説明

立体画像表示装置

【課題】極めて簡略な構成の装置によって構成され、明瞭な立体画像を表示することができる立体画像表示装置に関する。
【解決手段】回転体1上に多数の発光素子5を段階的に構成した各段4に備えた棒状の発光体2を螺旋状に配置し、前記回転体1を高速回転させることにより、立体画像を現出させるようにするものであって、この際、前記棒状の発光体2は、上方から見て縦方向に螺旋状に立説するか、螺旋階段状に横に寝かせて配置するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像表示装置に関し、複数の方向から立体画像を確認できるようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の立体画像表示方式では、図12に示すように、回転円盤A上に板状又はスクリーンからなる平面表示器Bを立設し、この平面表示器B上に多数の発光素子Cを形成し、回転円盤Aを回転させることにより、光の残像で立体像を表示する方式を示す。しかし、平面体である平面表示機Bを回転させると、空気抵抗が発生するため高速回転は難しいので、全体を密閉構造内に収容し、内部を真空にしたり又はヘリウムガスを充てんしたりするなどの方策をとることが考えられるが、現実的には困難であり、また観測者から見て側面(真横)を向いたときに、死角ができる(視野角の問題もある。)
【特許文献1】特開2004―45694
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人間が物を立体的に見ることができるのは、左右の目に映る像が眼の間隔分だけずれているためで、脳がそれを補正することにより、立体的な距離感を得ることができるといわれている。
【0004】
体積表示方式というのは、空間に光を置いて行くこと(実際には発光する場所)により、残像を利用してそこに実像があるように見せることである。本発明で提案する方式の場合は、面ではなく棒状の発光素子を利用するのであるが、原理は上述の例と同様である。
【0005】
簡単に説明すると、図13に示すように円盤D上の中心からの距離が異なる場所に棒状の発光素子E、Fを配置し、円盤Dを高速で回転させることにより、図14に示すように空間に光の残像Ea,Faが残る。これらを円盤Bの中心から外側まで螺旋状に多数配置することにより、立体画像を表示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の立体画像表示装置においては、回転体上に多数の発光素子を段階的に構成した各段に備えた棒状の発光体を螺旋状に配置して表示部を構成し、前記回転体を高速回転させることにより、空間に立体画像を現出させるようにした。
【0007】
本発明の請求項2に記載の立体画像表示装置においては、前記請求項1に記載の装置において、前記多数の発光体素子を段階的に構成した各段に備えた棒状の発光体を、上方から見て縦方向に螺旋状に立設して表示部を構成しうるようにした。
【0008】
本発明の請求項3に記載の立体画像表示装置においては、前記請求項1に記載の装置において、前記多数の発光体素子を段階的に構成した各段に備えた棒状の発光体を、螺旋階段状に横に寝かせて配置して表示部を構成するようにした。
【0009】
本発明の請求項4に記載の立体画像表示装置においては、前記請求項1ないし3のいずれかに記載の装置において、前記発光体素子を発光ダイオードにより構成してなる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の立体画像表示装置においては、前記請求項1ないし4のいずれかに記載の装置において、前記多数の発光体素子を、乳白色のパイプ内にLEDを縦に各段毎に配置し、各ピクセルを点灯できるようにした。
【0011】
本発明の請求項6に記載の立体画像表示装置においては、前記請求項1ないし4のいずれかに記載の装置において、前記多数の発光素子を、乳白色のパイプ内の各段毎に縦長の基盤の両面に面実装LEDを配置し、各ピクセルを点灯できるようにした。
【0012】
本発明の請求項7に記載の立体画像表示装置においては、前記多数の発光体素子からなる発光体を下方に配置し、棒状の発光体を構成する乳白色のパイプの内面の各段を両面ミラーで構成し、光ファイバー等でこれら各段を点灯させるようにした。
【0013】
本発明の請求項8に記載の立体画像表示装置においては、回転体の下方に位置し各棒状の発光体の発光素子の発光パターンを担当するスレーブ、各スレーブに回転の同期信号や外部制御用PCからのデータを送受信するマスターCPU、回転体の一周を感知し表示の同期タイミングを取るための同期センサーを含む動作部と、制御用CPU、インターフェース、モ−ターを含む制御部と、前記表示部と主として構成してなる。
