説明

端子圧着用の押圧部材、及び端子圧着装置

【課題】 押圧部材に対し圧着端子が送り込まれた位置が許容範囲から逸脱しているとき、その異常状態を早期に検出することを可能にする端子圧着用の押圧部材を提供する。
【解決手段】 板状のキャリアに繋がれて送り込まれる圧着端子100を、基台37のアンビル10と協働して圧潰し、電線Lの端部に圧着させる端子圧着用の押圧部材9であって、アンビル10と対向する位置に切り欠かれて形成された圧潰部19と、その両端に連続して形成され、テーパー状に拡開された傾斜面によって圧着端子100及び電線Lの端部を圧潰部19に案内する案内部20とを有する。特に、圧着端子100の送り込み位置に関して、案内部20における水平方向成分を、許容範囲21と逸脱範囲22とに区分し、逸脱範囲22における圧着端子100の摺動抵抗が許容範囲21における摺動抵抗よりも大きくなるように、逸脱範囲22の表面に階段状の段部23が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子圧着用の押圧部材、及び端子圧着装置に関するものであり、特に板状のキャリアに繋がれて送り込まれる圧着端子を、基台の上面に形成されたアンビルとの協働によって圧潰する押圧部材、及びその押圧部材を備えた端子圧着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、端子圧着装置として、立設された支柱部材と、支柱部材の上側に配設され動力機構によって上下方向に動作する昇降部材と、昇降部材の下端に取付けられた押圧部材と、支柱部材の下側に配設され上面に凹状のアンビルが形成された基台とを具備するものが知られている。これによれば、動力機構によって押圧部材が下方に移動したとき、押圧部材の先端と凹状のアンビルとの間で圧着端子が圧潰される。
【0003】
圧着端子は、板状のキャリアによって一連に繋がれており、端子搬送機構によって、基台のアンビル上に順次送り込まれるようになっている。端子搬送機構は、押圧部材の動作に連動するように制御され、圧着端子が圧潰され押圧部材が下死点から上死点に変位する毎に、係止爪部によってキャリアを所定方向に移動させ、圧着端子をアンビル上に順次送り込むように構成されている。
【0004】
図6に示すように、押圧部材90は、アンビル91よりも幅広に形成されるとともに、アンビル91をその内部に挿入させるため、押圧部材90の下面には、アンビル91よりも僅かに幅広い溝状の切り欠き92が形成されている。そして、切り欠き92の奥面(天井面)が圧潰部93となっており、押圧部材90とアンビル91との間に送り込まれた圧着端子100は、アンビル91とともに切り欠き92の奥方に押し込まれ、切り欠き92の側面によって位置決めされた状態で圧潰される。なお、切り欠き92の側面には、所定の高さの位置から下端に向かってテーパー状に拡開された案内部94が形成されており、これにより圧着端子100及び電線95の端部が圧潰部93に案内されるようになっている。なお、この案内部94は、圧着端子100及び電線95を滑らかに案内させるよう、研磨された傾斜曲面によって構成されている。
【0005】
以上の従来技術は、当業者において当然として行われているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の端子圧着装置によれば、圧着端子100が折れ曲がった状態で送り込まれ、これが原因でアンビル91や押圧部材90を破損させることがあった。詳しく説明すると、図7に示すように、圧着端子100は、電線95の被覆材に圧着される第一圧着部102と、被覆材が除去された先端側の芯線に圧着される第二圧着部103と、連結用のコネクタ部104とを有し、キャリア101の縁部から突出して形成されている。このため、搬送中に圧着端子100に何らかの外力が加わると、キャリア101と第一圧着部102との接続部分を支点として折れ曲がり、その状態のまま送り込まれることが多々ある。
【0007】
すると、圧着端子100は、アンビル91と圧潰部93との間には配置されず、正常な範囲から逸脱した状態となる可能性がある。なお、上述したように圧潰部93の両端には案内部94が形成されているものの、圧着端子100の送り込まれた位置が正常な範囲(許容範囲)から逸脱している場合には、圧着端子100を切り欠き92の奥方に向かって案内することが困難となり、例えば、基台96の外側面と切り欠き92の内側面との間に圧着端子100を挟んだ状態で、アンビル91が圧潰部93に接近することもある。この場合、上面にアンビル91が形成された基台96は、挟まれた圧着端子100から力を受け、傾いた状態で切り欠き92の奥方に挿入されることとなる。すると、アンビル91の角部が案内部94または圧潰部93の側面に圧接することとなり、その結果、押圧部材90またはアンビル91を傷つけたり破損させたりすることが発生していた。なお、押圧部材90や基台96は比較的高価であることから、交換に要する費用が嵩み、維持管理における負担が大きくなっていた。
【0008】
