説明

竪型ミル

【課題】分級室を旋回しながら上昇する1次空気の流速を増大させ、粉砕物に作用する遠心力を増大させることで、分級効率の向上を図る竪型ミルを提供する。
【解決手段】円筒状の粉砕部3と、該粉砕部の上端より上方に延出し上方に向って縮径する円錐台形状の増速部4と、該増速部の上端より上方に延出する整流部5とで構成され、分級室12を形成するハウジング2と、前記整流部に設けられた分級機21と、前記粉砕部の下部に設けられた粉砕テーブル7と、該粉砕テーブルに押圧され、塊状物を粉砕する加圧ローラ9と、前記粉砕テーブルの周囲より前記分級室内を旋回する様1次空気を噴出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭、石灰岩等の塊状物を微粉に粉砕する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭を燃料とする石炭焚きボイラでは、塊状の石炭を竪型ミルにより粉砕して微粉炭とし、微粉炭を1次空気と共に燃焼装置であるバーナに供給している。
【0003】
竪型ミルは、ハウジングと、ハウジングの上部に収納され所定の回転数で回転する回転式の分級機と、ハウジングの下部に収納され所定の回転数で回転する粉砕テーブルと、ハウジングに支持された加圧ローラユニットとを有し、加圧ローラユニットは回転自在な加圧ローラを粉砕テーブルに押圧する構造となっている。
【0004】
粉砕テーブルにはシュートから塊状の石炭が粉砕テーブルの中心に投入され、供給される。供給された塊状の石炭は、粉砕テーブルの回転遠心力によって外周へと移動し、石炭が粉砕テーブルの外周に移動する過程で、加圧ローラと粉砕テーブルの間に噛込まれて粉砕される。粉砕された粉砕炭は粉砕テーブル周囲の1次空気吹出し口より吹上がる1次空気によって旋回しながら上昇する。
【0005】
粉砕炭が上昇する過程で、粉砕炭には旋回の遠心力による遠心分級が行われると共に、自重による重力が作用する重力分級が行われる。粉砕炭の内、粒径の大きい粗粉炭に作用する遠心力及び重力が大きいことから、粗粉炭は1次空気の上昇流より分離し、粉砕テーブル上に落下する。
【0006】
遠心分級及び重力分級により分級された後の粉砕炭は、ハウジング上部の分級機により衝突分級が行われ、更に粗粉炭が粉砕炭から分離されることで、粒径の小さい微粉炭が1次空気と共にバーナに供給される。
【0007】
従来の竪型ミルの場合、1次空気の旋回流はハウジングを上昇するのに伴い、次第に弱くなっていく為、遠心分級の効果を充分に発揮することができなかった。
【0008】
尚、各側壁に囲まれた容器内部の断面積が、下部から上部に向って減少する様にしたことで、容器内部へ流入する熱空気量を低減しても十分な吹上げ流速を得ることができる竪型ローラミルとして、特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−93820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は斯かる実情に鑑み、分級室を旋回しながら上昇する1次空気の流速を増大させ、粉砕物に作用する遠心力を増大させることで、分級効率の向上を図る竪型ミルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、円筒状の粉砕部と、該粉砕部の上端より上方に延出し上方に向って縮径する円錐台形状の増速部と、該増速部の上端より上方に延出する整流部とで構成され、分級室を形成するハウジングと、前記整流部に設けられた分級機と、前記粉砕部の下部に設けられた粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに押圧され、塊状物を粉砕する加圧ローラと、前記粉砕テーブルの周囲より前記分級室内を旋回する様1次空気を噴出する竪型ミルに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記整流部は、前記増速部の上端より上方に延出し上方に向って拡径する倒立円錐台形状の倒立円錐台部と、該倒立円錐台部の上端より上方に向って延出する円筒形状の大円筒部と、該大円筒部の上端より上方に延出し上方に向って縮径する円錐台形状の2次増速部と、該2次増速部の上端より上方に向って延出する円筒形状の小円筒部とからなり、前記分級機は前記小円筒部に設けられた竪型ミルに係るものである。
【0013】
又本発明は、前記大円筒部は、周面より接線方向に補助1次空気を噴出し、旋回流を増速する補助1次空気供給口を更に具備する竪型ミルに係るものである。
【0014】
又本発明は、前記整流部が、前記増速部の上端より上方に延出し上方に向って拡径する倒立円錐台形状の倒立円錐台部と、該倒立円錐台部の上端より上方に向って延出する円筒形状の円筒部とからなり、前記分級機は前記円筒部に設けられた竪型ミルに係るものである。
