説明

立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置

【課題】装置内部で急結性セメント材料が固まり難い急結性セメント材料の吹き付け装置を提供すること。
【解決手段】立坑内に支持した非回転性基板14の下面に回転可能に軸支された回転分配部材15、但し、回転分配部材には、ペースト状セメント材料受容分配環状溝21a、気体受容分配環状溝22a、及び急結剤受容分配環状溝23aが設けられ、各環状溝は排出口を備える;上記各排出口に接続する下流側の供給管21c、22c、23c;前記各供給管の末端部近傍に形成され、急結剤供給気体流を形成してペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;合流構造の下流側に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段;そして前記各環状溝に接する非回転性基板の表面部位に設けた開口部に下側端部が接続する上流側ペースト状セメント材料供給管21e、上流側気体供給管22e、及び上流側急結剤供給管23eを含む立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立坑内壁に急結性セメント材料を吹き付ける際に使用する回転吹き付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋脚や送電鉄塔のような建造物は、それ自体の重量が非常に大きく、かつ垂直方向のみならず、平面方向や斜め方向にも大きな力が掛かることがあることから、通常は、それらの重量や力を確実に支えるために、地中に頑丈な基礎を設けて、その上に設立される。このような橋脚や送電鉄塔の基礎は、一般に地中に10〜100メートルに達する深さの立坑を形成し、その立坑の内壁にセメント材料を吹き付けて立坑を補強した後、その立坑の内部にて鉄筋などを用いて基礎構造を組み立て、次いで立坑の内部に基礎構造を埋め込むように生コンクリートを流し込み、最後に生コンクリートを固化させることにより形成される。
【0003】
ただし、10メートルを超える立坑を連続的な掘削により形成することは、掘削途中での立坑の内壁表面の崩落の発生を考慮すると容易ではない。このため、通常は、まず地表面から2メートル程度の単位深さまでの掘削を行なった後、内壁表面にセメント材料を吹き付けて土留めを施す初期操作を行ない、次に同様な単位深さまでの掘削とセメント材料による内壁表面の土留めを行なう単位操作を繰り返し行なうことにより所定の深さの立坑を形成する方法が採用されている。
【0004】
なお、上記の方法での立坑の内壁表面の土留めに用いられるセメント材料としては、通常は垂直面として形成される内壁表面への吹き付け後の素速い固化を発現させるために、通常は、急結剤と呼ばれる化学成分が添加される。
【0005】
以前から、上記の立坑内の内壁表面へのセメント材料の吹き付け作業は、立坑内に降りた作業員によって、セメント材料と急結剤との混合器を備えたスプレー装置を用いて行なわれてきた。しかしながら、立坑内でのセメント材料の吹き付け作業は、作業環境が悪く、かつ危険を伴なうこともあるため、立坑内の内壁表面へのセメント材料の吹き付け作業を機械装置を用いて行なうことの試みがこれまでになされており、既に数件の特許出願がなされている。
【0006】
特許文献1には、立坑の中心に位置するように懸下した本体の下部に回転自在の吹き付けノズルを配置させ、この吹き付けノズルを回転させながらセメント材料を立坑内壁表面に吹き付ける装置を利用する土留め装置が開示されている。この吹き付けノズルへのセメント材料の給送は、地上に設置したセメント材料圧送装置から供給管を介して行なわれる。ただし、この土留め装置には、セメント材料への急結剤の添加のための装置が備えられていないため、セメント材料への急結剤の添加は、地上に設置したセメント材料圧送装置の内部で行なわなければならない。このため、形成途中の立坑が浅い間はともかく、立坑が深くなった場合には、セメント材料が供給管内で固化することから、深い立坑の土留めに利用することはできない。
【0007】
特許文献2には、立坑の中心に位置するよう移動させることができる支持枠の下部に回転自在の吹き付けノズルを配置させ、この吹き付けノズルを回転させながらセメント材料を立坑内壁表面に吹き付けるコンクリート自動吹付装置が開示されている。この吹き付けノズルへのセメント材料の給送も、地上から供給管を介して行なわれる。しかしながら、このセメント材料供給管および吹き付けノズルのいずれに関しても、セメント材料への急結剤の添加のための装置あるいは機構の説明がないことから、セメント材料への急結剤の添加は、地上に設置したセメント材料供給装置内で行なうものと理解される。従って、特許文献1に記載の土留め装置と同様に、形成途中の立坑が浅い間はともかく、立坑が深くなった場合には、セメント材料が供給管内で固化することから、深い立坑の土留めに利用することはできない。
【0008】
特許文献3にも、立坑の中心に位置するように懸下した本体の下部に回転自在の吹き付けノズルを配置させ、この吹き付けノズルを回転させながらセメント材料を立坑内壁表面に吹き付ける装置を利用する土留め装置が開示されている。この吹き付けノズルへのセメント材料の給送も、地上から供給管を介して行なわれる。しかしながら、このセメント材料供給管および吹き付けノズルのいずれにも、セメント材料への急結剤の添加のための装置が備えられていないため、セメント材料への急結剤の添加は、地上に設置したセメント材料供給装置内で行なわなければならない。従って、特許文献1に記載の土留め装置と同様に、形成途中の立坑が浅い間はともかく、立坑が深くなった場合には、セメント材料が供給管内で固化することから、深い立坑の土留めに利用することはできない。
【0009】
特許文献4、5及び6には、吹き付けノズルを使用することなく、立坑の内壁表面に土留めを形成するライニング装置が開示されている。このライニング装置は、立坑の内部に土留め材料を収容したタンクを吊るし、このタンクの下方に配置した急結剤供給装置から急結剤を土留め材料に添加したのち、これを高速回転するインペラの遠心力を利用して、土留め材料へのライニング直前での急結剤の添加と立坑内壁表面への土留め材料の吹き付けを実現している。従って、このライニング装置では、土留め材料による内壁表面のライニング以前の土留め材料の固化は回避できる。しかしながら、このライニング装置には、土留め材料を収容するタンクを立坑内部に吊り下ろす必要があるため、直径の小さな立坑の形成に利用するのが困難であり、また重量の大きなセメント材料収容タンクを吊り下げながらの降下と停止を可能とするための大型クレーンの使用が必要になるとの問題がある。さらに、タンクに収容したセメント材料がなくなった場合には、ライニング装置を一旦地上に戻して、タンクにセメント材料を補給し、あらためて立坑の内部に下ろす作業が必要となるという問題がある。また、高速回転するインペラによる吹き付けにより、セメント材料は同一深さの内壁表面に均一に付与されるため内壁表面の状態を考慮したセメント材料の吹き付けの調節ができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭62−16195号公報
【特許文献2】特開平5−263525号公報(第1図)
【特許文献3】特開平6−221082号公報(第1図及び第5図)
【特許文献4】特開平8−246475号公報(第1図及び第2図)
【特許文献5】特開平9−125863号公報(第1図及び第2図)
【特許文献6】特開平9−125864号公報(第1図及び第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、ペースト状セメント材料と急結剤とを、吹き付けノズル(吹き付け手段)に供給する直前に接触そして混合させて急結性セメント材料を形成することができ、このため吹き付け以前の装置内部での急結性セメント材料の固化を回避することを可能にし、そして比較的に小さな形状で、かつ過大な重量とならない、立坑内壁への急結性セメント材料の回転吹き付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、急結性セメント材料の吹き付けに必要なペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のそれぞれを供給する上流側の各供給管のうちの少なくとも二つを、分配部材に形成した各環状溝と、各環状溝に接続する下流側の各供給管とを介して吹き付けノズル(吹き付け手段)に接続し、この下流側の各供給管を吹き付けノズルと共に回転可能とすることにより、上流側の各供給管(あるいは下流側の各供給管)に、各供給管が互いに交差するような大きな捩れを生じさせることなく、ペースト状セメント材料と急結剤とを吹き付けノズルに供給する直前に接触そして混合させて急結性セメント材料を形成することが可能になり、このため吹き付けノズルの内部で急結性セメント材料が固まり難い吹き付け装置の提供が可能になることを見出し、本発明に到達した。
