説明

立体駐車装置、制御装置及び制御方法

【課題】充電効率の向上を図ることができる立体駐車装置、制御装置、及びその制御方法を提供する。
【解決手段】立体駐車装置1では、電源10から駆動部8への給電量と充電器11からバッテリ14への給電量とを計測し、その総合給電量が電源10における設定量に達した場合に、電源10から充電器11への給電を停止する。つまり、パレット6の移動時であっても、総合給電量が電源10における設定量よりも小さい場合には、充電器11による電気自動車Vのバッテリ14への給電が続行される。そのため、パレット6が移動する度に充電が停止される従来の構成に比べて、充電時間を確保することができるので、充電効率の向上を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体駐車装置、制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駐車中の電気自動車のバッテリを充電可能な設備を備えた駐車場が知られている。例えば、特許文献1に記載の駐車場には、車両の駐車区画に充電用電源に接続された充電用端子が設けられている。そして、この駐車場に対応して設計された電気自動車においては、駐車区画に電気自動車が位置した際に電気自動車のキーがオフにされると、駐車区画の充電用端子に対応した位置に設けられた充電用端子が車両の底面から引き出される。これにより、電気自動車の駐車区画に設けられた充電用端子と電気自動車の充電用端子とが当接し、電気自動車のバッテリの充電が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−121407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、立体駐車装置にあっては、パレットを駆動するための駆動電源が必要となる。そのため、立体駐車装置に充電設備を設ける場合には、パレット駆動用の電源と充電用の電源とが必要とされるため、容量の大きい電源設備が必要となるといった問題が生じる。また、既存の立体駐車装置に充電用の電源設備を増設する場合には、設計の変更等が必要となるといった問題も生じる。そこで、従来の立体駐車装置では、パレットを移動させる駆動用電源の一部を充電用の電源として用いている。しかし、電源を共用しているため、その電源がパレットを駆動するための容量と充電のための容量とを負担することになり、既存の電源では電源容量が不足するおそれがある。そこで、従来の立体駐車装置では、パレットの移動時には電気自動車への充電を停止し、パレットが移動していないときにのみバッテリへの給電を行うことで、上記課題の解決を図っている。
【0005】
しかしながら、従来の立体駐車装置では、車両の入出庫作業が行われている間充電が停止されるため以下のような問題がある。すなわち、一回の入出庫作業では、指定したパレットが移動されて該パレットが入出庫面に位置し、車両が立体駐車装置から出庫又は入庫するまでの間充電が停止されるので、入出庫が頻繁に行われる場合には、その都度充電が中止されることになる。従って、充電時間を十分に確保することが困難となり、充電効率がよくないといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題解決のためになされたものであり、充電効率の向上を図ることができる立体駐車装置、制御装置、及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の立体駐車装置は、車両が載置されるパレットが移動可能に設けられた立体駐車装置であって、パレットを移動させる駆動部及びパレットに載置される電気自動車のバッテリを充電する充電器にそれぞれ給電する電源と、電源から駆動部及び充電器への給電を制御する制御装置とを備え、制御装置は、電源から駆動部への給電量を計測する第1計測手段と、充電器からバッテリへの給電量を計測する第2計測手段と、第1計測手段によって計測された駆動部への給電量と第2計測手段によって計測されたバッテリへの給電量とを合算した総合給電量が、電源において予め設定された設定量に達した場合に、電源から充電器への給電を停止する給電制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この立体駐車装置では、電源から駆動部への給電量と充電器からバッテリへの給電量とを計測し、その給電量を合算した総合給電量が電源における設定量に達した場合に、電源から充電器への給電を停止する。つまり、パレットの移動時であっても、総合給電量が電源における設定量よりも小さい場合には、充電器による電気自動車のバッテリへの給電が続行される。そのため、パレットが移動する度に充電が停止される従来の構成に比べて、充電時間を確保することができるので、充電効率の向上を図ることが可能となる。
