竪型ミル
【課題】竪型ミルに於いて供給する石炭の噛込み率を向上させ、粉砕効率の向上を図ると共に自励振動の抑制を図る。
【解決手段】分級室9を形成するハウジング3と、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブル6と、該粉砕テーブルに加圧ローラ16を押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置12と、給炭管23をハウジングの中心に鉛直に設け、塊状石炭を前記粉砕テーブルの前記加圧ローラの間に供給する給炭管23とを具備する。
【解決手段】分級室9を形成するハウジング3と、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブル6と、該粉砕テーブルに加圧ローラ16を押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置12と、給炭管23をハウジングの中心に鉛直に設け、塊状石炭を前記粉砕テーブルの前記加圧ローラの間に供給する給炭管23とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚きボイラへ供給する石炭を粉砕する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭を燃料とする石炭焚きボイラでは、塊状の石炭を竪型ミルにより粉砕して微粉炭とし、微粉炭を1次空気と共に燃焼装置であるバーナに供給している。
【0003】
竪型ミルは、所定の回転数で回転する粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに押圧される加圧ローラとを有し、前記粉砕テーブルには給炭管から塊状の石炭が前記粉砕テーブルの中心に落下され、供給される。供給された塊状の石炭は、前記粉砕テーブルの回転遠心力によって外周へと移動する。
【0004】
石炭が前記粉砕テーブルの外周に移動する過程で、前記加圧ローラと前記粉砕テーブルの間に噛込まれて粉砕される。粉砕された微粉炭は前記粉砕テーブル周囲の1次空気吹出し口より、吹上がる1次空気によって上昇し、1次空気と共にバーナに供給される。
【0005】
上記した様に、前記粉砕テーブルに供給した塊状の石炭は前記粉砕テーブルの中心に供給され、遠心力によって外周に移動する過程で、前記加圧ローラに噛込まれ、粉砕されるので、供給された塊状の石炭の全てが直ちに前記加圧ローラに噛込まれず、一部はテーブル上で跳ね、或は前記加圧ローラの間をすり抜ける、或は前記粉砕テーブルの外周への移動が円滑に行われない等によって供給と粉砕との間に時間遅れ、即ち噛込み率の低下を生じる。更に、噛込み率の低下は、粉砕効率の低下を招く。
【0006】
又、前記粉砕テーブル上に形成される粉砕層は緩衝体としての機能があり、粉砕層の厚みが薄くなると、加圧ローラの自励振動が発生する。或は、塊状の石炭の噛込みが少なくなることで、粉砕層の粒径が揃い、自励振動を発生し易くなる。
【0007】
従って、噛込み率が低下することで、粉砕効率が低下し、更に加圧ローラの自励振動が発生し易くなり、自励振動が発生すると、粉砕効率が著しく低下する。
【0008】
【特許文献1】特開2007−7594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み、竪型ミルに於いて供給する石炭の噛込み率を向上させ、粉砕効率の向上を図ると共に自励振動の抑制を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルの前記加圧ローラの間に供給する給炭管とを具備する竪型ミルに係るものである。
【0011】
