説明

立体画像表示装置及び立体視用眼鏡

【課題】立体画像表示装置側で3D画像を表示している時間を基準に視聴時間の制限を行う場合、観察者が一人の場合、また、複数の観察者の3D画像観察開始時刻が同一の場合は問題ないが、子供と大人で視聴制限時間を変更する場合や、複数の観察者の3D画像観察開始時刻が異なる場合であっても、個別の観察者に応じた所定の視聴制限時間を管理可能にする。
【解決手段】立体画像表示装置側に、観察者を特定する観察者検出部と、観察者及び立体視用眼鏡のそれぞれの個別データを格納及び管理する観察者及び立体視用眼鏡データベースと、タイマー個別管理部を設け、観察者が立体画像連続視聴制限時間を経過した場合、前記立体画像連続視聴制限時間を超過した観察者が使用している立体視用眼鏡に対して、2D画像になるように自動的に指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の観察者が立体(3D)画像を観察する際に、観察者毎に視聴時間を管理する、立体画像表示装置及び立体視用眼鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、普及し始めている3D画像は、両眼視差技術を基にして制作されている。例えば非特許文献1には、3D画像に関する技術説明と3D画像に関する安全基準について記載されている。人は、右目と左目の二つの視点からの画像信号を認識して、被写体が立体的なのかどうかを判断している。人の右目と左目の間の距離は、子供から大人の場合約5〜7cm離れている。そのため、それぞれの左右の目に入る画像は観察者の視点の違いの分だけ異なってくる。その違いは、被写体までの距離が近いと大きくなり、遠いと小さくなる。脳は、この両眼の視差を手がかりとして、被写体が立体であるかどうかを知覚するのである。
【0003】
人は、視点が異なる画像を右目と左目それぞれに独立に与えることにより、画像に奥行きを感じさせることができる。液晶シャッター等の3D用眼鏡を用い、右目左目に独立に且つ定期的に画像を与えるようにしたのが両眼視差を利用した3Dディスプレイである。例えば、この原理のディスプレイに右目用と左目用の画像が順次表示されると、ディスプレイに表示された画像は立体感を持ち、ディスプレイ面に対し、前後に飛び出した立体画像として知覚できる。また、視差を大きくすると飛び出し量や引っ込み量が大きくなり、液晶シャッター等の3D用眼鏡を用いて、画像を見ている観察者に驚きと感動を与えることができる。
【0004】
また、3DTV用の3D用眼鏡には、3D画像から2D画像に切り替えを行うための切り替えスイッチがついたものも市販されている。これらの3D用眼鏡を掛け、3D画像を見ている観察者が、目が疲れてきた場合に自ら、そのスイッチをダブルクリックすることにより、見ている3D画像を強制的に2D画像に切り替えることができる。右目用と左目用の画像を交互に表示する3DTVで用いられる液晶シャッター付きのメガネでは、切り替えスイッチが押され、2D画像への切り替えが選択されると、左目用及び右目用のそれぞれの液晶シャッターは、右目用画像が表示されるタイミングか、左目用画像が表示されるタイミングかのどちらか一方のタイミングでシャッターが開かれ、右目用或いは左目用のどちらか一方の同じ画像を両眼で見ることになる。
【0005】
特許文献1では、立体視の許容遊技時間が経過すると、立体画像を通常の平面画像に強制的に切り替える立体表示遊技機が開示されている。図6は、そのフロー図である。
【0006】
また、特許文献2には、立体画像が表示される表示時間の経過にともない累積される該立体画像の立体強度の累積値が、累積立体強度閾値Lを超えた場合、3D画像から2D画像に切り替える立体画像表示装置が紹介されている。
【0007】
図7は、立体画像の表示が開始されてからの時間に対する立体画像の累積立体強度の変化の概略と、累積立体強度閾値Lと、表示される画像の関係を示すグラフである。t1は、立体画像の表示開始時点であり、観察者が立体画像を観察する開始時点である。立体画像の表示が開始されると所定時間毎に立体画像が表示されているか否かの確認が行われ、立体画像が表示されている場合、立体画像の立体強度のレベル値を累積立体強度に加算する。t1からt2までは、所定時間毎に上記立体強度のレベル値が累積立体強度に時間の経過とともに階段状に加算される。立体強度のレベル値が一定の場合は加算される増分値も一定になる。図7では、t2で立体強度のレベル値が変動している。t3で累積立体強度が累積立体強度閾値Lに到達し、立体画像の連続表示制限が開始され、表示部に警告のメッセージと2D画像への切り替え用の「2D」ボタンが表示される。「2D」ボタンを押下されるまでは、立体強度のレベル値が累積立体強度に加算され、t4で「2D」ボタンを押下されると、累積立体強度がリセットされ、2D画像に切り替わる。その後、所定の時間経過後には、3D画像の表示が可能になったことを通知するメッセージと、3D画像への切り替え用の「3D」ボタンが表示される。t5で「3D」ボタンが押下され、再び、所定時間毎に上記立体強度のレベル値が累積立体強度に加算される動作が開始される。図7の累積立体強度は、所定時間毎に立体強度レベル値が階段状に加算される場合を説明しているが、比例直線のように常に一定の増分が保持される場合でも良いことが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“3DC安全ガイドライン”、[online]、平成22年4月20日、3Dコンソーシアム安全ガイドライン部会、[平成22年6月8日検索]、インターネット〈URL:http://www.3dc.gr.jp/jp/scmt_wg_rep/3dc_guideJ_20100420.pdf〉
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−16351号公報
【特許文献2】特開2004−334833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、3D画像を長時間連続して見ることは、眼精疲労を起こし、不快になったり、頭痛を引き起こしたりする要因となってしまう。同じ番組を複数の人が同時に見ている場合、全員が同一の3D番組を同一のタイミングで見始める際は、同一の観察時間となるため、特許文献1に記載されているように、立体画像表示装置側で、番組の開始から所定時間経過後に、3D画像を2D画像に強制的に表示切り替えてしまっても良いかもしれない。また、特許文献2のように累積立体強度が累積立体強度閾値Lを超えるまで3D表示し、累積立体強度閾値Lを超えた時点から連続表示制限が開始されるようにしても良いかもしれない。
