竪型粉砕装置ならびに石炭焚ボイラ装置
【課題】装置内部の圧力損失が低減でき、外周ハウジングの磨耗も低減できる竪型粉砕装置を提供する。
【解決手段】被粉砕物を回転テーブル2と粉砕ローラ3で粉砕し、その粉砕された粒子群をスロート部42から噴出した旋回力を有する搬送用気体61で上方に吹き上げて分級部へ搬送する竪型粉砕装置において、搬送用気体61で吹き上げた粒子群のうちで粒度の大きい粒子が分級部に到達する前に重力によって落下する落下粒子76と、スロート部42から吹き上げられた新たな粒子群が合流して形成される粒子濃度の高い密集帯に対して、搬送用気体61の一部を噴射して、密集帯内の粒子を分散させるための密集帯粒子分散手段68を設けたことを特徴とする。
【解決手段】被粉砕物を回転テーブル2と粉砕ローラ3で粉砕し、その粉砕された粒子群をスロート部42から噴出した旋回力を有する搬送用気体61で上方に吹き上げて分級部へ搬送する竪型粉砕装置において、搬送用気体61で吹き上げた粒子群のうちで粒度の大きい粒子が分級部に到達する前に重力によって落下する落下粒子76と、スロート部42から吹き上げられた新たな粒子群が合流して形成される粒子濃度の高い密集帯に対して、搬送用気体61の一部を噴射して、密集帯内の粒子を分散させるための密集帯粒子分散手段68を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕ローラと回転テーブルにより固体原料を粉砕し、分級装置により所定の粒度分布に調整することが可能な竪型粉砕装置に係り、特に石炭焚ボイラ装置の微粉炭製造装置として好適な竪型粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料として微粉炭を燃焼させる火力発電用の石炭焚ボイラ装置において、微粉炭製造装置として竪型粉砕装置が一般に使用されている。
【0003】
図15は従来から用いられている竪型粉砕装置の概略構成図、図16は図15X−X線上から見た粉砕部の概略構成図である。
【0004】
この竪型粉砕装置は図15に示すように、回転テーブル2を回転駆動させる駆動部A、前記回転テーブル2と粉砕ローラ3の噛み込みにより微粉炭の原料である石炭60を粉砕する粉砕部B、その粉砕部Bの上部に設置されて微粉炭を任意の粒度に分級する分級部C、その分級部Cより送られてきた微粉炭を石炭焚ボイラに接続された複数の送炭管31へ分配する分配部Dとから主に構成されている。
【0005】
次に、図15を用いてこの竪型粉砕装置の動作について説明する。
給炭管1より供給された石炭60は、矢印で示すように回転テーブル2の中心部に落下する。その回転テーブル2は、減速機50を介して駆動モータ51により所定の方向に回転駆動されている。回転テーブル2上に落下した石炭60は、回転に伴う遠心力によって回転テーブル2上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動され、回転テーブル2とタイヤ状の粉砕ローラ3との間に噛み込まれて粉砕される。
【0006】
粉砕された石炭は、回転テーブル2の周囲に設けられたスロート42から導入される一次空気61(搬送用空気)によって上方に吹き上げられる。吹き上げられた粒子群62のうち、粒子が大きいものは分級部Cへと搬送される途中で重力により落下し、粉砕部Bに戻される(一次分級)。符号76は、前記一次分級により分離された粒子が大きい落下粒子である。
【0007】
分級部Cに到達した上昇粒子69は、所定粒度以下の微粒子67と所定粒度を越えた粗粒子63とに分級され(二次分級)、粗粒子63は粉砕部Bへ落下して、再び粉砕される。一方、分級部Cを通過した微粒子67は、分配器30において複数の送炭管31に分配されて、製品微粉64として図示しない石炭焚ボイラへ送られる。
【0008】
一次空気61は、一次空気ダクト40を介して一次空気ウィンドボックス41の側面から導入され、その一次空気ウィンドボックス41内で整流化された後、スロート42から上方に噴出する。
【0009】
図17は、従来の竪型粉砕装置におけるスロート部付近の拡大断面図である。
同図に示すようにスロート42は、内側リング44に囲まれて形成された空気流路である。この例では、スロート42が回転テーブル2側に接続されている回転式旋回流スロートであるが、外周ハウジング46側に接続されている固定式旋回流スロートの場合もある。
【0010】
図15ないし図17において、図中の符号5は加圧フレーム、6はローラブラケット、7はローラピボット、8は加圧ロッド、9は加圧装置、10は固定式分級機構、11は回収コーン、12は固定フィン、20は回転式分級機構、21は回転フィン、22は回転軸、23は分級機モータ、45は外側リング、46は外周ハウジング、47は傾斜部材、65は分級部Cに流入する粒子群である。
【0011】
この種の竪型粉砕装置に係る先行技術文献として、例えば下記の特許文献などを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−231112号公報
【特許文献2】特開昭58−193743号公報
【特許文献3】特開昭58−207953号公報
【特許文献4】特開昭59−102451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
近年の発電プラントでは、電力の自由化や設備供給のグローバル化により、国内外において価格競争の激化が進んでいる。特に竪型粉砕装置では、発電コストを削減するために運転動力の低減が望まれている。
【0014】
竪型粉砕装置の運転動力のうち、約半分は粉砕した石炭粉を乾燥・搬送する搬送用空気(一次空気61)の送風ファンの動力が占める。よって、竪型粉砕装置内の圧力損失を下げることが重要な課題となっており、これを下げることが動力低減を達成するために有効な手段である。竪型粉砕装置内での圧力損失発生には多種、多様な原因が考えられるが、その一因に、粉砕ローラ外周での粒子の密集帯発生による圧力損失増大が挙げられる。
【0015】
図18はスロート42から噴出される一次空気の流れを平面から見た図、図19はスロート42から噴出される一次空気の流れを垂直方向から見た図、図20は粉砕ローラ3と外周ハウジング46の間に生じる粒子の密集帯77を説明するための図である。
【0016】
図18に示すようにスロート42によって旋回力が与えられ一次空気流70は、外周ハウジング46の内壁に向けて噴出する。そして、外周ハウジング46の内壁に衝突した一次空気流70は図19に示すように外周ハウジング46の内壁を周方向に沿って上昇する上昇一次空気流75となり、この上昇一次空気流75により図20に示すように粉砕ローラ3で粉砕された粒子群62を粉砕装置上部の分級部Cへと吹き上げる。
【0017】
吹き上げられた粒子群62のうち、粒度の大きい粒子は向きを変えて重力によって落下する(落下粒子76)。すると、粉砕ローラ3と外周ハウジング46の間の落下粒子76と下から吹き上げられた粒子群62が合流して、局所的に粒子濃度が高くなる粒子の密集帯77(図20参照)が生じる。これにより、この領域での圧力損失が高まり、結局、粉砕装置内での圧力損失が増加することになる。
【0018】
この粒子の密集帯77は図16に示すように、特に回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された石炭粉が排出される、粉砕ローラ3の背後(後方)の領域で発生し易いことが、各種の実験で確認されている。
【0019】
また従来の竪型粉砕装置では、粉砕ローラ3で粉砕された粒子群62が旋回力を有する一次空気流70に運ばれて、図17、図18に示すように外周ハウジング46に衝突することにより、外周ハウジング46の壁面が摩耗79するという問題もある。
【0020】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、装置内部の圧力損失が低減でき、しかも外周ハウジングの磨耗も低減できる竪型粉砕装置ならびにそれを用いた石炭焚ボイラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、回転テーブルと、その回転テーブルの上面に載置されて前記回転テーブルの回転に伴って回転する複数個の粉砕ローラとを有する粉砕部と、
搬送用気体が供給されるウインドボックスと、
