅は、目的とする立体表現効果を発揮するのに必要な比較的に細い幅に設定される。幅が広過ぎると、立体表現効果は乏しくなる。また、幅が狭過ぎると、印刷による形成が困難になるとともに、立体表現効果も少なくなる。通常は、輪郭インク層3の厚みに比べて幅が狭くなる。厚みが分厚く細幅であるほど、立体表現効果が高まる傾向がある。
【0033】
この発明では、意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離(b)を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域(d)を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚み(t)は3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離(y)は、ベースインク層2の厚み(s)に第1の輪郭インク層3の厚み(r)と第2の輪郭インク層4の厚み(t)を加算した値となる。
【0034】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔(b)で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0035】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が適している。
【0036】
この実施形態では、反射層5は、光が通過しない遮光性を有するインクで印刷形成する。この反射層5は、各種の色を呈する着色層で構成することができる。
【0037】
反射層5は、金属微粉などの光反射性微粉末を含有する光反射性インク層で構成することができる。光反射性微粉末を樹脂あるいはインク材料に分散させたり練り込んだりすることで得られる。このような光反射性インクは、メタルインク、メタルクロムシルバーインクなどとも呼ばれている。光反射性微粉末として、メタルマイカ、パールマイカ、アルミニウムなどが使用できる。使用する光反射性微粉末の種類などによって、金色、銀色、銅色、クロム色などの金属色を表現することができる。
【0038】
反射層5における光反射性インク層は、意匠領域2aや第1、第2の輪郭インク層3、4を通過した光を反射して表面側に戻すことによって、意匠領域2aにおける表現に変化をつけたり、第1、第2の輪郭インク層3,4による立体表現により深みを持たせたりすることができる。いわゆる金属調の表現が可能である。透明基材層1の露出面に反射層5が配置されている個所では、反射層5の色や質感、性状がそのまま、立体表現印刷シートの一部として見える。
【0039】
反射層5の背面は、平坦にすることもできるし、意匠領域2aや第1、第2の輪郭インク層3、4の厚みの違いによる凹凸にしたがって凹凸が生じた状態であってもよい。
【0040】
反射層5が、接触や水濡れなどに弱い材料の場合、強度や耐水性のある裏打ち層を設けてもよい。裏打ち層を設けることで、反射層を保護することができる。例えば、反射層が、金属微粉による光反射層の場合、金属微粉の反射性を長期間にわたって維持するために裏打ち層が有効である。
【0041】
また、反射層5は、インクだけではなくメッキ、蒸着膜や光沢箔を設けることにより構成することもできる。
【0042】
立体表現印刷シートの各層の構造が形成できる印刷方法であれば、通常の印刷物における印刷技術が適用できる。
【0043】
印刷方法として、スクリーン印刷法を採用すれば、細幅で厚みのある第1、第2の輪郭インク層3、4の形成が容易である。意匠領域2aにおける表現も多彩になる。厚みが違う意匠領域2aおよび第1、第2の輪郭インク層3、4を含む透明基材層1を覆って反射層5を印刷するのも行い易い。スクリーン印刷法として、シルクスクリーン印刷法が、正確なパターンを能率的かつ経済的に印刷できる方法として好ましい。
【0044】
この発明の立体表現印刷シートは、図1に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が透明基材層1を通して意匠領域2aを観察することで、透明基材層1を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。
【0045】
そして、この発明の印刷シートは、立体感による意匠効果が必要とされる各種用途に利用することができる。例えば、各種機器に取り付けられる銘板に使用できる。銘板に印刷された文字や記号が明瞭に確認できる。
【0046】
立体表現された印刷シートが、各種機器の外殻部品あるいは外装板、面板など機器を構成する部材であれば、立体表現印刷が一体形成された機器を構成できる。各種のシールやラベル、ステッカーに使用できる。
【0047】
このような立体表現された印刷シートを配置することができる機器の具体例として、携帯電話、デジタルカメラなどのファッション性が要求される携帯機器がある。電化製品や建材製品もある。自動車などのエンブレムとして立体表現印刷シートを利用することもできる。
【0048】
書籍の表紙やパンフレット、包装用紙などに使用できる。立体感のある絵画の印刷出版にも使用できる。置物などの装飾品の一部に貼り付けて、装飾効果を高めることができる。
【0049】
この発明の印刷シートの実施形態の一例につき更に説明する。図1、図2に示す実施形態は、シート状の立体表現印刷シート、すなわち立体表現印刷シートである。
【0050】
図1に示すように、立体表現印刷シートは、太矢印Aで示す方向から観察されるようにして使用する。
【0051】
印刷シートの最表面には、透明樹脂フィルムなどからなる透明基材層1が設けられる。透明基材層1の表面および背面は平滑である。透明基材層1の具体例として、ポリエステル透明フィルムが用いられる。
【0052】
透明基材層1の背面には、所望の意匠領域2aを構成するために、ベースインク層2が印刷される。ベースインク層2は、通常の印刷技術で形成された地色インク層で形成される。なお、このベースインク層2は、視覚的に意匠領域2aを表現していることが認識できる形状や色、質感を有していればよい。図2に示すように、意匠領域2aの平面形状は、文字、星形や円などの図形を表している。
【0053】
図1に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅(図中a)はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。
【0054】
この第1の輪郭インク層3は、透明又は半透明のインクを印刷することで形成される。このインクは、完全な透明性を有するインクであってもよいし、輪郭インク層3の機能を損なわない範囲で、少し透明性を落とした半透明状の透明インクや薄く着色された着色透明インクも使用できる。
【0055】
さらに、この実施形態では、意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離(図中b)を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域(図中d)を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔(図中b)で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔(図中b)に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。
【0056】
上記のように、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4により、ベースインク層2の周縁から意匠領域2aの内側へ図中cで示す領域だけ透明又は半透明の輪郭インク層が設けられることになる。
【0057】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1の背面に反射層5が印刷される。
【0058】
反射層5は、光が通過しない遮光性を有するインクで印刷形成する。この反射層5は、各種の色を呈する着色層で構成することができる。
【0059】
反射層5は、金属微粉などの光反射性微粉末を含有する光反射性インク層で構成することができる。
【0060】
図中cで示す範囲で、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を上記したbの間隔を保つように印刷を行うことにより、両輪郭インク層3、4が重なる領域dが形成される。この領域dが形成されることで、透明又は半透明の輪郭インク層のなかでその輪郭インク層3、4を透過し、反射層5で反射した光の量が図中矢印に示すように変化する。この結果、立体感とエッジ感を出すことができる。また、意匠領域2aに対して輪郭インク層3、4はテーパー面3a、4aが設けられていることで、レンズ効果が得られ、更に立体効果が得られる。
【0061】
この意匠領域2aにおける可視範囲と第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4とのそれぞれの間隔は可視範囲との関係から適宜選択できる。図3は、図2の平面図のα部分で囲んだ領域の拡大した模式的平面図である。
【0062】
図3に示すように、反射層5の周縁で囲まれた領域が可視範囲内となる。第1の輪郭インク層3は、反射層5の周縁からセンター側に向かって(図中矢印B方向)1%から49%になる領域に形成する。視認性を確保するためには、輪郭インク層3、4が設けられていない領域が50%以上ある方が好ましい。このことから第1の輪郭インク層3は、反射層5の周縁からセンター側に向かって(図中矢印B方向)10%〜20%の範囲で形成することが好ましい。
【0063】
また、第1の輪郭インク層3に対して第2の輪郭インク層4が重なる領域(図中d)は、1%〜99%の範囲で適宜選択すればよいが、好ましくは第1の輪郭インク層3に対して50%前後の領域が重なるように形成すればよい。
【0064】
さらに、第2の輪郭インク層4の幅は、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4が重なる領域の2倍以上あればよい。好ましくは、bの部分と、dの部分とc−(b+d)の部分が等間隔になるように形成する。すなわち、反射層5の周縁からの第1の輪郭インク層3の幅(b+d)と、第2の輪郭インク層4の幅(c−b+d))(第2の輪郭インク層4が意匠領域2aに現れる領域)とを等しくし、これら第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが50%で重なるようにし、それぞれが同対比にすることが好ましい。
【0065】
これらの各インク層の厚みは全層3μm以上で、それぞれの層をスクリーン印刷で透明基材層1上に設ければよい。
【0066】
次に、この発明の第2の実施形態につき、図4に従い説明する。図4に示す実施形態は、第1の実施形態の印刷シートの裏面に粘着剤又は接着剤からなる接着層9を設けている。図4に示すように、反射層5の裏面側に接着層9を設けている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。この接着層9は、粘着層9aに剥離シート9bが貼り付けられている。粘着層9aの表面は、使用時まで剥離シート9bで覆っておくことで、取り扱いが容易となる。このように、反射層5の裏面側に接着層9を設けておくことで、銘板やステッカーなどを貼り付けて使用するのに便利である。この接着層9としては、両面粘着シート等を用いることができる。
【0067】
次に、この発明の第3の実施形態につき、図5に従い説明する。図5に示す実施形態は、基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。基材フィルム10としては、グラシン紙、パーチメント紙等の紙、コロナ放電処理されたOPPフィルムまたはシート、ポリエステルフィルムまたはシート等、各種のプラスチックフィルムまたはシートを用いることができる。剥離コート層11としては、カルナバワックス、オーリキュリーワックス、シュガーケンワックス、ライスワックス等の植物ワックス、さらには、パラフインワックス、ポリエチレンワックス等を用いることができる。基材フィルム10が透明または半透明の場合には、基材フィルム10を剥離コート層11から剥離しなくても基材1a側から立体表現される意匠領域2aを観察することができる。基材1aが光を透過しない部材の場合には、基材1aを剥離コート層11から剥離し、剥離コート層11側から観察する。剥離コート層11の材質によっては、基材フィルム10ともに印刷された意匠領域2aから除去される。
