説明

立体画像生成装置、立体画像生成方法、および、立体画像生成用プログラム

【課題】立体画像生成装置において、複数の画像を含むファイルの中から、立体表示用の画像に利用する画像を適切に選択できるようにする。
【解決手段】ファイルに含まれる複数の画像は、個別画像番号に従って配列される。そして、代表画像が、左目用画像として選択され、また、当該代表画像に対して右側に位置する画像が、右目用画像として選択される。そして、立体画像は、右目用画像と左目用画像を用いて、生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の立体表示に関し、特に、1つのファイルに含まれる複数の画像から立体表示用の画像を選択して立体表示用のデータを生成するための装置、方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間が立体感を得るための技術の1つとして、両目視差を用いる技術が知られている。両目視差とは、異なる2つの視点から対象物を見ることにより得られる映像のずれであり、これを元に奥行き方向の距離を知覚する。
【0003】
立体表示用の画像データの生成方法の一例として、対象物を異なる視点から見た複数の画像のうち、一の画像を用いて左目用画像データを生成し、そして、他の画像を用いて右目用画像データを生成し、これらを組合わせるものがある。
【0004】
なお、以上本発明についての従来技術を、出願人の知得した一般的技術情報に基づいて説明したが、出願人の記憶する範囲において、本分割出願の原出願における出願前までに、先行技術文献情報として開示すべき情報を出願人は有していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、近年、マルチビュー表示用など、複数の画像を関連付けて1つのファイルとして記録したいという要求に基づき、マルチピクチャーフォーマット(MPフォーマット)のような、複数の静止画像データを同一ファイルに記録する規格が提案されている。
【0006】
立体表示用の画像データの生成に利用されるファイルが上記のような規格に従ったファイルである場合、当該ファイルには、たとえば2つの画像が一定の取り決めで記録される。取り決めの具体例としては、たとえば、MPフォーマットファイルにおいて、1つ目に記録される画像を左目用画像、2つ目に記録される画像を右目用画像として、ファイルが生成される。このような取り決めに従ってファイルが生成されていれば、当該ファイルについて立体表示用の画像を生成する際には、1つ目に記録されている画像を左目用画像とし、2つ目に記録されている画像を右目用画像として、立体表示用の画像が生成される。
【0007】
しかしながら、上記のような取り決めは、MPフォーマットファイル全般に適用されるものではない。つまり、MPフォーマットファイルには、上記取り決めに従わない態様で複数の画像を記録したファイルも有り得る。したがって、上記取り決めに従っていないMPフォーマットファイルに基づいて立体表示用の画像データが生成された場合、適切な画像データを生成できない場合があった。具体的には、たとえば、左目用画像として、右目用画像より右側の視点から対象物を撮影した画像が利用された場合、生成された画像データからは満足のいく立体感が得られない場合があった。特に、MPフォーマットファイルには、複数の画像が含まれる場合があり、これらの画像の中からどのように立体表示用の画像の生成に用いる画像を選択すれば良いかについては、具体的には検討がなされていなかった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、複数の画像を含むファイルの中から、立体表示用の画像に利用する画像を適切に選択できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った立体画像生成装置は、対象物についての複数の画像を含むファイルを記憶するための記憶手段と、ファイルに含まれる画像のうち、左または右のいずれか一方側の目で見るための画像である一方側画像と、いずれか他方側の目で見るための画像である他方側画像とを用いて、立体表示用の画像を生成するための生成手段とを備え、ファイルは、複数の画像の水平方向の向きを示す情報である方向情報と、複数の画像の中の代表画像を特定する代表画像情報とを含み、生成手段は、代表画像を、一方側画像として選択し、方向情報に基づいて複数の画像を配列した場合に、一方側画像として選択された画像に対して左または右のいずれか他方側に位置する画像を、他方側画像として選択する。
【0010】
好ましくは、生成手段は、方向情報に基づいて複数の画像を配列した場合に、代表画像が左または右のいずれか他方側の端に位置する画像である場合には、代表画像に対して左または右のいずれか一方側に配列された画像を、一方側画像として選択し、代表画像を、他方側画像として選択する。
【0011】
好ましくは、生成手段は、方向情報に基づいて複数の画像を配列した場合に、代表画像が左または右のいずれか他方側の端に位置する画像である場合、さらに、複数の画像が対象物の全周に対応すると推測できるか否かを判断し、複数の画像が対象物の全周に対応すると推測できると判断した場合には、代表画像を、一方側画像として選択し、左または右のいずれか一方側の端に位置する画像を、他方側画像として選択する。
【0012】
好ましくは、方向情報は、複数の画像の中の特定の画像に対する各画像の輻輳角を特定する情報を含み、生成手段は、複数の画像の中から、一方側画像と他方側画像の輻輳角の差が所定の角度以上となるように、一方側画像と他方側画像を選択する。
【0013】
本発明に従った立体画像生成方法は、好ましくは、対象物についての複数の画像を含むファイルから、左または右のいずれか一方側の目で見るための画像である一方側画像と、いずれか他方側の目で見るための画像である他方側画像とを用いて、立体表示用の画像を生成する、立体画像生成方法であって、ファイルは、複数の画像の水平方向の向きを示す情報である方向情報と、複数の画像の中の代表画像を特定する代表画像情報とを含み、代表画像を、一方側画像として選択するステップと、方向情報に基づいて複数の画像を配列した場合に、一方側画像として選択された画像に対して左または右のいずれか他方側に位置する画像を、他方側画像として選択するステップとを備える。
【0014】