【0013】
本発明は、下記の構成を有する立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置(以下、「第1の構成の吹き付け装置」とも云う)にある:立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑の周辺、立坑内壁および/または立坑底部に固定された固定手段により、直接的あるいは間接的に支持固定された非回転性基板;前記基板の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された回転分配部材、ただし、回転分配部材には、少なくともペースト状セメント材料受容分配環状溝、気体受容分配環状溝、及び急結剤受容分配環状溝が、上面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を上記非回転性基板の下面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、受容したペースト状セメント材料、気体、または急結剤の分配用の排出口が備えられている;前記非回転性基板に備えられた、回転分配部材の回転を駆動する回転駆動部材;上記回転分配部材の各環状溝に備えられた排出口のそれぞれに接続する下流側ペースト状セメント材料供給管、下流側気体供給管、そして下流側急結剤供給管;下流側セメント材料供給管、下流側気体供給管、そして下流側急結剤供給管のそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側ペースト状セメント材料供給管に送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;前記合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、急結性セメント材料吹き付け手段は、前記回転分配部材に連結している;前記回転分配部材の各環状溝に接する非回転性基板の表面部位に設けられた開口部;および前記開口部のそれぞれに下側端部が接続する上流側ペースト状セメント材料供給管、上流側気体供給管、そして上流側急結剤供給管。
【0014】
本発明はまた、下記の構成を有する立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置(以下、「第2の構成の吹き付け装置」とも云う)にもある:立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑の周辺、立坑内壁および/または立坑底部に固定された固定手段により、直接的あるいは間接的に支持固定された非回転性分配部材、ただし、非回転性分配部材には、少なくともペースト状セメント材料受容分配環状溝、気体受容分配環状溝、及び急結剤受容分配環状溝が、下面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を下記回転基板の上面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、ペースト状セメント材料、気体、または急結剤の受容用の供給口が備えられている;非回転性分配部材の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された回転基板;前記非回転性分配部材に備えられた、回転基板の回転を駆動する回転駆動部材;前記非回転性分配部材の各環状溝に接する回転基板の表面部位に設けられた開口部;前記開口部のそれぞれに接続する下流側ペースト状セメント材料供給管、下流側気体供給管、そして下流側急結剤供給管;下流側セメント材料供給管、下流側気体供給管、そして下流側急結剤供給管のそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側ペースト状セメント材料供給管に送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;前記合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、急結性セメント材料吹き付け手段は、前記回転基板に連結している;および前記非回転性分配部材の各環状溝に備えられた供給口のそれぞれに下側端部が接続する上流側ペースト状セメント材料供給管、上流側気体供給管、そして上流側急結剤供給管。
【0015】
本発明はまた、下記の構成を有する立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置(以下、「第3の構成の吹き付け装置」とも云う)にもある:立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑の周辺、立坑内壁および/または立坑底部に固定された固定手段により、直接的あるいは間接的に支持固定された下面中央に管状軸体を備える非回転性基板;前記基板の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように上記管状軸体により軸支された回転分配部材、ただし、回転分配部材には、少なくともペースト状セメント材料、気体、及び急結剤の内の二つを受容分配する少なくとも二本の環状溝が、上面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を上記非回転性基板の下面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、受容したペースト状セメント材料、気体、または急結剤の分配用の排出口が備えられている;前記非回転性基板に備えられた、回転分配部材の回転を駆動する回転駆動部材;上記管状軸体の下側端部に回転自在に接続する下流側流体供給管と上記回転分配部材の各環状溝に備えられた排出口のそれぞれに接続する下流側流体供給管、ただし、これらの合計三本の下流側流体供給管のそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する;上記三本の下流側流体供給管のそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側流体供給管に送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;前記合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、急結性セメント材料吹き付け手段は、前記回転分配部材に連結している;前記回転分配部材の各環状溝に接する非回転性基板の表面部位に設けられた開口部;および前記管状軸体の上面開口部、そして非回転性基板の開口部のそれぞれに下側端部が接続する合計で三本の上流側流体供給管、ただし、上流側流体供給管のそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する。
【0016】