【0015】
更に又本発明は、前記整流部が、円筒形状である竪型ミルに係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、円筒状の粉砕部と、該粉砕部の上端より上方に延出し上方に向って縮径する円錐台形状の増速部と、該増速部の上端より上方に延出する整流部とで構成され、分級室を形成するハウジングと、前記整流部に設けられた分級機と、前記粉砕部の下部に設けられた粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに押圧され、塊状物を粉砕する加圧ローラと、前記粉砕テーブルの周囲より前記分級室内を旋回する様1次空気を噴出する吹出し口とを具備するので、1次空気が前記分級室内を上昇する過程で、前記増速部の縮径に伴い1次空気の流速が増大し、1次空気に運ばれる粉砕された塊状物に作用する遠心力が増大する為、増大した遠心力により粒径の大きい塊状物を1次空気の上昇流からより多く分離させることができ、分級性能の向上を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例に係る竪型ミルの概略立断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る竪型ミルの概略立断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例に係る竪型ミルの概略立断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例に係る竪型ミルの概略立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0019】
先ず、図1に於いて、本発明の第1の実施例について説明する。
【0020】
図1中、1は竪型ミルであり、該竪型ミル1は図示しない基台に立設されたハウジング2を有し、該ハウジング2は内部に密閉された空間を形成する。又、該ハウジング2は円筒形状の粉砕部3と、該粉砕部3の上端より上方に延出し上方に向って縮径する円錐台形状の増速部4と、該増速部4の上端より上方に延出する円筒形状の整流部5とで構成される。
【0021】
前記ハウジング2の下方にはテーブル駆動装置(図示せず)が設けられ、該テーブル駆動装置には前記ハウジング2を下方から前記粉砕部3の下部迄垂直に貫通する駆動軸6が連結されている。該駆動軸6の上端には粉砕テーブル7が設けられており、該粉砕テーブル7は前記駆動軸6を介して前記テーブル駆動装置によって定速又は可変速で回転される。
【0022】
前記粉砕テーブル7の上面には、凹溝8が前記粉砕テーブル7の中心と同心円に形成され、前記粉砕テーブル7の回転中心から放射状に所要組数、例えば120°間隔で3組の加圧ローラ9が傾動自在に設けられている。該加圧ローラ9は、アクチュエータ、例えば図示しない油圧シリンダ等により前記凹溝8に押圧される様になっている。
【0023】
前記ハウジング2内部の前記粉砕テーブル7の下方には1次空気室11が形成され、前記粉砕テーブル7より上方は、分級室12となっている。又、該分級室12は、前記粉砕部3の内部に形成される粉砕室13、前記増速部4の内部に形成される増速室14、前記整流部5の内部に形成される整流室15からなっている。尚、前記増速室14は、1次遠心分級を行う1次遠心分級部として作用する。
【0024】
前記ハウジング2の下部には1次空気供給口16が取付けられ、該1次空気供給口16は図示しない送風機に接続されると共に、前記1次空気室11に連通している。前記粉砕テーブル7の周囲には、周方向に傾斜した1次空気の吹出し口17が全周に設けられている。
【0025】
前記ハウジング2の上側には原料給排部(図示せず)が設けられ、該原料給排部はパイプ状のシュート18を有している。該シュート18は前記ハウジング2の内部の前記粉砕室13迄延出し、下端が前記粉砕テーブル7の中央上方に位置している。前記シュート18には塊状の石炭が供給され、供給された石炭は前記粉砕テーブル7の中心部に落下する様になっている。
【0026】
又、前記整流室15には、ブレード19を有する分級機21が前記シュート18に対して回転自在に設けられ、前記分級機21は分級機駆動装置(図示せず)によって回転される。前記ブレード19は短冊状であり、倒立円錐曲面上に円周方向に所定角度ピッチで所定枚数、例えば20枚〜60枚配設される。又、前記ブレード19は下端から上端に向って前記整流室15の中心から離反する様に傾斜している。
【0027】
前記原料給排部には、粉砕された微粉炭を送給する微粉炭送給管22が接続されており、該微粉炭送給管22はボイラのバーナ(図示せず)に接続されている。
【0028】
次に、前記竪型ミル1に於ける石炭の粉砕について説明する。