又本発明は、前記給炭管は前記ハウジングの中心に鉛直に設けられ、該給炭管の下端部は複数の給炭分岐管に分岐し、該給炭分岐管の下端部は前記加圧ローラと加圧ローラとの間に開口する竪型ミルに係り、又前記給炭管は前記ハウジングの前記ローラ加圧装置の間を貫通する様に設けられた竪型ミルに係り、又前記粉砕テーブルで飛跳ねた塊状石炭を弾返す飛跳防止部材を前記ローラ加圧装置の間に配設した竪型ミルに係り、更に又前記給炭分岐管の下端の軸心は、前記加圧ローラの噛込み位置に向って傾斜する竪型ミルに係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルの前記加圧ローラの間に供給する給炭管とを具備するので、供給された塊状の石炭は直ちに加圧ローラによって粉砕され、噛込み率の向上、粉砕効率の向上が図れ、又塊状の石炭が加圧ローラに直接噛込まれる様に供給されるので、自励振動が抑制される。
【0013】
又本発明によれば、前記給炭管は前記ハウジングの中心に鉛直に設けられ、該給炭管の下端部は複数の給炭分岐管に分岐し、該給炭分岐管の下端部は前記加圧ローラと加圧ローラとの間に開口するので、又前記給炭管は前記ハウジングの前記ローラ加圧装置の間を貫通する様に設けられたので、塊状の石炭を直接粉砕テーブル上に供給することが可能となる。
【0014】
又本発明によれば、前記粉砕テーブルで飛跳ねた塊状石炭を弾返す飛跳防止部材を前記ローラ加圧装置の間に配設したので、前記粉砕テーブルで飛跳ねた塊状の石炭も直ちに加圧ローラに噛込まれ、噛込み率の向上、粉砕効率の向上が図れる。
【0015】
又本発明によれば、前記給炭分岐管の下端の軸心は、前記加圧ローラの噛込み位置に向って傾斜するので、供給された塊状の石炭がより加圧ローラに噛込み易くなり、噛込み率の向上が図れる等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0017】
図1、図2は本発明が実施される竪型ミル1の一例を示す概略図である。
【0018】
中空構造又は脚構造の基台2に筒状のハウジング3が立設され、該ハウジング3の上側に給炭機4が設けられている。
【0019】
前記基台2にはテーブル駆動装置5が収納され、該テーブル駆動装置5によって粉砕テーブル6が定速又は可変速で回転される様になっている。該粉砕テーブル6は前記ハウジング3の下部に収納されており、前記基台2の上端と前記ハウジング3の下端とは仕切られ、前記粉砕テーブル6の周囲には1次空気室7が形成され、前記ハウジング3内部の前記粉砕テーブル6より上方は、分級室9となっている。
【0020】
前記ハウジング3の下部には、1次空気供給口8が取付けられ、該1次空気供給口8は前記1次空気室7に連通している。前記粉砕テーブル6の周囲にはエアポート11が形成され、該エアポート11は前記1次空気供給口8と前記分級室9とを連通し、1次空気の吹出し口として機能する。
【0021】
前記ハウジング3の下部には、放射状に貫通する複数、例えば3組のローラ加圧装置12が設けられ、該ローラ加圧装置12は120°間隔で設けられ、主に液圧シリンダである加圧シリンダ13、水平軸14を中心に上下方向に回転可能な加圧ローラユニット15から構成され、更に該加圧ローラユニット15は回転自在な加圧ローラ16を具備している。前記加圧ローラユニット15の下面には前記エアポート11と対峙した位置にコールシールド(石炭衝突板)19が設けられ、該コールシールド19は、中心に向かう程水平面から離反する様な傾斜面となっている。該コールシールド19には前記エアポート11を通過する1次空気と共に吹上げられる石炭が衝突し、塊状の石炭を前記粉砕テーブル6上に戻す機能を有すると共に前記コールシールド19は前記加圧ローラユニット15への石炭衝突を防止し、前記加圧ローラユニット15の摩耗を防止する。
【0022】
前記粉砕テーブル6の上面にはリング上の凹部を形成するテーブルセグメント17が設けられ、前記加圧ローラ16は前記加圧シリンダ13によって前記テーブルセグメント17の凹部に押圧される。
【0023】
前記ハウジング3の内壁の所要位置、図示では円周を3等分した位置(前記ローラ加圧装置12,12の中間位置)に飛跳防止板18が、後述する給炭分岐管28と干渉しない様に設けられる。該飛跳防止板18は、前記ハウジング3の内壁に取付けられた支持板21によって支持される。該支持板21は板形状であり、前記エアポート11を通過して吹上がる1次空気の流れを妨げない様鉛直に設けられている。