前記粉砕部の外周に設置されて前記ウインドボックスに供給された搬送用気体に旋回力を付与して前記回転テーブルの外周部から噴出するスロート部と、
前記粉砕部の上方に設置されて前記粉砕部で粉砕された粒子群の分級を行なう分級部と、
前記粉砕部、ウインドボックスならびに分級部を収容するハウジングを備え、
前記回転テーブル上に投下された被粉砕物を回転テーブルと粉砕ローラとの噛み込みで粉砕し、その粉砕された粒子群を前記スロート部から噴出した旋回力を有する前記搬送用気体で上方に吹き上げて前記分級部へ搬送する竪型粉砕装置を対象とするものである。
【0022】
そして、前記搬送用気体で上方に吹き上げた粒子群のうちで粒度の大きい粒子が前記分級部に到達する前に重力によって落下する落下粒子と、前記スロート部から吹き上げられた新たな前記粒子群が合流して形成される粒子濃度の高い密集帯に対して、前記搬送用気体の一部を噴射して、前記密集帯内の粒子を分散させるための密集帯粒子分散手段を設けたことを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記密集帯粒子分散手段が、前記粉砕ローラの回転テーブル回転方向後流部にそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記密集帯粒子分散手段が、前記ウインドボックスを区画形成するために、前記ハウジングとスロート部の間に配置され、ハウジングからスロート部側へ向って下降した傾斜部材に設けた気体噴出孔で構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、前記粉砕ローラを回転可能に支持するローラブラケットと対向している前記傾斜部材の部分には前記気体噴出孔を形成しないことを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第5の手段は前記第3の手段において、前記スロート部の総和開口面積(A1)に対する気体噴出孔の総和開口面積(n×A2)の比(n×A2/A1)を0.1〜1.3の範囲に規制したことを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第6の手段は前記第3の手段において、前記傾斜部材の下端から上端までの長さ(L1)に対する傾斜部材の下端から前記気体噴出孔の上端までの長さ(L2)の比(L2/L1)を0.1〜0.9の範囲に規制したことを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第7の手段は前記第3の手段において、前記傾斜部材の気体噴出孔にノズルを設置したことを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第8の手段は前記第7の手段において、前記ノズルが前記傾斜部材の表面よりも上方に突出していることを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第9の手段は、石炭を粉砕する竪型粉砕装置と、その竪型粉砕装置で粉砕して得られた微粉炭を微粉炭バーナで燃焼する石炭焚ボイラを備えた石炭焚ボイラ装置において、
前記竪型粉砕装置が前記第1ないし第8の手段のいずれか1つの手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明は前述のような構成になっており、スロートでの圧力損失を有効に低減しつつ、外周ハウジングの摩耗も低減することが可能となり、運転時の信頼性を向上することができる竪型粉砕装置ならびにそれを用いた石炭焚ボイラ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図2】図1Y−Y線上から見た粉砕部の概略構成図である。
【図3】その竪型粉砕装置のスロート部付近の拡大断面図である。
【図4】図3Z−Z線上の拡大断面図である。
【図5】その第1の実施形態において、気体噴出孔から噴出した空気の流れにより、密集帯中の高濃度粒子群を拡散させる状態を説明するための図である。
【図6】従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置の圧力損失量ΔPを比較して示す図である。
【図7】スロート部での空気の流れを垂直方向から示す図である。
【図8】スロート部での空気の流れを水平方向から示す図である。
【図9】従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置の外周ハウジングでの磨耗量を比較して示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る竪型粉砕装置の水平方向から見た粉砕部の概略構成図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る竪型粉砕装置のスロート部の拡大断面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る竪型粉砕装置のスロート部の拡大断面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る竪型粉砕装置のスロート部の拡大断面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚ボイラ装置の概略構成図である。
【図15】従来の竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図16】図15X−X線上から見た粉砕部の概略構成図である。
【図17】その竪型粉砕装置におけるスロート部付近の拡大断面図である。
【図18】スロートから噴出される一次空気の流れを平面から見た図である。
【図19】スロートから噴出される一次空気の流れを垂直方向から見た図である。
【図20】粉砕ローラと外周ハウジングの間に生じる粒子の密集帯を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図、図2は図1Y−Y線上から見た粉砕部の概略構成図、図3はその竪型粉砕装置のスロート部付近の拡大断面図、図4は図3Z−Z線上の拡大断面図である。
【0034】
本実施形態に係る竪型粉砕装置の全体的な概略構成ならびに動作は、前述した従来のものとほぼ同様なので、重複する説明は省略する。この実施形態におけるスロート42は図3に示すように、回転テーブル2と外周ハウジング46の環状隙間に設置され、内側リング44と、その内側リング44の径方向外側に配置された外側リング45と、前記内側リング44と外側リング45の間で円周方向に複数個設置されているスロートベーン43とに囲まれた空気流路で構成されている。前記内側リング44、外側リング45ならびにスロートベーン43は回転テーブル2の外周部に支持されており、回転テーブル2の回転とともに回転することから回転式旋回流スロートと呼ばれる。
【0035】
このスロート42は本実施形態のみには限定されず、少なくとも回転テーブル2と外周ハウジング46の環状隙間に、円周方向に複数個設置されたスロートベーン43を備えていればよい。
【0036】
竪型粉砕装置では、粉砕ローラ3はローラブラケット6により同じ位置に支持されているため、一次分級を強化する目的で、回転テーブル2と外周ハウジング46の隙間にスロートベーン43を複数設置して、スロート42から噴出される一次空気61に旋回力を与えている。
【0037】
そのためスロート42から噴出される一次空気61は、後述するようにスロート通過後、外周ハウジング46の方向に向けて噴出し、その後外周ハウジング46の内壁を周方向に沿って旋回しながら上昇して行く。
【0038】
次にスロート42の機能について説明する。スロート42は、一次空気61を回転テーブル2の外周部から噴出する機能を有している。
図4は、スロート42を通過する一次空気の流れを示す図である。一次空気ウィンドボックス41(図3参照)から流入した一次空気61は、スロートベーン43の傾斜方向に沿ってスロート42を通過し、粉砕部Bに噴出される。スロートベーン43を傾斜させることで、粉砕部Bに噴出される一次空気流70に旋回力を与えており、旋回力が付与された一次空気流70で粉砕ローラ3により粉砕された粉体をほぼ均一に上方へ吹き上げることができる。
【0039】