【0029】
前記粉砕テーブル7が、前記駆動軸6を介してテーブル駆動装置(図示せず)によって回転され、前記1次空気供給口16より200℃前後の1次空気が前記1次空気室11に導入された状態で、前記シュート18より塊状の石炭が投入される。塊状の石炭は、前記シュート18の下端より前記粉砕テーブル7の中心部に流落し、該粉砕テーブル7上に供給される。
【0030】
該粉砕テーブル7上の石炭は、該粉砕テーブル7の回転による遠心力で外周方向に移動し、前記加圧ローラ9に噛込まれて粒径の大きい粗粉炭と粒径の小さい微粉炭からなる粉砕炭に粉砕され、更に遠心力によって外周に移動する。
【0031】
前記1次空気供給口16より前記1次空気室11に導入された1次空気が、前記粉砕テーブル7の前記吹出し口17より吹上がり、遠心力によって前記凹溝8を乗越えた粉砕炭は、前記吹出し口17から吹上がった1次空気に乗り、粉砕炭流23として前記分級室12の外周部を前記粉砕部3の内壁面に沿って旋回しながら上昇する。
【0032】
尚、粉砕炭流23の旋回流速は、旋回流の直径の2乗に反比例する。又、遠心力は旋回流速の2乗に比例(直径の4乗に反比例)し、旋回流の回転半径(直径)の1乗に反比例する。従って、粉砕炭流23に作用する遠心力は、旋回流の直径の5乗に反比例する。一方、旋回流や上昇流による抗力は、流速の2乗に比例(直径の4乗に反比例)する様になっている。
【0033】
粉砕炭流23には、先ず前記粉砕室13の外周を上昇する過程で、1次空気の旋回による遠心力が作用し遠心分級が行われると共に、粉砕炭の自重による重力が作用し重力分級が行われる。この時、粒径の大きい粗粉炭に対して大きい遠心力及び重力が作用する為、粗粉炭のみが粉砕炭流23から径方向に分離され、前記粉砕部3の内壁に飛ばされると共に、重力方向に分離され、前記粉砕テーブル7上に落下する。
【0034】
前記粉砕室13を上昇する粉砕炭流23は、次いで上方に向って縮径する前記増速室14を旋回しながら上昇する。
【0035】
前述した様に、粉砕炭流23の流速は旋回流の直径の2乗に反比例し、粉砕炭流23に作用する遠心力は旋回流の直径の5乗に反比例する為、粉砕炭流23が前記増速室14を上昇し、該増速室14の径が縮小されるのに伴い、粉砕炭流23の旋回流の回転半径が減少し、流速が増大すると共に、粉砕炭流23の中の粉砕炭に作用する遠心力が大きくなる。尚、旋回流の回転半径は漸次減少するので、縮径する際の旋回流の圧損の増大を抑制できる。
【0036】
従って、前記増速室14では、粉砕炭流23に対する遠心分級の効果が大きくなるので、前記粉砕室13に於いて遠心分級及び重力分級で分離できなかった粗粉炭を、遠心力により粉砕炭流23から径方向に分離させることができる。
【0037】
又、前記増速室14は円錐台形状となっているので、粉砕炭流23から分離され、前記増速室14の内壁に衝突した粗粉炭は、下方向への反力を受け、容易に下方へと落下する。
【0038】
前記増速室14を上昇した粉砕炭流23は、次いで前記整流室15を上昇する。該整流室15では、縮径しながら旋回していた粉砕炭流23が、前記整流部5の内壁に沿って再度上昇方向が垂直な旋回流へと整流され、整流された粉砕炭流23が前記分級機21に流入し、衝突分級が行われる。
【0039】
該分級機21に流入した粉砕炭流23は、前記ブレード19を横切る際に、所定粒径以上の粗粉炭が前記ブレード19によって弾かれ、前記粉砕テーブル7上に落下する。又、前記ブレード19を通過した所定粒径以下の微粉炭は、前記微粉炭送給管22より送出され、図示しないボイラのバーナに供給される。
【0040】
重力分級、遠心分級、衝突分級によって分級され、前記粉砕テーブル7上に落下した粗粉炭は、該粉砕テーブル7の回転遠心力によって前記凹溝8迄移動し、前記加圧ローラ9によって再度粉砕され、前記分級室12を上昇し、前記分級機21に流入する過程で再度重力分級、遠心分級、衝突分級により分級が行われる。
【0041】
上述の様に、第1の実施例では、前記ハウジング2に上方に向って縮径する円錐台形状の前記増速部4を設け、前記分級室12内を上昇する粉砕炭流23の旋回速度を増大させ、粉砕炭流23に作用する遠心力が大きくなる様にしたので、遠心分級の効果が増大し、前記竪型ミル1に於ける分級性能を向上させることができる。
【0042】
又、前記増速部4の上端より延出する円筒形状の前記整流部5を設け、粉砕炭流23が前記整流部5の内壁に沿って旋回しながら垂直方向に上昇する様整流したので、粉砕炭流23が縮径しながら前記分級機21の一部に集中して流入するのを防止することができ、該分級機21に流入する粉砕炭流23の流量分布の均一化を図り分級性能を向上させることができる。
【0043】
更に、第1の実施例では、前記粉砕部3よりも径の小さい前記整流部5に前記分級機21を設けるので、該分級機21を小型化することができ、コストの低減を図ることができる。