本発明に従った立体画像生成用プログラムは、対象物についての複数の画像を含むファイルから、左または右のいずれか一方側の目で見るための画像である一方側画像と、いずれか他方側の目で見るための画像である他方側画像とを用いて、立体表示用の画像を生成するコンピュータにおいて実行される立体画像生成用プログラムであって、ファイルは、複数の画像の水平方向の向きを示す情報である方向情報と、複数の画像の中の代表画像を特定する代表画像情報とを含み、コンピュータに、代表画像を、一方側画像として選択するステップと、方向情報に基づいて複数の画像を配列した場合に、一方側画像として選択された画像に対して左または右のいずれか他方側に位置する画像を、他方側画像として選択するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、処理対象のファイルに含まれる画像のうち、代表画像を、一方側画像として選択し、方向情報に基づいて複数の画像を配列した場合に、一方側画像として選択された画像に対して左または右のいずれか他方側に位置する画像を、他方側画像として選択する。これにより、立体表示用の画像を生成するための画像を適切に選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る携帯電話機の外観を示す図である。
【図2】図1の携帯電話機のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【図3】第1の実施の形態において、立体表示用の画像の生成に利用されるファイルの構造の一例を示す図である。
【図4】図1の携帯電話機において処理対象とされるファイルが、所定の対象物のパノラマ撮影により生成された複数の画像として各個別画像を含む場合の、撮影位置を模式的に示す図である。
【図5】図4に示されたような5回の撮影のそれぞれによって生成された画像を模式的に示す図である。
【図6】図1の携帯電話機において、立体表示用の画像を生成するために実行される処理(立体画像生成処理)のフローチャートである。
【図7】ファイルに含まれる画像を、各画像の輻輳角(各画像の向き)に応じて配列した状態を示す図である。
【図8】第2の実施の形態において実行される立体画像生成処理のフローチャートである。
【図9】図8の処理内容を説明するための図である。
【図10】第3の実施の形態において実行される立体画像生成処理のフローチャートである。
【図11】図10の処理内容を説明するための図である。
【図12】図10の処理内容を説明するための図である。
【図13】第4の実施の形態において実行される立体画像生成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の立体画像生成装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
<第1の実施の形態>
[外観]
図1は、本実施の形態に係る携帯電話機100の外観を示す図である。
【0019】
携帯電話機100は、ディスプレイ150と、ボタン160を備える。
携帯電話機100では、画像を2次元と3次元で選択的に表示させることができる。ボタン160は、画像表示を2次元と3次元の間で切り替えるためのボタンである。
【0020】
また、携帯電話機100は、2以上の画像を関連付けて記憶するファイルを用いて、立体表示用の画像を生成できる。そして、携帯電話機100は、そのように生成した立体表示用の画像を、ディスプレイ150に表示できる。
【0021】
[ハードウェア構成]
図2を参照して、本実施の形態に係る携帯電話機100のハードウェア構成について説明する。図2は、携帯電話機100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【0022】
携帯電話機100は、上記したディスプレイ150に加え、通信装置102と、チューナ104と、アンテナ106,108と、CPU(Central Processing Unit)110と、音声信号処理回路111と、カメラ120と、フラッシュメモリ144と、RAM(Random Access Memory)146と、ROM(Read Only Memory)148と、バックライト151と、ボタン160と、LED(Light Emitting Diode)176と、メモリカード駆動装置180と、データ通信I/F(Interface)178と、バイブレータ184とを備える。メモリカード駆動装置180には、メモリカード182が装着され得る。
【0023】
メモリカード182は、携帯電話機100の本体に対して着脱可能な記憶媒体の一例である。メモリカード駆動装置180は、他の形態の記憶媒体を扱うものに置換されても良い。記憶媒体としては、CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムやデータを格納する媒体が挙げられる。
【0024】
ある局面において、アンテナ106は、テレビジョン放送信号を受信する。チューナ104は、CPU110の命令に従って番組を選局し、映像信号および音声信号をCPU110に伝送する。
【0025】
アンテナ108によって受信された信号は、通信装置102によってフロントエンド処理が行なわれた後、処理後の信号は、CPU110に送られる。CPU110は、携帯電話機100に対して与えられる命令に基づいて、携帯電話機100の動作を制御するための処理を実行する。CPU110は、通信装置102から送られた信号に基づいて予め規定された処理を実行し、処理後の信号を音声信号処理回路111に送出する。音声信号処理回路111は、その信号に対して予め規定された信号処理を実行し、処理後の信号をスピーカ140に送出する。スピーカ140は、その信号に基づいて音声を出力する。
【0026】
マイク170は、携帯電話機100に対する発話を受け付けて、発話された音声に対応する信号を音声信号処理回路111に対して送出する。音声信号処理回路111は、その信号に基づいて通話のために予め規定された処理を実行し、処理後の信号をCPU110に対して送出する。CPU110は、その信号を送信用のデータに変換し、変換後のデータを通信装置102に対して送出する。通信装置102は、そのデータを用いて送信用の信号を生成し、アンテナ108に向けてその信号を送出する。
【0027】
フラッシュメモリ144は、CPU110から送られるデータを格納する。また、CPU110は、フラッシュメモリ144に格納されているデータを読み出し、そのデータを用いて予め規定された処理を実行する。
【0028】
RAM146は、ボタン160に対して行なわれた操作に基づいてCPU110によって生成されるデータを一時的に保持する。ROM148は、携帯電話機100に予め定められた動作を実行させるためのプログラムあるいはデータを格納している。CPU110は、ROM148から当該プログラムまたはデータを読み出し、携帯電話機100の動作を制御する。
【0029】
メモリカード駆動装置180は、メモリカード182に格納されているデータを読み出し、CPU110に送出する。逆にメモリカード駆動装置180は、CPU110によって出力されるデータを、メモリカード182の空き領域に書き込む。
【0030】
CPU110は、メモリカード182に記録されたプログラムを実行することにより、本明細書に記載の機能を実現することもできる。
【0031】