また、同図に示すスロートベーン43の傾斜角度θ2を45°以上(θ2≧45°)、すなわちスロートベーン43を伏せるように設置することで、一次空気流70を回転テーブル2に対して平行な速度成分を、回転テーブル2に対して垂直な速度成分よりも大きくし、一次空気流70に効果的に旋回力を与えることが可能となる。
【0040】
図19に示しているように、外周ハウジング46の内壁を周方向に沿って旋回しながら上昇する一次空気流75により、粉砕ローラ3で粉砕された粒子群62(図1参照)を粉砕装置上部の分級部Cへと吹き上げる。
【0041】
このとき従来の竪型粉砕装置では図20に示すように、吹き上げられた粒子群62のうち、粒度の大きい粒子は重力によって落下し、落下粒子76と下から吹き上げられた粒子群62が合流して、粉砕ローラ3と外周ハウジング46の間で局所的に粒子濃度が高くなる密集帯77が生じて、これが粉砕装置内での圧力損失の要因となっている。
【0042】
これを解消するため本実施形態では図3に示すように、外周ハウジング46とスロート42の間に位置し、外周ハウジング46の内壁に連接され、外周ハウジング46よりスロート42側へ向かって下降した構造の傾斜部材47に、粉砕装置の中心方向に向かって一次空気を噴出するように気体噴出孔68を周方向に沿って複数個設置した(図2参照)。なお、この傾斜部材47は図1や図3に示すように、ウィンドボックス41を区画形成する1つの部材となっている。
【0043】
傾斜部材47の傾斜角度θ1(図3参照)は約20°≦θ1≦70°であり、これは従来の粉砕装置と同じである。気体噴出孔68の設置により、一次空気61がスロート42だけでなく気体噴出孔68も通って粉砕部に流入することが可能となる。
【0044】
これにより図5に示すように、気体噴出孔68から粉砕装置の中心斜め上方に向かう空気流71が生じ、その空気流71が前記粒子の密集帯77(図20参照)に衝突し、その密集帯77内にある高濃度粒子群を拡散させて、この領域での圧力損失を低減することができる。
【0045】
図中の78は前記空気流71によって拡散された粒子であり、図では拡散された粒子78を特定するために便宜上1つの塊状で描いているが、実際には粒子が拡散して図に示すような塊状にはなっていない。気体噴出孔68は、その形状によらず密集帯77の粒子を拡散させる効果があれば、例えば丸穴やスリットなどのような適宜な形状で良い。
【0046】
図6は、従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置の圧力損失量ΔPを比較して示す図である。この図では、従来の竪型粉砕装置の圧力損失量ΔPを1とした場合の、本実施形態に係る竪型粉砕装置の圧力損失量ΔPを示している。
【0047】
なお、この試験において、従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置でのスロート42は同じ構造であり、供給する一次空気流量も同等とした。本実施形態に係る竪型粉砕装置では、スロート42の総和開口面積に対する複数個設置した気体噴出孔68の総和開口面積の比を0.5とした。この図から明らかなように、従来の竪型粉砕装置に較べて圧力損失量ΔPを約60%低減することができた。
【0048】
スロート42全体の総和開口面積をA1、1個の気体噴出孔68の開口面積をA2、全部(n個)の気体噴出孔68の総和開口面積をn×A2とすると、A1に対するn×A2の比率(n×A2/A1)が0.1未満になると、実質的に気体噴出孔68の径が小さくなり、空気流71が気体噴出孔68を通過する時に、流路が急縮小及び急拡大となることにより発生する剥離渦の影響により、空気流71が密集帯77内の高濃度粒子群を効果的に拡散することができなくなる。従って、(n×A2/A1)=0.1以上にすることが望ましい。
【0049】
また、(n×A2/A1)=1.3を超えると、気体噴出孔68を通過する空気流71の量が多くなり、反対にスロート42を通過する空気流70の量が少なくなって、スロート42から噴出される空気流速が低下することにより、気体噴出孔68から石炭粉の落下量が増加するため、(n×A2/A1)=1.3以下にすることが望ましい。さらには、(n×A2/A1)=0.6以下にすることで、気体噴出孔68から石炭粉の落下がほぼ無くなる。
【0050】
このようなことから(n×A2/A1)を0.1〜1.3の範囲、好ましくは0.1〜0.6の範囲に規制するとよい。
【0051】
次に外周ハウジング46の磨耗について説明する。
従来の竪型粉砕装置では図17や図18に示すように、スロート42により旋回力が与えられた一次空気流70は外周ハウジング46へ向かって噴出し、外周ハウジング46の近傍での流速が高くなる。そしてこの一次空気流70によって運ばれた粒子群62が外周ハウジング46に衝突することにより、外周ハウジング46の周壁が摩耗79するという問題がある。
【0052】
これに対して本実施形態では、図7、図8に示すように、気体噴出孔68から粉砕装置の中心方向に向かって噴出される空気流71により、スロート42から噴出された空気流70が粉砕部中心方向へシフトし(図8参照)、空気の流れが空気流72へと変わる(図7参照)。この空気流のシフトにより、外周ハウジング46近傍での空気流速が減少し、そのために外周ハウジング46の磨耗が軽減される。
【0053】
図9は、従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置の外周ハウジング46での摩耗量を比較して示す図である。この図では、従来の竪型粉砕装置の磨耗量を1とした場合の、本実施形態に係る竪型粉砕装置の磨耗量を示している。
【0054】
なお、この試験において、従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置でのスロート42は同じ構造であり、供給する一次空気流量も同等とした。本実施形態に係る竪型粉砕装置では、スロート42の総和開口面積に対する気体噴出孔68の総和開口面積の比を0.5とした。この図から明らかなように、従来の竪型粉砕装置に較べて外周ハウジング46での摩耗量を低減できることが分かる。
【0055】
図3に示すように、傾斜部材47の傾斜角度θ1を45°、傾斜部材47の下端から上端までの傾斜部材47の長さをL1、傾斜部材47の下端から気体噴出孔68の上端までの長さをL2とし、(n×A2/A1)=0.5で、気体噴出孔68の径を同じにして、気体噴出孔68の設置位置を色々変化させて外周ハウジング46での摩耗量をテストした。
【0056】
その磨耗テストの結果、傾斜部材47上に設置する気体噴出孔68の位置(L2/L1)が0.9未満の場合、すなわち気体噴出孔68が傾斜部材47の下端部近くに形成した場合は、気体噴出孔68からの空気流71の方向が、比較的垂直に近くなることにより、空気流70を粉砕部中心方向への流れへと変える力が弱いため、外周ハウジング46での摩耗低減効果は十分に発揮できない。
【0057】
摩耗低減効果を高めるためには、傾斜部材47上に設置する気体噴出孔68の位置L2は、傾斜部材47の長さL1に対して(L2/L1)≦0.9となる位置に設置することが望ましく、また、気体噴出孔68施工部の強度を保つために、L2/L1≧0.1とすることが望ましい。従って(L2/L1)は、0.1〜0.9の範囲〔0.1≦(L2/L1)≦0.9〕に規制するとよい。
【0058】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る竪型粉砕装置の粉砕部の平面から見た概略構成図である。
【0059】
図1に示すように、粉砕ローラ3はローラブラケット6によって回転可能に支持されており、そのローラブラケット6は粉砕ローラ3の外側にあって、傾斜部材47の上方に設置されている。そのためローラブラケット6は、気体噴出孔68から噴出する空気流71に対して抵抗体になり得る。
【0060】
そのため本実施形態では、傾斜部材47のローラブラケット6と対向している位置には気体噴出孔68を形成しないで、前記空気流71に対するローラブラケット6の抵抗を回避することにより、圧力損失をさらに低減することができる。
【0061】
なお、傾斜部材47のローラブラケット6と対向している位置に気体噴出孔68を形成しないでも、同図に示すように粒子の密集帯77が形成され易い位置は粉砕ローラ6の背後(後方)の領域であり、位置的にずれているから、密集帯77内での粒子の拡散効果は殆ど変わらない。