ところが、同一番組を見ている複数の観察者が必ずしも同一時刻に番組を見始めるわけではない。このため、立体画像表示装置側で3D画像の表示開始時刻を観察開始時刻として、所定時間経過後、又は所定の累積立体強度閾値に到達以降に、2D画像に切り替えたり、3D画像の連続表示の制限をかけたりすることは、観察開始時刻の異なる複数の観察者が平等に3D時間を楽しめる時間を確保することはできない。更に、子供の観察者に対しては、3D画像を連続視聴できる時間を大人が見るより短く設定したいといった場合でも、立体画像表示装置側での表示時間を元に観察者全員の立体画像連続視聴時間を制限するため、子供だけではなく、大人も同じ立体画像連続視聴時間の制限を受けることになり、大人と子供の全ての観察者を満足させることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る立体画像表示装置は、立体画像信号を表示部に表示可能な立体画像表示装置において、前記立体画像を観察する観察者の個別データを登録するための観察者登録手段と、前記立体画像を観察するための立体視用眼鏡の個別データを登録するための眼鏡登録手段と、前記観察者の個別データと前記立体視用眼鏡の個別データとを管理する観察者及び立体視用眼鏡データベースと、前記立体画像を観察する観察者を検出するための観察者検出部と、前記観察者検出部において検出された観察者の立体画像連続視聴時間を計測するための第1のタイマーを観察者毎に管理するタイマー個別管理部とを備え、前記観察者検出部では、前記表示部に向いている観察者と前記観察者の使用している立体視用眼鏡を前記観察者及び立体視用眼鏡データベースにより検出し、前記タイマー個別管理部では、検出された前記観察者毎に立体画像連続視聴時間を計測することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る立体画像表示装置は、前記観察者登録手段で登録された立体画像連続視聴制限時間を超えて前記立体画像を視聴している前記観察者に警告することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る立体画像表示装置は、前記立体画像信号を見るための同期信号と前記同期信号に重畳した制御信号とを送信する送信部とを備え、観察者毎に計測した前記立体画像連続視聴時間が、前記立体画像連続視聴制限時間の所定時間前あるいは後に、前記送信部を用いて、前記観察者の使用している前記立体視用眼鏡に対して、前記所定時間前あるいは後に前記所定時間を経過する、あるいは経過したことを報知することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る立体画像表示装置は、前記立体画像信号を見るための同期信号と前記同期信号に重畳した制御信号とを送信する送信部とを備え、観察者毎に計測した前記立体画像連続視聴時間が、立体画像連続視聴制限時間の所定時間前あるいは後に、前記送信部を用いて、前記観察者の使用している前記立体視用眼鏡に対して、前記所定時間前あるいは後に3D画像から2D画像への切り替え指示をすることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る立体画像表示装置の前記タイマー個別管理部は、前記観察者の3D画像を視聴していない連続休憩時間を計測する第2のタイマーを前記観察者毎に管理することが可能であって、前記第2のタイマーは、前記立体画像連続視聴制限時間を経過した前記観察者の使用している前記立体視用眼鏡に対して、2D画像への切り替え指示後に起動し、前記第2のタイマーが所定の連続休憩時間を経過した際には、前記観察者の使用している前記立体視用眼鏡に対して2D画像から3D画像への切り替え指示をすることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る立体画像表示装置の前記第2のタイマーは、前記表示部に前記立体画像を表示していない期間も計測し続け、所定の連続休憩時間を経過し、3D画像を視聴可能になった時に停止することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る立体視用眼鏡は、立体画像表示装置で表示される3D画像を見るための立体視用眼鏡であって、右目用画像と左目用画像の表示タイミングに同期して送信される前記同期信号と、前記同期信号に重畳して送信される制御信号を受信し、分離することが可能な受信部と、前記受信部で受信した前記同期信号に応じて、右目用シャッターと左目用シャッターの開閉を制御する同期回路とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る立体視用眼鏡の前記同期回路は、前記受信部で受信した制御信号により、2D画像表示を指示された場合には、左目用シャッターと右目用シャッターの開閉タイミングを前記右目用画像又は前記左目用画像のどちらか一方の表示タイミングにする切り替え手段を有することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る立体視用眼鏡の前記同期回路は、前記受信部が制御信号を受信している期間は、制御信号を受信する以前の前記同期信号に同期して、自走することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る立体視用眼鏡は、前記立体画像連続視聴制限時間を経過したことを報知するための報知部とを備え、前記受信した制御信号が、3D画像を観察する前記観察者の前記立体画像連続視聴時間が、前記立体画像連続視聴制限時間を経過したこと、或いは前記立体画像連続視聴制限時間の所定時間前であることを報知する制御信号である場合、前記報知部を用い、前記立体画像連続視聴制限時間の超過を報知することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る立体視用眼鏡は、前記立体視用眼鏡の正面から撮影した際に他の前記立体視用眼鏡と画像判別可能な個別選別用マーク部を具備することを特徴とする立体視用眼鏡。
【0022】
本発明に係る立体視用眼鏡は、前記立体視用眼鏡の着脱を検出するための着脱検知部を具備し、前記立体視用眼鏡を脱離したことを検知すると、前記立体視用眼鏡の電源をオフにすることを特徴とする立体視用眼鏡。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る立体画像表示装置及び立体視用眼鏡は、視聴制限時間を観察者毎に個別管理することが可能なので、観察者に応じた視聴時間制限を設け、観察者毎に3D画像の立体画像連続視聴制限時間を管理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例に係る立体画像表示装置及び立体視用眼鏡の要部構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る立体画像表示装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る立体視用眼鏡の個別選別用マーク部MKを説明するための図である。