【0024】
前記飛跳防止板18は、前記加圧ローラ16,16との間隔を略塞ぐ水平方向の長さを有する矩形形状の板であり、上端が中心側に倒れる様に傾斜し、傾斜角度は前記飛跳防止板18に衝突した塊状の石炭が、効果的に前記テーブルセグメント17に落下する様になっている。尚、塊状の石炭を前記テーブルセグメント17に弾返せばよいので、傾斜せず垂直であってもよい。
【0025】
又前記飛跳防止板18の下端は、少なくとも前記エアポート11よりも中心側に位置し、前記粉砕テーブル6上面との間に隙間を有している。
【0026】
前記給炭機4は、出炭部ハウジング22及び該出炭部ハウジング22を貫通して前記ハウジング3の内部に延出するパイプ状の給炭管23に接続されている。
【0027】
前記出炭部ハウジング22の下端は開放され、前記分級室9に連通している。又、前記出炭部ハウジング22には微粉炭送給管24が接続され、該微粉炭送給管24はボイラのバーナ(図示せず)に接続されている。前記給炭管23は前記粉砕テーブル6の回転中心の延長上にあり、前記給炭管23の上端は前記給炭機4に接続されている。
【0028】
前記給炭管23の下部は、3本の給炭分岐管28に分岐しており、該給炭分岐管28の下端は前記加圧ローラ16,16との間に位置され、前記テーブルセグメント17の凹部の上方に開口しており、前記給炭分岐管28の下端と前記テーブルセグメント17の上面との間には間隙が形成され、該間隙は前記テーブルセグメント17上に形成される粉砕層の最大厚みより更に大きくなっており、前記給炭分岐管28の下端が前記粉砕層に接触しない様になっている。
【0029】
前記給炭管23の中途部に分級機26が設けられ、該分級機26は前記分級室9の上部に位置し、前記出炭部ハウジング22の下端開口部に隣接している。前記分級機26は、回転駆動部25に連結され、該回転駆動部25によって回転される。
【0030】
前記分級機26は短冊状のブレード27が円周方向に所要ピッチで配設され、前記給炭管23に支持されたものであり、前記ブレード27が円周上を回転する様になっている。
【0031】
以下、前記竪型ミル1の作動について説明する。
【0032】
前記粉砕テーブル6が前記テーブル駆動装置5により回転され、前記1次空気供給口8より1次空気が導入された状態で、前記給炭機4より前記給炭管23に塊状の石炭が供給される。
【0033】
該給炭管23を流下した塊状の石炭は前記給炭分岐管28により分岐され、各給炭分岐管28を流下して、前記テーブルセグメント17の前記加圧ローラ16,16との間に落下する。
【0034】
該加圧ローラ16の直前に落下した塊状の石炭は直ちに、該加圧ローラ16に噛込まれ、粉砕される。
【0035】
前記加圧ローラ16により粉砕された石炭は粉状となり、粉状の石炭は前記エアポート11を吹上がる1次空気に乗って上昇する。
【0036】
又、落下した際、前記粉砕テーブル6上で弾み、該粉砕テーブル6を跳越えようとした塊状の石炭は、前記飛跳防止板18によって弾かれて前記粉砕テーブル6上に戻され、直ちに粉砕される。従って、前記塊状の石炭が、前記給炭分岐管28から前記粉砕テーブル6に供給されて前記加圧ローラ16に噛込まれる迄の時間は著しく短縮され、噛込み率が向上する。
【0037】
又、塊状の石炭が、直接前記加圧ローラ16の噛込み位置に供給され、該加圧ローラ16は常に塊状の石炭を粉砕する状態となるので、該加圧ローラ16の自励振動の発生が抑制される。
【0038】
粉砕されて粉状となった石炭は、前記粉砕テーブル6の上面と前記飛跳防止板18との間を通過し、前記エアポート11を吹上がる1次空気に乗って上昇する(以下、1次混合空気と称す)。上記した様に、前記飛跳防止板18の少なくとも外側端は、1次混合空気の流れを妨げない様前記エアポート11よりも内側に位置し、前記飛跳防止板18を支える前記支持板21も又、1次混合空気の流れを妨げない様鉛直に設けられている。