ところで、本願出願人は、上記の不具合を解消するため、押圧部材90と基台96との間に送り込まれた圧着端子100の位置が許容範囲か否かを検出し、許容範囲から逸脱しているとき圧潰動作を停止させることを試みた。具体的には、端子圧着装置に圧力センサを備え、許容範囲から逸脱した状態で送り込まれた場合における押圧力の変化を捉えて異常状態の有無を判断するものである。
【0009】
しかしながら、従来の案内部94は、滑らかな傾斜面で形成されているため、圧着端子100が許容範囲から逸脱していても、ある程度の深さまでは何ら障害となることなく押し込まれていた。換言すれば、アンビル91及び圧着端子100が切り欠き92の奥方に到達するまで、圧着端子100の押圧力に変化を生じさせることができなかった。このため、許容範囲からの逸脱を早期の段階で検出することができず、押圧部材90及びアンビル91の圧接により、これらが破損する可能性は依然として残されていた。
【0010】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、押圧部材に対し圧着端子が送り込まれた位置が許容範囲から逸脱しているとき、その異常状態を早期に検出することを可能にする端子圧着用の押圧部材、及び、その押圧部材を備え、押圧部材及びアンビルの破損を確実に防止することが可能な端子圧着装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる端子圧着用の押圧部材は、「板状のキャリアに繋がれて送り込まれる圧着端子を、基台のアンビルと協働して圧潰し、電線の端部に圧着させる端子圧着用の押圧部材であって、前記アンビルと対向する位置に切り欠かれて形成された圧潰部と、該圧潰部の両端に連続して形成され、テーパー状に拡開された傾斜面によって前記圧着端子及び前記電線の端部を前記圧潰部に案内する案内部とを有し、前記圧着端子の送り込み位置に関して、前記案内部における水平方向成分を、許容範囲と該許容範囲から逸脱する逸脱範囲とに区分し、該逸脱範囲における前記圧着端子の摺動抵抗が前記許容範囲における摺動抵抗よりも大きくなるように、前記逸脱範囲の表面に抵抗面が形成されている」ことを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「抵抗面」とは、圧着端子を案内する際に生じる摺動抵抗が通常(滑らかな面)よりも大きくなるように加工した面のことであり、例えば、表面を粗く形成したり、階段状に形成したりすることにより実現できる。また、表面に摺動抵抗の大きいゴム等の部材を取付けたり、塗料等を塗布するようにしてもよい。
【0013】
本発明によれば、アンビルと押圧部材と間に圧着端子及び電線が送り込まれた後、アンビルと押圧部材とが互いに接近させられると、アンビルが押圧部材に形成された切り欠きの内部に挿入され、アンビルと圧潰部との協働によって圧着端子を圧潰させることが可能になる。この際、圧潰部の両側にはテーパー状に拡開された案内部が形成されているため、圧着端子が送り込まれた位置が正常な位置であれば、圧着端子及び電線の端部は、この案内部によって圧潰部へ案内される。ここで、本発明では、案内部における水平方向成分が、許容範囲と、その許容範囲から逸脱する逸脱範囲とに区分されており、逸脱範囲における圧着端子の摺動抵抗が許容範囲における摺動抵抗よりも大きくなるように、逸脱範囲の表面に抵抗面が形成されている。このため、圧着端子の送り込み位置が許容範囲に対向している場合には、圧着端子は、押圧力を受けることなく滑らかに圧潰部へ案内されるが、圧着端子の送り込み位置が逸脱範囲に対向している場合には、案内部の表面と圧着端子との間で大きな摺動抵抗が生じ、圧着端子に押圧力が加わることになる。つまり、許容範囲に対して送り込まれた場合と逸脱範囲に対して送り込まれた場合とで押圧力を変化させることが可能になる。したがって、圧力検出手段を用いて圧力を検出することにより、許容範囲か否かを判別することが可能になる。
【0014】
ところで、本発明にかかる端子圧着用の押圧部材において、「前記案内部における前記逸脱範囲に、前記抵抗面として階段状の段部が形成されている」構成を採用してもよい。
【0015】
この構成によれば、圧着端子の送り込まれた位置が逸脱範囲に対向している場合には、圧着端子の一端が、階段状の段部における平面形状部分に当接するため、極めて大きな抵抗が生じる。したがって、圧着端子に大きな押圧力が加わることとなり、逸脱範囲における圧力の変化を容易に検出することが可能になる。
【0016】
ところで、圧着端子が送り込まれた位置が許容範囲に対向していても、電線の位置が許容範囲から逸脱することがある。ところが、譬え電線の一部が許容範囲に対向していなくても電線の先端である芯線部分が許容範囲に対向していれば、圧着端子を圧潰部へ案内する際、電線も正規の位置へ案内される可能性が高く、しかも電線は圧着端子のように剛性を有していないため、アンビルを有する基台が電線の存在によって傾いたりする可能性は少ない。つまり、電線の位置に関する許容範囲は圧着端子の許容範囲よりも広くなっており、上記の逸脱範囲においても電線を滑らかに案内する方が好適な場合も多い。しかしながら、上記のように案内部における逸脱範囲の表面を階段状に形成したものでは、平面部分に電線が引っ掛かり電線を案内することができなくなる恐れがある。
