説明

竪型ミル

【課題】竪型ミルにおいて、バイオマスなどの固形物を効率良く粉砕することで粉砕効率の向上を可能とする。
【解決手段】ハウジング11内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブル13を駆動回転可能に支持し、この粉砕テーブル13の上方に対向して粉砕テーブル13の回転に連動して回転可能な粉砕ローラ18を配置し、ローラ駆動装置19によりこの粉砕ローラ18を駆動回転可能とすると共に、制御装置41によりローラ駆動装置19を制御して粉砕テーブル13の周速と異なる周速となるように粉砕ローラ18の回転速度を調整可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスなどの固形物を粉砕して微粉化する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボイラ発電などの燃焼設備では、燃料として石炭や重油等の化石燃料が用いられることが多いが、この化石燃料は、CO排出の問題から地球温暖化の原因となる。そのため、化石燃料の代替として、バイオマスを用いた燃料の利用促進が図られている。バイオマスは、光合成に起因する有機物であって、木質類、草木類、農作物類、厨芥類等がある。このバイオマスを燃料として用いる方法の一つに、バイオマス固形物を粉砕して微粉化し、微粉炭焚きボイラに供給して燃料として用いるものがある。これは、石炭とバイオマスとをそれぞれを単独で粉砕する単独粉砕方式と、石炭とバイオマスとを混合してから粉砕する混合粉砕方式とが知られている。何れの方式においても、バイオマス固形物を粉砕するためのバイオマス粉砕装置が必要である。
【0003】
この場合、石炭は、竪型ローラミルを用いて粉砕していたが、バイオマス固形物は伸縮性を有することから、石炭に比べて粉砕性が悪く、この石炭用の竪型ローラミルでは、所定の大きさまで粉砕することが困難である。そのため、従来は、ハンマーミルやカッターミルなどの粉砕機を用いてバイオマス固形物を粉砕している。しかし、ハンマーミルやカッターミルなどを用いたバイオマス固形物の粉砕方法では、多大な動力が必要となり、粉砕効率が悪化するだけでなく、寿命が短く、短期間でメンテナンスが必要となり、連続運転が困難である。
【0004】
なお、竪型ミルを用いたバイオマス粉砕装置として、下記特許文献などが提案されている。例えば、特許文献1に記載されたバイオマス粉砕装置は、回転駆動する粉砕テーブル上に供給されたバイオマス固形物を、テーブルの回転と連動して作動するローラにより押圧して粉砕し、下部からの吹き上げ気流によりバイオマス粉砕物を上方に搬送して粗粉と微粉とに分級するものである。また、特許文献2に記載されたバイオマス粉砕装置は、ローラとテーブルとの距離に基づいてバイオマスのチップ同士の相互摩砕を促進せしめる一定範囲内になるようにローラの押圧力やテーブルの回転速度を制御するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−291692号公報
【特許文献2】特開2008−043926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、バイオマス固形物は繊維質で軟らかく、ローラの圧縮力だけでは、このバイオマス固形物を効率良く粉砕することが困難であり、多大な動力と時間が必要であり、粉砕効率が良くないという問題がある。
【0007】
本発明は上述した課題を解決するものであり、バイオマスなどの固形物を効率良く粉砕することで粉砕効率の向上を可能とする竪型ミルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明の竪型ミルは、ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって駆動回転可能に支持される粉砕テーブルと、前記粉砕テーブルの上方に対向して配置されて回転自在に支持される粉砕ローラと、前記粉砕テーブルの周速と異なる周速となるように前記粉砕ローラの回転速度を調整可能なローラ速度調整機構と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、粉砕テーブルが駆動回転し、この粉砕テーブル上にバイオマスなどの固形物が供給されると、この固形物は、遠心力により外側に移動し、粉砕テーブルと粉砕ローラとの間に入り込み、粉砕テーブルの回転により粉砕ローラが回転することで固形物が粉砕され、このとき、ローラ速度調整機構により粉砕ローラの回転速度が調整されることで固形物にせん断力が作用して粉砕が促進されることとなり、バイオマスなどの固形物を効率良く粉砕することで粉砕効率の向上を可能とすることができる。
【0010】
本発明の竪型ミルでは、前記ローラ速度調整機構は、前記粉砕ローラに駆動力または制動力を付与する制駆動装置を有することを特徴としている。