【0068】
基材1aの剥離コート層11上に、第1の実施形態と同様に、立体表現がなされる印刷が施される。基材1aの剥離コート層11上に、ベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0069】
図5に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0070】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0071】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0072】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。
【0073】
そして、第2の実施形態と同様に、反射層5の裏面側に接着層9を設けている。この接着層9は、粘着層9aに剥離シート9bが貼り付けられている。
【0074】
このように形成された第3の実施形態の印刷シートを各種機器、ガラス、金属、樹脂製品、陶器などの成形品100に貼り付けた状態を図6に示す。図6に示すように、接着層9の剥離シート9bを剥がし、粘着層9aにより、成形品100に印刷シートが貼り付けられる。また、貼り付けた後、基材1の基材フィルム10を剥がし、印刷面側には剥離コート層11が残った状態となっている。図6に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が剥離コート層11を通して意匠領域2aを観察することで、剥離コート層11を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。
【0075】
次に、この発明の第4の実施形態につき、図7に従い説明する。図7に示す実施形態は、意匠領域2aに模様層6を設けている。この模様層6は、微細な凹凸模様を形成して、面方向に厚みの違いを形成しておくことで、いわゆるヘアライン調、梨地調の質感を表現することもできる。例えば、厚み12μmの透明インク層に、幅100μm、深さ10μmの凹凸からなるヘアライン模様を形成することができる。
【0076】
また、遮蔽層2、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4、模様層6を反射層5を形成する際に、溶剤に対する吸着率に差がないインクにより形成することで、光反射性微粉末の分布密度は変化がない。
【0077】
さらに、第1、第2の輪郭インク層3、4に遮蔽インク層2、反射層5とは異なる色で着色することで、立体的効果と縁取りの意匠効果が得られる。
【0078】
次に、この発明の第5の実施形態につき、図8に従い説明する。図8に示す実施形態は、第4の実施形態の印刷シートの裏面に粘着剤又は接着剤からなる接着層9を設けている。図8に示すように、反射層5の裏面側に接着層9を設けている。その他の構成は、第1、第4の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。この接着層9は、粘着層9aに剥離シート9bが貼り付けられている。粘着層9aの表面は、使用時まで剥離シート9bで覆っておくことで、取り扱いが容易となる。
【0079】
次に、この発明の第6の実施形態につき、図9に従い説明する。図9に示す実施形態は、基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。その他の構成は、第1、第3、第5の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。
【0080】
次に、この発明の第7実施形態につき、図10に従い説明する。この第7の実施形態は、反射層5を形成する前に、着色や模様などを設けたインク層7を透明基材層1全面に設けたものである。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。
【0081】
次に、この発明の第8の実施形態につき、図11に従い説明する。図11に示す実施形態は、第7の実施形態の印刷シートの裏面に粘着剤又は接着剤からなる接着層9を設けている。図11に示すように、反射層5の裏面側に接着層9を設けている。その他の構成は、第1、第7の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。この接着層9は、粘着層9aに剥離シート9bが貼り付けられている。粘着層9aの表面は、使用時まで剥離シート9bで覆っておくことで、取り扱いが容易となる。
【0082】
次に、この発明の第9の実施形態につき、図12に従い説明する。図12に示す実施形態は、基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。その他の構成は、第1、第7、第8の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。
【0083】
次に、この発明の第10の実施形態につき、図13に従い説明する。上記した第1から第9の実施形態は、透明基材層1または基材1a(剥離コート層11)側から意匠領域2aを視認するように構成しているが、図13に示す実施形態は、第1、第2の輪郭層3、4を設けた側(図中B方向)から意匠領域2aを視認するように構成している。
【0084】
この実施形態は、透明基材層1の全面に反射層50を形成する。反射層50は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が適している。
【0085】
この実施形態では、反射層50は、光が通過しない遮光性を有するインクで印刷形成する。この反射層50は、各種の色を呈する着色層で構成することができる。また、反射層50に、微細な凹凸模様を形成して、面方向に厚みの違いを形成しておくことで、いわゆるヘアライン調、梨地調の質感を表現することもできる。例えば、厚み12μmのインク層に、幅100μm、深さ10μmの凹凸からなるヘアライン模様を形成することができる。
【0086】
反射層50にベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。
【0087】
ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。
【0088】
図13示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。
【0089】
この第1の輪郭インク層3は、透明又は半透明のインクを印刷することで形成される。このインクは、完全な透明性を有するインクであってもよいし、輪郭インク層の機能を損なわない範囲で、少し透明性を落とした半透明状の透明インクや薄く着色された着色透明インクも使用できる。
【0090】
通常は、意匠領域2aの全周に隣接して第1の輪郭インク層3を配置するが、立体表現の目的によっては、意匠領域2aの周縁の一部には輪郭インク層を設けない場合もある。
【0091】
第1の輪郭インク層3の幅は、目的とする立体表現効果を発揮するのに必要な比較的に細い幅に設定される。幅が広過ぎると、立体表現効果は乏しくなる。また、幅が狭過ぎると、印刷による形成が困難になるとともに、立体表現効果も少なくなる。通常は、輪郭インク層3の厚みに比べて幅が狭くなる。厚みが分厚く細幅であるほど、立体表現効果が高まる傾向がある。
【0092】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。
【0093】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0094】
必要に応じて、ベース領域2、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭層4を含んで反射層50上に透明又は半透明のインク層8が設けられる。
【0095】
この発明の第10の実施形態では、立体表現印刷シートは、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4側から観察される意匠領域2aが、立体的に沈んだ状態で見える。
【0096】
なお、この第10の実施形態においては、基材1を通して意匠領域2aを観察するものではないので、基材1は透明でなく不透明の基板等も用いることができる。
【0097】
次に、この発明の第11の実施形態につき、図14ないし図16に従い説明する。第11の実施形態は、立体感を有する表面装飾が施された構造体であり、上記した印刷シート以外に直接成形品等に立体感を有する表面装飾を施すものも含むものである。図14に示すように、透明基材1bに塗装または印刷により、インク層2が形成されている。この透明基材1bは、印刷シートの場合には、上記した各フィルム等が用いられ、直接成形品に用いる場合には、ガラス、樹脂製品などの成形品が用いる材料が用いられる。
【0098】
透明基材1bに設けられたインク層2に意匠領域2aを形成するために、レーザー20でインク層を除去して、透明基材1b上に意匠領域2a部分以外にインク層2を残す(図15参照)。この残った印刷層2が、第1の実施形態に示すベースインク層2と同じ層として形成される。レーザー20でインク層を除去して表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0099】
図16に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0100】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0101】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0102】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。
【0103】
このように形成された第11の実施形態は、各種機器、ガラス、樹脂製品などの基材1bに直接形成することができる。図16に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が基材1aを通して意匠領域2aを観察することで、基材1aを通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。勿論、第1ないし第10の実施形態のように、印刷シート用のフィルムに形成して、印刷シートを作成することも可能である。
【0104】
尚、上記した第11の実施形態においては、意匠領域2aの形成に、レーザーを用いてインク層を除去していたが、マスキングやインクジェットによるオンデマンド印刷などにより、意匠領域2aにインクを塗布せずにベースインク層2を形成しても良い。また、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4は、大きさにもよるが、印刷に限らず、インクジェットによるオンデマンド印刷、マスキングを施した塗膜で形成することも可能である。
【0105】
次に、この発明の第12の実施形態につき、図17ないし図19に従い説明する。第11の実施形態は、立体感を有する表面装飾が施された構造体であり、上記した印刷シート以外に直接成形品等に立体感を有する表面装飾を施すものも含むものである。この第12の実施形態は、第1、第2の輪郭層3、4を設けた側(図中B方向)から意匠領域2aを視認するように構成している。
【0106】
図17に示すように、この第12の実施形態は、基材1cの全面に反射層50を形成する。反射層50は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が適している。この反射層50に塗装または印刷により、インク層2が形成されている。この透明基材1cは、印刷シートの場合には、上記した各フィルム等が用いられ、直接成形品に用いる場合には、ガラス、金属、樹脂製品、陶器などの成形品が用いる材料が用いられる。
【0107】