音声信号処理回路111は、上述のような通話のための信号処理を実行する。なお、CPU110と音声信号処理回路111とが別個の構成として示されているが、他の局面において、CPU110と音声信号処理回路111とが一体として構成されていてもよい。
【0032】
ディスプレイ150は、2次元で、または3次元で画像を表示することができる。ある局面において、ディスプレイ150は、視差バリアを形成可能な液晶表示装置によって実現される。ディスプレイ150は、CPU110から出力されるデータに基づいて、画像を表示する。たとえば、ディスプレイ150は、フラッシュメモリ144が格納している静止画、動画、音楽ファイルの属性(当該ファイルの名前、演奏者、演奏時間など)を表示する。
【0033】
バックライト151は、ディスプレイ150に対して発光する。ある局面において、バックライト151は、CPU110からの制御信号に基づいて光量を増加させ、または減少させることができる。
【0034】
LED176は、CPU110からの信号に基づいて、予め定められた発光動作を実現する。
【0035】
データ通信I/F178は、データ通信用のケーブルの装着を受け付ける。データ通信I/F178は、CPU110から出力される信号を当該ケーブルに対して送出する。あるいは、データ通信I/F178は、当該ケーブルを介して受信されるデータを、CPU110に対して送出する。
【0036】
バイブレータ184は、CPU110から出力される信号に基づいて、予め定められた周波数で発振動作を実行する。
【0037】
[データ構造]
次に、図3を参照して、本実施の形態において立体表示用の画像の生成に利用されるファイルの構造の一例を説明する。図3は、本実施の形態において、立体表示用の画像の生成に利用されるファイルの構造の一例を示す図である。なお、図3に示されたファイル構造は、MPフォーマットに従った構造である。ただし、図3は、本発明に関する技術的思想に直接的な関係を有しないと考えられる要素について、省略等簡略化されて記載されている。
【0038】
図3を参照して、上記フォーマットでは、先頭画像に続いて、単一または複数の個別画像を記録することができる。ファイル900は、先頭画像を含めたn個の個別画像を含む。つまり、ファイル900は、先頭画像910に続いて、(n−1)個の個別画像(個別画像920,930,…,990)を含む。
【0039】
本明細書では、「先頭画像910」を、他の個別画像920,930,…,990と区別する必要がある場合には、先頭画像910と呼び、ファイル900に含まれる個別画像の1つとして他の個別画像920,930,…,990と区別する必要が無い場合には、個別画像910と呼ぶ。
【0040】
先頭画像を含む各個別画像の先頭には、SOI(Start Of Image)911,921,931,…,991があり、また、終わりには、EOI(End Of Image)917,927,937,…,997がある。SOI911,921,931,…,991は、各個別画像の起点を表すマーカである。
【0041】
先頭画像910および個別画像920,930,…,990は、それぞれ、Exif(Exchangeable Image File Format)付属情報を格納したアプリケーションマーカ(APP1)912,922,932,…,992を有している。また、先頭画像910および個別画像920,930,…,990のExif付属情報の後の領域には、アプリケーションマーカ(APP2)914,924,934,…,994が記録されている。そして、先頭画像910および個別画像920,930,…,990は、主画像916,926,936,…,996を含む。
【0042】
各個別画像910,920,930,…,990のAPP1は、サムネイル913,923,933,…,993を含む。サムネイル913,923,933,…,993は、主画像916,926,936,…,996のサムネイル画像である。
【0043】
また、各個別画像910,920,930,…,990のAPP2は、MP個別情報IFD(Image File Directory)915,925,935,…,995を含む。本実施の形態のMP個別情報IFD915,925,935,…,995は、ファイル900に含まれる各個別画像の方向情報を含む。方向情報とは、各個別画像の水平方向の向きを表す情報の一例である。本実施の形態では、方向情報として、個別画像番号と輻輳角とを含む。これらの中で、まず、輻輳角について、図4および図5を参照して説明する。
【0044】
(輻輳角)
図4は、ファイル900が、所定の対象物のパノラマ撮影(多視点立体画像撮影)により生成された複数の画像として各個別画像を含む場合の、撮影位置を模式的に示す図である。図4では、対象物OBを、カメラ120の視点を変えて5回撮影したときの携帯電話機100の位置が、携帯電話機100A,100B,100C,100D,100Eとして示されている。
【0045】
図5は、図4に示されたような5回の撮影のそれぞれによって生成された画像を模式的に示す図である。図5では、携帯電話機100A,100B,100C,100D,100Eのそれぞれの位置で撮影されて生成された画像が、画像800A,800B,800C,800D,800Eとして示されている。
【0046】
図4において、輻輳角D2は、携帯電話機100Aと携帯電話機100Bの、カメラ120の撮影方向のなす角である。輻輳角D3は、携帯電話機100Aと携帯電話機100Cの、カメラ120の撮影方向のなす角である。輻輳角D4は、携帯電話機100Aと携帯電話機100Dの、カメラ120の撮影方向のなす角である。輻輳角D5は、携帯電話機100Aと携帯電話機100Eの、カメラ120の撮影方向のなす角である。
【0047】
そして、輻輳角D2〜D5は、携帯電話機100A〜100Eの中の関係と同様に、画像800A〜画像800Eにおいても適用される。つまり、対象物OBにおいて、輻輳角D2は、画像800Aにおいて表される向きと画像800Bにおいて表される向きのなす角である。また、輻輳角D3は、画像800Aにおいて表される向きと画像800Cにおいて表される向きのなす角である。また、輻輳角D4は、画像800Aにおいて表される向きと画像800Cにおいて表される向きのなす角である。また、輻輳角D5は、画像800Aにおいて表される向きと画像800Eにおいて表される向きのなす角である。
【0048】
輻輳角D2は、画像800Bについての、方向情報の中の輻輳角である。また、輻輳角D3,D4,D5は、それぞれ、画像800C,800D,800Eについての、方向情報の中の輻輳角である。
【0049】
本実施の形態では、図4を参照して説明したようなパノラマ撮影がなされることにより、画像800A〜800Eを含むファイルが生成される。そして、本実施の形態において、各個別画像の輻輳角とは、ファイルに含まれる特定の個別画像(図5の例では、画像800A)の向きに対する各個別画像の向きのなす角である。なお、特定の個別画像の輻輳角は、同一の画像のなす角となるため、0°となる。つまり、画像800Aの輻輳角D1は、0°である。