【0014】
本発明の請求項9に記載の立体画像表示装置においては、前記回転体の上方に構成される表示部、動作部及び制御部を筐体内に収容するに当たって少なくとも表示部を外部から透視しうるように構成してなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の立体画像表示装置は、極めて簡素な構成の装置によって構成され、明瞭な立体画像を表示することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1及び図2に示す実施例1において、円盤状の回転体1上に、棒状の発光体2を螺旋状に配置するものであって、上方から見ると図1のようになり、図2は斜め方向から見た状態を示す。前記棒状の発光体2は図3に示すように乳白色のパイプ3内に多数の段4を形成し、これら段4ごとに発光ダイオードからなる発光素子5を配置することで、各発光体2に多数の発光素子5が段階的に構成されるものである。
【0017】
図4は発光体2の変形を示すものであって、乳白色のパイプ3内に縦長の基盤6を設け、前記各段4ごとに、基盤6の両面に面実装LEDを配置し、各ピクセルを点灯するものである。
【0018】
図5は更に他の変形を示すものであって、乳白色のパイプ3が細かったり縦に長かったりする場合に、LEDを下方に配置し、回転体1上の棒状の発光体2を構成する乳白色のパイプ3の内面の各段4を両面ミラーで構成し、光ファイバー等でこれら各段4を点灯させるようにするのである。
【0019】
図6及び図7に示す実施例2において、前記多数の発光素子5を段階的に構成した棒状の発光体2を、円盤状の回転体1上に、螺旋階段状に横に寝かせて配置するようにしたものであって、図6は上方から見た状態を示し、図7は斜め方向から見た状態を示す。これら図6及び図7に示した発光体2も、前記図3、図4及び図5に示した構造を任意に採用可能である。
【0020】
図8は回転体1の回転時において、解像度を上げる方法として、棒状の各発光体2を縦方向に少しずらして発光素子5を配置することによって、回転方向に時分割を多くすることで、解像度をあげることが可能である。
【0021】
図8は縦方向で解像度を上げることにしているが、図9では円周の奥行き方向において、奥行き方向の少しずらして発光体2を配置することだ発光素子5の配置密度を上げることで解像度を上げることが可能である。
【0022】
図10は本発明の前記実施例1の構成を具体的に示すブロック図であって、LED等で構成された多数の棒状の発光体2を備える「表示部」と、各棒状の発光体2を構成する発光素子の発光パターンを担当するスレーブ1〜スレーブn、各スレーブ1〜スレーブnに回転の同期信号や外部制御用PCからのデータを送受信するマスターCPU、回転体1の一周を感知し表示の同期タイミングを取り、外部に固定された発光素子を回転部の受光素子で検出し、必要に応じて反射型センサーを使用し外部にミラーを配置する同期センサーからなる「動作部」とで、「回転部」を構成する。
【0023】
上記構成のほか、「制御部」は、外部制御用PC(立体画像表示装置の動作コマンドやデータを送信するためのコンピュータ)からのモーターや電源制御コマンドに対応する制御用CPUと、外部制御用PCとの通信を行うためのインターフェイスと、回転表示部を回転させるためのギア等を含む駆動部としての前記モーターと、外部制御用PCからの送信データを回転部に伝えるための金属円盤とブラシからなるSDと、外部制御用PCへの返信データを回転部から伝えるための金属円盤とブラシからなるRDと、回転部への電源供給用金属円盤とブラシからなる5Vと、回転部への電源及び信号のためのアースと金属円盤とブラシからなる0Vと、立体画像表示装置へ供給するための電源とからなる。
【0024】
図11は、図10のブロック図の全体構成の一部を斜視図で示すものであって、この図においては前記「表示部」「動作部」「制御部」の全体を、外部から透視しうる筐体7内に収めた状態を示すが、その他の構成は図10に示したのと同様である。
【0025】
データの表示方法として、棒状の発光体の一本ずつを、1つ以上のマイコン(スレーブ)で制御し、それを統括するマイコン(マスター)が存在する。通常、マスターは回転の同期、外部(コンピュータ)との通信の中継を行う。なお、大型化した場合、マスター経由では表示データの通信が間に合わなくなると予想されるため、各スレーブ毎に無線通信でデータを受け取る。
