説明

立体画像表示装置及び立体画像表示方法

【課題】所定の視差を持つ立体画像を表示している状態から視差の異なる立体画像に表示を切り替える際に、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくする。
【解決手段】立体画像101が表示されている状態から、立体画像101から視差を徐々に減少させた複数の立体画像101bを表示させ、視差をなくした画像101aを表示する。その後、次に表示すべき立体画像103の視差をなくした画像103aに表示を切り替え、さらに視差を徐々に付加した複数の立体画像103bを表示させ、最後に次に表示すべき立体画像103を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体画像表示装置及びその表示方法に係り、特に、所定の視差を持つ立体画像を表示している状態から視差の異なる立体画像に表示を切り替える際に、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくする立体画像表示装置及び立体画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
両眼視差のある画像をユーザの左右の目に分離して入力することによって、ユーザに立体視させる立体画像表示装置が知られている。このような表示装置を用いて立体視を行うと、ユーザは眼の疲労を感じることがある。
【0003】
特許文献1には、立体画像の表示時間が所定時間を超えた場合に、立体画像の視差を小さくする技術が記載されている。この技術によれば、観察者の眼の疲労に応じて表示される立体画像の視差を調整することで、観察者の眼を保護することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−306739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術を用いても、立体画像をコマ送りした場合に、急に異なる視差画像へ表示が切り替わるため、ユーザはそれに合わせて瞬時に視差を調整しなければならず、不快感、疲労、それに伴う立体感の喪失が生じてしまうという問題点があった。この問題点は、高速でコマ送りをする際には、より顕著になる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、所定の視差を持つ立体画像を表示している状態から視差の異なる立体画像に表示を切り替える際に、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくする立体画像表示装置及び立体画像表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1に記載の立体画像表示装置は、視差を有する立体画像を表示手段に表示する立体画像表示装置であって、スライドショーにより所定時間毎に表示中の現コマの立体画像を次コマの立体画像に順次コマ送りする立体画像表示装置において、所定の視差を有する立体画像から前記視差を低減した画像を生成する手段を備え、前記コマ送りは、前記現コマの立体画像から視差を低減した現コマの視差低減画像を表示した後に前記次コマの立体画像を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、スライドショーにおいて、視差を低減した画像を表示した後に次コマの立体画像を表示手段に表示するようにしたので、所定の視差を持つ立体画像を表示している状態から視差の異なる立体画像に表示を切り替える際に、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくすることができる。
【0009】
これにより、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくすることができ、かつ自然なコマ送りをすることができる。
【0010】
請求項2に示すように請求項1に記載の立体画像表示装置において、前記コマ送りは、前記現コマの視差低減画像を表示した後に前記次コマの立体画像から視差を低減した次コマの視差低減画像を表示し、その後前記次コマの立体画像を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【0011】
これにより、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくすることができ、かつ自然なコマ送りをすることができる。
【0012】