【0009】
また、制御装置は、電気自動車のバッテリの充電残量を計測する充電残量計測手段を更に備え、給電制御手段は、充電対象となる電気自動車が複数ある場合に、充電残量計測手段によって計測された充電残量に基づいて、各電気自動車のバッテリが異なるタイミングで充電されるように電源から充電器への給電を制御することが好ましい。この場合には、充電対象となるバッテリが同時に充電されずに、それぞれ異なるタイミングで充電されるので、電源から充電器への給電量が一定量に保たれる。そのため、充電対象となる電気自動車が増えた場合であっても、総合給電量が増大しないため、充電時における電源の負荷を低減することができる。従って、電源から充電器への給電が停止されることを回避することができ、その結果、充電時間を十分に確保することができ、充電効率の更なる向上を図ることができる。
【0010】
また、給電制御手段は、各バッテリの充電残量に基づいて各電気自動車の給電順序を設定し、給電順序に応じて各バッテリが所定の充電時間で複数回に分けて充電されるように電源から充電器への給電を制御することが好ましい。この場合には、充電対象となるバッテリをまんべんなく充電することができる。
【0011】
また、給電制御手段は、各バッテリの充電残量に基づいて、各バッテリへの1回あたりの充電時間を設定することが好ましい。この場合には、例えば充電残量が少ないバッテリへの充電時間が長くなるように設定することにより、充電の必要度合いに応じて効果的に電気自動車のバッテリを充電することができる。
【0012】
また、給電制御手段は、各バッテリの充電残量の少ない順に給電順序を設定することが好ましい。この場合には、充電残量の少ないバッテリから充電されるので、充電の必要度合いに応じて効果的に電気自動車のバッテリを充電することができる。
【0013】
本発明は、上記のように立体駐車装置の発明として記述できる他に、以下のように制御装置及び制御方法の発明としても記述することができる。これはカテゴリが異なるだけで、実質的に同一の発明であり、同様の作用及び効果を奏する。
【0014】
すわなち、本発明に係る制御装置は、車両が載置されるパレットが移動可能に設けられると共に、パレットを移動させる駆動部及びパレットに載置される電気自動車のバッテリを充電する充電器にそれぞれ給電する電源を備えた立体駐車装置に設けられ、電源から駆動部及び充電器への給電を制御する制御装置であって、駆動電源から駆動部への給電量を計測する第1計測手段と、充電器からバッテリへの給電量を計測する第2計測手段と、第1計測手段によって計測された駆動部への給電量と第2計測手段によって計測されたバッテリへの給電量とを合算した総合給電量が、電源において予め設定された設定量に達した場合に、電源から充電器への給電を停止する給電制御手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、給電制御手段は、各バッテリの充電残量に基づいて各電気自動車の給電順序を設定し、給電順序に応じて各バッテリが所定の充電時間で複数回に分けて充電されるように電源から充電器への給電を制御することが好ましい。
【0016】
また、給電制御手段は、各バッテリの充電残量に基づいて、各バッテリへの1回あたりの充電時間を設定することが好ましい。
【0017】
また、給電制御手段は、各バッテリの充電残量の少ない順に給電順序を設定することが好ましい。
【0018】
また、本発明に係る制御方法は、車両が載置されるパレットが移動可能に設けられると共に、パレットを移動させる駆動部及びパレットに載置される電気自動車のバッテリを充電する充電器にそれぞれ給電する電源を備えた立体駐車装置に設けられ、電源から駆動部及び充電器への給電を制御する制御装置の制御方法であって、駆動電源から駆動部への給電量を計測する第1計測ステップと、充電器からバッテリへの給電量を計測する第2計測ステップと、第1計測ステップにおいて計測された駆動部への給電量と第2計測ステップにおいて計測されたバッテリへの給電量とを合算した総合給電量が、電源において予め設定された設定量に達した場合に、電源から充電器への給電を停止する給電制御ステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
また、電気自動車のバッテリの充電残量を計測する充電残量計測ステップを更に含み、給電制御ステップにおいて、充電対象となる電気自動車が複数ある場合に、充電残量計測ステップにおいて計測された充電残量に基づいて、各電気自動車のバッテリが異なるタイミングで充電されるように電源から充電器への給電を制御することが好ましい。