【0062】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係るスロート部付近の拡大断面図である。本実施形態では、傾斜部材47に形成した気体噴出孔68の上部開口に、軸方向に一定の長さを有する下流ノズル73を設置している。
【0063】
この下流ノズル73を設置したことによる整流効果により、気体噴出孔68から噴出される粉砕装置中心方向へ向かう空気の流れ71が強化される。この空気流71の強化により、粒子の密集帯77の分散効果が高まるとともに、スロート42通過後の一次空気を効果的に粉砕装置中心方向への流れ72へと変えることが可能になる。
【0064】
また、傾斜部材47に気体噴出孔68のみを形成した場合では、傾斜部材47から気体噴出孔68に石炭粉が滑って落ち込む可能性があるが、気体噴出孔68の上部開口に下流ノズル73を設置することで、傾斜部材47から気体噴出孔68に滑り落ち込む石炭粉がなくなる。
【0065】
(第4の実施形態)
図12は、本発明の第4の実施形態に係るスロート部付近の拡大断面図である。本実施形態では、傾斜部材47に形成した気体噴出孔68の下部開口に上流ノズル74を設置している。
【0066】
この上流ノズル74を設置したことによる整流効果により、気体噴出孔68から噴出される粉砕装置中心方向へ向かう空気の流れ71が強化され、スロート42通過後の一次空気を効果的に粉砕装置中心方向への流れ72へと変えることが可能になる。この上流ノズル74は傾斜部材47の上部まで突出しても構わず、ノズル流路を長くすることで、整流効果がより一層高まる。
【0067】
(第5の実施形態)
図13は、本発明の第5の実施形態に係るスロート部付近の拡大断面図である。本実施形態は、スロートベーン43、内側リング44ならびに外側リング45で構成されるスロート42を傾斜部材47の内周部に連接した、いわゆる固定式旋回流スロートでの実施形態である。
【0068】
スロート42(内側リング44)と回転テーブル2の間に形成されている隙間からの石炭粉の落下を防止するため、回転テーブル2の外周上部にリングシート48が設置される。
【0069】
この固定式旋回流スロートにおいても、図10に示すように傾斜部材47のローラブラケット6と対向している位置には気体噴出孔68を形成しない構成、図11に示すように気体噴出孔68に下流ノズル73を設置する構成、あるいは図12に示すように気体噴出孔68に上流ノズル74を設置する構成などを適宜適用することも可能であり、同様の効果を奏することができる。
【0070】
図14は、本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚ボイラ装置の概略構成図である。
同図に示すように、押送風機込81により送り込まれた燃焼用空気Aは一次空気A1と二次空気A2に分離され、一次空気A1は冷空気として一次空気用押送風機込82により直接竪型粉砕装置83に送られるものと、排ガス空気予熱器84により加熱されて竪型粉砕装置83に送られるものとに分岐される。そして冷空気と温空気は混合空気が適温になるように混合調整されて、一次空気61として竪型粉砕装置83に供給される。
【0071】
石炭60は石炭バンカ85に投入された後、給炭機86により定量ずつ竪型粉砕装置83に供給されて粉砕される。一次空気61により乾燥されながら粉砕されて生成した微粉炭は、一次空気61により搬送され、微粉炭バーナ87を介して石炭焚ボイラ88内に送られて燃焼する。前記二次空気A2は蒸気式空気予熱器89と排ガス空気予熱器84により加熱されてウィンドボックス90に送られて、石炭焚ボイラ88内での微粉炭の燃焼に供せられる。
【0072】
微粉炭の燃焼によって生成した排ガスは電気集塵機91で塵埃が除去され、脱硝装置92で窒素酸化物が還元されて、排ガス空気予熱器84を経て誘引送風機93で吸引され、脱硫装置94で硫黄分が除去されて、煙突95から大気中に放出されるシステムになっている。
【符号の説明】
【0073】
1・・・給炭管、2・・・回転テーブル、3・・・粉砕ローラ、6・・・ローラブラケット、31・・・送炭管、40・・・一次空気ダクト、41・・・一次空気ウィンドボックス、42・・・スロート、43・・・スロートベーン、44・・・内側リング、45・・・外側リング、46・・・外周ハウジング、47・・・傾斜部材、60・・・石炭、61・・・一次空気、62・・・吹き上げられた粒子群、63・・・粗粒子、64・・・製品微粉、65・・・分級部に流入する粒子群、67・・・微粒子、68・・・気体噴出孔、69・・・上昇粒子、70・・・スロートから噴出される空気流、71・・・気体噴出孔から噴出される空気流、72・・・粉砕装置中心部へシフトした空気流、73・・・下流ノズル、74・・・上流ノズル、75・・・上昇一次空気流、76・・・落下粒子、77・・・粒子の密集帯、78・・・拡散された粒子、83・・・竪型粉砕装置、87・・・微粉炭バーナ、88・・・石炭焚ボイラ、A・・・駆動部、B・・・粉砕部、C・・・分級部、D・・・分配部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕ローラと回転テーブルにより固体原料を粉砕し、分級装置により所定の粒度分布に調整することが可能な竪型粉砕装置に係り、特に石炭焚ボイラ装置の微粉炭製造装置として好適な竪型粉砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料として微粉炭を燃焼させる火力発電用の石炭焚ボイラ装置において、微粉炭製造装置として竪型粉砕装置が一般に使用されている。
【0003】
図15は従来から用いられている竪型粉砕装置の概略構成図、図16は図15X−X線上から見た粉砕部の概略構成図である。
【0004】
この竪型粉砕装置は図15に示すように、回転テーブル2を回転駆動させる駆動部A、前記回転テーブル2と粉砕ローラ3の噛み込みにより微粉炭の原料である石炭60を粉砕する粉砕部B、その粉砕部Bの上部に設置されて微粉炭を任意の粒度に分級する分級部C、その分級部Cより送られてきた微粉炭を石炭焚ボイラに接続された複数の送炭管31へ分配する分配部Dとから主に構成されている。
【0005】
次に、図15を用いてこの竪型粉砕装置の動作について説明する。
給炭管1より供給された石炭60は、矢印で示すように回転テーブル2の中心部に落下する。その回転テーブル2は、減速機50を介して駆動モータ51により所定の方向に回転駆動されている。回転テーブル2上に落下した石炭60は、回転に伴う遠心力によって回転テーブル2上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部へ移動され、回転テーブル2とタイヤ状の粉砕ローラ3との間に噛み込まれて粉砕される。
【0006】
粉砕された石炭は、回転テーブル2の周囲に設けられたスロート42から導入される一次空気61(搬送用空気)によって上方に吹き上げられる。吹き上げられた粒子群62のうち、粒子が大きいものは分級部Cへと搬送される途中で重力により落下し、粉砕部Bに戻される(一次分級)。符号76は、前記一次分級により分離された粒子が大きい落下粒子である。
【0007】
分級部Cに到達した上昇粒子69は、所定粒度以下の微粒子67と所定粒度を越えた粗粒子63とに分級され(二次分級)、粗粒子63は粉砕部Bへ落下して、再び粉砕される。一方、分級部Cを通過した微粒子67は、分配器30において複数の送炭管31に分配されて、製品微粉64として図示しない石炭焚ボイラへ送られる。
【0008】
一次空気61は、一次空気ダクト40を介して一次空気ウィンドボックス41の側面から導入され、その一次空気ウィンドボックス41内で整流化された後、スロート42から上方に噴出する。
【0009】
図17は、従来の竪型粉砕装置におけるスロート部付近の拡大断面図である。
同図に示すようにスロート42は、内側リング44に囲まれて形成された空気流路である。この例では、スロート42が回転テーブル2側に接続されている回転式旋回流スロートであるが、外周ハウジング46側に接続されている固定式旋回流スロートの場合もある。
【0010】
図15ないし図17において、図中の符号5は加圧フレーム、6はローラブラケット、7はローラピボット、8は加圧ロッド、9は加圧装置、10は固定式分級機構、11は回収コーン、12は固定フィン、20は回転式分級機構、21は回転フィン、22は回転軸、23は分級機モータ、45は外側リング、46は外周ハウジング、47は傾斜部材、65は分級部Cに流入する粒子群である。