【0039】
前記コールシールド19に対向する部分の前記エアポート11から吹上がった1次混合空気は、前記コールシールド19に衝突し、1次混合空気中の粉状石炭の内、粒径の大きなものは前記粉砕テーブル6上に落下し、更に粉砕される。
【0040】
従って、前記粉砕テーブル6を跳越えようとした塊状の石炭は、前記飛跳防止板18によって前記粉砕テーブル6上に戻されて粉砕され、1次混合空気中の粉状石炭の内、粒径の大きなものは前記コールシールド19によって分離されるので、前記分級室9を上昇する過程で重力によって分離する分級に比べ、迅速に効率よく分級される。
【0041】
上昇した1次混合空気は、前記給炭管23を中心に回転する前記ブレード27を横切って前記分級機26内部に流入し、更に前記出炭部ハウジング22の下端開口部から該出炭部ハウジング22内部に流入する。
【0042】
1次混合空気が前記ブレード27を横切る際に粒径の大きい石炭粉は、前記ブレード27に衝突して落下する。粒径の小さい微粉炭のみが1次混合空気に乗って前記分級機26内に流入し、更に前記出炭部ハウジング22を経て、前記微粉炭送給管24より出炭され、ボイラのバーナ(図示せず)に供給される。
【0043】
次に、前記給炭分岐管28の下端部の形状について説明する。
【0044】
図3(A)は、給炭分岐管28の下端の切口を水平に形成したものである。又図3(B)は、給炭分岐管28の下端の切口を中心側が粉砕テーブル面から離反する様に傾斜させたものであり、更に外周側の管壁28aを垂直とし、流下した塊状の石炭が前記管壁28aに衝突して垂直に落下する様にしたものである。又、図3(C)は、給炭分岐管28の下端部を湾曲させ、下端での軸心が鉛直、又は略鉛直となる様にしたものである。
【0045】
前記給炭分岐管28の下端部を図3(B)、図3(C)の様にすることで、落下する塊状の石炭が鉛直に落下し、外周方向への飛跳ねを防止できる。又、前記給炭分岐管28下端部の軸心が前記加圧ローラ16の噛込み位置側に傾斜する様に傾斜させれば、塊状の石炭が噛込み位置に向って落下する様になり更に噛込み性が向上する。
【0046】
尚、前記加圧ローラ16,16間への石炭の供給方法としては、前記ハウジング3を水平方向に貫通する給炭管を、前記ローラ加圧装置12,12との間に設け、スクリューフィーダ等の供給装置により塊状の石炭を供給する様にしてもよい。
【0047】
又、図示される前記給炭分岐管28は、3分岐であるが、前記加圧ローラ16が2つの場合は、2分岐とする等、前記加圧ローラ16の数に対応させて分岐する様にする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態を示す立断面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】(A)(B)(C)は給炭分岐管下端部の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 竪型ミル
5 テーブル駆動装置
6 粉砕テーブル
8 1次空気供給口
9 分級室
11 エアポート
12 ローラ加圧装置
16 加圧ローラ
18 飛跳防止板
19 コールシールド
22 出炭部ハウジング
23 給炭管
24 微粉炭送給管
25 回転駆動部
26 分級機
28 給炭分岐管
28a 管壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚きボイラへ供給する石炭を粉砕する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭を燃料とする石炭焚きボイラでは、塊状の石炭を竪型ミルにより粉砕して微粉炭とし、微粉炭を1次空気と共に燃焼装置であるバーナに供給している。
【0003】
竪型ミルは、所定の回転数で回転する粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに押圧される加圧ローラとを有し、前記粉砕テーブルには給炭管から塊状の石炭が前記粉砕テーブルの中心に落下され、供給される。供給された塊状の石炭は、前記粉砕テーブルの回転遠心力によって外周へと移動する。
