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立毛編地
説明

立毛編地

【課題】形態安定性に優れ立毛部の変形が少なくて、なお且つ爽やかな清涼感と快適な着用感、深色性に優れた高級感のある立毛編地を提供し、更にシャツやブラウスのような分野にも使用可能な薄地の立毛編地を提供する。
【解決手段】立毛編地の立毛部が、公定水分率2%以上8%以下の吸湿性を有し、かつ熱セット性を有するセルロース系マルチフィラメント糸からなり、洗濯による寸法変化率が経収縮−3%〜+1%、緯収縮−4%〜+1%の範囲にある。好ましくは、立毛部に繊度50dtex以上110dtex以下のセルロース系マルチフィラメント糸を使用し、地糸部に捲縮性を有する合成繊維を使用する。立毛部のセルロース系マルチフィラメント糸がアセテート繊維であるとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の立毛編地は丸編のベロア調製品に関し、更に詳しくは形態安定性に優れ立毛部の変形が少なくて、なお且つ爽やかな清涼感と快適な着用感、深色性に優れた高級感のある立毛編地に関し、更にシャツやブラウスのような分野にも使用可能な薄地の立毛編地に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、これらの製品の立毛部にレーヨンのマルチフィラメント糸を使用したものは熱セット性が無いためと水膨潤による収縮が大きいことから立毛部の変形が生じ易く、洗濯により、或いは着用後の変形も生じ易かった。
【0003】
この問題を解決するためにポリエステルのマルチフィラメント糸を用いたものも見受けられるが、これ等の商品はポリエステルの風合いの硬さやワキシイ感、高屈折率による金属光沢などの問題があり、発色性や色の深みに欠ける等、高級感の点で満足のいくものではなかった。また、吸湿性が無いことから静電気の発生やムレ感など着用感の快適性に欠ける問題があった。更に、これ等の商品は織物のベルベットも含めて中肉〜厚手の商品が主体でありシャツやブラウスのような分野にも適した薄手の商品は出ていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、形態安定性に優れ立毛部の変形が少なくて、なお且つ爽やかな清涼感と快適な着用感、深色性に優れた高級感のある立毛編地を提供し、更にシャツやブラウスのような分野にも使用可能な薄地の立毛編地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成する本発明の基本的な構成は下記の通りである。
立毛部が、公定水分率2%以上8%以下の吸湿性を有し、かつ熱セット性を有するセルロース系マルチフィラメント糸からなる、洗濯による寸法変化率が経収縮−3%〜+1%、緯収縮−4%〜+1%の範囲である立毛編地にある。
【0006】
本発明の立毛編地の好適な態様は次の通りである。
(1)上記立毛部が、繊度50dtex以上110dtex以下のセルロース系マルチフィラメント糸からなる。
(2)地糸部が捲縮性を有する合成繊維からなる。
(3)上記立毛部のセルロース系マルチフィラメント糸がアセテート繊維である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、染色加工や着用、洗濯等での形態安定性に優れ立毛部の変形が少なくて、なお且つ爽やかな清涼感と快適な着用感、深色性に優れ、防皺性、吸水速乾性、ベトツキ感、制電性、ムレ感等の改善された、高級感のある立毛編地が得られ、更にシャツやブラウスのような分野にも使用可能な薄地の立毛編地が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のセルロース系マルチフィラメント糸は、セルロース原料を出発点として再生或いは半合成された繊維であり、公定水分率が2%以上8%以下の吸湿性を有し、仮撚加工又は高温スチームセット等の処置を施さなくても熱セット性を有している。公定水分率は、3%以上7%以下であることが更に好ましい。公定水分率が2%未満では静電気の発生や着用時のムレ感が問題となる。公定水分率が8%を超過すると水膨潤性が大きくなり水膨潤性による収縮が大きく加工や洗濯での変形が問題となる。一方、熱セット性を有することにより立毛部の形態安定性が向上する。また、セルロース系マルチフィラメント糸の熱セット性を更に向上させるために仮撚加工と高温スチームセットを施してもよく、これにより更に立毛性の優れたものが得られる。また、立毛部に使用する糸に原糸を使用したものは毛並みに適度なチンチラ感の外観を付与するのに有利である等、立毛編地の商品の多様化が図れる。
【0009】
本発明の立毛編地とは丸編のシンカーパイルに代表されるベロア調の立毛編地等を指すものであり、ループをシャーリングし或いは起毛した、ベロアやベルベット及びスエード調が表現された編地であれば良く、組織や加工方法等を特に限定するものではない。
【0010】
本発明の立毛編地の寸法変化率はJIS1018 F1法で経収縮−3%〜+1%、緯収縮−4%〜+1%であることが好ましい。寸法変化率が範囲外の場合は外観変化を生じ商品性が低下する。
【0011】
また、本発明の立毛編地をシャツやブラウスのような分野に使用可能な薄地にするためには、立毛部に繊度が50dtex以上110dtex以下のセルロース系マルチフィラメント糸を用いることが好ましい。繊度が50dtex未満では立毛感が不足したり、毛抜けが生じ製品化が困難であり、110dtexを越えると薄地分野に適した肉厚の立毛編地とならない。