反射層50に設けられたインク層2に意匠領域2aを形成するために、レーザー20でインク層を除去して、反射層50上に意匠領域2a部分以外にインク層2を残す(図18参照)。この残った印刷層2が、第1の実施形態に示すベースインク層2と同じ層として形成される。レーザー20でインク層を除去して表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0108】
図19に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。そして、反射層50上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0109】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。そして、反射層50上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0110】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0111】
このように形成された第12の実施形態は、各種機器、ガラス、金属、樹脂製品、陶器などの基材1cに直接形成することができる。図19に示すように、図中Bで示す矢印方向から観察者が第1、第2の輪郭層3、4を設けた側から意匠領域2aを観察することで、意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。勿論、第1ないし第10の実施形態のように、印刷シート用のフィルムに形成して、印刷シートを作成することも可能である。
【0112】
尚、上記した第12の実施形態においては、意匠領域2aの形成に、レーザーを用いてインク層を除去していたが、マスキングやインクジェットによるオンデマンド印刷などにより、意匠領域2aにインクを塗布せずにベースインク層2を形成しても良い。また、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4は、大きさにもよるが、印刷に限らず、インクジェットによるオンデマンド印刷、マスキングを施した塗膜で形成することも可能である。
【0113】
次に、この発明の第13の実施形態につき、図20ないし図22に従い説明する。この第13の実施形態は、被着体に転写する転写シートにこの発明を適用したものである。この第13の実施形態は、立体感を有する表面装飾を被着体に熱転写するものである。
【0114】
図20に示す実施形態は、基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。基材フィルム10としては、グラシン紙、パーチメント紙等の紙、コロナ放電処理されたOPPフィルムまたはシート、ポリエステルフィルムまたはシート等、各種のプラスチックフィルムまたはシートを用いることができる。剥離コート層11としては、カルナバワックス、オーリキュリーワックス、シュガーケンワックス、ライスワックス等の植物ワックス、さらには、パラフインワックス、ポリエチレンワックス等を用いることができる。基材1aを剥離コート層11から剥離し、剥離コート層11側から観察する。剥離コート層11の材質によっては、基材フィルム10ともに印刷された意匠領域2aから除去される。
【0115】
基材1aの剥離コート層11上に、第1の実施形態と同様に、立体表現がなされる印刷が施される。基材1aの剥離コート層11上に、ベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0116】
図20に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0117】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0118】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0119】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4、反射層5で転写層15が構成される。
【0120】
そして、反射層5の裏面側に熱軟化式の接着層90を設けている。この接着層90は、熱転写時に、転写層15を被着体100に強固に接着させるものである。接着層90を形成する接着剤は、公知の材料を使えばよい。具体的には、例えば、アクリル系、スチレン系、ビニル系、エステル系、ウレタン系、塩素化オレフィン系、エチレン酢ビ系接着剤を用いることができる。
【0121】
このように形成された第13の実施形態の転写シートを衣類、帽子、靴、手袋、鞄等の布生地、ガラス、金属、樹脂製品、革製品、陶器などの被着体100に熱転写して転写層15を転写する。その転写を図21、図22に従い説明する。図21に示すように、接着層90を被着体100上に載せ、基材1側から図中矢印H方向に加熱しながら加圧する。加熱しながら加圧することで、接着層90が軟化し、剥離コート層11より下或いは転写層15より下が全て基材フィルム10より離脱し、被着体100上に立体感を有する転写層15が転写される。
【0122】
図22に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が剥離コート層11を通して意匠領域2aを観察することで、剥離コート層11を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。また、被着体100が透明または半透明の場合には、図中B方向から観察しても意匠領域2aが立体的に見える。
【0123】
図29は、被着体として衣類100にこの実施形態の転写シートの転写層15を転写したものである。このように転写層15を衣類100に転写すると、意匠領域20aが立体的に浮き上がって観察でき、インパクトある意匠等を表現することができる。
【0124】
次に、この発明の第14の実施形態につき、図23ないし図25に従い説明する。この第13の実施形態は、被着体に転写する転写シートにこの発明を適用したものである。この第13の実施形態は、立体感を有する表面装飾を被着体に感圧転写するものである。
【0125】
図23に示す実施形態は、第13の実施形態と同様に基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。基材1aを剥離コート層11から剥離し、剥離コート層11側から観察する。剥離コート層11の材質によっては、基材フィルム10ともに印刷された意匠領域2aから除去される。
【0126】
基材1aの剥離コート層11上に、第1の実施形態と同様に、立体表現がなされる印刷が施される。基材1aの剥離コート層11上に、ベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0127】
図20に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0128】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0129】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0130】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4、反射層5で転写層15が構成される。
【0131】
そして、反射層5の裏面側に感圧軟化式の接着層91を設けている。この接着層91は、感圧転写時に、転写層15を被着体100に強固に接着させるものである。接着層91を形成する接着剤は、公知の材料を使えばよい。具体的には、例えば、ポリビニルイソブチルエーテルを用いることができる。
【0132】
このように形成された第14の実施形態の転写シートを衣類、帽子、靴、手袋、鞄等の布生地、ガラス、金属、樹脂製品、革製品、陶器などの被着体100に感圧転写して転写層15を転写する。その転写を図24、図25に従い説明する。図24に示すように、接着層90を被着体100上に載せ、基材1側から図中矢印P方向に加圧する。加圧することで、接着層90が軟化し、剥離コート層11より下或いは転写層15より下が全て基材フィルム10より離脱し、被着体100上に立体感を有する転写層15が転写される。
【0133】
図25に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が剥離コート層11を通して意匠領域2aを観察することで、剥離コート層11を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。また、被着体100が透明または半透明の場合には、図中B方向から観察しても意匠領域2aが立体的に見える。
【0134】
次に、この発明の第15の実施形態につき、図26ないし図28に従い説明する。この第13の実施形態は、被着体に転写する転写シートにこの発明を適用したものである。この第13の実施形態は、立体感を有する表面装飾を被着体に水転写するものである。
【0135】
図26に示す実施形態は、基材1dとして、基材フィルム10に、水溶性剥離コート層11を設けたものを用いている。基材1aを剥離コート層11から剥離し、剥離コート層11側から観察する。剥離コート層11の材質によっては、基材フィルム10ともに印刷された意匠領域2aから除去される。剥離コート層11に水性感圧接着層92を設けている。この接着層92は、水に浸漬すると粘着性を有し、転写後は水による洗浄にも転写層15の接着は十分に耐える。
【0136】
基材1aの剥離コート層11上、接着層92に、第1の実施形態と同様に、立体表現がなされる印刷が施される。基材1aの剥離コート層11上に、ベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0137】
図26に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0138】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0139】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0140】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4、反射層5で転写層15が構成される。
【0141】
そして、反射層5の裏面側に水性感圧接着層92を設けている。この接着層92は、水に浸漬すると粘着性を有し、転写後は水による洗浄にも転写層15の接着は十分に耐えるものである。
【0142】
このように形成された第15の実施形態の転写シートを衣類、帽子、靴、手袋、鞄等の布生地、ガラス、金属、樹脂製品、革製品、陶器などの被着体100に水転写して転写層15を転写する。その転写を図27、図28に従い説明する。図27に示すように、転写シートを水に漬けた後、転写シートを被着体100上に載せ、基材1d側から図中矢印P方向に加圧する。水に漬けることにより、接着層92が粘着性を有し、また、剥離コート層11は剥離しやすくなっており、転写層15より下が全て基材フィルム10より離脱し、被着体100上に立体感を有する転写層15が転写される。
【0143】
図28に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が剥離コート層11を通して意匠領域2aを観察することで、剥離コート層11を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。また、被着体100が透明または半透明の場合には、図中B方向から観察しても意匠領域2aが立体的に見える。
【0144】
尚、第15の実施形態においては、接着層92を被着体100側と基材フィルム10側の両面に形成しているが、どちらか一方にのみ接着層を形成するように構成することもできる。
【0145】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0146】
この発明の印刷シートは、各種機器に貼り付けて使用する銘板、印刷ラベルなどに利用でき、深みのある立体表現を与えて、銘板などの商品価値を高めることができる。この発明の転写シートは、衣類、帽子、靴、手袋、鞄等の布生地、ガラス、金属、樹脂製品、革製品、陶器などに転写することで、インパクトある意匠を表現することができる。