【0004】
石炭が前記粉砕テーブルの外周に移動する過程で、前記加圧ローラと前記粉砕テーブルの間に噛込まれて粉砕される。粉砕された微粉炭は前記粉砕テーブル周囲の1次空気吹出し口より、吹上がる1次空気によって上昇し、1次空気と共にバーナに供給される。
【0005】
上記した様に、前記粉砕テーブルに供給した塊状の石炭は前記粉砕テーブルの中心に供給され、遠心力によって外周に移動する過程で、前記加圧ローラに噛込まれ、粉砕されるので、供給された塊状の石炭の全てが直ちに前記加圧ローラに噛込まれず、一部はテーブル上で跳ね、或は前記加圧ローラの間をすり抜ける、或は前記粉砕テーブルの外周への移動が円滑に行われない等によって供給と粉砕との間に時間遅れ、即ち噛込み率の低下を生じる。更に、噛込み率の低下は、粉砕効率の低下を招く。
【0006】
又、前記粉砕テーブル上に形成される粉砕層は緩衝体としての機能があり、粉砕層の厚みが薄くなると、加圧ローラの自励振動が発生する。或は、塊状の石炭の噛込みが少なくなることで、粉砕層の粒径が揃い、自励振動を発生し易くなる。
【0007】
従って、噛込み率が低下することで、粉砕効率が低下し、更に加圧ローラの自励振動が発生し易くなり、自励振動が発生すると、粉砕効率が著しく低下する。
【0008】
【特許文献1】特開2007−7594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる実情に鑑み、竪型ミルに於いて供給する石炭の噛込み率を向上させ、粉砕効率の向上を図ると共に自励振動の抑制を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルの前記加圧ローラの間に供給する給炭管とを具備する竪型ミルに係るものである。
【0011】
又本発明は、前記給炭管は前記ハウジングの中心に鉛直に設けられ、該給炭管の下端部は複数の給炭分岐管に分岐し、該給炭分岐管の下端部は前記加圧ローラと加圧ローラとの間に開口する竪型ミルに係り、又前記給炭管は前記ハウジングの前記ローラ加圧装置の間を貫通する様に設けられた竪型ミルに係り、又前記粉砕テーブルで飛跳ねた塊状石炭を弾返す飛跳防止部材を前記ローラ加圧装置の間に配設した竪型ミルに係り、更に又前記給炭分岐管の下端の軸心は、前記加圧ローラの噛込み位置に向って傾斜する竪型ミルに係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルの前記加圧ローラの間に供給する給炭管とを具備するので、供給された塊状の石炭は直ちに加圧ローラによって粉砕され、噛込み率の向上、粉砕効率の向上が図れ、又塊状の石炭が加圧ローラに直接噛込まれる様に供給されるので、自励振動が抑制される。
【0013】
又本発明によれば、前記給炭管は前記ハウジングの中心に鉛直に設けられ、該給炭管の下端部は複数の給炭分岐管に分岐し、該給炭分岐管の下端部は前記加圧ローラと加圧ローラとの間に開口するので、又前記給炭管は前記ハウジングの前記ローラ加圧装置の間を貫通する様に設けられたので、塊状の石炭を直接粉砕テーブル上に供給することが可能となる。
【0014】
又本発明によれば、前記粉砕テーブルで飛跳ねた塊状石炭を弾返す飛跳防止部材を前記ローラ加圧装置の間に配設したので、前記粉砕テーブルで飛跳ねた塊状の石炭も直ちに加圧ローラに噛込まれ、噛込み率の向上、粉砕効率の向上が図れる。
【0015】
又本発明によれば、前記給炭分岐管の下端の軸心は、前記加圧ローラの噛込み位置に向って傾斜するので、供給された塊状の石炭がより加圧ローラに噛込み易くなり、噛込み率の向上が図れる等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0017】
図1、図2は本発明が実施される竪型ミル1の一例を示す概略図である。
【0018】
