説明

端子収納装置および電子機器

【課題】端子の出し入れを容易に行うことができる端子収納装置および電子機器を提供する。
【解決手段】端子収納装置は、開口部を有し、端子を収納する収納部と、一端側において回転可能に軸支されるとともに、他端側において前記端子に係合し、端子を収納部外へ突出させるよう第1の方向へ動作させ、さらに、端子を前記収納部に収納させるように第2の方向へ動作させる端子動作用レバーと、端子動作用レバーに係合し、ユーザにより操作されることにより端子動作用レバーを回転動作させる操作部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、端子を収納する端子収納装置および、端子収納装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、USB(Universal Serial Bus)などの規格に準拠した端子を備えた電子機器(オーディオ機器、USBメモリなど)が普及し、簡単にデータの保存、読み出しなどが可能となっている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−218082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、USB端子などの端子を備えた電子機器においては、端子が固定的に外部に露出しており、その端子を保護するために取り外し可能な蓋を装着するのが一般的である。
【0005】
しかし、そのような、取り外し可能な蓋で端子を保護する構成では、電子機器を使用するたびに蓋を外し、また、使用後に蓋を装着する必要があり、その蓋の取り外しは非常に煩雑である。また、蓋が取り外し可能な構成では、蓋を紛失してしまうおそれもある。
【0006】
したがって、本技術の目的は、端子の出し入れを容易に行うことができる端子収納装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本技術は、開口部を有し、端子を収納する収納部と、一端側において回転可能に軸支されるとともに、他端側において端子に係合し、端子を収納部外へ突出させるよう第1の方向へ動作させ、さらに、端子を収納部に収納させるように第2の方向へ動作させる端子動作用レバーと、端子動作用レバーに係合し、ユーザにより操作されることにより端子動作用レバーを回転動作させる操作部とを備える端子収納装置である。
【0008】
さらに、本技術は、端子を出し入れするための開口部を有し、端子を収納する収納部と、一端側において回転可能に軸支されるとともに、他端側において端子に係合し、端子を収納部外へ突出させるよう第1の方向へ動作させ、さらに、端子を収納部に収納させるように第2の方向へ動作させる端子動作用レバーと、端子動作用レバーに係合し、ユーザにより操作されることにより端子動作用レバーを回転動作させる操作部とを備える端子収納装置を筐体内に備える電子機器である。
【発明の効果】
【0009】
本技術によれば、端子の出し入れを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1Aおよび図1Bは、本技術に係る端子収納装置を備える電子機器の外観構成を示す図である。
【図2】図2Aは端子の外観構成を示す斜視図であり、図2Bは端子の側面図であり、図2Cは、端子の平面図である。
【図3】図3Aおよび図3Bは、端子収納装置の斜視図である。
【図4】図4Aは端子収納装置の下面図であり、図4Bおよび図4Cは端子と端子動作用レバーの係合状態を示す図である。
【図5】図5Aは端子収納装置の上面図であり、図5Bは端子収納装置の側面図であり、図5Cは端子収納装置の下面図である。
【図6】図6A、図6Bおよび図6Cは、端子収納装置の側面図である。
【図7】図7Aおよび図7Bは、端子収納装置を備える電子機器の部分拡大図である。
【図8】図8A、図8B、図8Cおよび図8Dは、端子収納装置の動作を説明するための端子収納装置の下面図である。
【図9】図9A、図9Bおよび図8C、端子収納装置の動作を説明するための端子収納装置の側面図である。
【図10】図10Aおよび図10Bは、蓋の収納状態を示す電子機器の断面斜視図である。
【図11】図11Aおよび図11Bは、端子に対して外部から力が加わった場合の端子収納装置の動作を説明するための図ある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術の実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本技術は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、説明は以下の順序で行う。
<1.実施の形態>
[1−1.電子機器の構成の構成]
[1−2.端子収納装置の構成]
[1−3.端子収納装置の動作]