【0012】
本発明の立毛編地の地糸部に合成繊維を使用すると強度や加工性の観点から好都合である。合成繊維の種類は目的とする立毛編地の意匠性や機能性、風合い等を考慮して任意に選定すれば良く特に限定するものではないが、種類が多く加工性等が優れている点からポリエステルマルチフィラメント糸が好ましく用いられる。また、立毛部の毛抜け対策として、仮撚加工糸や潜在捲縮性のポリエステル系複合繊維の弾性糸、顕在捲縮性のポリエステル系複合繊維の弾性糸、ポリウレタン系弾性糸とポリエステル加工糸とのカバーリング糸等の捲縮を有する合成繊維糸が好ましく用いられる。
【0013】
本発明のセルロース系マルチフィラメント糸はその製法や種類を特に限定するものではないが、アセテート繊維が適度な吸湿性と熱セット性を有しており、更にはその低屈折率からくる鮮明性、発色性、高級感のある光沢、セルロース由来の清涼感、分散染料可染性などを有しており、好ましく用いられる。因みに、ジアセテートの公定水分率は約6.5%、トリアセテートは約3.5%であり適度な吸湿性と速乾性を有している。また風合いや光沢の高級感の観点からトリアセテートの使用が更に好ましい。
【実施例】
【0014】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、寸法変化率はJIS1018 F1法によるものである。また、その他の評価はハンドリングと目視によって実施した。
【0015】
[実施例1]
ブライト84dtex/58f (fはフィラメントの略。以下、fで表記する。)の菊型断面糸のトリアセテートマルチフィラメント(三菱レイヨン社製)を立毛部に配し、セミダル56dtex/24fの丸断面糸のポリエステル仮撚加工(2ヒーター)(東レ社製)を地糸部に配し、福原製丸編み機(28ゲージ、30×2.54cm、パイル長2.7mm)でパイル組織を作成した。この生機をシャーリングし、常法により黒色に染色仕上げし42ウエール、40コースの編物を得た。得られた編物の寸法変化率は、経収縮−1%、緯収縮−1%であり、毛並みに適度なチンチラ感がある形態安定性に優れ立毛部を有し尚且つ爽やかな清涼感と快適な着用感、深色性に優れた高級感のあるシャツやインナーのような分野に使用可能な薄地の立毛編物が得られた。
【0016】
[実施例2]
ブライト50dtex/12fの菊型断面糸のトリアセテートマルチフィラメント(三菱レイヨン社製)を三菱重工社製仮撚加工機(LS−6)で仮撚加工(2ヒーター)を施し、且つ芦田製作所製セット機で130℃×40分真空セットしたものを立毛部に配し、セミダル84dtex/36fの丸断面糸のポリエステル仮撚加工糸(2ヒーター、東レ社製)を地糸部に配し、福原製丸編み機(28ゲージ、30×2.54cm、パイル長2.7mm)でパイル組織を作成した。この生機をシャーリングし、常法により黒色に染色仕上げして40ウエール、46コースの編物を得た。得られた編物の寸法変化率は、経収縮−0.5%、緯収縮−1%であり、形態安定性に優れ立毛部の変形が少なく、なお且つ爽やかな清涼感と快適な着用感、深色性に優れた高級感のあるシャツやインナーのような分野に使用可能な薄地の立毛編物が得られた。
【0017】
[実施例3]
ブライト110dtex/24fの菊型断面糸のトリアセテートマルチフィラメント(三菱レイヨン社製)を三菱重工社製仮撚加工機(LS−6)で仮撚加工(1ヒーター)を施し且つ芦田製作所製セット機で130℃×40分真空セットしたものを立毛部に配し、セミダル84dtex/36fの丸断面糸のポリエステル仮撚加工糸(東レ社製)を地糸部に配し、福原製丸編み機(28ゲージ、30×2.54cm、パイル長2.7mm)でパイル組織を作成した。この生機をシャーリングし、常法により黒色に染色仕上げして42ウエール、32コースの編物を得た。得られた編物の寸法変化率は、経収縮−1%、緯収縮−1%であり、形態安定性に優れ立毛部の変形が少なく、なお且つ爽やかな清涼感と快適な着用感、深色性に優れた高級感のある商品で得られた。
【0018】
[比較例1]
ブライト110dtex/24fの市販レーヨンマルチフィラメントを立毛部に配し、セミダル84dtex/36fの丸断面糸のポリエステル仮撚加工糸(2ヒーター、東レ社製)を地糸部に配し、福原製丸編み機(28ゲージ、30×2.54cm、パイル長2.7mm)でパイル組織を作成した。この生機をシャーリングし、常法により黒色に染色仕上げし42ウエール、40コースの編物を得た。得られた編物の寸法変化率は、経収縮−8%、緯収縮−9%であり、形態安定性が劣り立毛部に不安定なチンチラ状のムラが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立毛部が、公定水分率2%以上8%以下の吸湿性を有し、かつ熱セット性を有するセルロース系マルチフィラメント糸からなり、洗濯による寸法変化率が経収縮−3%〜+1%、緯収縮−4%〜+1%の範囲である立毛編地。
【請求項2】
立毛部が、繊度50dtex以上110dtex以下のセルロース系マルチフィラメント糸からなる請求項1記載の立毛編地。
【請求項3】
地糸部が捲縮性を有する合成繊維からなる請求項1又は2に記載の立毛編地。
【請求項4】
立毛部のセルロース系マルチフィラメント糸がアセテート繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の立毛編地。