説明

立体映像用眼鏡

【課題】表示装置に対して立体映像用眼鏡が傾いた場合でも画面が暗くなることを防ぐことのできる立体映像用眼鏡を提供する。
【解決手段】立体映像用眼鏡は、表示装置に表示された立体映像用の映像を分離して視聴者の右目に右目用映像を入射する右目用偏光板と、前記表示装置に表示された前記立体映像用の映像を分離して視聴者の左目に左目用映像を入射する左目用偏光板と、前記右目用偏光板と前記左目用偏光板を該偏光板の面の法線に平行な直線を回転軸として該偏光板を周方向にそれぞれ回転させる回転手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、立体映像を観賞する際に使用する立体映像用眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体映像のコンテンツの視聴が可能なフラットパネルディスプレイが実用化されている。立体映像の表示の方式に関して種々提案されているが、その中で偏光フィルタ眼鏡や電子シャッタ眼鏡を用いる眼鏡方式がある。
【0003】
偏光フィルタ眼鏡を用いた方式は、左右の映像に、例えば、直交する直線偏光をかけて重ねて投影し、これを左右で直交する偏光フィルタの付いた眼鏡により左右の映像に分離することにより、視差のある映像を交互に左右の目に表示することで立体的に見せる方式である。
【0004】
電子シャッタ眼鏡には、映像と連動するシャッタが組み込まれていて、ディスプレイに右目用の映像が表示されたときは、眼鏡の左目のシャッタが閉じて右目のシャッタが開くので、右目用の映像だけが見える。左目用の映像が表示されたときは、その逆に眼鏡の右目のシャッタが閉じて左目のシャッタが開くので、左目用の映像だけが見える。ディスプレイに表示する映像に同期して電子的に眼鏡のシャッタを閉じたり開いたりすることで、視差のある映像を交互に左右の目に見せる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−296501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶表示パネルの様な表示装置には偏光板が用いられており、偏光された光を偏光フィルタ眼鏡あるいは電子シャッタ眼鏡の偏光板にて透過または遮断することで、左右の目で異なる映像を見ることができる。偏光板が用いられた表示装置と偏光フィルタ眼鏡あるいは電子シャッタ眼鏡には傾きがないことが前提であり、液晶表示パネルに対して眼鏡が傾くと、液晶表示パネル側の偏光角と眼鏡側の偏光角がずれて画面が暗くなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、上記したような事情に鑑み成されたものであって、表示装置に対して立体映像用眼鏡が傾いた場合でも画面が暗くなることを防ぐことのできる立体映像用眼鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、実施形態によれば、立体映像用眼鏡は、表示装置に表示された立体映像用の映像を分離して視聴者の右目に右目用映像を入射する右目用偏光板と、前記表示装置に表示された前記立体映像用の映像を分離して視聴者の左目に左目用映像を入射する左目用偏光板と、前記右目用偏光板と前記左目用偏光板を該偏光板の面の法線に平行な直線を回転軸として該偏光板を周方向にそれぞれ回転させる回転手段とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】表示装置と立体映像用眼鏡との間の偏光の状態を示した図。
【図2】第1の実施形態に係る立体映像用眼鏡の概観斜視図。
【図3】第1の実施形態に係る立体映像用眼鏡の回転手段を示した図。
【図4】立体映像用眼鏡が水平状態から傾いた状態における偏光板の補正状態を示した図。
【図5】第2の実施形態に係る立体映像用眼鏡の概観斜視図。
【図6】第2の実施形態に係る立体映像用眼鏡の回転手段を示した図。
【図7】立体映像用眼鏡が水平状態から傾いた状態における偏光板の補正状態を示した図。
【図8】第3の実施形態に係る立体映像用眼鏡の概観斜視図。
【図9】第3の実施形態に係る立体映像用眼鏡の回転手段を示した図。
【図10】第3の実施形態に係る立体映像用眼鏡を別の方向から見た概観斜視図。