【図4】本発明の一実施例に係る立体画像表示装置における同期信号と制御信号の送出タイミングを説明するための図である。
【図5】本発明の一実施例に係る立体視用眼鏡の装着及び離脱時の着脱検知部を説明するための図である。
【図6】従来の立体表示遊技機に係る遊技経過時間の表示動作を説明するフローチャートである。
【図7】従来の立体画像の累積立体強度の変化の概略を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳述する。
【実施例】
【0026】
図1は、一実施例に係る立体画像表示装置100の要部構成を示す機能ブロック図と、立体視用眼鏡200の要部構成を示す機能ブロック図である。
【0027】
立体画像表示装置100は、観察者と観察者が装着している立体視用眼鏡200を特定するための観察者検出部101と、観察者及び立体視用眼鏡200のそれぞれの固別データを格納及び管理する観察者及び立体視用眼鏡データベース102と、制御部103と、観察者検出部101において検出された観察者が3D画像を連続視聴している時間を計測するためのタイマーを観察者毎に管理するタイマー個別管理部104と、3D画像の右目用画像と左目用画像の表示タイミングに同期した同期信号や立体視用眼鏡200の観察モードを3Dモードか2Dモードかを切り替える制御信号等を立体視用眼鏡200に送信するための送信部105と、放送波を受信するためのチューナー部106と、外部からの入力信号を接続するための外部入力部107とから構成されている。
【0028】
また、立体視用眼鏡200は、立体画像表示装置100からの前記同期信号及び前記制御信号を受信し、分離するための受信部201と、この受信部201で分離された前記同期信号を受信する同期回路202と、この受信部201で分離された制御信号を受信する制御部203と、3D画像の右目用画像を見るための右目用シャッター204と、3D画像の左目用画像を見るための左目用シャッター205と、観察者がメガネを装着したか脱離したかを検知する着脱検知部206と、立体画像連続視聴制限時間を経過したこと或いは立体画像連続視聴制限時間の所定時間前であることを報知するための報知部207から構成されている。メガネ1、メガネ2〜メガネn−1は、立体視用眼鏡200の構成と同じ構成の立体視用眼鏡である。
【0029】
立体画像表示装置100のチューナー部106で受信した放送番組は、画像処理部108において、3D画像を含む番組か、2D画像を含む番組かを検出され、画像処理され、制御部103からの送出タイミングに応じて表示部109にその3D画像又は2D画像が表示される。受信している放送番組が2D画像の場合は、送信部105から立体視用眼鏡200への同期信号の送出は不要のため、制御部103から送信部105へ同期信号の送信停止又は停止維持を指示する。また、受信している放送番組が3D画像の場合は、制御部103から送信部105へ同期信号の送信開始又は送信維持を指示する。
【0030】
同様に、表示部109へ表示されるソース画像が外部入力部107の場合について記載する。チューナー部106からの放送番組ではなく、他の映像機器、例えばBD・DVDプレイヤーやCATVチューナー等からのソース画像である場合、画像処理部108は、3D画像を含むソース画像か、2D画像のみのソース画像かを検出する。3D画像の場合は、画像処理され、制御部103からの送出タイミングに応じて表示部109に3D画像が表示され、送信部105への同期信号の送信開始又は送信維持の指示も同様に行われる。2D画像のみのソース画像の場合は、外部入力部107に入力されたソース画像そのものが表示部109に表示され、送信部105には、同期信号が送信されている場合は送信停止又は停止維持を指示する。
【0031】
また、画像処理部108は、制御部103に対して、ソース画像が3D画像なのか2D画像なのかを通知する。通知するタイミングは、ソース画像の切り替わりや放送番組の切り替わりのタイミングで行う。外部入力107に関しても、DVDやBD等のコンテンツが切り替わった場合等に行われる。
【0032】
更に、立体画像表示装置100には、表示部109に表示されている3D画像又は2D画像を観察している観察者を検出するための観察者検出部101を設けてある。観察者検出部101は、観察者が装着している立体視用眼鏡200の検出も行う。観察者検出部101は、観察者の顔や立体視用眼鏡200を画像データとして撮影するためのカメラや撮影した画像データを特定の圧縮画像に符号化するための画像符号化回路や符号化作業用のメモリ等で構成されている。立体画像表示装置100は、観察者検出部101を用いて、本装置を初めて使用する観察者の顔の画像データを撮影し、観察者を個別判定するための画像データを観察者及び立体視用眼鏡データベース102に格納する。
【0033】
図示してはいないが、立体画像表示装置100には、本装置を使用する観察者と本装置で使用する立体視用眼鏡200を登録する観察者登録手段と眼鏡登録手段を備えている。例えば、リモコン等に観察者や立体視用眼鏡200を登録するための登録ボタンを用意しても良い。登録ボタンが押下されると、「観察者登録」と「立体視用眼鏡登録」と「観察者及び立体視用眼鏡の両方登録」と「もどる」との選択画面が表示部109に表示される。観察者は立体視用眼鏡200を装着した状態で立体画像表示装置100の観察者検出部101の前面に行き、登録ボタン押下後、登録項目をリモコンにていずれか選択する。「もどる」ボタンが押されると登録関連の処理が中断され、最初の状態に戻る。「もどる」ボタン以外が押下されると観察者検出部101のカメラは、観察者や立体視用眼鏡200等の被写体をズームアップしながら、適正な大きさの登録用画像データを撮る。
ここで、「観察者登録」が選択されている場合は、観察者検出部101では、カメラが捕らえている画像の中の映っている人間を検出し、その人物の全体が表示されるようにズーミングし画像を撮影する。また、顔の部分を抽出し、撮影するようにしても良い。更には、上半身の部分を撮影するようにしても良い。更には、観察者の指定する任意の大きさの画像を撮影しても良い。
また、「立体視用眼鏡登録」が選択されている場合は、観察者検出部101では、カメラが捕らえている画像の中の映っている観察者の顔を検出し、顔に装着されている立体視用眼鏡200の部分をズームアップしながら、立体視用眼鏡の適正な大きさの登録用画像データを撮る。