本発明はまた、下記の構成を有する立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置(以下、「第4の構成の吹き付け装置」とも云う)にもある:立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑の周辺、立坑内壁および/または立坑底部に固定された固定手段により、直接的あるいは間接的に支持固定された非回転性分配部材、ただし、非回転性分配部材には、少なくともペースト状セメント材料、気体、及び急結剤の内の二つを受容分配する少なくとも二本の環状溝が、下面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を下記回転基板の上面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、ペースト状セメント材料、気体、または急結剤の受容用の供給口が備えられている;非回転性分配部材の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された上面中央に管状軸体を備える回転基板;前記非回転性分配部材に備えられた、回転基板の回転を駆動する回転駆動部材;前記非回転性分配部材の各環状溝に接する回転基板の表面部位に設けられた開口部;前記管状軸体の下面開口部、そして回転基板の開口部のそれぞれに接続する下流側流体供給管、ただし、これらの合計三本の下流側流体供給管のそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する;上記三本の下流側流体供給管のそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側流体供給管に送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;前記合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、急結性セメント材料吹き付け手段は、前記回転基板に連結している;および前記管状軸体が下側端部に回転自在に接続されている上流側流体供給管と上記非回転性分配部材の各管状溝に備えられた供給口のそれぞれに下側端部が接続する上流側流体供給管、ただし、これらの合計で三本の上流側流体供給管のそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の吹き付け装置は、ペースト状セメント材料と急結剤とを、吹き付けノズル(吹き付け手段)に供給する直前に接触そして混合させて急結性セメント材料を形成することができるため、吹き付けノズルの内部で急結性セメント材料が固まり難い。本発明の吹き付け装置を用いることにより、作業員の手作業による吹き付けの機械化が可能になり、従って立坑を極めて安全に形成することが可能になる。本発明の吹き付け装置はまた、ペースト状セメント材料供給装置、気体圧縮装置、そして急結剤供給装置を立坑の周辺に配置することにより、立坑内に配置する装置部分を容易に小型化あるいは軽量化することができるため、例えば、直径の小さな立坑、あるいは周辺に大型クレーンの設置スペースの確保が難しい立坑の内壁に土留めを形成する際に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第1の構成の吹き付け装置)の構成例とその使用の態様とを示す図である。
【図2】図1に示す吹き付け装置10を拡大して示す斜視図である。
【図3】図2に示す吹き付け装置10の回転分配部材15の近傍の部位の分解斜視図である。但し、図1及び図2に示すシリンダ(非回転軸)34のロッド34b、そして図4及び図5に示すOリング41a、41b、41c、41dは記入していない。
【図4】図3に記入した切断先VI−VI線に沿って切断した回転分配部材15の近傍の部位の断面図である。
【図5】図4に示す回転分配部材15の平面図である。
【図6】本発明の急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第2の構成の吹き付け装置)の非回転性分配部材の近傍の部位の構成例を示す断面図である。
【図7】本発明の急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第3の構成の吹き付け装置)の回転分配部材の近傍の部位の構成例を示す断面図である。
【図8】本発明の急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第4の構成の吹き付け装置)の非回転性分配部材の近傍の部位の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、本発明の立坑内壁への急結性セメント材料の回転吹き付け装置、すなわち第1〜第4の構成の吹き付け装置の代表的な実施態様について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の立坑内壁への急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第1の構成の吹き付け装置)の構成例とその使用の態様とを示す図である。図2は、図1に示す吹き付け装置10を拡大して示す斜視図である。図3は、図2に示す吹き付け装置10の回転分配部材15の近傍の部位の分解斜視図である。図4は、図3に記入した切断先VI−VI線に沿って切断した回転分配部材15の近傍の部位の断面図である。そして図5は、図4に示す回転分配部材15の平面図である。
【0021】
図1〜図5に示す急結性セメント材料の回転吹き付け装置10は、下記の構成を有している:立坑11の内部に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑11の内壁に固定された固定手段12により、間接的に(非回転軸34を介して)支持固定された非回転性基板14;基板14の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された回転分配部材15、ただし、回転分配部材15には、少なくともペースト状セメント材料受容分配環状溝21a、気体受容分配環状溝22a、及び急結剤受容分配環状溝23aが、上面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を非回転性基板14の下面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、受容したペースト状セメント材料、気体、または急結剤の分配用の排出口21b、22b、23bが備えられている;非回転性基板14に備えられた、回転分配部材15の回転を駆動する回転駆動部材16;回転分配部材15の各環状溝に備えられた排出口21b、22b、23bのそれぞれに接続する下流側ペースト状セメント材料供給管21c、下流側気体供給管22c、そして下流側急結剤供給管23c;下流側セメント材料供給管21c、下流側気体供給管22c、そして下流側急結剤供給管23cのそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側ペースト状セメント材料供給管21cに送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造17;合流構造17の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段18、ただし、急結性セメント材料吹き付け手段18は、回転分配部材15に連結している;回転分配部材15の各環状溝に接する非回転性基板14の表面部位に設けられた開口部21d、22d、23d;および開口部21d、22d、23dのそれぞれに下側端部が接続する上流側ペースト状セメント材料供給管21e、上流側気体供給管22e、そして上流側急結剤供給管23e。
【0022】
固定手段12は、シリンダ(例、油圧シリンダ)42を四つ備えていて、各シリンダ42のロッド(ピストン)42aを立坑11の内壁に向けて伸ばして突っ張ることにより、立坑11の内壁に固定されている。
【0023】
立坑11の内部には、非回転性基板14が、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、上記固定手段12によって間接的に(非回転軸34を介して)支持固定されている。
【0024】
非回転性基板14が、上記の「水平方向での180度以上の回転ができない」との条件を満足すると、その上面に接続している供給管21e、22e、23eに各供給管が互いに交差するような大きな捩れを生じることはない。すなわち、非回転性基板14は、上記供給管21e、22e、23eに各供給管が互いに交差するような大きな捩れを生じることのない角度、すなわち180度未満の角度であれば回転してもよい。例えば、固定手段12が、上記のシリンダ42を用いることなく、ワイヤ46を介してクレーン車52によって吊り下げられて立坑11の周辺(立坑11の開口部の周りの地面)に固定されている場合、非回転性基板14は、クレーン車52に吊り下げられた状態のまま、180度未満の角度であれば水平方向に回転してもよい。
【0025】
回転分配部材15は、非回転性基板14の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支されている。