請求項3に示すように請求項1又は2に記載の立体画像表示装置において、前記コマ送りは、前記現コマの立体画像の視差を低減させた複数の画像であって、前記視差が現コマの視差から該現コマの視差よりも小さい所定の視差まで変化する複数の画像を視差が大きい順に表示してから前記現コマの視差低減画像を表示することを特徴とする。
【0013】
これにより、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくすることができ、かつ自然なコマ送りをすることができる。
【0014】
請求項4に示すように請求項1から3のいずれかに記載の立体画像表示装置において、前記コマ送りは、前記次コマの立体画像の視差を低減させた複数の画像であって、前記視差が次コマの視差よりも小さい所定の視差から次コマの視差まで変化する複数の画像を視差が小さい順に表示してから前記次コマの立体画像を表示することを特徴とする。
【0015】
これにより、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくすることができ、かつ自然なコマ送りをすることができる。
【0016】
請求項5に示すように請求項1から4のいずれかに記載の立体画像表示装置において、前記現コマの視差低減画像は、視差の無い画像であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に示すように請求項2から5のいずれかに記載の立体画像表示装置において、前記次コマの視差低減画像は、視差の無い画像であることを特徴とする。
【0018】
視差低減画像は、現コマ及び次コマよりも視差を低減したものであれば本願発明の効果を得られるが、より好ましくは、視差をゼロまで低減すれば立体視能力の個人差によるばらつきを抑えることができる。
【0019】
請求項7に示すように請求項1から6のいずれかに記載の立体画像表示装置において、前記コマ送りは、スライドアウト/スライドイン、又はフェードアウト/フェードインのいずれか一方で行うことを特徴とする。
【0020】
前記目的を達成するために請求項8に記載の立体画像表示方法は、視差を有する立体画像を表示手段に表示する立体画像表示方法であって、スライドショーにより所定時間毎に表示中の現コマの立体画像を次コマの立体画像に順次コマ送りする立体画像表示方法において、前記コマ送りは、現コマの視差及び次コマの視差よりも視差の小さい視差低減画像を表示した後に前記次コマの立体画像を前記表示手段に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、スライドショーにおいて、視差を低減した画像を表示した後に次コマの立体画像を前記表示手段に表示するようにしたので、所定の視差を持つ立体画像を表示している状態から視差の異なる立体画像に表示を切り替える際に、ユーザが感じる疲労や不快感を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係る立体画像表示装置1の正面図である。
【図2】図2は、立体画像表示装置1の電気的構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、立体画像表示デバイス14に表示された立体画像のコマ送りを示す図である。
【図4】図4は、立体画像表示デバイス14に表示された立体画像のコマ送りを示す図である。
【図5】図5は、立体画像表示デバイス14に表示された立体画像のコマ送りを示す図である。
【図6】図6は、立体画像101及び103の視差の変化を示す図である。
【図7】図7は、第2の実施の形態のコマ送りを示すフローチャートである。
【図8】図8は、普通速コマ送り時の視差の変化と高速コマ送り時の視差の変化を示す図である。
【図9】図9は、第3の実施の形態のコマ送りを示すフローチャートである。
【図10】図10は、立体画像表示デバイス14に表示された立体画像のコマ送りを示す図である。
【図11】図11は、立体画像表示デバイス14に表示された立体画像のコマ送りを示す図である。
【図12】図12は、立体画像表示デバイス14に表示された立体画像のコマ送りを示す図である。
【図13】図13は、立体画像101及び103の視差の変化を示す図である。
【図14】図14は、立体画像101及び103の視差の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明に係る立体画像表示装置1の正面図である。同図に示すように、立体画像表示装置1の筐体は略直方体の箱状に形成されており、その正面には立体画像表示デバイス14、操作部26が設けられている。
【0025】
操作部26は、図では詳細に表されていないが、記録/再生モード選択スイッチ26a、記録ボタン26c、電源ボタン26d、ズームボタン26e、メニューボタン26f、メニュー選択用十字キー26g等を備えており、ユーザは、それぞれの操作に応じて立体画像表示装置1を制御する。