【0020】
また、給電制御ステップにおいて、各バッテリの充電残量に基づいて各電気自動車の給電順序を設定し、給電順序に応じて各バッテリが所定の充電時間で複数回に分けて充電されるように電源から充電器への給電を制御することが好ましい。
【0021】
また、給電制御ステップにおいて、各バッテリの充電残量に基づいて、各バッテリへの1回あたりの充電時間を設定することが好ましい。
【0022】
また、給電制御ステップにおいて、各バッテリの充電残量の少ない順に給電順序を設定することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、充電効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る立体駐車装置の正面図である。
【図2】図1に示す立体駐車装置の内部を概略的に示す斜視図である。
【図3】制御装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【図4】制御装置の電気回路図である。
【図5】各電気自動車における充電のタイムテーブルである。
【図6】制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】変形例に係る各電気自動車における充電のタイムテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る立体駐車装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る立体駐車装置を示す正面図である。立体駐車装置1は、自動車等の車両(電気自動車とも称する)Vが載置される複数のパレットが多段に配置されてなる立体駐車装置であり、昇降横行式の(後進乗り入れ型)多段立体駐車装置である。
【0027】
ここでの立体駐車装置1は、地上3段の3列構造を有しており、具体的には、地上面Gに位置する地上段2、最上位置の最上段3及び地上段2と最上段3との間に位置する中間段4を含む構造を有している。また、立体駐車装置1は、最上段3において車両Vを横並びにして3台駐車可能な3列(3連基)構造とされており、その結果、最大7台の車両Vを駐車し収容する。立体駐車装置1では、ゲート5が開かれ、地上段2に位置する車両Vが出庫される、或いは地上面Gから車両Vが入庫されることになる。なお、以下の説明では、立体駐車装置1において車両Vが入出する側を前側とし、車両Vが横並びに並ぶ方向を左右方向とし、高さ方向を上下方向(鉛直方向)として説明する。
【0028】
この立体駐車装置1は、車両Vが載置されるパレット6として、地上段パレット6a、中間段パレット6b及び最上段パレット6cを備えている。パレット6b,6cは、水平状態が維持されるように吊りチェーン(図示しない)で吊下支持されている。この吊りチェーンは、駆動部8(図3参照)に接続されてその巻き上げ及び巻き下げが可能とされている。これにより、パレット6b,6cは、昇降可能になっている。なお、パレット6a,6bの横行(スライド移動)機構は公知のものであり、詳細な説明を省略するが、例えば以下の通りである。パレット6a,6bは、左右方向に延在するガイドレールに車輪を介して支持されており、駆動部8の駆動によって車輪が回転されることで、ガイドレール上をこのガイドレールに沿って移動する。
【0029】
また、立体駐車装置1には、パレット6の動作等を指示するための操作盤7が設けられている。この操作盤7には、電源キースイッチ(図示しない)が設けられている。立体駐車装置1では、この立体駐車装置1専用のキーが操作盤7の電源キースイッチに挿し込まれて「オン」にされることにより、車両Vの入出庫ための動作が開始される。
【0030】
また、図2に示すように、立体駐車装置1は、駐車中の電気自動車Vのバッテリを充電するための充電設備を備えている。以下、立体駐車装置1の充電設備について説明する。図2に示すように、立体駐車装置1は、電源10と、充電器11と、コンセントボックス12と、制御装置13とを備えている。
【0031】
電源10は、外部の三相交流電源である。この電源10は、駆動部8(図3参照)及び充電器11に給電する。なお、電源10は、第1相がU、第2相がV、第3相がWとなっている(図4参照)。
【0032】
充電器11は、例えば立体駐車装置1の後方下部に設けられている。この充電器11は、電源10を電源として電気自動車Vのバッテリ14に給電する装置である。具体的には、充電器11は、電源10における三相交流電源(U,V,W)のうち二相(U,V)を取り出した電源を電源としている。なお、図2においては、充電器11を1台しか示していないが、立体駐車装置1には、後述するコンセントボックス12の設置数に応じた数の充電器が設けられている。