【0026】
表示部をカラー化・フルカラー化するには、前記LEDを三原色LEDにし、階調を電圧制御することで可能となる。
【0027】
回転の同期方法としては、前記マスターが光学センサ等により回転体の一周を感知し、各スレーブ毎の同期タイミングを指令するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例1の平面図である。
【図2】図1に示す装置の斜視図である。
【図3】発光体の一例を示す部分的斜視図である。
【図4】発光体の他の例を示す部分的斜視図である。
【図5】発光体の更に他の例を示す部分的斜視図である。
【図6】本発明の実施例2の平面図である。
【図7】図6に示す装置の斜視図である。
【図8】解像度を上げる方法の一例を示す斜視図である。
【図9】解像度を上げる他の方法の平面図である。
【図10】本発明の前記実施例1の具体的な構成を示すブロック図である。
【図11】図10に示すブロック図の要部を斜視図で示すものである。
【図12】既存の体積表示方法を示す斜視図である。
【図13】本発明を示唆する装置の当初の状態を示す斜視図である。
【図14】図13の段階から回転体を回転させた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 回転体
2 発光体
3 乳白色のパイプ
4 段
5 発光素子
6 基盤
7 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体上に多数の発光素子を段階的に構成した各段に備えた棒状の発光体を螺旋状に配置して表示部を構成し、前記回転体を高速回転させることにより、立体画像を現出させるようにした、立体画像表示装置。
【請求項2】
前記多数の発光素子を段階的に構成した各段に備えた棒状の発光体を、上方から見て縦方向に螺旋状に立設して表示部を構成してなる、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記多数の発光素子を段階的に構成した各段に備えた棒状の発光体を、螺旋階段状に横に寝かせて配置して表示部を構成してなる、請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記発光体を構成する発光素子を発光ダイオードにより構成してなる請求項1ないし3のいずれかに記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記発光体の多数の発光素子は、乳白色のパイプ内にLEDを縦に各段毎に配置し、各ピクセルを点灯できるようにした、請求項1ないし4のいずれかに記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記発光体の多数の発光素子は、乳白色のパイプ内の各段毎の縦長の基盤の両面に面実装LEDを配置し、各ピクセルを点灯できるようにした、請求項1ないし4のいずれかに記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記多数の発光素子をからなる発光体を下方に配置し、棒状の発光体を構成する乳白色のパイプの内面の各段を両面ミラーで構成し、光ファイバー等でこれら各段を点灯させるようにした、請求項1ないし4のいずれかに記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
回転体の下方に位置し各棒状の発光体の発光素子の発光パターンを担当するスレーブ、各スレーブCPUに回転の同期信号や外部制御用PCからのデータを送受信するマスターCPU、回転体の一周を感知し表示の同期タイミングを取るための同期センサーを含む動作部と、制御用CPU、インターフェイス、モーターを含む制御部と、前記表示部とで主として構成してなる立体画像表示装置。
【請求項9】
前記回転体の上方に構成される表示部、動作部及び制御部を筐体内に収容するに当たって少なくとも前記表示部を外部から透視しうるように構成してなる、立体画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−226013(P2007−226013A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−48516(P2006−48516)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(399001417)オリエント商事株式会社 (3)
【Fターム(参考)】