【0050】
また、輻輳角CVの値は、たとえば、−180°≦CV<+180°の範囲で表される。つまり、角度の絶対値を最大「180」と抑えつつ、360°の範囲をカバーすることができる。これにより、対象物OBに対して、水平方向において360°のどの角度から撮影を行なった場合でも、生成された画像に輻輳角の情報を持たせることができる。
【0051】
(個別画像番号)
個別画像番号は、各個別画像の、向きの順番(カメラ120の配置の順番)を表す視点番号である。視点番号は、被写体に向かって左にある視点から右にある視点へ、昇順になるように、番号が付される。
【0052】
つまり、たとえば図5に示す例であれば、画像800A,800B,800C,800D,800Eの順に左から右へ視点が移動している。このため、画像800A,800B,800C,800D,800Eのそれぞれの個別画像番号は、たとえば、1,2,3,4,5となる。なお、上記のように、個別画像番号は、上記の向きに従って昇順で与えられれば良く、必ずしも1から始まる必要はなく、また、同じ数値ずつ上昇する必要もない。たとえば、画像800A,800B,800C,800D,800Eのそれぞれの個別画像番号は、たとえば、2,6,7,10,15等であっても良い。
【0053】
なお、ファイル900において、個別画像910,920,930,…,990が記憶される順序は、個別画像番号の値の大きさとは相関を有しない場合も有り得る。
【0054】
(MPエントリ情報)
図3に戻って、ファイル900において、先頭画像910にのみ、MPエントリ情報919を含む。MPエントリ情報は、各個別画像910,920,930,…,990のオフセットや、個別画像910,920,930,…,990のうち代表画像を特定する情報を含む。ファイル900において、代表画像は、個別画像910,920,930,…,990を代表する画像である。一方、先頭画像は、ファイル900において一番初めに記憶されている画像である。つまり、代表画像と先頭画像とは異なる概念である。したがって、ファイル900において、代表画像と先頭画像は、同一の画像である場合もあれば、異なる場合もある。
【0055】
[立体表示用画像の生成]
次に、本実施の形態の携帯電話機100における、立体表示用の画像の生成について説明する。
【0056】
本実施の形態で生成される立体表示用の画像は、両目視差を利用して立体感を与えることを意図し、ファイルに含まれる複数の画像から少なくとも左目用画像と右目用画像が選択され、これらが組合わせて、生成される。左目用画像とは、視聴者に左目で見させることを意図した画像である。また、右目用画像とは、視聴者に右目で見させることを意図した画像である。なお、本実施の形態において生成される立体表示用の画像は、パララックスバリア方式やレンティキュラレンズ方式など、左目用画像と右目用画像とを利用する、あらゆる方式の立体表示に適用され得る。
【0057】
図6は、立体表示用の画像を生成するためにCPU110が実行する処理(立体画像生成処理)のフローチャートである。
【0058】
図6を参照して、立体表示用の画像の生成を指示する情報が入力されると、CPU110は、まずステップS10で、ファイルに含まれる複数の画像を個別画像番号順に配列させて、ステップS20へ処理を進める。これにより、処理対象のファイルに含まれる複数の画像は、たとえば、図5に示されるように、仮想的に配列される。
【0059】
なお、立体表示用の画像の指示とは、携帯電話機100において実行されるアプリケーションにおいて適宜生成されても良いし、また、ボタン160が操作されることによりディスプレイ150の表示モードを3D画像表示モードに切り替えられたことによって生成されても良い。また、当該指示は、携帯電話機100の外部の装置から入力されても良い。
【0060】
ステップS20では、CPU110は、代表画像を左目用画像と決定して、ステップS30へ処理を進める。なお、CPU110は、ファイル900におけるMFPエントリ情報914に基づいて、ファイル900に含まれる画像の中から代表画像を特定する。
【0061】
ステップS30では、CPU110は、ステップS10において生成した画像の配列において、ステップS20において左目用画像と決定した画像の右隣に位置する画像を、右目用画像と決定して、ステップS40へ処理を進める。
【0062】
つまり、たとえば、図7に示されたように、ファイル900に、個別画像として画像(1)〜画像(5)が含まれる場合であって、画像(3)が代表画像であった場合には、ステップS20で画像(3)が左目用画像に決定される。図7は、画像(1)〜画像(5)を含むファイルについて、これらの画像を、各画像の輻輳角(各画像の向き)に応じて配列した状態を示す図である。なお、図7では、画像(1)、画像(2)、画像(3)、画像(4)、画像(5)の順に左から右へ配列されている。これは、この順に個別画像番号が大きくなることを意味している。つまり、たとえば、画像(1)の個別画像番号が「1」、画像(2)の個別画像番号が「2」、画像(3)の個別画像番号が「3」、画像(4)の個別画像番号が「4」、そして、画像(5)の個別画像番号が「5」である場合に、画像(1)〜画像(5)は図7に示されるように配列される。
【0063】
そして、ステップS30で画像(3)の右隣に配置されている画像(4)が右目用画像に決定される。
【0064】
そして、ステップS40では、CPU110は、ステップS20で決定した左目用画像と、ステップS30で決定した右目用画像とを用いて、立体表示用の画像を生成して、処理を終了させる。ステップS40における処理内容としては、たとえばパララックスバリア方式やレンティキュラレンズ方式に従った立体表示用の画像であれば、上記の左目用画像と右目用画像を、縦に細長く切断し、交互に並べることによって、生成される。
【0065】
以上説明した本実施の形態によれば、複数の画像を含むファイルについて、代表画像を特定する情報が含まれる場合、当該代表画像を利用して、立体表示用の画像が生成される。これにより、たとえば、当該ファイルについて、2次元表示と3次元表示との間で表示の切替が行なわれた場合、見た者に2次元表示と3次元表示の間で全く異なる印象を与える、という事態の発生を極力抑えることができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、上記ファイルに複数の画像についての水平方向の向きを示す情報が含まれる場合、左目用画像と右目用画像がそれらの向きに対応する位置に従って、決定される。つまり、図7を参照して説明したように、ファイルに含まれる複数の画像が、その向きに従って水平方向に配列された場合に、右目用画像として、左目用画像として決定された画像よりも右側に配列された画像が決定された。これにより、右目用画像として、左目用画像よりも右側で見えるべき画像が選択され、また、左目用画像として、右目用画像よりも左側で見えるべき画像が選択される。したがって、生成される立体表示用の画像が、十分な立体感を与えることが期待される。