【符号の説明】
【0147】
1 透明基材層
2 ベースインク層
2a 意匠領域
3 第1の輪郭インク層
4 第2の輪郭インク層
5 遮光インク層
【技術分野】
【0001】
この発明は、立体感を有する表面装飾が施された構造体、立体感を有する印刷シート並びに転写シートに関し、詳しくは、文字や図形などの各種の意匠が立体的に表現された立体感を有する表面装飾が施された構造体、立体感を有する印刷シート並びに転写シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
文字や図形などの意匠が立体的に浮き上がったり凹凸があったりするように見える立体表現印刷シートは、通常の平面的な印刷物に比べてより豊かな表現が可能であり、外観意匠性の高い印刷物となる。
【0003】
このような立体感を有する印刷シートとして、例えば、特許文献1に記載された印刷シートがある。
【0004】
特許文献1に記載された印刷シートは、透明性を有する被印刷板と、意匠部分に相当する白抜き部における外周に形成された透明インク層と、白抜き部と透明インク層の裏面とに形成された高輝度ハーフミラー層とで構成されている。
【0005】
このように、意匠を形成する部分は、被印刷板の裏面に設けられ、透明インク層の裏層に高輝度ハーフミラー層が形成されているので、白抜き部の外周部に影ができたようになる。そのため、視認者には、白抜き部分が浮き上がったように見え、白抜き部分が立体的に見えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−64356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された印刷シートにおいては、白抜き部の外周部に影ができたように視認されるだけで、外周部の立ち上がり感が無く丸みを帯びたように視認される。特に、文字等の場合には輪郭部分がシャープに立ち上がるように視認されることが望まれる。
【0008】
この発明は、輪郭部分がシャープに立ち上がり、外観的意匠効果並びに視認効果に優れた立体感を有する印刷シート並びに転写することによって被転写体に立体的な装飾を施すことができる転写シートを提供することを目的とする。
【0009】
また、この発明は、輪郭部分がシャープに立ち上がり、外観的意匠効果並びに視認効果に優れた立体感のある表面装飾が施された構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、表面側に配置される透明基材層と、前記透明基材層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、前記意匠部分、第1及び第2の輪郭インク層を覆って前記透明基材層上に設けられた反射層と、を備える。
【0011】
また、前記第1及び第2の輪郭インク層の前記意匠部分側の面に到達する側面は、テーパー面に形成するとよい。
【0012】
また、前記意匠部分に相当する領域は、前記第1及び第2の輪郭インク層が設けられていない領域が50%以上存在するように構成するとよい。
【0013】
また、前記第1の輪郭インク層に対して第2の輪郭インク層が重なる領域を、50%前後にするとよく、さらに、前記前記意匠部分の輪郭から所定の距離と、前記第1の輪郭インク層に対して第2の輪郭インク層が重なる領域と、前記第2の領域が前記意匠部分に現れる領域と、が同対比に構成するとよい。
【0014】
また、この発明の印刷シートは、基材層と、基材層上に設けられた反射層と、前記反射層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、第1及び第2の輪郭インク層が重なる領域が形成されることで、透明又は半透明の輪郭インク層のなかでその輪郭インク層を透過し、反射層で反射した光の量が変化することで、立体感とエッジ感を出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的平面図である。
【図3】図2のα部分で囲んだ領域を拡大した模式的平面図である。
【図4】この発明の第2の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図5】この発明の第3の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図6】この発明の第3の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図7】この発明の第4の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図8】この発明の第5の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図9】この発明の第6の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図10】この発明の第7の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図11】この発明の第8の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図12】この発明の第9の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図13】この発明の第10の実施形態を示す立体感を有する印刷シートの模式的断面図である。
【図14】この発明の第11の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体の形成状態を示す模式的断面図である。
【図15】この発明の第11の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体の形成状態を示す模式的断面図である。
【図16】この発明の第11の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体を示す模式的断面図である。
【図17】この発明の第12の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体の形成状態を示す模式的断面図である。
【図18】この発明の第12の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体の形成状態を示す模式的断面図である。
【図19】この発明の第12の実施形態である立体感を有する表面装飾が施された構造体を示す模式的断面図である。
【図20】この発明の第13の実施形態を示す立体感を有する転写シートの模式的断面図である。
【図21】この発明の第13の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図22】この発明の第13の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図23】この発明の第14の実施形態を示す立体感を有する転写シートの模式的断面図である。
【図24】この発明の第14の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図25】この発明の第14の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図26】この発明の第15の実施形態を示す立体感を有する転写シートの模式的断面図である。
【図27】この発明の第15の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図28】この発明の第15の実施形態を示す立体感を有する印刷シートを成型品等に貼り付けた状態を示す模式的断面図である。
【図29】被着体として衣類にこの実施形態の転写シートの転写層を転写した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、説明の重複を避けるためにその説明は繰返さない。
【0018】
図1は、この発明による立体感を有する印刷シートの第1の実施形態を示す模式的断面図であり、図2は同平面図である。
【0019】
まず、この発明による立体感を有する印刷シートの第1の実施形態の構造を説明する。基材となる透明基材層1として、透明性の高い材料が用いられる。この透明基材層1は、完全な透明材料であってもよいし、光透過性を損なわない程度に薄く着色された半透明材料であってもよい。意匠領域を形成するインク層などを印刷する基材に適した機械的強度や物理的・化学的耐久性、平坦性、印刷適性などを備えていることが望ましい。
【0020】
具体的材料として、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアクリルエステル、ポリカーボネート、生分解性プラスチックなどの合成樹脂、ガラス板などを使用することができる。
【0021】
透明基材層1の厚みは、印刷シートの使用目的や要求性能によっても異なる。いわゆるフィルムからシートあるいは板材と呼ばれる範囲の厚みが採用できる。
【0022】
また、透明基材層1を、材料や特性、厚みが異なる複数の層を積層して構成することもできる。
【0023】
透明基材層1にベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2は、通常の印刷技術で形成され、視覚的に意匠領域2aを表現していることが認識できる形状や色、質感を有していればよい。このベースインク層2は、不透明インクで構成され、光を完全に遮光するものに限らず、光が透過するものでもよい。光が透過する場合には、意匠領域2aを区別できればよく、透明基材層1の反対面から入射し、透明基材1側へ透過する光の量が意匠領域2aとベースインク層2との間で差があればよい。
【0024】
ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0025】
ベースインク層2を印刷するには、着色インク、透明着色インク、微粉分散インクなどの通常のインク材料が使用される。透明度を調整した透明インクも使用できる。透明インク層であっても、表面に微細な凹凸を設けることで、意匠領域2aの形状や面を構成することができる。
【0026】
例えば、透明基材層1側から、着色透明インク層および非着色透明インク層を順次配置して意匠領域2aを形成することができる。反射層の色や質感が、着色透明インク層および非着色透明インク層を通して見えることにより、複雑で深みのある色の面を構成することができる。
【0027】
透明インク層の表面に、厚みの違いによる微細模様を設けておくと、透明インク層を通過したり屈折したり反射したりする光が、微細模様によって微妙な変化を受け、単なる着色では得られない色感や質感が得られる。このような微細模様による印刷を、ヘアライン模様、梨地模様などと呼ぶことがある。この場合も、反射層5との組み合わせによる色や質感の変化をつけた表現が可能である。
【0028】
ベースインク層2の厚み(s)は、通常の印刷物と同様の範囲に設定でき、3μm以上の厚みに形成される。また、ベースインク層2を2回印刷などで厚くする場合もある。
【0029】
図1に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅(a)はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚み(r)は3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離(z)は、ベースインク層2の厚み(s)に第1の輪郭インク層3の厚み(r)を加算した値となる。
【0030】
この第1の輪郭インク層3は、透明又は半透明のインクを印刷することで形成される。このインクは、完全な透明性を有するインクであってもよいし、輪郭インク層の機能を損なわない範囲で、少し透明性を落とした半透明状の透明インクや薄く着色された着色透明インクも使用できる。無色透明のメジウム材料が配合された透明メジウムインクも使用できる。シリカなどのマットメジウムを配合した、つや消し状のマットインクも使用できる。メジウムインクは、メジウムの配合量を変えることで、印刷インクの粘度を調整でき、幅が狭く厚みのある輪郭インク層を形成するのに適している。
【0031】