更に、「観察者及び立体視用眼鏡の両方登録」が選択された場合は、「観察者登録」が選択されている場合と「立体視用眼鏡登録」が選択されている場合の両方の操作が順次行われる。優先順位は無いので、どちらを先に行っても良い。
【0034】
撮影された画像データは、所定の画像圧縮符号化で圧縮された画像ファイルとして符号化作業用のメモリに暫定的に格納される。符号化作業用のメモリに格納された画像データは、表示部109に表示され、観察者及び立体視用眼鏡データベースに前記画像データを登録してよいか観察者に確認する。観察者より承諾があれば、表示部109に表示された画像データが、「観察者登録」用画像データ又は「立体視用眼鏡登録」用画像データとして、制御部103により、観察者及び立体視用眼鏡データベース102の所定の領域に格納される。登録用画像データに使用される画像圧縮符号化方式は、JPEG、TIFF、GIF,PDF等いずれの符号化方式を用いても良い。
【0035】
尚、上記では、観察者が立体視用眼鏡200を装着した状態で、観察者と立体視用眼鏡200を登録する方法を記載したが、観察者と立体視用眼鏡200を別々に登録しておき、立体画像表示装置100を観察している観察者を検索する際に、立体視用眼鏡200を装着していない観察者の画像データと、立体視用眼鏡200の画像データを合成して、検索用のデータを作成するようにしても良い。
【0036】
更に、観察者登録手段と眼鏡登録手段には、観察者及び立体視用眼鏡200の画像データを登録するだけではなく、観察者及び立体視用眼鏡200の他の個別データについても、観察者が入力できるようにメニュー形式のインタフェースを用意しても良い。例えば、観察者の個別データとしては、観察者の画像データの他に、登録された観察者のデータを管理するための観察者登録番号、観察者が3Dモードと2Dモードのどちらのモードで映像を視聴するかを選択するためのモード選択、氏名、年齢、立体画像連続視聴制限時間、連続休憩時間等の項目が考えられる。立体視用眼鏡200の個別データとしては、立体視用眼鏡200の画像データの他に、登録された立体視用眼鏡のデータを管理するための立体視用眼鏡登録番号、マーク位置等の項目が考えられる。立体視用眼鏡200の個別データに関しては、観察者がメニュー等を開いて、必要項目のみを入力する様にしても良い。また、個別データを格納した2次元バーコードをシール等にしてメガネの一部に貼ったり、保証書や取扱説明書等に印刷しておいた2次元バーコードを観察者検出部101のカメラで取り込んで、解析し、立体視用眼鏡200の個別データとして観察者及び立体視用眼鏡データベース102に取り込むようにしても良い。
【0037】
以上、ここでは、リモコンに登録ボタンを設けた例を説明したが、リモコンのオプションボタン等が押されると表示部109に観察者や立体使用眼鏡を登録するためのメニューが表示されるようにして、項目毎に選択して、データを個別入力できるようにしても良い。
【0038】
図2は、本発明の実施例に係る立体画像表示装置100の概略構成を示す斜視図である。観察者H1〜観察者H3は、立体画像表示装置100で3D画像を観察する際、表示されている3D画像をそのまま3D画像として見たいと要望している人である。また、観察者H4は、3D画像を3D画像として認識できないため、表示画像が2D画像のみを要望している人である。このうち、観察者H1、観察者H2、観察者H4は、大人であり、観察者H3は、子供である。
【0039】
続いて、観察者検出部101の動作について詳細に記載する。観察者検出部101では、表示部109に3D画像が表示されている場合、定期的に観察者の画像を撮影し、撮影されている人物を抽出する。また、表示部109に2D画像が表示されている場合でも、チューナー部106或いは外部入力部107からのソース画像が3D画像である場合には定期的に観察者の画像を撮影し、撮影されている人物を抽出する。尚、チューナー部106或いは外部入力部107からのソース画像自体が2D画像である場合は、立体視用眼鏡200を必要としないので、観察者の撮影や人物の抽出作業は行わない。
【0040】
観察者検出部101は、観察者を撮影した画像より抽出した人物が、登録されている立体視用眼鏡200を装着しているかどうかを検出する。立体視用眼鏡200の装着を検出した結果、全ての観察者が立体視用眼鏡200を装着していないと判断した際、観察者検出部101は、制御部103に対して、立体視用眼鏡200を使用している観察者がいないことを通知する。制御部103は、観察者検出部101からの通知を受け、画像処理部108に対して2D画像を表示するように指示する。画像処理部108は、制御部103からの指示により、表示部109に、3D画像の右目用画像又は左目用画像のどちらか一方を表示するようにする。
また、立体視用眼鏡200を装着している観察者がいる場合は、観察者検出部101は、制御部103に対して、立体視用眼鏡200を使用している観察者がいることを通知し、観察者及び立体視用眼鏡データベース102から観察者及び立体視用眼鏡200の照合用の画像データを取り出すように指示する。制御部103は、観察者検出部101からの指示を受け、画像処理部108に対して3D画像を表示するように指示する。画像処理部108は、制御部103からの指示により、表示部109に、3D画像の右目用画像又は左目用画像を交互に表示するようにする。
【0041】
続いて、制御部103は、観察者及び立体視用眼鏡データベース102に対して登録されている観察者及び立体視用眼鏡200の照合用の画像データを観察者登録番号又は立体視用眼鏡登録番号順に取り出す。
【0042】
まず、立体視用眼鏡200の照合用画像データを立体視用眼鏡登録番号順に取り出し、観察者検出部101に送付される。観察者検出部101では、制御部103からの立体視用眼鏡200の照合用画像データと観察者検出部101のカメラで撮影した立体視用眼鏡200の画像データを比較し、立体視用眼鏡登録番号のどの立体視用眼鏡200か特定する。
【0043】
尚、立体視用眼鏡200には、個別判定を行うため、予め個別選別用マーク部を取り付けたものが用意され、登録されている。図2に記載してあるように観察者検出部101のカメラは、立体画像表示装置100の上部の位置に設置され、表示部109を見ている観察者H1から観察者H4を正面から撮影できるようになっている。それぞれの観察者H1から観察者H4が装着しているメガネ1からメガネ4も同時に正面から撮影できるようになっている。
【0044】