【0011】
従って、制駆動装置が粉砕ローラに駆動力または制動力を付与することで、粉砕ローラの周速と粉砕テーブルの周速が相違することとなり、固形物にせん断力が作用して粉砕効率を向上することができる。
【0012】
本発明の竪型ミルでは、前記ローラ速度調整機構は、前記粉砕ローラに駆動力を付与する駆動装置を有し、該駆動装置は、前記粉砕ローラの周速が前記粉砕テーブルの周速より速くなるように前記粉砕ローラの回転速度を調整可能であることを特徴としている。
【0013】
従って、駆動装置が粉砕ローラの周速が粉砕テーブルの周速より速くなるように調整することで、粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に固形物が噛み込みやすくなり、固形物の粉砕効率を向上することができる。
【0014】
本発明の竪型ミルでは、前記ローラ速度調整機構は、前記粉砕ローラを駆動回転する電気モータを有することを特徴としている。
【0015】
従って、粉砕ローラの周速と粉砕テーブルの周速とを容易に相違させることができる。
【0016】
本発明の竪型ミルでは、前記電気モータは、回生制動可能であることを特徴としている。
【0017】
従って、粉砕ローラに回生ブレーキを付与することで、電気モータにより熱エネルギが電気エネルギに変換されて回収することができ、回収した電力の有効利用を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の竪型ミルによれば、粉砕テーブルの上方に対向して粉砕ローラを配置すると共に、ローラ速度調整機構により粉砕ローラが粉砕テーブルの周速と異なるように調整可能とすることで、バイオマスなどの固形物を効率良く粉砕することで粉砕効率の向上を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係る竪型ミルにおける粉砕ローラ及びその駆動装置を表す正面図である。
【図2】図2は、実施例1の竪型ミルを表す概略構成図である。
【図3】図3は、本発明の実施例2に係る竪型ミルにおける粉砕ローラ及びその駆動装置を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る竪型ミルの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係る竪型ミルにおける粉砕ローラ及びその駆動装置を表す正面図、図2は、実施例1の竪型ミルを表す概略構成図である。
【0022】
実施例1の竪型ミルは、バイオマスなどの固形物を粉砕するものである。ここで、バイオマスとは、再生可能な生物由来の有機性資源である。例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。なお、本実施例の竪型ミルは、バイオマス固形物を粉砕するものに限定されることはなく、石炭やバイオマス固形物と石炭の混合物を粉砕することもできる。
【0023】
本実施例の竪型ミルにおいて、図1及び図2に示すように、ハウジング11は、円筒の中空形状をなし、上部にバイオマス供給管12が装着されている。このバイオマス供給管12は、図示しないバイオマス供給装置からハウジング11内にバイオマス固形物を供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向(鉛直方向)に沿って配置され、下端部が下方まで延設されている。
【0024】
ハウジング11は、下部に粉砕テーブル13が配置されている。この粉砕テーブル13は、ハウジング11の中心位置にバイオマス供給管12の下端部に対向して配置されている。また、この粉砕テーブル13は、下部に鉛直方向に沿った回転軸心を有する回転軸14が連結され、ハウジング11に回転自在に支持されている。この回転軸14は、駆動ギアとしてのウォームホイール15が固結され、ハウジング11に搭載された駆動モータ(図示略)のウォームギア16がこのウォームホイール15に噛み合っている。従って、駆動モータによりウォームギア16、ウォームホイール15、回転軸14を介して粉砕テーブル13が駆動回転可能となっている。
【0025】
また、粉砕テーブル13は、外周側にリング形状をなすテーブルライナ17が固定されている。このテーブルライナ17は、表面(上面)が粉砕テーブル13の外周側に行くほどに高くなる傾斜面となっている。そして、この粉砕テーブル13(テーブルライナ17)の上方に対向して複数の粉砕ローラ18が配置されると共に、各粉砕ローラ18を駆動回転するローラ駆動装置19が設けられている。このローラ駆動装置19は、例えば、モータであって、粉砕ローラ18に駆動力を付与することができる。
【0026】
即ち、支持軸21は、後端部がローラ駆動装置19に支持され、このローラ駆動装置19は、ハウジング11の側壁部に取付軸22に支持されることで、支持軸21の先端部が上下方向に揺動可能となっている。この支持軸21は、先端部が粉砕テーブル13の回転軸心方向を向き、且つ、下方に傾斜するように配置され、粉砕ローラ18が装着されている。
