説明

端子圧着用アプリケータ

【課題】圧着端子が下方へ折曲がることを防止するとともに、電線に対する圧着端子の位置を適正に維持したまま圧潰することが可能な端子圧着用アプリケータを提供する。
【解決手段】下側ユニット8は、アンビル10付きの基台28と、それを保持する保持部材36と、圧着端子100が繋がれた板状のキャリアを支持する挟持部46を形成し摺動可能に支持された切断部44と、それを上方に付勢する弾性手段45とを備える。弾性手段45は、バネ定数の小さな第一のコイルバネ45aと、バネ定数の大きな第二のコイルバネ45bとを有する。上側ユニット7は、アンビル10と協働して圧着端子100を圧潰する押圧部材9と、押圧部材9を保持する保持部材14と、摺動可能に支持された切断部押圧部材24と、それを下方に付勢する弾性手段25とを備える。弾性手段25のバネ定数は、第一のコイルバネ45aよりも大きく、第二のコイルバネ45bよりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子圧着用アプリケータに関するものであり、特に、基台の上面に形成されたアンビルと押圧部材との協働によって圧着端子を圧潰するとともに、その圧着端子を板状のキャリアから切り離すことが可能な端子圧着用アプリケータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、端子圧着用アプリケータを備えた端子圧着装置として、立設された支柱部材と、支柱部材の上側に配設され動力機構によって上下方向に動作する昇降部材と、昇降部材の下端に取付けられた押圧部材と、支柱部材の下側に配設され上面に凹状のアンビルが形成された基台とを具備するものが知られている。これによれば、動力機構によって押圧部材が下方に移動したとき、押圧部材の先端と凹状のアンビルとの間で圧着端子が圧潰される。
【0003】
圧着端子は、板状のキャリアによって一連に繋がれており、端子搬送機構によって、基台のアンビル上に順次送り込まれるようになっている。端子搬送機構は、押圧部材の動作に連動するように制御され、圧着端子が圧潰され押圧部材が下死点から上死点に変位する毎に、係止爪部によってキャリアを所定方向に移動させ、圧着端子をアンビル上に順次送り込むように構成されている。
【0004】
図8に示すように、圧着端子100は、キャリア101の縁部から突出して形成されており、電線の被覆材に圧着される第一圧着部102と、被覆材が除去された先端側の芯線に圧着される第二圧着部103と、連結用のコネクタ部104とを備えている。また、第一圧着部102と第二圧着部103とが第一接続部105によって繋がれ、第二圧着部103とコネクタ部104とが第二接続部106によって繋がれることにより、圧着端子100全体が一体で形成されている。
【0005】
このような圧着端子100を圧潰する押圧部材及びアンビルとしては、例えば図9に示すように、第一圧着部102に対向する位置に配設された第一押圧部材108及び第一アンビル109と、第二圧着部103に対向する位置に配設された第二押圧部材110及び第二アンビル111とから構成されており、第一押圧部材108及び第二押圧部材110が上側ユニット112の保持部材113に固定され、第一アンビル109及び第二アンビル111が形成された二つの基台114,115が下側ユニット116の保持部材117に固定されている。
【0006】
また、下側ユニット116の保持部材117には、第一アンビル109及び第二アンビル111上の圧着端子100をキャリア101から切り離すための切断部118が上下方向に摺動可能に支持されており、切断部118は、その下方に設けられたコイルバネ等の弾性部材119によって上方に付勢されている。切断部118の上部側、特に第一アンビル109よりも上方の位置には、基台114側に向かって開放された溝状の挟持部120が形成されており、圧着端子100が繋がれた板状のキャリア101を挟んだ状態で支持することが可能となっている。このため、挟持部120にキャリア101が挟まれた状態で切断部118が下方へ摺動されると、まず圧着端子100の第一圧着部102及び第二圧着部103が第一アンビル109及び第二アンビル111上に載置され、さらに切断部118が下方へ摺動されると、挟持部120の角部と第一アンビル109における上面角部との間にせん断力が発生し、第一アンビル109上の圧着端子100がキャリア101から切り離される。
【0007】
なお、上側ユニット112の保持部材113には、圧潰動作の際に押圧部材108,110とともに下降し、切断部118の上面を押圧する切断部押圧部材121が下方に突出して設けられており、上側ユニット112の下降による圧潰圧力を利用してせん断力を発生させるようにしている。
【0008】
以上の従来技術は、当業者において当然として行われているものであり、出願人は、この従来技術が記載された文献を知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の端子圧着用アプリケータによれば、圧着端子100を圧潰するための押圧部材108,110、及び、切断部118を押圧下降させるための切断部押圧部材121は、いずれも上側ユニット112の保持部材113に固定されており、また、下側ユニット116では、切断部118に形成された挟持部120の位置が第一アンビル109の上面よりも高くなるように弾性部材119によって上方に付勢されていることから、圧潰動作中における切断のタイミングを極めて高精度に設定しなければならず、調整作業における手間が極めて大きくなっていた。