【図11】第3の実施形態に係る立体映像用眼鏡のブロック図。
【図12】偏光板と液晶シャッタが組み合わされた偏光板の例を示した図。
【図13】立体映像用眼鏡が水平状態から傾いた状態における偏光板の補正状態を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、表示装置1と立体映像用眼鏡4との間の偏光の状態を示した図である。表示装置1の内部に液晶素子2と偏光板3が配置されている。液晶素子2の動作モード(液晶配向の変化)によって偏光状態が変化し液晶素子2からP偏光あるいはS偏光が出射される。偏光板3がS偏光を通過させるフィルタであれば、図1に示すように、表示装置1からS偏光の光が出射される。また逆に偏光板3がP偏光を通過させるフィルタであれば、表示装置1からP偏光の光が出射される。
【0012】
立体映像用眼鏡4の内部には、偏光板5、液晶シャッタ6が配置されている。表示装置1から出射された光は立体映像用眼鏡4に入射し、液晶シャッタ6、偏光板5を通過して視聴者の目7に到達する。液晶シャッタ6の液晶配向を変化させてS偏光を出射しないようにすると偏光板5を通過せず、シャッタが閉じた状態となり、視聴者の目7に表示装置1からの光は到達しない。
【0013】
表示装置1から出射されたS偏光の光に対して、S偏光を通過させる偏光板5が傾くと、偏光板5を通過する光量は減少し、視聴者の目7には画面が暗く見える。角度が90度傾くと通過する光量は略ゼロとなる。従って、表示装置1に対して立体映像用眼鏡4が傾かないようにして使用することが前提となる。
【0014】
しかしながら、視聴者が立体映像用眼鏡4を傾かないように維持することは困難であり、立体映像用眼鏡4が傾いた場合でも、この傾きを補正するように回転させて偏光板5自体が、水平線に対して傾かないようにすればよい。また、偏光板5と液晶シャッタ6を同時に回転させて、偏光板5と液晶シャッタ6が傾かないようにすればよい。
【0015】
図2は、第1の実施形態に係る立体映像用眼鏡4の概観斜視図である。立体映像用眼鏡4は、前面の主要部であるフロント9、右目用窓10a、左目用窓10b、右目用偏光板11a、左目用偏光板11b、フロント9の下部分で偏光板11の下側部分を覆うリム12a、12b、フロント9の中央部分を占めるブリッジ13、フロント9の両側にあってテンプルと接続する部分であるよろい14a、14b、テンプル15a、15bによって構成されている。テンプル15a、15bは、よろい14a、14bに蝶番16a、16bによって回動可能に取り付けられており、テンプル15a、15bは折り畳むことができる。尚、右目用偏光板11aと左目用偏光板11bの外側に液晶シャッタ(図示せず)が、該偏光板と一体的に其々設置されていてもよい。
【0016】
ブリッジ13の上部には、右目用偏光板11aと左目用偏光板11bを手動で回転させるためのレバー17が設けられている。また、レバー17が動作する範囲にはレバー窓18が配置されている。
【0017】
図3は、立体映像用眼鏡4の偏光板11の回転手段19を示した図である。フロント9、右目用窓10a、左目用窓10bやテンプル15a、15b等は想像線(二点差線)で示されている。フロント9の内部には、右目用偏光板11a、左目用偏光板11bおよびスライダ20が設置されている。
【0018】
右目用偏光板11aの外周部の一部には歯車歯21a、左目用偏光板11bの外周部の一部には歯車歯21bが設けられている。歯車歯21a、21bは、偏光板11の枠体に機械加工で製作してもよいし、また射出成型による一体成型で製作してもよい。右目用偏光板11a、左目用偏光板11bは、フロント9の内部で該偏光板の面の法線に平行な直線を回転軸としてフロント9内でそれぞれ回転可能となっている。図3においては、略円形の偏光板11a、11bの其々の略中心点を通る法線を回転軸として回転可能となっている。
【0019】
フロント9の内部には、偏光板11の面と平行な方向の平行移動を制限する図示しない隔壁と偏光板11の面に垂直な方向(法線方向)の平行移動を制限する図示しない隔壁が偏光板の両側に設けられており、これら隔壁内で偏光板はその周方向にそれぞれ回転可能となっている。
【0020】