【0017】
そこで、このような場合には、「前記段部における各段の横幅は、前記圧着端子の板厚よりも長く、前記電線の半径よりも短い長さに設定されている」ようにすることが好ましい。
【0018】
これによれば、案内部における逸脱範囲の表面形状が階段状に形成されているものの、その各段の横幅は、電線の半径よりも短い長さに設定されていることから、電線が段部の平面部分に引っ掛かることが抑制される。すなわち、電線の送り込み位置が許容範囲から逸脱していても、案内部に沿って電線を圧潰部に送り込むことができる。
【0019】
一方、本発明にかかる端子圧着装置は、「上面にアンビルが形成された基台と、板状のキャリアに繋がれて送り込まれる圧着端子を、前記基台の前記アンビルと協働して圧潰する押圧部材と、前記基台及び前記押圧部材の少なくともいずれか一方を移動させ互いに接近させる動力機構と、前記圧着端子に加わる圧力を検出する圧力検出手段と、前記圧着端子が前記案内部によって案内される際に発生する圧力を前記圧力検出手段によって検出し、検出圧力が所定値よりも大きいか否かを判定する比較判定手段と、前記検出圧力が前記所定値よりも大きい場合、前記動力機構による接近動作を停止させる異常停止制御手段とを具備し、前記押圧部材は、前記アンビルと対向する位置に切り欠かれて形成された圧潰部と、該圧潰部の両端に連続して形成され、テーパー状に拡開された傾斜面によって前記圧着端子及び前記電線の端部を前記圧潰部に案内する案内部とを有し、前記圧着端子の送り込み位置に関して、前記案内部における水平方向成分を、許容範囲と該許容範囲から逸脱する逸脱範囲とに区分し、該逸脱範囲における前記圧着端子の摺動抵抗が前記許容範囲における摺動抵抗よりも大きくなるように、前記逸脱範囲の表面に抵抗面が形成されている」ことを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、圧着端子が基台のアンビル上に送り込まれ、さらに電線の先端が、アンビル上の圧着端子に送り込まれると、その圧着端子を圧潰し、圧着端子を電線に圧着させる動作が行われる。具体的には、動力機構によって、押圧部材が備えられた上側のユニットと、基台が備えられた下側のユニットとを互いに接近させると、圧着端子及び電線が案内部を介して圧潰部に案内され、その圧潰部とアンビルとの間で圧着端子が圧潰される。
【0021】
特に、圧着端子が案内部によって案内される際には、圧力センサ等の圧力検出手段によって圧着端子に加わる圧力が検出され、検出圧力が所定値(許容基準値)よりも大きいか否かを判定する。この際、圧着端子の送り込み位置が許容範囲に対向している場合には、圧着端子は、押圧力を受けることなく滑らかに圧潰部へ案内されるため、検出圧力は所定値よりも小さくなる。一方、圧着端子の送り込み位置が逸脱範囲に対向している場合には、案内部の表面と圧着端子との間で大きな摺動抵抗が生じ、圧着端子に押圧力が加わるため、検出圧力は所定値よりも大きくなる。そこで、異常停止制御手段は、検出圧力が所定値よりも大きい場合には、圧着端子が逸脱範囲に送り込まれたものと判断し、動力機構による接近動作(圧潰動作)を停止させる。すなわち、圧着端子が逸脱範囲に対向して送り込まれた際には、圧着端子が切り欠きの奥方に到達するのを待つことなく、早期の段階で圧潰動作が停止される。
【発明の効果】
【0022】
このように、本発明の端子圧着用の押圧部材では、案内部における圧着端子の摺動抵抗が、許容範囲よりも逸脱範囲の方が大きくなるように構成されているため、許容範囲では滑らかな案内を維持しつつ、逸脱範囲では圧着端子に加わる圧力を増加させることができる。したがって、圧力検出手段を備えることにより、圧着端子の異常状態を早期の段階で判別することが可能になり、押圧部材やアンビルの破損を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態である端子圧着装置について、図1乃至図5に基づき説明する。図1は端子圧着装置のシステム構成を示す説明図、図2乃至図4は端子圧着用アプリケータの構成を示す図であり、図5は端子圧着用アプリケータの動作を示す説明図である。
【0024】
端子圧着装置1は、圧着端子100(図7参照)の供給、電線Lの送込み、被覆材Hの除去、圧着端子100の圧潰、及び電線Lの切断を一連の動作として行い、圧着端子100が圧着された所定長さの電線Lを連続して製造するものである。この端子圧着装置1は、図1に示すように、電線Lの送り方向順に、電線Lを送る電線送り機構2と、電線Lの送り方向先端側に圧着端子100を圧着させる端子圧着用アプリケータを備えた第一圧着機3Aと、電線Lを切断するとともに電線Lの端部の被覆材Hを除去する切断機構4と、電線Lの送り方向後端側に圧着端子100を圧着させる端子圧着用アプリケータを備えた第二圧着機3Bと、切断後の電線Lを保持するチャック機構5とを備えており、これら各機構は、直線状に配置されている。
【0025】