【0033】
コンセントボックス12は、パレット6の一端側における後端部に配置されている。このコンセントボックス12には、コンセント(図示しない)が収容されており、このコンセントには、接続ケーブルCKを介して充電器11が接続されている。また、コンセントボックス12には、内部に形成された収容空間を覆うようにカバー部15が開閉自在に設けられている。従って、立体駐車装置1においてバッテリ14を充電する際には、コンセントボックス12のカバー部15を開き、充電ケーブルKの一端部をコンセントボックス12内に収容されたコンセントに挿し込むと共に、充電ケーブルKの他端部を電気自動車Vの供給部に接続して、カバー部15を閉じる。このとき、充電ケーブルKは、カバー部15の下部に形成された隙間Dを介して収容空間から外部に取り出される。
【0034】
制御装置13は、電源10から駆動部8及び充電器11への給電の制御を行う装置である。この制御装置13は、図2に示すように、立体駐車装置1において、パレット6の後方側に配置されている。制御装置13の具体的な構成について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図2においては、制御装置13を1台しか示していないが、制御装置13は、1台で構成されてもよいし、複数台で構成されてもよい。
【0035】
図3は、制御装置の機能ブロックを示すブロック図である。また、図4は、制御装置の電気回路図である。図3に示すように、制御装置13は、給電判定部130と、第1計測部131と、第2計測部132と、給電制御部133と、充電残量計測部134と、充電制御部135とを備えている。この制御装置13には、電源10と、充電器11と、駆動部8とが接続されている。
【0036】
給電判定部130は、電源10から駆動部8へと給電されているか否かを判定する部分である。具体的には、給電判定部130は、操作盤7の電源キーのオン/オフ状態に基づいて、電源10から駆動部8に給電されているか否かを判定する。給電判定部130は、駆動部8に給電されていると判定、つまり操作盤7の電源キースイッチがオン状態の場合には、第1計測部131及び第2計測部132にその旨を示す給電信号を出力する。
【0037】
第1計測部131は、電源10から駆動部8への給電量を計測する部分である。第1計測部131は、給電判定部130から出力された給電信号を受け取ると、電源10から駆動部8への給電量を計測する。図4に示すように、第1計測部131は、スイッチSW1と駆動部8との間に設けられている。第1計測部131は、計測した給電量を示す第1給電量信号を給電制御部133に出力する。
【0038】
第2計測部132は、充電器11からバッテリ14への給電量を計測する部分である。第2計測部132は、給電判定部130から出力された給電信号を受け取ると、充電器11からバッテリ14への給電量、すなわち電源10から充電器11への給電量を計測する。図4に示すように、第2計測部132は、スイッチSW2と充電器11との間に設けられている。第2計測部132は、計測した給電量を示す第2給電量信号を給電制御部133に出力する。
【0039】
給電制御部133は、電源10から駆動部8及び充電器11への給電量を制御する部分である。給電制御部133は、第1計測部131から出力された第1給電量信号及び第2計測部132から出力された第2給電信号を受け取ると、第1給電量信号及び第2給電量信号が示す給電量に基づいて総合給電量を求める。そして、給電制御部133は、その総合給電量が電源10において予め設定された設定量(電源容量)に達している場合には、電源10から充電器11への給電を停止する。具体的には、図4に示すように、給電制御部133は、総合給電量が設定量に達した場合に、スイッチSW2をオフにする。
【0040】
また、給電制御部133は、第1計測部131から出力された第1給電量信号及び第2計測部132から出力された第2給電信号を受け取ると、第1給電量信号及び第2給電量信号が示す給電量に基づいて、駆動部8への給電とバッテリ14への給電量との差分が電源10における設定量に達している場合には、電源10から充電器11への給電を停止、或いは、電源10から駆動部8への給電及び電源10から充電器11への給電を停止する。
【0041】
充電残量計測部134は、充電器11に接続されたバッテリ14の充電残量を計測する部分である。充電残量計測部134は、立体駐車装置1において充電器11に接続された全ての電気自動車Vのバッテリ14の充電残量を計測する。充電残量計測部134は、計測した充電残量を示す充電残量信号を充電制御部135に出力する。