スライダ20の右目用偏光板11a、左目用偏光板11bと対向する面には、ラック歯22が設けられている。ラック歯22は、スライダ20の本体に機械加工で製作してもよいし、また射出成型による一体成型で製作してもよい。ラック歯22は、歯車歯21a、歯車歯21bとそれぞれ噛合している。
【0021】
スライダ20は、フロント9の内部で長手方向に移動可能であり、人手によって、レバー17を操作することにより動かすことができる。フロント9の内部には、スライダ20の長手方向に垂直な方向の平行移動を制限する図示しない隔壁が設けられており、これら隔壁内でスライダ20は長手方向に移動することができる。人手によって、レバー17を操作してスライダ20を移動すると、右目用偏光板11a、左目用偏光板11bを同時に略同じ角度回転させることができる。
【0022】
図4は、立体映像用眼鏡4が水平状態から傾いた状態における偏光板の補正状態を示した図である。視聴者が立体映像用眼鏡4を装着している状態で視聴者側から立体映像用眼鏡4を見た図である。図4(a)は、立体映像用眼鏡4が水平状態にあるときを示している。図4(b)は、右目側が下がる方向に(または左目側が上がる方向に)傾いた状態を示している。
【0023】
図4(a)においては、立体映像用眼鏡4に対して右目用偏光板11a、左目用偏光板11bは回転していない。このときスライダ20はフロント9の略中央にあり、レバー17も同様にフロント9の略中央に位置している。
【0024】
図4(b)において、立体映像用眼鏡4が水平線23に対して角度がX度傾いたとき、人手によってスライダ20をA方向に移動して、立体映像用眼鏡4が傾いた角度を補正するように該偏光板を面内方向にそれぞれ回転させる。スライダ20の移動によって、右目用偏光板11a、左目用偏光板11bをそれぞれX度回転させて、偏光板11が水平線23に対して傾いていない状態を維持する。このようにすることによって、表示装置1に対して立体映像用眼鏡4が傾いた場合でも画面が暗くなることを防ぐことができる。
【0025】
スライダ20とフロント9の間には適度な摩擦力が作用するようにすれば、重力の作用のみでスライダ19が移動するようなことはない。
【0026】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る立体映像用眼鏡30の概観斜視図である。この第2の実施形態の各部について、図2に示す第1の実施形態の各部と同一部分は同一符号である。立体映像用眼鏡30は、前面の主要部であるフロント31、右目用窓32a、左目用窓32b、右目用偏光板33a、左目用偏光板33b、フロント31の下部分で偏光板33の下側部分を覆うリム34a、34b、フロント31の中央部分を占めるブリッジ35、フロント31の両側にあってテンプルと接続する部分であるよろい36a、36b、テンプル37a、37bによって構成されている。テンプル37a、37bは、よろい36a、36bに蝶番38a、38bによって回動可能に取り付けられており、テンプル37a、37bは折り畳むことができる。尚、右目用偏光板33aと左目用偏光板33bの外側に液晶シャッタ(図示せず)が、該偏光板と一体的に其々設置されていてもよい。
【0027】
図6は、第2の実施形態に係る立体映像用眼鏡30の回転手段39を示した図である。
フロント31、右目用窓32a、左目用窓32bやテンプル37a、37b等は想像線(二点差線)で示されている。フロント31の内部には、右目用偏光板33a、左目用偏光板33bが設置されている。
【0028】
右目用偏光板33aの外周部の一部には錘40a、左目用偏光板33bの外周部の一部には錘40bが設けられている。錘40a、40bは、金属材料あるいは合成樹脂材料に比較して比重の大きい材料であり、例えば鉄鋼、黄銅等の比重の大きい金属材料が好適である。偏光板は合成樹脂製であり、錘40a、40bは、偏光板33a、33bの外周部を構成している枠体の一部に埋め込まれるか、または接着されている。
【0029】
右目用偏光板33a、左目用偏光板33bは、フロント31の内部で該偏光板の面の法線に平行な直線を回転軸としてフロント31でそれぞれ回転可能となっている。図6においては、略円形の偏光板33a、33bの其々の略中心点を通る法線を回転軸として回転可能となっている。
【0030】