【0026】
回転分配部材15は、非回転性基板14の下面に固定された管状軸体51の周囲に、例えば、合計で3個の回転軸受43a、43b、43cを介して回転可能に装着されていて、これにより水平方向での360度を超える回転が可能とされている。
【0027】
回転軸受43a、43cのそれぞれとしては、公知の単列深溝球軸受が、そして回転軸受43bとしては、公知の自動調心ころ軸受が用いられている。単列深溝球軸受と自動調心ころ軸受とを組み合わせて使用することにより、スラスト方向(垂直方向)あるいはラジアル方向(水平方向)に大きな荷重が加わった場合であっても、回転分配部材15を円滑に回転させることが可能になる。
【0028】
回転分配部材15の水平方向での360度を超える回転を可能とすることにより、回転分配部材15と共に回転する吹き付け手段18を用いて、立坑11の内壁の周方向の全体に急結性セメント材料を吹き付けることが可能になる。なお、例えば、非回転性基板14が90度の角度まで回転可能とされている場合には、回転分配部材15を非回転性基板14に対して270度を超える角度で回転可能とすることにより、回転分配部材15の水平方向での360度を超える回転が可能になる。
【0029】
回転分配部材15には、少なくともペースト状セメント材料受容分配環状溝21a、気体受容分配環状溝22a、及び急結剤受容分配環状溝23aが、上面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を非回転性基板14の下面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられている。
【0030】
回転分配部材15の環状溝21a、22a、23aのそれぞれを気密状態に維持するため、各環状溝の外周側の隔壁及び内周側の隔壁は、それぞれ上端面(非回転性基板14の側の面)に、封止部材として、例えば、Oリングを備えている。
【0031】
環状溝21aは、その外周側の隔壁のOリング41a及び内周側の隔壁のOリング41bにより、環状溝22aは、その外周側の隔壁のOリング41b及び内周側の隔壁のOリング41cにより、そして環状溝23aは、その外周側の隔壁のOリング41c及び内周側の隔壁のOリング41dにより、それぞれ気密状態に維持されている。
【0032】
なお、前記の「気密状態」とは、環状溝21a、22a、23aのそれぞれに分配された材料(気体のみでなく、ペースト状セメント材料や急結剤のような流体を含む)が、非回転性基板14と回転分配部材15の間から外部に流出(但し、急結性セメント材料の吹き付けに問題を生じさせない微量の流出は除く)しない状態を意味する。
【0033】
環状溝21aには、受容したペースト状セメント材料の分配用の排出口21bが、環状溝22aには、受容した気体の分配用の排出口22bが、そして環状溝23aには、受容した急結剤の分配用の排出口23bが備えられている。
【0034】
回転分配部材15は外周面に複数の歯を備えている。非回転性基板14には、回転分配部材15の歯と噛み合う歯を外周面に備える回転駆動部材(代表例、歯車)16が備えられている。回転駆動部材16は、非回転性基板14に設置された回転駆動手段(代表例、モータ)44に接続されている。回転駆動手段44を作動させて回転駆動部材16を回転させることにより、回転分配部材15を回転駆動することができる。
【0035】
回転分配部材15の排出口21b、22b、23bのそれぞれには、下流側ペースト状セメント材料供給管21c、下流側気体供給管22c、そして下流側急結剤供給管23cが接続される。
【0036】
下流側セメント材料供給管21c、下流側気体供給管22c、そして下流側急結剤供給管23cのそれぞれの末端部近傍には、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側ペースト状セメント材料供給管21cに送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造17が形成されている。
【0037】
合流構造17は、下流側気体供給管22c及び下流側急結剤供給管23cのそれぞれの末端部近傍に形成された合流構造17aと、合流構造17aの下流側の供給管24及び下流側ペースト状セメント材料供給管21cのそれぞれの末端部近傍に形成された合流構造17bとから構成されている。
【0038】
合流構造17aにおいては、供給管22cに送られる気体(代表例、圧縮空気)中に、供給管23cに送られる急結剤(代表例、液状の急結剤)が噴射され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流が形成される。続く合流構造17bにおいては、供給管21cに送られるペースト状セメント材料中に、上記の急結剤供給気体流が噴射され、これによりペースト状セメント材料と急結剤とが互いに接触そして混合されて急結性セメント材料が形成される。
【0039】
合流構造17の下流側かつ近接する位置には、急結性セメント材料吹き付け手段18が備えられている。吹き付け手段18は、支持板25を介して回転分配部材15に連結され、回転分配部材15と共に回転可能とされている。
【0040】
なお、前記の合流構造17と吹き付け手段18とが一体となった吹き付け具として、従来より作業員が手作業で吹き付けを行なう際に使用されている公知の吹き付け具を用いることができる。
【0041】
回転分配部材15の各環状溝に接する非回転性基板14の表面部位には、開口部21d、22d、23dが設けられていて、そして各開口部には、上流側ペースト状セメント材料供給管21e、上流側気体供給管22e、そして上流側急結剤供給管23eの下側端部が接続されている。
【0042】
第1の構成の吹き付け装置では、急結性セメント材料の吹き付けに必要なペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のそれぞれを供給する上流側の供給管21e、22e、23eが、それぞれ回転分配部材15の環状溝21a、22a、23a、そして各環状溝に接続する下流側の供給管21c、22c、23cを介して吹き付け手段18に接続されていて、そして下流側の供給管21c、22c、23cが吹き付け手段18と共に回転可能とされている。
【0043】
これにより、上流側の各供給管(あるいは下流側の各供給管)に、各供給管が互いに交差するような大きな捩れを生じさせることなく、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のそれぞれを、立坑内にて回転する吹き付け手段(吹き付けノズル)に供給する直前に接触そして混合させて急結性セメント材料を形成することが可能になり、このため吹き付け手段の内部において急結性セメント材料が固まり難くなる。
【0044】
より詳細には、吹き付け手段の回転の中心の位置よりも外周側の位置、すなわち吹き付け手段の先端開口部に近い位置においてペースト状セメント材料と急結剤とを接触そして混合させて急結性セメント材料を形成することが可能になるため、吹き付け手段の内部において急結性セメント材料が固まり難くなる。
【0045】
本発明の吹き付け装置は、吹き付け手段の内部で急結性セメントが固まり難い実用的なものであるため、作業員の手作業による吹き付けの機械化を可能とし、従って立坑の極めて安全な形成を可能にする。
【0046】
第1の構成の吹き付け装置10において、上流側ペースト状セメント材料供給管21e、上流側気体供給管22e、そして上流側急結剤供給管23eのそれぞれの上流側末端は、それぞれ立坑の周辺に配置されたペースト状セメント材料供給装置31、気体圧縮装置32、そして急結剤供給装置33に接続していることが好ましい。
【0047】
ペースト状セメント材料供給装置31、気体圧縮装置32、そして急結剤供給装置33を立坑11の周辺に配置することにより、立坑内に配置する装置部分を容易に小型化あるいは軽量化することができる。このため、吹き付け装置10を用いて、例えば、直径の小さな立坑、あるいは周辺に大型クレーンの設置スペースの確保が難しい立坑の内壁に土留めを形成することが可能になる。
【0048】
また、非回転性基板14は、立坑11の内壁に固定された固定手段12に軸支された非回転軸34により固定されていることが好ましい。
【0049】