中空構造又は脚構造の基台2に筒状のハウジング3が立設され、該ハウジング3の上側に給炭機4が設けられている。
【0019】
前記基台2にはテーブル駆動装置5が収納され、該テーブル駆動装置5によって粉砕テーブル6が定速又は可変速で回転される様になっている。該粉砕テーブル6は前記ハウジング3の下部に収納されており、前記基台2の上端と前記ハウジング3の下端とは仕切られ、前記粉砕テーブル6の周囲には1次空気室7が形成され、前記ハウジング3内部の前記粉砕テーブル6より上方は、分級室9となっている。
【0020】
前記ハウジング3の下部には、1次空気供給口8が取付けられ、該1次空気供給口8は前記1次空気室7に連通している。前記粉砕テーブル6の周囲にはエアポート11が形成され、該エアポート11は前記1次空気供給口8と前記分級室9とを連通し、1次空気の吹出し口として機能する。
【0021】
前記ハウジング3の下部には、放射状に貫通する複数、例えば3組のローラ加圧装置12が設けられ、該ローラ加圧装置12は120°間隔で設けられ、主に液圧シリンダである加圧シリンダ13、水平軸14を中心に上下方向に回転可能な加圧ローラユニット15から構成され、更に該加圧ローラユニット15は回転自在な加圧ローラ16を具備している。前記加圧ローラユニット15の下面には前記エアポート11と対峙した位置にコールシールド(石炭衝突板)19が設けられ、該コールシールド19は、中心に向かう程水平面から離反する様な傾斜面となっている。該コールシールド19には前記エアポート11を通過する1次空気と共に吹上げられる石炭が衝突し、塊状の石炭を前記粉砕テーブル6上に戻す機能を有すると共に前記コールシールド19は前記加圧ローラユニット15への石炭衝突を防止し、前記加圧ローラユニット15の摩耗を防止する。
【0022】
前記粉砕テーブル6の上面にはリング上の凹部を形成するテーブルセグメント17が設けられ、前記加圧ローラ16は前記加圧シリンダ13によって前記テーブルセグメント17の凹部に押圧される。
【0023】
前記ハウジング3の内壁の所要位置、図示では円周を3等分した位置(前記ローラ加圧装置12,12の中間位置)に飛跳防止板18が、後述する給炭分岐管28と干渉しない様に設けられる。該飛跳防止板18は、前記ハウジング3の内壁に取付けられた支持板21によって支持される。該支持板21は板形状であり、前記エアポート11を通過して吹上がる1次空気の流れを妨げない様鉛直に設けられている。
【0024】
前記飛跳防止板18は、前記加圧ローラ16,16との間隔を略塞ぐ水平方向の長さを有する矩形形状の板であり、上端が中心側に倒れる様に傾斜し、傾斜角度は前記飛跳防止板18に衝突した塊状の石炭が、効果的に前記テーブルセグメント17に落下する様になっている。尚、塊状の石炭を前記テーブルセグメント17に弾返せばよいので、傾斜せず垂直であってもよい。
【0025】
又前記飛跳防止板18の下端は、少なくとも前記エアポート11よりも中心側に位置し、前記粉砕テーブル6上面との間に隙間を有している。
【0026】
前記給炭機4は、出炭部ハウジング22及び該出炭部ハウジング22を貫通して前記ハウジング3の内部に延出するパイプ状の給炭管23に接続されている。
【0027】
前記出炭部ハウジング22の下端は開放され、前記分級室9に連通している。又、前記出炭部ハウジング22には微粉炭送給管24が接続され、該微粉炭送給管24はボイラのバーナ(図示せず)に接続されている。前記給炭管23は前記粉砕テーブル6の回転中心の延長上にあり、前記給炭管23の上端は前記給炭機4に接続されている。
【0028】
前記給炭管23の下部は、3本の給炭分岐管28に分岐しており、該給炭分岐管28の下端は前記加圧ローラ16,16との間に位置され、前記テーブルセグメント17の凹部の上方に開口しており、前記給炭分岐管28の下端と前記テーブルセグメント17の上面との間には間隙が形成され、該間隙は前記テーブルセグメント17上に形成される粉砕層の最大厚みより更に大きくなっており、前記給炭分岐管28の下端が前記粉砕層に接触しない様になっている。