【0026】
立体画像表示デバイス14は、立体画像データを立体表示することが可能なレンチキュラーレンズ方式の3Dモニタである。立体画像表示デバイス14は、動作モード、ズーム等を設定する際の各種のメニュー画面を表示させ、操作部26の操作に応じて設定項目の設定が可能なGUI用の画面を表示する。
【0027】
図2は、立体画像表示装置1の電気的構成の一例を示す図である。同図に示すように、立体画像表示装置1は、前述の立体画像表示デバイス14、操作部26の他、画像信号処理部10、立体画像信号処理部11、圧縮処理部12、ビデオエンコーダ13、バス15、CPU16、音入力処理部17、ステレオマイクアンプ部18、マイク19、メモリ20、ROM21、メディア記録制御部22、記録メディア23等から構成される。
【0028】
各部はCPU16に制御されて動作し、CPU16は、操作部26からの入力に基づき所定の制御プログラムを実行することにより、立体画像表示装置1の各部を制御する。
【0029】
ROM21にはCPU16が実行する制御プログラムの他、制御に必要な各種データ等が記録されている。CPU16は、ROM21に記録された制御プログラムをメモリ20に読み出し、逐次実行することにより、立体画像表示装置1の各部を制御する。
【0030】
ビデオエンコーダ13は、CPU16からの指令に従い、バス15を介して入力された画像データの立体画像表示デバイス14への表示を制御する。
【0031】
ステレオマイクアンプ部18は、マイク19から入力された音声信号を増幅し、音入力処理部17に入力する。音入力処理部17は、CPU16からの指令に従い、ステレオマイクアンプ部18から入力された音声入力を所定のフォーマットのデジタル信号に変換する。
【0032】
記録メディア23は、半導体メモリカード、可搬型小型ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の着脱可能な記録媒体である。メディア記録制御部22には、圧縮処理部12により圧縮処理が施された画像データや音入力処理部17においてデジタル信号に変換された音声データがバス15を介して入力され、メディア記録制御部22はこれらの信号を記録メディア23に記録する。
【0033】
音出力装置24は、バス15を介して入力された音声信号に基づいて、スピーカ25から音声を発生させる。
【0034】
電源部27は、図示しないAC電源から各種のDC電圧を生成して立体画像表示装置1の各部に電源を供給する。各種のDC電圧は、AC電源からではなく、立体画像表示装置1に内蔵された電池から生成してもよい。
【0035】
次に、立体画像表示装置1の立体画像のコマ送りについて説明する。図3(a)は、立体画像表示デバイス14に、所定の視差を有する立体画像101が表示されている様子を示す図である。この立体画像101は、記録メディア23に記録されている画像である。ユーザは、この状態において、立体画像101を立体視することができる。
【0036】
ここで、立体画像表示装置1は、ユーザが操作部26を操作することにより、現在表示されている立体画像101から、次に表示すべき所定の視差を有する立体画像103へ、表示をコマ送りさせることができる。表示を行う順番は、予めユーザが自由に決められるように構成されており、例えば撮影された日時順等が考えられる。
【0037】
なお、コマ送りとは、予め決められた表示順で順次表示させることだけでなく、現コマの表示中にユーザが指定した任意のコマに表示を切り替えることも含んでおり、このようにコマ送りするように構成してもよい。
【0038】
CPU16は、操作部26が操作されて立体画像のコマ送りが指示されると、ビデオエンコーダ13を介して、立体画像表示デバイス14の表示を現在表示している立体画像101から、視差の無い画像102の表示に切り替える。この視差の無い画像102は、予めROM21に記憶されている。図3(b)は、立体画像表示デバイス14に、視差の無い画像102が表示されている様子を示す図である。ここでは、視差の無い画像102として全体が白色の画像を用いているが、どのような画像を用いてもよい。ユーザは、視差の無い画像102が表示されている期間、この画像を視認し、立体画像101の視差に慣れた眼を視差の無い状態に切り替えることができる。
【0039】
CPU16は、次に表示すべき立体画像103をメディア記録制御部22を介して記録メディア23から読み出し、視差の無い画像102の表示を開始してから所定時間の経過後に、立体画像表示デバイス14の表示を、視差の無い画像102から次に表示すべき立体画像103の表示に切り替える。図3(c)は、立体画像表示デバイス14に、所定の視差を有する立体画像103が表示されている様子を示す図である。ユーザは、この状態において、立体画像103を立体視することができる。
