説明

端子台およびこれを用いた配電装置

【課題】端子の不完全接続などの異常に対して確実に反応する安全機能を備えた端子台を提供する。
【解決手段】端子台100は、端子台本体10に、熱伝導性のシャフト30を設け、このシャフト30によって温度ヒューズユニット20に熱を搬送し、この温度検出を行うようにしたものである。この端子台は、一次側端子に接続される一次側端子部11と、二次側端子に接続される二次側端子部12とを具備している。そしてこの一次側端子部と二次側端子部の間の領域に、熱伝導性のシャフト(ヒートパイプ)30を端子の配列方向に沿って全幅に熱伝導性のシャフト30を設けている。そして、このシャフト30に、温度ヒューズユニット20を接続している。温度ヒューズユニット20は、端子板15上に温度ヒューズ23を搭載するとともに、この端子板15から電線24が導出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台およびこれを用いた配電装置に係り、特に、温度ヒューズなどの感温部を有し、温度検出機能を備えた端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分電盤、制御盤等の電気機器収納箱には、内部に収納した電気機器からの電線(内部電線すなわち二次配線)と、外部からの電線(外部電線すなわち一次配線)とを中継する端子台が備えられている(例えば、特許文献1参照)。このような端子台では、電気機器収納箱の製造業者が、電気機器収納箱内の電気機器からの内部電線を接続する。一方、外部電線の接続は、電気機器収納箱を現場に設置した後に、現場の施工業者が行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−69638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように内部電線すなわち二次配線と、外部電線すなわち一次配線とが接続される端子台は、内部電線を接続した状態で出荷され、現場では外部電線の接続のみを行う。しかし、現場の施工業者が、電気機器収納箱内に外部電線を接続する際に、接続がゆるみ、発熱しやすいという課題があった。
【0005】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、端子の不完全接続などの異常に対して温度ヒューズなどの感温部が確実に反応する安全機能を備えた端子台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による端子台は、一次側端子に接続される一次側端子部と、二次側端子に接続される二次側端子部と、前記一次側端子部または前記二次側端子部の少なくとも一方に近接し、かつ端子の配列方向に沿って全幅に設けられた熱伝導性のシャフトと、前記シャフトに接続された感温部とを備える。
【0007】
また本発明は、上記端子台であって、前記感温部は温度ヒューズであるものを含む。
【0008】
また本発明は、上記端子台であって、前記シャフトはヒートパイプであり、前記温度ヒューズは前記シャフトの一端に設けられているものを含む。
【0009】
また本発明は、上記端子台であって、前記一次側端子部と前記二次側端子部とを分離するセパレート部を備え、前記ヒートパイプは、前記セパレート部の全幅に相当する領域にわたって配設されたものを含む。
【0010】
また本発明は、上記端子台であって、前記ヒートパイプは、前記セパレート部の下層に全幅に相当する領域にわたって配設されたものを含む。
【0011】
また本発明は、上記端子台であって、前記一次側端子部及び二次側端子部は、1端子毎に独立した端子ブロックとして形成されており、前記シャフトが複数の前記端子ブロックを相互に固定する固定用シャフトを構成するものを含む。
【0012】
また本発明は、上記端子台で配電装置を構成する。
【発明の効果】
【0013】
上記構成によれば、端子の不完全接続などの異常に対して温度ヒューズなどの感温部が確実に反応し得、安全を確保することのできる端子台を提供することができる。
このため、端子台が更に加熱されて焼損、発火することがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1の端子台を示す斜視図
【図2】本発明の実施の形態1の端子台を示す分解斜視図であり、(a)は端子台本体、(b)は温度ヒューズユニットを示す図
【図3】本発明の実施の形態1の端子台を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図
【図4】図3(a)のA−A断面図
【図5】実施の形態1の端子台の変形例を示す図
【図6】実施の形態2の端子台を用いた分電盤を示す斜視図
【図7】実施の形態3の端子台を示す断面図
【図8】実施の形態4の端子台を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の端子台について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の端子台を示す斜視図(温度ヒューズユニット装着前)、図2はこの端子台を示す分解斜視図であり、(a)は端子台本体、(b)は感温ユニットとしての温度ヒューズユニットを示す図である。図3は端子台を示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。図4は、図3(a)のA−A断面図である。