<2.変形例>
【0012】
<1.実施の形態>
[1−1.電子機器の構成]
図1は端子収納装置300を備える電子機器100の外観構成を示す図である。本実施の形態においては、電子機器100はUSB規格に対応した端子10を備えるとともに、内部に記憶媒体としての不揮発性メモリ(図示せず)を備える、いわゆるUSBメモリとして構成されている。
【0013】
電子機器100は、筐体200と端子10と、筐体200内に設けられた本技術に係る端子収納装置300と不揮発性メモリとから構成されている。端子10と不揮発性メモリとは筐体200内で電気的に接続されている。端子10を介してパーソナルコンピュータなどの外部機器から電子機器100に入力されたデータは不揮発性メモリに保存される。また、不揮発性メモリに保存されたデータは、端子10を介してパーソナルコンピュータなどの外部装置に出力される。
【0014】
筐体200の前面210には端子10の出し入れを可能とするための端子出入口220が形成されている。端子出入口220は図1Aに示すように端子10が収納されている場合には端子収納装置300を構成する蓋60によって閉じられている。一方、端子10が筐体200外に突出している場合には、図1Bに示すように蓋60は開いた状態となる。なお、蓋60の構成および蓋60の開閉動作の詳細について後述する。なお、筐体200は例えば、プラスチックなどの合成樹脂により構成されている。
【0015】
また、電子機器100の下面230にはユーザが端子10を突出させる際および収納する際に操作するつまみ30が露出するためのつまみ露出穴240が形成されている。つまみ露出穴240は、つまみ30がスライド可能なように、端子10の動作方向である筐体200の長手方向に沿って所定の長さを有する長方形状に形成されている。
【0016】
[1−2.端子収納装置の構成]
次に電子機器100の筐体200内に設けられる端子収納装置300の構成について説明する。図2Aは端子収納装置300に収納される端子10の外観構成を示す斜視図である。また、図2Bは端子10の側面図であり、図2Cは端子10の下面図である。
【0017】
本実施の形態においては、端子10はUSB規格に対応した端子本体11と、端子本体11をカバーするカバー部12とから構成されている。カバー部12は、端子10が他の電子機器100と接続される際に、その他の電子機器100に差し込まれる端子本体11の差し込み部分以外を被覆するものである。カバー部12は例えば、プラスチックなどの合成樹脂により構成されている。
【0018】
図2Bに示すように、カバー部12の側面12Aには後述する蓋用レバー70に設けられた蓋用レバー突起73が係合した状態で摺動するための蓋用レバー係合溝13が形成されている。蓋用レバー係合溝13は、端子10のスライド動作方向である端子10の長手方向に沿った長尺の溝として構成されている。また、蓋用レバー係合溝13は一端側において、上方向へ凹んだ凹み部14が形成されている。凹み部14と蓋用レバー係合溝13の間は、曲面状に形成された曲面部15が形成されている。したがって、カバー部12の側面12Aには蓋用レバー係合溝13、曲面部15および凹み部14により略L字型の溝が形成されている。詳しくは後述するが、端子収納装置300を構成する蓋60が閉じた状態においては、蓋用レバー突起73は凹み部14に位置することとなる。
【0019】
図2Cに示すように、カバー部12の下面12Bには後述する端子動作用レバー40に設けられた端子係合用突起42が係合するための端子用レバー係合溝16が形成されている。端子用レバー係合溝16は特許請求の範囲における係合溝に相当するものである。端子用レバー係合溝16は、端子10のスライド動作方向である端子10の長手方向に対して略垂直の溝として形成されている。また、端子用レバー係合溝16の一端は、端子10の長手方向に対して斜めに屈曲しており、その屈曲部分は端子用レバー固定部17として機能する。また、カバー部12の下面12Bにはリブ部18が設けられている。端子用レバー係合溝16、端子用レバー固定部17およびリブ部18の機能については後述する。
【0020】
図3は端子収納装置300の外観構成を示す斜視図である。図3Aは端子10が収納部24内に収納されている状態を示すものであり、図3Bは端子10が収納部24外へ突出している状態を示すものである。
【0021】
図4Aは、説明の便宜上つまみ30を除いた状態の端子収納装置300の下面図である。図4Bおよび図4Cは、端子10と端子動作用レバー40との係合状態を示す図である。図4Bは端子10が収納部24内に収納されている状態であり、図4Cは端子10が収納部24外に突出している状態である。なお、図4Bおよび図4Cは、説明の便宜上、端子10、端子動作用レバー40および端子用バネ50のみを表し、端子は透過状態で表されている。
【0022】
