説明

立体画像鑑賞装置

【課題】安価で簡単な器具を利用して、TVやパソコンに表示した画像で、手軽に立体画像を楽しめるようにする。
【解決手段】左光軸34上に配置された左第1ミラー18と左第2ミラー20と、左目用画像12を受け入れる左対物窓42と、左目位置方向に開放された左覗き窓56とを有する左ユニット80と、右光軸36上に配置された右第1ミラー22と右第2ミラー24と、右目用画像14を受け入れる右対物窓44と、右目位置方向に開放された右覗き窓57とを有する右ユニット82とを備える。左光軸34と右光軸36の挟む角を増加させもしくは減少させて、挟む角を任意の状態で保持する継ぎ手で、左ユニット80と右ユニット82とを連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータのディスプレイやテレビジョン装置等を利用して手軽に立体画像を楽しむことができる立体画像鑑賞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大画面で高精細な画像を表示するテレビジョン受像機や画像処理技術の発達に伴い、平面的な画像だけでなく立体的な画像の再生技術が次々と開発されている(特許文献1参照)(特許文献2参照)(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−233469号公報
【特許文献1】特開2008−249809号公報
【特許文献1】実用新案登録3009765号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
上記の特許文献1や特許文献2のような方法では、精細でリアルな立体画像を再生できる。しかしながら、複雑な原画像を生成して高価な再生装置を準備しなければならず、普及の妨げになっている。また、特許文献3のような簡便な装置も開発されているが、立体画像が見えるようになる状態にするために調整が必要になる。また、実際に使用して見るとよくわかるが、立体画像として認識できるまで、目の位置や目線等をいろいろ調整しなければならず、鑑賞中にちょっと姿勢を変えると立体画像が見えなくなるといった問題があった。さらに、視界に立体画像以外の画像が入るため、違和感があるといった問題があった。
上記の課題を解決するために、本発明は、コンピュータのディスプレイやテレビジョン装置等を利用して手軽に立体画像を楽しむことができる立体画像鑑賞装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
左目用画像12から左目位置に達する左光軸34上に配置され、前記左目用画像を順に反射して左目位置に導く左第1ミラー18と左第2ミラー20と、前記左第1ミラー18に前記左目用画像12を受け入れる左対物窓42と、前記左第2ミラー20の前記左目位置方向に開放された左覗き窓56とを有する左ユニット80と、右目用画像14から右目位置に達する右光軸36上に配置され、前記右目用画像14を順に反射して右目位置に導く右第1ミラー22と右第2ミラー24と、前記右第1ミラー22に前記右目用画像14を受け入れる右対物窓44と、前記右第2ミラー24の前記右目位置方向に開放された右覗き窓57とを有する右ユニット82とを備え、前記左光軸34と右光軸36の挟む角を増加させもしくは減少させて、前記挟む角を任意の状態で保持する継ぎ手で、前記左ユニット80と右ユニット82とを連結したことを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【0006】
〈構成2〉
構成1に記載の立体画像鑑賞装置において、前記継ぎ手は、前記画像に近い側と遠い側の少なくとも1箇所で、一端が前記左ユニット80に固定され、他端が前記右ユニット82に固定され、外力により伸縮自在で外力が開放されたときその状態を保持する伸縮継ぎ手であることを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【0007】
〈構成3〉