【0011】
この種の竪型粉砕装置に係る先行技術文献として、例えば下記の特許文献などを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−231112号公報
【特許文献2】特開昭58−193743号公報
【特許文献3】特開昭58−207953号公報
【特許文献4】特開昭59−102451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
近年の発電プラントでは、電力の自由化や設備供給のグローバル化により、国内外において価格競争の激化が進んでいる。特に竪型粉砕装置では、発電コストを削減するために運転動力の低減が望まれている。
【0014】
竪型粉砕装置の運転動力のうち、約半分は粉砕した石炭粉を乾燥・搬送する搬送用空気(一次空気61)の送風ファンの動力が占める。よって、竪型粉砕装置内の圧力損失を下げることが重要な課題となっており、これを下げることが動力低減を達成するために有効な手段である。竪型粉砕装置内での圧力損失発生には多種、多様な原因が考えられるが、その一因に、粉砕ローラ外周での粒子の密集帯発生による圧力損失増大が挙げられる。
【0015】
図18はスロート42から噴出される一次空気の流れを平面から見た図、図19はスロート42から噴出される一次空気の流れを垂直方向から見た図、図20は粉砕ローラ3と外周ハウジング46の間に生じる粒子の密集帯77を説明するための図である。
【0016】
図18に示すようにスロート42によって旋回力が与えられ一次空気流70は、外周ハウジング46の内壁に向けて噴出する。そして、外周ハウジング46の内壁に衝突した一次空気流70は図19に示すように外周ハウジング46の内壁を周方向に沿って上昇する上昇一次空気流75となり、この上昇一次空気流75により図20に示すように粉砕ローラ3で粉砕された粒子群62を粉砕装置上部の分級部Cへと吹き上げる。
【0017】
吹き上げられた粒子群62のうち、粒度の大きい粒子は向きを変えて重力によって落下する(落下粒子76)。すると、粉砕ローラ3と外周ハウジング46の間の落下粒子76と下から吹き上げられた粒子群62が合流して、局所的に粒子濃度が高くなる粒子の密集帯77(図20参照)が生じる。これにより、この領域での圧力損失が高まり、結局、粉砕装置内での圧力損失が増加することになる。
【0018】
この粒子の密集帯77は図16に示すように、特に回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された石炭粉が排出される、粉砕ローラ3の背後(後方)の領域で発生し易いことが、各種の実験で確認されている。
【0019】
また従来の竪型粉砕装置では、粉砕ローラ3で粉砕された粒子群62が旋回力を有する一次空気流70に運ばれて、図17、図18に示すように外周ハウジング46に衝突することにより、外周ハウジング46の壁面が摩耗79するという問題もある。
【0020】
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、装置内部の圧力損失が低減でき、しかも外周ハウジングの磨耗も低減できる竪型粉砕装置ならびにそれを用いた石炭焚ボイラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するため本発明の第1の手段は、回転テーブルと、その回転テーブルの上面に載置されて前記回転テーブルの回転に伴って回転する複数個の粉砕ローラとを有する粉砕部と、
搬送用気体が供給されるウインドボックスと、
前記粉砕部の外周に設置されて前記ウインドボックスに供給された搬送用気体に旋回力を付与して前記回転テーブルの外周部から噴出するスロート部と、
前記粉砕部の上方に設置されて前記粉砕部で粉砕された粒子群の分級を行なう分級部と、
前記粉砕部、ウインドボックスならびに分級部を収容するハウジングを備え、
前記回転テーブル上に投下された被粉砕物を回転テーブルと粉砕ローラとの噛み込みで粉砕し、その粉砕された粒子群を前記スロート部から噴出した旋回力を有する前記搬送用気体で上方に吹き上げて前記分級部へ搬送する竪型粉砕装置を対象とするものである。
【0022】
そして、前記搬送用気体で上方に吹き上げた粒子群のうちで粒度の大きい粒子が前記分級部に到達する前に重力によって落下する落下粒子と、前記スロート部から吹き上げられた新たな前記粒子群が合流して形成される粒子濃度の高い密集帯に対して、前記搬送用気体の一部を噴射して、前記密集帯内の粒子を分散させるための密集帯粒子分散手段を設けたことを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記密集帯粒子分散手段が、前記粉砕ローラの回転テーブル回転方向後流部にそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、前記密集帯粒子分散手段が、前記ウインドボックスを区画形成するために、前記ハウジングとスロート部の間に配置され、ハウジングからスロート部側へ向って下降した傾斜部材に設けた気体噴出孔で構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、前記粉砕ローラを回転可能に支持するローラブラケットと対向している前記傾斜部材の部分には前記気体噴出孔を形成しないことを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第5の手段は前記第3の手段において、前記スロート部の総和開口面積(A1)に対する気体噴出孔の総和開口面積(n×A2)の比(n×A2/A1)を0.1〜1.3の範囲に規制したことを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第6の手段は前記第3の手段において、前記傾斜部材の下端から上端までの長さ(L1)に対する傾斜部材の下端から前記気体噴出孔の上端までの長さ(L2)の比(L2/L1)を0.1〜0.9の範囲に規制したことを特徴とするものである。
【0028】
本発明の第7の手段は前記第3の手段において、前記傾斜部材の気体噴出孔にノズルを設置したことを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第8の手段は前記第7の手段において、前記ノズルが前記傾斜部材の表面よりも上方に突出していることを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第9の手段は、石炭を粉砕する竪型粉砕装置と、その竪型粉砕装置で粉砕して得られた微粉炭を微粉炭バーナで燃焼する石炭焚ボイラを備えた石炭焚ボイラ装置において、
前記竪型粉砕装置が前記第1ないし第8の手段のいずれか1つの手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
本発明は前述のような構成になっており、スロートでの圧力損失を有効に低減しつつ、外周ハウジングの摩耗も低減することが可能となり、運転時の信頼性を向上することができる竪型粉砕装置ならびにそれを用いた石炭焚ボイラ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図2】図1Y−Y線上から見た粉砕部の概略構成図である。
【図3】その竪型粉砕装置のスロート部付近の拡大断面図である。
【図4】図3Z−Z線上の拡大断面図である。
【図5】その第1の実施形態において、気体噴出孔から噴出した空気の流れにより、密集帯中の高濃度粒子群を拡散させる状態を説明するための図である。
【図6】従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置の圧力損失量ΔPを比較して示す図である。
【図7】スロート部での空気の流れを垂直方向から示す図である。
【図8】スロート部での空気の流れを水平方向から示す図である。