フロント31の内部には、偏光板33の面と平行な方向の平行移動を制限する図示しない隔壁と偏光板の面に垂直な方向(法線方向)の平行移動を制限する図示しない隔壁が偏光板の両側に設けられており、それら隔壁内で偏光板はその周方向にそれぞれ回転可能となっている。また、フロント31の該隔壁と偏光板33の外周は互いに摩擦係数が小さな材料を用いたりベアリングを挿入することにより、偏光板33は周方向に滑らかに回転する状態となっている。
【0031】
図7は、立体映像用眼鏡30が水平状態から傾いた状態における偏光板の補正状態を示した図である。視聴者が立体映像用眼鏡30を装着している状態で視聴者側から立体映像用眼鏡30を見た図である。図7(a)は、立体映像用眼鏡30が水平状態にあるときを示している。図7(b)は、右目側が下がる方向に(または左目側が上がる方向に)傾いた状態を示している。
【0032】
図7(a)において、立体映像用眼鏡30に対して右目用偏光板33a、左目用偏光板33bは回転していない。図7(b)において、立体映像用眼鏡30が水平線23に対して角度がY度傾くと、偏光板33の錘40a、40bに働く重力によって、錘40a、40bは、鉛直下向きの力を受けて、傾いた角度を補正するように該偏光板が面内方向に右目用偏光板33aと左目用偏光板33bはそれぞれ回転し、錘が最も下に移動したところで回転を停止する。このようにして、偏光板33は水平線23に対して傾いていない状態を維持することができ、表示装置1に対して立体映像用眼鏡30が傾いた場合でも画面が暗くなることを防ぐことができる。
【0033】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る立体映像用眼鏡50の概観斜視図である。この第3の実施形態の各部について、図1に示す第1の実施形態の各部と同一部分は同一符号である。立体映像用眼鏡50は、前面の主要部であるフロント51、右目用窓52a、左目用窓52b、右目用偏光板53a、左目用偏光板53b、フロント51の下部分で偏光板53の下側部分を覆うリム54a、54b、フロント51の中央部分を占めるブリッジ55、フロント51の両側にあってテンプルと接続する部分であるよろい56a、56b、テンプル57a、57bによって構成されている。テンプル57a、57bは、よろい56a、56bに蝶番58a、58bによって回動可能に取り付けられており、テンプル57a、57bは折り畳むことができる。
【0034】
図9は、第3の実施形態に係る立体映像用眼鏡50の回転手段59を示した図である。フロント51、右目用窓52a、左目用窓52bやテンプル57a、57b等は想像線(二点差線)で示されている。フロント51、よろい56a、テンプル57aの内部には、右目用偏光板53a、左目用偏光板53bを含む回転手段59の構成部品が設置されている。
【0035】
右目用偏光板53aの外周部の一部には歯車歯65a、左目用偏光板53bの外周部の一部には歯車歯65b、65cが設けられている。歯車歯65a、65b、65cは、偏光板53a、53bの枠体に機械加工で製作してもよいし、また射出成型による一体成型で製作してもよい。右目用偏光板53a、左目用偏光板53bは、フロント51の内部で該偏光板53の法線に平行な直線を回転軸として該偏光板の面内方向にそれぞれ回転可能となっている。図9においては、略円形の偏光板53a、53bの其々の略中心点を通る法線を回転軸として回転可能となっている。
【0036】
右目用偏光板53a、左目用偏光板53bは、モータ66の動力によって回転する。モータ66が回転すると、モータ66の回転軸に連結したウォーム歯車67が回転し、小歯車68が回転する。モータはフロント51の内部に固定されており、また、小歯車68の回転軸はフロント51の内部でフロント51に固定されている。小歯車68の歯は左目用偏光板53bの歯車歯65cと噛合しており、モータ66が回転すると左目用偏光板53bが回転する。モータ66は、例えばステッピングモータが好適である。
【0037】
左目用偏光板53bには外周の反対側に歯車歯65bが設けられており、歯車歯65bは、小歯車69bの歯と噛合している。小歯車69a、69b、69cは、其々の回転軸はフロント51の内部でフロント51に固定されており、其々の歯は噛合している。小歯車69aと69bの歯数は同等である。小歯車69cの歯数は、小歯車69aと69bと同じでもよいし、異なっていてもよい。小歯車69aの歯は、右目用偏光板53aの歯車歯65aと噛合している。