【0042】
充電制御部135は、充電器11における充電を制御する部分である。充電制御部135は、充電対象となるバッテリ14が異なるタイミングで充電されるように、つまり立体駐車装置1において充電されるバッテリ14が同時に充電されないように電源10から充電器11への給電を制御する。具体的には、充電制御部135は、充電残量計測部134から出力された充電残量信号を受け取ると、この充電残量信号に示される各バッテリ14の充電残量に基づいて給電を行う充電順序を設定し、この充電順序に応じて各バッテリ14が所定の充電時間で複数回に分けて充電されるように電源10から充電器11への給電を制御する。つまり、充電制御部135は、電源10から充電対象となるバッテリ14に接続された充電器11への給電を所定の充電時間で切り替える。
【0043】
具体的には、図5を参照しながら説明する。図5は、各電気自動車における充電のタイムテーブルである。図5では、電気自動車A,B,Cが充電を行う場合について説明する。図5に示すように、充電制御部135は、充電残量に基づいて例えば車両A、車両B、車両Cの順に充電順序を設定し、この充電順序に応じて例えば30分ずつ各車両A,B,Cのバッテリを充電するように制御する。そして、充電制御部135は、例えば車両Bにおいて充電が完了した場合には、充電残量に基づいて車両A、車両Cの順に充電順序を設定し、この充電順序に応じて30分ずつ車両A,Bのバッテリ14を充電するように制御する。
【0044】
駆動部8は、パレット6を移動させる部分である。この駆動部8は、例えばモータであり、制御装置13によって制御された電源10からの給電に応じて駆動する。
【0045】
続いて、立体駐車装置1における制御装置13の動作について説明する。図6は、制御装置の動作を示すフローチャートである。なお、以下、制御装置13の動作の説明においては、図4も参照しながら説明する。
【0046】
図6に示すように、まず電源10から駆動部8に給電されているか否かが給電判定部130によって判定される(ステップS01)。電源10から駆動部8に給電されていると判定された場合には、ステップS02に進む。一方、電源10から駆動部8に給電されていると判定されなかった場合には、ステップS05に進む。
【0047】
ステップS02では、電源10から駆動部8への給電量Bが第1計測部131によって測定される。そして、電源10から駆動部8へと給電している場合であっても、バッテリ14の充電に必要な所定の給電量(最大容量)を電源10が有しているか否かが判定される(ステップS03)。具体的には、電源10における設定量(電源容量)Aと第1計測部131によって計測された給電Bとの差分(A−B)が、バッテリ14を充電するのに必要な所定の給電量Dを最低限有しているか、つまりA−B>Dであるか否かが判定される。電源10において充電に必要な電源容量があると判定された場合には、ステップS05に進む。一方、電源10において充電に必要な電源容量があると判定されなかった場合には、充電器11からバッテリ14への給電が充電制御部135において停止される(ステップS04)。
【0048】
ステップS05では、充電器11に接続されているバッテリ14の充電残量が充電残量計測部134によって計測される。そして、計測された充電残量に基づいて、充電制御が充電制御部135によって行われる(ステップS06)。
【0049】
続いて、充電器11からバッテリ14への給電量が第2計測部133によって計測される(ステップS07)。そして、第1計測部131によって計測された電源10から駆動部8への給電量Bと、第2計測部132によって計測された充電器11からバッテリ14への給電量を合算した総合給電量Cが、電源10における設定量Aに達したか否か(A<B+C)が判定される(ステップS08)。総合給電量が設定量に達していると判定された場合には、ステップS04に進む。一方、総合給電量が設定量に達していると判定されなかった場合には、ステップS05の処理に戻る。
【0050】
以上説明したように、立体駐車装置1では、電源10から駆動部8への給電量と充電器11からバッテリ14への給電量とを計測(モニタリング)し、その総合給電量が電源10における設定量に達した場合に、電源10から充電器11への給電を停止する。つまり、パレット6の移動時であっても、総合給電量が電源10における設定量よりも小さい場合には、充電器11による電気自動車Vのバッテリ14への給電が続行される。そのため、パレット6が移動する度に充電が停止される従来の構成に比べて、充電時間を確保することができるので、充電効率の向上を図ることが可能となる。
【0051】