また、タイマー個別管理部104は、観察者検出部101において検出された観察者が3D画像を連続視聴している時間を計測するためのタイマーを観察者H1から観察者H4毎に管理している。観察者検出部101では、観察者H1から観察者H4と観察者が使用している立体視用眼鏡200と同じ構成のメガネ1からメガネ4をそれぞれ検出することが可能であり、タイマー個別管理部104は、どの観察者がどのメガネを使用して、どれくらいの時間、3D画像を連続して視聴しているかを計測している。観察者が途中でメガネを交換して別のメガネで3D画像を見た場合でも、タイマー個別管理部104では、観察者検出部101の検出結果により観察者が誰なのかを把握しているため、立体画像を連続視聴している時間を計測するタイマーは、観察者がどのメガネを使用して3D画像を楽しんだとしても、3D画像を見ている間は、リセットされずに計測を続ける。
【0045】
タイマー個別管理部104は、観察者が3D画像の視聴開始時点に、観察者及び立体視用眼鏡データベース102から観察者の個別データを抽出、その中から立体画像連続視聴制限時間や連続休憩時間を検索し、その値を参照データとして、それぞれ保持する。タイマー個別管理部104は、観察者が3D画像の視聴開始から、観察者の立体画像連続視聴時間を計測するタイマーの値が、立体画像連続視聴制限時間の参照データを超過しているかどうかを随時比較し、確認する。超過した場合、制御部103に対して立体画像連続視聴制限時間を超過したことを通知する。制御部103は、観察者に対して警告を発する。
【0046】
警告の方法としては、何通りか考えられる。例えば、表示部109に観察者の画像データを表示し、或いは警告対象の観察者がその時点で使用している立体視用眼鏡の画像データを表示する方法である。或いは、各観察者又は各立体視用眼鏡のアイコンをそれぞれ登録しておく。登録された観察者又は立体視用眼鏡のアイコンは、それぞれの観察者が3D画像を見ているときには、画面の一部に表示され、同様に立体視用眼鏡が3D画像を見るのに使用されている場合には、画面の一部に表示される。画面の一部に表示された観察者の画像データ或いは警告対象の観察者がその時点で使用している立体視用眼鏡の画像データ、又は、画面の一部に表示された各観察者のアイコン或いは各立体視用眼鏡のアイコン等が点滅表示したり、配色が赤に変わって立体画像連続視聴制限時間を超えていることを通知するようにしても良い。或いは、表示画面上にOSDで立体画像連続視聴時間を超過した観察者の情報、例えば氏名等を表示して、立体画像連続視聴制限時間を超えていることを通知するようにしても良い。更には、音声や警告音、LED等の点灯で警告する方法も考えられる。尚、ここでは、タイマー個別管理部104は、制御部103に対して立体画像連続視聴制限時間を超過したことを通知するように説明したが、立体画像連続視聴制限時間の所定時間前に通知する様にしても良い。この場合、立体画像連続視聴制限時間を超えた場合と異なるように表示する。例えば、観察者のアイコンを別々の物を用意して切り替えるようにしても良い。また、配色を赤では無くて黄色に変わって立体画像連続視聴制限時間の所定時間前で知らせるようにしても良い。
【0047】
更に、立体視用眼鏡200に報知部207を設け、観察者に直接、立体画像連続視聴制限時間の超過を報知する方法も考えられる。以下にその例を説明する。
【0048】
制御部103は、タイマー個別管理部104から、立体画像連続視聴制限時間の所定時間前に警告対象の観察者とその時点でその観察者が使用している立体視用眼鏡の通知を受ける。制御部103は、警告対象の観察者が使用している立体視用眼鏡200に対して送信部105より、同期信号に重畳して、所定時間後に立体画像連続視聴制限時間を超過することを通知する制御信号を送信する。この信号により立体視用眼鏡200が2Dモードに切り替わるようにしても良いし、所定時間後に立体画像連続視聴制限時間を超過することを通知する制御信号を送信した後、立体画像連続視聴制限時間の超過とともに2Dモードへの切り替え指示の制御信号を送信する様にしても良い。
【0049】
立体視用眼鏡200の受信部201は、右目用画像と左目用画像の表示タイミングに同期して送信される同期信号と、前記同期信号に重畳して送信される制御信号を受信し、分離する。受信した制御信号は、制御部203に転送され解析される。制御信号が立体画像連続視聴制限時間の超過を通知する信号であると判断すると、制御部203は、報知部207を用い、立体視用眼鏡200を使用している観察者に立体画像連続視聴制限時間の超過を報知する。報知部207は、音声や警告音、LED等の点灯で、観察者に報知する様にしても良いし、小型のモーターで構成し、振動する様にしても良い。更には、右目用シャッター204や左目用シャッター205の開閉周期を特殊なパターンにして報知する様にしても良い。
更に、制御部203は、立体画像連続視聴制限時間の超過を通知する信号を受信した後、所定時間経過後に、同期回路202へ、3Dモードから2Dモードに自動的に切り替える。また、立体画像連続視聴制限時間の超過とともに立体画像表示装置100の制御部103から送信部105を経由して送信される2Dモードへの切り替え指示の制御信号を受信した後、立体視用眼鏡200の制御部203は、同期回路202へ、3Dモードから2Dモードの切り替え指示を行い、2Dモードで動作する様にしても良い。
【0050】
また、タイマー個別管理部104は、複数の観察者が3D画像を連続視聴している時間を計測するための観察者毎の第1のタイマーの他に、複数の観察者が3D画像を視聴していない連続休憩時間を計測するための観察者毎の第2のタイマーの2種類のタイマーを管理している。
【0051】
第1のタイマーは、それぞれの観察者が3D画像を長時間視聴してしまい、眼精疲労を起こさないようにするためのタイマーであり、画像処理部108からの画像情報と、観察者検出部101による検出結果から、検出された観察者は3D画像を視聴していると制御部103が判断した時点で、制御部103は第1のタイマーの計測開始の指示をタイマー個別管理部104に行う。
また、第1のタイマーは、立体画像連続視聴制限時間の超過を対象の観察者に報知したり、対象の観察者が使用している立体視用眼鏡の視聴モードを3Dモードから2Dモードに切り替えるための制御信号を送信するための判断に使用されるタイマーでもある。
【0052】
複数の観察者が3D画像を視聴していない連続休憩時間を計測するための観察者毎の第2のタイマーは、立体画像表示装置100の観察者検出部101で検出した観察者が3D画像を視聴しているモードから、3D画像を見ていない状況になった時に開始されるタイマーである。例えば、3D画像を見ていたが、用事があり、席を外してしまった時や、3D画像を視聴していたが、途中から2D画像を見始めた場合、立体視用眼鏡を外している場合等である。更に、前記第2のタイマーは、第1のタイマーによって計測した連続視聴時間が立体画像連続視聴制限時間を超過した観察者使用の立体視用眼鏡200に対して、2D画像を見るための2Dモードへの切り替え指示の制御信号を制御部103が送信した直後に起動されるタイマーでもある。
【0053】