さらに、図5Aは端子収納装置300の上面図、図5Bは端子収納装置300の側面図、図5Cは端子収納装置300の下面図である。
【0023】
端子収納装置300は端子10、シャーシ20、つまみ30、端子動作用レバー40、端子用バネ50、蓋60、蓋用レバー70とから構成されている。
【0024】
シャーシ20は、端子10を収納するための収納部24を備え、端子収納装置300の基礎となるものである。つまみ30は、端子10を収納部24内外に出し入れするためにユーザによって操作されるものである。つまみ30は特許請求の範囲における操作部に相当するものである。端子動作用レバー40は、つまみ30と端子10との間に介在するように設けられており、つまみ30の動作に連動して端子10を動作させるためのものである。端子用バネ50は端子動作用レバー40の動作のために所定の方向に端子動作用レバー40を付勢するものである。
【0025】
蓋60は、収納部24の開口部25を閉じるためのものである。蓋用レバー70は蓋60を開閉動作させるためのものである。
【0026】
シャーシ20は、端子収納装置300の基礎となるものである。シャーシ20は、上面部21、第1側面部22、第2側面部(図示せず。)および下面部23とからなり、前方において開口する略直方体状の筒状に形成されている。上面部21、第1側面部22、第2側面部および下面部23により形成される内部空間は、端子10を収納するための収納部24として機能する。収納部24は開口部25を有する。端子10は、収納部24内をスライドすることにより、開口部25から収納部24外へ突出する。また、端子10は収納部24内をスライドすることにより開口部25から収納部24内に収納される。
【0027】
図4Aに示すように、シャーシ20の下面部23には円弧状に湾曲した形状を有する円弧溝26が形成されている。また、シャーシ20の下面部23には端子10の出し入れを行うための端子動作用レバー40が設けられている。端子動作用レバー40は一端側において、シャーシ20に接続された端子用レバー回転軸41によって軸支されることにより、端子用レバー回転軸41を中心にハ、ニ方向に回転可能に構成されている。
【0028】
端子動作用レバー40は、シャーシ20に取り付けられた状態においてシャーシ20方向へ突出する端子係合用突起42を備える。また、端子動作用レバー40は、シャーシ20に取り付けられた状態においてシャーシ20とは反対方向へ突出するつまみ係合用突起43を備える。
【0029】
端子係合用突起42は、シャーシ20の下面部23に形成された円弧溝26に入り込むように構成されている。さらに、端子係合用突起42は、図4Bおよび図4Cに示すように、端子10を構成するカバー部12の端子用レバー係合溝16にも入り込むように構成されている。よって、端子係合用突起42はシャーシ20の円弧溝26と、端子10のカバー部12の端子用レバー係合溝16の両方に入り込むように構成されている。
【0030】
端子用レバー回転軸41から端子係合用突起42までの寸法は、端子用レバー回転軸41からつまみ係合用突起43までの寸法よりも大きくなるように構成されている。これにより、端子動作用レバー40が端子用レバー回転軸41を中心に回転した場合、端子係合用突起42の移動距離はつまみ係合用突起43の移動距離よりも大きくなる。
【0031】
また、端子動作用レバー40には二股状の線バネである端子用バネ50の一端が引っ掛けられることにより接続されている。端子用バネ50の他端はシャーシ20に固定されている。二股状の端子用バネ50は常にアーム部分を外側に開く拡開力を有している。これにより、端子動作用レバー40は、常時ホ方向へ付勢されている。
【0032】
図5Bおよび図5Cに示すように、つまみ30は、電子機器100の筐体200の内面(図示せず。)上をスライドする基板31と、基板31上に設けられ、ユーザが操作するための突起状のつまみ部32と、基板31に形成された端子用レバー係合穴33とから構成されている。
【0033】
図5Cに示すように、つまみ30は、端子用レバー係合穴33に端子動作用レバー40に設けられたつまみ係合用突起43が挿入されるように構成されている。なお、端子用レバー係合穴33は、端子用レバー係合穴33につまみ係合用突起43が挿入された状態で端子10のスライド方向に対して略垂直に移動可能なように、所定の長さを有するように構成されている。これらの端子10を出し入れするための各構成の動作の詳細については後述する。
【0034】
ユーザが操作するための突起状のつまみ部32は図1に示すように、つまみ露出穴240から外部に露出している。これにより、ユーザがつまみ30を操作することが可能となる。
【0035】
シャーシ20の前方には、収納部24を開閉するための蓋60が設けられている。蓋60は、収納部24を開閉する蓋部61と、蓋部61の一端から延出し、蓋60をシャーシ20に接続するための第1アーム部62、蓋部61の他端から延出し、蓋60をシャーシ20に接続するための第2アーム部63とから平面視略コ字状に形成されている。