これにより、非回転性基板14が周方向に回転することができなくなる。従って、立坑内壁の周方向において吹き付けが行なわれる位置を、非回転性基板14の回転の角度を考慮することなく、回転分配部材15の回転の角度の設定により簡単に調節することが可能になる。
【0050】
図2に示すように、非回転軸34としては、固定手段12のプレート12aの開口部12bに昇降可能に嵌め合わされたシリンダ本体34aと、シリンダ本体に備えられた伸縮可能なロッド(ピストン)34bとを備えるシリンダを用いることが好ましい。
【0051】
上記シリンダ(非回転軸)34のロッド34bを伸縮することにより、プレート12aの開口部12bに嵌め合わされたシリンダ本体34aが昇降する。従って、シリンダ本体34aの下側端部に固定された非回転性基板14を回転分配部材15及び吹き付け手段18と共に昇降させることが可能になる。
【0052】
立坑11の内壁への土留めの形成は、次のようにして行なわれる。
【0053】
先ず、吹き付け装置10の頂部のワイヤ46に、クレーン車52のフック52aを引っ掛ける。次いで、クレーン車52により吹き付け装置10を吊り上げる。このとき、非回転軸34のシリンダ本体34aが、固定手段12のプレート12aの開口部12bの内部にて上昇する。このため、非回転性基板14が、プレート12aに向かって移動する。この際、非回転性基板14に設置された回転駆動手段44がプレート12aに衝突して破損しないように、プレート12aの下面の四隅にはストッパ12cが備えられている。
【0054】
次に、クレーン車52を操作して、吹き付け手段10を、単位深さ(例えば、2m)にて掘削を行なった立坑の内部に吊り下げる。そして、固定手段12を、各シリンダ42のロッド42aを立坑11の内壁に向かって伸ばして突っ張ることにより立坑の内壁に固定する。
【0055】
そしてクレーン車52の操作を続け、非回転軸34を、非回転性基板14、回転分配部材15、そして吹き付け手段18と共に、非回転軸(シリンダ)34のロッド34bが立坑11の底部に接触するまで下降させたのち、フック52aをワイヤ46から取り外して上昇させる。このようにして、吹き付け装置10を立坑11の内部に設置する。
【0056】
吹き付け装置10を立坑内に設置したのち、回転駆動手段44を作動させて回転駆動部材16を回転させ、これにより回転分配部材15を吹き付け手段18と共に回転駆動する。なお、上記の回転駆動手段44としては、例えば、油圧モータが用いられ、その油圧発生装置53は、立坑11の周辺に設置されている。
【0057】
その一方で、ペースト状セメント材料供給装置31を作動させることにより、ペースト状セメント材料(代表例、モルタル)を供給管21eに、気体圧縮装置32を作動させることにより、気体(代表例、圧縮空気)を供給管22eに、そして急結剤供給装置33を作動させることにより、急結剤(代表例、アルカリ金属アルミン酸を含有する市販の液状急結剤)を供給管23eに、それぞれ供給する。
【0058】
上記のペースト状セメント材料は、非回転性基板14の開口部21dを通って回転分配部材15の環状溝21aに、気体は開口部22dを通って環状溝22aに、そして急結剤は開口部23dを通って環状溝23aに、それぞれ流れ込む。
【0059】
次いで、ペースト状セメント材料は、環状溝21aの排出口21bを通って下流側ペースト状セメント材料供給管21cに、気体は、環状溝22aの排出口22bを通って下流側気体供給管22cに、そして急結剤は、環状溝23aの排出口23bを通って下流側急結剤供給管23cに、それぞれ流れ込む。
【0060】
そして、前記の合流構造17aにおいて、供給管22cを流れる気体中に、供給管23cを流れる急結剤が噴射され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流が形成される。そして続く合流構造17bにおいて、供給管21cを流れるペースト状セメント材料中に、上記の急結剤供給気体流が噴射され、これによりペースト状セメント材料と急結剤とが互いに接触そして混合されて急結性セメント材料が形成される。
【0061】
形成された急結性セメント材料は、上記の気体(代表例、圧縮空気)と共に回転する吹き付け手段18の先端開口部から噴き出し、立坑11の内壁の周方向に均一に吹き付けられる。
【0062】
立坑11の内壁の周方向に急結性セメント材料を均一に吹き付けたのち、シリンダ(非回転軸)34のロッド34bを伸ばすことにより、シリンダ本体34aを、非回転性基板14、回転分配部材15、そして吹き付け手段18と共に上昇させる。そして同様に立坑11の内壁の周方向に急結性セメント材料を均一に吹き付ける。
【0063】
このように、立坑11の内壁の周方向に急結性セメント材料を均一に吹き付け、次いで吹き付け手段18を上昇させる操作を繰り返す(あるいは立坑11の内壁に急結性セメント材料を吹き付けながら吹き付け手段18を上昇させる)ことにより、立坑の内壁に土留めを形成することができる。
【0064】
これとは逆に、立坑11の内壁の周方向に急結性セメント材料を均一に吹き付け、次いで吹き付け手段18を下降させる操作を繰り返す(あるいは立坑11の内壁に急結性セメント材料を吹き付けながら吹き付け手段18を下降させる)ことにより、立坑の内壁に土留めを形成してもよい。
【0065】
図6は、本発明の急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第2の構成の吹き付け装置)の非回転性分配部材64の近傍の部位の構成例を示す断面図である。
【0066】
図6に示す第2の構成の吹き付け装置60は、図1〜5に示す第1の構成の吹き付け装置10の非回転性基板14及び回転分配部材15を上下の向きを逆向きに配置して使用した構成を有している。
【0067】
すなわち、第2の構成の吹き付け装置60の非回転性分配部材64としては、第1の構成の吹き付け装置10の回転分配部材15に相当する部品が用いられていて、そして第2の構成の吹き付け装置60の回転基板65としては、第1の構成の吹き付け装置10の非回転性基板14に相当する部品が用いられている。
【0068】
図6に示す急結性セメント材料の回転吹き付け装置60は、下記の構成を有している:立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑内壁に固定された固定手段により、間接的に支持固定された非回転性分配部材64、ただし、非回転性分配部材64には、少なくともペースト状セメント材料受容分配環状溝61a、気体受容分配環状溝62a、及び急結剤受容分配環状溝63aが、下面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を下記回転基板65の上面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、ペースト状セメント材料、気体、または急結剤の受容用の供給口61b、62b、63bが備えられている;非回転性分配部材64の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された回転基板65;非回転性分配部材64に備えられた、回転基板65の回転を駆動する回転駆動部材16;非回転性分配部材64の各環状溝に接する回転基板65の表面部位に設けられた開口部61d、62d、63d;開口部61d、62d、63dのそれぞれに接続する下流側ペースト状セメント材料供給管61c、下流側気体供給管62c、そして下流側急結剤供給管63c;下流側セメント材料供給管61c、下流側気体供給管62c、そして下流側急結剤供給管63cのそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側ペースト状セメント材料供給管61cに送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;前記合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、急結性セメント材料吹き付け手段は、回転基板65に連結している;および非回転性分配部材64の各環状溝に備えられた供給口61b、62b、63bのそれぞれに下側端部が接続する上流側ペースト状セメント材料供給管61e、上流側気体供給管62e、そして上流側急結剤供給管63e。
【0069】
第2の構成の吹き付け装置60において、上流側ペースト状セメント材料供給管61e、上流側気体供給管62e、そして上流側急結剤供給管63eのそれぞれの上流側末端は、それぞれ立坑の周辺に配置されたペースト状セメント材料供給装置、気体圧縮装置、そして急結剤供給装置に接続していることが好ましい。