構成1または2に記載の立体画像鑑賞装置において、前記継ぎ手の状態を変化させて左覗き窓56と右覗き窓57との間隔が変化したときに、左目位置から前記左第1ミラー18を通じて左目用画像12を直視し同時に右目位置から前記右第1ミラー22を通じて右目用画像14を直視できるように、両眼の前方を覆わない幅に、左覗き窓56と右覗き窓57の幅及び両者の間隔を選定することを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【0008】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の立体画像鑑賞装置において、左覗き窓56と右覗き窓57から一定の距離だけ左目26と右目28とを遠ざけるフード84を設けたことを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【0009】
〈構成5〉
構成1乃至4のいずれかに記載の立体画像鑑賞装置において、左ユニット80の左側面に、左対物窓42から左目用画像12方向を見たときの視界を制限する左サイドカバー85を設け、右ユニット82の右側面に、右対物窓44から右目用画像14方向を見たときの視界を制限する右サイドカバー86を設け、前記左サイドカバー85と右サイドカバー86は、前記視界を制限する範囲を増減できるように可動支持されていることを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【0010】
〈構成6〉
請求項1乃至4のいずれかに記載の立体画像鑑賞装置において、左ユニット80と右ユニット82の一方または双方に、頭部に直接または間接的に装着できるクリップを固定したことを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【発明の効果】
【0011】
〈構成1の効果〉
左ユニット80と右ユニット82とを継ぎ手で連結して、左光軸34と右光軸36の挟む角を変化させることにより、左の目で見るための画像を右の目の視界の外にし、右の目で見るための画像を左の目の視界の外にすることができる。これにより、反射鏡だけを使用して立体画像59をごく自然に簡単に見ることができる。
〈構成2の効果〉
外力により伸縮自在で外力が開放されたときその状態を保持する伸縮継ぎ手を使用すると、調整が容易である。
〈構成3の効果〉
左覗き窓56と右覗き窓57の幅及び両者の間隔を適切にとれば、左光軸34と右光軸36の挟む角を変化させても視界が狭まらない。
〈構成4の効果〉
左覗き窓56と右覗き窓57から一定の距離だけ左目26と右目28とを遠ざけることにより、左ユニット80や右ユニット82の内部の不用な場所が見えないように、視界を遮ることができる。
〈構成5の効果〉
左覗き窓56と右覗き窓57から見える、立体画像59の左右の無用な対象物が見えないように、視界を遮ることができる。
〈構成6の効果〉
頭部に直接または間接的に装着できるクリップを、左ユニット80や右ユニット82に固定すれば、ハンズフリーで立体画像を鑑賞できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の本体縦断面図と画像の関係を示す説明図である。
【図2】ユニットの継ぎ手の作用を説明する説明図である。
【図3】大画面鑑賞時の作用を示す説明図である。
【図4】小画面鑑賞時の作用を示す説明図である。
【図5】その実際の使用状態を示す斜視図である。
【図6】自在継ぎ手72の具体例を示す縦断面図である。
【図7】実施例5の立体画像鑑賞装置を示す縦断面図である。
【図8】実施例6の立体画像鑑賞装置を示す縦断面図と画像の関係を示す説明図である。
【図9】実施例7の立体画像鑑賞装置を示す縦断面図である。
【図10】実施例8の立体画像鑑賞装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1の本体縦断面図と画像の関係を示す説明図である。