【0040】
このように、所定の視差を有する立体画像101を表示している状態から、視差の異なる立体画像103へ表示を切り替える場合に、その間に一度視差の無い画像102を表示することで、ユーザは、立体画像101の視差からいったん視差なし状態のフラットな状態に視覚を切り替えることができるため、立体視によるユーザの眼の疲れを軽減させることができる。
【0041】
本実施の形態では、ユーザが操作部26を操作することにより立体画像のコマ送りを行ったが、本発明は、所定時間毎にコマ送りを行うスライドショーにおいても適用可能である。コマ送りの際に、視差の無い画像102を表示するか否かをユーザが選択できるように構成してもよい。
【0042】
また、コマ送り間に表示される視差の無い画像は、立体視を行う画像の視差を無くした画像であってもよい。
【0043】
例えば、図4(a)に示すように、立体画像表示デバイス14に立体画像101が表示されている状態において、ユーザがコマ送り操作した場合に、図4(b)に示すように、現在表示している立体画像101から、立体画像101の視差を無くした画像101aの表示に切り替えてもよい。立体画像101の視差を無くした画像101aは、立体画像101の表示中に、立体画像101の左目用画像と右目用画像とに基づいて生成しておく。
【0044】
次に、立体画像表示装置1は、図4(c)、(d)に示すように、視差を無くした画像101aから、視差を無くした画像103aに表示を切り替える。視差を無くした画像103aは、次に表示すべき立体画像103の視差を無くした画像であり、視差を無くした画像101aと同様に、立体画像101の表示中に、立体画像103の左目用画像と右目用画像とに基づいて生成しておく。なお、画像101aから画像103aへの切り替えは、図ではスライドアウト、スライドインを用いて行っているが、フェードアウト/フェードイン、オーバーラップ、ワイプ等を用いてもよい。
【0045】
視差を無くした画像103aの表示後、図4(e)に示すように、次に表示すべき立体画像103の表示に切り替える。この状態で、ユーザは、立体画像103の立体視が可能となる。
【0046】
なお、このコマ送りに要する時間は、図4(b)に示す視差を無くした画像101aの表示時間を0.3秒、図4(c)に示すコマ切り替えに0.4秒、図4(d)に示す視差を無くした画像103aの表示時間を0.3秒とし、全体として1コマ送るために要する時間を約1秒とすることが好ましい。このようにコマ送りすることにより、立体視によるユーザの眼の疲れを軽減させることができ、かつスムーズなコマ送りを実現することが可能となる。なお、コマ送りに要する時間はこの例に限定されるものではなく、適宜決めればよい。視差に応じて変更してもよいし、ユーザが自由に設定できるように構成してもよい。
【0047】
なお、コマ送り間に表示される画像は、立体視を行う画像の視差を無くした画像ではなく、立体視を行う画像の視差を、ユーザの目に負担のかからない視差まで低減した画像であってもよい。例えば、立体画像101の視差を低減した画像は、立体画像101の表示中に、立体画像101の左目用画像と右目用画像とに基づいて生成しておく。ユーザがコマ送り操作を行った場合は、現在表示している立体画像101から、立体画像101の視差を低減した画像の表示に切り替える。
【0048】
同様に、立体画像103の視差を低減した画像を生成しておき、立体画像101の視差を低減した画像から立体画像103の視差を低減した画像に表示を切り替える。
【0049】
このように、視差を完全に無くした画像ではなく、ユーザの目に負担のかからない視差まで低減させた画像を用いてコマ送りすることによっても、立体視によるユーザの眼の疲れを軽減させることができ、かつスムーズなコマ送りを実現することが可能となる。
【0050】
さらに、コマ送りされる立体画像は、視差が徐々に変化するように表示してもよい。
【0051】
例えば、図5(a)に示す立体画像101が表示されている状態において、ユーザがコマ送り操作した場合に、図5(c)に示す視差を無くした画像101aを表示させるまでの間に、図5(b)に示すように、立体画像101から視差を徐々に減少させた複数の立体画像101bを表示させる。この立体画像101の視差を徐々に減少させた複数の立体画像101bは、立体画像信号処理部11において、立体画像101の左目用画像及び右目用画像に基づいて対応点抽出を行い、抽出した対応点に基づいて、立体画像101の視差から視差が無くなるまで、視差を微小ずつ異ならせて生成する。さらに、これらの多数の視差の異なる立体画像101bを微小時間毎に順次表示を行うことにより、動画のように視差が徐々に小さくなるように表示される。
