説明

立体造形体

【課題】 本発明は、立体造形体に関し、別々のパターンのシート体から作られた複数の立体造形物を手早く、且つ、実用上支障のない程度にしっかりと連結し得る立体造形体を提供することを目的とする。
【解決手段】 シート状物を折り曲げて複数の立体造形物を形成し、これら複数の立体造形物の各々を連結手段によって連結して構成される一つの立体造形体を有し、前記連結手段は一方に多角形の抜き孔12を形成し、他方は前記抜き孔12の形状に相応する多角錐を形成すると共にこの多角錐には前記抜き孔12の角々近傍の内側に係合する係合片56、57、58、59、60を形成して立体造形体を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体造形体に関し、例えば、シート状物を折り曲げて形成される指人形のような立体造形体に係る。
【背景技術】
【0002】
シート状物を設定されている折り目どおりに折り曲げて立体造形体を形成する手法は包装箱などの分野でいろいろ考案されている。なお、関連する技術として、「折り紙式写真付き六面体」が特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2002−332162
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、複雑な形態の立体造形体を一つのパターンのシート体から作り上げるのは難しい。そこで、例えば、指人形を構成する場合、頭部と胴部とを別々のパターンのシート体から作り、これらを連結して作る方が易しい。ところが、連結手法が適切でないと、連結がしっかりせずに離れ易かったり、連結に伴う作業が面倒であったりすると云った不都合があった。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、別々のパターンのシート体から作られた複数の立体造形物を手早く、且つ、実用上支障のない程度にしっかりと連結し得る立体造形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために本発明では、以下のような構成を採用した。
すなわち、シート状物を折り曲げて複数の立体造形物を形成し、これら複数の立体造形物の各々を連結手段によって連結して構成される一つの立体造形体を有し、前記連結手段は一方に多角形の抜き孔を形成し、他方は前記抜き孔の形状に相応する多角錐を形成すると共に該多角錐には前記抜き孔の角々近傍の内側に係合する係合片を形成して立体造形体を構成する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の立体造形体は、製作が容易であり、複数の立体造形物の連結を手早に行うことができ、且つ、係合片の作用により複数の立体造形物の連結が離脱し難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら指人形を例に本発明の実施形態を説明する。
図1(a)は指人形の頭部を構成するためのパターンを示す平面図であり、図1(b)は指人形の胴部を構成するためのパターンを示す平面図である。材料は紙、厚紙、プラスチックフィルムその他のシート状物を用いることができる。
【0008】
図1(a)において、頭部片68の中央部には基片1を設けてあり、この基片1の下辺には下蓋部の一部となる台形状片2を連接させてある。さらに、この台形状片2の下辺は五角形の底面片3の一辺に連通しており、この底面片3の残りの各辺からは前記台形状片2と同様な台形状片4、5、6、7が延び出している。これらの台形状片4、5、6、7の先端部には舌片8、9、10、11をそれぞれ形成してある。そして、前記底面片3の中央部には五角形の抜き孔12を穿設してある。
【0009】
一方、前記基片1の上辺側にも同様の構成、即ち、台形状片13、14、15、16、17舌片18、19、20、21及び天面片22を形成してあり、この天面片には抜き孔を穿設していない。
【0010】
前記基片1の左右両側辺は側片 23、24、25、26に連通しており、これら側片23、24、25、26には代片27、28、29、30、31、32、33、34と切れ目35、36、37、38、39、40、41、42を形成してある。そして、前記側片25の左側辺には舌片43を形成してあり、前記側片26の右側辺には代片44と切り目45を形成してある。
【0011】
図1(b)において、略扇形の胴部片46は五つの区分片47、48、49、50、51に区分線52、53、54、55によって区分してあり、前記各区分線52、53、54、55の上方部は後記する係合片56、57、58、59、60が形成されるようやや段差を付けて切断線(段差部分から始まり上端に貫ける)61、62、63、64を設けてある。また、前記区分片51の右側辺には舌片65a、65bを形成してあり、前記区分片47の左側辺には前記舌片65a、65bを受け入れる切り目66a、66bを形成してあり、且つ、舌片67を形成してある。
【0012】
而して、指人形の胴部である立体造形物を形成するには、先ず、前記区分線52、53、54、55に従って前記胴部片46を折り曲げる。次に、前記舌片67の外面を前記区分片51の内面に当接させ、次いで、前記舌片65a、65bを前記切り目66a、66bに差し込む。こうすることによって五角錐の指人形の胴部が出来上がる。
【0013】
次に、指人形の頭部である立体造形物を形成するには、前記頭部片68の基片、側片及び代片44を除く各代片を隣接する境界部にて折り曲げる。次いで、前記代片44の外面を前記側片25の内面に当接させ、次に、前記舌片43を前記切り目45に差し込む。次いで、前記各台形状片を隣接する前記基片1及び前記底面片3若しくは前記天面片22の境界部にてそれぞれ折り曲げる。そして、前記舌片8を前記切れ目38に、前記舌片9を前記切れ目42に、前記舌片10を前記切れ目40に、前記舌片11を前記切れ目36に、前記舌片18を前記切れ目35に、前記舌片19を前記切れ目39に、前記舌片20を前記切れ目41に、前記舌片21を前記切れ目37にそれぞれ各代片の外面側から差し込む。このようにして五角筒の上に天面片を有する五角錐が、下に底面片を有する五角錐が位置する形態の指人形が出来上がる。
【0014】
指人形である立体造形体を形成するには、前記五角錐の指人形の胴部における先端部を前記指人形の頭部の前記抜き孔12に臨ませ、そのまま押し込む。すると、前記切断線61、62、63、64等の段差部が係合片56、57、58、59、60の役割を果たし、
これらが前記底面片3の内側に係合して、前記胴部が前記頭部から離脱し難くなり、連結手段の役を十分に果たすようになる。そして、連結に伴う作業時間はほとんど必要ないほどの短時間で済む。なお、出来上がった指人形は綿状に解繊した紙等を塗着してその上に絵の具で装飾模様を描いて人形らしく設えて利用する。指は前記五角錐の胴部の内部に挿入する。前記実施形態においては前記抜き孔12や前記胴部片46から作られる胴部の形状は五角(五角形、五角錐)としているが、四角、六角、七角、八角その他の多角にすることもできる。また、二つの立体造形物を連結して一つの立体造形体に構成する場合に限らず、三つ以上の複数の立体造形物を連結して一つの立体造形体に構成する場合であっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】