【0038】
左目用偏光板53bが回転すると、小歯車69b、69c、69aが回転し、右目用偏光板53aが回転する。左目用偏光板53bと右目用偏光板53aは同じ方向に回転し、また、その回転角は同等である。
【0039】
フロント51の内部には、右目用偏光板53a、左目用偏光板53bの面と平行な方向の平行移動を制限する図示しない隔壁と偏光板53a、53bの面に垂直な方向(法線方向)の平行移動を制限する図示しない隔壁が偏光板の両側に設けられており、それら隔壁内で偏光板はその周方向にそれぞれ回転可能となっている。
【0040】
フロント51、よろい56a、テンプル57aの内部には、制御部60、受信部61、傾き検出器63、モータ66、校正部検出器71の回路やこれら回路に電源を供給する電池62等が納められている。
【0041】
制御部60は、傾き検出器63からの立体映像用眼鏡50の水平線に対する傾き量の信号を受けて、偏光板53a、53bの補正角を算出し、この算出した補正角に基づいてモータの回転数を算出してモータ66の回転を制御する。受信部61は、表示装置1から送出された制御信号を受信する。電池62は、各構成要素に動作用電源を供給する。傾き検出器63は、立体映像用眼鏡50の水平位置からの傾き量を検出するセンサである。校正部検出器71は、右目用偏光板53aの外周に設けられた校正部70の有無を検出する。
【0042】
図10は、第3の実施形態に係る立体映像用眼鏡50を別の方向から見た概観斜視図である。立体映像用眼鏡50のよろい56aには、電源スイッチ72が設けられている。
【0043】
図11は、第3の実施形態に係る立体映像用眼鏡50のブロック図である。制御部60は、一つの集積回路にコンピュータシステムをまとめた組み込み用のマイクロプロセッサであるMCU(Micro Controller Unit)を含み、ROMやRAM、I/O関連などの周辺機能を搭載しており、立体映像用眼鏡50全体の動作を制御する。
【0044】
傾き検出器63は、傾き量を検出するセンサである。ホール素子と磁石を応用したものや液体と静電容量センサを用いたもの等種々の傾斜センサがある。立体映像用眼鏡50の水平位置から傾きの大きさに応じて所定の大きさの信号を出力する。制御部60は、傾き検出器63の出力信号を受信し、偏光板53a、53bの傾き補正角を算出する。
【0045】
校正部検出器71は、右目用偏光板53aの外周に設けられた校正部70の有無を検出するために設けられたもので、校正部70が校正部検出器71の検出範囲にあるとき、検出信号を出力する。制御部60は校正部検出器71の検出信号を受けて右目用偏光板53aが、初期位置にあるか否かを確認する。初期位置とは、校正部70が校正部検出器71の検出範囲にある位置である。電源スイッチ72が入ると制御部60は、右目用偏光板53aが、初期位置にあるか否かを確認し、初期位置でない場合には、モータ66を回転させて右目用偏光板53aが初期位置となるようにする。その後に傾きの大きさに応じてモータを回転させる。
【0046】
受信部61は、表示装置1から送出された制御信号を受信し、受信検出信号を制御部60に出力する。制御部60は、受信検出信号に基づいて液晶シャッタ74のシャッタの開閉動作を制御する。
【0047】
図12は、偏光板と液晶シャッタが組み合わされた偏光板の例を示した図である。本実施形態においては、右目用偏光板53aと液晶シャッタ74aを組み合わせた偏光板(図12(a))、左目用偏光板53bと液晶シャッタ74bを組み合わせた偏光板(図12(b))を用いてもよい。
【0048】
図13は、立体映像用眼鏡50が水平状態から傾いた状態における偏光板53a、53bの補正状態を示した図である。視聴者が立体映像用眼鏡50を装着している状態で視聴者側から立体映像用眼鏡50を見た図である。図13(a)は、立体映像用眼鏡50が水平状態にあるときを示している。図13(b)は、右目側が上がる方向に(または左目側が下がる方向に)傾いた状態を示している。
【0049】