【0010】
詳しく説明すると、切断部118が押圧下降する前に圧潰動作が開始された場合には、挟持部120と第一アンビル109との間に高低差があることから、キャリア101が第一アンビル109よりも上方に支持された状態で圧潰動作されることとなり、二点鎖線で示すように、キャリア101に対して圧着端子100が斜め下方に折曲げられた状態で圧潰動作が行われる。そして、このような状態で圧潰動作が行われると、電線Lに対する圧着端子100の圧着が不完全となったり、電線Lと圧着端子100との相対位置が適切でない状態で圧着されたりすることになり、品質を低下させることが懸念される。なお、挟持部120の初期位置を第一アンビル109の上面の高さに一致させるようにすれば上記の不具合は解消されるが、これによれば、キャリア101に繋がれた圧着端子100が凹状のアンビル109,111上に送り込まれる際、圧着端子100の一部が基台114,115と衝突し易くなり、ひいては圧着端子100を送り込むことが困難となる。
【0011】
一方、逆に、圧着端子100が圧潰されるよりも早い時点、あるいは電線Lに対して圧着端子100が固定されていない状態で切断部118が押圧下降され、切断部118によって圧着端子100がキャリア101から切り離された場合には、圧着端子100を保持させることができなくなり、電線Lに圧着されることなく飛び散ったり、圧着端子100と電線Lとの相対位置がずれたりする恐れが発生する。
【0012】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、精度の高い調整作業を強いることなく、圧着端子が下方へ折曲がることを防止するとともに、電線に対する圧着端子の位置を適正に維持したまま圧潰することが可能な端子圧着用アプリケータの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる端子圧着用アプリケータは、「上面にアンビルが形成された基台、該基台を保持する第一保持部材、圧着端子が繋がれた板状のキャリアを挟んだ状態で支持する溝状の挟持部を前記アンビルよりも上方の高さに形成するとともに、前記第一保持部材に対して摺動可能に支持され、下方への摺動により、前記挟持部の角部と前記アンビルにおける上面角部との間にせん断力を発生させ、前記アンビル上の前記圧着端子を前記キャリアから切り離す切断部、及び該切断部を上方に付勢した状態で支持する第一弾性手段が設けられた下側ユニットと、
前記基台の前記アンビルと協働して前記圧着端子を圧潰する押圧部材、該押圧部材を保持する第二保持部材、前記切断部の上面に当接可能に配設されるとともに、前記第二保持部材に対して摺動可能に支持された切断部押圧部材、及び該切断部押圧部材を下方に付勢した状態で支持する第二弾性手段が設けられた上側ユニットと
を具備し、
前記押圧部材と前記アンビルとによって前記圧着端子の圧潰動作が開始される前に、前記切断部押圧部材の下面が前記切断部の上面に当接するように、前記切断部の上面に対する前記切断部押圧部材の下面の高さが設定され、
前記第一弾性手段は、前記第二弾性手段よりもバネ定数の小さな第一のバネと、該第一のバネと直列に配設され前記第二弾性手段よりもバネ定数の大きな第二のバネとを有している」ものである。
【0014】
本発明によれば、圧着端子が基台のアンビル上に送り込まれ、さらに先端部分の被覆材が除去された電線が、アンビル上の圧着端子に送り込まれると、その圧着端子を圧潰し、圧着端子を電線に固定させる動作が行われる。
【0015】
ところで、下側ユニットの第一保持部材には、溝状の挟持部を有する切断部が上方に付勢された状態で摺動可能に支持され、一方、その切断部と対向する上側ユニットの第二保持部材には、切断部を押圧する切断部押圧部材が設けられているため、上側ユニットと下側ユニットとが互いに接近すると、切断部押圧部材が切断部の上面に当接し、切断部を押圧下降させる。ここで、切断部の上面に対する切断部押圧部材の下面の高さは、押圧部材とアンビルとによって圧着端子の圧潰動作が開始される前に、切断部押圧部材の下面が切断部の上面に当接するような高さに設定されているため、圧着端子が圧潰される前に切断部が下降し始める。すなわち、圧潰動作が開始される前、あるいは圧潰動作の初期において、切断部における挟持部の位置(すなわちキャリア及び圧着端子の位置)をアンビルの高さに合せることが可能になる。つまり、キャリアから略水平方向に延出される圧着端子を、水平状態を維持したままアンビル上に載置させることが可能となる。
【0016】
詳しく説明すると、本発明の切断部押圧部材は、上側ユニットの第二保持部材に対して上下方向に摺動可能に支持され、且つ第二弾性手段によって下方に付勢されている。一方、切断部は、下側ユニットの第一保持部材に対して上下方向に摺動可能に支持され、且つ第一弾性手段によって上方に付勢されている。特に、第一弾性手段は、第二弾性手段よりもバネ定数の小さな第一のバネと、第二弾性手段よりもバネ定数の大きな第二のバネとから構成されている。このため、上側ユニットと下側ユニットとが互いに接近し、切断部押圧部材が切断部の上面に圧接すると、まず、バネ定数の一番小さな第一のバネが弾性変形することとなり、切断部が所定の位置まで下降する。これにより、切断部における挟持部の位置(すなわちキャリア及び圧着端子の位置)をアンビルの高さまで下降させることが可能になる。