また、本実施形態では、制御装置13は、電気自動車Vのバッテリ14の充電残量を計測する充電残量計測部134を備え、充電制御部135は、充電対象となる電気自動車Vが複数ある場合に、充電残量計測部134によって計測された充電残量に基づいて、各電気自動車Vのバッテリ14が異なるタイミングで充電されるように電源10から充電器11への給電を制御する。より具体的には、充電制御部135は、各バッテリ14の充電残量に基づいて各電気自動車Vの給電順序を設定し、給電順序に応じて各バッテリ14が所定の充電時間で複数回に分けて充電されるように電源10から充電器11への給電を制御する。
【0052】
これにより、充電対象となるバッテリ14が同時に充電されずに、それぞれ異なるタイミングで充電されるので、電源10から充電器11への給電量が一定量に保たれる。そのため、充電対象となる電気自動車Vが増えた場合であっても、総合給電量が増大しないため、充電時における電源10の負荷を低減することができる。従って、電源10から充電器11への給電が停止されることを回避することができ、その結果、充電時間を十分に確保することができ、充電効率の更なる向上を図ることができる。また、所定の充電時間(例えば30分)で複数回に分けて充電するため、充電対象となるバッテリ14をまんべんなく充電することができる。
【0053】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、充電制御部135において、どのバッテリ14に対しても所定の充電時間(本実施形態では30分)で複数回に分けて充電しているが、1回の充電時間が各バッテリ14の充電残量に基づいてそれぞれ設定されてもよい。具体的には、図7を参照しながら説明する。
【0054】
図7は、変形例に係るバッテリにおける充電のタイムテーブルである。同図に示すように、例えば車両Aの充電残量が10%、車両Bの充電残量が50%、車両Cの充電残量が90%である場合、充電制御部135は、その充電残量に基づいて1回の充電時間を例えば車両Aは60分、車両Bは40分、車両Cは20分に設定する。このように、1回の充電時間を電気自動車のバッテリの充電残量に基づいて設定することにより、充電の必要度合いに応じて効果的に充電を行うことができる。
【0055】
また、上記実施形態に加えて、充電制御部135における充電順序は、充電残量の少ない順に設定されてもよい。このように、充電残量の少ない順にバッテリ14の充電を行うことで、充電の必要度合いに応じて効果的且つ効率よく充電することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…立体駐車装置、6…パレット、8…駆動部、10…電源、11…充電器、13…制御装置、14…バッテリ、131…第1計測部(第1計測手段)、132…第2計測部(第2計測手段)、133…給電制御部(給電制御手段)、134…充電残量計測部(充電残量計測手段)、135…充電制御部(給電制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が載置されるパレットが移動可能に設けられた立体駐車装置であって、
前記パレットを移動させる駆動部及び前記パレットに載置される電気自動車のバッテリを充電する充電器にそれぞれ給電する電源と、
前記電源から前記駆動部及び前記充電器への給電を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記電源から前記駆動部への給電量を計測する第1計測手段と、
前記充電器から前記バッテリへの給電量を計測する第2計測手段と、
前記第1計測手段によって計測された前記駆動部への給電量と前記第2計測手段によって計測された前記バッテリへの給電量とを合算した総合給電量が、前記電源において予め設定された設定量に達した場合に、前記電源から前記充電器への給電を停止する給電制御手段とを備えることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記電気自動車の前記バッテリの充電残量を計測する充電残量計測手段を更に備え、
前記給電制御手段は、充電対象となる電気自動車が複数ある場合に、前記充電残量計測手段によって計測された前記充電残量に基づいて、前記各電気自動車のバッテリが異なるタイミングで充電されるように前記電源から前記充電器への給電を制御することを特徴とする請求項1記載の立体駐車装置。
【請求項3】
前記給電制御手段は、前記各バッテリの充電残量に基づいて前記各電気自動車の給電順序を設定し、当該給電順序に応じて前記各バッテリが所定の充電時間で複数回に分けて充電されるように前記電源から前記充電器への給電を制御することを特徴とする請求項2記載の立体駐車装置。