【0052】
この場合の視差の変化について、図6を用いて説明する。図6は、立体画像101及び103の視差の変化を示す図であり、横軸に時間、縦軸に表示画像の視差を表している。同図に示すように、コマ送りが指示されると、時間t0から時間t1までの間において、所定の視差を有する立体画像101から視差を無くした画像101aまで、視差が徐々に変化するように表示が行われる。同図においては、指数関数的に視差を変化させているが、一次関数的に視差を変化させるように表示してもよい。この時間t0から時間t1までの期間は、0.3秒程度であることが好ましい。
【0053】
その後、図4の場合と同様に、図5(d)に示すように、視差を無くした画像101aから視差を無くした画像103aへと表示を切り替える。この期間は、図6においては、時間t1から時間t2に相当する。前述したように、この期間は0.4秒程度であることが好ましい。
【0054】
さらに、図5(e)に示す視差を無くした画像103aから図5(g)に示す立体画像103を表示するまでの間に、図5(f)に示すように、視差を徐々に付加した複数の立体画像103bを表示させる。この視差を徐々に付加した複数の立体画像103bについても、立体画像信号処理部11において、立体画像103の左目用画像及び右目用画像から立体画像103の視差を変化させることにより生成される。さらに、これらの複数の画像を視差の小さい順に表示することにより、視差が徐々に大きくなるように表示される。
【0055】
その後、立体画像103の表示を行う。この状態で、ユーザは、立体画像103の立体視が可能となる。
【0056】
図6に示すように、この視差の変化についても指数関数的に視差を変化させているが、一次関数的に視差を変化させるように表示してもよい。また、この時間t2から時間t3までの期間は、0.3秒程度であることが好ましい。
【0057】
このように、立体画像を表示している状態においてコマ送りが指示されると、表示している立体画像の視差を視差が無くなるまで徐々に減らしていき、視差が無くなった状態になったら、次のコマへ切り替える。次コマが立体画像である場合には、次コマの視差を無くした画像を表示し、本来の視差となるまで視差を徐々に付加していく。このようにコマ送りを行うことにより、ユーザは違和感無く視差なし状態のフラットな状態に視覚を切り替えることができ、立体視による眼の疲れを軽減することができる。
【0058】
なお、図5(c)に示す視差を無くした画像101aの代わりに、立体画像101の視差を低減した画像を用いる場合には、図5(b)に示す視差を徐々に減少させた複数の立体画像101bの視差は、立体画像101の視差から視差を低減した画像の視差まで変化させればよい。図5(e)に示す視差を無くした画像103aの代わりに、立体画像103の視差を低減した画像を用いる場合も、図5(f)に示す視差を徐々に付加した複数の立体画像103bの視差は、視差を低減した画像の視差から立体画像103の視差まで変化させればよい。
【0059】
このようにコマ送りを行っても、ユーザの立体視による眼の疲れを軽減することができる。
【0060】
<第2の実施の形態>
図7は、第2の実施の形態のコマ送りを示すフローチャートである。第2の実施の形態では、立体画像表示装置1は、普通速コマ送りと高速コマ送りの2種類のコマ送りを備えている。普通速コマ送りは、ユーザの指示に応じて次の画像へ表示をコマ送りするものであり、高速コマ送りは、短時間に多くの画像をコマ送りできるように、1枚の画像あたりの表示時間を短くして順次連続してコマ送りを行う。ここでは、普通速コマ送りは1コマを送るために要する時間は約1秒、高速コマ送りは1コマ送るために要する時間は約0.3秒とする。
【0061】
普通速コマ送りと高速コマ送りは、操作部26の異なる操作部材を割り当ててもよいし、同じ操作部材(操作ボタン)において、短時間オンされた場合には普通速コマ送り、長時間オンされた場合には高速コマ送りのように振り分けてもよい。
【0062】
第1の実施の形態と同様に、立体画像表示デバイス14に所定の視差を有する立体画像101が表示されている状態(ステップS1)で、ユーザが操作部26によりコマ送り操作をすると(ステップS2)、CPU16は、ユーザのコマ送り操作が高速コマ送り操作であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0063】