【0044】
次に、図2に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図2中、図1中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
第2の実施例では、ハウジング2が粉砕部3と増速部4と整流部24とによって構成されている。該整流部24は、増速部4の上端より上方に延出し上方に向って拡径する倒立円錐台形状の倒立円錐台部25と、該倒立円錐台部25の上端より上方に向って延出する円筒形状の円筒部26により構成され、前記整流部24の内部に整流室27が形成される。
【0046】
尚、分級機21は、前記整流室27の上部、即ち前記円筒部26に同心に収納される。
【0047】
シュート18より投入され、加圧ローラ9により粉砕された粉砕炭は、1次空気に吹上げられて粉砕炭流23として分級室12内の外周部を旋回しながら上昇する。
【0048】
増速室14を上昇する過程で速度が増大された粉砕炭流23は、次いで前記整流室27を上昇する。該整流室27を上昇する粉砕炭流23は、前記倒立円錐台部25の内壁に沿って旋回流の直径が拡径されるのに伴い、前記粉砕炭流23の流速が減少する。
【0049】
粉砕炭流23は、流速が減少することで安定した流れとなり、更に前記円筒部26の内壁に沿って旋回しながら垂直に上昇する様整流される。上昇方向が垂直な旋回流へと整流されることで、粉砕炭流23が前記分級機21の一部に集中して流入するのを防止することができるので、該分級機21に流入する粉砕炭流23の流量分布の均一化を図ることができ、分級性能を向上させることができる。
【0050】
又、粉砕炭流23を旋回しながら垂直に上昇する様整流したことで、粉砕炭流23がブレード19に対して直交する方向から前記分級機21に流入し易くなり、該分級機21の性能を安定させることができる。
【0051】
次に、図3に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、図3中、図1中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
第3の実施例では、ハウジング2が粉砕部3と増速部4と整流部28とによって構成されている。該整流部28は、増速部4の上端より上方に延出し上方に向って拡径する倒立円錐台形状の倒立円錐台部29と、該倒立円錐台部29の上端より上方に延出する円筒形状の大円筒部31と、該大円筒部31の上端より上方に延出し上方に向って縮径する円錐台形状の2次増速部32と、該2次増速部32の上端より上方に向って延出する円筒形状の小円筒部33により構成され、前記整流部28の内部に整流室34が形成される。尚、該整流室34は、前記2次増速部32により2次遠心分級を行う2次遠心分級部としても作用する。
【0053】
尚、分級機21は前記整流室34の上部、即ち前記小円筒部33に同心に収納される。
【0054】
シュート18より投入され、加圧ローラ9により粉砕された粉砕炭は、1次空気に吹上げられて粉砕炭流23として分級室12内の外周部を旋回しながら上昇する。
【0055】
増速室14を上昇する過程で速度が増大された粉砕炭流23は、次いで前記整流室34を上昇する。該整流室34を上昇する粉砕炭流23は、前記倒立円錐台部29の内壁に沿って旋回流の直径が拡径されるのに伴い、粉砕炭流23の流速が低下する。
【0056】
その後、前記大円筒部31の内壁に沿って粉砕炭流23が旋回しながら垂直に上昇する様整流された後、前記2次増速部32の内壁に沿って再度旋回流の直径が縮径され、粉砕炭流23の流速が増大する。
【0057】
粉砕炭流23の流速が再度増大されることで、粉砕炭流23中の粉砕炭に作用する遠心力が大きくなり、再度遠心分級が行われ、前記粉砕室13、前記増速室14で分離できなかった粗粉炭を、遠心力により粉砕炭流23から径方向に分離させることができる。
【0058】
粉砕炭流23から分離された粗粉炭は、前記2次増速部32の内壁から下方へ力を受け落下し、前記倒立円錐台部29の内壁に沿って滑落し、前記粉砕テーブル7上に落下する。
【0059】
又、前記2次増速部32の内壁に沿って縮径されることで流速が増大した粉砕炭流23は、前記小円筒部33の内壁に沿って再度上昇方向が垂直な旋回流へと整流され、整流された粉砕炭流23が前記分級機21に流入する。
【0060】
この時、該分級機21の回転速度は、前記2次増速部32による粉砕炭流23の流速の増大に応じて増大させるのが望ましい。
【0061】
粉砕炭流23が上昇方向が垂直な旋回流へと整流されることで、分級機21に流入する粉砕炭流23の流量分布が均一となり、分級性能を向上させることができる。
【0062】