【0067】
なお、本実施の形態では、複数の画像がその向きに従って図7に示されたように配列された場合、右目用画像は、左目用画像よりも右側に配置されていればよく、右側のすぐ隣に位置している必要はない。つまり、左目用画像として、代表画像である画像(3)が決定された場合に、画像(3)より右側には画像(4)と画像(5)が配置されている。この場合、右目用画像は、画像(4)とされても良いし、画像(5)とされても良い。
【0068】
また、本実施の形態では、代表画像を左目用画像としているが、これに限定されない。代表画像は右目用画像とされても良い。この場合、図7等において、当該代表画像に対して左側に配置されている画像が、左目用画像とされる。たとえば、図7の例において、代表画像である画像(3)の左側には画像(1)および画像(2)が配置されている。そして、この場合、右目用画像として画像(3)が決定され、左目用画像として画像(1)または画像(2)が決定される。
【0069】
以上説明した本実施の形態では、ファイルに含まれる複数の画像は、個別画像番号に従って、図7等に示されるように配列される。そして、代表画像が、左目用画像として選択される。そして、図7等において代表画像に対して右側に位置する画像が、右目用画像として選択される。
【0070】
なお、本実施の形態では、個別画像番号に従って画像が配列された後の処理において、左右が入れ替えられても良い。このように変形された場合、図7等に示されるように複数の画像が配列された後、代表画像が、右目用画像として選択される。そして、図7等において代表画像に対して左側に位置する画像が、左目用画像として選択される。
【0071】
<第2の実施の形態>
本実施の形態の携帯電話機100のハードウェア構成は、第1の実施の形態における携帯電話機100と同様のものとすることができる。このため、ハードウェア構成についての詳細な説明は繰り返さない。
【0072】
なお、本実施の形態の携帯電話機100は、第1の実施の形態に対して、立体画像生成処理の内容が異なる。以下、第1の実施の形態に対する相違点について、説明する。図8は、本実施の形態のCPU110が実行する立体画像生成処理のフローチャートである。
【0073】
図8を参照して、本実施の形態の立体画像生成処理では、CPU110は、ステップS10で、ファイルに含まれる複数の画像(個別画像)を方向情報に従って配列させ、次に、ステップS20で、代表画像を左目用画像と決定して、ステップS21へ処理を進める。本実施の形態におけるステップS10とステップS20の内容は、図6におけるこれらの処理内容と同様である。
【0074】
ステップS21では、CPU110は、ファイルに含まれる複数の画像がそれらの向きに従って図5に示されたように配列された場合、代表画像が、当該配列において最も右に位置するか否かを判断する。そして、CPU110は、そうであると判断するとステップS23へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS30へ処理を進める。たとえば、図7に示されたように、画像(3)が代表画像である場合には、処理はステップS30へ進められる。一方、図9に示されたように、ファイルに画像(1)〜画像(5)が含まれる場合に、画像(5)が代表画像である場合には、処理はステップS23へ進められる。
【0075】
図8に戻って、ステップS23では、CPU110は、左目用画像を代表画像よりも左側に配列されている画像に変更して、ステップS25へ処理を進める。つまり、図9に示された例では、画像(1)〜画像(4)のいずれかへと、左目用画像が変更される。なお、画像(1)〜画像(4)のいずれに変更されるかは、適宜設定されていれば良い。たとえば、代表画像に隣接する画像(画像(4))とされても良いし、代表画像との輻輳角の差が所定以上大きい画像とされても良い。
【0076】
ステップS25では、CPU110は、代表画像を右目用画像と決定して、ステップS40へ処理を進める。つまり、図9に示された例では、画像(4)が右目用画像と決定される。
【0077】
一方、ステップS30では、CPU110は、図6のステップS30と同様に、代表画像より右側に配列された画像を右目用画像と決定して、ステップS40へ処理を進める。
【0078】
ステップS40では、CPU110は、図6のステップS40と同様に、それまでの処理において決定された左目用画像と右目用画像とを利用して立体表示用の画像を生成して、処理を終了させる。
【0079】
以上説明した本実施の形態では、基本的には、代表画像が左目用画像として選択される(ステップS20)。そして、図9に示されるような配列において、当該代表画像よりも右側に位置する画像が右目用画像として選択される(ステップS30)。しかしながら、代表画像が図9に示されるような配列において右側の端部に位置する場合には(ステップS21でYES)、左目用画像が、代表画像よりも左側に配列されている画像へと変更される(ステップS23)。そして、代表画像は、右目用画像として選択される(ステップS25)。
【0080】
なお、以上説明した本実施の形態では、個別画像番号に従って画像が配列された後の処理において、左右が入れ替えられても良い。このように変形された場合、代表画像は基本的に右目用画像として選択される(ステップS20)。そして、図9に示されるような配列において、当該代表画像よりも左側に位置する画像が左目用画像として選択される(ステップS30)。しかしながら、代表画像が左端に位置する場合には(ステップS21でYES)、右目用画像が、代表画像よりも右側に配列されている画像へと変更される(ステップS23)。そして、代表画像は、左目用画像として選択される(ステップS25)。
【0081】
<第3の実施の形態>
本実施の形態の携帯電話機100のハードウェア構成は、第1の実施の形態における携帯電話機100と同様のものとすることができる。このため、ハードウェア構成についての詳細な説明は繰り返さない。
【0082】
なお、本実施の形態の携帯電話機100は、第1の実施の形態に対して、立体画像生成処理の内容が異なる。以下、第1の実施の形態に対する相違点について、説明する。図10は、本実施の形態のCPU110が実行する立体画像生成処理のフローチャートである。
【0083】
図10を参照して、本実施の形態の立体画像生成処理では、CPU110は、ステップS10で、ファイルに含まれる複数の画像(個別画像)を方向情報に従って配列させ、次に、ステップS20で、代表画像を左目用画像と決定して、ステップS21へ処理を進める。本実施の形態におけるステップS10とステップS20の内容は、図6におけるこれらの処理内容と同様である。
【0084】