通常は、意匠領域2aの全周に隣接して第1の輪郭インク層3を配置するが、立体表現の目的によっては、意匠領域2aの周縁の一部には輪郭インク層を設けない場合もある。透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離(z)を大きくするほど、第1の輪郭インク層3による立体表現効果が強くなる。
【0032】
第1の輪郭インク層3の幅は、目的とする立体表現効果を発揮するのに必要な比較的に細い幅に設定される。幅が広過ぎると、立体表現効果は乏しくなる。また、幅が狭過ぎると、印刷による形成が困難になるとともに、立体表現効果も少なくなる。通常は、輪郭インク層3の厚みに比べて幅が狭くなる。厚みが分厚く細幅であるほど、立体表現効果が高まる傾向がある。
【0033】
この発明では、意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離(b)を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域(d)を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚み(t)は3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離(y)は、ベースインク層2の厚み(s)に第1の輪郭インク層3の厚み(r)と第2の輪郭インク層4の厚み(t)を加算した値となる。
【0034】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔(b)で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0035】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が適している。
【0036】
この実施形態では、反射層5は、光が通過しない遮光性を有するインクで印刷形成する。この反射層5は、各種の色を呈する着色層で構成することができる。
【0037】
反射層5は、金属微粉などの光反射性微粉末を含有する光反射性インク層で構成することができる。光反射性微粉末を樹脂あるいはインク材料に分散させたり練り込んだりすることで得られる。このような光反射性インクは、メタルインク、メタルクロムシルバーインクなどとも呼ばれている。光反射性微粉末として、メタルマイカ、パールマイカ、アルミニウムなどが使用できる。使用する光反射性微粉末の種類などによって、金色、銀色、銅色、クロム色などの金属色を表現することができる。
【0038】
反射層5における光反射性インク層は、意匠領域2aや第1、第2の輪郭インク層3、4を通過した光を反射して表面側に戻すことによって、意匠領域2aにおける表現に変化をつけたり、第1、第2の輪郭インク層3,4による立体表現により深みを持たせたりすることができる。いわゆる金属調の表現が可能である。透明基材層1の露出面に反射層5が配置されている個所では、反射層5の色や質感、性状がそのまま、立体表現印刷シートの一部として見える。
【0039】
反射層5の背面は、平坦にすることもできるし、意匠領域2aや第1、第2の輪郭インク層3、4の厚みの違いによる凹凸にしたがって凹凸が生じた状態であってもよい。
【0040】
反射層5が、接触や水濡れなどに弱い材料の場合、強度や耐水性のある裏打ち層を設けてもよい。裏打ち層を設けることで、反射層を保護することができる。例えば、反射層が、金属微粉による光反射層の場合、金属微粉の反射性を長期間にわたって維持するために裏打ち層が有効である。
【0041】
また、反射層5は、インクだけではなくメッキ、蒸着膜や光沢箔を設けることにより構成することもできる。
【0042】
立体表現印刷シートの各層の構造が形成できる印刷方法であれば、通常の印刷物における印刷技術が適用できる。
【0043】
印刷方法として、スクリーン印刷法を採用すれば、細幅で厚みのある第1、第2の輪郭インク層3、4の形成が容易である。意匠領域2aにおける表現も多彩になる。厚みが違う意匠領域2aおよび第1、第2の輪郭インク層3、4を含む透明基材層1を覆って反射層5を印刷するのも行い易い。スクリーン印刷法として、シルクスクリーン印刷法が、正確なパターンを能率的かつ経済的に印刷できる方法として好ましい。
【0044】
この発明の立体表現印刷シートは、図1に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が透明基材層1を通して意匠領域2aを観察することで、透明基材層1を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。
【0045】
そして、この発明の印刷シートは、立体感による意匠効果が必要とされる各種用途に利用することができる。例えば、各種機器に取り付けられる銘板に使用できる。銘板に印刷された文字や記号が明瞭に確認できる。
【0046】
立体表現された印刷シートが、各種機器の外殻部品あるいは外装板、面板など機器を構成する部材であれば、立体表現印刷が一体形成された機器を構成できる。各種のシールやラベル、ステッカーに使用できる。
【0047】
このような立体表現された印刷シートを配置することができる機器の具体例として、携帯電話、デジタルカメラなどのファッション性が要求される携帯機器がある。電化製品や建材製品もある。自動車などのエンブレムとして立体表現印刷シートを利用することもできる。
【0048】
書籍の表紙やパンフレット、包装用紙などに使用できる。立体感のある絵画の印刷出版にも使用できる。置物などの装飾品の一部に貼り付けて、装飾効果を高めることができる。
【0049】
この発明の印刷シートの実施形態の一例につき更に説明する。図1、図2に示す実施形態は、シート状の立体表現印刷シート、すなわち立体表現印刷シートである。
【0050】
図1に示すように、立体表現印刷シートは、太矢印Aで示す方向から観察されるようにして使用する。
【0051】
印刷シートの最表面には、透明樹脂フィルムなどからなる透明基材層1が設けられる。透明基材層1の表面および背面は平滑である。透明基材層1の具体例として、ポリエステル透明フィルムが用いられる。
【0052】
透明基材層1の背面には、所望の意匠領域2aを構成するために、ベースインク層2が印刷される。ベースインク層2は、通常の印刷技術で形成された地色インク層で形成される。なお、このベースインク層2は、視覚的に意匠領域2aを表現していることが認識できる形状や色、質感を有していればよい。図2に示すように、意匠領域2aの平面形状は、文字、星形や円などの図形を表している。
【0053】
図1に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅(図中a)はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。
【0054】
この第1の輪郭インク層3は、透明又は半透明のインクを印刷することで形成される。このインクは、完全な透明性を有するインクであってもよいし、輪郭インク層3の機能を損なわない範囲で、少し透明性を落とした半透明状の透明インクや薄く着色された着色透明インクも使用できる。
【0055】
さらに、この実施形態では、意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離(図中b)を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域(図中d)を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔(図中b)で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔(図中b)に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。
【0056】
上記のように、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4により、ベースインク層2の周縁から意匠領域2aの内側へ図中cで示す領域だけ透明又は半透明の輪郭インク層が設けられることになる。
【0057】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1の背面に反射層5が印刷される。
【0058】
反射層5は、光が通過しない遮光性を有するインクで印刷形成する。この反射層5は、各種の色を呈する着色層で構成することができる。
【0059】
反射層5は、金属微粉などの光反射性微粉末を含有する光反射性インク層で構成することができる。
【0060】
図中cで示す範囲で、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を上記したbの間隔を保つように印刷を行うことにより、両輪郭インク層3、4が重なる領域dが形成される。この領域dが形成されることで、透明又は半透明の輪郭インク層のなかでその輪郭インク層3、4を透過し、反射層5で反射した光の量が図中矢印に示すように変化する。この結果、立体感とエッジ感を出すことができる。また、意匠領域2aに対して輪郭インク層3、4はテーパー面3a、4aが設けられていることで、レンズ効果が得られ、更に立体効果が得られる。
【0061】
この意匠領域2aにおける可視範囲と第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4とのそれぞれの間隔は可視範囲との関係から適宜選択できる。図3は、図2の平面図のα部分で囲んだ領域の拡大した模式的平面図である。
【0062】
図3に示すように、反射層5の周縁で囲まれた領域が可視範囲内となる。第1の輪郭インク層3は、反射層5の周縁からセンター側に向かって(図中矢印B方向)1%から49%になる領域に形成する。視認性を確保するためには、輪郭インク層3、4が設けられていない領域が50%以上ある方が好ましい。このことから第1の輪郭インク層3は、反射層5の周縁からセンター側に向かって(図中矢印B方向)10%〜20%の範囲で形成することが好ましい。
【0063】
また、第1の輪郭インク層3に対して第2の輪郭インク層4が重なる領域(図中d)は、1%〜99%の範囲で適宜選択すればよいが、好ましくは第1の輪郭インク層3に対して50%前後の領域が重なるように形成すればよい。
【0064】
さらに、第2の輪郭インク層4の幅は、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4が重なる領域の2倍以上あればよい。好ましくは、bの部分と、dの部分とc−(b+d)の部分が等間隔になるように形成する。すなわち、反射層5の周縁からの第1の輪郭インク層3の幅(b+d)と、第2の輪郭インク層4の幅(c−b+d))(第2の輪郭インク層4が意匠領域2aに現れる領域)とを等しくし、これら第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが50%で重なるようにし、それぞれが同対比にすることが好ましい。
【0065】
これらの各インク層の厚みは全層3μm以上で、それぞれの層をスクリーン印刷で透明基材層1上に設ければよい。
【0066】
次に、この発明の第2の実施形態につき、図4に従い説明する。図4に示す実施形態は、第1の実施形態の印刷シートの裏面に粘着剤又は接着剤からなる接着層9を設けている。図4に示すように、反射層5の裏面側に接着層9を設けている。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。この接着層9は、粘着層9aに剥離シート9bが貼り付けられている。粘着層9aの表面は、使用時まで剥離シート9bで覆っておくことで、取り扱いが容易となる。このように、反射層5の裏面側に接着層9を設けておくことで、銘板やステッカーなどを貼り付けて使用するのに便利である。この接着層9としては、両面粘着シート等を用いることができる。
【0067】