【0017】
そして、第一のバネの弾性変形域を越えると、その次にバネ定数の小さな上側ユニットの第二弾性手段、すなわち切断部押圧部材を下方に付勢する第二弾性手段が弾性変形する。このため、上側ユニットが下降しても、第二弾性手段の収縮により、切断部押圧部材及び切断部を変位させることなく、その状態のまま保持することができる。なお、この間に、上側ユニットに備えられた押圧部材と、下側ユニットに備えられた基台のアンビルとの間で圧着端子を圧潰する動作が進行する。
【0018】
その後、圧潰動作の進行に伴い、下側ユニットと上側ユニットとがさらに接近すると、第二弾性手段の弾性限(弾性変形する限界位置)に達し、圧潰圧力が切断部に直接加わるようになる。ここで、圧潰圧力は、切断部を上方に付勢する第二のバネの復元力よりも大きいため、第二のバネの弾性変形によって切断部が再び下降し、挟持部の角部とアンビルにおける上面角部との間でせん断力を発生させる。この結果、圧着端子がキャリアから切り離される。そして、その後、圧潰動作が完了し、圧着端子が電線に圧着される。
【0019】
ところで、本発明にかかる端子圧着用アプリケータでは、「前記切断部における前記挟持部の位置が前記アンビルの高さに略一致するとき、前記第一のバネの弾性限に達するように、該第一のバネの弾性変形域が設定されている」ことが好ましい。ここで、「弾性限」とは、弾性変形する限界位置を意味している。
【0020】
これによれば、切断部押圧部材が切断部の上面に圧接すると、第一のバネの弾性変形によって切断部が下降し、その後、第一のバネが弾性変形しなくなると、切断部の下降が一旦停止される。ここで、第一のバネの弾性変形域は、切断部における挟持部の位置がアンビルの高さに略一致するときに弾性限に達するように設定されているため、挟持部の位置をアンビルの高さに確実に一致させることが可能となる。すなわち、キャリア及び圧着端子を正確に位置決めした状態で圧潰動作を行うことができる。
【0021】
ところで、第一弾性手段における第二のバネのバネ定数が、第一のバネ及び第二弾性手段のバネ定数よりも大きくなるように設定されていても、これらのバネ定数が比較的近似している場合には、第一のバネあるいは第二弾性手段が弾性変形する際に、第二のバネに加わる荷重により、第二のバネも僅かながら弾性変形する可能性がある。そして、この場合には、折角、切断部の位置に合せて第一の弾性変形域が設定されていても、第二のバネの弾性変形によって第一のバネの弾性限が安定せず、ひいては、圧着端子がアンビル上で保持されることなく圧潰されることがある。
【0022】
そこで、本発明では、上記の端子圧着用アプリケータにおいて、「前記第二のバネはコイルバネからなり、該第二のバネの初期状態として、該第二のバネにおける線間の距離を所定長さ圧縮させた状態で保持する圧縮保持部材をさらに備える」構成を採用することが好ましい。
【0023】
この構成を採用すれば、第二のバネ(コイルバネ)は、圧縮保持部材によって、その線間の距離が所定長さだけ圧縮させた状態で保持されているため、所定量以上の荷重が加わるまでは弾性変形することなく、初期状態として設定された長さに保持される。したがって、バネ定数が比較的近似した場合であっても、第一のバネあるいは第二弾性手段と、第二のバネとが同時に変形することを防止できる。つまり、挟持部の位置を正確に合せることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明の端子圧着用アプリケータによれば、圧着動作の初期において圧着端子をアンビル上で水平状態に保持することが可能となり、圧着端子の下方への折曲がりを確実に防止することができる。また、切断部を押圧下降させるために設けられた上側ユニットの切断部押圧部材を、第二弾性手段によって下方に付勢した状態で支持することにより、圧着端子がキャリアから切り離されるタイミングを遅らせることができる。特に切断部を上方に付勢する第一弾性手段は、第二弾性手段よりもバネ定数の小さな第一バネと、第二弾性手段よりもバネ定数の大きな第二バネとから構成されているため、圧着端子をアンビル上に保持したまま圧潰することができる。したがって、精度の高い調整作業を強いることなく、品質の優れた圧着方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の第一実施形態である端子圧着用アプリケータが適用される端子圧着装置について、図1乃至図6に基づき説明する。図1は端子圧着装置のシステム構成を示す説明図、図2乃至図4は端子圧着用アプリケータの構成を示す図であり、図5は図4のA部分を拡大した拡大側面図であり、図6は端子圧着用アプリケータの動作を示す説明図である。
【0026】
端子圧着装置1は、圧着端子100(図8参照)の供給、電線Lの送込み、被覆材の除去、圧着端子100の圧潰、及び電線Lの切断を一連の動作として行い、圧着端子100が圧着された所定長さの電線Lを連続して製造するものである。この端子圧着装置1は、図1に示すように、電線Lの送り方向順に、電線Lを送る電線送り機構2と、電線Lの送り方向先端側に圧着端子100を圧着させる端子圧着用アプリケータを備えた第一圧着機3Aと、電線Lを切断するとともに電線Lの端部の被覆材Hを除去する切断機構4と、電線Lの送り方向後端側に圧着端子100を圧着させる端子圧着用アプリケータを備えた第二圧着機3Bと、切断後の電線Lを保持するチャック機構5とを備えており、これら各機構は、直線状に配置されている。