ステップS21では、CPU110は、図8のステップS21と同様に、ファイルに含まれる複数の画像がそれらの向きに従って図5に示されたように配列された場合、代表画像が、当該配列において最も右に位置するか否かを判断する。そして、CPU110は、そうであると判断するとステップS22へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS30へ処理を進める。
【0085】
ステップS22では、CPU110は、処理対象のファイルに含まれる複数の画像が、対象物の全周に対応しているか否かを判断し、そうであると判断するとステップS27へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS23へ処理を進める。なお、「複数の画像が対象物の全周に対応している」とは、複数の画像によって対象物の全周がカバーされていることに相当する。ステップS22における判断の内容については、図11および図12を参照して後述する。
【0086】
ステップS27では、CPU110は、複数の画像のうち左端の画像を右目用画像と決定して、ステップS40へ処理を進める。
【0087】
ステップS23では、CPU110は、図8のステップS23と同様に、左目用画像を代表画像よりも左側に配列されている画像に変更して、ステップS25へ処理を進める。
【0088】
ステップS25では、CPU110は、図8のステップS25と同様に、代表画像を右目用画像と決定して、ステップS40へ処理を進める。
【0089】
ステップS30では、CPU110は、図6のステップS30と同様に、代表画像より
右側に配列された画像を右目用画像と決定して、ステップS40へ処理を進める。
【0090】
ステップS40では、CPU110は、図6のステップS40と同様に、それまでの処理において決定された左目用画像と右目用画像とを利用して立体表示用の画像を生成して、処理を終了させる。
【0091】
ここで、ステップS22における判断の内容の一例を、以下に説明する。
ステップS10において、複数の画像は、個別画像番号に従って配列されている。この隣接する画像同士の輻輳角の差を算出する。具体的には、或る画像とその右側に隣接する画像との輻輳角の差を算出する。最も右側にある画像については、最も左側にある画像を用いて差に対応する値XDIFを算出する。具体的には、次の式(1)に従って算出する。
【0092】
XDIF=(CVL+360°)−CVR …(1)
式(1)では、XDIFは、最も左側にある画像の輻輳角CVLに360°を加えた値と、最も右側にある画像の輻輳角CVRとの差として、算出される。
【0093】
そして、各画像について算出された輻輳角の差、および、上記差に対応した値XDIFが、すべて等しい(または、これらの誤差が所定の範囲(たとえば、5°程度)内にある)場合に、CPU110は、複数の画像が、対象物の全周に対応している、と判断する。一方、これらのうち一つでも異なる(または、上記の誤差範囲外にある)場合には、CPU110は、複数の画像が対象物の全周には対応していない、と判断する。
【0094】
この判断態様の例を、図11を参照して具体的に説明する。図11は、対象物と、当該対象物を6つの方向から撮影した画像とを模式的に示す図である。
【0095】
処理対象のファイルには、図11の画像(1)〜画像(6)が含まれている場合を考える。当該ファイルでは、画像(1)が先頭画像であり、その後に、画像(2)〜画像(6)が順に、個別画像として記録されいているものとする。
【0096】
また、当該ファイルでは、個別画像番号は、画像(6)、画像(5)、画像(4)、画像(1)、画像(2)、画像(3)の順に大きくなり、画像(6)が最も番号が小さく、画像(3)が最も番号が大きいとする。
【0097】
当該ファイルでは、各個別画像の輻輳角は、画像(1)を基準に設定されており、画像(1)の輻輳角は0°である。図11では、画像(1)に対して左向きが矢印A2で示されており、右向きが矢印A1で示されている。そして、画像(2)の輻輳角は+60°とする。また、画像(3)の輻輳角は+120°とする。また、画像(4)の輻輳角は−60°とする。また、画像(5)の輻輳角は−120°とする。そして、画像(6)の輻輳角は−180°とする。輻輳角は、上記のように−180°以上+180°未満である。したがって、図11の例では、画像(6)が左端の画像であり、画像(3)が右端の画像である。
【0098】
画像(6)、画像(5)、画像(4)、画像(1)、および、画像(2)のそれぞれの、その右側に隣接する画像との輻輳角の差は、60°である。一方、画像(3)については、右端の画像であるため、その右側に隣接する画像との輻輳角の差が算出できない。画像(3)については、上記の式(1)に従って、当該差に対応する値が算出される。
【0099】
図11の例では、輻輳角CVLは、画像(6)の輻輳角である、−180°である。輻輳角CVRは、画像(3)の輻輳角である+120°である。これを、式(1)にあてはめると、上記の差に対応する値XDIFは、次の式(2)に示されるように、60°と算出される。
【0100】
{(−180°)+360°}−(+120°)=60° …(2)
上記したように、画像(6)、画像(5)、画像(4)、画像(1)、および、画像(2)のそれぞれの、その右側に隣接する画像との輻輳角の差は、60°である。また、画像(3)についての値XDIFも60°である。つまり、すべての値が等しい。したがって、図11に示されたようにファイル中の複数の画像が配列される場合には、複数の画像が対象物OBの全周に対応していると判断される。
【0101】
図10の例では、右端の画像が代表画像である場合(ステップS21でYES判断時)、ステップS22で、複数の画像が対象物の全周に対応すると判断されると、ステップS27で、左端の画像が右目用画像とされる。したがって、図11の例では、右端の画像(3)が代表画像である場合、画像(3)が左目用画像として選択され、そして、左端の画像(6)が右目用画像として選択される。
【0102】
一方、本明細書において説明する例に従えば、図12に示される場合には、複数の画像は対象物OBの全周に対応していないと判断される。図12は、対象物と、当該対象物を5つの方向から撮影した画像とを模式的に示す図である。
【0103】
図12の例では、処理対象のファイルには、図12の画像(1)〜画像(5)が含まれる。当該ファイルでは、画像(1)が先頭画像であり、その後に、画像(2)〜画像(5)が順に、個別画像として記録されいている。
【0104】
また、当該ファイルでは、個別画像番号は、画像(5)、画像(4)、画像(1)、画像(2)、画像(3)の順に大きくなり、画像(5)が最も番号が小さく、画像(3)が最も番号が大きいとする。
【0105】