図には、左目用画像12と右目用画像14と背景枠画像16とを示した。これらの画像は、コンピュータのディスプレイ、テレビジョンディスプレイ、デジタルフォトフレーム、携帯型端末装置のディスプレイ等に表示される。立体画像を作成するには、予め左目の位置で写真を撮影して左目用画像12を得る。次に、右目の位置かあるいはもう少し右に離れた位置で写真を撮影して右目用画像14を得る。その後、図のように、左目用画像12と右目用画像14とを左右に並べて配置しディスプレイに表示する。左目用画像12を左目26で見て右目用画像14を右目28で見るようにすると、立体画像が見える。
【0015】
図の実施例では、左第1ミラー18と左第2ミラー20を、左覗き窓56と左対物窓42を設けたボックス状の左ユニット80に収容した。左目26は、破線のような光路を経て、左目用画像12を見ることができる。また、右第1ミラー22と右第2ミラー24を、右覗き窓57と右対物窓44を設けたボックス状の左ユニット80に収容した。右目28は、破線のような光路を経て、右目用画像14を見ることができる。光路の中心軸を実線の矢印で示し、左光軸34と右光軸36と呼ぶことにする。
【0016】
なお、実際には、左光軸34と右光軸36とは、左目用画像12や右目用画像14の画像が表示された面に垂直であるが、説明を容易にするために、左目用画像12と右目用画像14は光軸に垂直な正面図を示し、立体画像鑑賞装置10は光軸を含む面で切断した横断面図を示している。実際には図5に示したような状態で立体画像鑑賞装置10を使用する。
【0017】
左目用画像12も右目用画像14も平坦な画像であるが、目の錯覚を利用して立体画像を再現できる。ディスプレイに表示された図のような画像全体を両目で見ても立体画像には見えない。左目では左目用画像12だけを見て右目では右目用画像14だけを見るようにする。
【0018】
レンズを用いた光学系を用いる方法が知られている。しかしながら、ディジタル画像をレンズ等で拡大して見るとドット(画素)が見えて画像が不自然になる。一方、本発明のように2枚の反射鏡を使用した光学系は結像しないから、目の位置に関係なく自然な画像を楽しむことができる。また、本発明のように、左覗き窓56や右覗き窓57を広くすることにより、眼鏡を付けたままでも全く問題なく、立体画像59(図1(b)を楽しむことができる。
【0019】
しかしながら、この立体画像鑑賞装置10は、図の破線に示すように、視角が非常に広い。従って、左目26は左目用画像12だけをみればよいのだが、図1(b)に示すように、右目用画像14の一部も見えてしまう。錯覚を利用して立体画像を鑑賞する場合に、立体画像以外の画像が横に見えると違和感が生じる。また、画像がいくつも見えると、どの画像が立体画像かと、探してしまう場合もある。
【0020】
ここで、左覗き窓56と右覗き窓57とをピンホールに近い窓にし、左対物窓42と右対物窓44を左目用画像12や右目用画像14を見ることができる最小限のサイズにすると、左目用画像12を左目26だけで見ることができ、右目用画像14を右目28だけで見ることができるから、良好な立体画像59を鑑賞できる。
【0021】
しかしながら、左覗き窓56と右覗き窓57とをピンホールに近い窓にすると、利用者毎に微調整が必要で非常に使い難いものになる。また、左対物窓42や右対物窓44と画像との距離や位置関係も正確に条件どおり設定する必要があり、設定の手間もかかり、さらに、最適鑑賞位置が中央に限定されるから、複数の人が同じ画面を楽しむことができない。
【0022】
左対物窓42,右対物窓44,左覗き窓56,右覗き窓57のサイズを余裕を持って広めに設定すると、図1(b)に示すように、中央に立体画像59が見えるものの、その左右に立体でない左目用画像12と右目用画像14の一部がはっきりと見えてしまう。即ち、右光学系で説明すれば、図の太い一点鎖線の矢印Pに示す幅に存在する右目用画像14以外に、その左側の矢印Qに示す幅に存在する左目用画像12や、右目用画像14の右側の矢印Rに示す幅に存在する背景枠画像16等が見えてしまう。これは、レンズを用いた光学系でなく鏡を用いた光学系に固有の問題でもある。
【0023】
そこで、本発明では、図1(a)に示すように、左光学系の左光軸34と右光学系の右光軸36の挟む角を増加させ、もしくは減少させることができるように、左ユニット80と右ユニット82とを、対物側継ぎ手76及び対人側継ぎ手78で接続した。なお、この実施例では、左ユニット80と右ユニット82とを、2箇所で接続しているが、一箇所でいわゆる自在継ぎ手を使用して接続しても構わない。