【0036】
第1アーム部62および第2アーム部63には内側に突出するように、蓋回転軸64が設けられている。蓋回転軸64がシャーシ20に挿入されることにより、蓋60は回転可能な状態でシャーシ20に接続されている。また、第1アーム部62には、内側に突出するように、蓋開閉用突起65が設けられている。
【0037】
端子10が収納部24に収納された状態においては、図5Bおよび図2Aに示すように蓋60はイ方向へ回動して収納部24を閉じる。一方、端子10が収納部24外へ突出した状態においては、蓋60は図5Bおよび図2Bに示すロ方向へ回動して収納部24を開ける。したがって、蓋60は筐体200の端子出入口220を開閉するとともに、収納部24を開閉することとなる。
【0038】
図6A乃至図6Cは端子収納装置300の側面図である。図6Aおよび図6Bは端子10が収納部24内に収納された状態である。図6Cは、端子10の出し入れ動作中の状態を示す端子収納装置300の側面図である。なお、説明の便宜上、図6Bおよび図6Cにおいては、シャーシ20の第1側面部22を省略し、蓋用レバー70は透過状態で表されている。
【0039】
シャーシ20の第1側面部22には、蓋60を開閉動作させるための蓋用レバー70が設けられている。蓋用レバー70は一端側において蓋用レバー回転軸71によってシャーシ20に軸支されることにより、蓋用レバー回転軸71を中心としてヘ、ト方向に動作可能に構成されている。
【0040】
また、蓋用レバー70の他端には蓋係合用穴72が形成されている。蓋係合用穴72には蓋60を構成する第1アーム部62に設けられた蓋開閉用突起65が挿入されている。これにより、蓋用レバー70の動作に連動して蓋60を動作させることが可能となる。蓋用レバー70がヘ方向へ動作することにより蓋60が閉じ、蓋用レバー70がト方向へ動作することにより蓋60が開く。なお、蓋60の開閉動作の詳細にいては後述する。
【0041】
また、蓋用レバー70にはシャーシ20に接続された状態においてシャーシ20側に突出する蓋用レバー突起73が設けられている。図6Bおよび図6Cに示すように、蓋用レバー突起73は、端子10のカバー部12に形成された蓋用レバー係合溝13に入り込んで係合するように構成されている。なお、シャーシ20の第1側面部22には蓋用レバー突起73が収納部24内に突出して蓋用レバー係合溝13に入り込むように穴(図示せず。)が形成されている。
【0042】
端子10が収納部24に収納されている状態においては、蓋用レバー突起73は端子10のカバー部12に形成された凹み部14に位置している。また、図6Cに示すように、端子10が収納部24外へ突出する方向へスライド中の場合には、蓋用レバー突起73は蓋用レバー係合溝13内を摺動する。
【0043】
[1−3.端子収納装置の動作]
次に端子収納装置300の動作について説明する。まず、収納部24に収納されている端子10を収納部24外へ突出させる場合について説明する。図7Aおよび図7Bはユーザによるつまみ30の操作について説明するための電子機器100の一部拡大図である。
【0044】
また、図8は端子収納装置300の動作状態を示す端子収納装置300の下面図である。図8Aおよび図8Bはつまみ30を含めた状態を示す図であり、図8Cおよび図8Dは説明の便宜上、つまみ30を除いた状態を示す図である。
【0045】
端子10を突出させる場合、ユーザは、図7Aの状態から図7Bに示す状態へと、つまみ部32を操作して、つまみ30をスライドさせる。そうすると、図8Aに示す状態から図8Bに示す状態へとつまみ30はチ方向へスライドする。
【0046】
つまみ30の基板31に形成された端子用レバー係合穴33に端子動作用レバー40のつまみ係合突起43が挿入されることにより、つまみ30と端子動作用レバー40とは係合し、連動して動作するようになっている。よって、つまみ30をチ方向へスライドさせると、つまみ30が端子動作用レバー40を牽引して、端子動作用レバー40は図8Cに示す状態から図8Dに示す状態へと、端子用レバー回転軸41を中心にハ方向へ回動する。
【0047】
端子動作用レバー40はつまみ30と同方向へスライドするのではなく、端子用レバー回転軸41を中心として回転するため、端子係合用突起42は円弧状に移動することとなる。したがって、端子係合用突起42が挿入される円弧溝26は端子係合用突起42の回転軌道に沿うように形成する必要がある。端子係合用突起42は円弧溝26に沿って円弧状に移動する。
【0048】
端子係合用突起42は端子10を構成するカバー部12の蓋用レバー係合溝13に係合している。よって、端子動作用レバー40が端子用レバー回転軸41を中心として回転すると、端子係合用突起42によって端子10はチ方向へ引っ張られる。これにより、端子10が収納部24内でチ方向へスライドして、端子10が収納部24外へ引き出される。
