説明

立体物組立キット用の台紙及び立体物組立キット

【課題】 空気浄化作用を有するとともに加工性に優れた立体物組立キット用の台紙及び立体物組立キットを得る。
【解決手段】 立体物組立キット用の台紙1を、段ボールシート2の両面に光触媒能を有する塗工紙3を接着した構成とし、この台紙1に、立体物5の複数の部品6を打ち抜き加工し、複数の部品6を嵌め合わせることにより、立体物の組み立てを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄効果を有し、良好な加工適性を有する立体物組立キット用の台紙及び立体物組立キットに関する。
【背景技術】
【0002】
台紙に立体物、例えば、動物、乗物、建造物等の模型や置物、玩具、容器、箱等の複数の部品が打ち抜き加工されており、前記複数の部品を嵌め合わせることにより、立体物の組み立てが可能となっている立体物組立キットがある。
【0003】
この立体物組立キットの台紙の材料としてとしては、一般に、厚紙、木板、スチレンペーパー、発泡スチロール板等が使用されている(例えば、特許文献1参照。)が、易取扱性や材料費の点から、台紙の材料として厚紙が多く使用されている。
【特許文献1】特開2006−161183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の立体物組立キットは、立体物の組立の楽しさに重点が置かれ、組上がった立体物は模型、置物、玩具、容器、箱等としての存在でしかなかった。そこで、本発明者は、立体物組立キットの付加価値を高めることを模索した結果、立体物に光触媒能を備えさせ、立体物が置かれた環境の空気清浄を図れるようにすることに着目した。そのためとして、台紙の両面に光触媒作用を有する塗工紙を貼着させるといったことが考えられるが、台紙の材料が厚紙である場合、打ち抜き加工の際、刃が通り難く、加工性に難がある上に、厚紙の両側に塗工紙を貼着させると、一層刃が通り難くなり加工性が悪くなるといった問題が生じることになる。
【0005】
本発明の目的は、空気浄化作用を有するとともに加工性に優れた立体物組立キット用の台紙及び立体物組立キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、立体物組立キット用の台紙であって、この台紙が段ボールシートの両面に光触媒能を有する塗工紙が接着されたものからなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、立体物組立キットであって、前記請求項1に記載の立体物組立キット用の台紙に、立体物の複数の部品が打ち抜き加工されており、前記複数の部品を嵌め合わせることにより、立体物の組み立てが可能となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、立体物組立キット用の台紙が段ボールシートの両面に光触媒能を有する塗工紙が接着されたものからなるので、この台紙に組み立てる立体物の複数の部品を打ち抜き加工する際、段ボールシートに厚味があっても、段ボールシートを構成する表裏原紙及び中芯原紙それ自体は薄いので刃が通り易く、打ち抜き加工を容易に行うことができ、打ち抜かれた立体物の部品に強度が有り、また、その両面に光触媒能を有する塗工紙が接着されているので、複数の部品により組み立てた立体物に空気の浄化作用を備えさせることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、立体物組立キットであって、前記請求項1に記載の立体物組立キット用の台紙に、立体物の複数の部品が打ち抜き加工されており、前記複数の部品を嵌め合わせることにより、立体物の組み立てが可能となっているので、この台紙を打ち抜いた部品で組み立てられた立体物は、その両面に光触媒能を有する塗工紙が接着されているので、組み立てた立体物を、例えば部屋に置いておくことにより、部屋内の空気を浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る立体物組立キット用の台紙及び立体物組立キットを実施するための最良の形態を図面により説明する。
【0011】
図1は本発明に係る立体物組立キット用の台紙の実施の一例を示す一部拡大断面図である。同図において、1は立体物組立キット用の台紙であり、台紙1は、段ボールシート2の両面に光触媒能を有する塗工紙3が貼着された構成となっている。段ボールシート2にあっては、波形に成形された中芯原紙2aの両側面に表裏原紙2bを貼り合せた公知の段ボールシートが用いられる。本例では白段ボールシートとなっている。
【0012】
この段ボールシート2の両面に貼着された光触媒能を有する塗工紙3は、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗工層が積層されており(図示せず)、この塗工層には、光触媒作用を有する酸化チタンが含有されている。塗工紙としては、コート紙、アート紙、キャスト塗工紙を用いることができ、光触媒効果、強度性、加工適性、印刷適性に加えて、立体物組立キットの製作において部品の嵌め込みが容易となる点から特にマットコート紙が好ましい。
【0013】
また、光触媒作用を有する酸化チタンは、塗工層を形成する塗工液中に顔料の一部として配合されており、配合量は、顔料100重量部当たり5重量部以上が好ましく、より好ましくは10重量部以上50重量部以下である。本発明における酸化チタンとしては、酸化チタンの他、含水酸化チタン、水和酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、及び水酸化チタンと呼称されているチタン酸化物または水酸化物全てから製造することができる。本発明に用いる酸化チタンとしては、一次粒子の粒径は2〜150nmが好ましい。また、比表面積は10〜350m/gが好ましい。