高速コマ送りではない場合は、普通速コマ送りを行う(ステップS4)。普通速コマ送りは、第1の実施の形態の図5と同様のコマ送りである。即ち、立体画像101が表示されている状態から、立体画像101から視差を徐々に減少させた複数の立体画像101bを表示させ、視差を無くした画像101aを表示する。その後、次に表示すべき立体画像103の視差を無くした画像103aに表示を切り替え、さらに視差を徐々に付加した複数の立体画像103bを表示させ、最後に次に表示すべき立体画像103を表示する(ステップS6)。ここで、複数の立体画像101bの表示時間を0.3秒、視差を無くした画像101aから視差を無くした画像103aへの切り替えを0.4秒、複数の立体画像103bの表示時間を0.3秒とすることで、1コマを送るために要する時間を約1秒としている。
【0064】
ステップS3において、高速コマ送りと判断した場合は、高速コマ送りを行う(ステップS5)。高速コマ送りについても、表示される画像は第1の実施の形態の図5と同様であるが、普通速コマ送りとは、それぞれの表示時間が異なる。図8に、普通速コマ送り時の視差の変化と高速コマ送り時の視差の変化について示す。実線が普通速コマ送り時の視差の変化を示しており、図6に示す視差の変化と同様となっている。また、点線は高速コマ送り時の視差の変化を示しており、時間t10〜t11が複数の立体画像101bの表示時間、t11〜t12が視差を無くした画像101aから視差を無くした画像103aへの切り替え時間、時間t12〜t13が複数の立体画像103bの表示時間となっており、それぞれ0.1秒ずつとすることで、1コマを送るために要する時間を約0.3秒としている。
【0065】
複数の立体画像101b及び複数の立体画像103bの表示時間を普通速コマ送り時よりよりも短くするためには、複数の立体画像の画像数を少なくして1枚あたりの表示時間を普通速コマ送りと同様としてもよいし、立体画像の画像数は普通速コマ送りと同様とし、1枚あたりの表示時間を短くしてもよい。
【0066】
このように表示を行うことにより、指示されたコマ送り速度を実現しつつ、ユーザは視差なし状態のフラットな状態に視覚を切り替えることができ、立体視による眼の疲れを軽減することができる。
【0067】
<第3の実施の形態>
図9は、第3の実施の形態のコマ送りを示すフローチャートである。第3の実施の形態では、立体画像表示装置1は、普通速コマ送り、中速コマ送り、及び高速コマ送りの3種類のコマ送りを備えている。普通速コマ送りは、第2の実施の形態の普通速コマ送りと同様であり、中速コマ送りは、第2の実施の形態の高速コマ送りと同様である。また、第3の実施の形態の高速コマ送りは、中速コマ送りよりもさらに短時間に多くの画像をコマ送りするためのものであり、1コマ送るために要する時間が約0.2秒となっている。
【0068】
これらのコマ送りは、操作部26の異なる操作部材を割り当ててもよいし、同じ操作部材(操作ボタン)において、オンされた時間に応じて振り分けてもよい。
【0069】
第2の実施の形態と同様に、立体画像表示デバイス14に所定の視差を有する立体画像101が表示されている状態(ステップS1)で、ユーザが操作部26によりコマ送り操作をすると(ステップS2)、CPU16は、指示されたコマ送り速度を判定する(ステップS11)。
【0070】
指示されたコマ送り速度が普通速コマ送りの場合は(ステップS12)、第2の実施の形態の普通速コマ送りと同様のコマ送りを行う。また、指示されたコマ送り速度が中速コマ送りの場合は(ステップS14)、第2の実施の形態の高速コマ送りと同様のコマ送りを行う(ステップS15)。これらのコマ送りの詳細についての説明は省略する。
【0071】
指示されたコマ送り速度が高速コマ送りの場合は(ステップS16)、視差を無くした画像のみでコマ送りを行う(ステップS17)。
【0072】
図10は、立体画像表示デバイス14の表示を示す図であり、このステップS17の高速コマ送りを示す図である。高速コマ送りは、立体画像101、103、105の順にコマ送りを行うとした場合、これらの立体画像の視差を無くした画像101a、103a、105aだけを表示してコマ送りを行う。
【0073】
立体画像101が表示されている状態において、ユーザが高速コマ送りを指示すると、これまでと同様に、立体画像101から視差を徐々に減少させた複数の立体画像101bを表示させた後、視差を無くした画像101aを表示する。この状態を図10(a)に示す。この表示を行う時間は、0.1秒とする。
【0074】
次に、図10(b)に示すように、スライドアウト・スライドインにより、画像101aから次に表示すべき立体画像103の視差を無くした画像103aに切り替える。この切り替え時間についても、0.1秒とする。これまでと同様に、画像切り替えの効果については、他の効果を用いてもよい。
【0075】
さらに、図10(c)に示すように画像103aを表示する。この表示を行う時間についても、0.1秒とする。
【0076】