次に、この発明の第3の実施形態につき、図5に従い説明する。図5に示す実施形態は、基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。基材フィルム10としては、グラシン紙、パーチメント紙等の紙、コロナ放電処理されたOPPフィルムまたはシート、ポリエステルフィルムまたはシート等、各種のプラスチックフィルムまたはシートを用いることができる。剥離コート層11としては、カルナバワックス、オーリキュリーワックス、シュガーケンワックス、ライスワックス等の植物ワックス、さらには、パラフインワックス、ポリエチレンワックス等を用いることができる。基材フィルム10が透明または半透明の場合には、基材フィルム10を剥離コート層11から剥離しなくても基材1a側から立体表現される意匠領域2aを観察することができる。基材1aが光を透過しない部材の場合には、基材1aを剥離コート層11から剥離し、剥離コート層11側から観察する。剥離コート層11の材質によっては、基材フィルム10ともに印刷された意匠領域2aから除去される。
【0068】
基材1aの剥離コート層11上に、第1の実施形態と同様に、立体表現がなされる印刷が施される。基材1aの剥離コート層11上に、ベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0069】
図5に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0070】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0071】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0072】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。
【0073】
そして、第2の実施形態と同様に、反射層5の裏面側に接着層9を設けている。この接着層9は、粘着層9aに剥離シート9bが貼り付けられている。
【0074】
このように形成された第3の実施形態の印刷シートを各種機器、ガラス、金属、樹脂製品、陶器などの成形品100に貼り付けた状態を図6に示す。図6に示すように、接着層9の剥離シート9bを剥がし、粘着層9aにより、成形品100に印刷シートが貼り付けられる。また、貼り付けた後、基材1の基材フィルム10を剥がし、印刷面側には剥離コート層11が残った状態となっている。図6に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が剥離コート層11を通して意匠領域2aを観察することで、剥離コート層11を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。
【0075】
次に、この発明の第4の実施形態につき、図7に従い説明する。図7に示す実施形態は、意匠領域2aに模様層6を設けている。この模様層6は、微細な凹凸模様を形成して、面方向に厚みの違いを形成しておくことで、いわゆるヘアライン調、梨地調の質感を表現することもできる。例えば、厚み12μmの透明インク層に、幅100μm、深さ10μmの凹凸からなるヘアライン模様を形成することができる。
【0076】
また、遮蔽層2、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4、模様層6を反射層5を形成する際に、溶剤に対する吸着率に差がないインクにより形成することで、光反射性微粉末の分布密度は変化がない。
【0077】
さらに、第1、第2の輪郭インク層3、4に遮蔽インク層2、反射層5とは異なる色で着色することで、立体的効果と縁取りの意匠効果が得られる。
【0078】
次に、この発明の第5の実施形態につき、図8に従い説明する。図8に示す実施形態は、第4の実施形態の印刷シートの裏面に粘着剤又は接着剤からなる接着層9を設けている。図8に示すように、反射層5の裏面側に接着層9を設けている。その他の構成は、第1、第4の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。この接着層9は、粘着層9aに剥離シート9bが貼り付けられている。粘着層9aの表面は、使用時まで剥離シート9bで覆っておくことで、取り扱いが容易となる。
【0079】
次に、この発明の第6の実施形態につき、図9に従い説明する。図9に示す実施形態は、基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。その他の構成は、第1、第3、第5の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。
【0080】
次に、この発明の第7実施形態につき、図10に従い説明する。この第7の実施形態は、反射層5を形成する前に、着色や模様などを設けたインク層7を透明基材層1全面に設けたものである。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。
【0081】
次に、この発明の第8の実施形態につき、図11に従い説明する。図11に示す実施形態は、第7の実施形態の印刷シートの裏面に粘着剤又は接着剤からなる接着層9を設けている。図11に示すように、反射層5の裏面側に接着層9を設けている。その他の構成は、第1、第7の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。この接着層9は、粘着層9aに剥離シート9bが貼り付けられている。粘着層9aの表面は、使用時まで剥離シート9bで覆っておくことで、取り扱いが容易となる。
【0082】
次に、この発明の第9の実施形態につき、図12に従い説明する。図12に示す実施形態は、基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。その他の構成は、第1、第7、第8の実施形態と同様であるので、同一部分には同一符号を付し、説明を割愛する。
【0083】
次に、この発明の第10の実施形態につき、図13に従い説明する。上記した第1から第9の実施形態は、透明基材層1または基材1a(剥離コート層11)側から意匠領域2aを視認するように構成しているが、図13に示す実施形態は、第1、第2の輪郭層3、4を設けた側(図中B方向)から意匠領域2aを視認するように構成している。
【0084】
この実施形態は、透明基材層1の全面に反射層50を形成する。反射層50は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が適している。
【0085】
この実施形態では、反射層50は、光が通過しない遮光性を有するインクで印刷形成する。この反射層50は、各種の色を呈する着色層で構成することができる。また、反射層50に、微細な凹凸模様を形成して、面方向に厚みの違いを形成しておくことで、いわゆるヘアライン調、梨地調の質感を表現することもできる。例えば、厚み12μmのインク層に、幅100μm、深さ10μmの凹凸からなるヘアライン模様を形成することができる。
【0086】
反射層50にベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。
【0087】
ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。
【0088】
図13示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。
【0089】
この第1の輪郭インク層3は、透明又は半透明のインクを印刷することで形成される。このインクは、完全な透明性を有するインクであってもよいし、輪郭インク層の機能を損なわない範囲で、少し透明性を落とした半透明状の透明インクや薄く着色された着色透明インクも使用できる。
【0090】
通常は、意匠領域2aの全周に隣接して第1の輪郭インク層3を配置するが、立体表現の目的によっては、意匠領域2aの周縁の一部には輪郭インク層を設けない場合もある。
【0091】
第1の輪郭インク層3の幅は、目的とする立体表現効果を発揮するのに必要な比較的に細い幅に設定される。幅が広過ぎると、立体表現効果は乏しくなる。また、幅が狭過ぎると、印刷による形成が困難になるとともに、立体表現効果も少なくなる。通常は、輪郭インク層3の厚みに比べて幅が狭くなる。厚みが分厚く細幅であるほど、立体表現効果が高まる傾向がある。
【0092】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。
【0093】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0094】
必要に応じて、ベース領域2、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭層4を含んで反射層50上に透明又は半透明のインク層8が設けられる。
【0095】
この発明の第10の実施形態では、立体表現印刷シートは、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4側から観察される意匠領域2aが、立体的に沈んだ状態で見える。
【0096】
なお、この第10の実施形態においては、基材1を通して意匠領域2aを観察するものではないので、基材1は透明でなく不透明の基板等も用いることができる。
【0097】
次に、この発明の第11の実施形態につき、図14ないし図16に従い説明する。第11の実施形態は、立体感を有する表面装飾が施された構造体であり、上記した印刷シート以外に直接成形品等に立体感を有する表面装飾を施すものも含むものである。図14に示すように、透明基材1bに塗装または印刷により、インク層2が形成されている。この透明基材1bは、印刷シートの場合には、上記した各フィルム等が用いられ、直接成形品に用いる場合には、ガラス、樹脂製品などの成形品が用いる材料が用いられる。
【0098】
透明基材1bに設けられたインク層2に意匠領域2aを形成するために、レーザー20でインク層を除去して、透明基材1b上に意匠領域2a部分以外にインク層2を残す(図15参照)。この残った印刷層2が、第1の実施形態に示すベースインク層2と同じ層として形成される。レーザー20でインク層を除去して表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0099】
図16に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0100】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0101】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0102】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。
【0103】
このように形成された第11の実施形態は、各種機器、ガラス、樹脂製品などの基材1bに直接形成することができる。図16に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が基材1aを通して意匠領域2aを観察することで、基材1aを通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。勿論、第1ないし第10の実施形態のように、印刷シート用のフィルムに形成して、印刷シートを作成することも可能である。
【0104】
尚、上記した第11の実施形態においては、意匠領域2aの形成に、レーザーを用いてインク層を除去していたが、マスキングやインクジェットによるオンデマンド印刷などにより、意匠領域2aにインクを塗布せずにベースインク層2を形成しても良い。また、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4は、大きさにもよるが、印刷に限らず、インクジェットによるオンデマンド印刷、マスキングを施した塗膜で形成することも可能である。
【0105】
次に、この発明の第12の実施形態につき、図17ないし図19に従い説明する。第11の実施形態は、立体感を有する表面装飾が施された構造体であり、上記した印刷シート以外に直接成形品等に立体感を有する表面装飾を施すものも含むものである。この第12の実施形態は、第1、第2の輪郭層3、4を設けた側(図中B方向)から意匠領域2aを視認するように構成している。
【0106】