【0070】
また、非回転性分配部材64は、立坑内壁に固定された固定手段に軸支された非回転軸により固定されていることが好ましい。
【0071】
第2の構成の吹き付け装置60の効果は、第1の構成の吹き付け装置10の効果と同様であるため繰り返しての説明は行なわない。
【0072】
図7は、本発明の急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第3の構成の吹き付け装置)の回転分配部材75の近傍の部位の構成例を示す断面図である。
【0073】
図7の吹き付け装置70の構成は、合計で三本の上流側流体供給管のうち、例えば、ペースト状セメント材料を供給する上流側流体供給管71eに、周知の継ぎ手(例、スイベルジョイント)45を介して、下流側流体供給管71cが回転自在に接続されていること以外は図1の吹き付け装置10の構成と同様である。
【0074】
図7に示す急結性セメント材料の回転吹き付け装置70は、下記の構成を有している:立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑内壁に固定された固定手段により、間接的に支持固定された下面中央に管状軸体71を備える非回転性基板74;基板74の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように管状軸体71により軸支された回転分配部材75、ただし、回転分配部材75には、少なくともペースト状セメント材料、気体、及び急結剤の内の二つを受容分配する少なくとも二本の環状溝72a、73aが、上面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を非回転性基板74の下面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、受容したペースト状セメント材料、気体、または急結剤の分配用の排出口72b、73bが備えられている;非回転性基板74に備えられた、回転分配部材75の回転を駆動する回転駆動部材16;管状軸体71の下側端部に回転自在に接続する下流側流体供給管71cと回転分配部材75の各環状溝に備えられた排出口72b、73bのそれぞれに接続する下流側流体供給管72c、73c、ただし、これらの合計三本の下流側流体供給管71c、72c、73cのそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する;上記三本の下流側流体供給管71c、72c、73cのそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側流体供給管71cに送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;前記合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、急結性セメント材料吹き付け手段は、回転分配部材75に連結している;回転分配部材75の各環状溝に接する非回転性基板74の表面部位に設けられた開口部72d、73d;および管状軸体71の上面開口部71d、そして非回転性基板74の開口部72d、73dのそれぞれに下側端部が接続する合計で三本の上流側流体供給管71e、72e、73e、ただし、上流側流体供給管71e、72e、73eのそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する。
【0075】
第3の構成の吹き付け装置70は、回転分配部材75に形成する環状溝の本数が少ないため、各々の環状溝を気密状態に維持し易く、そして回転分配部材75の構成が簡単である利点を有している。
【0076】
第3の構成の吹き付け装置70において、上流側流体供給管71e、72e、73eのそれぞれの上流側末端は、それぞれ立坑の周辺に配置されたペースト状セメント材料供給装置、気体圧縮装置、そして急結剤供給装置に接続していることが好ましい。
【0077】
また、非回転性基板74は、立坑内壁に固定された固定手段に軸支された非回転軸により固定されていることが好ましい。
【0078】
第3の構成の吹き付け装置70の効果は、第1の構成の吹き付け装置10の効果と同様であるため繰り返しての説明は行なわない。
【0079】
図8は、本発明の急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第4の構成の吹き付け装置)の非回転性分配部材84の近傍の部位の構成例を示す断面図である。
【0080】
図8に示す吹き付け装置80の構成は、合計で三本の上流側流体供給管のうち、例えば、ペースト状セメント材料を供給する上流側流体供給管81eに、周知の継ぎ手(例えば、スイベルジョイント)45を介して、下流側流体供給管81cが回転自在に接続されていること以外は図6の吹き付け装置60の構成と同様である。
【0081】
図8に示す急結性セメント材料の回転吹き付け装置80は、下記の構成を有している:立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑内壁に固定された固定手段により、間接的に支持固定された非回転性分配部材84、ただし、非回転性分配部材84には、少なくともペースト状セメント材料、気体、及び急結剤の内の二つを受容分配する少なくとも二本の環状溝82a、83aが、下面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を下記回転基板85の上面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、ペースト状セメント材料、気体、または急結剤の受容用の供給口82b、83bが備えられている;非回転性分配部材84の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された上面中央に管状軸体81を備える回転基板85;非回転性分配部材84に備えられた、回転基板85の回転を駆動する回転駆動部材16;非回転性分配部材84の各環状溝に接する回転基板85の表面部位に設けられた開口部82d、83d;管状軸体81の下面開口部81d、そして回転基板85の開口部82d、83dのそれぞれに接続する下流側流体供給管81c、82c、83c、ただし、これらの合計三本の下流側流体供給管81c、82c、83cのそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する;上記三本の下流側流体供給管81c、82c、83cのそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで急結剤供給気体流を下流側流体供給管81cに送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;前記合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、急結性セメント材料吹き付け手段は、回転基板85に連結している;および管状軸体81が下側端部に回転自在に接続されている上流側流体供給管81eと上記非回転性分配部材84の各管状溝に備えられた供給口82b、83bのそれぞれに下側端部が接続する上流側流体供給管82e、83e、ただし、これらの合計で三本の上流側流体供給管81e、82e、83eのそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する。
【0082】
第4の構成の吹き付け装置80は、非回転性分配部材84に形成する環状溝の本数が少ないため、各々の環状溝を気密状態に維持し易く、そして非回転性分配部材84の構成が簡単である利点を有している。
【0083】
第4の構成の吹き付け装置80において、上流側流体供給管81e、82e、83eのそれぞれの上流側末端は、それぞれ立坑の周辺に配置されたペースト状セメント材料供給装置、気体圧縮装置、そして急結剤供給装置に接続していることが好ましい。
【0084】
また、非回転性分配部材84は、立坑内壁に固定された固定手段に軸支された非回転軸により固定されていることが好ましい。
【0085】
第4の構成の吹き付け装置80の効果は、第1の構成の吹き付け装置10の効果と同様であるため繰り返しての説明は行なわない。