【0027】
第一および第二圧着機3A,3Bに備えられる端子圧着用アプリケータ6は、図2乃至図4に示すように、上側ユニット7と、下側ユニット8とに互いに分離されており、個々に交換可能な状態で圧着機3A,3Bに取付けられている。上側ユニット7及び下側ユニット8には、押圧部材9及びアンビル10が取付けられており、上側ユニット7及び下側ユニット8が互いに接近する方向に移動することで、押圧部材9とアンビル10との間に位置する圧着端子100を圧潰することが可能である。なお、上側ユニット7と下側ユニット8との間には空間が形成されているため、図2における紙面後方側から紙面手前側に向って電線Lを送ることが可能である。
【0028】
上側ユニット7には、圧着機3に着脱可能に取付けるための連結部11が設けられており、この連結部11が圧着機3の被連結部(図示しない)に連結されるようになっている。連結部11の下方には、内部にシリンダ(図示しない)を備えた第二動力機構保持部材13が設けられており、さらに下方には、押圧部材9等を保持する保持部材14が設けられている。
【0029】
図4及び図5に示すように、押圧部材9は、所定形状の板材からなる二枚の部材、すなわち圧着端子100が送り込まれた際、圧着端子100の第一圧着部102の上方に位置する第一押圧部材16と、第二圧着部103の上方に位置する第二押圧部材17とから構成されている。どちらの押圧部材16,17も底面に向かって開かれた縦長の切欠18(図2参照)が形成されており、第一圧着部102及び第二圧着部103を側方から挟みながらアンビル10との間で圧潰することにより、第一圧着部102を電線Lの被覆材Hに圧着させ、第二圧着部103を被覆材Hが除去された芯線Sに圧着させる。
【0030】
また、第一押圧部材16及び第二押圧部材17の間には、払落し部材20が摺動可能に保持されている。この払落し部材20の上端部は、第二動力機構保持部材13のシリンダ内を摺動するピストン部材(図示しない)の下端部に接続されており、このピストン部材は、バネなどの弾性部材(図示しない)により上方に付勢されている。そして、ピストン部材の上下方向の移動に伴って払落し部材20が上下方向に移動し、第一押圧部材16及び第二押圧部材17に付着された圧着端子100を払い落とすことを可能にしている。
【0031】
第二押圧部材17の手前側(図4及び図5では右側)には、下端に半円状の切欠21a(図2参照)が形成された差込部材21が設けられている。この差込部材21は、圧潰動作の際に第二接続部106及びコネクタ部104が上方へ折曲がることを防止するものであり、押圧部材9とアンビル10とによる圧着端子100の圧潰動作に先立って、第二圧着部103及びコネクタ部104の間、すなわち第二接続部106の部位に差し込まれる。なお、差込部材21の幅は、第二接続部106の長さ(すなわち第二圧着部103とコネクタ部104との間隔)に略一致している。また、差込部材21は、保持部材14によって上下方向へ摺動可能に支持されるとともに、バネ等の弾性部材22によって下方に付勢されている。
【0032】
また、差込部材21の下端部分、詳しくは差込部材21における第二圧着部103側の端面隅部及びコネクタ部104側の端面隅部には、下方に向かって内側に傾斜したテーパー部51が形成されている。このため、アンビル10上に送り込まれた圧着端子100の位置が、その長手方向(図4及び図5では左右方向)において多少ずれていても、圧着端子100は、第二圧着部103の立壁部またはコネクタ部104の立壁部と、差込部材21の端面すなわちテーパー部51との当接によって長手方向に案内され、正規の位置に位置決めされた状態となる。
【0033】
また、上側ユニット7における保持部材14には、切断部押圧部材24が下方に突出して設けられている。切断部押圧部材24は、後述する下側ユニット8の切断部44の上方に配設されており、圧着端子100の圧潰動作に際して保持部材14とともに下降し、切断部44を押圧することにより、切断部44を下方に摺動させる。そして、この切断部押圧部材24は、保持部材14に対して上下方向に摺動可能に支持されるとともに、コイルバネ等の弾性手段25によって下方(すなわち切断部44側)に付勢されている。ここで、保持部材14が本発明の第二保持部材に相当し、弾性手段25が本発明の第二弾性手段に相当する。
【0034】
なお、上側ユニット7の第二動力機構保持部材13には、内部にICチップを内蔵したICチップユニット26が取付けられており、そのICチップには、夫々異なる固有の識別番号が記憶されている。
【0035】
一方、図2及び図3に示すように、下側ユニット8は、上側ユニット7と同様に圧着機3に形成された被連結部(図示しない)に対して着脱可能な連結部27と、連結部27に固定され上面にアンビル10が形成された基台28と、連結部27の上方に位置するとともに水平方向に延出された端子搬送手段29とを具備している。なお、本例のアンビル10は、図5に示すように、圧着端子100の第一圧着部102に対応する第一アンビル30と、第二圧着部103に対応する第二アンビル32とに分割されており、上面に第一アンビル30が形成された第一基台31と、上面に第二アンビル32が形成された第二基台33とが隣接して配設されている。つまり、基台28は、第一基台31と第二基台33とから構成されている。なお、どちらの基台31,33も上面先端部分に円弧状のアンビル30,32が形成された板状の部材からなり、下側ユニット8の保持部材36に螺子等を用いて固定されている。