【0049】
端子動作用レバー40は端子用バネ50の拡開力によって常時付勢されている。図8Cに示すように、端子動作用レバー40は端子10が収納部24内に収納されている状態においては、端子用バネ50によって常時、ヌ方向へ付勢されている。
【0050】
一方、つまみ30のスライドに連動して端子動作用レバー40が回転して、端子係合用突起42が円弧溝26の略中間地点に至ると、図8Dに示すように、端子動作用レバー40は端子用バネ50の張力によってル方向へ付勢される。これにより、ユーザがつまみ30をスライドさせることにより端子係合用突起42を円弧溝26の略中間地点まで移動させれば、それ以降は、端子用バネ50の拡開力により端子動作用レバー40は回転し、端子係合用突起42は円弧溝26の端まで移動する。よって、ユーザはつまみ30を端子10が円弧溝26の略中間地点に到達する位置までスライドさせれば、それ以降は力を加えることなく、端子10を収納部24から引き出すことができる。
【0051】
また、端子動作用レバー40は、端子用レバー回転軸41から端子係合用突起42までの寸法が、端子用レバー回転軸41からつまみ係合用突起43までの寸法よりも大きくなるように構成されている。これにより、端子動作用レバー40の回転による端子係合用突起42の移動距離は、端子動作用レバー40の回転によるつまみ係合用突起43の移動距離よりも長くなる。
【0052】
したがって、ユーザはつまみ30のスライドにより端子動作用レバー40を回転させて、つまみ係合用突起43を移動させることにより、そのつまみ係合用突起43の移動距離よりも長い距離端子係合用突起42を移動させることができる。これにより、つまみ30のスライド距離よりも長い距離端子10を移動させることできる。よって、ユーザは端子10をスライドさせて収納部24外に突出させる際、端子10のスライド量と同じ分だけつまみ30をスライドさせる必要がない。すなわち、つまみ30をスライドさせることにより、つまみ30のスライド量よりも大きく端子10をスライドさせることができる。
【0053】
これにより、端子10を出し入れする際につまみを操作するユーザの指の運動量が低減し、端子10の出し入れが迅速容易となる。また、電子機器100、端子収納装置300におけるつまみ30の範囲を小さくすることができるため、電子機器100のデザインの自由度を上げることができる。
【0054】
なお、つまみ30の基板31に形成された端子用レバー係合穴33は、端子10のスライド方向と略垂直方向に所定の長さを有するように形成されている。これは、端子動作用レバー40の回転動作のための遊びをもたせるための構成である。すなわち、端子動作用レバー40は端子用レバー回転軸41を中心に回転し、つまみ係合用突起43も端子用レバー回転軸41を中心としてハ、ニ方向に回転するため、係合穴が遊びを有していなければ端子動作用レバー40が回転することができないからである。
【0055】
端子10が収納部24外へ突出した状態においては、図8Dに示すように、端子用バネ50は、常に端子動作用レバー40をル方向へ付勢している。これにより、端子10が外側からリ方向(端子10を収納する方向)へ押圧されて端子10が収納部24方向へ戻ってしまうことを防ぐことができる。
【0056】
また、図4Cに示すように、端子10が収納部24外へ突出した状態においては、端子動作用レバー40の端子係合用突起42は端子用レバー固定部17に位置している。これにより、端子10が外側からリ方向(端子10を収納する方向)へ押圧されても、端子用レバー固定部17の形状が端子係合用突起42を押すことになり、端子動作用レバー40はル方向へ動こうとして、リ方向(端子10を収納する方向)への押圧と相殺となり、端子10が収納部24方向へ戻ってしまうことを防ぐことができる。
【0057】
これにより、例えば、端子10をパーソナルコンピュータなどの外部機器に接続する際に、端子10が収納部24内に戻ってしまい、挿し込むことができないということを防止することができる。
【0058】
次に、突出している端子10を収納部24内に収納する場合について説明する。端子10を収納する合、ユーザは、図7Bに示す状態から図7Aに示す状態へと、つまみ部32を操作する。そうすると、図8Bに示す状態から図8Aに示す状態へとつまみ30はリ方向へスライドする。
【0059】
つまみ30の基板31に形成された端子用レバー係合穴33に端子動作用レバー40のつまみ係合突起43が挿入されることにより、つまみ30と端子動作用レバー40とは係合し、連動して動作するようになっている。よって、つまみ30をリ方向へスライドさせると、つまみ30が端子動作用レバー40を牽引して、端子動作用レバー40は図8Dに示す状態から図8Cに示す状態へと、端子用レバー回転軸41を中心にニ方向へ回動する。
【0060】