【0086】
以下では、本願発明の吹き付け装置、すなわち第1〜第4の構成の吹き付け装置に共通する構成と好ましい実施態様とについて詳細に説明する。
【0087】
固定手段は、立坑内に非回転性基板(あるいは非回転性分配部材)を支持固定することができれば、図1及び図2に示すように立坑の内壁に固定されていてもよいし、立坑の周辺あるいは底部に固定されていてもよいし、立坑の周辺、内壁、および底部のうちの二以上に固定されていてもよい。
【0088】
非回転性基板(あるいは非回転性分配部材)は、前記のように水平方向での180度以上(好ましくは90度以上、更に好ましくは30度以上)の回転ができない条件にて、立坑内に支持固定される。非回転性基板は、水平方向での回転ができないような条件にて、立坑内に支持固定することが特に好ましい。
【0089】
吹き付け手段を昇降させるため、前記のように固定手段12のプレート12aの開口部12bに嵌め合わされたシリンダ(非回転軸)34を用いることもできるし、前記開口部12bに嵌め合わされた支柱(非回転軸)と支柱を昇降させる簡易な昇降装置(代表例、チェーンブロック)とを用いることもできる。
【0090】
上流側の各供給管に送られるペースト状セメント材料としては、例えば、モルタルや生コンクリートを用いることができる。気体としては、圧縮した気体を用いることが好ましい。気体としては、例えば、空気や窒素を用いることができる。急結剤としては、例えば、アルカリ金属アルミン酸、あるいはアルカリ金属炭酸塩含有する液状の急結剤を用いることができる。
【0091】
また、立坑の内壁への急結性セメント材料の吹き付け量を、立坑内の吹き付け装置の上方の位置に待機している作業員が目視で確認したり、あるいは地上に待機している作業員が吹き付け装置に設置した撮像装置から地上に送られる画像をもとに確認したりして、内壁表面の状態を考慮したセメント材料の吹き付けの調節、例えば、吹き付け量が不足している立坑内壁の一部分(立坑内壁の周方向の一部分)に吹き付けを行なうこともできる。
【符号の説明】
【0092】
10 立坑内壁への急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第1の構成の吹き付け装置)
11 立坑
12 固定手段
12a プレート
12b 開口部
12c ストッパ
14 非回転性基板
15 回転分配部材
16 回転駆動部材
17、17a、17b 合流構造
18 急結性セメント材料吹き付け手段
21a ペースト状セメント材料受容分配環状溝
21b、22b、23b 排出口
21c 下流側ペースト状セメント材料供給管
21d、22d、23d 開口部
21e 上流側ペースト状セメント材料供給管
22a 気体受容分配環状溝
22c 下流側気体供給管
22e 上流側気体供給管
23a 急結剤受容分配環状溝
23c 下流側急結剤供給管
23e 上流側急結剤供給管
24 供給管
25 支持板
31 ペースト状セメント材料供給装置
32 気体圧縮装置
33 急結剤供給装置
34 シリンダ(非回転軸)
34a シリンダ本体
34b ロッド
41a、41b、41c、41d Oリング
42 シリンダ
42a ロッド
43a、43b、43c 回転軸受
44 回転駆動手段
45 継ぎ手(スイベルジョイント)
46 ワイヤ
51 管状軸体
52 クレーン車
52a フック
53 油圧発生装置
60 立坑内壁への急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第2の構成の吹き付け装置)
61a ペースト状セメント材料受容分配環状溝
61b、62b、63b 供給口
61c 下流側ペースト状セメント材料供給管
61d、62d、63d 開口部
61e 上流側ペースト状セメント材料供給管
62a 気体受容分配環状溝
62c 下流側気体供給管
62e 上流側気体供給管
63a 急結剤受容分配環状溝
63c 下流側急結剤供給管
63e 上流側急結剤供給管
64 非回転性分配部材
65 回転基板
70 立坑内壁への急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第3の構成の吹き付け装置)
71 管状軸体
71c、72c、73c 下流側流体供給管
71d 管状軸体71の上面開口部
71e、72e、73e 上流側流体供給管
72a、73a 環状溝
72b、73b 排出口
72d、73d 開口部
74 非回転性基板
75 回転分配部材
80 立坑内壁への急結性セメント材料の回転吹き付け装置(第4の構成の吹き付け装置)
81 管状軸体
81c、82c、83c 下流側流体供給管
81d 管状軸体81の下面開口部
81e、82e、83e 上流側流体供給管
82a、83a 環状溝
82b、83b 供給口
82d、83d 開口部
84 非回転性分配部材
85 回転基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構成を有する立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置:
立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑の周辺、立坑内壁および/または立坑底部に固定された固定手段により、直接的あるいは間接的に支持固定された非回転性基板;該基板の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された回転分配部材、ただし、該回転分配部材には、少なくともペースト状セメント材料受容分配環状溝、気体受容分配環状溝、及び急結剤受容分配環状溝が、上面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を上記非回転性基板の下面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、受容したペースト状セメント材料、気体、または急結剤の分配用の排出口が備えられている;前記非回転性基板に備えられた、回転分配部材の回転を駆動する回転駆動部材;上記回転分配部材の各環状溝に備えられた排出口のそれぞれに接続する下流側ペースト状セメント材料供給管、下流側気体供給管、そして下流側急結剤供給管;該下流側セメント材料供給管、下流側気体供給管、そして下流側急結剤供給管のそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで該急結剤供給気体流を下流側ペースト状セメント材料供給管に送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;該合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、該急結性セメント材料吹き付け手段は、前記回転分配部材に連結している;前記回転分配部材の各環状溝に接する非回転性基板の表面部位に設けられた開口部;および該開口部のそれぞれに下側端部が接続する上流側ペースト状セメント材料供給管、上流側気体供給管、そして上流側急結剤供給管。
【請求項2】
上流側ペースト状セメント材料供給管、上流側気体供給管、そして上流側急結剤供給管のそれぞれの上流側末端が、それぞれ立坑の周辺に配置されたペースト状セメント材料供給装置、気体圧縮装置、そして急結剤供給装置に接続している請求項1に記載の立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。
【請求項3】
非回転性基板が、立坑内壁に固定された固定手段に軸支された非回転軸により固定されている請求項1もしくは2に記載の立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。
【請求項4】
下記の構成を有する立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置:
立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑の周辺、立坑内壁および/または立坑底部に固定された固定手段により、直接的あるいは間接的に支持固定された非回転性分配部材、ただし、該非回転性分配部材には、少なくともペースト状セメント材料受容分配環状溝、気体受容分配環状溝、及び急結剤受容分配環状溝が、下面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を下記回転基板の上面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、ペースト状セメント材料、気体、または急結剤の受容用の供給口が備えられている;該非回転性分配部材の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された回転基板;前記非回転性分配部材に備えられた、回転基板の回転を駆動する回転駆動部材;前記非回転性分配部材の各環状溝に接する回転基板の表面部位に設けられた開口部;該開口部のそれぞれに接続する下流側ペースト状セメント材料供給管、下流側気体供給管、そして下流側急結剤供給管;該下流側セメント材料供給管、下流側気体供給管、そして下流側急結剤供給管のそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで該急結剤供給気体流を下流側ペースト状セメント材料供給管に送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;該合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、該急結性セメント材料吹き付け手段は、前記回転基板に連結している;および前記非回転性分配部材の各環状溝に備えられた供給口のそれぞれに下側端部が接続する上流側ペースト状セメント材料供給管、上流側気体供給管、そして上流側急結剤供給管。
【請求項5】
上流側ペースト状セメント材料供給管、上流側気体供給管、そして上流側急結剤供給管のそれぞれの上流側末端が、それぞれ立坑の周辺に配置されたペースト状セメント材料供給装置、気体圧縮装置、そして急結剤供給装置に接続している請求項4に記載の立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。
【請求項6】
非回転性分配部材が、立坑内壁に固定された固定手段に軸支された非回転軸により固定されている請求項4もしくは5に記載の立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。
【請求項7】
下記の構成を有する立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置:
立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑の周辺、立坑内壁および/または立坑底部に固定された固定手段により、直接的あるいは間接的に支持固定された下面中央に管状軸体を備える非回転性基板;該基板の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように上記管状軸体により軸支された回転分配部材、ただし、該回転分配部材には、少なくともペースト状セメント材料、気体、及び急結剤の内の二つを受容分配する少なくとも二本の環状溝が、上面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を上記非回転性基板の下面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、受容したペースト状セメント材料、気体、または急結剤の分配用の排出口が備えられている;前記非回転性基板に備えられた、回転分配部材の回転を駆動する回転駆動部材;上記管状軸体の下側端部に回転自在に接続する下流側流体供給管と上記回転分配部材の各環状溝に備えられた排出口のそれぞれに接続する下流側流体供給管、ただし、これらの合計三本の下流側流体供給管のそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する;上記三本の下流側流体供給管のそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで該急結剤供給気体流を下流側流体供給管に送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;該合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、該急結性セメント材料吹き付け手段は、前記回転分配部材に連結している;前記回転分配部材の各環状溝に接する非回転性基板の表面部位に設けられた開口部;および前記管状軸体の上面開口部、そして非回転性基板の開口部のそれぞれに下側端部が接続する合計で三本の上流側流体供給管、ただし、該上流側流体供給管のそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する。
【請求項8】
上流側流体供給管のそれぞれの上流側末端が、それぞれ立坑の周辺に配置されたペースト状セメント材料供給装置、気体圧縮装置、そして急結剤供給装置に接続している請求項7に記載の立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。
【請求項9】
非回転性基板が、立坑内壁に固定された固定手段に軸支された非回転軸により固定されている請求項7もしくは8に記載の立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。
【請求項10】
下記の構成を有する立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置:
立坑内に、水平方向での180度以上の回転ができない条件にて、立坑の周辺、立坑内壁および/または立坑底部に固定された固定手段により、直接的あるいは間接的に支持固定された非回転性分配部材、ただし、該非回転性分配部材には、少なくともペースト状セメント材料、気体、及び急結剤の内の二つを受容分配する少なくとも二本の環状溝が、下面が開放された状態で、同軸かつ独立に、かつ各環状溝を下記回転基板の上面との接触により気密状態に維持する隔壁を介して設けられており、そして、各環状溝には、ペースト状セメント材料、気体、または急結剤の受容用の供給口が備えられている;該非回転性分配部材の下面に接して、水平方向での360度を超える回転が可能なように軸支された上面中央に管状軸体を備える回転基板;前記非回転性分配部材に備えられた、回転基板の回転を駆動する回転駆動部材;前記非回転性分配部材の各環状溝に接する回転基板の表面部位に設けられた開口部;前記管状軸体の下面開口部、そして回転基板の開口部のそれぞれに接続する下流側流体供給管、ただし、これらの合計三本の下流側流体供給管のそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する;上記三本の下流側流体供給管のそれぞれの末端部近傍に形成され、急結剤を浮遊状態にて供給する急結剤供給気体流を形成し、次いで該急結剤供給気体流を下流側流体供給管に送られるペースト状セメント材料流と混合する各管の合流構造;該合流構造の下流側かつ近接する位置に備えられた急結性セメント材料吹き付け手段、ただし、該急結性セメント材料吹き付け手段は、前記回転基板に連結している;および前記管状軸体が下側端部に回転自在に接続されている上流側流体供給管と上記非回転性分配部材の各管状溝に備えられた供給口のそれぞれに下側端部が接続する上流側流体供給管、ただし、これらの合計で三本の上流側流体供給管のそれぞれは、ペースト状セメント材料、気体、そして急結剤のいずれかを供給する。
【請求項11】
上流側流体供給管のそれぞれの上流側末端が、それぞれ立坑の周辺に配置されたペースト状セメント材料供給装置、気体圧縮装置、そして急結剤供給装置に接続している請求項10に記載の立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。
【請求項12】
非回転性分配部材が、立坑内壁に固定された固定手段に軸支された非回転軸により固定されている請求項10もしくは11に記載の立坑内壁への急結性セメント材料回転吹き付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−112970(P2013−112970A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259104(P2011−259104)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(502255151)株式会社小宮山土木 (1)
【Fターム(参考)】