【0014】
塗工層に設けるその他顔料としては、塗工紙製造で従来から使用されるカオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどの無機顔料およびプラスチックピグメント等の有機顔料などを必要に応じて1種類以上を選択して使用できる。本発明においては、白紙光沢度が高いキャスト塗工紙に用いる場合、光触媒効果、加工適性向上の点から、エンジニアードカオリンなどのカオリンを使用することが好ましく、配合量は、顔料100重量部に対して、10重量部以上が好ましく、より好ましくは40重量部以上である。
【0015】
また、顔料とともに塗工層の主成分となる接着剤は、塗工紙用に従来から用いられているスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系等の合成系接着剤、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白の蛋白質類、酸化澱粉、陽性澱粉など澱粉類等の有機接着剤から1種類以上を適宜選択して使用される。
【0016】
また、本発明に用いる塗工紙の坪量としては、特に限定はないが、強度性、加工適性などの点から60〜500g/m程度のものを使用することが好ましく、より好ましくは180〜400g/mである。また、塗工紙に設けられた塗工層の塗工量は、光触媒効果、印刷品質などの点から、原紙片面当たり4〜30g/mが好ましい。
【0017】
図2は図1に示す台紙を使用した立体物組立キットの実施の一例を示す平面図、図3は図2に示した立体物組立キットにより組み立てられた立体物を示す斜視図である。
【0018】
図2において、4は立体物組立キットであり、立体物組立キット4は台紙1に、立体物5の複数の部品6が打ち抜き加工されており、複数の部品6を嵌め合わせることにより、立体物5の組み立てが可能となっている。
【0019】
この打ち抜き加工は、打ち抜き型の板型に取り付けられた打ち抜き刃により、平面状の台紙1に立体物を構成する部品6を打ち抜くものであり、従来用いられている公知の方法で行われる。また、打ち抜き加工は、各部品の形状をそっくり打ち抜くものであってもよいし、指でわずかな力を加えると台紙1から部品が切り離される程度の打ち抜きとなっていてもよい。
【0020】
また、台紙1に打ち抜かれた各部品6は、互いの部品を嵌め込むための差し込み部が形成されており、糊や接着材を使用せずとも立体形状を有する立体物5が容易に組み立てられるように形成されている。
【0021】
なお、立体物組立キット4の部品6に印刷を施す場合には、印刷層により空気清浄効果及び脱臭効果が落ちる傾向にあるため、各部品6の印刷面積は光が当たる面積当たり、1〜80%が好ましく、より好ましくは、1〜50%である。
【0022】
本例では、立体物組立キット4の台紙1に打ち抜き加工された立体物5が恐竜の模型となっているが、これに限定されるものではない。
【0023】
上記のように構成された立体物組立キット用の台紙1は、段ボールシート2の両面に光触媒能を有する塗工紙3が接着されたものからなるので、この台紙1に組み立てる立体物5の複数の部品6を打ち抜き加工する際、段ボールシート2に厚味があっても、段ボールシート2を構成する表裏原紙2b及び中芯原紙2aそれ自体は薄いので刃が通り易く、打ち抜き加工を容易に行うことができ、打ち抜かれた立体物5の部品6に強度が有り、また、その両面に光触媒能を有する塗工紙3が接着されているので、複数の部品6により組み立てた立体物5に空気の浄化作用を備えさせることができる。また、本例では、光触媒としてる酸化チタンを用いているので印刷適性に優れるものとなる。
【0024】
そして、立体物組立キット4は、前記台紙1に、立体物5の複数の部品6が打ち抜き加工されており、前記複数の部品6を嵌め合わせることにより、立体物5の組み立てが可能となっているので、この台紙を打ち抜いた部品6で組み立てられた立体物5は、その両面に光触媒能を有する塗工紙3が接着されているので、組み立てた立体物5を、例えば部屋に置いておくことにより、部屋内を殺菌、脱臭し、部屋内の空気を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る立体物組立キット用の台紙の実施の一例を示す一部拡大断面図である。
【図2】図1に示す台紙を使用した立体物組立キットの実施の一例を示す平面図である。
【図3】図2に示した立体物組立キットにより組み立てられた立体物を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 台紙
2 段ボールシート
2a 中芯原紙
2b 表裏原紙
3 塗工紙
4 立体物組立キット
5 立体物
6 部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体物組立キット用の台紙であって、この台紙が段ボールシートの両面に光触媒能を有する塗工紙が接着されたものからなることを特徴とする立体物組立キット用の台紙。
【請求項2】
請求項1に記載の立体物組立キット用の台紙に、立体物の複数の部品が打ち抜き加工されており、前記複数の部品を嵌め合わせることにより、立体物の組み立てが可能となっていることを特徴とする立体物組立キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−119070(P2009−119070A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297148(P2007−297148)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【出願人】(594106106)興陽製紙株式会社 (2)
【Fターム(参考)】