端子係合用突起42は端子10を構成するカバー部12の溝に嵌合しているため、端子動作用レバー40が端子用レバー回転軸41を中心としてニ方向へ回転すると、端子係合用突起42の移動に連動して端子10はリ方向へ引っ張られる。これにより、端子10が収納部24内に収納される。
【0061】
端子動作用レバー40は端子用バネ50の拡開力によって常時付勢されている。図8Dに示すように、端子動作用レバー40は端子10が収納部24外に突出している状態においては、端子用バネ50によって常時、ル方向へ付勢されている。
【0062】
一方、つまみ30のスライドに連動して端子動作用レバー40が回転して、端子係合用突起42が円弧溝26の略中間地点に至ると、図8Cに示すように、端子動作用レバー40は端子用バネ50の張力によってヌ方向へ付勢される。これにより、ユーザはつまみ30をスライドさせることにより端子係合用突起42を円弧溝26の略中間地点まで移動させれば、それ以降は、端子用バネ50の拡開力により端子動作用レバー40は回転し、端子係合用突起42は円弧溝26の端(ニ方向の端)まで移動する。よって、ユーザはつまみ30を端子10が円弧溝26の略中間地点に到達する位置までスライドさせれば、それ以降は力を加えることなく、端子10を収納部24内に収納させることができる。
【0063】
なお、端子動作用レバー40は、端子用レバー回転軸41から端子係合用突起42までの寸法が、端子用レバー回転軸41からつまみ係合用突起43までの寸法よりも大きくなるように構成されている。これにより、端子10を収納する際も、端子10を突出させる際と同様に、つまみ30をスライドさせることにより、つまみ30のスライド量よりも大きく端子10をスライドさせることができる。よって、端子を収納する際につまみを操作するユーザの指の運動量が低減し、端子10の収納が迅速容易となる。
【0064】
次に、端子10を突出させる動作に伴って蓋60が開く動作について説明する。図9は端子収納装置300の動作状態を示す端子収納装置300の側面図である。図9Aは収納部24内に端子10が収納されており、蓋60が閉じられている状態を示すものである。図9Bは、収納部24から端子10が外部に突出する動作中の状態を示す図である。図9Cは端子10が収納部24から突出した状態を示す図である。なお、図9Aおよび図9Bは説明の便宜上、シャーシ20の第1側面部22を省略し、さらに蓋用レバー70を透過状態で表している。
【0065】
端子10が収納部24内に収納されている場合、蓋60は収納部24を閉じる状態にある。この状態においては、図9Aに示すように、蓋用レバー70に設けられた蓋用レバー突起73は端子10のカバー部12に設けられた凹み部14に位置している。
【0066】
端子10を突出させる場合、ユーザは、図7Aの状態から図7Bに示す状態へと、つまみ部32を操作する。そうすると、図9Aに示す状態から図9Bに示す状態へとつまみ30はチ方向にスライドする。
【0067】
そうすると、図9Aに示す状態から、凹み部14に位置していた蓋用レバー70の蓋用レバー突起73は、曲面状に形成された曲面部15に沿って下に下がり、図9Bに示すように、片側側面15に沿って蓋用レバー係合溝13に入ることとなる。これにより、蓋用レバー70は蓋用レバー回転軸71を中心としてト方向へ回動する。
【0068】
そうすると、図9Bに示すように、蓋用レバー70は蓋係合用穴72が形成された蓋用レバー70の先端は下がることとなる。これにより、蓋係合用穴72に係合している蓋開閉用突起65が牽引されて、蓋60は蓋回転軸64を中心としてロ方向へ回転して、蓋60が開くこととなる。
【0069】
そして、端子10が収納部24から引き出されて、突出した状態となると図9Cに示すように、蓋用レバー70の蓋用レバー突起73は蓋用レバー係合溝13から外れた状態となる。
【0070】
このように、ユーザがつまみ30をスライドさせることにより、それに連動して端子10が収納部24から排出されるとともに、蓋60が開くこととなるので、ユーザは別途蓋60を開くための操作を行う必要がない。
【0071】
次に、端子10を収納部24に収納する動作に連動して蓋60が閉じられる動作について説明する。端子10を収納する合、ユーザは、図7Bに示す状態から図7Aに示す状態へと、つまみ部32を操作する。そうすると、図8Bに示す状態から図8Aに示す状態へとつまみ30はリ方向へスライドする。そうすると、図9Cに示す状態から図9Bに示す状態へとなり、蓋用レバー70の蓋用レバー突起73が蓋用レバー係合溝13に入り込む。
【0072】
つまみ30がリ方向へスライドするのに連動して端子10がリ方向へスライドし、蓋用レバー突起73が曲面部15に到達すると、蓋用レバー突起73は曲面部15の曲面に沿うようにして上に上がっていき凹み部14に入り込む。これにより、蓋用レバー70の先端はヘ方向へ持ち上げられることとなる。
【0073】