更に、本発明の立体画像表示装置の電源がオフにされた場合も、観察者が3D画像を視聴していない状況であり、前記第2のタイマーの計測対象に含まれる。従って、既に第2のタイマーが起動中の場合はもちろんのこと、3D画像を見ている時に突然、電源をオフにされた場合も含まれる。本装置の電源がオフの場合、第2のタイマーはバックアップ用の電源を用いて作動し、3D画像を視聴後、所定の連続休憩時間が経過するまで計測を続ける。但し、2D画像を見ている時に電源をオフにされた場合は、3D画像を視聴後、全ての観察者用の第2のタイマーが、既に所定の連続休憩時間が経過し、停止状態の場合についてはこの限りではない。尚、この機能は、観察者が本装置の電源を故意にオフすることにより第2のタイマーをリセットさせ、連続休憩時間が経過しないうちに、再び3D画像を連続で見続けることが無いようにするためのものである。この機能をオンオフするスイッチを本装置の初期設定の項目に入れ、パスワード等を用いて管理する様にしても良い。
また、所定の連続休憩時間が経過した後に、対象の観察者が使用している立体視用眼鏡の視聴モードを2Dモードから3Dモードに切り替えるための制御信号を送信するための判断に使用されるタイマーでもある。
【0054】
この第2のタイマーで計測している所定の連続休憩時間が経過すると、タイマー個別管理部104は、制御部103に対して、対象の観察者の第2のタイマーが所定の連続休憩時間が経過したことを知らせ、制御部103は、第2のタイマーを停止する。そして、制御部103は、同じ観察者の動作している第1のタイマーを、リセットして、すなわち時間0としてから、第1のタイマーを停止させる。第1のタイマーは、ユーザが所定の連続休憩時間を経過しない場合は解除されないようにしている。更に、制御部103は、第1のタイマーによって計測した連続視聴時間が立体画像連続視聴制限時間を超過した観察者使用の立体視用眼鏡200に対して設定している2D画像を視聴する2Dモードから、再び、3D画像を視聴するための3Dモードに立体視眼鏡の視聴モードを切り替えるための制御信号を送信し、観察者が再び3D画像を見られるようにしている。
【0055】
これらの立体画像連続視聴制限時間や連続休憩時間は、観察者及び立体視用眼鏡データベース102の観察者の個別データに登録しても良いし、全ての観察者に対して同じ時間を設定する様にしても良い。また、観察者の年齢に応じて、立体画像連続視聴制限時間や連続休憩時間を設けるようにしても良い。例えば、15歳以下の子供は、立体画像連続視聴制限時間が1時間・連続休憩時間が10分、15歳を超える場合は、立体画像連続視聴制限時間が2時間・連続休憩時間が15分以上といった具合である。尚、本実施例では、立体画像連続視聴制限時間や連続休憩時間を観察者及び立体視用眼鏡データベース102の個別データに登録する例として記載してある。
【0056】
図3は、本発明の実施例に係る立体視用眼鏡200の個別選別用マーク部MKを説明するための図である。図3(a)には、個別選別用マーク部MKとして、メガネのセンター部分に図示されているように選別用のそれぞれ異なる形状のマークを貼り付ける実施例が記載されている。また、図3(b)には、個別選別用マーク部MKとして、メガネのレンズ周辺部分に選別用のそれぞれ異なる本数のマークを貼り付ける実施例が記載されている。また、図3(c)には、個別選別用マーク部MKとして、メガネのフレーム部分を正面から見た時にフレームの形状で識別できるようにフレームの側面にそれぞれ異なる個数の三角形のマークを貼り付ける実施例が記載されている。また、図3(d)には、個別選別用マーク部MKとして、メガネのフレーム部分を正面から見た時にフレームの形状で識別できるようにフレームの側面のそれぞれ異なる位置に四角形のマークを貼り付ける実施例が記載されている。
【0057】
観察者検出部101では、登録されている立体視用眼鏡200と比較した結果、照合したものがあれば、立体視用眼鏡200の立体視用眼鏡登録番号を作業用メモリに格納する。
【0058】
次に、観察者の照合用画像データを観察者登録番号順に取り出し、観察者検出部101に送付される。観察者検出部101では、制御部103からの観察者の照合用画像データと観察者検出部101のカメラで撮影した観察者の画像データを比較し、観察者登録番号のどの観察者か特定する。
【0059】
観察者が複数いる場合は、上記の立体視用眼鏡200の特定と観察者の特定の作業を繰り返し行い、観察者の観察者登録番号と立体視用眼鏡200の立体視用眼鏡登録番号の組み合わせを作業用メモリに格納していく。全ての観察者の特定処理が終わったら、観察者検出部101は、作業用メモリに格納しておいた観察者の観察者登録番号と立体視用眼鏡200の立体視用眼鏡登録番号の組み合わせの情報を制御部103に転送する。制御部103は、観察者検出部101から転送された観察者の観察者登録番号と立体視用眼鏡200の立体視用眼鏡登録番号の組み合わせの情報を元に、観察者及び立体視用眼鏡データベース102から特定した観察者の観察者登録番号に応じたモード選択に関する個別データを呼び出し、そのモード選択が、3Dモードが設定されているのか2Dモードが設定されているのかを判断して、送信部105より、該当する立体視用眼鏡200に対して制御信号を送信する。制御信号は同期信号に重畳して送信される。
【0060】
尚、観察者及び立体視用眼鏡データベース102に登録されていない観察者や立体視用眼鏡200を検出した場合、表示部109に観察者検出部101のカメラで撮影した観察者及び立体視用眼鏡200の画像データを表示して、登録を促すように『未登録です、すぐに登録願います』等のメッセージを観察者及び立体視用眼鏡200の画像データと併記する様にしても良い。未登録者への報知は、表示部109の一部にアイコン等を表示する様にしても良い。
【0061】
図4は、本発明の実施例に係る立体画像表示装置100における同期信号と制御信号の送出タイミングを説明するための図である。
図4(a)は、表示部109に表示される3D画像の表示用画像信号である立体画像信号の表示タイミングを示している。立体画像信号は、右目用画像信号と左目用画像信号により構成され、表示部109に右目用画像信号と左目用画像信号が交互に表示される。図4(b)は表示用画像信号に同期した同期信号であり、右用画像信号が表示部109に表示されている時にはH、左目用画像信号が表示されている場合にはLとなる。制御信号は、この同期信号に重畳して送信される。ここに表示した例は、右目画像と左目画像が表示されている1サイクルの区間に制御信号送出区間を設けたものである。この区間の長さは、1サイクルによらず複数のサイクルの区間で送出しても良い。図4(c)は同期回路202から右目用シャッター204に送信されるシャッターの開閉を制御するための同期信号である。Hの時、シャッターが開き、観察者の右目では右目用の画像を見ることができる。Lの時は、シャッターが閉じ、観察者の右目では左目用の画像は見ることができない。図4(d)は同期回路202から左目用シャッター205に送信されるシャッターの開閉を制御するための同期信号である。Hの時、シャッターが開き、観察者の左目では左目用の画像を見ることができる。Lの時は、シャッターが閉じ、観察者の左目では右目用の画像は見ることができない。