第一および第二圧着機3A,3Bに備えられる端子圧着用アプリケータ6は、図2乃至図4に示すように、上側ユニット7と下側ユニット8とに分離されており、個々に交換可能な状態で圧着機3A,3Bに取付けられている。上側ユニット7及び下側ユニット8には、押圧部材9及びアンビル10が取付けられており、上側ユニット7及び下側ユニット8が互いに接近する方向に移動することで、押圧部材9とアンビル10との間に位置する圧着端子100を圧潰することが可能である。なお、上側ユニット7と下側ユニット8との間には空間が形成されているため、図2における紙面後方側から紙面手前側に向って電線Lを送ることが可能である。ここで、押圧部材9が本発明の端子圧着用の押圧部材に相当する。
【0026】
上側ユニット7は、圧着機3に着脱可能に取付けるための連結部11が設けられており、この連結部11が圧着機3の被連結部(図示しない)に連結されるようになっている。連結部11の下方には、内部にシリンダ等の上ユニット動力機構12(図4参照)を備えた動力機構保持部材13が設けられており、さらに下方には、押圧部材9等を保持する保持部材14が設けられている。
【0027】
なお、押圧部材9は、所定形状の板材からなる二枚の部材、すなわち圧着端子100が送り込まれた際、圧着端子100の第一圧着部102の上方に位置する第一押圧部材と、第二圧着部103の上方に位置する第二押圧部材とから構成されている。どちらの押圧部材9も、アンビル10と対向する位置に、底面に向かって開かれた縦長の切り欠き18が形成されており、第一圧着部102及び第二圧着部103を側方から挟みながらアンビル10との間で圧潰することにより、第一圧着部102を電線Lの被覆材Hに圧着させ、第二圧着部103を被覆材Hが除去された芯線Sに圧着させる。
【0028】
特に、図4に示すように、切り欠き18の天井面には、アンビル10と協働して圧着端子100を圧潰する略M字形の圧潰部19が形成され、圧潰部19の両側には、圧着端子100及び電線Lの端部を圧潰部19に案内するための案内部20が連続して形成されている。この案内部20は、全体がテーパー状に拡開された傾斜面によって構成されているが、その水平方向成分は、圧着端子100が送り込まれる位置に関して二分されている。詳しくは、押圧部材9に対して圧着端子100が送り込まれる位置が正常となる範囲、すなわち、アンビルと圧潰部19とによって確実に圧潰可能である範囲(許容範囲21とする)と、圧着端子100が送り込まれる位置が異常となる範囲、すなわち、図3の100aに示すように折れ曲がった状態で送り込まれ、このまま圧潰すると不良品が発生したり押圧部材9やアンビル10が破損する可能性がある範囲(逸脱範囲22とする)とに区分されている。そして許容範囲21における表面形状は滑らかな傾斜面となっており、逸脱範囲22における表面には階段状の段部23が形成されている。つまり、逸脱範囲22における圧着端子100の摺動抵抗が許容範囲21における摺動抵抗よりも大きくなるように、逸脱範囲22の表面に抵抗面として段部23が形成されている。なお、段部23における各段は、水平面と、奥に向かってやや幅広となる略垂直面とから楔形に形成されており、水平面における幅は、圧着端子100の板厚よりも長く、電線Lの半径よりも短くなるように設定されている。
【0029】
一方、図3に示すように、二枚の押圧部材9の間には、払落し部材29が摺動可能に保持されている。この払落し部材29の上端部は、動力機構保持部材13のシリンダ内を摺動するピストン部材(図示しない)の下端部に接続されており、このピストン部材は、バネなどの弾性部材(図示しない)により上方に付勢されている。そして、ピストン部材の上下方向の移動に伴って払落し部材29が上下方向に移動し、押圧部材9に付着された圧着端子100を払い落とすことを可能にしている。
【0030】
また、押圧部材9の手前側には、下端に半円状の切り欠が形成された差込部材30が設けられている。この差込部材30は、圧潰動作の際に圧着端子100の第二接続部106(図7参照)及びコネクタ部104が上方へ折曲がることを防止するものであり、圧潰部19とアンビル10とによる圧着端子100の圧潰動作に先立って、第二圧着部103及びコネクタ部104の間、すなわち第二接続部106の部位に差し込まれる。なお、差込部材30の幅は、第二接続部106の長さ(すなわち第二圧着部103とコネクタ部104との間隔)に略一致している。また、差込部材30は、保持部材14によって上下方向へ摺動可能に支持されるとともに、バネ等の弾性部材(図示しない)によって下方に付勢されている。
【0031】
また、上側ユニット7における保持部材14には、切断部押圧部材31が下方に突出して設けられている。切断部押圧部材31は、後述する下側ユニット8の切断部32の上方に配設されており、圧着端子100の圧潰動作時に保持部材14とともに下降し、切断部32を押圧することにより、切断部32を下方に摺動させる。なお、この切断部押圧部材31は、バネ等の弾性部材(図示しない)によって下方(すなわち切断部44側)に付勢されている。
【0032】