そうすると、蓋用レバー70の蓋係合用穴72が蓋60の第1アーム部62に設けられた蓋開閉用突起65をヘ方向へ牽引し、蓋60は蓋回転軸64を中心としてイ方向へ回転する。これにより、図9Aに示すように蓋60が閉じられる。このように、端子10を収納部24に収納させる動作に連動して蓋60が閉じられるので、ユーザは別途蓋60を閉じるための操作を行う必要がない。なお、バネなどの弾性体によって蓋用レバー70をへ方向へ付勢しても同様の動作を実現することが可能である。ただし、本実施の形態のように曲面部15の曲面に沿って蓋用レバー突起73を持ち上げ、それにより蓋用レバー70を回転させて、蓋用レバー70の先端を持ち上げる構成を採用すれば、バネなどの弾性体は必要ない。これにより、部品点数を削減することができ、コスト削減、重量削減も実現することができる。
【0074】
なお、図10Aに示すように、筐体200の内部には蓋70を蓋収納部250が形成されている。蓋70が開いている状態においては図10Bに示すように、蓋70は蓋収納部250内に収納される。よって、蓋70は電子機器100外に突出することがない。
【0075】
これにより、ユーザが誤って蓋70を壊してしまうことがない。また、電子機器100の表面に蓋70が現れることがないため、電子機器100のデザインの自由度が上げることができる。
【0076】
なお、端子10が収納部24外へ突出している状態においては、端子10が外部から押圧された場合、図11Aに示すように、端子用レバー固定部17の端子用レバー係合溝16に対する角度によって端子係合用突起42はヲ方向に付勢される。これにより、端子用レバー40はワ方向に付勢されることになる。ワ方向は端子用レバー40が回転しようとする方向とは逆方向である。よって、端子10が外部から押圧されても、端子10が収納部24内に収納されてしまうことがない。いわば、端子10が突出した状態でロックされている。
【0077】
一方、端子10が収納部24内に収納される方向に強い衝撃を受けて、大きな力で押圧される場合を考える。この大きな力とは、ユーザが端子10を外部機器に接続する際に電子機器100を押圧する力よりも大きい力であり、例えば落下による衝撃などの非常に大きな力のことをいう。
【0078】
端子に大きな力が加わった場合、図11Bに示すように、リブ部18がカ方向へ傾き、端子用レバー固定部17の角度が変わる。このように、端子用レバー固定部17の角度を可変とするためにリブ部18が設けられている。端子用レバー固定部17の角度が変わることにより、外部からの大きな力によって端子係合用突起42はヨ方向へ付勢され、端子用レバー40はニ方向へ回転する。これにより、端子10は収納部24内に収納されることとなる。このようにして、外部から端子10に大きな力が加わった場合には、端子10は収納部24内に引っ込むため、端子10、さらには端子収納装置300を構成する各部の損傷を防ぐことができる。
【0079】
<3.変形例>
以上、本技術の実施の形態について具体的に説明したが、本技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0080】
実施の形態では電子機器100はいわゆるUSBメモリとして説明したが、電子機器100はUSBメモリに限られず、USB端子を備えたボイスレコーダーであってもよい。また、USB端子を備えたデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、スマートフォン、携帯ゲーム機などでもよい。端子を備える機器であればどのような機器にも本技術は適用可能である。
【0081】
また、端子はUSB端子に限られず、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)に対応した端子、S/PDIF(Sony Philips Digital InterFace)に対応した端子、FIREWIREに対応した端子などでもよい。あらゆる端子に本技術は適用可能である。
【0082】
また、本技術は以下のような構成も取ることができる。
【0083】
(1)開口部を有し、端子を収納する収納部と、
一端側において回転可能に軸支されるとともに、他端側において前記端子に係合し、前記端子を前記収納部外へ突出させるよう第1の方向へ動作させ、さらに、前記端子を前記収納部に収納させるように第2の方向へ動作させる端子動作用レバーと、
前記端子動作用レバーに係合し、ユーザにより操作されることにより前記端子動作用レバーを回転動作させる操作部と
を備える
端子収納装置。
【0084】
(2)前記端子動作用レバーは、前記他端側に前記端子に係合する係合突起を備え、さらに、軸支される位置から前記係合突起までの寸法が、軸支される位置から前記操作部との係合位置までの寸法よりも大きくなるように構成される
前記(1)に記載の端子収納装置。
【0085】