【0016】
この端子台100は、図1に示すように、端子台本体10に、熱伝導性のシャフト30を設け、このシャフト30によって温度ヒューズユニット20に熱を搬送し、この温度検出を行うようにしたものである。この端子台は、一次側端子に接続される一次側端子部11と、二次側端子に接続される二次側端子部12とを具備している。そしてこの一次側端子部と二次側端子部の間の領域に、熱伝導性のシャフト(ヒートパイプ)30を端子の配列方向に沿って全幅に熱伝導性のシャフト30を設けている。なお図1は温度ヒューズユニット装着前の状態を示す。そして、図2に示すようにこのシャフト30に、温度ヒューズユニット20を接続している。温度ヒューズユニット20は、端子板15上に温度ヒューズ23を搭載するとともに、この端子板15から電線24が導出される。
ここでは一次側端子部11、二次側端子部12ともに8個の端子を備えるが、各端子部は隔壁10sで分離されている。温度ヒューズ23としては、所定の温度以上になるとこれを検知して溶断する温度ヒューズ23が用いられ、温度ヒューズユニット20を構成している。そして、温度ヒューズ23は、信号線を構成する電線24に接続される。
そしてこの端子台は、一次側端子部11と二次側端子部12とを分離するセパレート部13が、端子台本体10と一体成型で形成されている。
【0017】
一次側端子部11は、端子ネジ11aを台座11bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、一次側配線の各端子とこの端子台本体10との電気的接続を達成している。また、二次側端子部12は、端子ネジ12aを台座12bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、二次側配線の各端子とこの端子台本体との電気的接続を達成している。
14は端子台本体10の両端の支持板であり、それぞれ支持板本体14aと、取り付け突起14bと、ビス14cとを有している。14dは外部接続端子部である。また15は端子板であり、この端子板15に形成された配線パターンによって一次側端子部と二次側端子部とが接続されている。
【0018】
上記構成によれば、ヒートパイプなどの熱伝導性のシャフト30を用いることで、このシャフト30の近傍が所定の温度以上になると、その熱が温度ヒューズ23に伝達されるため、極めて容易に温度ヒューズ23を高感度化することができる。シャフトは銅、アルミニウムなど熱伝導性の優れた材料で構成される。
又上記構成によれば、ヒートパイプを配するだけで、温度ヒューズを高感度化することができる。
また各端子は端子台本体10の複数個の突起すなわち隔壁10sで確実に保持されながらも、いずれかの端子が許容温度を超えた時にも、高温となった事実をヒートパイプを介して容易に温度ヒューズに伝達することができる。このように本実施の形態の端子台では、8端子に対して1個の温度ヒューズでよく、ヒートパイプによって端子台の端子配列方向に沿って効率よく熱が伝達しうるように構成されている。
またこの構成によれば、端子の不完全接続などの異常に対してセンサが確実に反応することができるため、確実な安全装置として作用する。
【0019】
なお、前記実施の形態では、温度ヒューズを用いたが、高温を検知して溶断する温度ヒューズに代えて、単に温度センサを用いて、警告信号を発信したり、別の場所で警告音を発するようにしてもよい。
【0020】
また、前記実施の形態では、8端子に対して1個の温度ヒューズを用いているが、図5に変形例を示すようにヒートパイプの両端に温度ヒューズを配置するようにしてもよい。
【0021】
(実施の形態2)
次いで、本発明の実施の形態2について、図面を参照して説明する。
図6は、実施の形態2の端子台を用いた分電盤を示す斜視図である。
本実施の形態では一次側端子部11と二次側端子部12との間にヒートパイプからなる熱伝導性のシャフト30を配置した端子台100を用いた分電盤Bについて説明する。
分電盤Bとしては通常の構成を示すものであるが、表示部D、端子台100を備えている。この端子台100は一次側端子部11と二次側端子部12との間のセパレート部13にシャフト(図示せず)を具備している。そして、温度ヒューズが、温度ヒューズユニットを構成しており、これが、端子台本体10と一体成型で形成された樹脂製のセパレート部13に装着されている。なお、図1に示した実施の形態1の端子台と同一の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0022】
なお、前記実施の形態1では、温度ヒューズを用いたが、本実施の形態においても、高温を検知して溶断する温度ヒューズに代えて、単に温度センサを用い、警告信号を発信したり、別の場所で警告音を発するようにしてもよい。
【0023】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3の端子台について説明する。この端子台は、図7に断面図を示すように、熱伝導性のシャフト30の位置を下部に配したものである。すなわち、端子台の一次側端子部11と二次側端子部12とを分断している端子板15上面のセパレート部13に代えて、セパレート部13直下に熱伝導性のシャフト30としてヒートパイプを設けている。
【0024】
セパレート部13の直下に一及び二次側端子部間領域を貫通する貫通溝13M0を有しており、この貫通溝13M0内にヒートパイプからなるシャフト30を挿通し、端部に温度センサユニット20Sを装着している。なおこの貫通溝13M0を含むセパレート部については端子台本体10と一体成型されている。