【0027】
また、ローラ駆動装置19(支持軸21)は、上方に延びる上部アーム24が設けられ、ハウジング11に固定された押圧装置としての油圧シリンダ25の押圧ロッド26の先端部が、この上部アーム24の先端部に連結されている。ローラ駆動装置19(支持軸21)は、下方に延びる下部アーム27が設けられ、先端部がハウジング11に固定されたストッパ28に当接可能となっている。従って、油圧シリンダ25により押圧ロッド26を前進させると、上部アーム24を押圧し、ローラ駆動装置19及び支持軸21を取付軸22を支点として図1にて時計周り方向に回動することができる。このとき、下部アーム27がストッパ28に当接することで、ローラ駆動装置19及び支持軸21の回動位置が規定される。
【0028】
つまり、粉砕ローラ18は、粉砕テーブル13(テーブルライナ17)との間でバイオマス固形物を粉砕するものであり、粉砕ローラ18の表面と粉砕テーブル13(テーブルライナ17)の表面との間に所定隙間を確保する必要がある。そのため、油圧シリンダ25により支持軸21が所定の回動位置に規定されることで、粉砕ローラ18の表面と粉砕テーブル13の表面との間に、バイオマス固形物を取り込んで粉砕可能な所定隙間が確保される。
【0029】
この場合、粉砕テーブル13が回転すると、この粉砕テーブル13上に供給されたバイオマス固形物は、その遠心力により外周側に移動され、粉砕ローラ18と粉砕テーブル13との間に入り込む。粉砕ローラ18は、粉砕テーブル13側に押圧されているため、粉砕テーブル13の回転力がバイオマス固形物を介して伝達され、粉砕ローラ18は、この粉砕テーブル13の回転に連動して回転することができる。
【0030】
なお、本実施例にて、粉砕ローラ18を先端部側の径が小さくなるような円錐台形状とし、粉砕ローラ18の表面を平坦として構成したが、この形状に限定されるものではない。例えば、粉砕ローラ18をタイヤ形状としたりしてもよい。また、本実施例にて、粉砕ローラ18は、複数(3個)設けられ、粉砕テーブル13の回転方向に沿って等間隔に配置されている。この場合、粉砕ローラ18の数や配置は、粉砕テーブル13、粉砕ローラ18などの大きさなどに応じて適宜設定すればよいものである。
【0031】
また、この実施例1では、粉砕テーブル13の周速と異なる周速となるように各粉砕ローラ18の回転速度を調整可能なローラ速度調整機構として、ローラ駆動装置19を制御する制御装置41が設けられている。また、粉砕テーブル13の回転速度を検出する検出器42が設けられており、この検出器42は検出結果を制御装置41に出力する。制御装置41は、粉砕テーブル13の回転速度に基づいてローラ駆動装置19により粉砕ローラ18の回転速度を調整する。
【0032】
具体的に、制御装置41は、検出器42が検出した粉砕テーブル13の回転速度に基づいて粉砕ローラ18が対向する位置での周速を算出し、粉砕ローラ18の周速がこの粉砕テーブル13の周速と相違するように、ローラ駆動装置19を駆動制御して粉砕ローラ18の回転速度を設定する。
【0033】
この場合、制御装置41は、粉砕ローラ18の周速が粉砕テーブル13の周速より若干速くなるように、ローラ駆動装置19により粉砕ローラ18の回転速度を設定することが望ましい。
【0034】
ハウジング11は、下部に粉砕テーブル13の外周辺に位置して一次空気が送り込まれる入口ポート31が設けられている。また、ハウジング11は、上部にバイオマス供給管12の外周辺に位置して粉砕したバイオマスを排出する出口ポート32が設けられている。そして、ハウジング11は、この出口ポート32の下方にて、粉砕したバイオマスを分級する分級装置としてのロータリセパレータ33が設けられている。このロータリセパレータ33は、バイオマス供給管12の外周部に設けられ、駆動装置34により駆動回転可能となっている。また、ハウジング11は、下部に異物排出管35が設けられている。この異物排出管35は、バイオマス固形物に混在する礫や金属片などの異物(スピレージ)を粉砕テーブル13の外周部から落下させて排出するものである。
【0035】
このように構成された実施例1の竪型ミルにて、バイオマスなどの固形物がバイオマス供給管12からハウジング11内に供給されると、この固形物は、バイオマス供給管12内を落下し、粉砕テーブル13上の中心部に供給される。このとき、粉砕テーブル13が所定の速度で回転していることから、粉砕テーブル13上の中心部に供給された固形物は、遠心力が作用して四方に分散するように移動し、粉砕テーブル13の全面に一定の層が形成される。即ち、バイオマスなどの固形物が粉砕ローラ18と粉砕テーブル13との間に入り込む。
【0036】