当該ファイルでは、各個別画像の輻輳角は、画像(1)を基準に設定されており、画像(1)の輻輳角は0°である。図12では、図11と同様に、画像(1)に対して左向きが矢印A2で示されており、右向きが矢印A1で示されている。画像(2)の輻輳角は+60°であり、画像(3)の輻輳角は+120°であり、画像(4)の輻輳角は−60°であり、そして、画像(5)の輻輳角は−120°である。図12の例では、画像(5)が左端の画像であり、画像(3)が右端の画像である。
【0106】
画像(5)、画像(4)、画像(1)、および、画像(2)のそれぞれの、その右側に隣接する画像との輻輳角の差は、60°である。一方、画像(3)については、右端の画像であるため、その右側に隣接する画像との輻輳角の差が算出できない。画像(3)については、上記の式(1)に従って、当該差に対応する値が算出される。
【0107】
図12の例では、輻輳角CVLは、画像(5)の輻輳角である、−120°である。輻輳角CVRは、画像(3)の輻輳角である+120°である。これを、式(1)にあてはめると、上記の差に対応する値XDIFは、次の式(3)に示されるように、120°と算出される。
【0108】
{(−120°)+360°}−(+120°)=120° …(3)
上記したように、画像(5)、画像(4)、画像(1)、および、画像(2)のそれぞれの、その右側に隣接する画像との輻輳角の差は、60°である。しかしながら、画像(3)についての値XDIFは120°である。値XDIFは、各画像の輻輳角の差と異なる。したがって、図12に示されたようにファイル中の複数の画像が配列される場合には、複数の画像が対象物OBの全周に対応していないと判断される。
【0109】
図10の例では、右端の画像が代表画像である場合(ステップS21でYES判断時)、ステップS22で、複数の画像が対象物の全周に対応していないと判断されると、ステップS23で代表画像より左側の画像が左目用画像とされ、ステップS25で代表画像が右目用画像とされる。したがって、図12の例では、右端の画像(3)が代表画像である場合、たとえば画像(1)または画像(2)が左目用画像として選択され、画像(3)が右目用画像として選択される。
【0110】
以上説明したように、本実施の形態では、代表画像が左端に位置する場合であって、ファイルに含まれる複数の画像が対象物の全周に対応すると推測できると判断した場合には、代表画像が、左目用画像として選択され、そして、左端に位置する画像が右目用画像として選択される。
【0111】
なお、本実施の形態は、個別画像番号に従って複数の画像が配列された後の処理において、左右が入れ替えられても良い。このように変形された場合、個別画像番号に従って複数の画像が配列された後、代表画像が右端に位置する場合であって、ファイルに含まれる複数の画像が対象物の全周に対応すると推測できると判断した場合には、代表画像が、右目用画像として選択され、そして、右端に位置する画像が左目用画像として選択される。
【0112】
<第4の実施の形態>
本実施の形態の携帯電話機100のハードウェア構成は、第1の実施の形態における携帯電話機100と同様のものとすることができる。このため、ハードウェア構成についての詳細な説明は繰り返さない。
【0113】
なお、本実施の形態の携帯電話機100は、第1の実施の形態に対して、立体画像生成処理の内容が異なる。以下、第1の実施の形態に対する相違点について、説明する。図13は、本実施の形態のCPU110が実行する立体画像生成処理のフローチャートである。
【0114】
図13を参照して、本実施の形態の立体画像生成処理では、CPU110は、ステップS10で、ファイルに含まれる複数の画像(個別画像)を方向情報に従って配列させ、次に、ステップS20で、代表画像を左目用画像と決定して、ステップS30へ処理を進める。本実施の形態におけるステップS10とステップS20の内容は、図6におけるこれらの処理内容と同様である。
【0115】
ステップS30では、CPU110は、図6のステップS30と同様に、代表画像より右側に配列された画像を右目用画像と決定して、ステップS31へ処理を進める。
【0116】
ステップS31では、CPU110は、左目用画像と右目用画像の輻輳角の差が所定の角度以上であるか否かを判断し、そうであると判断するとステップS40へ処理を進め、そうではないと判断するとステップS32へ処理を進める。
【0117】
ステップS32では、CPU110は、右目用画像を、現在右目用画像として選択されている画像よりさらに右側に配列された画像に変更して、ステップS31へ処理を戻す。
【0118】
ステップS40では、CPU110は、図6のステップS40と同様に、それまでの処理において決定された左目用画像と右目用画像とを利用して立体表示用の画像を生成して、処理を終了させる。
【0119】
以上説明した本実施の形態では、左目用画像と右目用画像の輻輳角の差が所定の角度以上となるまで、右目用画像として選択される画像が変更される。
【0120】
たとえば、図11に示した例において、画像(1)が代表画像である場合、当該画像(1)が左目用画像に選択される。また、所定の角度の一例として90°が挙げられたとする。このような場合、ステップS30において右目用画像として画像(2)が選択されると、画像(1)と画像(2)の輻輳角の差は60°であるため、所定の角度(90°)以上とはならない。なお、輻輳角の差は、たとえば、右側の画像の輻輳角から左側の画像の輻輳角を差し引くことにより得られる。つまり、画像(1)と画像(2)の輻輳角の差は、「(+60°)−0°」により、60°と算出される。そして、この場合、ステップS31からステップS32に処理が進められて、右目用画像が、画像(2)よりも右側に配列されている画像(3)へと変更される。そして、ステップS31において、画像(1)と、変更後の右目用画像である画像(3)との、輻輳角の差が算出される。これらの輻輳角の差は120°である。このため、ステップS31からステップS40へと処理が進められる。つまり、代表画像である画像(1)を左目用画像、画像(3)を右目用画像として、立体画像が生成される。
【0121】
なお、図13の例では、ステップS31において輻輳角の差が所定の角度以上と判断されるまで、右目用画像として選択される画像が変更されたが、左目用画像として選択されても良い。ただし、立体画像の生成には代表画像が用いられることが好ましいため、本実施の形態では、右目用画像として選択される画像が変更された。
【0122】
また、所定の角度の具体的な値については、ユーザの好み等に基づき、適宜設定され得る。
【0123】
また、本実施の形態では、個別画像番号に従って複数の画像が配列された後の処理において、左右が入れ替えられても良い。このように変形された場合、個別画像番号に従って複数の画像が配列された後、代表画像が右目用画像として選択され、当該代表画像より左側に配列された画像が左目用画像として暫定的に選択される。そして、これらの画像の輻輳角の差が所定の角度以上あれば、そのまま、これらの画像を用いて立体画像が生成される。一方、これらの画像の輻輳角の差が所定の角度未満であれば、左目用画像として選択する画像が、右目用画像と左目用画像の輻輳角の差が所定の角度以上となるまで変更される。