【0025】
この端子台100Sは、図7に示すように、前記実施の形態1に示した端子台と同様、端子台本体10に、一次側端子に接続される一次側端子部11と、二次側端子に接続される二次側端子部12と、温度変化を検出する温度センサユニット20Sを備えたことを特徴とする。この温度センサユニット20Sはセパレート部に設けられた貫通溝13M0に装着され、端子台の端子板15に直接接触するように構成されている。
【0026】
一次側端子部11は、端子ネジ11aを台座11bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、一次側配線の各端子とこの端子台本体10との電気的接続を達成している。また、二次側端子部12は、端子ネジ12aを台座12bに設けられたネジ穴に螺合させることにより、二次側配線の各端子とこの端子台本体との電気的接続を達成している。
14は端子台本体10の両端の支持板であり、それぞれ支持板本体14aと、取り付け突起14bと、ビス14cとを有している。
【0027】
上記構成によれば、ヒートパイプの端部に温度センサ23Sを設けているため、端子の不完全接続などの異常に対して温度センサ23Sが確実に反応し、一次側及び二次側の両側の異常検知が可能である。
【0028】
また本実施の形態では、端子台のセパレート部の長手方向全体にわたり、貫通溝を形成し、この貫通溝内にヒートパイプを通して熱を温度センサ23Sまで搬送しているため、容易に確実な温度検出が実現される。
【0029】
(実施の形態4)
次に本発明の実施の形態4の端子台について説明する。この端子台は、図8に断面図を示すように、熱伝導性のシャフト30を一次側端子部及び二次側端子部の固定用に用いたものである。本実施の形態では、一次側端子部及び二次側端子部は、1端子毎に独立した端子ブロックとして形成されており、シャフトが複数の端子ブロックを相互に固定する固定用シャフトを構成する。
すなわち、本実施の形態では、端子台の一次側端子部11と二次側端子部12とが、1端子毎に独立した端子ブロックとして形成されており、8ブロックの端子ブロックをシャフトが相互に固定する固定用シャフト30kを構成する。この場合も、セパレート部13直下に熱伝導性の固定用シャフト30kとしてヒートパイプを設けている。
【0030】
セパレート部13の直下に各端子ブロックは、一及び二次側端子部間領域を貫通する貫通溝13M0を有しており、この各貫通溝13M0内にヒートパイプからなるシャフト30を挿通し、一体的に固定するとともに、端部に温度センサユニット20Sを装着している。
【0031】
かかる構成によれば、ヒートパイプが固定軸と兼用されており、部品点数の低減を図ることができ、固定と熱接触とを兼ね備えたヒートパイプが実現可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 端子台本体
10s 隔壁
11 一次側端子部
11a 端子ネジ
11b 台座
12 二次側端子部
12a 端子ネジ
12b 台座
13 セパレート部
14 支持板
14a 支持板本体
14b 取り付け突起
14c ビス
14d 外部接続端子部
15 端子板
20 温度ヒューズユニット
20S 温度センサユニット
23 温度ヒューズ
23S 温度センサ
100 端子台
30 シャフト(ヒートパイプ)
30K 固定用シャフト(ヒートパイプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側端子に接続される一次側端子部と、
二次側端子に接続される二次側端子部と、
前記一次側端子部または前記二次側端子部の少なくとも一方に近接し、かつ端子の配列方向に沿って全幅に設けられた熱伝導性のシャフトと、前記シャフトに接続された感温部とを備えた端子台。
【請求項2】
請求項1に記載の端子台であって、
前記感温部は温度ヒューズである端子台。
【請求項3】
請求項2に記載の端子台であって、
前記シャフトはヒートパイプであり、
前記温度ヒューズは前記シャフトの一端に設けられている端子台。
【請求項4】
請求項3に記載の端子台であって、
前記一次側端子部と前記二次側端子部とを分離するセパレート部を備え、
前記ヒートパイプは、前記セパレート部の全幅に相当する領域にわたって配設された端子台。
【請求項5】
請求項3または4に記載の端子台であって、
前記ヒートパイプは、前記セパレート部の下層に全幅に相当する領域にわたって配設された端子台。
【請求項6】
請求項4または5に記載の端子台であって、
前記一次側端子部及び二次側端子部は、1端子毎に独立した端子ブロックとして形成されており、
前記シャフトが複数の前記端子ブロックを相互に固定する固定用シャフトを構成する端子台。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の端子台を含む配電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−216394(P2012−216394A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80326(P2011−80326)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】