【0024】
図2は、ユニットの継ぎ手の作用を説明する説明図である。
図1(a)に示す状態では、図1(b)に示す画像が見えてしまった。ここで、図2に示すように、対物側継ぎ手76を引き延ばし、対人側継ぎ手78を曲げて、左光学系の左光軸34と右光学系の右光軸36の挟む角をθまで増加させた。こうすると、例えば、右目28から右第2ミラー24で反射した画像を見たときも、右目28から直接右対物窓44を通じて背景枠画像16側を見たときも、左目用画像12を見ることができないほど、右光軸36が傾斜している。左光学系の左光軸34も同様である。ちょうど、上記の実施例の仕切り板54を設けたのと同じ効果が得られた。
【0025】
ここで、例えば、左第2ミラー20や右第2ミラー24、あるいは、左第1ミラー18や右第1ミラー22の傾斜を可変できるようにすることも考えられる。これで、左光学系の左光軸34と右光学系の右光軸36の挟む角を増加させたり減少させたりすることができる。しかしながら、その場合には、右対物窓44のサイズや位置の関係が悪くなる。しかも、左右のミラーの角度を調整しながら画像を見ようとすると、非常に調整に手間取る。ミラーにいくつも画像が反射し、左右の画像を重ねるようにミラーを動かすことがきわめて難しくなる。
【0026】
これに対して、この実施例のように、左右の光学系をそれぞれ独立に収容して、左対物窓42と右対物窓44を通じてのみ左目用画像12と右目用画像14を見ることができる左ユニット80と右ユニット82を、それぞれ独立したボックスとし、両者を上記のような継ぎ手で接続すると、きわめて簡単に最適な条件を設定することができる。
【0027】
しかも、大人でも子供でも困らない程度に、左覗き窓56と右覗き窓57とを広い幅に設定することができる。従って、視界を広くとることができる。図1(a)の状態から図2(a)の状態にしたとき、左覗き窓56と右覗き窓57が接近するが、そのとき左ユニット80と右ユニット82の壁が視界を妨げないように、左右の目の幅に比べて左覗き窓56と右覗き窓57の両端を広く離すように設定しておくとよい。このとき、図2の(b)に示すように、立体画像59の左右に背景枠画像16等が見えるが、左目用画像12や右目用画像14が直接目に入らない。
【0028】
即ち、本発明の立体画像鑑賞装置は、左ユニット80と右ユニット82とを別々に設けて、両者を連結したものである。左ユニット80は、左第1ミラー18と左第2ミラー20とを備える。左第1ミラー18と左第2ミラー20とは、左目用画像12から左目位置に達する左光軸34上に配置され、左目用画像を順に反射して左目位置に導くためのものである。ミラーのみを使用し、レンズは使用しない。左ユニット80には、左第1ミラー18に左目用画像12を受け入れる左対物窓42と、左第2ミラー20の左目位置方向に開放された左覗き窓56とを設ける。左対物窓42や左覗き窓56は、左光学系において左目用画像12を遮らない十分広い面積のものとする。
【0029】
同様に、右ユニット82は、右第1ミラー22と右第2ミラー24とを備える。右第1ミラー22と右第2ミラー24とは、右目用画像14から右目位置に達する右光軸36上に配置され、右目用画像14を順に反射して右目位置に導くためのものである。右ユニット82には、右第1ミラー22に右目用画像14を受け入れる右対物窓44と、右第2ミラー24の右目位置方向に開放された右覗き窓57とを設ける。右対物窓44や右覗き窓57は、右光学系において右目用画像14を遮らない十分広い面積のものとする。
【0030】
ここで、左光軸34と右光軸36の挟む角を増加させもしくは減少させて、この挟む角を任意の状態で保持する継ぎ手で、左ユニット80と右ユニット82とを連結した。挟む角を任意の状態で保持するというのは、例えば、塑性変形する継ぎ手や、ねじやクリックストップにより調整した位置で自己保持できるもののことをいう。
【0031】