続いて高速コマ送りが指示されている場合には、図10(d)に示すように、スライドアウト・スライドインにより、画像103aからその次に表示すべき立体画像105の視差を無くした画像105aに切り替える。さらに、図10(e)に示すように画像105aを表示する。
【0077】
このように、高速コマ送りを行う場合は、ユーザは立体視するための画像を検索していると考えられるので、コマ送り中の画像を立体表示させずにコマ送り速度を優先させる。このように表示させることで、ユーザが、視差の高速に切り替わる画像群を立体視することで眼に負担をかけることを防止することができる。
【0078】
なお、図10に示す高速コマ送りにおいては、ユーザは、コマ送りされている画像が本来は立体画像であるのか元々平面画像であるのかの区別をすることができない。したがって、図11に示すように、表示している画像が本来は立体画像である旨を知ることができるように、視差を無くした画像とともに立体画像アイコン107を表示させてもよい。立体画像アイコン107が同時に表示されることで、ユーザは、高速コマ送り中に表示される画像が立体画像でなくても、本来は立体画像であることを知ることができる。
【0079】
<第4の実施の形態>
第1〜第3の実施の形態においては、所定の視差を持つ立体画像から異なる視差を持つ立体画像へコマ送りする場合に、一度視差の無い画像を表示したが、現在表示している立体画像の視差を次に表示すべき画像の視差に変化させてもよい。
【0080】
図12は、立体画像101から立体画像103へコマ送りする場合の立体画像表示デバイス14の表示を示す図である。
【0081】
図12(a)に示すように立体画像表示デバイス14に立体画像101が表示されている状態において、ユーザがコマ送り操作した場合に、次に表示すべき立体画像103を表示させるまでの間に、図12(b)に示すように、立体画像101から視差を徐々に立体画像103の視差に近づけた複数の立体画像101cを表示させる。この立体画像101の視差を立体画像103の視差に徐々に近づけた複数の立体画像101cは、CPU16において予め次に表示すべき立体画像103の視差を取得し、立体画像信号処理部11において、立体画像101の左目用画像及び右目用画像に基づいて対応点抽出を行い、抽出した対応点に基づいて、立体画像101の視差から次に表示すべき立体画像103の視差まで、立体画像101の視差を微小ずつ異ならせて生成する。さらに、これらの多数の視差の異なる立体画像101cを微小時間毎に順次表示を行うことにより、動画のように視差が徐々に立体画像103の視差に近くなるように表示される。
【0082】
次に、図12(c)に示すように、立体画像101の視差を次に表示すべき立体画像103の視差と同じ視差にした立体画像101dを表示する。
【0083】
この場合の視差の変化について、図13を用いて説明する。図13は、立体画像101及び103の視差の変化を示す図であり、横軸に時間、縦軸に表示画像の視差を表している。同図に示すように、コマ送りが指示されると、時間t20から時間t21までの間において、所定の視差を有する立体画像101から立体画像103の視差と同じ視差にした立体画像101dまで、視差が徐々に変化するように表示が行われる。同図においては、指数関数的に視差を変化させているが、一次関数的に視差を変化させるように表示してもよい。この時間t20から時間t21までの期間は、普通速コマ送りの場合は0.3秒、中速コマ送りの場合は0.1秒程度であることが好ましい。
【0084】
その後、図10(d)に示すように、立体画像101dから立体画像103へと表示を切り替える。この期間は、図13においては、時間t21から時間t22に相当する。この期間は、普通速コマ送りの場合は0.4秒、中速コマ送りの場合は0.1秒程度であることが好ましい。
【0085】
このように、図12(e)に示すように立体画像103の表示を行う。この状態で、ユーザは、立体画像103の立体視が可能となる。
【0086】
このように、立体画像を表示している状態においてコマ送りが指示されると、表示している立体画像の視差を、次に表示すべき立体画像の視差と同じになるまで徐々に変化させていき、視差が次に表示すべき立体画像と同じになったら、次のコマへ切り替える。このようにコマ送りを行うことにより、同じ視差の立体画像が切り替わることになるので、ユーザは立体視による眼の疲れを軽減することができる。
【0087】
なお、本実施の形態においては、立体画像を表示している状態においてコマ送りが指示された場合に、表示中の立体画像の視差を徐々に次に表示すべき立体画像の視差に変化させてからコマを切り替えたが、表示中の立体画像の視差となるように視差が変更された次に表示すべき立体画像にコマを切り替えた後に、当該立体画像の視差を本来の視差に変化させてもよい。
【0088】