また、上側ユニット7の動力機構保持部材13には、内部にICチップを内蔵したICチップユニット34が取付けられており、そのICチップには、夫々異なる固有の識別番号が記憶されている。また、動力機構保持部材13には、圧着端子100を圧潰する際に、圧着端子100に加わる押圧力、すなわち圧着端子100側から受ける反作用による圧力を検出するための圧力センサ等の圧力検出手段35(図4参照)が設けられている。
【0033】
一方、図2及び図3に示すように、下側ユニット8は、上側ユニット7と同様に圧着機3に形成された被連結部(図示しない)に対して着脱可能な連結部36と、連結部36に固定され上面にアンビル10が形成された基台37と、連結部36の上方に位置するとともに水平方向に延出された端子搬送手段38とを具備している。なお、本例のアンビル10は、圧着端子100の第一圧着部102に対応する第一アンビルと、第二圧着部103に対応する第二アンビルとに分割されており、基台37は、上面に第一アンビルが形成された第一基台と、上面に第二アンビルが形成された第二基台とから構成されている。なお、どちらの基台37も上面先端部分に円弧状のアンビル10が形成された板状の部材からなり、下側ユニット8の保持部材39に螺子等を用いて固定されている。
【0034】
また、基台37の手前側の部分には、下面支持部材40が一体的に形成されている。この下面支持部材40は、圧着端子100の第二接続部106の下方に位置しており、圧潰動作時に第二接続部106の下面を支持することにより、第二接続部106及びコネクタ部104が下方に折曲がること、すなわちベンドダウンを抑制している。また、連結部36には、上側ユニット7と同様のICチップユニット41が取付けられている。
【0035】
なお、詳細な説明は省略するが、端子搬送手段38は、板状のキャリア101によって一連に繋がれた圧着端子100を基台37のアンビル10上に順次供給するものであり、ベース部材42と、ベース部材42の上面に形成された溝状のガイド部43と、ガイド部43の開口部分を部分的に塞ぎキャリア101の逸脱を防止する逸脱防止機構44と、キャリア101によって繋がれた複数の圧着端子100を搬送させる搬送機構45と、搬送機構45を水平方向に摺動させる図示しないピストン及びシリンダを備えた動力機構保持部材46とから構成されている。
【0036】
ところで、保持部材36に支持された切断部32は、圧着端子100の圧潰動作の際、圧潰される圧着端子100をキャリア101から切り離すものである。具体的に説明すると、切断部44は、キャリア101を挟んだ状態で案内する溝状の挟持部47を有しており、保持部材39に対して上下方向に摺動可能な状態で支持されている。特に、保持部材39は、バネ等の弾性部材(図示しない)によって上方に付勢されており、挟持部47が基台37のアンビル10よりも上方に位置するように支持されている。このため、上側ユニット7の切断部押圧部材31によって下方に押圧されると、切断部32は弾性部材の弾性力に抗して下方に摺動し、挟持部47の前側角部と、アンビル10における奥側の上面角部との間にせん断力を発生させることが可能となる。つまり、挟持部47にキャリア101を通した状態で切断部32を下降させることにより、アンビル10上の圧着端子100をキャリア101から切り離すことが可能である。
【0037】
一方、電線送り機構2は、図1に示すように、電線取込みガイド48、二組のローラ49、及びガイドパイプ50等から構成されている。なお、対向するローラ49は、互いに接近および離反するように移動可能とされ、また、ローラ49がローラ駆動手段(図示しない)により回転駆動され、回転方向及び回転数を制御することにより、電線Lを任意の長さだけ送ることを可能にしている。電線取込みガイド48を介して取込まれた電線Lは、ローラ49により、ガイドパイプ50内に送り込まれ、さらにガイドパイプ50の先端へと導かれる。
【0038】
また、図示しないが、切断機構4は、電線Lの切断や、電線Lの端部の被覆材Hを除去するものであり、上下方向に配設された一対の刃(上刃及び下刃)と、上刃を下刃に対して上下方向に移動させる移動手段(図示しない)とを備えている。つまり、上刃と下刃との間に電線Lを挿入した状態で、上刃が下刃に当接するように移動手段を動作させることにより、電線Lを切断する。また、電線Lの端部が所定長さ突出するように、上刃と下刃との間に電線Lを挿入した状態で、上刃と下刃との間隔が電線Lの芯線Sの大きさに対応した距離になるように移動手段を動作させ、続いて電線送り機構2またはチャック機構5によって電線Lを引っ張ることにより、電線Lの端部の被覆材Hが除去される。
【0039】
また、下側ユニット8はその下方に配設された下ユニット動力機構15(図4参照)によって昇降可能となっている。下ユニット動力機構15の構成については特に図示しないが、連結部36が連結される被連結部を上下方向に摺動可能に保持する保持部材と、保持部材の下側に配設されたローラ支持部材と、ローラ支持部材に回転可能に支持されたローラと、ローラ支持部材の下方に配設されローラと接触するカム面を有した回転カムと、回転カムを回転駆動するステッピングモータ等の回転駆動手段とから構成されている。
【0040】