【図9】従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置の外周ハウジングでの磨耗量を比較して示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る竪型粉砕装置の水平方向から見た粉砕部の概略構成図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る竪型粉砕装置のスロート部の拡大断面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る竪型粉砕装置のスロート部の拡大断面図である。
【図13】本発明の第5の実施形態に係る竪型粉砕装置のスロート部の拡大断面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚ボイラ装置の概略構成図である。
【図15】従来の竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図16】図15X−X線上から見た粉砕部の概略構成図である。
【図17】その竪型粉砕装置におけるスロート部付近の拡大断面図である。
【図18】スロートから噴出される一次空気の流れを平面から見た図である。
【図19】スロートから噴出される一次空気の流れを垂直方向から見た図である。
【図20】粉砕ローラと外周ハウジングの間に生じる粒子の密集帯を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図、図2は図1Y−Y線上から見た粉砕部の概略構成図、図3はその竪型粉砕装置のスロート部付近の拡大断面図、図4は図3Z−Z線上の拡大断面図である。
【0034】
本実施形態に係る竪型粉砕装置の全体的な概略構成ならびに動作は、前述した従来のものとほぼ同様なので、重複する説明は省略する。この実施形態におけるスロート42は図3に示すように、回転テーブル2と外周ハウジング46の環状隙間に設置され、内側リング44と、その内側リング44の径方向外側に配置された外側リング45と、前記内側リング44と外側リング45の間で円周方向に複数個設置されているスロートベーン43とに囲まれた空気流路で構成されている。前記内側リング44、外側リング45ならびにスロートベーン43は回転テーブル2の外周部に支持されており、回転テーブル2の回転とともに回転することから回転式旋回流スロートと呼ばれる。
【0035】
このスロート42は本実施形態のみには限定されず、少なくとも回転テーブル2と外周ハウジング46の環状隙間に、円周方向に複数個設置されたスロートベーン43を備えていればよい。
【0036】
竪型粉砕装置では、粉砕ローラ3はローラブラケット6により同じ位置に支持されているため、一次分級を強化する目的で、回転テーブル2と外周ハウジング46の隙間にスロートベーン43を複数設置して、スロート42から噴出される一次空気61に旋回力を与えている。
【0037】
そのためスロート42から噴出される一次空気61は、後述するようにスロート通過後、外周ハウジング46の方向に向けて噴出し、その後外周ハウジング46の内壁を周方向に沿って旋回しながら上昇して行く。
【0038】
次にスロート42の機能について説明する。スロート42は、一次空気61を回転テーブル2の外周部から噴出する機能を有している。
図4は、スロート42を通過する一次空気の流れを示す図である。一次空気ウィンドボックス41(図3参照)から流入した一次空気61は、スロートベーン43の傾斜方向に沿ってスロート42を通過し、粉砕部Bに噴出される。スロートベーン43を傾斜させることで、粉砕部Bに噴出される一次空気流70に旋回力を与えており、旋回力が付与された一次空気流70で粉砕ローラ3により粉砕された粉体をほぼ均一に上方へ吹き上げることができる。
【0039】
また、同図に示すスロートベーン43の傾斜角度θ2を45°以上(θ2≧45°)、すなわちスロートベーン43を伏せるように設置することで、一次空気流70を回転テーブル2に対して平行な速度成分を、回転テーブル2に対して垂直な速度成分よりも大きくし、一次空気流70に効果的に旋回力を与えることが可能となる。
【0040】
図19に示しているように、外周ハウジング46の内壁を周方向に沿って旋回しながら上昇する一次空気流75により、粉砕ローラ3で粉砕された粒子群62(図1参照)を粉砕装置上部の分級部Cへと吹き上げる。
【0041】
このとき従来の竪型粉砕装置では図20に示すように、吹き上げられた粒子群62のうち、粒度の大きい粒子は重力によって落下し、落下粒子76と下から吹き上げられた粒子群62が合流して、粉砕ローラ3と外周ハウジング46の間で局所的に粒子濃度が高くなる密集帯77が生じて、これが粉砕装置内での圧力損失の要因となっている。
【0042】
これを解消するため本実施形態では図3に示すように、外周ハウジング46とスロート42の間に位置し、外周ハウジング46の内壁に連接され、外周ハウジング46よりスロート42側へ向かって下降した構造の傾斜部材47に、粉砕装置の中心方向に向かって一次空気を噴出するように気体噴出孔68を周方向に沿って複数個設置した(図2参照)。なお、この傾斜部材47は図1や図3に示すように、ウィンドボックス41を区画形成する1つの部材となっている。
【0043】
傾斜部材47の傾斜角度θ1(図3参照)は約20°≦θ1≦70°であり、これは従来の粉砕装置と同じである。気体噴出孔68の設置により、一次空気61がスロート42だけでなく気体噴出孔68も通って粉砕部に流入することが可能となる。
【0044】
これにより図5に示すように、気体噴出孔68から粉砕装置の中心斜め上方に向かう空気流71が生じ、その空気流71が前記粒子の密集帯77(図20参照)に衝突し、その密集帯77内にある高濃度粒子群を拡散させて、この領域での圧力損失を低減することができる。
【0045】
図中の78は前記空気流71によって拡散された粒子であり、図では拡散された粒子78を特定するために便宜上1つの塊状で描いているが、実際には粒子が拡散して図に示すような塊状にはなっていない。気体噴出孔68は、その形状によらず密集帯77の粒子を拡散させる効果があれば、例えば丸穴やスリットなどのような適宜な形状で良い。
【0046】
図6は、従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置の圧力損失量ΔPを比較して示す図である。この図では、従来の竪型粉砕装置の圧力損失量ΔPを1とした場合の、本実施形態に係る竪型粉砕装置の圧力損失量ΔPを示している。
【0047】
なお、この試験において、従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置でのスロート42は同じ構造であり、供給する一次空気流量も同等とした。本実施形態に係る竪型粉砕装置では、スロート42の総和開口面積に対する複数個設置した気体噴出孔68の総和開口面積の比を0.5とした。この図から明らかなように、従来の竪型粉砕装置に較べて圧力損失量ΔPを約60%低減することができた。
【0048】
スロート42全体の総和開口面積をA1、1個の気体噴出孔68の開口面積をA2、全部(n個)の気体噴出孔68の総和開口面積をn×A2とすると、A1に対するn×A2の比率(n×A2/A1)が0.1未満になると、実質的に気体噴出孔68の径が小さくなり、空気流71が気体噴出孔68を通過する時に、流路が急縮小及び急拡大となることにより発生する剥離渦の影響により、空気流71が密集帯77内の高濃度粒子群を効果的に拡散することができなくなる。従って、(n×A2/A1)=0.1以上にすることが望ましい。
【0049】
また、(n×A2/A1)=1.3を超えると、気体噴出孔68を通過する空気流71の量が多くなり、反対にスロート42を通過する空気流70の量が少なくなって、スロート42から噴出される空気流速が低下することにより、気体噴出孔68から石炭粉の落下量が増加するため、(n×A2/A1)=1.3以下にすることが望ましい。さらには、(n×A2/A1)=0.6以下にすることで、気体噴出孔68から石炭粉の落下がほぼ無くなる。
【0050】
このようなことから(n×A2/A1)を0.1〜1.3の範囲、好ましくは0.1〜0.6の範囲に規制するとよい。
【0051】
次に外周ハウジング46の磨耗について説明する。
従来の竪型粉砕装置では図17や図18に示すように、スロート42により旋回力が与えられた一次空気流70は外周ハウジング46へ向かって噴出し、外周ハウジング46の近傍での流速が高くなる。そしてこの一次空気流70によって運ばれた粒子群62が外周ハウジング46に衝突することにより、外周ハウジング46の周壁が摩耗79するという問題がある。