【0036】
また、第二基台33のうち手前側(図4及び図5では右側)の部分には、下面支持部材34が一体的に形成されている。この下面支持部材34は、圧着端子100の第二接続部106の下方に位置しており、圧潰動作時に第二接続部106の下面を支持する。なお、第二基台33の上面すなわち第二アンビル32が円弧状に形成されているのに対し、下面支持部材34の上面は平面形状に形成されており、第二アンビル32の底面と下面支持部材34の上面とが同一の高さとなっている。また、図3及び図4に示すように、連結部27には、上側ユニット7と同様のICチップユニット35が取付けられている。
【0037】
なお、詳細な説明は省略するが、端子搬送手段29は、板状のキャリア101によって一連に繋がれた圧着端子100を基台28のアンビル10上に順次供給するものであり、ベース部材38と、ベース部材38の上面に形成された溝状のガイド部39と、ガイド部39の開口部分を部分的に塞ぎキャリア101の逸脱を防止する逸脱防止機構40と、キャリア101によって繋がれた複数の圧着端子100を搬送させる搬送機構41と、搬送機構41を水平方向に摺動させる図示しないピストン及びシリンダを備えた第一動力機構保持部材42とから構成されている。
【0038】
ところで、図3及び図4に示すように、保持部材36に支持された切断部44は、圧着端子100の圧潰動作の際、圧潰される圧着端子100をキャリア101から切り離すものである。具体的に説明すると、切断部44は、キャリア101を挟んだ状態で案内する溝状の挟持部46を有しており、保持部材36に対して上下方向に摺動可能な状態で支持されている。特に、切断部44は、コイルバネ等から構成される弾性手段45によって上方に付勢されており、挟持部46が基台28のアンビル10よりも上方に位置するように支持されている。弾性手段45は、切断部押圧部材24を下方に付勢する弾性手段25(第二弾性手段)よりもバネ定数の小さな第一のコイルバネ45aと、その第一のコイルバネ45aと直列に配設され弾性手段25よりもバネ定数の大きな第二のコイルバネ45bと、第一のコイルバネ45a及び第二のコイルバネ45bを連結する連結部材45cとから構成されている。換言すれば、弾性手段45には、荷重に対するたわみ量が、弾性手段25よりも大きくなる第一のコイルバネ45aと、弾性手段25よりも小さくなる第二のコイルバネ45bとが備えられている。なお、詳細は後述するが、第一のコイルバネ45aの弾性変形域は、切断部44における挟持部46の位置がアンビル10の高さに一致するとき、弾性限に達するように設定されている。ここで、保持部材36が本発明の第一保持部材に相当し、弾性手段45が本発明の第一弾性手段に相当する。また、第一のコイルバネ45aが本発明の第一のバネに相当し、第二のコイルバネ45bが本発明の第二のバネに相当する。
【0039】
このように、切断部44は上下方向に摺動可能に支持され、且つ弾性手段45によって上方に付勢されていることから、上側ユニット7の切断部押圧部材24によって下方に押圧されると、切断部44は弾性手段45の弾性力に抗して下方に摺動し、挟持部46の前側角部と、アンビル10における奥側の上面角部との間にせん断力を発生させることが可能となる。つまり、挟持部46にキャリア101を通した状態で切断部44を下降させることにより、アンビル10上の圧着端子100をキャリア101から切り離すことが可能である。
【0040】
一方、電線送り機構2は、図1に示すように、電線取込みガイド48、二組のローラ49、及びガイドパイプ50等から構成されている。なお、対向するローラ49は、互いに接近および離反するように移動可能とされ、また、ローラ49がローラ駆動手段(図示しない)により回転駆動され、回転方向及び回転数を制御することにより、電線Lを任意の長さだけ送ることを可能にしている。電線取込みガイド48を介して取込まれた電線Lは、ローラ49により、ガイドパイプ50内に送り込まれ、さらにガイドパイプ50の先端へと導かれる。
【0041】
また、図示しないが、切断機構4は、電線Lの切断や、電線Lの端部の被覆材Hを除去するものであり、上下方向に配設された一対の刃(上刃及び下刃)と、上刃を下刃に対して上下方向に移動させる移動手段(図示しない)とを備えている。つまり、上刃と下刃との間に電線Lを挿入した状態で、上刃が下刃に当接するように移動手段を動作させることにより、電線Lを切断する。また、電線Lの端部が所定長さ突出するように、上刃と下刃との間に電線Lを挿入した状態で、上刃と下刃との間隔が電線Lの芯線Sの大きさに対応した距離になるように移動手段を動作させ、続いて電線送り機構2またはチャック機構5によって電線Lを引っ張ることにより、電線Lの端部の被覆材Hが除去される。
【0042】
続いて、本実施形態の端子圧着装置1の動作、特に端子圧着用アプリケータ6における圧潰動作について説明する。まず、図3及び図4に示すように、端子搬送手段29によって基台28のアンビル10上に圧着端子100が順に供給される。つまり、第一動力機構保持部材42内のシリンダ(図示しない)の動作によってピストンロッドを図3の紙面左方向に付勢すると、搬送機構41が同方向に移動し、一連の圧着端子100が繋がれたキャリア101を所定位置まで搬送する。
【0043】