【請求項4】
前記給電制御手段は、前記各バッテリの充電残量に基づいて、前記各バッテリへの1回あたりの充電時間を設定することを特徴とする請求項3記載の立体駐車装置。
【請求項5】
前記給電制御手段は、前記各バッテリの充電残量の少ない順に前記給電順序を設定することを特徴とする請求項3又は4記載の立体駐車装置。
【請求項6】
車両が載置されるパレットが移動可能に設けられると共に、前記パレットを移動させる駆動部及び前記パレットに載置される電気自動車のバッテリを充電する充電器にそれぞれ給電する電源を備えた立体駐車装置に設けられ、前記電源から前記駆動部及び前記充電器への給電を制御する制御装置であって、
前記駆動電源から前記駆動部への給電量を計測する第1計測手段と、
前記充電器から前記バッテリへの給電量を計測する第2計測手段と、
前記第1計測手段によって計測された前記駆動部への給電量と前記第2計測手段によって計測された前記バッテリへの給電量とを合算した総合給電量が、前記電源において予め設定された設定量に達した場合に、前記電源から前記充電器への給電を停止する給電制御手段とを備えることを特徴とする制御装置。
【請求項7】
前記電気自動車のバッテリの充電残量を計測する充電残量計測手段を更に備え、
前記給電制御手段は、充電対象となる電気自動車が複数ある場合に、前記充電残量計測手段によって計測された前記充電残量に基づいて、前記各電気自動車のバッテリが異なるタイミングで充電されるように前記電源から前記充電器への給電を制御することを特徴とする請求項6記載の制御装置。
【請求項8】
前記給電制御手段は、前記各バッテリの充電残量に基づいて前記各電気自動車の給電順序を設定し、当該給電順序に応じて前記各バッテリが所定の充電時間で複数回に分けて充電されるように前記電源から前記充電器への給電を制御することを特徴とする請求項7記載の制御装置。
【請求項9】
前記給電制御手段は、各バッテリの充電残量に基づいて、各バッテリへの1回あたりの充電時間を設定することを特徴とする請求項8記載の制御装置。
【請求項10】
前記給電制御手段は、前記各バッテリの充電残量の少ない順に前記給電順序を設定することを特徴とする請求項8又は9記載の制御装置。
【請求項11】
車両が載置されるパレットが移動可能に設けられると共に、前記パレットを移動させる駆動部及び前記パレットに載置される電気自動車のバッテリを充電する充電器にそれぞれ給電する電源を備えた立体駐車装置に設けられ、前記電源から前記駆動部及び前記充電器への給電を制御する制御装置の制御方法であって、
前記駆動電源から前記駆動部への給電量を計測する第1計測ステップと、
前記充電器から前記バッテリへの給電量を計測する第2計測ステップと、
前記第1計測ステップにおいて計測された前記駆動部への給電量と前記第2計測ステップにおいて計測された前記バッテリへの給電量とを合算した総合給電量が、前記電源において予め設定された設定量に達した場合に、前記電源から前記充電器への給電を停止する給電制御ステップとを含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
前記電気自動車のバッテリの充電残量を計測する充電残量計測ステップを更に含み、
前記給電制御ステップにおいて、充電対象となる電気自動車が複数ある場合に、前記充電残量計測ステップにおいて計測された前記充電残量に基づいて、前記各電気自動車のバッテリが異なるタイミングで充電されるように前記電源から前記充電器への給電を制御することを特徴とする請求項11記載の制御方法。
【請求項13】
前記給電制御ステップにおいて、前記各バッテリの充電残量に基づいて前記各電気自動車の給電順序を設定し、当該給電順序に応じて前記各バッテリが所定の充電時間で複数回に分けて充電されるように前記電源から前記充電器への給電を制御することを特徴とする請求項12記載の制御方法。
【請求項14】
前記給電制御ステップにおいて、各バッテリの充電残量に基づいて、各バッテリへの1回あたりの充電時間を設定することを特徴とする請求項13記載の制御方法。
【請求項15】
前記給電制御ステップにおいて、前記各バッテリの充電残量の少ない順に前記給電順序を設定することを特徴とする請求項13又は14記載の制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−99260(P2011−99260A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255083(P2009−255083)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】