続いて、本実施形態の端子圧着装置1の動作、特に端子圧着用アプリケータ6における圧潰動作について説明する。まず、図3に示すように、端子搬送手段38によって基台37のアンビル10上に圧着端子100が順に供給される。つまり、動力機構保持部材46内のシリンダ(図示しない)の動作によってピストンロッドを図3の紙面左方向に付勢すると、搬送機構45が同方向に移動し、一連の圧着端子100が繋がれたキャリア101を所定位置まで搬送する。
【0041】
一方、図1に示すように、電線送り機構2から送り出される電線Lの先端が、一旦、第一圧着機3Aを通り越して切断機構4へと送られる。そして、切断機構4へ送られた電線Lの先端は、上刃と下刃とで挟まれ、電線送り機構2により電線Lが送り戻されることで先端部の被覆材Hが除去される。さらに、電線Lの先端は第一圧着機3Aの位置まで送り戻される。
【0042】
続いて、図4に示すように、下側ユニット8のアンビル10上に位置する圧着端子100に電線Lの先端が送り込まれる。詳しくは、被覆材Hの除去された電線Lの芯線S部分が、圧着端子100における第二圧着部103及び第二接続部106の上方に位置し、先端側の被覆H部分が第一圧着部102の上方に位置するように送り込まれる。
【0043】
その後、第一圧着機3Aでは、上ユニット動力機構12及び下ユニット動力機構15の駆動により、上側ユニット7および下側ユニット8が下降および上昇(互いに接近)する。すると、圧着端子100及び電線Lが案内部20に沿って圧潰部19に案内される。この際、圧力検出手段35によって圧着端子100に加わる圧力が検出され、検出された圧力と予め定められた基準値52とが比較判定手段51によって比較判定される。ここで、圧着端子100が送り込まれた位置が、許容範囲21と対向している場合には、図5(a)に示すように、圧着端子100は、案内部20における研磨された斜面に沿って案内されるため、押圧力を受けることなく滑らかに圧潰部19へ案内される。つまり、この場合には、検出圧力は基準値52よりも小さくなる。一方、圧着端子100が送り込まれた位置が、逸脱範囲22と対向している場合には、図5(b)に示すように、階段状の段部23に対して圧着端子100が当接するため、大きな摺動抵抗が生じる。つまり、この場合には、検出圧力は基準値52よりも大きくなる。そこで、異常停止制御手段53は、検出圧力が基準値52よりも大きくなったことが比較判定手段51によって判定されると、圧着端子100が逸脱範囲22に送り込まれたものと判断し、上ユニット動力機構12及び下ユニット動力機構15による接近動作(圧潰動作)を停止させる。すなわち、圧着端子100が逸脱範囲22に対向して送り込まれた際には、圧着端子100が切り欠き18の奥方に到達するのを待つことなく、早期の段階で圧潰動作を停止させる。
【0044】
なお、案内部20における逸脱範囲22の表面形状は階段状に形成されているが、その各段の横幅は、圧着端子100の板厚(例えば0.1mm〜0.2mm)よりも長く、電線Lの半径(例えば0.5mm)よりも短い長さに設定されているため、圧着端子100は引っ掛かりやすく、電線Lは引っ掛かりにくくなる。すなわち、電線Lの送り込み位置が許容範囲21から逸脱していても、圧着端子100が許容範囲21に対向していれば、電線Lは案内部20に沿って送り込まれる。
【0045】
一方、図3に示すように、圧着端子100及び電線Lが圧潰部19に案内されるのと同時に、切断部押圧部材31が切断部32の上面に当接し、弾性部材の弾性力に抗して切断部32を下降させる。なお、切断部押圧部材31を下方に付勢する弾性部材は、切断部32を上方に付勢する弾性部材よりも弾性変形し難く、且つ、切断部32によるせん断力よりも小さな力で弾性変形するように弾性係数が設定されている。また、切断部押圧部材31の底面位置は、押圧部材9とアンビル10との間で圧着端子100が圧潰される前、すなわち圧潰動作の前に、切断部32の上面に当接する高さに設定されている。このため、上側ユニット7と下側ユニット8とが接近すると、まず、切断部押圧部材31によって切断部32が押圧されることにより、弾性部材の弾性力に抗して切断部32が下降し、この結果、挟持部47の位置がアンビル10と同じ高さとなる。これにより、圧着端子100は、キャリア101から水平方向に延出された状態を維持したまま、基台37のアンビル10上に載置される。ここで、基台37には、下面支持部材40が一体に形成されているため、圧着端子100における第二接続部106は下面支持部材40上に載置され、第二接続部106の下面が支持された状態、すなわち下方への折曲がりが抑制された状態となる。
【0046】
また、切断部押圧部材31の動作とともに、差込部材30が第二圧着部103とコネクタ部104との間に差し込まれるため、差込部材30の一方の端面(押圧部材9側の端面)とそれに対向する第二圧着部103の立壁部とが当接するとともに、差込部材30の他方の端面とそれに対向するコネクタ部104の立壁部とが当接する。このため、圧潰動作の際、第二接続部106及びコネクタ部104が上方に折曲がるように外力が加わっても、差込部材30の他方の端面とコネクタ部104の立壁部との当接により、コネクタ部104の折曲がりが抑制される。