この場合の視差の変化について、図14を用いて説明する。図14は、立体画像101及び103の視差の変化を示す図であり、横軸に時間、縦軸に表示画像の視差を表している。同図に示すように、コマ送りが指示されると、時間t30から時間t31までの間において、所定の視差を有する立体画像101から立体画像101の視差を有する立体画像103dへと表示を切り替える。
【0089】
その後、時間t31から時間t32までの間において、立体画像101の視差を有する立体画像103dから立体画像103まで、多数の視差の異なる複数の立体画像103cを用いて、視差が徐々に変化するように表示が行われる。多数の視差の異なる立体画像103c、及び立体画像101の視差有する立体画像103dは、立体画像信号処理部11において、予め生成される。
【0090】
このようにコマ送りを行った場合であっても、同じ視差の立体画像が切り替わることになるので、ユーザは立体視による眼の疲れを軽減することができる。
【符号の説明】
【0091】
1…立体画像表示装置、10…画像信号処理部、11…立体画像信号処理部、14…立体画像表示デバイス、16…CPU、21…ROM、23…記録メディア、101、103…立体画像、101a、103a…視差を無くした画像、101b、103b…視差を減少させた画像、107…立体画像アイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視差を有する立体画像を表示手段に表示する立体画像表示装置であって、スライドショーにより所定時間毎に表示中の現コマの立体画像を次コマの立体画像に順次コマ送りする立体画像表示装置において、
所定の視差を有する立体画像から前記視差を低減した画像を生成する手段を備え、
前記コマ送りは、前記現コマの立体画像から視差を低減した現コマの視差低減画像を表示した後に前記次コマの立体画像を前記表示手段に表示することを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
前記コマ送りは、前記現コマの視差低減画像を表示した後に前記次コマの立体画像から視差を低減した次コマの視差低減画像を表示し、その後前記次コマの立体画像を前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記コマ送りは、前記現コマの立体画像の視差を低減させた複数の画像であって、前記視差が現コマの視差から該現コマの視差よりも小さい所定の視差まで変化する複数の画像を視差が大きい順に表示してから前記現コマの視差低減画像を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記コマ送りは、前記次コマの立体画像の視差を低減させた複数の画像であって、前記視差が次コマの視差よりも小さい所定の視差から次コマの視差まで変化する複数の画像を視差が小さい順に表示してから前記次コマの立体画像を表示することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記現コマの視差低減画像は、視差の無い画像であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記次コマの視差低減画像は、視差の無い画像であることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記コマ送りは、スライドアウト/スライドイン、又はフェードアウト/フェードインのいずれか一方で行うことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
視差を有する立体画像を表示手段に表示する立体画像表示方法であって、スライドショーにより所定時間毎に表示中の現コマの立体画像を次コマの立体画像に順次コマ送りする立体画像表示方法において、
所定の視差を有する立体画像から前記視差を低減した画像を生成する工程を備え、
前記コマ送りは、前記現コマの立体画像から視差を低減した現コマの視差低減画像を表示した後に前記次コマの立体画像を前記表示手段に表示することを特徴とする立体画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−257303(P2012−257303A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175301(P2012−175301)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2009−39724(P2009−39724)の分割
【原出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】