【0029】
前記給炭管23の中途部に分級機26が設けられ、該分級機26は前記分級室9の上部に位置し、前記出炭部ハウジング22の下端開口部に隣接している。前記分級機26は、回転駆動部25に連結され、該回転駆動部25によって回転される。
【0030】
前記分級機26は短冊状のブレード27が円周方向に所要ピッチで配設され、前記給炭管23に支持されたものであり、前記ブレード27が円周上を回転する様になっている。
【0031】
以下、前記竪型ミル1の作動について説明する。
【0032】
前記粉砕テーブル6が前記テーブル駆動装置5により回転され、前記1次空気供給口8より1次空気が導入された状態で、前記給炭機4より前記給炭管23に塊状の石炭が供給される。
【0033】
該給炭管23を流下した塊状の石炭は前記給炭分岐管28により分岐され、各給炭分岐管28を流下して、前記テーブルセグメント17の前記加圧ローラ16,16との間に落下する。
【0034】
該加圧ローラ16の直前に落下した塊状の石炭は直ちに、該加圧ローラ16に噛込まれ、粉砕される。
【0035】
前記加圧ローラ16により粉砕された石炭は粉状となり、粉状の石炭は前記エアポート11を吹上がる1次空気に乗って上昇する。
【0036】
又、落下した際、前記粉砕テーブル6上で弾み、該粉砕テーブル6を跳越えようとした塊状の石炭は、前記飛跳防止板18によって弾かれて前記粉砕テーブル6上に戻され、直ちに粉砕される。従って、前記塊状の石炭が、前記給炭分岐管28から前記粉砕テーブル6に供給されて前記加圧ローラ16に噛込まれる迄の時間は著しく短縮され、噛込み率が向上する。
【0037】
又、塊状の石炭が、直接前記加圧ローラ16の噛込み位置に供給され、該加圧ローラ16は常に塊状の石炭を粉砕する状態となるので、該加圧ローラ16の自励振動の発生が抑制される。
【0038】
粉砕されて粉状となった石炭は、前記粉砕テーブル6の上面と前記飛跳防止板18との間を通過し、前記エアポート11を吹上がる1次空気に乗って上昇する(以下、1次混合空気と称す)。上記した様に、前記飛跳防止板18の少なくとも外側端は、1次混合空気の流れを妨げない様前記エアポート11よりも内側に位置し、前記飛跳防止板18を支える前記支持板21も又、1次混合空気の流れを妨げない様鉛直に設けられている。
【0039】
前記コールシールド19に対向する部分の前記エアポート11から吹上がった1次混合空気は、前記コールシールド19に衝突し、1次混合空気中の粉状石炭の内、粒径の大きなものは前記粉砕テーブル6上に落下し、更に粉砕される。
【0040】
従って、前記粉砕テーブル6を跳越えようとした塊状の石炭は、前記飛跳防止板18によって前記粉砕テーブル6上に戻されて粉砕され、1次混合空気中の粉状石炭の内、粒径の大きなものは前記コールシールド19によって分離されるので、前記分級室9を上昇する過程で重力によって分離する分級に比べ、迅速に効率よく分級される。
【0041】
上昇した1次混合空気は、前記給炭管23を中心に回転する前記ブレード27を横切って前記分級機26内部に流入し、更に前記出炭部ハウジング22の下端開口部から該出炭部ハウジング22内部に流入する。
【0042】
1次混合空気が前記ブレード27を横切る際に粒径の大きい石炭粉は、前記ブレード27に衝突して落下する。粒径の小さい微粉炭のみが1次混合空気に乗って前記分級機26内に流入し、更に前記出炭部ハウジング22を経て、前記微粉炭送給管24より出炭され、ボイラのバーナ(図示せず)に供給される。
【0043】
次に、前記給炭分岐管28の下端部の形状について説明する。
【0044】
図3(A)は、給炭分岐管28の下端の切口を水平に形成したものである。又図3(B)は、給炭分岐管28の下端の切口を中心側が粉砕テーブル面から離反する様に傾斜させたものであり、更に外周側の管壁28aを垂直とし、流下した塊状の石炭が前記管壁28aに衝突して垂直に落下する様にしたものである。又、図3(C)は、給炭分岐管28の下端部を湾曲させ、下端での軸心が鉛直、又は略鉛直となる様にしたものである。