一方、図1に示すように、電線送り機構2から送り出される電線Lの先端が、一旦、第一圧着機3Aを通り越して切断機構4へと送られる。そして、切断機構4へ送られた電線Lの先端は、上刃と下刃とで挟まれ、電線送り機構2により電線Lが送り戻されることで先端部の被覆材Hが除去される。さらに、電線Lの先端は第一圧着機3Aの位置まで送り戻される。
【0044】
続いて、図5に示すように、下側ユニット8のアンビル10上に位置する圧着端子100に電線Lの先端が送り込まれる。詳しくは、被覆材Hの除去された電線Lの芯線S部分が、圧着端子100における第二圧着部103及び第二接続部106の上方に位置し、先端側の被覆H部分が第一圧着部102の上方に位置するように送り込まれる。
【0045】
その後、第一圧着機3Aでは、上側ユニット7および下側ユニット8が下降および上昇(互いに接近)する。すると、図6に示すように、切断部押圧部材24が切断部44の上面に当接し、切断部44を下方に押圧する。つまり、切断部押圧部材24の底面位置は、押圧部材9とアンビル10との間で圧着端子100が圧潰される前、すなわち圧潰動作の前に、切断部44の上面に当接する高さに設定されているため、上側ユニット7と下側ユニット8とが接近すると、まず、切断部押圧部材24によって切断部44が押圧される。ところで、切断部44は、下側ユニット8の保持部材36に対して上下方向に摺動可能に支持され、且つ弾性手段45によって上方に付勢されている。特に、弾性手段45は、弾性手段25(第二弾性手段)よりもバネ定数の小さな第一のコイルバネ45aと、弾性手段25よりもバネ定数の大きな第二のコイルバネ45bとから構成されている。このため、切断部押圧部材24が切断部44の上面を押圧すると、まず、バネ定数の一番小さな第一のコイルバネ45aが弾性変形することとなり、切断部44が所定の位置まで下降する。ここで、第一のコイルバネ45aの弾性変形域は、切断部44における挟持部46の位置がアンビル10の高さに略一致するときに弾性限に達するように設定されているため、切断部44は、挟持部46の位置がアンビル10の高さに一致した状態、すなわち、キャリア101から突出する圧着端子100がアンビル10上に載置された状態で停止され保持される。つまり、圧着端子100は、キャリア101から水平方向に延出された状態を維持したまま、第一基台31及び第二基台33の第一アンビル30及び第二アンビル32上に載置される。なお、図6では、説明の便宜上、押圧部材9を省略した図面を示している。
【0046】
そして、第一のコイルバネ45aの弾性変形域を越えると、その次にバネ定数の小さな上側ユニット7の弾性手段25が弾性変形する。このため、上側ユニット7及び下側ユニット8が互いに接近しても、弾性手段25の収縮により、切断部押圧部材24及び切断部44を変位させることなく、その状態のまま保持することができる。なお、この間に、上側ユニット7に備えられた押圧部材9と、下側ユニット8に備えられた基台28のアンビル10との間で圧着端子100を圧潰する動作が進行する。
【0047】
その後、圧潰動作の進行に伴い、下側ユニット8と上側ユニット7とがさらに接近すると、弾性手段25の弾性限に達し、圧潰圧力が切断部44に直接加わるようになる。ここで、圧潰圧力は、切断部44を上方に付勢する第二のコイルバネ45bの弾性力よりも大きいため、第二のコイルバネ45bの弾性変形によって切断部44が再び下降し、挟持部46の角部とアンビル10における上面角部との間でせん断力を発生させる。この結果、圧着端子100がキャリア101から切り離される。
【0048】
また、切断部押圧部材24の動作とともに、差込部材21が第二圧着部103とコネクタ部104との間に差し込まれるため、差込部材21の一方の端面(第二押圧部材17側の端面)とそれに対向する第二圧着部103の立壁部とが当接するとともに、差込部材21の他方の端面とそれに対向するコネクタ部104の立壁部とが当接する。このため、圧潰動作の際、第二接続部106及びコネクタ部104が上方に折曲がるように外力が加わっても、差込部材21の他方の端面とコネクタ部104の立壁部との当接により、コネクタ部104の折曲がりが抑制される。
【0049】
なお、圧潰動作の際には、差込部材21の先端部分が第二圧着部103とコネクタ部104との間に差し込まれた後に、上側ユニット7と下側ユニット8とがさらに接近することとなるが、本例の差込部材21は、弾性部材22によって下方に付勢されているため、差込部材21は弾性部材22の弾性力に抗して相対的に上方に変位することとなり、第二接続部106の潰れが防止される。
【0050】
その後、上側ユニット7及び下側ユニット8がさらに接近すると、第一押圧部材16及び第一アンビル30によって第一圧着部102が圧潰され、第二押圧部材17及び第二アンビル32によって第二圧着部103が圧潰され、これにより圧着端子100が電線Lに圧着される。なお、押圧部材9は、切断部押圧部材24及び差込部材21よりも下方に延出されているが、図2に示すように、押圧部材9の下端には縦長の切欠18が形成されていることから、上述したように、切断部押圧部材24が切断部44に当接し、且つ差込部材21が第二圧着部103及びコネクタ部104の間に差し込まれた後に、第一圧着部102及び第二圧着部103が圧潰されることになる。
【0051】
そして、圧潰動作が完了すると、上側ユニット7と下側ユニット8とは、互いに離反するように、上昇および下降する。