【0124】
<その他の変形例等>
以上説明した各実施の形態では、携帯電話機によって立体画像生成装置が構成されたが、本発明の立体画像生成装置はこれに限定されない。立体表示される画像を生成する装置であればよく、テレビジョン受像機や携帯情報端末などで構成される場合もある。また、他の装置から有線または無線で受信したファイルを利用して立体表示用の画像を生成しているが、通信機能を有さず、当該装置内または当該装置に着脱可能に接続される記憶媒体に記録されたファイルのみを利用して立体表示用の画像を生成しても良い。
【0125】
なお、立体画像生成装置において生成された立体表示用の画像は、当該装置以外の装置において表示される場合も有り得る。当該画像の表示の態様としては、ディスプレイでの表示以外にも、プロジェクタによる投影のように、直視型以外の態様で表示される場合も有り得る。
【0126】
また、立体画像生成装置は、他の装置からの指令に応じて、立体表示用の画像を生成する場合も有り得る。
【0127】
また、以上説明した各実施の形態では、立体表示用の画像の生成に用いられるファイルは、携帯電話機100のカメラ120による、図4を参照して説明したような撮影によって生成されたファイルであった。なお、当該ファイルは、立体表示用の画像を生成する装置とは異なる装置で生成されたものであっても良い。ファイルに複数の画像が含まれ、各画像の水平方向に向きの情報(方向情報)、および、代表画像を特定する情報(代表画像特定情報)が含まれていれば、他の装置で生成されて携帯電話機100に入力された画像であっても良い。
【0128】
また、処理対象となる複数の画像は、カメラによって撮影された画像でなくとも良い。ファイルにおいて互いに関連付けられ、そして、当該ファイルに上記方向情報および代表画像特定情報が含まれていれば、画像編集用ソフトウェア等で生成された複数の画像であっても良い。
【0129】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、各実施の形態に記載の発明は、単独で、または、可能な限り組合わされて、実施されることが意図される。
【符号の説明】
【0130】
100 携帯電話機、110 CPU、120 カメラ、144 フラッシュメモリ、146 RAM、148 ROM、150 ディスプレイ、151 バックライト、160 ボタン、180 メモリカード駆動装置、182 メモリカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物についての複数の画像を含むファイルを記憶するための記憶手段と、
前記ファイルに含まれる画像のうち、左または右のいずれか一方側の目で見るための画像である一方側画像と、いずれか他方側の目で見るための画像である他方側画像とを用いて、立体表示用の画像を生成するための生成手段とを備え、
前記ファイルは、
前記複数の画像の水平方向の向きを示す情報である方向情報と、
前記複数の画像の中の代表画像を特定する代表画像情報とを含み、
前記生成手段は、
前記代表画像を、前記一方側画像として選択し、
前記方向情報に基づいて前記複数の画像を配列した場合に、前記一方側画像として選択された画像に対して左または右のいずれか他方側に位置する画像を、前記他方側画像として選択する、立体画像生成装置。
【請求項2】
前記生成手段は、
前記方向情報に基づいて前記複数の画像を配列した場合に、前記代表画像が左または右のいずれか他方側の端に位置する画像である場合には、前記代表画像に対して左または右のいずれか一方側に配列された画像を、前記一方側画像として選択し、
前記代表画像を、前記他方側画像として選択する、請求項1に記載の立体画像生成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
前記方向情報に基づいて前記複数の画像を配列した場合に、前記代表画像が左または右のいずれか他方側の端に位置する画像である場合、さらに、前記複数の画像が前記対象物の全周に対応すると推測できるか否かを判断し、
前記複数の画像が前記対象物の全周に対応すると推測できると判断した場合には、前記代表画像を、前記一方側画像として選択し、左または右のいずれか一方側の端に位置する画像を、前記他方側画像として選択する、請求項1または請求項2に記載の立体画像生成装置。
【請求項4】
前記方向情報は、前記複数の画像の中の特定の画像に対する各画像の輻輳角を特定する情報を含み、
前記生成手段は、前記複数の画像の中から、前記一方側画像と前記他方側画像の前記輻輳角の差が所定の角度以上となるように、前記一方側画像と前記他方側画像を選択する、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の立体画像生成装置。
【請求項5】
対象物についての複数の画像を含むファイルから、左または右のいずれか一方側の目で見るための画像である一方側画像と、いずれか他方側の目で見るための画像である他方側画像とを用いて、立体表示用の画像を生成する、立体画像生成方法であって、
前記ファイルは、
前記複数の画像の水平方向の向きを示す情報である方向情報と、
前記複数の画像の中の代表画像を特定する代表画像情報とを含み、
前記代表画像を、前記一方側画像として選択するステップと、
前記方向情報に基づいて前記複数の画像を配列した場合に、前記一方側画像として選択された画像に対して左または右のいずれか他方側に位置する画像を、前記他方側画像として選択するステップとを備える、立体画像生成方法。
【請求項6】
対象物についての複数の画像を含むファイルから、左または右のいずれか一方側の目で見るための画像である一方側画像と、いずれか他方側の目で見るための画像である他方側画像とを用いて、立体表示用の画像を生成するコンピュータにおいて実行される立体画像生成用プログラムであって、
前記ファイルは、
前記複数の画像の水平方向の向きを示す情報である方向情報と、
前記複数の画像の中の代表画像を特定する代表画像情報とを含み、
前記コンピュータに、
前記代表画像を、前記一方側画像として選択するステップと、
前記方向情報に基づいて前記複数の画像を配列した場合に、前記一方側画像として選択された画像に対して左または右のいずれか他方側に位置する画像を、前記他方側画像として選択するステップとを実行させる、立体画像生成用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−239071(P2012−239071A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107351(P2011−107351)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】