なお、上記の継ぎ手は、図1の実施例のように、画像に近い側と遠い側の少なくとも2箇所で、一端が左ユニット80に固定され、他端が右ユニット82に固定されているとよい。その構造は、例えば、外力により伸縮自在で外力が開放されたときその状態を保持する伸縮継ぎ手であるとよい。
【0032】
さらに、継ぎ手の状態を変化させて左覗き窓56と右覗き窓57との間隔が変化しても、左目位置から前記左第1ミラー18を通じて左目用画像12を直視し同時に右目位置から前記右第1ミラー22を通じて22右目用画像14を直視できるように、左覗き窓56と右覗き窓57の幅を十分に広く選定するとよい。
【0033】
以上の実施例によれば、対物側の光軸を外側に広げることにより、左の目で見るための画像を右の目の視界の外にし、右の目で見るための画像を左の目の視界の外にすることができた。これにより、反射鏡だけを使用して立体画像をごく自然に簡単に見ることができる。また、反射鏡だけを使用するから、ディスプレイに表示された画像からの距離が変動しても画像がぼけることが無い。従って、ディスプレイからの距離に厳しい制約が無い。
【0034】
画像と正対していなくても上記の要領で視界を調整すれば、簡単に立体画像が楽しめる。左目と左の画像との距離と、右目と右の画像との距離が等しくなくても、鮮明に画像を直視できる。即ち、複数の人が1台のディスプレイを利用して立体画像を楽しむことが可能になる。
【実施例2】
【0035】
図3は大画面鑑賞時の立体画像鑑賞装置の状態を示す説明図である。
上記の構成の立体画像鑑賞装置は、ディスプレイに対する鑑賞位置や鑑賞角度の制約を受け難いという特徴を持つ。このことから、小サイズのディスプレイに表示された画像も大サイズのディスプレイに表示された画像も上記の視界調整により自由に鑑賞できる。図3の例では、左目用画像12と右目用画像14とが左目光学系と右目光学系の視界に入るまで画像からの距離を大きくとる。そして、左右の光学系の光軸の挟む角を大きくとる。これで、左の目で左目用画像12全体を直視し、右の目で右目用画像14全体を直視して、大画面の立体画像を鑑賞することができる。これで、図2(b)に示すような状態で、立体画像59を鑑賞できる。
【実施例3】
【0036】
図4は小画面鑑賞時の立体画像鑑賞装置の状態を示す説明図である。
この実施例では、例えば、携帯型のディスプレイに非常に小さく左目用画像12と右目用画像14とが表示された場合の例を説明する。このとき、左右のユニットの光学系の光軸を減少させて、マイナスにする。即ち、図18に示すように、左右のユニットの光学系の光軸が交差するように継ぎ手の状態を変更する。これにより、左の目で左目用画像12を直視し、右の目で右目用画像14を直視して、小画面の立体画像を鑑賞することができる。
【0037】
この場合でも、図2(b)に示すような状態に視界を調節することができる。従って、簡単に自然に立体画像59の鑑賞を開始できる。従来は、両眼ともに、視界にいくつも同じ画像が含まれており、立体画像を鑑賞する状態に調節するのに時間がかかったし、調節も狂いやすかった。この発明では、きわめて短時間に立体画像の鑑賞を開始できるという大きな利点がある。図5は、その実際の使用状態を示す斜視図である。
【実施例4】
【0038】
図6は、自在継ぎ手72の具体例を示す縦断面図である。
例えば、自在継ぎ手72は、図のようなバンド73とスリーブ74とで構成することができる。左ユニット80や右ユニット82は、プラスチックや紙により製造できる。自在継ぎ手72は弾力性のあるプラスチックが好ましい。バンド73とスリーブ74とが接する面には、滑りを悪くするための凹凸が設けられている。スリーブ74は弾力でバンド73を把持している。従って、少し力を加えると、バンド73を矢印方向に挿抜できる。これにより、上記の挟む角を任意の状態で保持することができる。
【実施例5】
【0039】
図7は、実施例5の立体画像鑑賞装置を示す縦断面図である。
図の左ユニット80と右ユニット82には、左覗き窓56と右覗き窓57から一定の距離だけ左目26と右目28とを遠ざけるフード84を設けた。この部分の拡大図を円A内に示す。これまでの実施例の場合、例えば、左覗き窓56に左目26を近づけると、左第2ミラー20や左第1ミラー18の周辺部分に映る不用な画像が目に入る。左ユニット80の内部の構造物の画像である。左覗き窓56と右覗き窓57から一定の距離だけ左目26と右目28とを遠ざけることにより、左ユニット80や右ユニット82の内部の不用な場所が見えないように、視界を遮ることができる。