【0052】
その後、電線Lは、電線送り機構2により所定長さ送られ、チャック機構5で把持され、切断機構4にて、所定長さに切断される。また、切断された電線Lの後端部の被覆材Hが除去され、第二圧着機3Bにおいて、第一圧着機3Aと同様に、電線Lの後端部に圧着端子100が圧着される。これにより、両端に圧着端子100を備えた電線Lが完成する。
【0053】
このように、第一実施形態の端子圧着用アプリケータ6によれば、圧着動作の初期において切断部44を下降させること、すなわち圧着端子100をアンビル10上で水平状態に保持することが可能となり、圧着端子100の下方への折曲がりを確実に防止することが可能となる。また、上側ユニット7の切断部押圧部材24を、摺動可能に支持するとともに、弾性手段25によって下方に付勢した状態で支持することにより、圧着端子100がキャリア101から切り離されるタイミングを遅らせることができる。特に切断部44を上方に付勢する弾性手段45は、弾性手段25よりもバネ定数の小さな第一コイルバネ45aと、弾性手段25よりもバネ定数の大きな第二のコイルバネ45bとから構成されているため、圧着端子100をアンビル10上で保持したまま圧潰することができる。したがって、精度の高い調整作業を強いることなく、品質の優れた圧着方法を提供することができる。
【0054】
また、本実施形態の端子圧着用アプリケータ6によれば、差込部材21によって、圧着端子100における上方への折曲がりを確実に防止することができる。このため、さらに品質の高い圧着方法を提供することが可能になる。特に、差込部材21は、圧着端子100のコネクタ部104に対して側方から当接させることにより、コネクタ部104の上方への折曲がりを防止することから、比較的小さな力で保持することが可能となり、しかも上下方向における微調整が不要となることから作業者等の負担を大幅に軽減できる。また、差込部材21が第二圧着部103とコネクタ部104との間に差し込まれることから、差込部材21によって圧着端子100の長手方向への移動が制限され、電線Lと圧着端子100とを確実に対応させた状態で、圧着端子100を圧潰することが可能になる。
【0055】
さらに、本実施形態の端子圧着用アプリケータ6では、上側ユニット7と下側ユニット8とを分離させるため、夫々個別に管理することが可能になる。このため、各ユニット7,8の交換作業における負担が軽減されるとともに、比較的狭い場所でも収容できるようになる。例えば、大型のユニットでは、倉庫に保管し、交換の際には倉庫から取出し運搬するという手間が必要とされていたが、小型化することにより、端子圧着装置1の近傍に配置された棚や引出しにも収容することが可能になり、簡単に且つ速やかに交換できるようになる。また、上側ユニット7及び下側ユニット8には夫々ICチップが内蔵されているので、ICチップの情報を読み取ることで複数の端子圧着用アプリケータ6の中から所望の端子圧着用アプリケータ6を探し出すことが容易にできるようになる。
【0056】
次に、本発明の第二実施形態である端子圧着用アプリケータ51を、図7を基に説明する。なお、端子圧着用アプリケータ51の基本的な構成は、第一実施形態の端子圧着用アプリケータ6と略同一であるため、共通部分については同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。つまり、特徴的な構成である弾性手段52等についてのみ具体的に説明する。
【0057】
本例の弾性手段52は、第一実施形態における弾性手段45と同様、弾性手段25(図6参照)よりもバネ定数が小さな第一のコイルバネ53と、弾性手段25よりもバネ定数が大きな第二のコイルバネ54とを備えているが、さらに、本例では、第二のコイルバネ54の初期状態として、第二のコイルバネ54における線間の距離(所謂ピッチ)を所定長さ圧縮させた状態で保持する圧縮保持部材55と、第一のコイルバネ53の弾性限を規制する規制部材56とを備えている。
【0058】
圧縮保持部材55は、下側ユニット8の保持部材36に固定されたベース板58と、ベース板58の上面に垂設され第二のコイルバネ54の内部に挿通された案内杆59と、案内杆59の上部に外嵌され、第二のコイルバネ54の長さを制限することにより第二のコイルバネ54を圧縮させる圧縮板60と、案内杆59の上端に固定され圧縮板60の上限位置を規制するストッパー61とから構成されている。これにより、第二のコイルバネ54は予め圧縮された状態で保持されるため、所定量以上の大きな荷重が加わるまで、弾性変形することなく一定の長さに保持される。一方、規制部材56は、第一のコイルバネ53よりも短い円筒状の部材からなり、圧縮板60の上面に取付けられている。
【0059】
このような構成を備えた端子圧着用アプリケータ51によれば、まず、切断部44が下方に押圧され、第一のコイルバネ53が弾性変形すると、第一のコイルバネ53は、円筒状の規制部材56の内部に圧縮された状態で収容され、切断部44の底面が規制部材56の上面に当接することになる。この当接状態では、第一のコイルバネ53をそれ以上弾性変形させることはできないため、第一のコイルバネ53の弾性限に達したことになる。その後、切断部44がさらに下方に押圧され、第二のコイルバネ54に加わる荷重が所定量を超えると、第二のコイルバネ54が弾性変形し始め切断部44が下降する。
【0060】