【0052】
これに対して本実施形態では、図7、図8に示すように、気体噴出孔68から粉砕装置の中心方向に向かって噴出される空気流71により、スロート42から噴出された空気流70が粉砕部中心方向へシフトし(図8参照)、空気の流れが空気流72へと変わる(図7参照)。この空気流のシフトにより、外周ハウジング46近傍での空気流速が減少し、そのために外周ハウジング46の磨耗が軽減される。
【0053】
図9は、従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置の外周ハウジング46での摩耗量を比較して示す図である。この図では、従来の竪型粉砕装置の磨耗量を1とした場合の、本実施形態に係る竪型粉砕装置の磨耗量を示している。
【0054】
なお、この試験において、従来の竪型粉砕装置と本実施形態に係る竪型粉砕装置でのスロート42は同じ構造であり、供給する一次空気流量も同等とした。本実施形態に係る竪型粉砕装置では、スロート42の総和開口面積に対する気体噴出孔68の総和開口面積の比を0.5とした。この図から明らかなように、従来の竪型粉砕装置に較べて外周ハウジング46での摩耗量を低減できることが分かる。
【0055】
図3に示すように、傾斜部材47の傾斜角度θ1を45°、傾斜部材47の下端から上端までの傾斜部材47の長さをL1、傾斜部材47の下端から気体噴出孔68の上端までの長さをL2とし、(n×A2/A1)=0.5で、気体噴出孔68の径を同じにして、気体噴出孔68の設置位置を色々変化させて外周ハウジング46での摩耗量をテストした。
【0056】
その磨耗テストの結果、傾斜部材47上に設置する気体噴出孔68の位置(L2/L1)が0.9未満の場合、すなわち気体噴出孔68が傾斜部材47の下端部近くに形成した場合は、気体噴出孔68からの空気流71の方向が、比較的垂直に近くなることにより、空気流70を粉砕部中心方向への流れへと変える力が弱いため、外周ハウジング46での摩耗低減効果は十分に発揮できない。
【0057】
摩耗低減効果を高めるためには、傾斜部材47上に設置する気体噴出孔68の位置L2は、傾斜部材47の長さL1に対して(L2/L1)≦0.9となる位置に設置することが望ましく、また、気体噴出孔68施工部の強度を保つために、L2/L1≧0.1とすることが望ましい。従って(L2/L1)は、0.1〜0.9の範囲〔0.1≦(L2/L1)≦0.9〕に規制するとよい。
【0058】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る竪型粉砕装置の粉砕部の平面から見た概略構成図である。
【0059】
図1に示すように、粉砕ローラ3はローラブラケット6によって回転可能に支持されており、そのローラブラケット6は粉砕ローラ3の外側にあって、傾斜部材47の上方に設置されている。そのためローラブラケット6は、気体噴出孔68から噴出する空気流71に対して抵抗体になり得る。
【0060】
そのため本実施形態では、傾斜部材47のローラブラケット6と対向している位置には気体噴出孔68を形成しないで、前記空気流71に対するローラブラケット6の抵抗を回避することにより、圧力損失をさらに低減することができる。
【0061】
なお、傾斜部材47のローラブラケット6と対向している位置に気体噴出孔68を形成しないでも、同図に示すように粒子の密集帯77が形成され易い位置は粉砕ローラ6の背後(後方)の領域であり、位置的にずれているから、密集帯77内での粒子の拡散効果は殆ど変わらない。
【0062】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係るスロート部付近の拡大断面図である。本実施形態では、傾斜部材47に形成した気体噴出孔68の上部開口に、軸方向に一定の長さを有する下流ノズル73を設置している。
【0063】
この下流ノズル73を設置したことによる整流効果により、気体噴出孔68から噴出される粉砕装置中心方向へ向かう空気の流れ71が強化される。この空気流71の強化により、粒子の密集帯77の分散効果が高まるとともに、スロート42通過後の一次空気を効果的に粉砕装置中心方向への流れ72へと変えることが可能になる。
【0064】
また、傾斜部材47に気体噴出孔68のみを形成した場合では、傾斜部材47から気体噴出孔68に石炭粉が滑って落ち込む可能性があるが、気体噴出孔68の上部開口に下流ノズル73を設置することで、傾斜部材47から気体噴出孔68に滑り落ち込む石炭粉がなくなる。
【0065】
(第4の実施形態)
図12は、本発明の第4の実施形態に係るスロート部付近の拡大断面図である。本実施形態では、傾斜部材47に形成した気体噴出孔68の下部開口に上流ノズル74を設置している。
【0066】
この上流ノズル74を設置したことによる整流効果により、気体噴出孔68から噴出される粉砕装置中心方向へ向かう空気の流れ71が強化され、スロート42通過後の一次空気を効果的に粉砕装置中心方向への流れ72へと変えることが可能になる。この上流ノズル74は傾斜部材47の上部まで突出しても構わず、ノズル流路を長くすることで、整流効果がより一層高まる。
【0067】
(第5の実施形態)
図13は、本発明の第5の実施形態に係るスロート部付近の拡大断面図である。本実施形態は、スロートベーン43、内側リング44ならびに外側リング45で構成されるスロート42を傾斜部材47の内周部に連接した、いわゆる固定式旋回流スロートでの実施形態である。
【0068】
スロート42(内側リング44)と回転テーブル2の間に形成されている隙間からの石炭粉の落下を防止するため、回転テーブル2の外周上部にリングシート48が設置される。
【0069】
この固定式旋回流スロートにおいても、図10に示すように傾斜部材47のローラブラケット6と対向している位置には気体噴出孔68を形成しない構成、図11に示すように気体噴出孔68に下流ノズル73を設置する構成、あるいは図12に示すように気体噴出孔68に上流ノズル74を設置する構成などを適宜適用することも可能であり、同様の効果を奏することができる。
【0070】
図14は、本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚ボイラ装置の概略構成図である。
同図に示すように、押送風機込81により送り込まれた燃焼用空気Aは一次空気A1と二次空気A2に分離され、一次空気A1は冷空気として一次空気用押送風機込82により直接竪型粉砕装置83に送られるものと、排ガス空気予熱器84により加熱されて竪型粉砕装置83に送られるものとに分岐される。そして冷空気と温空気は混合空気が適温になるように混合調整されて、一次空気61として竪型粉砕装置83に供給される。
【0071】
石炭60は石炭バンカ85に投入された後、給炭機86により定量ずつ竪型粉砕装置83に供給されて粉砕される。一次空気61により乾燥されながら粉砕されて生成した微粉炭は、一次空気61により搬送され、微粉炭バーナ87を介して石炭焚ボイラ88内に送られて燃焼する。前記二次空気A2は蒸気式空気予熱器89と排ガス空気予熱器84により加熱されてウィンドボックス90に送られて、石炭焚ボイラ88内での微粉炭の燃焼に供せられる。
【0072】
微粉炭の燃焼によって生成した排ガスは電気集塵機91で塵埃が除去され、脱硝装置92で窒素酸化物が還元されて、排ガス空気予熱器84を経て誘引送風機93で吸引され、脱硫装置94で硫黄分が除去されて、煙突95から大気中に放出されるシステムになっている。
【符号の説明】
【0073】
1・・・給炭管、2・・・回転テーブル、3・・・粉砕ローラ、6・・・ローラブラケット、31・・・送炭管、40・・・一次空気ダクト、41・・・一次空気ウィンドボックス、42・・・スロート、43・・・スロートベーン、44・・・内側リング、45・・・外側リング、46・・・外周ハウジング、47・・・傾斜部材、60・・・石炭、61・・・一次空気、62・・・吹き上げられた粒子群、63・・・粗粒子、64・・・製品微粉、65・・・分級部に流入する粒子群、67・・・微粒子、68・・・気体噴出孔、69・・・上昇粒子、70・・・スロートから噴出される空気流、71・・・気体噴出孔から噴出される空気流、72・・・粉砕装置中心部へシフトした空気流、73・・・下流ノズル、74・・・上流ノズル、75・・・上昇一次空気流、76・・・落下粒子、77・・・粒子の密集帯、78・・・拡散された粒子、83・・・竪型粉砕装置、87・・・微粉炭バーナ、88・・・石炭焚ボイラ、A・・・駆動部、B・・・粉砕部、C・・・分級部、D・・・分配部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルと、その回転テーブルの上面に載置されて前記回転テーブルの回転に伴って回転する複数個の粉砕ローラとを有する粉砕部と、