又、前記2次増速部32によって、粉砕炭流23に作用する遠心力を増大させ、再度遠心分級を行う様にしたので、前記粉砕室13、前記増速室14で分離できなかった粗粉炭を、遠心力により粉砕炭流23から径方向に分離させることができ、前記竪型ミル1に於ける分級性能を向上させることができる。
【0063】
又、前記整流室34内で粉砕炭流23を再度増速させる様にしたので、前記分級機21にて分級され、図示しないボイラのバーナに送給される微粉炭の量を増加させることができる。従って、前記増速室14と前記整流室34に於ける粉砕炭流23の上昇速度の差によって粉砕炭が前記整流室34内に滞留し、ミル差圧が上昇するのを抑制することができると共に、粉砕容量の増大を図ることができる。
【0064】
次に、図4に於いて、本発明の第4の実施例について説明する。尚、図4中、図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
第4の実施例では、第3の実施例に於ける整流部28の大円筒部31に、図示しない送風機に接続され、整流室34に接線方向から連通する補助1次空気供給口35を設けている。
【0066】
該補助1次空気供給口35は、供給された補助1次空気が上方に向って旋回する旋回流を形成できる様、前記大円筒部31の外壁に対して下方且つ周方向に傾斜して設けられている。尚、前記補助1次空気供給口35の傾斜角度(水平に対する角度)は、供給された補助1次空気が、前記整流室34内を旋回しながら上昇する粉砕炭流23の流速を加速可能な角度とすることが望ましい。
【0067】
石炭の粉砕処理時には、前記整流室34内を旋回しながら上昇する粉砕炭流23に対して、前記補助1次空気供給口35より補助1次空気を供給することで、粉砕炭流23の流速を増大させることができる。従って、2次増速部32に於いて再度行われる遠心分級の効果を更に増大させることができ、分級性能の向上を図ることができる。
【0068】
又この時、前記分級機21の回転速度は、上昇する粉砕炭流23の流速に合わせて増大させる。
【0069】
補助1次空気により粉砕炭流23の流速を増大可能としたことで、図示しないボイラのバーナに送給される微粉炭の量を、第3の実施例よりも更に増加させることができる為、前記増速室14と前記整流室34の粉砕炭流23の上昇速度の違いによるミル差圧の上昇を更に抑制でき、更に粉砕容量の増大を図ることができる。
【0070】
尚、本発明では、石炭の粉砕について説明したが、本発明の竪型ミルは、石灰岩等他の塊状物の粉砕に於いても適用可能であるのは言う迄もない。
【符号の説明】
【0071】
1 竪型ミル
2 ハウジング
3 粉砕部
4 増速部
5 整流部
7 粉砕テーブル
9 加圧ローラ
17 吹出し口
21 分級機
23 粉砕炭流
24 整流部
25 倒立円錐台部
26 円筒部
27 整流室
28 整流部
29 倒立円錐台部
31 大円筒部
32 2次増速部
33 小円筒部
34 整流室
35 補助1次空気供給口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の粉砕部と、該粉砕部の上端より上方に延出し上方に向って縮径する円錐台形状の増速部と、該増速部の上端より上方に延出する整流部とで構成され、分級室を形成するハウジングと、前記整流部に設けられた分級機と、前記粉砕部の下部に設けられた粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに押圧され、塊状物を粉砕する加圧ローラと、前記粉砕テーブルの周囲より前記分級室内を旋回する様1次空気を噴出することを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記整流部は、前記増速部の上端より上方に延出し上方に向って拡径する倒立円錐台形状の倒立円錐台部と、該倒立円錐台部の上端より上方に向って延出する円筒形状の大円筒部と、該大円筒部の上端より上方に延出し上方に向って縮径する円錐台形状の2次増速部と、該2次増速部の上端より上方に向って延出する円筒形状の小円筒部とからなり、前記分級機は前記小円筒部に設けられた請求項1の竪型ミル。
【請求項3】
前記大円筒部は、周面より接線方向に補助1次空気を噴出し、旋回流を増速する補助1次空気供給口を更に具備する請求項2の竪型ミル。
【請求項4】
前記整流部は、前記増速部の上端より上方に延出し上方に向って拡径する倒立円錐台形状の倒立円錐台部と、該倒立円錐台部の上端より上方に向って延出する円筒形状の円筒部とからなり、前記分級機は前記円筒部に設けられた請求項1の竪型ミル。
【請求項5】
前記整流部は、円筒形状である請求項1の竪型ミル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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