したがって、本例の端子圧着用アプリケータ51によれば、弾性手段52に加わる荷重が所定量に達するまでは、第一のコイルバネ53のみが弾性変形し、所定量に達した後は第二のコイルバネ54のみが弾性変形することになる。このため、二つのコイルバネ53,54におけるバネ定数が比較的近似している場合であっても、同時に変形することを防止でき、挟持部46の位置をアンビル10の高さに確実に合せることが可能になる。
【0061】
以上、本発明について好適な二つの実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0062】
すなわち、上記の端子圧着用アプリケータ6,51では、押圧部材9及び切断部押圧部材24が同一の保持部材14に保持されているものを示したが、上側ユニット7に複数の保持部材を備え、別々に保持させるようにしてもよい。また、同様に、基台28と切断部44とを互いに異なる部材で保持させるようにしてもよい。
【0063】
また、上記の端子圧着用アプリケータ6,51では、弾性手段45を構成する二つのコイルバネ45a,45bの特性については特に明記していないが、これらのコイルバネ45a,45bは、線形特性のものであってもよく、非線形特性のものであってもよい。また、コイルバネ以外のバネ、例えば、板バネ、皿バネ、または引っ張りコイルバネを用いるようにしてもよい。但し、本例のようにコイルバネを用いれば、簡単な構成で切断部44を上方に付勢することができる。
【0064】
さらに、上記の端子圧着用アプリケータ6,51では、圧潰動作の際、上側ユニット7及び下側ユニット8を互いに接近させるものを示したが、下側ユニット8を固定し、上側ユニット7のみを下降させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の端子圧着用アプリケータを適用する端子圧着装置のシステム構成を示す説明図である。
【図2】第一実施形態の端子圧着用アプリケータの構成を示す正面図である。
【図3】端子圧着用アプリケータの構成を示す斜視図である。
【図4】端子圧着用アプリケータの構成を示す左側面図である。
【図5】図4におけるA部分を拡大した拡大左側面図である。
【図6】端子圧着用アプリケータの動作を示す説明図である。
【図7】第二実施形態の端子圧着用アプリケータの構成を示す説明図である。
【図8】(a)は圧着端子の構成を示す斜視図であり、(b)は圧着端子の構成を示す平面図である。
【図9】従来の端子圧着用アプリケータの構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
6,51 端子圧着用アプリケータ
7 上側ユニット
8 下側ユニット
9 押圧部材
10 アンビル
14 保持部材(第二保持部材)
24 切断部押圧部材
25 弾性手段(第二弾性手段)
28 基台
36 保持部材(第一保持部材)
44 切断部
45,52 弾性手段(第一弾性手段)
45a 第一のコイルバネ(第一のバネ)
45b 第二のコイルバネ(第二のバネ)
46 挟持部
55 圧縮保持部材
100 圧着端子
101 キャリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にアンビルが形成された基台、
該基台を保持する第一保持部材、
圧着端子が繋がれた板状のキャリアを挟んだ状態で支持する溝状の挟持部を前記アンビルよりも上方の高さに形成するとともに、前記第一保持部材に対して摺動可能に支持され、下方への摺動により、前記挟持部の角部と前記アンビルにおける上面角部との間にせん断力を発生させ、前記アンビル上の前記圧着端子を前記キャリアから切り離す切断部、
及び該切断部を上方に付勢した状態で支持する第一弾性手段
が設けられた下側ユニットと、
前記基台の前記アンビルと協働して前記圧着端子を圧潰する押圧部材、
該押圧部材を保持する第二保持部材、
前記切断部の上面に当接可能に配設されるとともに、前記第二保持部材に対して摺動可能に支持された切断部押圧部材、
及び該切断部押圧部材を下方に付勢した状態で支持する第二弾性手段
が設けられた上側ユニットと
を具備し、
前記押圧部材と前記アンビルとによって前記圧着端子の圧潰動作が開始される前に、前記切断部押圧部材の下面が前記切断部の上面に当接するように、前記切断部の上面に対する前記切断部押圧部材の下面の高さが設定され、
前記第一弾性手段は、前記第二弾性手段よりもバネ定数の小さな第一のバネと、該第一のバネと直列に配設され前記第二弾性手段よりもバネ定数の大きな第二のバネとを有している
ことを特徴とする端子圧着用アプリケータ。
【請求項2】
前記切断部における前記挟持部の位置が前記アンビルの高さに略一致するとき、前記第一のバネの弾性限に達するように、該第一のバネの弾性変形域が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着用アプリケータ。
【請求項3】
前記第二のバネはコイルバネからなり、
該第二のバネの初期状態として、該第二のバネにおける線間の距離を所定長さ圧縮させた状態で保持する圧縮保持部材をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の端子圧着用アプリケータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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