【実施例6】
【0040】
図8は、実施例6の立体画像鑑賞装置を示す縦断面図と、見ることができる画像の説明図である。
図8(a)の左ユニット80と右ユニット82の側面には、左サイドカバー85と右サイドカバー86とが設けられている。左サイドカバー85は左ユニット80の側面にヒンジ87を介して可動支持されている。また、ヒンジ87は右ユニット82の側面にヒンジ88を介して可動支持されている。これらは、立体画像鑑賞装置10から見える弛緩の外側を制限するためのものである。
【0041】
即ち、左ユニット80の左側面には、左対物窓42から左目用画像12方向を見たときの視界を制限する左サイドカバー85を設けた。右ユニット82の右側面には、右対物窓44から右目用画像14方向を見たときの視界を制限する右サイドカバー86を設けた。ヒンジ87とヒンジ88とは、左サイドカバー85と右サイドカバー86の視界を制限する範囲を増減できるようにするためのものである。
【0042】
この構造により、左覗き窓56と右覗き窓57から見える、立体画像59の左右の無用な対象物が見えないように、視界を遮ることができる。その結果、図8(b)に示すように、立体画像の幅まで、視界を制限できる。左サイドカバー85と右サイドカバー86の調整はきわめて簡単である。構造も簡単である。カバーの長さも短くてよいから、邪魔にならない。こうして、非常に合理的に視界を制限して、良好な立体画像を鑑賞できる。
【実施例7】
【0043】
図9は、実施例7の立体画像鑑賞装置を示す縦断面図である。
この実施例の装置の機能は、実施例6のものと変わらない。実施例6では、ヒンジを設けたドアのようなサイドカバーを使用した。この実施例7では、引き出し式のスライドパネル90を使用する。左右一対のスライドパネル90は、左ユニット80と右ユニット82の外側壁内部に全体が収容される。従って、必要なときに引き出して、左右の無用な対象物が見えないように、視界を遮ることができる。
【0044】
スライドパネル90は可動支持されているから、引き出し量により視界を制限する範囲を増減できる。また、要らないときには収納してしまうことができる。このほかに、この実施例では、対物側継ぎ手76も対人側継ぎ手78も、左ユニット80と右ユニット82の内部にほぼ全体を収納できるように構成されている。従って、全体として、外観が非常にすっきりとしたデザインのものを実現できる。
【実施例8】
【0045】
図10の、(a)はサンバイザの斜視図、(b)は実施例8の立体画像鑑賞装置を示す斜視図、(c)は使用時の主要部側面図である。
本発明の装置は、いずれの実施例のものも、軽量で小型で、覗き窓と目との間の距離に厳密さが要求されない。裸眼でも眼鏡をかけていても、広い視野を確保できる。また、複数の利用者が、同じディスプレイに表示された立体画像を鑑賞できる。従って、装置の支持方法をもっと改善すれば、よりいっそう、使いやすくなる。この実施例は、この要求を実現したもので、頭部に直接または間接的に装着できるクリップを固定した。このクリップは、例えば、帽子やサンバイザやヘッドセット等に簡単に固定できる構造が好ましい。また、クリップがヘッドホンを取り付けたヘッドセットに一体化されているようなものでもよい。
【0046】
図の左ユニット80あるいは右ユニット82、またはその双方に、クリップ92を設けた。クリップ92は、利用者が装着したサンバイザ94の鍔の部分に例えば、弾力で固定することができる。図の例では、クリップ92が左ユニット80と右ユニット82の双方にそれぞれ固定されている。クリップ92をサンバイザ94に固定するときに、左ユニット80と右ユニット82の光軸の挟む角度θを最適に調整するとよい。また、同時に、(c)に示すように、目と覗き窓との間の距離Dも最適化するとよい。その後は、ハンズフリーで立体画像を鑑賞できる。
【符号の説明】
【0047】
10 立体画像鑑賞装置
12 左目用画像
14 右目用画像
16 背景枠画像