【0062】
また、立体視用眼鏡200の同期回路202は、制御部203からの制御信号により、3D画像を見るためのモードか、2D画像を見るためのモードかのモード切り替えが行われる。
3D画像を見るためのモードが設定されていれば、立体視用眼鏡200の同期回路202は、受信部201で受信した同期信号に同期して、右目画像を見るための右目用シャッター204と左目用画像を見るための左目用シャッター205の開閉タイミングの制御を行っている。同期信号を受信している間は、受信した同期信号に合わせて、右目用シャッター204と左目用シャッター205の開閉を行い、同期信号に制御信号が含まれてくる制御信号送出区間の間は、同期信号が入手できないため、制御信号送出区間前に受信している同期信号を維持し、同期信号が自走するように構成されている。
【0063】
図5は、本発明の実施例に係る立体視用眼鏡200の装着及び離脱時の着脱検知部206を説明するための図である。着脱検知部206を立体視用眼鏡200の3つの部分にそれぞれ取り付けた場合の例を示している。図5(a)は着脱検知部206が鼻当ての部分にある場合である。この場合、小さなプッシュスイッチ、或いは、左右の鼻当ての部分に電流が流れるかどうかを検知し、観察者が立体視用眼鏡200を装着したのか離脱したのかを判定する。図5(b)は、着脱検知部206が立体視用眼鏡200のフレームの頭部の肌に触れる部分(つるの内側)にある場合で、頭部の肌の静電容量を検知し、観察者が立体視用眼鏡200を装着したのか離脱したのかを判定する。図5(c)は、着脱検知部206が立体視用眼鏡200のフレームの耳が当たる部分(つるの下側)、即ちフレームが耳の上に乗る部分にある場合で、この場合、小さなプッシュスイッチ、或いは、静電容量を検知し、着脱を検知するセンサーを設けて、観察者が立体視用眼鏡200を装着したのか離脱したのかを判定する。
【0064】
着脱検知部206を図5(a)から図5(c)のように構成することにより、観察者が立体視用眼鏡200を装着すると、着脱検知部206が装着されたことを検出し、立体視用眼鏡200の各回路への電源供給が行われる。立体視用眼鏡200は、初期設定されて、3D画像を見ることができる3Dモードで立ち上げられる。また、離脱が検出されると立体視用眼鏡200の各回路への電源供給が停止される。
【0065】
本発明の立体画像表示装置100で3D画像を表示する際、観察者H1〜H4は、本発明の立体視用眼鏡200で構成されるメガネ1〜4をそれぞれ装着した場合、観察者H1〜H3は、個別データに応じて、3D画像をそのまま3D画像として見ることが可能になる。また、観察者H4は、個別データに応じて、メガネ4を装着して、3D画像を2D画像として見ることが可能になる。
【0066】
このように3D画像を観察する観察者の要望に応じて、立体画像表示装置100から立体視用眼鏡200に対して自動的に3Dモード/2Dモードの切り替え指示が送信されるので、3D画像を見ることができない人や見たくない人は、他の観察者が3D画像を見ていても、自分自身だけ2D画像を見ることができる。そして、3D画像を見ることができない人や見たくない人は、3D画像が表示されるたびに、立体視用眼鏡200をかけた後に2D表示の選択をその都度する必要がなく、快適に2D画像を見ることができる。また、本発明の立体画像表示装置100で3D画像を見ようとしている観察者が、全員が立体視用眼鏡200を着用していない場合、また、立体視用眼鏡200を着用している全員が2D画像を要望する観察者である場合は、立体画像表示装置100は、3D画像の右用目用画像又は左目用画像のどちらか一方を表示部に出力するので、観察者は、立体視用眼鏡200を着用せずに快適に2D画像を観察することが可能であり、大変使い勝手が良い。
【0067】
更に、本発明の立体画像表示装置100では、観察者毎に3D画像を連続視聴している時間を計測しており、観察者毎に個人データに設定されている立体画像連続視聴制限時間を超過する所定時間前に、警告は発せられるので、都度、休憩時間をとることができ、ついつい長時間見てしまい眼精疲労になってしまうことが無いように快適に3D画像をみることができる。
【0068】
更に、視聴時間は、観察者毎に計測しているので、立体視用眼鏡を変えても、3D画像を立体画像連続視聴制限時間以上に連続視聴できないようにしてあるので安心である。
【0069】
更に、3D画像を見ていない時間を計測し、3D画像を見ない連続休憩時間を取ることができ、連続休憩時間経過後は、自動的に立体画像連続視聴時間を制限するタイマーをリセットできるので便利である。
【0070】
また、立体画像連続視聴時間や連続休憩時間を観察者毎に管理できるため、本立体画像表示装置を用いて3D画像を見る場合、例えば観察者が子供の場合等、立体画像連続視聴時間を1時間、連続休憩時間10分と言うような制限を設定し、子供を強制的に休憩させることができるので子供達だけでの視聴であっても安心である。
【0071】
以上、実施例は、全ての点で例示であって、必ずしもこれらに限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、立体画像表示装置及び立体視用眼鏡について例示したが、3Dの画像信号と同期信号を出力し、この同期信号を受信し、立体視できる眼鏡を用いて観察者に立体画像を提供することができれば良く、立体画像表示装置及び立体視用眼鏡に限定されるものではない。本発明は、立体画像表示装置及び立体視用眼鏡以外にも、3Dテレビ、3Dプロジェクター、デジタルビデオレコーダー、携帯型ムービープレイヤー、携帯電話、カーナビゲーションシステム、携帯型又は据置型BD・DVDプレイヤー、PC等の3D画像信号を出力又は表示可能な機器について広く適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明にかかる立体画像表示装置及び立体視用眼鏡は、観察者毎に視聴時間を計測し、管理できるので、個別の観察者の視聴時間に応じて、3D画像または2D画像を自動切り替えを実現することに関するものである。
【符号の説明】
【0073】
100 立体画像表示装置
101 観察者検出部
102 観察者及び立体視用眼鏡データベース
103、203 制御部
104 タイマー個別管理部
105 送信部
106 チューナー部
107 外部入力部