(3)前記端子動作用レバーは、前記端子が前記収納部外へ突出している状態においては、弾性体により前記第1の方向へ付勢され、前記端子が前記収納部内に収納されている状態においては、前記弾性体により前記第2の方向へ付勢される
前記(1)または(2)に記載の端子収納装置。
【0086】
(4)前記端子は、該端子の動作方向に対して略垂直の係合溝を有し、
該係合溝に前記係合突起が挿入されることにより前記端子動作用レバーと前記端子とが係合する
前記(1)から(3)のいずれかに記載の端子収納装置。
【0087】
(5)前記係合溝の一端側には屈曲部が形成されており、前記端子が前記収納部外へ突出した状態において、前記係合突起は前記屈曲部内に位置する
前記(1)から(4)のいずれかに記載の端子収納装置。
【0088】
(6)前記開口部を開閉する蓋を更に備える
前記(1)から(5)のいずれかに記載の端子収納装置。
【0089】
(7)端子を出し入れするための開口部を有し、端子を収納する収納部と、
一端側において回転可能に軸支されるとともに、他端側において前記端子に係合し、前記端子を前記収納部外へ突出させるよう第1の方向へ動作させ、さらに、前記端子を前記収納部に収納させるように第2の方向へ動作させる端子動作用レバーと、
前記端子動作用レバーに係合し、ユーザにより操作されることにより前記端子動作用レバーを回転動作させる操作部と
を備える端子収納装置
を筐体内に備える電子機器。
【0090】
(8)前記端子収納装置は、前記開口部を開閉する蓋を更に備え、
前記筐体は蓋収納部を有し、
前記蓋は前記開口部を開いた状態においては前記蓋収納部に収納される
前記(7)に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0091】
10・・・・端子
16・・・・端子用レバー係合溝
17・・・・端子用レバー固定部
24・・・・収納部
25・・・・開口部
30・・・・つまみ
40・・・・端子動作用レバー
42・・・・端子係合用突起
50・・・・端子用バネ
60・・・・蓋
100・・・電子機器。
200・・・筐体
250・・・蓋収納部
300・・・端子収納装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し、端子を収納する収納部と、
一端側において回転可能に軸支されるとともに、他端側において前記端子に係合し、前記端子を前記収納部外へ突出させるよう第1の方向へ動作させ、さらに、前記端子を前記収納部に収納させるように第2の方向へ動作させる端子動作用レバーと、
前記端子動作用レバーに係合し、ユーザにより操作されることにより前記端子動作用レバーを回転動作させる操作部と
を備える
端子収納装置。
【請求項2】
前記端子動作用レバーは、前記他端側に前記端子に係合する係合突起を備え、さらに、軸支される位置から前記係合突起までの寸法が、軸支される位置から前記操作部との係合位置までの寸法よりも大きくなるように構成されている
請求項1に記載の端子収納装置。
【請求項3】
前記端子動作用レバーは、前記端子が前記収納部外へ突出している状態においては、弾性体により前記第1の方向へ付勢され、前記端子が前記収納部内に収納されている状態においては、前記弾性体により前記第2の方向へ付勢される
請求項2に記載の端子収納装置。
【請求項4】
前記端子は、該端子の動作方向に対して略垂直の係合溝を有し、
該係合溝に前記係合突起が挿入されることにより前記端子動作用レバーと前記端子とが係合する
請求項2に記載の端子収納装置。
【請求項5】
前記係合溝の一端側には屈曲部が形成されており、前記端子が前記収納部外へ突出した状態において、前記係合突起は前記屈曲部内に位置する
請求項2に記載の端子収納装置。
【請求項6】
前記開口部を開閉する蓋を更に備える
請求項1に記載の端子収納装置。
【請求項7】
端子を出し入れするための開口部を有し、端子を収納する収納部と、
一端側において回転可能に軸支されるとともに、他端側において前記端子に係合し、前記端子を前記収納部外へ突出させるよう第1の方向へ動作させ、さらに、前記端子を前記収納部に収納させるように第2の方向へ動作させる端子動作用レバーと、
前記端子動作用レバーに係合し、ユーザにより操作されることにより前記端子動作用レバーを回転動作させる操作部と
を備える端子収納装置
を筐体内に備える電子機器。
【請求項8】
前記端子収納装置は、前記開口部を開閉する蓋を更に備え、
前記筐体は蓋収納部を有し、
前記蓋は前記開口部を開いた状態においては前記蓋収納部に収納される
請求項7に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−26049(P2013−26049A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160423(P2011−160423)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】