18 左第1ミラー
20 左第2ミラー
22 右第1ミラー
24 右第2ミラー
26 左目
28 右目
34 左光軸
36 右光軸
42 左対物窓
44 右対物窓
56 左覗き窓
57 右覗き窓
59 立体画像
72 自在継ぎ手
73 バンド
74 スリーブ
76 対物側継ぎ手
78 対人側継ぎ手
80 左ユニット
82 右ユニット
84 フード
85 左サイドカバー
86 右サイドカバー
87 ヒンジ
88 ヒンジ
90 スライドパネル
92 クリップ
94 サンバイザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左目用画像12から左目位置に達する左光軸34上に配置され、前記左目用画像を順に反射して左目位置に導く左第1ミラー18と左第2ミラー20と、前記左第1ミラー18に前記左目用画像12を受け入れる左対物窓42と、前記左第2ミラー20の前記左目位置方向に開放された左覗き窓56とを有する左ユニット80と、
右目用画像14から右目位置に達する右光軸36上に配置され、前記右目用画像14を順に反射して右目位置に導く右第1ミラー22と右第2ミラー24と、前記右第1ミラー22に前記右目用画像14を受け入れる右対物窓44と、前記右第2ミラー24の前記右目位置方向に開放された右覗き窓57とを有する右ユニット82とを備え、
前記左光軸34と右光軸36の挟む角を増加させもしくは減少させて、前記挟む角を任意の状態で保持する継ぎ手で、前記左ユニット80と右ユニット82とを連結したことを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【請求項2】
請求項1に記載の立体画像鑑賞装置において、
前記継ぎ手は、前記画像に近い側と遠い側の少なくとも1箇所で、一端が前記左ユニット80に固定され、他端が前記右ユニット82に固定され、外力により伸縮自在で外力が開放されたときその状態を保持する伸縮継ぎ手であることを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の立体画像鑑賞装置において、
前記継ぎ手の状態を変化させて左覗き窓56と右覗き窓57との間隔が変化したときに、左目位置から前記左第1ミラー18を通じて左目用画像12を直視し同時に右目位置から前記右第1ミラー22を通じて右目用画像14を直視できるように、両眼の前方を覆わない幅に、左覗き窓56と右覗き窓57の幅及び両者の間隔を選定することを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の立体画像鑑賞装置において、
左覗き窓56と右覗き窓57から一定の距離だけ左目26と右目28とを遠ざけるフード84を設けたことを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の立体画像鑑賞装置において、
左ユニット80の左側面に、左対物窓42から左目用画像12方向を見たときの視界を制限する左サイドカバー85を設け、右ユニット82の右側面に、右対物窓44から右目用画像14方向を見たときの視界を制限する右サイドカバー86を設け、前記左サイドカバー85と右サイドカバー86は、前記視界を制限する範囲を増減できるように可動支持されていることを特徴とする立体画像鑑賞装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の立体画像鑑賞装置において、
左ユニット80と右ユニット82の一方または双方に、頭部に直接または間接的に装着できるクリップを固定したことを特徴とする立体画像鑑賞装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−203411(P2011−203411A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69474(P2010−69474)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(599002559)株式会社タイドデザイン (4)
【Fターム(参考)】