108 画像処理部
109 表示部
200、メガネ1〜メガネn 立体視用眼鏡
201 受信部
202 同期回路
204 右目用シャッター
205 左目用シャッター
206 着脱検知部
207 報知部
MK 個別選別用マーク部
観察者H1〜観察者H4 観察者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体画像信号を表示部に表示可能な立体画像表示装置において、
前記立体画像を観察する観察者の個別データを登録するための観察者登録手段と、
前記立体画像を観察するための立体視用眼鏡の個別データを登録するための眼鏡登録手段と、
前記観察者の個別データと前記立体視用眼鏡の個別データとを管理する観察者及び立体視用眼鏡データベースと、
前記立体画像を観察する観察者を検出するための観察者検出部と、
前記観察者検出部において検出された観察者の立体画像連続視聴時間を計測するための第1のタイマーを観察者毎に管理するタイマー個別管理部とを備え、
前記観察者検出部では、前記表示部に向いている観察者と前記観察者の使用している立体視用眼鏡を前記観察者及び立体視用眼鏡データベースにより検出し、前記タイマー個別管理部では、検出された前記観察者毎に立体画像連続視聴時間を計測することを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の立体画像表示装置であって、
前記観察者登録手段で登録された立体画像連続視聴制限時間を超えて前記立体画像を視聴している前記観察者に警告することを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の立体画像表示装置であって、
前記立体画像信号を見るための同期信号と前記同期信号に重畳した制御信号とを送信する送信部とを備え、
観察者毎に計測した前記立体画像連続視聴時間が、前記立体画像連続視聴制限時間の所定時間前あるいは後に、前記送信部を用いて、前記観察者の使用している前記立体視用眼鏡に対して、前記所定時間前あるいは後に前記所定時間を経過する、あるいは経過したことを報知することを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の立体画像表示装置であって、
前記立体画像信号を見るための同期信号と前記同期信号に重畳した制御信号とを送信する送信部とを備え、
観察者毎に計測した前記立体画像連続視聴時間が、立体画像連続視聴制限時間の所定時間前あるいは後に、前記送信部を用いて、前記観察者の使用している前記立体視用眼鏡に対して、前記所定時間前あるいは後に3D画像から2D画像への切り替え指示をすることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の立体画像表示装置であって、
前記タイマー個別管理部は、前記観察者の3D画像を視聴していない連続休憩時間を計測する第2のタイマーを前記観察者毎に管理することが可能であって、
前記第2のタイマーは、前記立体画像連続視聴制限時間を経過した前記観察者の使用している前記立体視用眼鏡に対して、2D画像への切り替え指示後に起動し、
前記第2のタイマーが所定の連続休憩時間を経過した際には、前記観察者の使用している前記立体視用眼鏡に対して2D画像から3D画像への切り替え指示をすることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項6】
請求項5記載の立体画像表示装置であって、
前記第2のタイマーは、前記表示部に前記立体画像を表示していない期間も計測し続け、
所定の連続休憩時間を経過し、3D画像を視聴可能になった時に停止することを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項7】
請求項3から請求項6記載の立体画像表示装置で表示される3D画像を見るための立体視用眼鏡であって、
右目用画像と左目用画像の表示タイミングに同期して送信される前記同期信号と、前記同期信号に重畳して送信される制御信号を受信し、分離することが可能な受信部と、
前記受信部で受信した前記同期信号に応じて、右目用シャッターと左目用シャッターの開閉を制御する同期回路とを備えることを特徴とする立体視用眼鏡。
【請求項8】
請求項7記載の立体視用眼鏡であって、
前記同期回路は、前記受信部で受信した制御信号により、2D画像表示を指示された場合には、左目用シャッターと右目用シャッターの開閉タイミングを前記右目用画像又は前記左目用画像のどちらか一方の表示タイミングにする切り替え手段を有することを特徴とする立体視用眼鏡。
【請求項9】
請求項7又は請求項8記載の立体視用眼鏡であって、
前記同期回路は、前記受信部が制御信号を受信している期間は、制御信号を受信する以前の前記同期信号に同期して、自走することを特徴とする立体視用眼鏡。
【請求項10】
請求項7から請求項9記載の立体視用眼鏡であって、
前記立体画像連続視聴制限時間を経過したことを報知するための報知部とを備え、
前記受信した制御信号が、3D画像を観察する前記観察者の前記立体画像連続視聴時間が、前記立体画像連続視聴制限時間を経過したこと、或いは前記立体画像連続視聴制限時間の所定時間前であることを報知する制御信号である場合、前記報知部を用い、前記立体画像連続視聴制限時間の超過を報知することを特徴とする立体視用眼鏡。
【請求項11】
請求項1又は2記載の立体視用眼鏡であって、
前記立体視用眼鏡の正面から撮影した際に他の前記立体視用眼鏡と画像判別可能な個別選別用マーク部を具備することを特徴とする立体視用眼鏡。
【請求項12】
請求項1又は2記載の立体視用眼鏡であって、
前記立体視用眼鏡の着脱を検出するための着脱検知部を具備し、前記立体視用眼鏡を脱離したことを検知すると、前記立体視用眼鏡の電源をオフにすることを特徴とする立体視用眼鏡。
【請求項13】
請求項7から請求項10記載の立体視用眼鏡であって、
前記立体視用眼鏡の正面から撮影した際に他の前記立体視用眼鏡と画像判別可能な個別選別用マーク部を具備することを特徴とする立体視用眼鏡。
【請求項14】
請求項7から請求項11記載の立体視用眼鏡であって、
前記立体視用眼鏡の着脱を検出するための着脱検知部を具備し、前記立体視用眼鏡を脱離したことを検知すると、前記立体視用眼鏡の電源をオフにすることを特徴とする立体視用眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−213086(P2012−213086A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78248(P2011−78248)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】