搬送用気体が供給されるウインドボックスと、
前記粉砕部の外周に設置されて前記ウインドボックスに供給された搬送用気体に旋回力を付与して前記回転テーブルの外周部から噴出するスロート部と、
前記粉砕部の上方に設置されて前記粉砕部で粉砕された粒子群の分級を行なう分級部と、
前記粉砕部、ウインドボックスならびに分級部を収容するハウジングを備え、
前記回転テーブル上に投下された被粉砕物を回転テーブルと粉砕ローラとの噛み込みで粉砕し、その粉砕された粒子群を前記スロート部から噴出した旋回力を有する前記搬送用気体で上方に吹き上げて前記分級部へ搬送する竪型粉砕装置において、
前記搬送用気体で上方に吹き上げた粒子群のうちで粒度の大きい粒子が前記分級部に到達する前に重力によって落下する落下粒子と、前記スロート部から吹き上げられた新たな前記粒子群が合流して形成される粒子濃度の高い密集帯に対して、前記搬送用気体の一部を噴射して、前記密集帯内の粒子を分散させるための密集帯粒子分散手段を設けたことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項2】
請求項1に記載の竪型粉砕装置において、
前記密集帯粒子分散手段が、
前記粉砕ローラの回転テーブル回転方向後流部にそれぞれ設けられていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の竪型粉砕装置において、
前記密集帯粒子分散手段が、
前記ウインドボックスを区画形成するために、前記ハウジングとスロート部の間に配置され、ハウジングからスロート部側へ向って下降した傾斜部材に設けた気体噴出孔で構成されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項4】
請求項3に記載の竪型粉砕装置において、
前記粉砕ローラを回転可能に支持するローラブラケットと対向している前記傾斜部材の部分には前記気体噴出孔を形成しないことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項5】
請求項3に記載の竪型粉砕装置において、
前記スロート部の総和開口面積(A1)に対する気体噴出孔の総和開口面積(n×A2)の比(n×A2/A1)を0.1〜1.3の範囲に規制したことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項6】
請求項3に記載の竪型粉砕装置において、
前記傾斜部材の下端から上端までの長さ(L1)に対する傾斜部材の下端から前記気体噴出孔の上端までの長さ(L2)の比(L2/L1)を0.1〜0.9の範囲に規制したことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項7】
請求項3に記載の竪型粉砕装置において、
前記傾斜部材の気体噴出孔にノズルを設置したことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項8】
請求項7に記載の竪型粉砕装置において、
前記ノズルが前記傾斜部材の表面よりも上方に突出していることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項9】
石炭を粉砕する竪型粉砕装置と、その竪型粉砕装置で粉砕して得られた微粉炭を微粉炭バーナで燃焼する石炭焚ボイラを備えた石炭焚ボイラ装置において、
前記竪型粉砕装置が請求項1ないし8のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする石炭焚ボイラ装置。
【請求項1】
回転テーブルと、その回転テーブルの上面に載置されて前記回転テーブルの回転に伴って回転する複数個の粉砕ローラとを有する粉砕部と、
搬送用気体が供給されるウインドボックスと、
前記粉砕部の外周に設置されて前記ウインドボックスに供給された搬送用気体に旋回力を付与して前記回転テーブルの外周部から噴出するスロート部と、
前記粉砕部の上方に設置されて前記粉砕部で粉砕された粒子群の分級を行なう分級部と、
前記粉砕部、ウインドボックスならびに分級部を収容するハウジングを備え、
前記回転テーブル上に投下された被粉砕物を回転テーブルと粉砕ローラとの噛み込みで粉砕し、その粉砕された粒子群を前記スロート部から噴出した旋回力を有する前記搬送用気体で上方に吹き上げて前記分級部へ搬送する竪型粉砕装置において、
前記搬送用気体で上方に吹き上げた粒子群のうちで粒度の大きい粒子が前記分級部に到達する前に重力によって落下する落下粒子と、前記スロート部から吹き上げられた新たな前記粒子群が合流して形成される粒子濃度の高い密集帯に対して、前記搬送用気体の一部を噴射して、前記密集帯内の粒子を分散させるための密集帯粒子分散手段を設けたことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項2】
請求項1に記載の竪型粉砕装置において、
前記密集帯粒子分散手段が、
前記粉砕ローラの回転テーブル回転方向後流部にそれぞれ設けられていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の竪型粉砕装置において、
前記密集帯粒子分散手段が、
前記ウインドボックスを区画形成するために、前記ハウジングとスロート部の間に配置され、ハウジングからスロート部側へ向って下降した傾斜部材に設けた気体噴出孔で構成されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項4】
請求項3に記載の竪型粉砕装置において、
前記粉砕ローラを回転可能に支持するローラブラケットと対向している前記傾斜部材の部分には前記気体噴出孔を形成しないことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項5】
請求項3に記載の竪型粉砕装置において、
前記スロート部の総和開口面積(A1)に対する気体噴出孔の総和開口面積(n×A2)の比(n×A2/A1)を0.1〜1.3の範囲に規制したことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項6】
請求項3に記載の竪型粉砕装置において、
前記傾斜部材の下端から上端までの長さ(L1)に対する傾斜部材の下端から前記気体噴出孔の上端までの長さ(L2)の比(L2/L1)を0.1〜0.9の範囲に規制したことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項7】
請求項3に記載の竪型粉砕装置において、
前記傾斜部材の気体噴出孔にノズルを設置したことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項8】
請求項7に記載の竪型粉砕装置において、
前記ノズルが前記傾斜部材の表面よりも上方に突出していることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項9】
石炭を粉砕する竪型粉砕装置と、その竪型粉砕装置で粉砕して得られた微粉炭を微粉炭バーナで燃焼する石炭焚ボイラを備えた石炭焚ボイラ装置において、
前記竪型粉砕装置が請求項1ないし8のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする石炭焚ボイラ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−240233(P2011−240233A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113392(P2010−113392)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
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