【0047】
また、圧着端子100が圧潰される前に差込部材30が差し込まれることから、差込部材30によって電線Lの先端側を下方に押圧し、電線Lを圧着端子100の内部に案内することが可能となる。つまり、被覆材H噛み等を生じさせることなく、圧潰動作させることが可能になる。
【0048】
その後、上側ユニット7及び下側ユニット8がさらに接近すると、押圧部材9の圧潰部19及びアンビル10によって圧着端子100が圧潰され、これにより圧着端子100が電線Lに圧着される。
【0049】
なお、この際、何らかの原因でアンビル10や押圧部材9が欠けていると、圧着端子100を十分に圧潰することができなくなる。また、アンビル10や押圧部材9が正常であっても、電線Lの被覆材Hを除去する際に圧着端子100に圧着されるべき芯線Sの一部が除去されたり、電線Lの被覆材Hに剥き残しが生じたりすることがある。芯線Sの一部が除去された場合には、圧着後の結合力が十分に得られず、一方、電線Lの被覆材Hに剥き残しがある場合には、被覆材Hの一部が内部の芯線Sと一緒に圧着端子100に圧着され、圧着端子100の圧潰部分が歪みになる恐れがある。そこで、本例では、圧着端子100の圧着不良を検出するするため、圧潰部19とアンビル10との間で圧着端子100を圧潰する際の圧潰圧力を、圧力検出手段35を利用して検出し、その圧潰圧力が許容範囲から逸脱したときも、圧着端子100の圧潰動作を停止する。
【0050】
ところで、切断部押圧部材31の上限位置は、押圧部材9が下死点に移動する直前に到達するように設定されている。このため、圧潰動作が完了する直前に上限位置となり、この場合、圧潰圧力が切断部32に直接加わることとなる。ここで、圧潰圧力は、圧着端子100を切り落す際のせん断力よりも大きいため、挟持部47の前側角部と、アンビル10における奥側の上面角部とによってせん断が発生し、圧着端子100がキャリア101から切り離される。その後、上側ユニット7と下側ユニット8とは、互いに離反するように、上昇および下降する。
【0051】
そして、電線Lは、電線送り機構2により所定長さ送られ、チャック機構5で把持され、切断機構4にて、所定長さに切断されるとともに、切断された電線Lの後端部の被覆材Hが除去される。さらに、第二圧着機3Bにおいて、第一圧着機3Aと同様に、電線Lの後端部に圧着端子100が圧着され、両端に圧着端子100を備えた電線Lが完成する。
【0052】
このように、本実施形態の端子圧着装置1によれば、案内部20における圧着端子100の摺動抵抗に関し、許容範囲21よりも逸脱範囲22の方が大きくなるように形成されているため、許容範囲21では滑らかな案内を維持しつつ、一方、逸脱範囲22では圧着端子100に加わる圧力を増加させることができる。したがって、比較判定手段51によって圧着端子100の異常状態を早期の段階で判別することができ、押圧部材9やアンビル10の破損を確実に防止することができる。また、押圧部材9やアンビル10を交換する頻度が少なくなるため、維持管理におけるコストを低廉化することができる。
【0053】
また、本実施形態の端子圧着装置1によれば、逸脱範囲22に、抵抗面として階段状の段部23が形成されているため、圧着端子100の送り込まれた位置が逸脱範囲22に対向する場合には、圧着端子100の一端が、段部23における平面形状部分に当接することとなり、極めて大きな摺動抵抗を生じさせることができる。すなわち、圧着端子100に大きな押圧力を加えることができ、逸脱範囲22における圧力の変化を容易に検出することができる。特に、各段の横幅は、電線Lの半径よりも短い長さに設定されているため、電線Lの送り込み位置が許容範囲21から逸脱していても、案内部20に沿って電線Lを圧潰部19に送り込むことができる。
【0054】
さらに、本実施形態の端子圧着用アプリケータ6では、上側ユニット7と下側ユニット8とを分離させるため、夫々個別に管理することが可能になる。このため、各ユニット7,8の交換作業における負担が軽減されるとともに、比較的狭い場所でも収容できるようになる。例えば、大型のユニットでは、倉庫に保管し、交換の際には倉庫から取出し運搬するという手間が必要とされていたが、小型化することにより、端子圧着装置1の近傍に配置された棚や引出しにも収容することが可能になり、簡単に且つ速やかに交換できるようになる。また、上側ユニット7および下側ユニット8には夫々ICチップが内蔵されているので、ICチップの情報を読み取ることで複数の端子圧着用アプリケータ6の中から所望の端子圧着用アプリケータ6を探し出すことが容易にできるようになる。
【0055】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0056】
すなわち、上記の端子圧着装置1では、案内部20に階段状の段部23を形成するものを示したが、段部23以外の形状でも、許容範囲21よりも摺動抵抗を増加させることが可能である。例えば、許容範囲21よりも表面を粗く形成してもよく、あるいは、表面に摺動抵抗の大きいゴム等の部材を取付けたり、塗料等を塗布するようにしてもよい。但し、本例のように階段状の段部23を形成することにより、圧着端子100の挿入方向に対して垂直となる平面が形成されるため、圧着端子100の引っ掛かり易さを増加させることができる。