図13(a)においては、立体映像用眼鏡50に対して右目用偏光板53a、左目用偏光板53bは回転していない。このとき右目用偏光板53aの外周に設けられた校正部70は、フロント51に設置された校正部検出器71の位置にある。
【0050】
図13(b)において、立体映像用眼鏡50が水平線23に対して角度がZ度傾いたとき、制御部60が、モータ66を回転させて立体映像用眼鏡50が傾いた角度を補正するように右目用偏光板53a、左目用偏光板53bを周方向に回転させる。偏光板53a、53bをそれぞれZ度回転させて、偏光板53a、53bが水平線に対して傾いていない状態とする。このようにすることによって、表示装置1に対して立体映像用眼鏡50が傾いた場合でも画面が暗くなることを防ぐことができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具現化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 表示装置
2 液晶素子
3 偏光板
4 立体映像用眼鏡
5 偏光板
6 液晶シャッタ
9 フロント
10a 右目用窓、10b 左目用窓
11a 右目用偏光板、11b 左目用偏光板
12a、12b リム
13 ブリッジ
14a、14b よろい
15a、15b テンプル
16a、16b 蝶番
17 レバー
19 回転手段
20 スライダ
21a、21b 歯車歯
22 ラック歯
30 立体映像用眼鏡
31 フロント
33a 右目用偏光板、33b 左目用偏光板
39 回転手段
40a、40b 錘
50 立体映像用眼鏡
51 フロント
53a 右目用偏光板、53b 左目用偏光板
59 回転手段
60 制御部
61 受信部
62 電池
63 傾き検出器
65a、65b、65c 歯車歯
66 モータ
67 ウォーム歯車
68 小歯車
69a、69b、69c 小歯車
70 校正部
71 校正部検出器
72 電源スイッチ
74 液晶シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に表示された立体映像用の映像を分離して視聴者の右目に右目用映像を入射する右目用偏光板と、
前記表示装置に表示された前記立体映像用の映像を分離して視聴者の左目に左目用映像を入射する左目用偏光板と、
前記右目用偏光板と前記左目用偏光板を該偏光板の面の法線に平行な直線を回転軸として該偏光板を周方向にそれぞれ回転させる回転手段と
を有する立体映像用眼鏡。
【請求項2】
前記回転手段は、前記立体映像用眼鏡が水平線に対して傾いたとき、傾いた角度を補正するように該偏光板をそれぞれ回転させる請求項1記載の立体映像用眼鏡。
【請求項3】
前記回転手段は、前記右目用偏光板と前記左目用偏光板を略同じ角度を補正する請求項2記載の立体映像用眼鏡。
【請求項4】
前記右目用偏光板と前記左目用偏光板の前記表示装置側に液晶シャッタが其々設置されている請求項1または請求項2記載の立体映像用眼鏡。
【請求項5】
前記回転手段は、前記右目用偏光板と前記左目用偏光板の周囲の一部に設置された歯車の歯と、前記歯と噛合するラックが設置されたスライダとによって構成されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の立体映像用眼鏡。
【請求項6】
前記回転手段は、前記右目用偏光板と前記左目用偏光板の周囲の一部に設置された錘を有する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の立体映像用眼鏡。
【請求項7】
前記回転手段は、前記右目用偏光板と前記左目用偏光板の周囲の一部に設置された歯車の歯と複数の歯車とモータとによって構成されており、
前記立体映像用眼鏡の傾きを検出する傾き検出手段と、
前記傾きの大きさに応じてモータの回転を制御する制御手段と
を有する請求項1乃至請求項4記載のいずれか1項に記載の立体映像用眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−32642(P2012−32642A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172747(P2010−172747)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】