図17に示すように、この第12の実施形態は、基材1cの全面に反射層50を形成する。反射層50は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が適している。この反射層50に塗装または印刷により、インク層2が形成されている。この透明基材1cは、印刷シートの場合には、上記した各フィルム等が用いられ、直接成形品に用いる場合には、ガラス、金属、樹脂製品、陶器などの成形品が用いる材料が用いられる。
【0107】
反射層50に設けられたインク層2に意匠領域2aを形成するために、レーザー20でインク層を除去して、反射層50上に意匠領域2a部分以外にインク層2を残す(図18参照)。この残った印刷層2が、第1の実施形態に示すベースインク層2と同じ層として形成される。レーザー20でインク層を除去して表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0108】
図19に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。そして、反射層50上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0109】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。そして、反射層50上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0110】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0111】
このように形成された第12の実施形態は、各種機器、ガラス、金属、樹脂製品、陶器などの基材1cに直接形成することができる。図19に示すように、図中Bで示す矢印方向から観察者が第1、第2の輪郭層3、4を設けた側から意匠領域2aを観察することで、意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。勿論、第1ないし第10の実施形態のように、印刷シート用のフィルムに形成して、印刷シートを作成することも可能である。
【0112】
尚、上記した第12の実施形態においては、意匠領域2aの形成に、レーザーを用いてインク層を除去していたが、マスキングやインクジェットによるオンデマンド印刷などにより、意匠領域2aにインクを塗布せずにベースインク層2を形成しても良い。また、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4は、大きさにもよるが、印刷に限らず、インクジェットによるオンデマンド印刷、マスキングを施した塗膜で形成することも可能である。
【0113】
次に、この発明の第13の実施形態につき、図20ないし図22に従い説明する。この第13の実施形態は、被着体に転写する転写シートにこの発明を適用したものである。この第13の実施形態は、立体感を有する表面装飾を被着体に熱転写するものである。
【0114】
図20に示す実施形態は、基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。基材フィルム10としては、グラシン紙、パーチメント紙等の紙、コロナ放電処理されたOPPフィルムまたはシート、ポリエステルフィルムまたはシート等、各種のプラスチックフィルムまたはシートを用いることができる。剥離コート層11としては、カルナバワックス、オーリキュリーワックス、シュガーケンワックス、ライスワックス等の植物ワックス、さらには、パラフインワックス、ポリエチレンワックス等を用いることができる。基材1aを剥離コート層11から剥離し、剥離コート層11側から観察する。剥離コート層11の材質によっては、基材フィルム10ともに印刷された意匠領域2aから除去される。
【0115】
基材1aの剥離コート層11上に、第1の実施形態と同様に、立体表現がなされる印刷が施される。基材1aの剥離コート層11上に、ベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0116】
図20に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0117】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0118】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0119】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4、反射層5で転写層15が構成される。
【0120】
そして、反射層5の裏面側に熱軟化式の接着層90を設けている。この接着層90は、熱転写時に、転写層15を被着体100に強固に接着させるものである。接着層90を形成する接着剤は、公知の材料を使えばよい。具体的には、例えば、アクリル系、スチレン系、ビニル系、エステル系、ウレタン系、塩素化オレフィン系、エチレン酢ビ系接着剤を用いることができる。
【0121】
このように形成された第13の実施形態の転写シートを衣類、帽子、靴、手袋、鞄等の布生地、ガラス、金属、樹脂製品、革製品、陶器などの被着体100に熱転写して転写層15を転写する。その転写を図21、図22に従い説明する。図21に示すように、接着層90を被着体100上に載せ、基材1側から図中矢印H方向に加熱しながら加圧する。加熱しながら加圧することで、接着層90が軟化し、剥離コート層11より下或いは転写層15より下が全て基材フィルム10より離脱し、被着体100上に立体感を有する転写層15が転写される。
【0122】
図22に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が剥離コート層11を通して意匠領域2aを観察することで、剥離コート層11を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。また、被着体100が透明または半透明の場合には、図中B方向から観察しても意匠領域2aが立体的に見える。
【0123】
図29は、被着体として衣類100にこの実施形態の転写シートの転写層15を転写したものである。このように転写層15を衣類100に転写すると、意匠領域20aが立体的に浮き上がって観察でき、インパクトある意匠等を表現することができる。
【0124】
次に、この発明の第14の実施形態につき、図23ないし図25に従い説明する。この第13の実施形態は、被着体に転写する転写シートにこの発明を適用したものである。この第13の実施形態は、立体感を有する表面装飾を被着体に感圧転写するものである。
【0125】
図23に示す実施形態は、第13の実施形態と同様に基材1aとして、基材フィルム10に、剥離コート層11を設けたものを用いている。基材1aを剥離コート層11から剥離し、剥離コート層11側から観察する。剥離コート層11の材質によっては、基材フィルム10ともに印刷された意匠領域2aから除去される。
【0126】
基材1aの剥離コート層11上に、第1の実施形態と同様に、立体表現がなされる印刷が施される。基材1aの剥離コート層11上に、ベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0127】
図20に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0128】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0129】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0130】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4、反射層5で転写層15が構成される。
【0131】
そして、反射層5の裏面側に感圧軟化式の接着層91を設けている。この接着層91は、感圧転写時に、転写層15を被着体100に強固に接着させるものである。接着層91を形成する接着剤は、公知の材料を使えばよい。具体的には、例えば、ポリビニルイソブチルエーテルを用いることができる。
【0132】
このように形成された第14の実施形態の転写シートを衣類、帽子、靴、手袋、鞄等の布生地、ガラス、金属、樹脂製品、革製品、陶器などの被着体100に感圧転写して転写層15を転写する。その転写を図24、図25に従い説明する。図24に示すように、接着層90を被着体100上に載せ、基材1側から図中矢印P方向に加圧する。加圧することで、接着層90が軟化し、剥離コート層11より下或いは転写層15より下が全て基材フィルム10より離脱し、被着体100上に立体感を有する転写層15が転写される。
【0133】
図25に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が剥離コート層11を通して意匠領域2aを観察することで、剥離コート層11を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。また、被着体100が透明または半透明の場合には、図中B方向から観察しても意匠領域2aが立体的に見える。
【0134】
次に、この発明の第15の実施形態につき、図26ないし図28に従い説明する。この第13の実施形態は、被着体に転写する転写シートにこの発明を適用したものである。この第13の実施形態は、立体感を有する表面装飾を被着体に水転写するものである。
【0135】
図26に示す実施形態は、基材1dとして、基材フィルム10に、水溶性剥離コート層11を設けたものを用いている。基材1aを剥離コート層11から剥離し、剥離コート層11側から観察する。剥離コート層11の材質によっては、基材フィルム10ともに印刷された意匠領域2aから除去される。剥離コート層11に水性感圧接着層92を設けている。この接着層92は、水に浸漬すると粘着性を有し、転写後は水による洗浄にも転写層15の接着は十分に耐える。
【0136】
基材1aの剥離コート層11上、接着層92に、第1の実施形態と同様に、立体表現がなされる印刷が施される。基材1aの剥離コート層11上に、ベースインク層2が印刷され、立体表現される意匠領域2aを形成する。ベースインク層2を印刷することにより表現される意匠領域2aには、文字、数字、記号、図形、具象画、模様パターンなどが含まれる。色や質感と形状の組み合わせによって、より複雑な図象を表現することもできる。
【0137】
図26に示すように、意匠領域2aの輪郭に沿ってベースインク層2上に重なり、意匠領域2a側に所定の幅はみ出して、第1の輪郭インク層3が印刷される。この第1の輪郭インク層3の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面3aが形成される。この第1の輪郭インク層3の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第1の輪郭インク層3の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みを加算した値となる。
【0138】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁の輪郭から所定の距離を有し、第1の輪郭インク層3と重なる領域を有して透明又は半透明の第2の輪郭インク層4が印刷される。この第2の輪郭インク層4の意匠領域2a側の面に到達する側面には、所定のテーパー面4aが形成される。この第2の輪郭インク層4の厚みは3μm以上に形成される。そして、透明基材層1上から第2の輪郭インク層4の表面までの距離は、ベースインク層2の厚みに第1の輪郭インク層3の厚みと第2の輪郭インク層4の厚みを加算した値となる。
【0139】
意匠領域2aを構成するベースインク層2の周縁と第2の輪郭インク層4との間には、所定の間隔で第1の輪郭インク層3のみ存在することになる。この極めて狭い間隔に第1の輪郭インク層3のみを設けておくことで、意匠領域2aの輪郭が強調されることになる。この実施形態では、第1の輪郭インク層3と第2の輪郭インク層4とが同じインクで形成するが、これに限らず、異なる色などのインクを用いて形成してもよい。
【0140】
そして、ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4を覆って透明基材層1に反射層5が印刷される。反射層5は、光沢インク、反射性インク又はハーフミラーインク等が用いられる。ベースインク層2、意匠領域2a、第1の輪郭インク層3、第2の輪郭インク層4、反射層5で転写層15が構成される。