【0045】
前記給炭分岐管28の下端部を図3(B)、図3(C)の様にすることで、落下する塊状の石炭が鉛直に落下し、外周方向への飛跳ねを防止できる。又、前記給炭分岐管28下端部の軸心が前記加圧ローラ16の噛込み位置側に傾斜する様に傾斜させれば、塊状の石炭が噛込み位置に向って落下する様になり更に噛込み性が向上する。
【0046】
尚、前記加圧ローラ16,16間への石炭の供給方法としては、前記ハウジング3を水平方向に貫通する給炭管を、前記ローラ加圧装置12,12との間に設け、スクリューフィーダ等の供給装置により塊状の石炭を供給する様にしてもよい。
【0047】
又、図示される前記給炭分岐管28は、3分岐であるが、前記加圧ローラ16が2つの場合は、2分岐とする等、前記加圧ローラ16の数に対応させて分岐する様にする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態を示す立断面図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】(A)(B)(C)は給炭分岐管下端部の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
1 竪型ミル
5 テーブル駆動装置
6 粉砕テーブル
8 1次空気供給口
9 分級室
11 エアポート
12 ローラ加圧装置
16 加圧ローラ
18 飛跳防止板
19 コールシールド
22 出炭部ハウジング
23 給炭管
24 微粉炭送給管
25 回転駆動部
26 分級機
28 給炭分岐管
28a 管壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルの前記加圧ローラの間に供給する給炭管とを具備することを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記給炭管は前記ハウジングの中心に鉛直に設けられ、該給炭管の下端部は複数の給炭分岐管に分岐し、該給炭分岐管の下端部は前記加圧ローラと加圧ローラとの間に開口する請求項1の竪型ミル。
【請求項3】
前記給炭管は前記ハウジングの前記ローラ加圧装置の間を貫通する様に設けられた請求項1の竪型ミル。
【請求項4】
前記粉砕テーブルで飛跳ねた塊状石炭を弾返す飛跳防止部材を前記ローラ加圧装置の間に配設した請求項1の竪型ミル。
【請求項5】
前記給炭分岐管の下端の軸心は、前記加圧ローラの噛込み位置に向って傾斜する請求項2の竪型ミル。
【請求項1】
分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルの前記加圧ローラの間に供給する給炭管とを具備することを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記給炭管は前記ハウジングの中心に鉛直に設けられ、該給炭管の下端部は複数の給炭分岐管に分岐し、該給炭分岐管の下端部は前記加圧ローラと加圧ローラとの間に開口する請求項1の竪型ミル。
【請求項3】
前記給炭管は前記ハウジングの前記ローラ加圧装置の間を貫通する様に設けられた請求項1の竪型ミル。
【請求項4】
前記粉砕テーブルで飛跳ねた塊状石炭を弾返す飛跳防止部材を前記ローラ加圧装置の間に配設した請求項1の竪型ミル。
【請求項5】
前記給炭分岐管の下端の軸心は、前記加圧ローラの噛込み位置に向って傾斜する請求項2の竪型ミル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2010−149052(P2010−149052A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330092(P2008−330092)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
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