【図1】(a)は指人形の頭部を構成するためのパターンを示す平面図である。 (b)は指人形の胴部を構成するためのパターンを示す平面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 基片
2 台形状片
3 底面片
4 台形状片
5 台形状片
6 台形状片
7 台形状片
8 舌片
9 舌片
10 舌片
11 舌片
12 抜き孔
13 台形状片
14 台形状片
15 台形状片
16 台形状片
17 台形状片
18 舌片
19 舌片
20 舌片
21 舌片
22 天面片
23 側片
24 側片
25 側片
26 側片
27 代片
28 代片
29 代片
30 代片
31 代片
32 代片
33 代片
34 代片
35 切れ目
36 切れ目
37 切れ目
38 切れ目
39 切れ目
40 切れ目
41 切れ目
42 切れ目
43 舌片
44 代片
45 切り目
46 胴部片
47 区分片
48 区分片
49 区分片
50 区分片
51 区分片
52 区分線
53 区分線
54 区分線
55 区分線
56 係合片
57 係合片
58 係合片
59 係合片
60 係合片
61 切断線
62 切断線
63 切断線
64 切断線
65a 舌片
65b 舌片
66a 切り目
66b 切り目
67 舌片
68 頭部片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物を折り曲げて複数の立体造形物を形成し、これら複数の立体造形物の各々を連結手段によって連結して構成される一つの立体造形体を有し、前記連結手段は一方に多角形の抜き孔を形成し、他方は前記抜き孔の形状に相応する多角錐を形成すると共に該多角錐には前記抜き孔の角々近傍の内側に係合する係合片を形成してある立体造形体。

【図1】
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【公開番号】特開2006−187411(P2006−187411A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−673(P2005−673)
【出願日】平成17年1月5日(2005.1.5)
【出願人】(000108801)タマパック株式会社 (10)
【Fターム(参考)】