すると、粉砕テーブル13の回転力がバイオマスなどの固形物を介して粉砕ローラ18に伝達され、粉砕テーブル13の回転に伴って粉砕ローラ18が回転する。このとき、粉砕ローラ18は、油圧シリンダ25により粉砕テーブル13側に押圧支持されていることから、粉砕ローラ18は回転しながらこの固形物を押圧して粉砕する。
【0037】
また、このとき、制御装置41は、検出器42が検出した粉砕テーブル13の回転速度に基づいてローラ駆動装置19を駆動制御して粉砕ローラ18の回転速度を設定する。具体的に、制御装置41は、粉砕ローラ18の周速が粉砕テーブル13の周速より若干速くなるように粉砕ローラ18の回転速度を調整する。そのため、粉砕ローラ18と粉砕テーブル13との間で速度差が生じ、固形物に対してせん断力を作用させることとなり、粉砕ローラ18は、回転しながらこの固形物を押圧して切断し、効率良く粉砕することができる。
【0038】
粉砕ローラ18により粉砕された固形物は、入口ポート31からハウジング11内に送り込まれた一次空気により、乾燥されつつ上昇する。この上昇した粉砕済固形物は、ロータリセパレータ33により分級され、粗粉は落下して再び粉砕テーブル13上に戻されて再粉砕が行われる。一方、細粒粉は、ロータリセパレータ33を通過し、気流に乗って出口ポート32から排出される。また、バイオマスなどの固形物に混在した礫や金属片などのスピレージは、粉砕テーブル13の遠心力により外周部から外方に落下し、異物排出管35により排出される。
【0039】
このように実施例1の竪型ミルにあっては、ハウジング11内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって粉砕テーブル13を駆動回転可能に支持し、この粉砕テーブル13の上方に対向して粉砕テーブル13の回転に連動して回転可能な粉砕ローラ18を配置し、ローラ駆動装置19によりこの粉砕ローラ18を駆動回転可能とすると共に、制御装置41によりローラ駆動装置19を制御して粉砕テーブル13の周速と異なる周速となるように粉砕ローラ18の回転速度を調整可能としている。
【0040】
従って、粉砕テーブル13が駆動回転し、この粉砕テーブル13上にバイオマスなどの固形物が供給されると、この固形物は、遠心力により外側に移動し、粉砕テーブル13と粉砕ローラ18との間に入り込む。そして、粉砕テーブル13の回転により粉砕ローラ18が回転することで固形物が粉砕され、このとき、制御装置41により粉砕ローラ18の回転速度が調整されることで固形物にせん断力が作用して粉砕が促進されることとなり、バイオマスなどの固形物を効率良く粉砕することで粉砕効率の向上を可能とすることができる。
【0041】
この場合、ローラ速度調整機構として、粉砕ローラ18に駆動力を付与するローラ駆動装置19を適用することで、このローラ駆動装置19が粉砕ローラ18に駆動力を付与し、粉砕ローラ18の周速と粉砕テーブル13の周速が相違することとなり、固形物にせん断力が作用して粉砕効率を向上することができる。
【0042】
そして、制御装置41は、粉砕ローラ18の周速が粉砕テーブル13の周速より速くなるようにローラ駆動装置19により粉砕ローラ18の回転速度を調整している。従って、粉砕ローラ18と粉砕テーブル13との間に固形物が噛み込みやすくなり、固形物の粉砕効率を向上することができる。
【0043】
なお、この実施例1にて、制御装置41は、粉砕ローラ18の周速が粉砕テーブル13の周速より速くなるようにローラ駆動装置19により粉砕ローラ18の回転速度を調整したが、粉砕ローラ18の周速が粉砕テーブル13の周速より若干遅くなるようにローラ駆動装置19により粉砕ローラ18の回転速度を調整してもよい。また、制御装置41は、粉砕ローラ18の回転方向が粉砕テーブル13の回転方向と逆方向となるようにローラ駆動装置19により粉砕ローラ18の回転方向を調整してもよい。更に、粉砕ローラ18は、粉砕テーブル13の回転力が固形物を介して伝達されてほぼ同速で回転することから、ローラ速度調整機構として、粉砕ローラ18に制動力(ブレーキ力)を付与するローラ制動装置を適用し、粉砕ローラ18の周速と粉砕テーブル13の周速が相違するように、つまり、粉砕ローラ18の周速が粉砕テーブル13の周速より遅くなるように調整してもよい。
【実施例2】
【0044】
図3は、本発明の実施例2に係る竪型ミルにおける粉砕ローラ及びその駆動装置を表す正面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
実施例2の竪型ミルにおいて、図3に示すように、粉砕テーブル13(テーブルライナ17)の上方に対向して複数の粉砕ローラ18が配置され、各粉砕ローラ18は、ローラ駆動装置19により駆動回転可能となっている。このローラ駆動装置19は、モータジェネレータであって、電動機として機能することができると共に、発電機として機能することができる。
【0046】