【0141】
そして、反射層5の裏面側に水性感圧接着層92を設けている。この接着層92は、水に浸漬すると粘着性を有し、転写後は水による洗浄にも転写層15の接着は十分に耐えるものである。
【0142】
このように形成された第15の実施形態の転写シートを衣類、帽子、靴、手袋、鞄等の布生地、ガラス、金属、樹脂製品、革製品、陶器などの被着体100に水転写して転写層15を転写する。その転写を図27、図28に従い説明する。図27に示すように、転写シートを水に漬けた後、転写シートを被着体100上に載せ、基材1d側から図中矢印P方向に加圧する。水に漬けることにより、接着層92が粘着性を有し、また、剥離コート層11は剥離しやすくなっており、転写層15より下が全て基材フィルム10より離脱し、被着体100上に立体感を有する転写層15が転写される。
【0143】
図28に示すように、図中Aで示す矢印方向から観察者が剥離コート層11を通して意匠領域2aを観察することで、剥離コート層11を通して観察される意匠領域2aが、立体的に浮き上がって見える。また、被着体100が透明または半透明の場合には、図中B方向から観察しても意匠領域2aが立体的に見える。
【0144】
尚、第15の実施形態においては、接着層92を被着体100側と基材フィルム10側の両面に形成しているが、どちらか一方にのみ接着層を形成するように構成することもできる。
【0145】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0146】
この発明の印刷シートは、各種機器に貼り付けて使用する銘板、印刷ラベルなどに利用でき、深みのある立体表現を与えて、銘板などの商品価値を高めることができる。この発明の転写シートは、衣類、帽子、靴、手袋、鞄等の布生地、ガラス、金属、樹脂製品、革製品、陶器などに転写することで、インパクトある意匠を表現することができる。
【符号の説明】
【0147】
1 透明基材層
2 ベースインク層
2a 意匠領域
3 第1の輪郭インク層
4 第2の輪郭インク層
5 遮光インク層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側に配置される基材層と、
前記基材層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、
前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、
前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、
前記意匠部分、第1及び第2の輪郭インク層を覆って前記基材層に設けられた反射層と、
を備える立体感を有する印刷シート。
【請求項2】
前記基材層は、透明性の高い材料または光透過性を損なわない程度に着色された半透明材料、からなる請求項1に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項3】
前記基材層は、基材フィルムと、この基材フィルム上に設けられた剥離コート層と、からなる請求項1または2に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項4】
前記反射層上に接着層が設けられている、請求項1に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項5】
前記第1及び第2の輪郭インク層の前記意匠部分側の面に到達する側面は、テーパー面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項6】
前記意匠部分に相当する領域は、前記第1及び第2の輪郭インク層が設けられていない領域が50%以上存在することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の印刷シート。
【請求項7】
前記第1の輪郭インク層に対して第2の輪郭インク層が重なる領域は、50%前後であることを特徴とする請求項1、請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項8】
前記前記意匠部分の輪郭から所定の距離と、前記第1の輪郭インク層に対して第2の輪郭インク層が重なる領域と、前記第2の領域が前記意匠部分に現れる領域と、が同対比に構成したことを特徴とする請求項7に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項9】
基材層と、
基材層上に設けられた反射層と、
前記反射層に部分的に設けられ意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、
前記意匠部分の輪郭に沿って設けられた透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、
前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して設けられた透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、
を備える立体感を有する表面装飾が施された構造体。
【請求項10】
基材フィルムとこの基材フィルム上に設けられた剥離コート層からなる基材と、
前記剥離コート層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、
前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、
前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、
前記意匠部分、第1及び第2の輪郭インク層を覆って前記剥離コート層上に設けられた反射層と、
前記反射層上に設けられた接着層と、
を備える立体感を有する転写シート。
【請求項11】
前記接着層は、熱軟化式接着剤である、
請求項10に記載の立体感を有する転写シート。
【請求項12】
前記接着層は、感圧式接着剤である、
請求項10に記載の立体感を有する転写シート。
【請求項13】
基材フィルムとこの基材フィルム上に設けられた剥離コート層からなる基材と、
前記剥離コート層に設けられた水性感圧接着層と、
前記剥離コート層と水性感圧接着層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、
前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、
前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、
前記意匠部分、第1及び第2の輪郭インク層を覆って前記剥離コート層と水性感圧接着層上に設けられた反射層と、
を備える立体感を有する転写シート。
【請求項1】
表面側に配置される基材層と、
前記基材層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、
前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、
前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、
前記意匠部分、第1及び第2の輪郭インク層を覆って前記基材層に設けられた反射層と、
を備える立体感を有する印刷シート。
【請求項2】
前記基材層は、透明性の高い材料または光透過性を損なわない程度に着色された半透明材料、からなる請求項1に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項3】
前記基材層は、基材フィルムと、この基材フィルム上に設けられた剥離コート層と、からなる請求項1または2に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項4】
前記反射層上に接着層が設けられている、請求項1に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項5】
前記第1及び第2の輪郭インク層の前記意匠部分側の面に到達する側面は、テーパー面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項6】
前記意匠部分に相当する領域は、前記第1及び第2の輪郭インク層が設けられていない領域が50%以上存在することを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の印刷シート。
【請求項7】
前記第1の輪郭インク層に対して第2の輪郭インク層が重なる領域は、50%前後であることを特徴とする請求項1、請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項8】
前記前記意匠部分の輪郭から所定の距離と、前記第1の輪郭インク層に対して第2の輪郭インク層が重なる領域と、前記第2の領域が前記意匠部分に現れる領域と、が同対比に構成したことを特徴とする請求項7に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項9】
基材層と、
基材層上に設けられた反射層と、
前記反射層に部分的に設けられ意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、
前記意匠部分の輪郭に沿って設けられた透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、
前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して設けられた透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、
を備える立体感を有する表面装飾が施された構造体。
【請求項10】
基材フィルムとこの基材フィルム上に設けられた剥離コート層からなる基材と、
前記剥離コート層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、
前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、
前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、
前記意匠部分、第1及び第2の輪郭インク層を覆って前記剥離コート層上に設けられた反射層と、
前記反射層上に設けられた接着層と、
を備える立体感を有する転写シート。
【請求項11】
前記接着層は、熱軟化式接着剤である、
請求項10に記載の立体感を有する転写シート。
【請求項12】
前記接着層は、感圧式接着剤である、
請求項10に記載の立体感を有する転写シート。
【請求項13】
基材フィルムとこの基材フィルム上に設けられた剥離コート層からなる基材と、
前記剥離コート層に設けられた水性感圧接着層と、
前記剥離コート層と水性感圧接着層に部分的に印刷され意匠部分に相当する領域を形成するベースインク層と、
前記意匠部分の輪郭に沿って印刷された透明又は半透明の第1の輪郭インク層と、
前記意匠部分の輪郭から所定の距離を有し、且つ前記第1の輪郭インク層と重なる領域を有して印刷された透明又は半透明の第2の輪郭インク層と、
前記意匠部分、第1及び第2の輪郭インク層を覆って前記剥離コート層と水性感圧接着層上に設けられた反射層と、
を備える立体感を有する転写シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2012−6372(P2012−6372A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265218(P2010−265218)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(301058067)株式会社大和マーク製作所 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(301058067)株式会社大和マーク製作所 (2)
【Fターム(参考)】
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