【0057】
また、上記の端子圧着装置1では、二枚の押圧部材9を備え、両方の押圧部材9に対して抵抗面(すなわち段部23)を形成するものを示したが、いずれか一方の押圧部材9にのみ抵抗面を形成するようにしてもよい。また、言うまでもないが、一枚の押圧部材9のみを有する端子圧着装置において本発明を適用することも可能である。
【0058】
また、上記の端子圧着装置1では、圧力検出手段35を上側ユニット7に配置するものを示したが、下側ユニット8に配置するようにしてもよい。また、圧力検出手段35として、圧潰動作中における圧着端子100の圧潰圧力を検出するための圧力センサと兼用するものを示したが、圧着端子100の送り込まれた位置を判別するために専用の圧力検出手段を備えるようにしてもよい。
【0059】
さらに、上記の端子圧着装置1では、圧潰動作の際、上側ユニット7及び下側ユニット8を互いに接近させるものを示したが、下側ユニット8を固定し、上側ユニット7のみを下降させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の端子圧着装置のシステム構成を示す説明図である。
【図2】端子圧着用アプリケータの構成を示す正面図である。
【図3】端子圧着用アプリケータの構成を示す斜視図である。
【図4】端子圧着用アプリケータにおける要部の構成と機構的構成とを示す説明図である。
【図5】端子圧着用アプリケータの動作を示す説明図である。
【図6】従来の端子圧着用アプリケータの構成を示す説明図である。
【図7】(a)は圧着端子の構成を示す斜視図であり、(b)は圧着端子の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 端子圧着装置
9 押圧部材(端子圧着用の押圧部材)
10 アンビル
12 上ユニット動力機構(動力機構)
15 下ユニット動力機構(動力機構)
18 切り欠き
19 圧潰部
20 案内部
21 許容範囲
22 逸脱範囲
23 段部(抵抗面)
37 基台
51 比較判定手段
52 基準値
53 異常停止制御手段
L 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のキャリアに繋がれて送り込まれる圧着端子を、基台のアンビルと協働して圧潰し、電線の端部に圧着させる端子圧着用の押圧部材であって、
前記アンビルと対向する位置に切り欠かれて形成された圧潰部と、
該圧潰部の両端に連続して形成され、テーパー状に拡開された傾斜面によって前記圧着端子及び前記電線の端部を前記圧潰部に案内する案内部と
を有し、
前記圧着端子の送り込み位置に関して、前記案内部における水平方向成分を、許容範囲と該許容範囲から逸脱する逸脱範囲とに区分し、該逸脱範囲における前記圧着端子の摺動抵抗が前記許容範囲における摺動抵抗よりも大きくなるように、前記逸脱範囲の表面に抵抗面が形成されていることを特徴とする端子圧着用の押圧部材。
【請求項2】
前記案内部における前記逸脱範囲に、前記抵抗面として階段状の段部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着用の押圧部材。
【請求項3】
前記段部における各段の横幅は、前記圧着端子の板厚よりも長く、前記電線の半径よりも短い長さに設定されていることを特徴とする請求項2に記載の端子圧着用の押圧部材。
【請求項4】
上面にアンビルが形成された基台と、
板状のキャリアに繋がれて送り込まれる圧着端子を、前記基台の前記アンビルと協働して圧潰する押圧部材と、
前記基台及び前記押圧部材の少なくともいずれか一方を移動させ互いに接近させる動力機構と、
前記圧着端子に加わる圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧着端子が前記案内部によって案内される際に発生する圧力を前記圧力検出手段によって検出し、検出圧力が所定値よりも大きいか否かを判定する比較判定手段と、
前記検出圧力が前記所定値よりも大きい場合、前記動力機構による接近動作を停止させる異常停止制御手段と
を具備し、
前記押圧部材は、
前記アンビルと対向する位置に切り欠かれて形成された圧潰部と、
該圧潰部の両端に連続して形成され、テーパー状に拡開された傾斜面によって前記圧着端子及び前記電線の端部を前記圧潰部に案内する案内部と
を有し、
前記圧着端子の送り込み位置に関して、前記案内部における水平方向成分を、許容範囲と該許容範囲から逸脱する逸脱範囲とに区分し、該逸脱範囲における前記圧着端子の摺動抵抗が前記許容範囲における摺動抵抗よりも大きくなるように、前記逸脱範囲の表面に抵抗面が形成されている
ことを特徴とする端子圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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