即ち、ローラ駆動装置(モータジェネレータ)19は、インバータ51が接続され、このインバータ51に蓄電池52が接続されており、制御装置41は、このインバータ51を制御可能となっている。ローラ駆動装置19を構成するモータジェネレータは、蓄電池52から供給された電力を機械的な動力に変換して支持軸21に出力する機能と、支持軸21に入力された機械的な動力を電力に変換して回収する機能を有している。
【0047】
つまり、ローラ駆動装置(モータジェネレータ)19がモータとして機能する場合には、支持軸21を介して粉砕ローラ18を回転することができる。この場合、制御装置41は、インバータ51により粉砕ローラ18の周速が粉砕テーブル13の周速より若干速くなるようにローラ駆動装置19を制御する。一方、ローラ駆動装置(モータジェネレータ)19がジェネレータとして機能する場合には、粉砕テーブル13の回転力が固形物を介して粉砕ローラ18に伝達されて支持軸21が回転することから、この支持軸21の回転力を電力に変換して蓄電池52に蓄電することができる。この場合、制御装置41は、インバータ51により粉砕ローラ18の周速が粉砕テーブル13の周速より若干遅くなるようにローラ駆動装置19を制御することとなり、電力回生ブレーキとして機能させる。
【0048】
なお、本実施例の竪型ミルの作用は、上述した実施例1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0049】
このように実施例2の竪型ミルにあっては、ローラ駆動装置19をモータジェネレータとし、このローラ駆動装置19により粉砕ローラ18を駆動回転可能とすると共に、制御装置41により粉砕テーブル13の周速と異なる周速となるように粉砕ローラ18の回転速度を調整可能としている。従って、制御装置41により粉砕ローラ18の周速と粉砕テーブル13の周速とが相違することで、粉砕ローラ18は固形物にせん断力が作用して粉砕が促進されることとなり、バイオマスなどの固形物を効率良く粉砕することで粉砕効率の向上を可能とすることができる。
【0050】
この場合、ローラ駆動装置19をモータジェネレータとすることで、粉砕ローラ18の周速と粉砕テーブル13の周速とを容易に相違させることができる。そして、ローラ駆動装置(モータジェネレータ)19は、回生制動可能であることから、粉砕ローラ18に回生ブレーキを付与することで、熱エネルギが電気エネルギに変換されて回収することができ、回収した電力の有効利用を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係る竪型ミルは、粉砕テーブルの上方に粉砕ローラを設けると共に粉砕テーブルの周速と異なる周速となるように粉砕ローラの回転速度を調整可能とすることで、バイオマスなどの固形物を効率良く粉砕して粉砕効率の向上を可能とするものであり、バイオマスなどの固形物を粉砕する装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
11 ハウジング
12 バイオマス供給管
13 粉砕テーブル
17 テーブルライナ
18 粉砕ローラ
19 ローラ駆動装置(ローラ速度調整機構)
21 支持軸
25 油圧シリンダ(押圧装置)
41 制御装置(ローラ速度調整機構)
42 検出器
51 インバータ
52 蓄電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に鉛直方向に沿った回転軸心をもって駆動回転可能に支持される粉砕テーブルと、
前記粉砕テーブルの上方に対向して配置されて回転自在に支持される粉砕ローラと、
前記粉砕テーブルの周速と異なる周速となるように前記粉砕ローラの回転速度を調整可能なローラ速度調整機構と、
を備えることを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記ローラ速度調整機構は、前記粉砕ローラに駆動力または制動力を付与する制駆動装置を有することを特徴とする請求項1に記載の竪型ミル。
【請求項3】
前記ローラ速度調整機構は、前記粉砕ローラに駆動力を付与する駆動装置を有し、該駆動装置は、前記粉砕ローラの周速が前記粉砕テーブルの周速より速くなるように前記粉砕ローラの回転速度を調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の竪型ミル。
【請求項4】
前記ローラ速度調整機構は、前記粉砕ローラを駆動回転する電気モータを有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の竪型ミル。
【請求項5】
前記電気モータは、回生制動可能であることを特徴とする請求項4に記載の竪型ミル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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